説明

回収された液化SF6ガス並びに回収されたSF6混合体の含有量推算装置及びその含有量推算方法

【課題】容易かつ経済的にSF6ガス回収タンクに回収された液相SF6並びにSF6混合体の純度及び水分量を推算できる含有量推算装置及びその含有量推算方法を提供する。
【解決手段】本発明の含有量推算装置100は、SF6ガス回収タンクの容積15、このタンク内貯蔵SF6の測定した重量データ11、気相蒸気圧データ12、気相純度データ13及び気相水分量データ14を入力する入力手段1と、予め取得されたSF6ガス回収タンク内貯蔵の気相及び液相SF6の純度及び水分量の相関関係23、63を格納するデータベース2と、データ11、12、15から気相及び液相SF6の各密度及び体積を演算し、相関関係23、63を用いてデータ13、14から液相SF6の純度26及び水分量66を推算し、これら純度26及び水分量66と演算された上記各密度及び体積から混合体56の純度27及び水分量67を演算する演算処理手段3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収された液化SF6ガス並びに回収されたSF6混合体の含有量推算装置及びその含有量推算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高電圧を有する受変電設備に用いられるガス遮断器等のガス絶縁電気機器は、小型化の要請から機器内に電気絶縁効果のある絶縁ガスを封入した構成が適用されている。
【0003】
この絶縁ガスとしては、取り扱いが容易であり、しかも絶縁性能が優れている六フッ化硫黄ガス(以下、SF6ガスと略称する。)が用いられており、受変電設備に用いられるガス遮断器、変圧器及び加速器等の電気機器内に封入されて用いられている。以下、このようなSF6ガスを用いた機器をSF6ガス使用機器と称する。
【0004】
このSF6ガスは電気絶縁性が優れているものの、地球温暖化係数が炭酸ガスの23900倍相当とされており、大気に放出された際には地球温暖化に寄与してしまうため、環境保全を主目的としてSF6ガス使用機器の点検時または撤去時には使用済SF6ガスの回収や回収した使用済SF6ガスを再封入してのSF6ガス使用機器の使用が行われている。
【0005】
この際、回収した使用済SF6ガスは、SF6ガス使用機器に再封入するためには、絶縁性能を満足する純度が要求される。尚、この純度としては、一般的に容量パーセント濃度が97vol%以上(「社団法人電気共同研究会「電力用SF6ガス取扱基準」電気共同研究第54号第3号記載、以下基準という。」)が管理値として規定されている。
【0006】
回収した使用済SF6ガスは、また、SF6ガス使用機器に再封入するためには不純物である水分を所定量以上含まないことが要求される。尚、このSF6ガス中に含まれる水分量としては、上記基準により、電流の開閉を行わないSF6ガス使用機器については500volppm以下、電流の開閉を行うSF6ガス使用機器については150volppm以下が管理値としてそれぞれ規定されている。ここで、水分量とは、SF6ガス中の水分の含有量を指す。
【0007】
そして、回収したSF6ガスは上記の管理値を満足するように適宜容量パーセント濃度又は水分量が管理されている。以下、SF6ガスの容量パーセント濃度をSF6ガスの純度(%)と略称し、管理値として規定されたSF6ガスの純度又は水分量の値を管理規定値と称する。
【0008】
上述のSF6ガス回収設備としては、従来、SF6ガス使用機器から使用済SF6ガスを回収するSF6ガス回収装置と、回収したSF6ガスを貯蔵するボンベ等のSF6ガス回収タンクとにより構成されている。
【0009】
また、SF6ガス回収装置には、内部のSF6ガスの劣化により発生したSF6分解ガスのSO2、HF等のガス精製装置並びにSF6ガス使用機器内に付着した水分及びSF6の真空回収時に外気から混入した水分を除去精製するためのガス精製装置が接続されている。
【0010】
上記のSF6ガス回収装置は、SF6ガス使用機器より使用済SF6ガスを抜き取り、SF6ガス回収タンクに貯蔵する機能と、SF6ガス回収タンクよりSF6ガスを抜き出して、SF6ガス使用機器に再封入する機能を併せ持っている。
【0011】
SF6ガス回収タンクに貯蔵されたSF6ガスの水分量は、SF6ガス回収タンクに接続された図示しない測定機器によって、規定された管理規定値以下に達しているかどうかが測定される。また、SF6ガス回収タンクに貯蔵されたSF6ガスの純度についても、SF6ガス回収タンクに接続された図示しない測定機器によって、規定された管理規定値以上に達しているかどうかが測定される。
【0012】
この際、貯蔵されたSF6ガスは、水分量又は純度が管理規定値を満足する場合はそのままSF6ガス使用機器へと再封入されるが、管理規定値を満足しない場合は上述に示した設備以外の高純度化のための専用のガス精製装置によって精製されるか若しくは破壊処分される。破壊処分した後に新規に管理規定値内を満足するSF6ガスが外部よりSF6ガス回収タンク又はSF6ガス使用機器へと再封入される。
【0013】
ところで、上述のSF6ガス回収設備において、SF6ガス使用機器からSF6ガス回収装置へ抜き出された使用済SF6ガスは、気体のままSF6ガス回収タンクに回収する場合のSF6ガス回収設備と、SF6ガス回収装置により液化された後にSF6ガス回収タンクに回収する場合の液化SF6ガス回収設備とが採用されている。
【0014】
これらのうち、液化されたSF6ガス(以下、液化SF6ガスと略称する。)は、タンク内に回収する際、容積が気体の状態に比べて約150分の1に縮小され、SF6ガス回収タンク自体も減容化できるため、近年では使用対象となるSF6ガスが比較的多量となる場合は、液化SF6ガス回収設備が適用されている。これにより、液化SF6ガス回収設備全体の大きさを縮小化できる効果を奏することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述の液化SF6ガス回収設備を用いて液化したSF6ガスをSF6ガス回収タンクに回収した場合、SF6ガス回収タンク内のSF6ガスは、一般的には気相と液相の混合体の状態で貯蔵される。以下、これらSF6ガス回収タンク内の気相若しくは液相の状態のSF6をそれぞれ気相SF6若しくは液相SF6と称する。
【0016】
SF6ガス回収タンク内の気相SF6と液相SF6中にはそれぞれ異なる量の水分が含まれており、これらの水分量は、回収SF6ガスの純度を低下させる要因となっている。
【0017】
また、封入されたSF6ガスの97vol%以上のSF6ガスの回収率が上記基準にて規定されており、封入されたSF6ガスの97vol%以上を回収するためにSF6ガス封入設備内を負圧真空化して回収を行うのであるが、SF6ガス封入・回収設備において、負圧化では特に大気中の空気が僅かながらSF6に混入し、回収SF6ガスの純度を低下させる要因となっている。
【0018】
このように、SF6ガス回収タンク内の気相SF6と液相SF6に含まれる水分量や空気等の不純物の含有量がそれぞれ異なり、また、気相SF6と液相SF6それぞれの純度も異なるので、SF6ガス回収タンクに回収したSF6ガスの水分量又は純度の管理のためには、気相SF6と液相SF6それぞれの水分量又は純度をそれぞれ測定して管理する必要があった。
【0019】
しかしながら、気相SF6の水分量は容易に測定できるのに対し、液相SF6の水分量の測定は容易には行えない問題があった。以下、この問題について詳述する。
【0020】
液相SF6中には、空気及び水分が不純物として存在している。これら空気、水分は、液相SF6と沸点が違い、純度測定の為に少量の液相SF6を測定機器に流しながら気化させた場合には、気化ガス組成が均質にならず、測定機器による測定に影響を及ぼして測定値の信頼性が低下する。また、この測定値の変動が測定機器の電気的な固有のヒステリシスによるものか、又は測定気化SF6ガスの蒸発組成の不安定によるものなのかの判定も困難であり、測定値の補正が困難であった。
【0021】
また、SF6に含まれる水分量は、空気の混入量の1000〜30000volppmとは異なり10〜250volppm程度と含有量が少なく、わずかな水分量の変化が測定値に影響を及ぼし、測定ガスの温度が違うと測定値に誤差が生じるために、容易に液相SF6の水分量の測定が行えなかった。
【0022】
更に、以上の理由から、液相SF6中の水分量を測定するためには、液相SF6を気化して気相状態をした後に一定量且つ一定の温度制御にして水分測定装置に導入して測定することが必要となるが、この際液相SF6を気相にするためには加温機器が必要となり、この加温機器の温度調整の誤差が影響して気化したSF6中の水分量の測定が困難となる問題もあった。
【0023】
また、液相SF6の純度の測定は、温度変化による液密度等の関係が複雑等の理由により困難となり、測定手段が確立されておらず、液相SF6の純度の測定は上記の液相SF6中の水分量の測定と同様に気化した後に測定する必要があった。
【0024】
上述のように、液相SF6の水分量又は純度測定では、測定SF6ガスのサンプリングや気化方法、気化ガスの温度制御等が必要になり、測定に多くの時間と高度な測定技術が求められ実質運用できず、SF6ガス回収作業現場でSF6ガス回収タンクに回収した液相SF6の水分量又は純度測定は不経済的になる問題があった。
【0025】
また、気相SF6と液相SF6の混在するSF6混合体では、蒸気圧、ガス密度、液密度の関係が複雑になり、SF6の気相水分量、液相水分量又は気相純度、液相純度が判明してもSF6混合体の水分量・純度・水分量及び空気の質量が判明できず、SF6ガス回収タンク内のSF6の気相、液相、混合時の水分量、純度、水分量及び空気の質量については測定が困難とされてきた。
【0026】
また、回収した液化SF6ガスの再封入においては、低純度のSF6ガスが封入される恐れがあった。このため、SF6ガス回収タンク内の液相SF6及びSF6混合体の純度を容易かつ経済的に推算できる手段の確立が求められていた。
【0027】
本発明の目的は、簡便な構成で速やかにSF6ガス回収タンクに回収された液相SF6の水分量又は水分量及び純度を推算でき、SF6ガス回収タンクに回収されたSF6混合体の水分量又は水分量及び純度を演算でき、しかもSF6ガス回収設備全体を小型化でき経済的な回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置を提供することにある。
【0028】
また、本発明の目的は、容易かつ経済的に、しかも速やかにSF6ガス回収タンクに回収された液相SF6の水分量又は水分量及び純度を推算でき、SF6ガス回収タンクに回収されたSF6混合体の水分量又は水分量及び純度を演算できる回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置は、SF6ガスを使用するSF6ガス使用機器から使用済SF6ガスを回収し貯蔵したSF6ガス回収タンクの容積、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定重量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相蒸気量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データを入力する入力手段と、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6が気相SF6及び液相SF6の混合体であるときに、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データとSF6ガス回収タンク内液相水分量データを座標軸として取得された線図状の相関関係を格納するデータベースと、SF6ガス回収タンクの容積とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データと測定気相蒸気圧データとからSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積を演算し、貯蔵されている当該液相SF6について、SF6ガス回収タンク内SF6混合体について格納されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データと液相水分量データの線図状の相関関係を用いて、入力された気相SF6水分量データから液相SF6の水分量を推算し、もって推算された液相SF6の水分量と入力された前記SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相SF6水分量データと演算された前記気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積から前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量を演算し、もしくは前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量が予め定めた管理規定値内にあるかを判定する演算処理手段とを備えることを特徴としている。
【0030】
本発明の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置は、また、SF6ガスを使用するSF6ガス使用機器から使用済SF6ガスを回収し貯蔵したSF6ガス回収タンクの容積、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定重量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相蒸気量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データ、不純物として少なくとも空気を含んだ回収タンク内貯蔵SF6のSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相純度データを入力する入力手段と、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6が気相SF6及び液相SF6の混合体であるときに、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データとSF6ガス回収タンク内液相水分量データを座標軸として取得された線図状の相関関係と、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相純度データとSF6ガス回収タンク内液相純度データを座標軸として取得された線図状の相関関係とを格納するデータベースと、SF6ガス回収タンクの容積とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データと測定気相蒸気圧データとからSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積を演算し、貯蔵されている当該液相SF6について、SF6ガス回収タンク内SF6混合体について格納されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データと液相水分量データ又は気相純度データと液相純度データの線図状の相関関係を用いて、入力された気相SF6水分量データ及び気相SF6純度データから液相SF6の水分量及び純度を推算し、もって推算された液相SF6の水分量及び純度と入力された前記SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データ及びSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相純度データと演算された気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積から前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量及び純度を演算し、若しくは前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量及び純度が予めそれぞれ定めた管理規定値内にあるかを判定する演算処理手段とを備えることを特徴としている。
【0031】
本発明の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置は、また、前記データベースが、気相水分量データと液相水分量データ又は気相純度データと液相純度データとの相関関係から気相水分量又は気相純度について予め定められた所定の液相水分量又は液相水分量及び液相純度を格納し、前記演算処理手段が、前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量又は水分量及び純度を演算することを特徴としている。
【0032】
本発明の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算方法は、入力手段が、SF6ガスを使用するSF6ガス使用機器から使用済SF6ガスを回収し貯蔵したSF6ガス回収タンクの容積、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定重量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相蒸気量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データを入力し、データベースが、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6が気相SF6及び液相SF6の混合体であるときに、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データとSF6ガス回収タンク内液相水分量データを座標軸として取得された線図状の相関関係を格納し、演算処理手段が、SF6ガス回収タンクの容積とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データと測定気相蒸気圧データとからSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積を演算し、貯蔵されている当該液相SF6について、SF6ガス回収タンク内SF6混合体について格納されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データと液相水分量データの線図状の相関関係を用いて、入力された気相SF6水分量データから液相SF6の水分量を推算し、もって推算された液相SF6の水分量と入力された前記SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データと演算された前記気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積から前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量を演算し、もしくは前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量が予め定めた管理規定値内にあるかを判定することを特徴としている。
【0033】
本発明の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算方法は、また、入力手段が、SF6ガスを使用するSF6ガス使用機器から使用済SF6ガスを回収し貯蔵したSF6ガス回収タンクの容積、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定重量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相蒸気量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データ、不純物として少なくとも空気を含んだ回収タンク内貯蔵SF6のSF6ガス回収タンク内測定気相純度データを入力し、データベースが、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6が気相SF6及び液相SF6の混合体であるときに、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データとSF6ガス回収タンク内液相水分量データを座標軸として取得された線図状の相関関係と、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相純度データとSF6ガス回収タンク内液相純度データを座標軸として取得された線図状の相関関係とを格納し、演算処理手段が、SF6ガス回収タンクの容積とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データと測定気相蒸気圧データとからSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積を演算し、貯蔵されている当該液相SF6について、SF6ガス回収タンク内SF6混合体について格納されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データと液相水分量データ又は気相純度データと液相純度データの線図状の相関関係を用いて、入力された気相SF6水分量データ及び気相SF6純度データから液相SF6の水分量及び純度を推算し、もって推算された液相SF6の水分量及び純度と入力された前記SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相SF6水分量データ及びSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相純度データと演算された前記気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積から前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量及び純度を演算し、若しくは前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量及び純度が予めそれぞれ定めた管理規定値内にあるかを判定することを特徴としている。
【0034】
本発明の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算方法は、また、前記演算処理手段が、気相水分量データと液相水分量データ又は気相純度データと液相純度データとの相関関係から気相水分量又は気相純度について予め定められた所定の液相水分量又は液相純度を用いて前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量又は水分量及び純度を演算することを特徴としている。
【発明の効果】
【0035】
本発明の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置は、上述のように、入力手段と、データベースと、演算処理手段により構成したので、簡便な構成で経済的にSF6ガス回収タンクに回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の水分量を推算でき、しかもSF6ガス回収設備全体を小型化できる。
【0036】
また、本発明の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算方法は、上述のように、予め格納した気相水分量データと液相水分量データとの線図状の相関関係のデータを用いて、入力された各データから液相SF6の水分量を推算するようにしたので、容易かつ経済的にしかも速やかにSF6ガス回収タンクに回収された液相SF6ガスの水分量を推算してSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6混合体の水分量を演算することができる。
【0037】
更に、本発明の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置は、上述のように、入力手段と、データベースと、演算処理手段により構成したので、簡便な構成で経済的にSF6ガス回収タンクに回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の水分量及び純度を推算でき、しかもSF6ガス回収設備全体を小型化できる。
【0038】
また、本発明の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算方法は、上述のように、予め格納した気相水分量データと液相水分量データ又は気相純度データと液相純度データとの線図状の相関関係のデータを用いて、入力された各データから液相SF6の水分量及び純度を推算するようにしたので、容易かつ経済的にしかも速やかにSF6ガス回収タンクに回収された液相SF6ガスの水分量及び純度を推算してSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6混合体の水分量及び純度を演算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例である回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置を設けるSF6ガス回収設備の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施例である回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置の概略をブロックで示す図である。
【図3】図1の含有量推算装置のデータベースに格納される各水分量データの相関関係をグラフで表した図である。
【図4】図1の含有量推算装置による演算に用いるSF6ガス回収タンク内気相SF6の蒸気圧データとSF6ガス密度データの関係をグラフで示す図である。
【図5】図1の含有量推算装置による演算に用いるSF6ガス回収タンク内気相SF6の蒸気圧データとSF6液密度データの関係をグラフで示す図である。
【図6】図1の含有量推算装置のデータベースに格納される各純度データの相関関係をグラフで表した図である。
【図7】図1の含有量推算装置を用いて行ったSF6ガス回収タンク内液相及び混合体の純度、水分量の推算又は演算結果例を示す図である。
【図8】図1の含有量推算装置による液化SF6ガス及びSF6混合体の水分量又は水分量及び純度の含有量推算方法をフローチャートで示す図である。
【図9】含有量推算装置で用いる測定データを形成する場合の概略をブロックで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。尚、以下後述するデータベースに格納されるSF6ガス回収タンク内気相水分量データ、液相水分量データ、気相純度データ、液相純度データは、それぞれ予め複数個測定されて取得されており、気相水分量データと液相水分量データ又は気相純度データ又は液相純度データの相関関係がそれぞれ求められているものとして説明する。また、下記に示す数式において、同一のものはそれぞれ同記号で示して説明する。
【実施例】
【0041】
本実施例の液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置100としては、パーソナルコンピュータ等の計算装置が用いられ、図1に示すようなSF6ガス回収設備50に設けられる。
【0042】
これらSF6ガス回収設備50は、ガス遮断器等のSF6ガス使用機器51から使用済SF6ガス52を回収するSF6ガス回収装置53とSF6ガス回収装置53からのSF6(54)を回収して貯蔵するボンベ等の容器からなるSF6ガス回収タンク55から構成される。
【0043】
SF6ガス回収タンク55内に貯蔵するSF6は、図1(a)に示すように気相SF6(56A)のみ即ち気体の状態のみで貯蔵される場合と、図1(b)に示すようにSF6ガス回収装置53にて液化されたSF6が気相SF6(56A)と液相SF6(56B)の混合体56で貯蔵される場合がある。
【0044】
本実施例の液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置100は、以下、図1(b)に示すSF6ガス回収装置53にて液化されたSF6が気相SF6(56A)と液相SF6(56B)の混合体56で貯蔵される場合について説明するが、図1(a)に示す気相SF6(56A)のみ即ち気体の状態のみで貯蔵される場合においても適用できる。
【0045】
図1(b)に示すように、液化SF6ガス回収設備50は、ガス遮断器等のSF6ガス使用機器51から使用済SF6ガス52を回収するSF6ガス回収装置53にて、使用済SF6ガス52の一部が液化されてSF6ガス回収タンク55に回収されるように構成されている。この際、SF6ガス回収設備50のSF6ガス回収タンク55内に回収されるSF6は、気相SF6(56A)と液相SF6(56B)からなる混合体56の状態で貯蔵される。
【0046】
実際には、後述する測定機器による各測定時にはSF6ガス回収タンク55内のSF6の気相、液相状態が不明であるとして、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6について後述する測定が行われ、気体のみ即ち気相SF6ガスのみか気相SF6(56A)と液相SF6(56B)からなる混合体56であるかが測定後に判断される。
【0047】
従って、ここでは測定前のSF6についてはSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6と称し、測定によって気相SF6及び液相SF6との混合体56であることが判明したときには気相SF6及び液相SF6の混合体と称する。
【0048】
また、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6には、不純物として空気が混入しており、混入量が特定されなければならない。また、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6には、不純物として水分が含まれるが、水分は従来より水分除去装置によって排除し得ることが知られている。
【0049】
いずれにしても、これらの不純物を含有するSF6ガス回収タンク貯蔵SF6について全体として、あるいは液相SF6の水分量又は水分量及び純度が再使用のために精確に推測することが求められる。
【0050】
SF6ガス回収タンク貯蔵SF6の気相SF6については、その水分量又は純度を容易に計測できることが従来より知られるところであるが、液相SF6の水分量又は純度については直接的に計測することが困難であるため直接的に計測されないでいた。
【0051】
SF6ガス回収タンク55には、図示しない各測定機器が接続される。この各測定機器からは、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データ11及び測定気相蒸気圧データ12と、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6ガスの測定気相水分量データ14の3つの測定データ10がそれぞれ測定される。これらの測定によって、後述するようにSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6が気相SF6(56A)のみか上述した混合体56かが判断される。
【0052】
以下、本実施例である回収された液化SF6ガス及び回収されたSF6混合体の含有量推算装置100について、図2を用いて詳述する。
【0053】
本実施例の液化SF6ガス及び回収されたSF6混合体の含有量推算装置100は、上述の各測定データ11、12、14を含む測定データ10を入力する入力手段1を備えている。含有量推算装置100は、更に、データベース2、演算処理手段3及び出力手段4を備える。
【0054】
データベース2には、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内の気相水分量データ61とSF6ガス回収タンク内の液相水分量データ62を座標軸として取得された線図状の相関関係63が格納される。
【0055】
演算処理手段3は、SF6ガス回収タンクの容積15とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データ11と測定気相蒸気圧データ12とからSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6(56A、56B)それぞれの密度及び体積を演算し、液相SF6(56B)が貯蔵されているときに、SF6ガス回収タンク内SF6混合体56について格納されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データ61と液相水分量データ62の線図状の相関関係63を用いて、入力された気相SF6水分量データ14から液相SF6の水分量66を推算し、もって推算された液相SF6の水分量66と入力された気相SF6水分量データ14と演算された気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積からSF6ガス回収タンク内SF6混合体56の水分量67を演算し、もしくはSF6ガス回収タンク内SF6混合体56の水分量67がそれぞれ予め定めた管理規定値内にあるかを判定する。
【0056】
出力手段4は、液相SF6の水分量66の推算結果、SF6ガス回収タンク内SF6混合体56の水分量67の演算結果及び混合体56の水分量67の判定結果を出力し、画面にそれらのデータを表示することを行う。
【0057】
次に、混合形態にあるSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の気相及び液相のSF6それぞれの密度及び体積についての演算手段、演算方法について説明する。多くの場合、SF6ガス回収タンク55に回収されたSF6は、有視化するための液面計付タンクにより気相及び液相の混合体の形態で回収されることが経験上判っている。
【0058】
演算処理手段3は、SF6ガス回収タンクの容積15とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データ11と測定気相蒸気圧データ12から気相SF6(56A)及び液相(56B)それぞれの密度及び体積を演算することができ、SF6ガス回収タンク内に混合体56が貯蔵されていることを判定することができる。
【0059】
SF6ガス回収タンクの容積15は、SF6ガス回収タンクの仕様から容易に分かる。また、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データ11は、空の状態のSF6ガス回収タンク55の測定重量とSF6ガス回収完了後の回収SF6が貯蔵された状態のSF6ガス回収タンク55の測定重量との差を求めることにより容易に導出される。また、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定気相蒸気圧データ12は、SF6ガス回収タンクに接続された圧力計等の測定機器によって容易に測定される。
【0060】
そして、SF6混合体56のSF6ガス回収タンク内測定気相水分量データ14は、水分測定装置等の測定機器によって容易に測定される。
【0061】
本実施例の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置100は、また、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データ61とSF6ガス回収タンク内液相水分量データ62と、これら水分量データ61、62を座標軸として取得された線図状の相関関係63を格納するデータベース2を備える。以下、このデータベース2について詳述する。
【0062】
データベース2に予め取得され格納される回収SF6の気相水分量データ61は、水分測定装置等の測定機器を用いてSF6ガス回収タンク55内の気相SF6(56A)の水分量を測定することにより容易に取得される。また、データベース2に予め格納される液相水分量データ62は、気相SF6(56A)を排出した状態で、SF6ガス回収タンク55内の液相SF6(56B)を一度気化し、気相SF6(56A)同様に測定機器により測定することで取得される。
【0063】
以上の方法により、SF6ガス回収タンク内のSF6についての気相水分量データ61と液相水分量データ62を予め複数個取得し、データベース2に格納する。これら予め格納される対応する気相水分量データ61と液相水分量データ62は、多数ある方が好ましいことは言うまでもない。
【0064】
この際、これら複数の気相水分量データ61と液相水分量データ62を座標軸として図3に示すようなグラフにより表すことができることが分かった。そして、このグラフから線図状の相関関係63が導出されることが分かった。また、この相関関係63は、複数の気相水分量データ61と液相水分量データ62により導出され、傾きを持つ曲線64で近似されるような線図状に表されることが分かった。
【0065】
実際の液相SF6(56B)の水分量推算には、相関関係63は図3に示すような曲線64を定式化した近似式64Aが導出され用いられる。図3において、再生されて再使用可能な再生SF6として液相SF6が用いられる場合には、管理規定値として液相SF6の水分量が採用され、液相SF6に加えて気相SF6が用いられる場合はSF6混合体の水分量が採用される。
【0066】
図3に表示した相関関係63は、SF6ガス回収タンク55内の液相及び気相のSF6重量に依存することなく成立し、例えば気相水分量が80volppmであっても液相水分量は20volppmとなる。また、液相及び気相それぞれの密度及び体積を考慮して、管理規定値から液相の規定値を設定することができる。
【0067】
本実施例の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置100は、上述したようにSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6が混合体として存在することを確認し、SF6ガス回収タンクの容積15とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6(56)測定重量データ11と測定気相蒸気圧データ12とからSF6ガス回収タンク55内の気相及び液相SF6(56A、56B)それぞれの密度及び体積を演算し(31)、液相SF6(56B)が貯蔵されているときに、SF6ガス回収タンク55内SF6混合体56について格納されたSF6ガス回収タンク55内気相水分量データ61と液相水分量データ62の線図状の相関関係63を用いて、入力された水分量データ14から液相SF6の水分量66を推算し(32)、もって推算された液相SF6の水分量66と測定された気相SF6水分量データ14と演算されたSF6ガス回収タンク55内貯蔵SF6(56)の気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積から前記SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6混合体56の水分量67を演算し(33)、もしくはSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6混合体56の水分量67が予め定めた管理規定値内にあるかを判定する(34)演算処理手段3を備える。当然、水分量を演算することで判定に用いるようにしてもよい。
【0068】
本実施例の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置100におけるSF6ガス回収タンク55内SF6混合体の水分量は、SF6ガス回収タンクの容積15とSF6ガス回収タンク55内貯蔵SF6(56)測定重量データ11と測定気相蒸気圧データ12と測定気相水分量データ14から演算される。演算内容について、以下詳述する。
【0069】
まず、SF6ガス回収タンク55内の気相SF6(56A)の密度を算出する。気相SF6(56A)の密度は、予め測定されて導出されているSF6ガス回収タンク内のSF6蒸気圧とSF6ガス密度との関係式に測定した気相蒸気圧12を用いることより容易に導出される。実際には、図4に示すようにグラフ上に表すことにより求められる近似関係式により、上記測定気相SF6蒸気圧12を用いてSF6ガス回収タンク内の気相SF6(56A)の密度を導出する。尚、この気相SF6ガス密度は、SF6ガス回収タンク内の各飽和圧力毎の気相SF6ガス密度を測定したものである。
【0070】
次に、液相SF6(56B)の密度を算出する。液相SF6(56B)の密度は、予め測定されて導出されているSF6ガス回収タンク内のSF6蒸気圧とSF6液密度との関係式に測定した蒸気圧を用いることより容易に導出される。実際には、図5に示すようにグラフ上に表すことにより求められる近似相関式により、上記測定気相SF6蒸気圧を用いてSF6ガス回収タンク内の液相SF6(56B)の密度を導出する。尚、この液相SF6液密度は、SF6ガス回収タンク内の各飽和圧力毎の液相SF6液密度を測定したものである。
【0071】
ここで、これら予め導出したSF6蒸気圧と気相SF6密度との関係式や対応する密度と測定した蒸気圧データ、及びこれら予め導出したSF6蒸気圧と液相SF6密度との関係式や対応する密度と測定した蒸気圧データは、データベース2に格納でき、演算処理手段3の演算用のデータとして用いることができる。
【0072】
また、上述のように求めたSF6ガス回収タンク55内の気相SF6(56A)と液相SF6(56B)の密度とSF6ガス回収タンクの容積15とSF6ガス回収タンク55内貯蔵SF6混合体56の測定重量データ11とによって、SF6ガス回収タンク55内の気相SF6(56A)と液相SF6(56B)それぞれの体積を演算する。具体的には、(数1)、(数2)及び(数1)並びに(質量)=(密度)×(体積)から導出される(数3)による連立方程式により演算し、気相SF6(56A)と液相SF6(56B)それぞれの体積をそれぞれ算出する。尚、これら気相SF6(56A)と液相SF6(56B)の体積は、それぞれ純度が100%であるとして算出されている。また、混合体質量mtは空の状態のSF6ガス回収タンク55の測定重量とSF6ガス回収完了後の回収SF6が貯蔵された状態のSF6ガス回収タンク55の測定重量との差を計算することにより容易に求めることができ、混合体体積VtはSF6ガス回収タンクの容積15と同じで値でありSF6ガス回収タンクの仕様から容易に分かる。
【0073】
【数1】

【0074】
【数2】

【0075】
【数3】

【0076】
そして、上述のように算出した気相SF6(56A)と液相SF6(56B)それぞれの体積及び密度並びに後述する測定気相純度データ13若しくは推算して求めた液相純度によって、SF6ガス回収タンク55内の気相SF6(56A)と液相SF6(56B)の質量を算出することができる。例えば、気相SF6(56A)の質量を求める場合は、(気相SF6体積)×(気相SF6密度)×(気相純度データ)若しくは液相SF6(56B)の質量を求める場合は、(液相SF6体積)×(液相SF6密度)×(推算した液相純度)のように計算して求める。尚、この際、標準状態にて換算した値を用いることもできる。
【0077】
また、気相SF6(56A)中の水分量の質量は、上記算出した気相SF6(56A)の質量、測定した気相純度データ13と気相水分量データ14、及びSF6分子量(146.05)及び水分子量(18.015)を用いることで求めることができる。例えば、(気相SF6(56A)の質量)÷(SF6の分子量)×(気相水分量データ)÷(気相純度データ)×(水分子量)のように計算して求める。
【0078】
また、液相SF6(56B)中の水分量の質量は、上記算出した液相SF6(56B)の質量、推算した液相純度及び液相水分量、及びSF6分子量(146.05)及び水分子量(18.015)を用いることで求めることができる。例えば、(液相SF6(56A)の質量)÷(SF6の分子量)×(推算した液相水分量)÷(推算した液相純度)×(水分子量)のように計算して求める。
【0079】
本実施例の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置100における液相SF6の水分量66の推算は、上述の図3に示すようにデータベース2に格納された気相水分量データ61と液相水分量データ62により取得された線図状の相関関係63を用いて、測定した気相水分量データ14より推算される。
【0080】
本実施例の回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置100におけるSF6ガス回収タンク55内SF6混合体の水分量67は、気相SF6(56A)のSF6質量と液相SF6(56B)のSF6質量を合計し標準状態の体積に換算した値及び、気相SF6(56A)の水分量の質量と液相SF6(56B)の水分量の質量を合計し標準状態の体積に換算した値により演算する。
【0081】
上述のようにして演算されて算出されたSF6ガス回収タンク内の液相SF6(56B)の水分量66とSF6混合体56の水分量67は、図2に示すように演算処理手段3によって求められ(32、33)あるいは予め定めた管理規定値内にあるかの判定が行われる(34)。
【0082】
この際、SF6混合体56の水分量67の判定結果により、SF6ガス回収設備50は、SF6混合体56の水分量が管理値規定内にある場合は、SF6混合体56をそのままのSF6ガス使用機器51へと再封入させるが、SF6混合体56の水分量が管理規定置内に無い場合は、SF6混合体56は上述の図示しないガス精製装置へと送られ精製されるか若しくは破壊処分した後に新規に管理規定値内の水分量であるSF6ガスが外部よりSF6ガス回収タンク55に注入されSF6ガス使用機器51へと再封入される。
【0083】
本実施例の含有量推算装置100は、更に、演算処理手段3によって推算若しくは演算された液相SF6(56B)の水分量66及びSF6ガス回収タンク55内SF6混合体56の水分量67及びSF6混合体56の水分量67が管理規定置内にあるかの判定の結果を画面表示するモニターディスプレイ等の出力手段4を備える。尚、各測定データ11、12、14及びデータベースに格納された相関関係63の数値や表等も出力手段4によって適宜画面表示できる。
【0084】
本実施例の含有量推算装置100は、また、上述のSF6ガス回収タンク55に接続された各測定機器からは、図1に示すようにSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データ11及び測定気相蒸気圧データ12と、不純物として少なくとも空気を含んだSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定気相純度データ13及び測定気相水分量データ14の4つの測定データ10がそれぞれ測定され、これらの測定によってSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6が気相SF6(56A)のみか上述した混合体56かが判断されるようにしてもよい。以下、本実施例の別の適用例の含有量推算装置100として、同様の構成は同符号で表して図面を用いて説明する。
【0085】
本実施例の別の適用例の液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置100は、上述の入力手段1が各測定データ11、12、13、14を含む測定データ10並びにSF6ガス回収タンクの容積15を入力するように構成される。
【0086】
また、データベース2には、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内の気相水分量データ61とSF6ガス回収タンク内の液相水分量データ62を座標軸として取得された線図状の相関関係63と、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内の気相純度データ21とSF6ガス回収タンク内の液相純度データ22を座標軸として取得された線図状の相関関係23が格納される。
【0087】
演算処理手段3は、SF6ガス回収タンクの容積15とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データ11と気相蒸気圧データ12とからSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6(56A、56B)それぞれの密度及び体積を演算し、液相SF6(56B)が貯蔵されているときに、SF6ガス回収タンク内SF6混合体56について格納されたSF6ガス回収タンク内気相純度データ21と液相純度データ22の線図状の相関関係23又は気相水分量データ61と液相水分量データ62の線図状の相関関係63を用いて、入力された気相SF6純度データ13又は気相SF6水分量データ14から液相SF6の純度26と水分量66を推算し、もって推算された液相SF6の純度26と水分量66と測定された気相SF6の純度データ13と水分量データ14とSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6(56A、56B)それぞれの密度及び体積からSF6ガス回収タンク内SF6混合体56の純度27と水分量67を演算し、もしくはSF6ガス回収タンク内SF6混合体56の純度27と水分量67がそれぞれ予め定めた管理規定値内にあるかを判定する。
【0088】
出力手段4は、液相SF6の純度26と水分量66の推算結果、SF6ガス回収タンク内SF6混合体56の純度27と水分量67の演算結果及び混合体56の純度27と水分量67の判定結果を出力し、画面にそれらのデータを表示することを行う。
【0089】
この際、SF6混合体56のSF6ガス回収タンク内測定気相純度データ13は、分析機器等の測定機器によって容易に測定される。尚、このSF6混合体56は、気相SF6(56A)と液相SF6(56B)の他に不純物として図示しない空気を含む。空気の他の不純物としては、極微量の炭酸ガス等が含まれる場合もある。
【0090】
また、本実施例の別の適用例の含有量推算装置100のデータベース2は、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データ61とSF6ガス回収タンク内液相水分量データ62と、これら水分量データ61、62を座標軸として取得された線図状の相関関係63と、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相純度データ21とSF6ガス回収タンク内液相純度データ22と、これら純度データ21、22を座標軸として取得された線図状の相関関係23を格納する。
【0091】
データベース2に予め取得され格納される回収SF6の気相純度データ21は、分析機器等の測定機器を用いて回収タンク内の気相SF6(56A)の純度を測定することにより容易に取得される。また、データベース2に予め格納される液相純度データ22は、気相SF6(56A)を排出した状態で、回収タンク内の液相SF6(56B)を一度気化し、気相SF6(56A)同様に測定機器により測定することで取得される。
【0092】
このようにして、SF6ガス回収タンク内のSF6についての気相純度データ21と液相純度のデータ22及び気相水分量データ61と液相水分量のデータ62を予め複数個取得し、データベース2に格納する。これら予め格納される対応する気相純度21と液相純度のデータ22についても、多数ある方が好ましいことは言うまでもない。
【0093】
この際、これら複数の気相純度データ21と液相純度データ22についても座標軸として図6にそれぞれ示すようなグラフにより表すことができることが分かった。そして、このグラフから線図状の相関関係23が導出されることが分かった。また、この相関関係23は、複数の気相純度データ21と液相純度データ22により導出され、曲線24で近似されるような線図状に表されることが分かった。
【0094】
より具体的には、上述した線図状の相関関係23は、液相純度データが予め定めた規定値である気相純度データの座標と気相純度データが100%volであるときに液相純度データが100%volとなる座標とを結ぶ曲線で表される。実際の液相SF6(56B)の純度推算には、相関関係23は図6に示すような曲線24で表される近似式24Aが導出され用いられる。また、図6には、相関関係23は1つの曲線24にて図示されているが、帯状範囲25としてもよい。
【0095】
図6において、現状において、再生されて再使用可能な再生SF6の管理規定値として純度97%volが採用されている。再生SF6として液相SF6が用いられる場合には、管理規定値として液相SF6の純度が採用され、液相SF6に加えて気相SF6が用いられる場合はSF6混合体の純度が採用される。
【0096】
図6に表示した相関関係23は、SF6ガス回収タンク55内の液相及び気相のSF6重量に依存することなく成立し、例えば気相純度が75%volであっても液相純度は97%volとなる。液相及び気相のSF6それぞれの密度及び体積を考慮して、管理規定値から液相の規定値を設定することができる。
【0097】
本実施例の別の適用例の含有量推算装置100は、上述したようにSF6ガス回収タンク内SF6が混合体として存在することを確認し、SF6ガス回収タンクの容積15とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6(56)測定重量データ11と気相蒸気圧データ12とからSF6ガス回収タンク55内の気相及び液相SF6(56A、56B)それぞれの密度及び体積を演算し(31)、液相SF6(56B)が貯蔵されているときに、SF6ガス回収タンク55内SF6混合体56について格納されたSF6ガス回収タンク内気相純度データ21と液相純度データ22又は気相水分量データ61と液相水分量データ62の線図状の相関関係23、63を用いて、入力された気相SF6純度データ13、水分量データ14から液相SF6の純度26、水分量66を推算し(32)、もって推算された液相SF6の純度26と水分量66と測定された気相SF6の純度データ13と水分量データ14とSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6(56A、56B)それぞれの密度及び体積から前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体56の純度27と水分量67を演算し(33)、もしくはSF6ガス回収タンク内SF6混合体56の純度27又は水分量67がそれぞれ予め定めた管理規定値内にあるかを判定する(34)演算処理手段3を備える。当然、純度又は水分量を演算することで判定に用いるようにしてもよい。
【0098】
本実施例の別の適用例の含有量推算装置100におけるSF6ガス回収タンク55内SF6混合体56の水分量及び純度は、上述同様にSF6ガス回収タンクの容積15とSF6ガス回収タンク55内貯蔵SF6(56)測定重量データ11と測定気相蒸気圧データ12と測定気相水分量データ14と測定気相純度データ13から演算される。
【0099】
この際、上述のように算出した気相SF6(56A)と液相SF6(56B)それぞれの体積、密度及び測定気相純度データ13若しくは推算して求めた液相純度26によって、SF6ガス回収タンク55内の気相SF6(56A)と液相SF6(56B)の質量を算出することができる。
【0100】
例えば、気相SF6(56A)の質量を求める場合は、(気相SF6体積)×(気相SF6密度)×(気相純度データ)若しくは液相SF6(56B)の質量を求める場合は、(液相SF6体積)×(液相SF6密度)×(推算した液相純度)のように計算して求める。尚、この際、標準状態にて換算した値を用いることもできる。
【0101】
この際、気相SF6(56A)に含まれる空気の質量は、例えば、(気相SF6(56A)の質量)÷(SF6の分子量)×(100−(気相純度データ)−(気相水分量データ))÷(気相純度データ)×(空気分子量)のように計算して求めることができる。
【0102】
また、液相SF6(56B)に含まれる空気の質量は、例えば、(液相SF6(56B)の質量)÷(SF6の分子量)×(100−(液相純度データ)−(液相水分量データ))÷(液相純度データ)×(空気分子量)のように計算して求めることができる。
【0103】
本実施例の別の適用例の含有量推算装置100における液相SF6の純度26と水分量66の推算は、上述の図3、図6に示すようにデータベース2に格納された気相純度データ21と液相純度データ22又は気相水分量データ61と液相純度データ62により取得された線図状の相関関係23、63を用いて、測定した気相純度データ13、気相水分量データ14より推算される。
【0104】
本実施例の別の適用例の含有量推算装置100におけるSF6ガス回収タンク55内SF6混合体の純度27、水分量67は、気相SF6(56A)のSF6質量と液相SF6(56B)のSF6質量を合計し標準状態の体積に換算した値及び、気相SF6(56A)の水分量の質量と液相SF6(56B)の水分量の質量を合計し標準状態の体積に換算した値及び、気相SF6(56A)の空気の質量と液相SF6(56B)の空気の質量を合計し標準状態の体積に換算した値により演算する。
【0105】
以上のようにして、実際に行ったSF6ガス回収タンク55内の液相SF6(56B)の純度26と混合体56の純度27の演算結果例を図7に示す。同様にして演算したSF6ガス回収タンク55内の液相SF6(56B)の水分量66と混合体56の水分量67の結果例を図7に示す。この際、図7の例では、測定重量データ11は40Kg、測定温度データ12は2.6MPa、測定気相純度データ13は98%及び測定気相水分量データは120ppmのデータを用いている。
【0106】
上述のようにして演算されて算出されたSF6ガス回収タンク内の液相SF6(56B)の純度26又は水分量66と混合体56の純度27又は水分量67は、図2に示すように演算処理手段3によって求められ(33)あるいは予め定めた管理規定値内にあるかの判定が行われる(34)。
【0107】
この際、SF6混合体56の純度27又は水分量67の判定結果により、液化SF6回収設備50は、SF6混合体56の純度27又は水分量67が管理値規定内にある場合は、SF6混合体56をそのままのSF6ガス使用機器51へと再封入させるが、SF6混合体56の純度27又は水分量67が管理規定置内に無い場合は、SF6混合体56は上述の図示しないガス精製装置へと送られ精製されるか若しくは破壊処分した後に新規に管理規定値内の純度であるSF6ガスが外部よりガス回収タンク55に注入されSF6ガス使用機器51へと再封入される。尚、純度及び水分量の管理規定値をそれぞれ満たす場合に上記処理を行うようにしてもよい。
【0108】
本実施例の別の適用例の含有量推算装置100は、更に、演算処理手段3によって推算若しくは演算された液相SF6(56B)の純度26並びに水分量66及びSF6ガス回収タンク55内SF6混合体56の純度27並びに水分量67及びSF6混合体56の純度27並びに水分量67が管理規定置内にあるかの判定の結果を画面表示するモニターディスプレイ等の出力手段4を備える。尚、SF6ガス回収タンクの容積15、各測定データ11、12、13、14及びデータベースに格納された相関関係23、63の数値や表等も出力手段4によって適宜画面表示できる。
【0109】
以下、本実施例の液化SF6ガス回収装置における、回収された液相SF6ガスの水分量の推算及びSF6ガス混合体の水分量を演算する手順について図8を用いて説明する。
【0110】
まず、SF6ガス回収タンクの容積15、SF6ガス回収設備50のSF6ガス回収タンク55に接続された図示しない測定機器によりそれぞれ測定されたSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データ、SF6ガス回収タンク内測定気相蒸気圧データ、SF6混合体のSF6ガス回収タンク内測定気相水分量データが入力手段1へそれぞれ入力される(15、41、42、43B)。
【0111】
この際、これら測定データ10及びSF6ガス回収タンクの容積15により、SF6ガス回収タンク55内のSF6ガスが気体のみか、気相と液相の混合体かが判定される。
【0112】
次に、SF6ガス回収タンクの容積とSF6ガス回収タンク内SF6混合体の測定重量データと測定気相蒸気圧データを用いることにより、気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積が演算処理手段3の演算により算出される(44)。
【0113】
次に、データベース2に予め測定されて取得され格納されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データとSF6ガス回収タンク内液相水分量データを座標軸として取得した線図状の相関関係により、測定された気相水分量データの測定条件等に対応する液相水分量を推算するためのデータが構築され(45A)即ち近似曲線式が設定され、設定された近似曲線式が用いられ、測定された気相水分量データを用いて液相SF6の水分量が推算される(46)。
【0114】
そして、演算された気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積、測定された気相水分量データ、推算された液相SF6の水分量を用いることによってSF6混合体の水分量が演算される(47)。最後に、演算されたSF6混合体の水分量がそれぞれ予め定めた管理規定値内にあるかどうかが判定される(48)。
【0115】
次に、本実施例の別の適用例の液化SF6ガス回収装置における、回収された液相SF6ガスの純度及び水分量の推算及びSF6ガス混合体の純度及び水分量を演算する手順について図8を用いて説明する。
【0116】
まず、SF6ガス回収タンクの容積15、SF6ガス回収設備50のSF6ガス回収タンク55に接続された図示しない測定機器によりそれぞれ測定されたSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データ、SF6ガス回収タンク内測定気相蒸気圧データ及び不純物として少なくとも空気を含んだSF6混合体のSF6ガス回収タンク内測定気相純度データ及び測定気相水分量データが入力手段1へそれぞれ入力される(15、41、42、43A、43B)。
【0117】
この際、これら測定データ10及びSF6ガス回収タンクの容積15により、SF6ガス回収タンク55内のSF6ガスが気体のみか、気相と液相の混合体かが判定される。
【0118】
次に、SF6ガス回収タンクの容積、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6混合体の測定重量データと測定気相蒸気圧データを用いることにより、気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積が演算処理手段3の演算により算出される(44)。
【0119】
次に、SF6ガス回収タンクの容積、データベース2に予め測定されて取得され格納されたSF6ガス回収タンク内気相純度データとSF6ガス回収タンク内液相純度データを座標軸として取得した線図状の相関関係又は予め測定されて取得され格納されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データとSF6ガス回収タンク内液相水分量データを座標軸として取得した線図状の相関関係により、測定された気相純度データ又は気相水分量データの測定条件等に対応する液相純度又は液相水分量を推算するためのデータがそれぞれ構築され(45B)即ち近似曲線式が設定され、設定された近似曲線式が用いられ、測定された気相純度データ又は気相水分量データを用いて液相SF6の純度及び水分量が推算される(46)。
【0120】
そして、演算された気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積、測定された気相SF6の水分量データ及び純度データ、推算された液相SF6の水分量データ及び純度データを用いることによって、SF6混合体の純度及び水分量が演算される(47)。最後に、演算されたSF6混合体の純度及び水分量がそれぞれ予め定めた管理規定値内にあるかどうかが判定される(48)。
【0121】
以上のように、本実施例の回収された液化SF6ガスの含有量推算方法は、SF6ガス回収タンクの容積、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6混合体の測定重量データと測定気相蒸気圧データ及びタンク内貯蔵SF6混合体の測定気相水分量データ、又は測定気相純度データの5つの測定データで、液相SF6の純度及び水分量の推算とSF6混合体の純度及び水分量の演算ができるので、この含有量推算方法を回収設備に用いれば、容易かつ経済的にしかも速やかに液相SF6の純度及び水分量の推算並びにSF6混合体の純度及び水分量の演算ができる。
【0122】
本実施例の含有量推算装置100は、図9に示すように、ガス回収装置53とガス回収タンク55間に脱水手段6を介在し、液化されたSF6ガス54の水分を脱水処理するようにして構成し、各測定データ11、12、13、14を測定するようにしてもよい。
【0123】
これは、水分がSF6ガスに含まれることによって、各測定データ11、12、13、14が水分を含んだデータとなり、含有量推算装置の計算精度を低下することを防ぐためである。この脱水手段6を備えることにより、液化されたSF6ガス54の水分を除去することによって、計算精度の高い含有量推算装置を提供することができる。尚、本実施例の含有量推算装置は、上記の脱水手段6を備えなくても、十分に計算精度が高い含有量推算装置を提供することができる。
【0124】
本実施例の含有量推算装置100は、上述の実施例で説明したように、入力手段と、データベースと、演算処理手段を含んで構成したので、簡便な構成で経済的にSF6ガス回収タンクに回収された液化SF6ガスの水分量又は水分量及び純度の推算並びにSF6混合体の水分量又は水分量及び純度の演算ができ、しかもSF6回収設備全体を小型化できる。
【0125】
また、本実施例の含有量推算方法は、上述の実施例で説明したように、各データを入力し、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内の気相純度データと液相純度データ又は気相水分量データと液相水分量データとの相関関係をそれぞれ格納し、格納された各純度データと各水分量データから液化SF6の水分量又は水分量及び純度を推算し、この水分量又は水分量及び純度からSF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量又は水分量及び純度を演算するようにしたので、容易かつ経済的にしかも速やかにSF6ガス回収タンクに回収された液化SF6ガスの水分量又は水分量及び純度を推算してSF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量又は水分量及び純度を演算することができる。
【0126】
本実施例の含有量推算装置又は含有量推算方法により、SF6ガス回収タンク内液相SF6中の水分量又は水分量及び純度を容易に推算することができ、かつ、SF6混合体の水分量又は水分量及び純度を容易に演算することができるため、SF6ガス使用設備の水分量又は水分量及び純度の管理が容易となる。
【0127】
なお、本実施例の含有量推算装置又は含有量推算方法は、本発明の効果が達成できる範囲において、上述の各計算式に限定されず、別の計算式を用いてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1…入力手段
2…データベース
3…演算処理手段
4…出力手段
6…脱水手段
10…測定データ
11…SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データ
12…SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定気相蒸気圧データ
13…SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定気相純度データ
14…SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定気相水分量データ
15…SF6ガス回収タンクの容積
21…格納気相純度データ
22…格納液相純度データ
23…予め格納された気相純度データと液相純度データとの相関関係
24…23の近似曲線
24A…曲線24を定式化した近似式
25…気相純度と液相純度の相関関係を表す帯状範囲
26…液相SF6の純度
27…SF6混合体の純度
31…気相及び液相SF6それぞれの密度、体積の演算
32…液相SF6の水分量又は水分量及び純度の推算
33…SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6混合体の水分量又は水分量及び純度の演算
34…SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6混合体の水分量又は水分量及び純度が管理規定値内であるかの判定
41…SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の重量の測定
42…SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の気相蒸気圧データの測定
43A…SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の気相純度データの測定
43B…SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の気相水分量データの測定
44…気相及び液相SF6それぞれの密度、体積の演算
45A…測定された気相水分量データの測定条件等に対応する液相水分量を推算するためのデータの構築
45B…測定された気相純度データ又は気相水分量データの測定条件等に対応する液相純度又は液相水分量を推算するためのデータの構築
46…液相SF6の水分量又は水分量及び純度の推算
47…SF6混合体の水分量又は水分量及び純度の演算
48…演算されたSF6混合体の水分量又は水分量及び純度が管理規定値内であるかの判定
50…SF6ガス回収設備
51…SF6ガス使用機器
52…使用済SF6ガス
53…SF6ガス回収装置
54…SF6ガス回収装置からのSF6
55…SF6ガス回収タンク
56…SF6混合体
56A…気相SF6
56B…液相SF6
61…格納気相水分量データ
62…格納液相水分量データ
63…予め格納された気相水分量データと液相水分量データとの相関関係
64…63の近似曲線
64A…曲線64を定式化した近似式
66…液相SF6の水分量
67…SF6混合体の水分量
100…液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SF6ガスを使用するSF6ガス使用機器から使用済SF6ガスを回収し貯蔵したSF6ガス回収タンクの容積、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定重量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相蒸気量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データを入力する入力手段と、
SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6が気相SF6及び液相SF6の混合体であるときに、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データとSF6ガス回収タンク内液相水分量データを座標軸として取得された線図状の相関関係を格納するデータベースと、
SF6ガス回収タンクの容積とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データと測定気相蒸気圧データとからSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積を演算し、貯蔵されている当該液相SF6について、SF6ガス回収タンク内SF6混合体について格納されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データと液相水分量データの線図状の相関関係を用いて、入力された気相SF6水分量データから液相SF6の水分量を推算し、もって推算された液相SF6の水分量と入力された前記SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相SF6水分量データと演算された前記気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積から前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量を演算し、もしくは前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量が予め定めた管理規定値内にあるかを判定する演算処理手段と、
を備えることを特徴とする回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置。
【請求項2】
SF6ガスを使用するSF6ガス使用機器から使用済SF6ガスを回収し貯蔵したSF6ガス回収タンクの容積、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定重量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相蒸気量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データ、不純物として少なくとも空気を含んだ回収タンク内貯蔵SF6のSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相純度データを入力する入力手段と、
SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6が気相SF6及び液相SF6の混合体であるときに、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データとSF6ガス回収タンク内液相水分量データを座標軸として取得された線図状の相関関係と、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相純度データとSF6ガス回収タンク内液相純度データを座標軸として取得された線図状の相関関係とを格納するデータベースと、
SF6ガス回収タンクの容積とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データと測定気相蒸気圧データとからSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積を演算し、貯蔵されている当該液相SF6について、SF6ガス回収タンク内SF6混合体について格納されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データと液相水分量データ又は気相純度データと液相純度データの線図状の相関関係を用いて、入力された気相SF6水分量データ及び気相SF6純度データから液相SF6の水分量及び純度を推算し、もって推算された液相SF6の水分量及び純度と入力された前記SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データ及びSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相純度データと演算された気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積から前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量及び純度を演算し、若しくは前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量及び純度が予めそれぞれ定めた管理規定値内にあるかを判定する演算処理手段と、
を備えることを特徴とする回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置。
【請求項3】
請求項1〜2において、前記データベースが、気相水分量データと液相水分量データ又は気相純度データと液相純度データとの相関関係から気相水分量又は気相純度について予め定められた所定の液相水分量又は液相水分量及び液相純度を格納し、前記演算処理手段が、前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量又は水分量及び純度を演算することを特徴とする回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算装置。
【請求項4】
入力手段が、SF6ガスを使用するSF6ガス使用機器から使用済SF6ガスを回収し貯蔵したSF6ガス回収タンクの容積、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定重量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相蒸気量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データを入力し、
データベースが、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6が気相SF6及び液相SF6の混合体であるときに、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データとSF6ガス回収タンク内液相水分量データを座標軸として取得された線図状の相関関係を格納し、
演算処理手段が、SF6ガス回収タンクの容積とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データと測定気相蒸気圧データとからSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積を演算し、貯蔵されている当該液相SF6について、SF6ガス回収タンク内SF6混合体について格納されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データと液相水分量データの線図状の相関関係を用いて、入力された気相SF6水分量データから液相SF6の水分量を推算し、もって推算された液相SF6の水分量と入力された前記SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データと演算された前記気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積から前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量を演算し、もしくは前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量が予め定めた管理規定値内にあるかを判定すること
を特徴とする回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算方法。
【請求項5】
入力手段が、SF6ガスを使用するSF6ガス使用機器から使用済SF6ガスを回収し貯蔵したSF6ガス回収タンクの容積、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定重量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相蒸気量データ、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相水分量データ、不純物として少なくとも空気を含んだ回収タンク内貯蔵SF6のSF6ガス回収タンク内測定気相純度データを入力し、
データベースが、SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6が気相SF6及び液相SF6の混合体であるときに、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データとSF6ガス回収タンク内液相水分量データを座標軸として取得された線図状の相関関係と、予め測定されて取得されたSF6ガス回収タンク内気相純度データとSF6ガス回収タンク内液相純度データを座標軸として取得された線図状の相関関係とを格納し、
演算処理手段が、SF6ガス回収タンクの容積とSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6の測定重量データと測定気相蒸気圧データとからSF6ガス回収タンク内の気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積を演算し、貯蔵されている当該液相SF6について、SF6ガス回収タンク内SF6混合体について格納されたSF6ガス回収タンク内気相水分量データと液相水分量データ又は気相純度データと液相純度データの線図状の相関関係を用いて、入力された気相SF6水分量データ及び気相SF6純度データから液相SF6の水分量及び純度を推算し、もって推算された液相SF6の水分量及び純度と入力された前記SF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相SF6水分量データ及びSF6ガス回収タンク内貯蔵SF6測定気相純度データと演算された前記気相及び液相SF6それぞれの密度及び体積から前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量及び純度を演算し、若しくは前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量及び純度が予めそれぞれ定めた管理規定値内にあるかを判定すること
を特徴とする回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算方法。
【請求項6】
請求項4〜5において、前記演算処理手段が、気相水分量データと液相水分量データ又は気相純度データと液相純度データとの相関関係から気相水分量又は気相純度について予め定められた所定の液相水分量又は液相純度を用いて前記SF6ガス回収タンク内SF6混合体の水分量又は水分量及び純度を演算することを特徴とする回収された液化SF6ガス及びSF6混合体の含有量推算方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−61157(P2013−61157A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197885(P2011−197885)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(391024065)大陽日酸東関東株式会社 (7)