説明

回線無瞬断切替方法および装置

【目的】 異なる伝送路を伝送する各データ信号の位相を正確に合わせた後各データ信号の切替えを無瞬断でできる。
【構成】 SDH信号12、13が無瞬断切替部4に入力されると、無瞬断切替部4のJ1バイト識別部408でSDH信号16のパスIDにシンク側J1バイトが含まれているか否かが判定され、含まれているときエラスティックメモリ403に遅延量が設定される。一方、SDH信号13がJ1バイト同期照合部402にてJ1バイトの同期照合が実行されると、遅延量設定部405、406によりエラスティックメモリ403、404から読みだす遅延量の読出位相が同一となるように制御され、SDH信号22、23がデータ比較一致部408へ出力される。ここでSDH信号22、23の各ビットの一致が判定されると、無瞬断切替選択部407により、SDH信号22に代わりSDH信号23が選択されてインタフェース送信部5から送出される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディジタル伝送装置の対向装置から分岐されて、異なる伝送路を経て入力されたNNI(Network Node Interface、CCITT勧告G.707、G.708、G.709)フレーム信号を切り替える回線無瞬断切替方法および装置に係わり、詳細には装置外部からの制御により一方の伝送路を伝送するNNIフレーム信号を他方の伝送路へ無瞬断で切り替える回線無瞬断切替方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図2は無瞬断切替方法が採用されたディジタル伝送システムの概略の構成を示したものであり、図3〜図5はこれらのそれぞれの詳細を表わしたものである。また、図6は図2のシステムに採用された従来のクロスコネクト装置の構成を示したものである。図2〜図6において、パス終端装置601より送出されたSDH(Synchronous Digital Hierarchy )信号はクロスコネクト装置602に入力される。このSDH信号はシンク(Sink)側J1バイト挿入回路101でJ1バイト{NNIフレームのSOH(セクション オーバーヘッド)が分離されたVC(バーチャルコンテナ)−3またはVC−4の先頭バイト}にユニークなID(Identification:発信者識別番号)が挿入され、クロスコネクトSW(Switch)部2にて分岐された後、無瞬断切替部4、4´、インタフェース送信部5、5´を介して伝送路(方路)a、bへ送出される。各伝送路a、bの終端側にはクロスコネクト装置604が設けられており、伝送路bの途中にはクロスコネクト装置603が設けられている。そして、クロスコネクト部2がクロスコネクト未設定時には、ソース(Source)側J1バイト挿入部501、501´にてパスIDが付与され、パスIDの付与された信号が各伝送路a、bへ送出された後クロスコネクト装置604で受信される。
【0003】クロスコネクト装置604で受信された2つのパスは、J1バイト同期照合部401、402で同期が照合された後、エラスティックメモリ403、404に蓄えられる。その後無瞬断切替選択部407にて各パスの読出位相が合わされると、無瞬断でパスの切り替えが実行される。この場合、クロスコネクト装置604にて2つのパス間の経路長差に対応した初期遅延量をエラスティックメモリ403、404に予め与えておき、J1バイトに挿入されているパスIDを基に位相差を検出し、各パスの読出位相を一定にするメモリ制御を実行する。そして各パスの読出位相が一定になったときに伝送路の切り替え、例えば、伝送路aから伝送路bまたは伝送路bから伝送路aへの切り替えを実行すると、無瞬断で伝送路を切り替えることが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術では、クロスコネクト装置602のソース側J1バイト挿入部5、5´にて、クロスコネクトが未設定のときに挿入されるソース側J1バイトの位相と、クロスコネクトが設定されている状態でシンク側のJ1バイト挿入部101で挿入されるJ1バイトの位相との間にはクロスコネクト装置603内における遅延量の分だけ差があることに十分配慮されていなかった。
【0005】このため、送信側のクロスコネクト装置602がクロスコネクト未設定時に、受信側クロスコネクト装置604の遅延量設定部405、406がエラスティックメモリ403、404に対して初期遅延量を設定し、その後クロスコネクト装置602がクロスコネクトを設定すると、クロスコネクト装置604の初期遅延量の設定値が変化するという問題があった。なお、異なる伝送路を伝送する信号の位相差を吸収して無瞬断で信号を切り替えるものとして、特開昭63−98259号公報、特開平5−153103号公報、特開平5−183469号公報に記載されているものが挙げられるが、これらの技術を単に採用しても、クロスコネクトが未設定のときに設定された遅延量を基に異なる信号の位相差を吸収することは困難である。
【0006】そこで本発明の目的は、異なる伝送路を伝送する複数のデータ信号の位相を正確に合わせた後各データ信号の切り替えを無瞬断で実行することができる回線無瞬断切替方法および装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明では、(イ)複数のソース側送信部でクロスコネクト未設定時にソース側固有の識別データを含むパスデータをデータ信号に挿入し、(ロ)このデータ信号を第1伝送路と第2伝送路へ送出し、(ハ)クロスコネクト設定後にシンク側受信部でシンク側固有の識別データを含むパスデータをデータ信号に挿入し、(ニ)このデータ信号を各ソース側送信部に分岐して伝送し、(ホ)第1伝送路の終端部と第2伝送路の終端部でそれぞれデータ信号を受信し、(ヘ)一方の終端部で受信したデータ信号にシンク側固有の識別データが含まれているか否かを判定し、(ト)この判定で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路と第2伝送路との経路長差に応じた位相差を示す遅延量を一方の伝送路に対応づけて設定し、(チ)設定された遅延量を一方の伝送路のデータ信号に付加し、(リ)遅延量の付加されたデータ信号と他方の伝送路のデータ信号との位相を合わせてデータの一致を判定し、(ヌ)この判定で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路の終端部と第2伝送路の終端部でデータ信号の切り替えを実行する回線無瞬断切替方法を採用する。
【0008】請求項2記載の発明では、(イ)シンク側受信部から複数のソース側送信部に分岐されて第1伝送路と第2伝送路に送出されたデータ信号を第1伝送路の終端部と第2伝送路の終端部でそれぞれ受信し、(ロ)一方の終端部で受信したデータ信号にシンク側固有の識別データが含まれているか否かを判定し、(ハ)この判定で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路と第2伝送路との経路長差に応じた位相差を示す遅延量を一方の伝送路に対応づけて設定し、(ニ)設定された遅延量を一方の伝送路の終端部のデータ信号に付加し、(ホ)遅延量の付加されたデータ信号と他方の伝送路のデータ信号の位相を合わせてデータの一致を判定し、(ヘ)この判定で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路の終端部と第2伝送路の終端部でデータ信号の切り替えを実行する回線無瞬断切替方法を採用する。
【0009】請求項3記載の発明では、(イ)シンク側固有の識別データを含むパスデータをデータ信号に挿入して出力するシンク側受信部と、(ロ)シンク側受信部からのデータ信号を分岐して出力する分岐部と、(ハ)分岐部からの各データ信号にソース側固有の識別データを含むパスデータを挿入して第1伝送路と第2伝送路にそれぞれ送出する複数のソース側送信部と、(ニ)各伝送路の終端側でデータ信号をそれぞれ受信する複数の終端側受信部と、(ホ)各終端側受信部で受信したデータ信号にシンク側固有の識別データが含まれているか否かを判定する複数の識別データ判定部と、(ヘ)各識別データ判定部で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路と第2伝送路との経路長差に応じた位相差を示す遅延量を設定する複数の遅延量設定部と、(ト)一方の遅延量設定部で設定された遅延量を一方の伝送路の終端側受信部で受信されたデータ信号に付加する遅延量付加部と、(チ)遅延量付加部により遅延量が付加されたデータ信号と他方の伝送路のデータ信号の位相を合わせてデータの一致を判定する一致判定部と、(リ)一致判定部から肯定の判定結果が出力されたときにのみ第1伝送路からのデータ信号と第2伝送路からのデータ信号の切り替えを実行する信号切替え部とを具備させる。
【0010】請求項4記載の発明では、(イ)クロスコネクト設定後にシンク側固有の識別データを含むパスデータをデータ信号に挿入して出力するシンク側受信部と、(ロ)シンク側受信部からのデータ信号を分岐して出力する分岐部と、(ハ)クロスコネクト未設定時に分岐部からの各データ信号にソース側固有の識別データを含むパスデータを挿入して第1伝送路と第2伝送路にそれぞれ送出する複数のソース側送信部と、(ニ)各伝送路の終端側でデータ信号をそれぞれ受信する複数の終端側受信部と、(ホ)各終端側受信部で受信したデータ信号にシンク側固有の識別データが含まれているか否かを判定する複数の識別データ判定部と、(ヘ)一方の識別データ判定部で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路と第2伝送路との経路長差に応じた位相差を示す遅延量を設定する遅延量設定部と、(ト)遅延量設定部で設定された遅延量を一方の終端側受信部で受信されたデータ信号に付加する遅延量付加部と、(チ)遅延量付加部により遅延量が付加されたデータ信号と他方のデータ信号の位相を合わせてデータの一致を判定する一致判定部と、(リ)一致判定部から肯定の判定結果が出力されたときにのみ第1伝送路からのデータ信号と第2伝送路からのデータ信号の切り替えを実行する信号切替え部とを具備させる。
【0011】請求項5記載の発明では、(イ)シンク側受信部から複数のソース側送信部に分岐されて第1伝送路と第2伝送路に送出されたデータ信号を第1伝送路の終端側と第2伝送路の終端側でそれぞれ受信する複数の終端側受信部と、(ロ)各終端側受信部で受信したデータ信号にシンク側固有の識別データが含まれているか否かを判定する複数の識別データ判定部と、(ハ)一方の識別データ判定部で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路と第2伝送路との経路長差に応じた位相差を示す遅延量を設定する遅延量設定部と、(ニ)遅延量設定部で設定された遅延量を一方の終端側受信部で受信されたデータ信号に付加する遅延量付加部と、(ホ)遅延量付加部により遅延量が付加されたデータ信号と他方のデータ信号の位相を合わせてデータの一致を判定する一致判定部と、(ヘ)一致判定部から肯定の判定結果が出力されたときにのみ第1伝送路からのデータ信号と第2伝送路からのデータ信号の切り替えを実行する信号切替え部とを具備させる。
【0012】
【実施例】以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0013】図1は本発明の一実施例における回線無瞬断切替装置を図2〜図5に示したディジタル伝送システムのクロスコネクト装置604に適用したときの構成図である。図1において、回線無瞬断切替装置は、インタフェース受信部1、クロスコネクトSW(Switch)部2、無瞬断切替機能付きインタフェース部3、無瞬断切替部4、インタフェース送信部5を備えて構成されており、インタフェース受信部1が伝送路a、bに接続されている。インタフェース受信部1は各伝送路a、bの終端側でデータ信号としてSDH信号10、11をそれぞれ受信する複数の終端側受信部として構成されているとともに、シンク側固有の識別データ、例えばユニークなパスIDをSDH信号10、11に挿入してSDH信号12、13を出力するシンク側受信部として、シンク側J1バイト挿入部101、102を備えて構成されている。クロスコネクトSW部2はクロスコネクトを実行するようになっており、無瞬断切替機能付きインタフェース部3はSDH信号12を分岐して出力する分岐部を構成するようになっている。
【0014】無瞬断切替部4はJ1バイト同期照合部401、402、J1バイト識別部408、409、遅延量設定制御部405、406、エラスティックメモリ403、404、無瞬断切替選択部407、データ一致比較部408から構成されており、無瞬断切替選択部407が無瞬断切替機能付きインタフェース部3に接続されている。J1バイト同期照合部401、402はSDH信号12、13のJ1バイトの位相が同期しているか否かを照合し、照合結果を示す信号14、15を遅延量設定制御部405、406へ出力するようになっている。
【0015】J1バイト識別部408、409はJ1バイト照合部401、402からのSDH信号16、17にシンク側固有の識別データ(図3のJ1バイト挿入部101で挿入されるユニークなパスID)が含まれているか否かを判定する識別データ判部を構成し、判定結果を示す信号18、19を遅延量設定部405、406へ出力するようになっている。遅延量設定制御部405、406はJ1バイト識別部408、409からの信号18、19により肯定の判定結果、すなわち、SDH信号10、11にシンク側固有の識別データが含まれているとの判定結果を得たときにのみ伝送路a(第1伝送路)と伝送路b(第2伝送路)との経路長差に応じた位相差を示す遅延量を各伝送路に対応づけて設定する遅延量設定部を構成するようになっている。
【0016】各遅延量設定部405、406で設定された遅延量はエラスティックメモリ403、404に記憶される。エラスティックメモリ403、404に遅延量が記憶されると、エラスティックメモリ403、404からのデータの読出位相が遅延量設定制御部405、406で制御され、J1バイト識別部408、409からのSDH信号20、21に遅延量が付加される。そして遅延量が付加されたSDH信号22、23が無瞬断切替選択部407、データ一致比較部408に入力される。すなわち、エラスティックメモリ403、404は遅延量付加部を構成するようになっている。データ一致比較部408はエラスティックメモリ403、404から出力されるSDH信号22、23のデータの一致を判定する一致判定部を構成するようになっており、判定結果を示す信号24が無瞬断切替選択部406に入力されている。
【0017】無瞬断切替選択部407はデータ一致比較部408から一致の判定結果を示す信号24が出力されたときに、SDH信号22、24の切り替えを実行する信号切替え部を構成するようになっている。無瞬断切替機能付き選択部301は無瞬断切替選択部407で選択されたSDH信号25と無瞬断切替機能付きインタフェース部3からのSDH信号12とを無瞬断で切り替え、切り替えにより選択したSDH信号26をインタフェース送信部5へ出力するようになっている。インタフェース送信部5はソース側送信部として、入力信号にソース側固有の識別データを挿入するJ1バイト挿入部501を備えている。
【0018】上記構成において、クロスコネクト装置602のクロスコネクト未設定時に、ソース側送信部を構成するインタフェース送信部5、5´でソース側固有の識別データを含むパスIDがSDH信号8、9に挿入される。一方、クロスコネクト装置602のクロスコネクト設定後には、シンク側受信部を構成するインタフェース受信部1のJ1バイト挿入部101でシンク側固有の識別データを含むパスIDがSDH信号7に挿入される。そしてSDH信号7がクロスコネクトSW部2でSDH信号8、9に分岐されると、各SDH信号8、9が伝送路a、bを介してクロスコネクト装置604でSDH信号10、11として受信される。各SDH信号10、11はインタフェース受信部1で受信された後、クロスコネクトSW部2を介してインタフェース部3にSDH信号12、13として入力される。SDH信号12を無瞬断で切り替える必要があるときには、無瞬断切替機能付き選択部301の選択によりSDH信号12が無瞬断切替部4に入力される。
【0019】無瞬断切替部4では、J1バイト同期照合部401にてSDH信号12のJ1バイトの同期照合が実行され、照合結果が遅延量設定制御部405へ出力される。さらに、J1バイト識別部408でSDH信号16のパスIDにシンク側J1バイト(J1バイト挿入部101で挿入されたパスID)が含まれているか否かの判定が行われる。そして、SDH信号12のパスIDにシンク側J1バイトが含まれていると判定されたときにのみ遅延量設定制御部405によりエラスティックメモリ403に対して遅延量の設定が行われる。
【0020】一方、SDH信号13はJ1バイト同期照合部402にてJ1バイトの同期照合が実行され、照合結果が遅延量設定制御部406へ出力される。この後、遅延量設定部405、406によりエラスティックメモリ403とエラスティックメモリ404から読みだす遅延量の読出位相が同一となるように制御され、SDH信号22、23がデータ比較一致部408へ出力される。データ比較一致部408で各SDH信号22、23の各ビットのデータが一致したと判定されると、無瞬断切替選択部407により、現用系のSDH信号22に代わって、SDH信号23が選択され、選択されたSDH信号23がインタフェース送信部5から送出される。
【0021】以上説明した実施例おいては、クロスコネクト装置603のクロスコネクト未設定時に、ソース側のインタフェース送信部5´から送出するJ1バイトに対してクロスコネクト装置604で遅延量を設定することなく、クロスコネクト装置603のクロスコネクト設定後に、シンク側のインタフェース受信部1で挿入されたJ1バイトであるか否かを識別して遅延量を挿入するようにしたため、クロスコネクト装置602内における信号の遅延を考慮して遅延量を設定することができ、パス端間の遅延量設定を確実に行うことができる。
【0022】また、パスの途中のクロスコネクト装置603がパス未設定か否かを識別しなくても、シンク側で挿入されたJ1バイトの位相に対してのみ、下流のパス端、すなわちクロスコネクト装置604での識別結果で遅延量の設定が可能となる。
【0023】さらに、上記実施例における回線無瞬断切替装置をクロスコネクト装置602に適用することもできる。この場合、インタフェース受信部1がシンク側受信部を構成し、クロスコネクトSW部2が分岐部を構成し、インタフェース送信部5、5´がソース側送信部を構成することになる。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明によれば、クロスコネクト未設定時に上流側から送出されるデータ信号のパスデータに対してパス端で遅延量を設定することなく、シンク側受信部で挿入されたパスデータであるか否かを識別してデータ信号に遅延量を挿入するようにしたので、パス端間の遅延量設定を確実に行うことができる。また、伝送路途中の装置がクロスコネクトが未設定か否かを識別しなくても、シンク側受信部で挿入されたパスデータの位相に対してのみ、下流のパス端での識別結果で遅延量の設定が可能となる。
【0025】また請求項2記載の発明によれば、クロスコネクト未設定時に上流側から送出されるデータ信号のパスデータに対してパス端で遅延量を設定することなく、シンク側受信部で挿入されたパスデータであるか否かを識別してデータ信号に遅延量を挿入するようにしたので、パス端間の遅延量設定を確実に行うことができる。
【0026】請求項3記載の発明によれば、クロスコネクト未設定時に上流側から送出されるデータ信号のパスデータに対してパス端で遅延量を設定することなく、シンク側受信部で挿入されたパスデータであるか否かを識別してデータ信号に遅延量を挿入するようにしたので、パス端間の遅延量設定を確実に行うことができる。また、伝送路途中の装置がクロスコネクトが未設定か否かを識別しなくても、シンク側受信部で挿入されたパスデータの位相に対してのみ、下流のパス端での識別結果で遅延量の設定が可能となる。
【0027】また請求項4記載の発明によれば、クロスコネクト未設定時に上流側から送出されるデータ信号のパスデータに対してパス端で遅延量を設定することなく、シンク側受信部で挿入されたパスデータであるか否かを識別してデータ信号に遅延量を挿入するようにしたので、パス端間の遅延量設定を確実に行うことができる。また、伝送路途中の装置がクロスコネクトが未設定か否かを識別しなくても、シンク側受信部で挿入されたパスデータの位相に対してのみ、下流のパス端での識別結果で遅延量の設定が可能となる。
【0028】さらに請求項5記載の発明によれば、クロスコネクト未設定時に上流側から送出されるデータ信号のパスデータに対してパス端で遅延量を設定することなく、シンク側受信部で挿入されたパスデータであるか否かを識別してデータ信号に遅延量を挿入するようにしたので、パス端間の遅延量設定を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例おける回線無瞬断切替装置のブロック図である。
【図2】ディジタル伝送システムの全体構成図である。
【図3】図2に示したディジタル伝送システムのパス終端装置およびクロスコネクト装置を表わしたブロック図である。
【図4】図2に示したディジタル伝送システムの他のクロスコネクト装置を表わしたブロック図である。
【図5】図2に示したディジタル伝送システムの更に他のクロスコネクト装置およびパス終端装置を表わしたブロック図である。
【図6】従来の回線無瞬断切替装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 インタフェース受信部
2 クロスコネクトSW部
3 無瞬断切替機能付きインタフェース部
4 無瞬断切替部
5 インタフェース送信部
401、402 J1バイト同期照合部
403、404 エラスティックメモリ
405、406 遅延量設定制御部
407 無瞬断切替選択部
408 データ一致比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のソース側送信部でクロスコネクト未設定時にソース側固有の識別データを含むパスデータをデータ信号に挿入し、このデータ信号を第1伝送路と第2伝送路へ送出し、クロスコネクト設定後にシンク側受信部でシンク側固有の識別データを含むパスデータをデータ信号に挿入し、このデータ信号を各ソース側送信部に分岐して伝送し、第1伝送路の終端部と第2伝送路の終端部でそれぞれデータ信号を受信し、一方の終端部で受信したデータ信号にシンク側固有の識別データが含まれているか否かを判定し、この判定で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路と第2伝送路との経路長差に応じた位相差を示す遅延量を一方の伝送路に対応づけて設定し、設定された遅延量を一方の伝送路のデータ信号に付加し、遅延量の付加されたデータ信号と他方の伝送路のデータ信号との位相を合わせてデータの一致を判定し、この判定で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路の終端部と第2伝送路の終端部でデータ信号の切り替えを実行することを特徴とする回線無瞬断切替方法。
【請求項2】 シンク側受信部から複数のソース側送信部に分岐されて第1伝送路と第2伝送路に送出されたデータ信号を第1伝送路の終端部と第2伝送路の終端部でそれぞれ受信し、一方の終端部で受信したデータ信号にシンク側固有の識別データが含まれているか否かを判定し、この判定で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路と第2伝送路との経路長差に応じた位相差を示す遅延量を一方の伝送路に対応づけて設定し、設定された遅延量を一方の伝送路のデータ信号に付加し、遅延量の付加されたデータ信号と他方の伝送路のデータ信号との位相を合わせてデータの一致を判定し、この判定で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路の終端部と第2伝送路の終端部でデータ信号の切り替えを実行することを特徴とする回線無瞬断切替方法。
【請求項3】 シンク側固有の識別データを含むパスデータをデータ信号に挿入して出力するシンク側受信部と、シンク側受信部からのデータ信号を分岐して出力する分岐部と、分岐部からの各データ信号にソース側固有の識別データを含むパスデータを挿入して第1伝送路と第2伝送路にそれぞれ送出する複数のソース側送信部と、各伝送路の終端側でデータ信号をそれぞれ受信する複数の終端側受信部と、各終端側受信部で受信したデータ信号にシンク側固有の識別データが含まれているか否かを判定する複数の識別データ判定部と、各識別データ判定部で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路と第2伝送路との経路長差に応じた位相差を示す遅延量を設定する複数の遅延量設定部と、一方の遅延量設定部で設定された遅延量を一方の伝送路の終端側受信部で受信されたデータ信号に付加する遅延量付加部と、遅延量付加部により遅延量が付加されたデータ信号と他方のデータ信号の位相を合わせてデータの一致を判定する一致判定部と、一致判定部から肯定の判定結果が出力されたときにのみ第1伝送路からのデータ信号と第2伝送路からのデータ信号の切り替えを実行する信号切替え部とを具備することを特徴とする回線無瞬断切替装置。
【請求項4】 クロスコネクト設定後にシンク側固有の識別データを含むパスデータをデータ信号に挿入して出力するシンク側受信部と、シンク側受信部からのデータ信号を分岐して出力する分岐部と、クロスコネクト未設定時に分岐部からの各データ信号にソース側固有の識別データを含むパスデータを挿入して第1伝送路と第2伝送路にそれぞれ送出する複数のソース側送信部と、各伝送路の終端側でデータ信号をそれぞれ受信する複数の終端側受信部と、各終端側受信部で受信したデータ信号にシンク側固有の識別データが含まれているか否かを判定する複数の識別データ判定部と、各識別データ判定部で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路と第2伝送路との経路長差に応じた位相差を示す遅延量を設定する複数の遅延量設定部と、一方の遅延量設定部で設定された遅延量を一方の終端側受信部で受信されたデータ信号に付加する遅延量付加部と、遅延量付加部により遅延量が付加されたデータ信号と他方のデータ信号との位相を合わせてデータの一致を判定する一致判定部と、一致判定部から肯定の判定結果が出力されたときにのみ第1伝送路からのデータ信号と第2伝送路からのデータ信号の切り替えを実行する信号切替え部とを具備することを特徴とする回線無瞬断切替装置。
【請求項5】 シンク側受信部から複数のソース側送信部に分岐されて第1伝送路と第2伝送路に送出されたデータ信号を第1伝送路の終端側と第2伝送路の終端側でそれぞれ受信する複数の終端側受信部と、各終端側受信部で受信したデータ信号にシンク側固有の識別データが含まれているか否かを判定する複数の識別データ判定部と、各識別データ判定部で肯定の判定結果を得たときにのみ第1伝送路と第2伝送路との経路長差に応じた位相差を示す遅延量を設定する複数の遅延量設定部と、一方の遅延量設定部で設定された遅延量を一方の終端側受信部で受信されたデータ信号に付加する遅延量付加部と、遅延量付加部により遅延量が付加されたデータ信号と他方のデータ信号の位相を合わせてデータの一致を判定する一致判定部と、一致判定部から肯定の判定結果が出力されたときにのみ第1伝送路からのデータ信号と第2伝送路からのデータ信号の切り替えを実行する信号切替え部とを具備することを特徴とする回線無瞬断切替装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開平8−251150
【公開日】平成8年(1996)9月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−50754
【出願日】平成7年(1995)3月10日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)