噴射記録方法
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録媒体の小液を被記録材に対して飛翔させて記録を行う噴射記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】噴射記録方法は、記録媒体(インク)の小滴を飛翔させ、紙などの被記録材に付着させて記録を行うものである。噴射記録方法の中でも特に、本出願人が特公昭61−59911号、特公昭61−59912号、特公昭61−59914号において開示した、熱エネルギーをインクに作用させてインク内に泡を発生させ、インク内に発生した泡により液滴を吐出口(オリフィス)から吐出させる方法によれば、記録ヘッドの高密度マルチオリフィス化が容易に実現でき、高解像度、高品質の画像を高速で記録できる。
【0003】噴射記録方法について、本出願人は、それまでのものとは違う噴射記録方法を提案した(特開平4−10940号)。この噴射記録方法は、記録媒体に記録信号に応じた熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、この泡により記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う際に、この泡を外気を連通させるもので(以下、連通噴射記録方法)、この連通噴射記録方法によると、記録媒体のスプラッシュやミストを防ぐことができ、被記録材や装置内を汚すことがない。また、この連通噴射記録方法によると、発生した泡と吐出口との間の記録媒体は全て吐出するため、飛翔する記録媒体の量は、ノズルの形状とヒーターの位置によって決まり、従って飛翔する小滴量が常に一定な、安定した記録を行うことができる。
【0004】また、本出願人は常温で固体の記録媒体を溶融して使用する噴射記録方法を提案した(特願平3−249217号)。常温固体の記録媒体によると、定着性に優れたにじみのない記録像が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】常温固体の記録媒体を用いた噴射記録方法の場合、常温液体の記録媒体を用いる場合に比べて、泡を発生させるために大きな熱エネルギーを付与する必要がある。常温固体の記録媒体に、効率よく多量の熱エネルギーを付与するには、例えば米国特許5,065,167号のように、発泡熱エネルギー(記録媒体内に泡を発生させるための熱エネルギー。以下同様)を付与する前に、予備熱エネルギー(記録媒体内に泡を発生させない程度に予め付与する熱エネルギー)を付与するとよい。米国特許5,065,167号に記載の予備熱エネルギーの付与は一定間隔でくり返される複数のパルス電圧を記録ヘッドのヒーターに付与するものであるが、大きな吐出圧力を安定して得るためにはまだまだ改良の余地があった。
【0006】本発明は、上記のように予備熱エネルギーを付与する噴射記録方法を改良するもので、予備熱エネルギーを付与することの上述した利点をさらに確実なものとするとともに、大きな吐出圧力が安定して得られる噴射記録方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の噴射記録方法は、常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつ隣り合う2つの前記パルスの間隔である休止時間を、前記パルスの付与毎に広げるものであり、また常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつ複数の前記パルスが、パルス幅及び前記休止時間が一定である複数の前記パルスからなる第1のパルス群と、前記第1のパルス群よりも前記休止時間が長い複数の前記パルスからなる第2のパルス群とを有するものであり、更に常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつパルス幅及び前記休止時間が一定である複数の前記パルスからなる第1のパルス群と、前記第1のパルス群よりもパルス幅が短い複数の前記パルスからなる第2のパルス群とを有するものである。
【0008】本発明の噴射記録方法は、常温(5℃〜35℃)で固体の記録媒体(インク)を加熱溶融し、溶融した記録媒体を吐出口(オリフィス)から吐出させて記録を行なう。記録媒体の吐出は、溶融した記録媒体に予備熱エネルギーを付与した後、記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより行なう。
【0009】図1に示す装置は、本発明の記録方法を実施するための装置で、タンク21に収容された記録媒体は供給路22を通って記録ヘッド23に供給される。記録ヘッド23は、図2に示す記録ヘッドが使用できる。タンク21、供給路22及び記録ヘッド23には、加熱手段20及び24の熱により装置内の記録媒体が液状に保たれる。加熱手段20及び24は、温度制御手段26により所定の温度に設定される。加熱手段20及び24は、記録媒体の融点よりも10℃〜20℃高い温度に設定するとよい。記録ヘッド23には駆動回路25より記録信号が送られ、記録信号に応じて記録ヘッド23の吐出エネルギー発生手段(例えばヒーター)が駆動し、記録媒体の小滴を吐出して紙等の被記録材27に記録が行なわれる。
【0010】ヘッド23は、図2に示すように、基板1上に平行に並べられた壁8と、液室10を形成する壁14とが設けられている。更に、壁8、14の上には天板4が配置される。図2では、記録ヘッドの内部を見やすくするため、天板4を壁8、14から離して示してある。天板4にはインク供給口11が形成され、インク供給口11より液室10に溶融した記録媒体が流入する。壁と壁の間は、溶融した記録媒体が通るノズル15となっており、各ノズル15の途中の基板1上には記録媒体に記録信号に応じた熱エネルギーを付与するためのヒーター2が設けられている。ヒーター2からの熱エネルギーにより記録媒体に泡が発生し、記録媒体がノズル15の吐出口5から吐出する。
【0011】本発明の噴射記録方法のなかでも連通噴射記録方法は熱エネルギーの付与により記録媒体に発生した泡が膨張して所定の大きさになったところで吐出口5を突き抜け外気と連通する。以下、連通噴射記録方法について説明する。
【0012】図3〜図6は記録ヘッド23に設けられた1本のノズル15の断面で、図3は発泡前の状態を示す。まず加熱手段24に電流を流し、常温で固体の記録媒体3を溶解する。記録媒体3を液化した後、ヒーター2に瞬間的に電流を流しパルス的にヒーター2近傍の記録媒体3を加熱すると、記録媒体3は急激な沸騰を起こし勢いよく泡6が発生し、膨張を始める(図4)。泡6は膨張を続け、特にイナータンス(慣性)の小さい吐出口5側へ成長し、更に吐出口5から突き抜け外気と連通する(図5)。泡6より吐出口5側の記録媒体3は、この瞬間までに泡6から与えられた運動量のために前方へ飛び出し、やがて独立な小滴7となって紙などの被記録材へ飛翔する(図6)。記録媒体3が飛び出した後、ノズル15先端部に生じた空隙には、後方の記録媒体3の表面張力とノズル壁との漏れによって新たな記録媒体3が満たされ、吐出前の状態に戻る。
【0013】連通噴射記録方法でない噴射記録方法の場合、泡が最大に成長しても外気と連通せず、その後収縮する。
【0014】連通噴射記録方法は、記録媒体中に生じた泡が外気と連通するため、泡と吐出口5との間にある記録媒体が実質的に全て吐出する。従って、吐出する小滴の体積は常に一定となる。また、連通噴射記録方法では、泡と吐出口との間にある記録媒体が全て吐出するためヒーター上に小泡が残ることがない。
【0015】泡を外気と連通させるには、ヒーター2を吐出口5に近づけるとよい。これが、泡を外気と連通させるために最も簡便にとれる構成である。その他、ヒーター2の発生する熱エネルギー量、インク物性、記録ヘッド23の各部の大きさ(吐出口5とヒーター2間の距離、吐出口5やノズル15の幅及び高さ)などを所望に応じて選択することにより泡を外気と連通させることができる。
【0016】ヒーター2を吐出口5にどのくらい近づけたら泡が外気と連通するかどうかについては一概には言えないが、ヒーター2の吐出口側の端から吐出口5までの距離が、5μm以上80μm以下、更には10μm以上60μm以下であることが好ましい。
【0017】本発明は、上記の噴射記録方法(連通噴射記録方法も含む)において、記録媒体に発泡熱エネルギーを付与する前に、予備熱エネルギーを付与するもので、しかも予備熱エネルギーを付与する過程(以下、予備加熱過程)で、付与する予備熱エネルギーを連続的あるいは不連続的に減少させるものである。このようにすることにより、予備加熱過程で不要な泡を発生させずに多量の熱エネルギーを効率よく記録媒体に付与することができる。その結果、吐出口から飛翔する記録媒体小滴のスピードが増し、着弾位置が安定する。また、不吐出も発生しなくなる。
【0018】1つの発泡加熱パルス(後述)に対し付与する予備熱エネルギーの総量は5〜5000μJ、更には15〜3000μJが好ましい。付与する予備熱エネルギーの総量のうち60〜90%、更には65〜85%を予備加熱過程の前半分で付与することが好ましい。
【0019】予備熱エネルギー付与も発泡熱エネルギー付与も、ノズル15内に設けられたヒーター2により行なわれる。つまり、ヒーター2にパルス状の電圧を印加することにより、予備熱エネルギー付与及び発泡熱エネルギー付与が行なわれる。
【0020】図7に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅一定のまま隣り合う2つのパルスの間隔(以下、休止時間)を、パルスPrの付与毎に徐々に広げるものである。
【0021】図8に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅及び休止時間が一定である複数のパルスからなる第1のパルス群と、第1のパルス群よりも休止時間が長い複数のパルスからなる第2のパルス群と、第2のパルス群よりも休止時間が長い複数のパルスからなる第3のパルス群とを有する。
【0022】図9に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅及び休止時間が一定である複数のパルスからなる第1のパルス群と、第1のパルス群よりも休止時間が長い複数のパルスからなる第2のパルス群とを有する。
【0023】図10に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅及び休止時間が一定である複数のパルスからなる第1のパルス群と、第1のパルス群よりもパルス幅が短い複数のパルスからなる第2のパルス群と、第2のパルス群よりもパルス幅が短い複数のパルスからなる第3のパルス群とを有する。
【0024】図11に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅及び休止時間が一定である複数のパルスからなる第1のパルス群と、第1のパルス群よりもパルス幅が短い複数のパルスからなる第2のパルス群とを有する。
【0025】また、予備加熱パルスPrのパルス幅を、パルスPrの付与毎に徐々に狭くしてもよい。
【0026】更に、図12に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅及び休止時間が一定である複数のパルスからなる第1のパルス群と、第1のパルス群よりもパルス幅の狭い複数のパルスからなる第2のパルス群と、第2のパルス群よりも休止時間が長い複数のパルスからなる第3のパルス群とを有する。
【0027】また、予備加熱パルスPrの電圧を連続的あるいは不連続的に低くして予備熱エネルギー量を減少させてもよい。本発明においては、電圧の違うパルスは別のパルスと考える。従って、図13のような休止時間のない階段状のパルスは、複数のパルスが連なったものである。
【0028】発泡熱エネルギーの付与は、1つのパルス(以下、発泡加熱パルス)によって行なわれる。発泡加熱パルスは、複数のパルスでもかまわないが、1つで十分である。
【0029】このように、本発明において予備熱エネルギー及び発泡熱エネルギーの付与は、一連の複数のパルスによって行なわれるが、このような一連の複数のパルスの最後の1つが発泡加熱パルスである。
【0030】1つの予備加熱パルスはパルス幅0.2〜1.5μsec.、更には0.3〜1.2μsec.が好ましく、電圧は8〜35V、更には10〜25Vが好ましい。休止時間は0.3〜5.0μsec.、更には0.5〜4.0μsec.が好ましい。
【0031】1つの発泡加熱パルスは、パルス幅0.8〜5.0μsec.、更には1.0〜4.0μsec.が好ましい。電圧は10〜35V、更には10〜25Vが好ましい。
【0032】予備加熱パルスの個数は、10〜60個、更には20〜50個が好ましい。
【0033】本発明で使用する常温固体の記録媒体は、熱溶融性固体物質と着色剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて物性を調整するための添加剤あるいはアルコール等の常温で液体の有機溶剤等を含有するものである。
【0034】常温固体の記録媒体は、その融点が36℃〜200℃の範囲にあるものが望ましい。36℃を下回る場合には、室温の変化によっては記録媒体が溶けて手などを汚すおそれがあり、200℃を越える場合には、記録媒体を液化するために大きなエネルギーが必要となる。より好ましくは、その融点が36℃〜150℃の範囲が望ましい。
【0035】常温固体の記録媒体に含有する熱溶融性固体物質としては、例えばアセトアミド、p−バニリン、o−バニリン、ジベンジル、m−アセトトルイジン、安息香酸フェニル、2,6−ジメチルキノリン、2,6−ジメトキシフェノール、p−メチルベンジルアルコール、p−ブロモアセトフェノン、ホモカテコール、2,3−ジメトキシベンズアルデヒド、2,4−ジクロルアニリン、ジクロロキシリレン、3,4−ジクロロアニリン、4−クロロ−m−クレゾール、p−ブロモフェノール、シュウ酸ジメチル、1−ナフトール、ジブチルヒドロキシトルエン、1,3,5−トリクロロベンゼン、p−tert−ペンチルフェノール、デュレン、ジメチルpフェニレンジアミン、トラン、スチレングリコール、プロピオンアミド、炭酸ジフェニル、2−クロロナフタレン、アセナフテン、2−ブロモナフタレン、インドール、2−アセチルピロール、ジベンゾフラン、p−クロロベンジルアルコール、2−メトキシナフタレン、チグリン酸、p−ジブロモベンゼン、9−ヘプタデカノン、1−テトラデカナミン、1,8−オクタンジアミン、グルタル酸、2,3−ジメチルナフタレン、イミダゾール、2−メチル−8−ヒドロキシキノリン、2−メチルインドール、4−メチルビフェニル、3,6−ジメチル−4−オクチン−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、エチレンカーボネート、1,8−オクタンジオール、1,1−ジエチル尿素、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、2−ヒドロキシ−ナフトエ酸メチル、8−キノリノール、ステアリルアミンアセテート、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、m−ニトロ安息香酸メチル、しゅう酸ジメチル、フタライド、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、8−キノリノール、N−tert−ブチルエタノールアミン、グリコール酸、ジアセチルモノオキシムおよびアセトキシム等の一種又は二種以上を混合して用いることができる。
【0036】上記の熱溶融性固体物質は、種類によって吐出特性に特に優れたものや、保存性に特に優れたもの、あるいは被記録材上でのにじみが極端に少ないものなど色々と特徴がある。従って、使用目的に応じて上記熱溶融性固体物質の中から適宜選択して記録媒体に使用するとよい。
【0037】熱溶融性固体物質の融点をTm、沸点(1気圧における沸点。以下同様)Tbとしたとき、前述の熱溶融性固体物質のうち下記の式(A)および(B)をいずれも満たす熱溶融性固体物質を用いると、記録像の定着性に優れると共に熱エネルギーを吐出エネルギーへと効率よく変換できる常温固体の記録媒体が得られる。
【0038】36℃≦Tm≦150℃…(A)
150℃≦Tb≦370℃…(B)
沸点Tbは更に200℃≦Tb≦340℃であることが好ましい。
【0039】常温固体の記録媒体に含有する着色剤としては、従来公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、建染染料、硫化染料、油溶性染料等の各種染料及び顔料が有効である。特に好ましく使用しうる染料としては、次に示すカラーインデックス記載の油溶性染料が挙げられる。
【0040】C.I.Solvent Yellow 1,2,3,4,6,7,8,10,12,13,14,16,18,19,21,25,25:1,28,29等C.I.Solvent Orange 1,2,3,4,4:1,5,6,7,11,16,17,19,20,23,25,31,32,37,37:1等C.I.Solvent Red 1,2,3,4,7,8,13,14,17,18,19,23,24,25,26,27,29,30,33,35等C.I.Solvent Violet 2,3,8,9,10,11,13,14,21,21:1,24,31,32,33,34,36,37,38等C.I.Solvent Blue 2,4,5,7,10,11,12,22,25,26,35,36,37,38,43,44,45,48,49等C.I.Solvent Green 1,3,4,5,7,8,9,20,26,28,29,30,32,33等C.I.Solvent Brown 1,1:1,2,3,4,5,6,12,19,20,22,25,28,29,31,37,38,42,43等C.I.Solvent Black 3,5,6,7,8,13,22,22:1,23,26,27,28,29,33,34,35,39,40,41等
【0041】更に、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトボン、酸化チタン、クロムエロー、カドミウムエロー、ニッケルチタンエロー、ネーブルスエロー、黄色酸化鉄、ベンガラ、カドミウムレッド、硫化水銀カドミウム、紺青、群青等の無機顔料やカーボンブラック、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、バッド系顔料等の有機顔料も好ましく用いられる。
【0042】また、常温固体の記録媒体には、必要に応じて常温で液体の有機溶剤、例えば1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール等のアルキレングリコール類、その他ケトン類、ケトアルコール類、アミド類、エーテル類等のものを含有しても構わない。これら有機溶剤は、記録媒体中に発生する泡を大きく成長させる。
【0043】上記有機溶剤の沸点は150℃以上のものが好ましい。
【0044】以上のように、本発明によれば多量の熱エネルギーを記録媒体に付与することができるので、加熱溶融した常温固体の記録媒体小滴を勢いよく吐出口から吐出することができる。このため、記録媒体小滴の着弾位置が安定し、鮮明な記録画像が得られる。また、記録媒体の不吐出も防止できる。
【0045】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
【0046】(実施例1)図1の記録装置により記録を行なった。
【0047】記録ヘッドの主要部分の寸法は、オリフィス面積約1080μm2(高さ27μm)、ヒーター部でのノズル寸法(高さ27μm、幅40μm)、ヒーター2の面積約1280μm2、ヒーター2の中心とオリフィスとの間の距離が約25μmであった。ヒーターには、厚さ0.13μmのHfB2を用い、このヒーター上にSiO2保護層及びTa保護層をそれぞれ厚さ1.0μm及び0.1μmで順に積層した。ヒーターの電気低抗は約29Ωであった。ノズルの本数は、1インチ当たり400本の密度で48本であった。記録媒体は、下記成分を合有する常温固体の記録媒体を用いた。この記録媒体を80℃以上に加熱溶融して記録を行なった。
【0048】
ラウリン酸 67重量%カルナバワックス 30重量%染料(ソルベントブラック3) 3重量%こうして、図9に示した予備加熱パルス及び発泡加熱パルスを、ヒーター2に印加した。図9に示した予備加熱パルスは、パルス幅0.6μsecのパルスを、0.8μsec の休止時間で6個連ね、その後、パルス幅0.6μsec、のパルスを、2.0μsecの休止時間で14個連ねたものである。発泡加熱パルスは、パルス幅2.0μsecのもので、予備加熱パルスから1.0μsecの休止時間をおいて印加した。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。以上の予備加熱パルス及び発泡加熱パルスを、500μsecの繰り返し周期(駆動周波数2KHZ)で駆動した。以上の条件で、普通紙(市販のコピー紙)に市松模様の記録像を形成した。その結果、鮮明な記録像が得られた。記録媒体の吐出も非常に安定していた。市松模様を構成する一つの四角の大きさは、縦12ドット、横12ドットとした。
【0049】(実施例2)予備加熱パルスを、図8に示すものとし、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。図8に示した予備加熱パルスは、パルス幅0.6μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で6個連ね、その後パルス幅0.6μsecのパルスを、1.6μsecの の休止時間で3個連ね、更にパルス幅0.6μsecのパルスを2.0μsecの休止時間で11個連ねたものである。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。こうして記録を行なったところ、鮮明な記録像が得られた。記録媒体の吐出も非常に安定していた。
【0050】(実施例3)予備加熱パルス及び発泡パルスを図7に示すものとして、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。図7に示した予備加熱パルスは、パルス幅0.6μsecのパルスを21個連ねたもので、休止時間が0.8μsecから2.8μsecまで、0.1μsecずつ徐々に増加するものである。発泡加熱パルスは、パルス幅2.0μsecのものとした。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。こうして記録を行なったところ、鮮明な記録が得られた。記録媒体の吐出も非常に安定していた。
【0051】(実施例4)記録ヘッドとして、キヤノン社製BJ13OJの記録ヘッドを用いると共に、記録媒体として下記成分を含有する常温固体の記録媒体を用い、その他は実施例1と同様にして記録を行なった。
【0052】
エチレンカーボネート 60重量%1,12ードデカンジオール 37重量%染料(ソルベントブラック3) 3重量%記録の結果、実施例1と同様に鮮明な記録像が得られた。
【0053】(実施例5)予備加熱パルスを図11に示すものとし、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。図11に示した予備加熱パルスは、パルス幅0.9μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で6個連ね、その後パルス幅0.6μsecのパルスを、0.8μsecの休止時間で14個連ねたものである。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。こうして記録を行なったところ、鮮明な記録像が得られた。記録媒体の吐出も非常していた。
【0054】(実施例6)予備加熱パルスを、図12に示すものとし、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。図12に示した予備加熱パルスは、パルス幅0.9μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で4個連ね、その後パルス幅0.6μsecのパルスを、0.8μsecの休止時間で13個連ね、更にパルス幅0.6μsecのパルスを1.2μsecの休止時間で5個連ねたものである。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。こうして記録を行なったところ、鮮明な記録像が得られた。記録媒体の吐出も非常に安定していた。
【0055】(実施例7)予備加熱パルスを、図10に示すものとし、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。図10に示した予備加熱パルスは、パルス幅1.0μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で6個連ね、その後パルス幅0.8μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で4個連ね、更にパルス幅0.6μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で11個連ねたものである。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。こうして記録を行なったところ、鮮明な記録像が得られた。記録媒体の吐出も非常に安定していた。
【0056】(比較例)予備加熱パルスとしてパルス幅0.6μsecのパルスを1.0μsecの休止時間で20個を連ねたものを用い、発泡加熱パルスとしてパルス幅2.0μsecのパルスを用い、予備加熱パルスと発泡加熱パルスとの間の休止時間を1.0μsecとして、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。その結果、記録媒体の記録紙上での着弾位置に多少バラツキが出て、実施例1に比べて鮮明さの劣る記録像が形成された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録方法に使用する記録装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示す記録装置で使用する記録ヘッドの一例を示す概略図である。
【図3】記録媒体を供給した記録ヘッドの一例を示すもので、発泡前の状態を示す断面図である。
【図4】図3に示す記録ヘッドで、発泡直後の状態を示す断面図である。
【図5】図3に示す記録ヘッドで、発生した泡が外気と連通した状態を示す断面図である。
【図6】図3に示す記録ヘッドで、記録媒体の小滴がオリフィスから吐出した瞬間を示す断面図である。
【図7】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの一例を示す図である。
【図8】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの他の例を示す図である。
【図9】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの他の例を示す図である。
【図10】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの他の例を示す図である。
【図11】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの他の例を示す図である。
【図12】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの他の例を示す図である。
【図13】電圧が階段状に変化するパルスの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ヒーター
3 インク
4 天板
5 オリフィス
6 泡
7 小滴
8 壁
10 液室
11 インク供給口
14 壁
15 ノズル
20、24 加熱手段
21 タンク
22 供給路
23 記録ヘッド
25 駆動回路
26 温度制御手段
27 記録紙
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録媒体の小液を被記録材に対して飛翔させて記録を行う噴射記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】噴射記録方法は、記録媒体(インク)の小滴を飛翔させ、紙などの被記録材に付着させて記録を行うものである。噴射記録方法の中でも特に、本出願人が特公昭61−59911号、特公昭61−59912号、特公昭61−59914号において開示した、熱エネルギーをインクに作用させてインク内に泡を発生させ、インク内に発生した泡により液滴を吐出口(オリフィス)から吐出させる方法によれば、記録ヘッドの高密度マルチオリフィス化が容易に実現でき、高解像度、高品質の画像を高速で記録できる。
【0003】噴射記録方法について、本出願人は、それまでのものとは違う噴射記録方法を提案した(特開平4−10940号)。この噴射記録方法は、記録媒体に記録信号に応じた熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、この泡により記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う際に、この泡を外気を連通させるもので(以下、連通噴射記録方法)、この連通噴射記録方法によると、記録媒体のスプラッシュやミストを防ぐことができ、被記録材や装置内を汚すことがない。また、この連通噴射記録方法によると、発生した泡と吐出口との間の記録媒体は全て吐出するため、飛翔する記録媒体の量は、ノズルの形状とヒーターの位置によって決まり、従って飛翔する小滴量が常に一定な、安定した記録を行うことができる。
【0004】また、本出願人は常温で固体の記録媒体を溶融して使用する噴射記録方法を提案した(特願平3−249217号)。常温固体の記録媒体によると、定着性に優れたにじみのない記録像が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】常温固体の記録媒体を用いた噴射記録方法の場合、常温液体の記録媒体を用いる場合に比べて、泡を発生させるために大きな熱エネルギーを付与する必要がある。常温固体の記録媒体に、効率よく多量の熱エネルギーを付与するには、例えば米国特許5,065,167号のように、発泡熱エネルギー(記録媒体内に泡を発生させるための熱エネルギー。以下同様)を付与する前に、予備熱エネルギー(記録媒体内に泡を発生させない程度に予め付与する熱エネルギー)を付与するとよい。米国特許5,065,167号に記載の予備熱エネルギーの付与は一定間隔でくり返される複数のパルス電圧を記録ヘッドのヒーターに付与するものであるが、大きな吐出圧力を安定して得るためにはまだまだ改良の余地があった。
【0006】本発明は、上記のように予備熱エネルギーを付与する噴射記録方法を改良するもので、予備熱エネルギーを付与することの上述した利点をさらに確実なものとするとともに、大きな吐出圧力が安定して得られる噴射記録方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の噴射記録方法は、常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつ隣り合う2つの前記パルスの間隔である休止時間を、前記パルスの付与毎に広げるものであり、また常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつ複数の前記パルスが、パルス幅及び前記休止時間が一定である複数の前記パルスからなる第1のパルス群と、前記第1のパルス群よりも前記休止時間が長い複数の前記パルスからなる第2のパルス群とを有するものであり、更に常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつパルス幅及び前記休止時間が一定である複数の前記パルスからなる第1のパルス群と、前記第1のパルス群よりもパルス幅が短い複数の前記パルスからなる第2のパルス群とを有するものである。
【0008】本発明の噴射記録方法は、常温(5℃〜35℃)で固体の記録媒体(インク)を加熱溶融し、溶融した記録媒体を吐出口(オリフィス)から吐出させて記録を行なう。記録媒体の吐出は、溶融した記録媒体に予備熱エネルギーを付与した後、記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより行なう。
【0009】図1に示す装置は、本発明の記録方法を実施するための装置で、タンク21に収容された記録媒体は供給路22を通って記録ヘッド23に供給される。記録ヘッド23は、図2に示す記録ヘッドが使用できる。タンク21、供給路22及び記録ヘッド23には、加熱手段20及び24の熱により装置内の記録媒体が液状に保たれる。加熱手段20及び24は、温度制御手段26により所定の温度に設定される。加熱手段20及び24は、記録媒体の融点よりも10℃〜20℃高い温度に設定するとよい。記録ヘッド23には駆動回路25より記録信号が送られ、記録信号に応じて記録ヘッド23の吐出エネルギー発生手段(例えばヒーター)が駆動し、記録媒体の小滴を吐出して紙等の被記録材27に記録が行なわれる。
【0010】ヘッド23は、図2に示すように、基板1上に平行に並べられた壁8と、液室10を形成する壁14とが設けられている。更に、壁8、14の上には天板4が配置される。図2では、記録ヘッドの内部を見やすくするため、天板4を壁8、14から離して示してある。天板4にはインク供給口11が形成され、インク供給口11より液室10に溶融した記録媒体が流入する。壁と壁の間は、溶融した記録媒体が通るノズル15となっており、各ノズル15の途中の基板1上には記録媒体に記録信号に応じた熱エネルギーを付与するためのヒーター2が設けられている。ヒーター2からの熱エネルギーにより記録媒体に泡が発生し、記録媒体がノズル15の吐出口5から吐出する。
【0011】本発明の噴射記録方法のなかでも連通噴射記録方法は熱エネルギーの付与により記録媒体に発生した泡が膨張して所定の大きさになったところで吐出口5を突き抜け外気と連通する。以下、連通噴射記録方法について説明する。
【0012】図3〜図6は記録ヘッド23に設けられた1本のノズル15の断面で、図3は発泡前の状態を示す。まず加熱手段24に電流を流し、常温で固体の記録媒体3を溶解する。記録媒体3を液化した後、ヒーター2に瞬間的に電流を流しパルス的にヒーター2近傍の記録媒体3を加熱すると、記録媒体3は急激な沸騰を起こし勢いよく泡6が発生し、膨張を始める(図4)。泡6は膨張を続け、特にイナータンス(慣性)の小さい吐出口5側へ成長し、更に吐出口5から突き抜け外気と連通する(図5)。泡6より吐出口5側の記録媒体3は、この瞬間までに泡6から与えられた運動量のために前方へ飛び出し、やがて独立な小滴7となって紙などの被記録材へ飛翔する(図6)。記録媒体3が飛び出した後、ノズル15先端部に生じた空隙には、後方の記録媒体3の表面張力とノズル壁との漏れによって新たな記録媒体3が満たされ、吐出前の状態に戻る。
【0013】連通噴射記録方法でない噴射記録方法の場合、泡が最大に成長しても外気と連通せず、その後収縮する。
【0014】連通噴射記録方法は、記録媒体中に生じた泡が外気と連通するため、泡と吐出口5との間にある記録媒体が実質的に全て吐出する。従って、吐出する小滴の体積は常に一定となる。また、連通噴射記録方法では、泡と吐出口との間にある記録媒体が全て吐出するためヒーター上に小泡が残ることがない。
【0015】泡を外気と連通させるには、ヒーター2を吐出口5に近づけるとよい。これが、泡を外気と連通させるために最も簡便にとれる構成である。その他、ヒーター2の発生する熱エネルギー量、インク物性、記録ヘッド23の各部の大きさ(吐出口5とヒーター2間の距離、吐出口5やノズル15の幅及び高さ)などを所望に応じて選択することにより泡を外気と連通させることができる。
【0016】ヒーター2を吐出口5にどのくらい近づけたら泡が外気と連通するかどうかについては一概には言えないが、ヒーター2の吐出口側の端から吐出口5までの距離が、5μm以上80μm以下、更には10μm以上60μm以下であることが好ましい。
【0017】本発明は、上記の噴射記録方法(連通噴射記録方法も含む)において、記録媒体に発泡熱エネルギーを付与する前に、予備熱エネルギーを付与するもので、しかも予備熱エネルギーを付与する過程(以下、予備加熱過程)で、付与する予備熱エネルギーを連続的あるいは不連続的に減少させるものである。このようにすることにより、予備加熱過程で不要な泡を発生させずに多量の熱エネルギーを効率よく記録媒体に付与することができる。その結果、吐出口から飛翔する記録媒体小滴のスピードが増し、着弾位置が安定する。また、不吐出も発生しなくなる。
【0018】1つの発泡加熱パルス(後述)に対し付与する予備熱エネルギーの総量は5〜5000μJ、更には15〜3000μJが好ましい。付与する予備熱エネルギーの総量のうち60〜90%、更には65〜85%を予備加熱過程の前半分で付与することが好ましい。
【0019】予備熱エネルギー付与も発泡熱エネルギー付与も、ノズル15内に設けられたヒーター2により行なわれる。つまり、ヒーター2にパルス状の電圧を印加することにより、予備熱エネルギー付与及び発泡熱エネルギー付与が行なわれる。
【0020】図7に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅一定のまま隣り合う2つのパルスの間隔(以下、休止時間)を、パルスPrの付与毎に徐々に広げるものである。
【0021】図8に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅及び休止時間が一定である複数のパルスからなる第1のパルス群と、第1のパルス群よりも休止時間が長い複数のパルスからなる第2のパルス群と、第2のパルス群よりも休止時間が長い複数のパルスからなる第3のパルス群とを有する。
【0022】図9に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅及び休止時間が一定である複数のパルスからなる第1のパルス群と、第1のパルス群よりも休止時間が長い複数のパルスからなる第2のパルス群とを有する。
【0023】図10に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅及び休止時間が一定である複数のパルスからなる第1のパルス群と、第1のパルス群よりもパルス幅が短い複数のパルスからなる第2のパルス群と、第2のパルス群よりもパルス幅が短い複数のパルスからなる第3のパルス群とを有する。
【0024】図11に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅及び休止時間が一定である複数のパルスからなる第1のパルス群と、第1のパルス群よりもパルス幅が短い複数のパルスからなる第2のパルス群とを有する。
【0025】また、予備加熱パルスPrのパルス幅を、パルスPrの付与毎に徐々に狭くしてもよい。
【0026】更に、図12に示す予備加熱パルスPrは、パルス幅及び休止時間が一定である複数のパルスからなる第1のパルス群と、第1のパルス群よりもパルス幅の狭い複数のパルスからなる第2のパルス群と、第2のパルス群よりも休止時間が長い複数のパルスからなる第3のパルス群とを有する。
【0027】また、予備加熱パルスPrの電圧を連続的あるいは不連続的に低くして予備熱エネルギー量を減少させてもよい。本発明においては、電圧の違うパルスは別のパルスと考える。従って、図13のような休止時間のない階段状のパルスは、複数のパルスが連なったものである。
【0028】発泡熱エネルギーの付与は、1つのパルス(以下、発泡加熱パルス)によって行なわれる。発泡加熱パルスは、複数のパルスでもかまわないが、1つで十分である。
【0029】このように、本発明において予備熱エネルギー及び発泡熱エネルギーの付与は、一連の複数のパルスによって行なわれるが、このような一連の複数のパルスの最後の1つが発泡加熱パルスである。
【0030】1つの予備加熱パルスはパルス幅0.2〜1.5μsec.、更には0.3〜1.2μsec.が好ましく、電圧は8〜35V、更には10〜25Vが好ましい。休止時間は0.3〜5.0μsec.、更には0.5〜4.0μsec.が好ましい。
【0031】1つの発泡加熱パルスは、パルス幅0.8〜5.0μsec.、更には1.0〜4.0μsec.が好ましい。電圧は10〜35V、更には10〜25Vが好ましい。
【0032】予備加熱パルスの個数は、10〜60個、更には20〜50個が好ましい。
【0033】本発明で使用する常温固体の記録媒体は、熱溶融性固体物質と着色剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて物性を調整するための添加剤あるいはアルコール等の常温で液体の有機溶剤等を含有するものである。
【0034】常温固体の記録媒体は、その融点が36℃〜200℃の範囲にあるものが望ましい。36℃を下回る場合には、室温の変化によっては記録媒体が溶けて手などを汚すおそれがあり、200℃を越える場合には、記録媒体を液化するために大きなエネルギーが必要となる。より好ましくは、その融点が36℃〜150℃の範囲が望ましい。
【0035】常温固体の記録媒体に含有する熱溶融性固体物質としては、例えばアセトアミド、p−バニリン、o−バニリン、ジベンジル、m−アセトトルイジン、安息香酸フェニル、2,6−ジメチルキノリン、2,6−ジメトキシフェノール、p−メチルベンジルアルコール、p−ブロモアセトフェノン、ホモカテコール、2,3−ジメトキシベンズアルデヒド、2,4−ジクロルアニリン、ジクロロキシリレン、3,4−ジクロロアニリン、4−クロロ−m−クレゾール、p−ブロモフェノール、シュウ酸ジメチル、1−ナフトール、ジブチルヒドロキシトルエン、1,3,5−トリクロロベンゼン、p−tert−ペンチルフェノール、デュレン、ジメチルpフェニレンジアミン、トラン、スチレングリコール、プロピオンアミド、炭酸ジフェニル、2−クロロナフタレン、アセナフテン、2−ブロモナフタレン、インドール、2−アセチルピロール、ジベンゾフラン、p−クロロベンジルアルコール、2−メトキシナフタレン、チグリン酸、p−ジブロモベンゼン、9−ヘプタデカノン、1−テトラデカナミン、1,8−オクタンジアミン、グルタル酸、2,3−ジメチルナフタレン、イミダゾール、2−メチル−8−ヒドロキシキノリン、2−メチルインドール、4−メチルビフェニル、3,6−ジメチル−4−オクチン−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、エチレンカーボネート、1,8−オクタンジオール、1,1−ジエチル尿素、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、2−ヒドロキシ−ナフトエ酸メチル、8−キノリノール、ステアリルアミンアセテート、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、m−ニトロ安息香酸メチル、しゅう酸ジメチル、フタライド、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、8−キノリノール、N−tert−ブチルエタノールアミン、グリコール酸、ジアセチルモノオキシムおよびアセトキシム等の一種又は二種以上を混合して用いることができる。
【0036】上記の熱溶融性固体物質は、種類によって吐出特性に特に優れたものや、保存性に特に優れたもの、あるいは被記録材上でのにじみが極端に少ないものなど色々と特徴がある。従って、使用目的に応じて上記熱溶融性固体物質の中から適宜選択して記録媒体に使用するとよい。
【0037】熱溶融性固体物質の融点をTm、沸点(1気圧における沸点。以下同様)Tbとしたとき、前述の熱溶融性固体物質のうち下記の式(A)および(B)をいずれも満たす熱溶融性固体物質を用いると、記録像の定着性に優れると共に熱エネルギーを吐出エネルギーへと効率よく変換できる常温固体の記録媒体が得られる。
【0038】36℃≦Tm≦150℃…(A)
150℃≦Tb≦370℃…(B)
沸点Tbは更に200℃≦Tb≦340℃であることが好ましい。
【0039】常温固体の記録媒体に含有する着色剤としては、従来公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、建染染料、硫化染料、油溶性染料等の各種染料及び顔料が有効である。特に好ましく使用しうる染料としては、次に示すカラーインデックス記載の油溶性染料が挙げられる。
【0040】C.I.Solvent Yellow 1,2,3,4,6,7,8,10,12,13,14,16,18,19,21,25,25:1,28,29等C.I.Solvent Orange 1,2,3,4,4:1,5,6,7,11,16,17,19,20,23,25,31,32,37,37:1等C.I.Solvent Red 1,2,3,4,7,8,13,14,17,18,19,23,24,25,26,27,29,30,33,35等C.I.Solvent Violet 2,3,8,9,10,11,13,14,21,21:1,24,31,32,33,34,36,37,38等C.I.Solvent Blue 2,4,5,7,10,11,12,22,25,26,35,36,37,38,43,44,45,48,49等C.I.Solvent Green 1,3,4,5,7,8,9,20,26,28,29,30,32,33等C.I.Solvent Brown 1,1:1,2,3,4,5,6,12,19,20,22,25,28,29,31,37,38,42,43等C.I.Solvent Black 3,5,6,7,8,13,22,22:1,23,26,27,28,29,33,34,35,39,40,41等
【0041】更に、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトボン、酸化チタン、クロムエロー、カドミウムエロー、ニッケルチタンエロー、ネーブルスエロー、黄色酸化鉄、ベンガラ、カドミウムレッド、硫化水銀カドミウム、紺青、群青等の無機顔料やカーボンブラック、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、バッド系顔料等の有機顔料も好ましく用いられる。
【0042】また、常温固体の記録媒体には、必要に応じて常温で液体の有機溶剤、例えば1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール等のアルキレングリコール類、その他ケトン類、ケトアルコール類、アミド類、エーテル類等のものを含有しても構わない。これら有機溶剤は、記録媒体中に発生する泡を大きく成長させる。
【0043】上記有機溶剤の沸点は150℃以上のものが好ましい。
【0044】以上のように、本発明によれば多量の熱エネルギーを記録媒体に付与することができるので、加熱溶融した常温固体の記録媒体小滴を勢いよく吐出口から吐出することができる。このため、記録媒体小滴の着弾位置が安定し、鮮明な記録画像が得られる。また、記録媒体の不吐出も防止できる。
【0045】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
【0046】(実施例1)図1の記録装置により記録を行なった。
【0047】記録ヘッドの主要部分の寸法は、オリフィス面積約1080μm2(高さ27μm)、ヒーター部でのノズル寸法(高さ27μm、幅40μm)、ヒーター2の面積約1280μm2、ヒーター2の中心とオリフィスとの間の距離が約25μmであった。ヒーターには、厚さ0.13μmのHfB2を用い、このヒーター上にSiO2保護層及びTa保護層をそれぞれ厚さ1.0μm及び0.1μmで順に積層した。ヒーターの電気低抗は約29Ωであった。ノズルの本数は、1インチ当たり400本の密度で48本であった。記録媒体は、下記成分を合有する常温固体の記録媒体を用いた。この記録媒体を80℃以上に加熱溶融して記録を行なった。
【0048】
ラウリン酸 67重量%カルナバワックス 30重量%染料(ソルベントブラック3) 3重量%こうして、図9に示した予備加熱パルス及び発泡加熱パルスを、ヒーター2に印加した。図9に示した予備加熱パルスは、パルス幅0.6μsecのパルスを、0.8μsec の休止時間で6個連ね、その後、パルス幅0.6μsec、のパルスを、2.0μsecの休止時間で14個連ねたものである。発泡加熱パルスは、パルス幅2.0μsecのもので、予備加熱パルスから1.0μsecの休止時間をおいて印加した。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。以上の予備加熱パルス及び発泡加熱パルスを、500μsecの繰り返し周期(駆動周波数2KHZ)で駆動した。以上の条件で、普通紙(市販のコピー紙)に市松模様の記録像を形成した。その結果、鮮明な記録像が得られた。記録媒体の吐出も非常に安定していた。市松模様を構成する一つの四角の大きさは、縦12ドット、横12ドットとした。
【0049】(実施例2)予備加熱パルスを、図8に示すものとし、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。図8に示した予備加熱パルスは、パルス幅0.6μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で6個連ね、その後パルス幅0.6μsecのパルスを、1.6μsecの の休止時間で3個連ね、更にパルス幅0.6μsecのパルスを2.0μsecの休止時間で11個連ねたものである。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。こうして記録を行なったところ、鮮明な記録像が得られた。記録媒体の吐出も非常に安定していた。
【0050】(実施例3)予備加熱パルス及び発泡パルスを図7に示すものとして、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。図7に示した予備加熱パルスは、パルス幅0.6μsecのパルスを21個連ねたもので、休止時間が0.8μsecから2.8μsecまで、0.1μsecずつ徐々に増加するものである。発泡加熱パルスは、パルス幅2.0μsecのものとした。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。こうして記録を行なったところ、鮮明な記録が得られた。記録媒体の吐出も非常に安定していた。
【0051】(実施例4)記録ヘッドとして、キヤノン社製BJ13OJの記録ヘッドを用いると共に、記録媒体として下記成分を含有する常温固体の記録媒体を用い、その他は実施例1と同様にして記録を行なった。
【0052】
エチレンカーボネート 60重量%1,12ードデカンジオール 37重量%染料(ソルベントブラック3) 3重量%記録の結果、実施例1と同様に鮮明な記録像が得られた。
【0053】(実施例5)予備加熱パルスを図11に示すものとし、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。図11に示した予備加熱パルスは、パルス幅0.9μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で6個連ね、その後パルス幅0.6μsecのパルスを、0.8μsecの休止時間で14個連ねたものである。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。こうして記録を行なったところ、鮮明な記録像が得られた。記録媒体の吐出も非常していた。
【0054】(実施例6)予備加熱パルスを、図12に示すものとし、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。図12に示した予備加熱パルスは、パルス幅0.9μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で4個連ね、その後パルス幅0.6μsecのパルスを、0.8μsecの休止時間で13個連ね、更にパルス幅0.6μsecのパルスを1.2μsecの休止時間で5個連ねたものである。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。こうして記録を行なったところ、鮮明な記録像が得られた。記録媒体の吐出も非常に安定していた。
【0055】(実施例7)予備加熱パルスを、図10に示すものとし、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。図10に示した予備加熱パルスは、パルス幅1.0μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で6個連ね、その後パルス幅0.8μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で4個連ね、更にパルス幅0.6μsecのパルスを0.8μsecの休止時間で11個連ねたものである。パルス電圧は、予備加熱パルス及び発泡加熱パルス共に10.5Vとした。こうして記録を行なったところ、鮮明な記録像が得られた。記録媒体の吐出も非常に安定していた。
【0056】(比較例)予備加熱パルスとしてパルス幅0.6μsecのパルスを1.0μsecの休止時間で20個を連ねたものを用い、発泡加熱パルスとしてパルス幅2.0μsecのパルスを用い、予備加熱パルスと発泡加熱パルスとの間の休止時間を1.0μsecとして、その他は実施例1と同様にして記録像を形成した。その結果、記録媒体の記録紙上での着弾位置に多少バラツキが出て、実施例1に比べて鮮明さの劣る記録像が形成された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録方法に使用する記録装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示す記録装置で使用する記録ヘッドの一例を示す概略図である。
【図3】記録媒体を供給した記録ヘッドの一例を示すもので、発泡前の状態を示す断面図である。
【図4】図3に示す記録ヘッドで、発泡直後の状態を示す断面図である。
【図5】図3に示す記録ヘッドで、発生した泡が外気と連通した状態を示す断面図である。
【図6】図3に示す記録ヘッドで、記録媒体の小滴がオリフィスから吐出した瞬間を示す断面図である。
【図7】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの一例を示す図である。
【図8】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの他の例を示す図である。
【図9】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの他の例を示す図である。
【図10】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの他の例を示す図である。
【図11】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの他の例を示す図である。
【図12】予備加熱パルス及び発泡加熱パルスの他の例を示す図である。
【図13】電圧が階段状に変化するパルスの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ヒーター
3 インク
4 天板
5 オリフィス
6 泡
7 小滴
8 壁
10 液室
11 インク供給口
14 壁
15 ノズル
20、24 加熱手段
21 タンク
22 供給路
23 記録ヘッド
25 駆動回路
26 温度制御手段
27 記録紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】 常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつ隣り合う2つの前記パルスの間隔である休止時間を、前記パルスの付与毎に広げることを特徴とする噴射記録方法。
【請求項2】 常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつ複数の前記パルスが、パルス幅及び前記休止時間が一定である複数の前記パルスからなる第1のパルス群と、前記第1のパルス群よりも前記休止時間が長い複数の前記パルスからなる第2のパルス群とを有することを特徴とする噴射記録方法。
【請求項3】 常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつパルス幅及び前記休止時間が一定である複数の前記パルスからなる第1のパルス群と、前記第1のパルス群よりもパルス幅が短い複数の前記パルスからなる第2のパルス群とを有することを特徴とする噴射記録方法。
【請求項4】 前記泡が外気と連通する請求項1、2又は3に記載の噴射記録方法。
【請求項1】 常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつ隣り合う2つの前記パルスの間隔である休止時間を、前記パルスの付与毎に広げることを特徴とする噴射記録方法。
【請求項2】 常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつ複数の前記パルスが、パルス幅及び前記休止時間が一定である複数の前記パルスからなる第1のパルス群と、前記第1のパルス群よりも前記休止時間が長い複数の前記パルスからなる第2のパルス群とを有することを特徴とする噴射記録方法。
【請求項3】 常温固体の記録媒体を加熱溶融し、更に記録信号に応じた発泡熱エネルギーを付与することにより前記記録媒体内に泡を発生させ、前記泡により前記記録媒体を吐出口から吐出させて記録を行う噴射記録方法で、前記発泡熱エネルギーを付与する前に、前記記録媒体に連続的あるいは不連続的に減少する予備熱エネルギーを付与する工程を有し、前記予備熱エネルギーの付与を、複数のパルスにより行ない、かつパルス幅及び前記休止時間が一定である複数の前記パルスからなる第1のパルス群と、前記第1のパルス群よりもパルス幅が短い複数の前記パルスからなる第2のパルス群とを有することを特徴とする噴射記録方法。
【請求項4】 前記泡が外気と連通する請求項1、2又は3に記載の噴射記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図13】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図13】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【特許番号】特許第3155867号(P3155867)
【登録日】平成13年2月2日(2001.2.2)
【発行日】平成13年4月16日(2001.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−175503
【出願日】平成5年7月15日(1993.7.15)
【公開番号】特開平6−87215
【公開日】平成6年3月29日(1994.3.29)
【審査請求日】平成10年11月26日(1998.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【参考文献】
【文献】特開 平3−15556(JP,A)
【文献】特開 昭63−182152(JP,A)
【文献】実開 平1−132727(JP,U)
【文献】実開 昭61−117212(JP,U)
【登録日】平成13年2月2日(2001.2.2)
【発行日】平成13年4月16日(2001.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成5年7月15日(1993.7.15)
【公開番号】特開平6−87215
【公開日】平成6年3月29日(1994.3.29)
【審査請求日】平成10年11月26日(1998.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【参考文献】
【文献】特開 平3−15556(JP,A)
【文献】特開 昭63−182152(JP,A)
【文献】実開 平1−132727(JP,U)
【文献】実開 昭61−117212(JP,U)
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