回胴式遊技機
【課題】 回胴式遊技機において、遊技開始前の表示図柄に応じて自動停止を意図的に作動させ入賞の機会を増加させるという有利性を排除し、公正な遊技を提供する。
【解決手段】 スタートレバー75による複数のリール101a、101b、101cの回転開始から所定時間経過後に回転中のリールを自動停止する際に、前記所定時間経過後に前記複数のリールの全てが回転動作している場合または前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作しているとともに前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ入賞を形成しない図柄を選択可能な場合に限り、前記複数のリールの全てにおいて上記図柄を選択し表示させて自動停止させる。つまり、リールが自動停止されると、入賞の機会がなくなる。
【解決手段】 スタートレバー75による複数のリール101a、101b、101cの回転開始から所定時間経過後に回転中のリールを自動停止する際に、前記所定時間経過後に前記複数のリールの全てが回転動作している場合または前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作しているとともに前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ入賞を形成しない図柄を選択可能な場合に限り、前記複数のリールの全てにおいて上記図柄を選択し表示させて自動停止させる。つまり、リールが自動停止されると、入賞の機会がなくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールを回転させることで図柄を変動表示し、停止図柄の組合せに応じて遊技結果を提示する回胴式遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回胴式遊技機としてスロットマシンが知られている。一般的なスロットマシンは、前扉に形成された透明な表示窓を通して筐体内の3列のリールが目視される。各リールの周面には複数種類の図柄が配列されて描かれており、リールを回転させることで遊技の入賞又はハズレに係る図柄が変動表示される。また、スロットマシンには、リールを一斉に回転させるスタートレバーと、回転する各リールを個別に停止させるためのストップボタンが設けられ、スタートレバーが傾倒操作されて回転を開始したリールは、ストップボタンの押圧操作を契機にそれぞれ制動されて停止する。そして、各リールが表示する図柄の組合せが有効ライン上に揃うと入賞が確定し、入賞図柄の組合せに応じた数の遊技媒体(メダル)を配当するように構成されている。
【0003】
なお、上述のスタートレバーが傾倒操作された時点で、内部抽選と呼ばれる乱数を使った入賞役の抽選が行なわれる。すなわち、スロットマシンは、内部抽選によってある入賞役を当選したとき、当選した当該入賞役に係る図柄を記憶し、ストップボタンが押圧操作された時点から所定時間(例えば190m秒)内に当該図柄を有効ライン上に停止させることが可能である場合、当該リールの回転を制御して当該入賞に係る図柄を有効ライン上に停止させている(このようなリール制御を「引き込み制御」という)。これにより、スロットマシンの入賞又はハズレを決定づける要素は、乱数を使った内部抽選に大きく依存することとなり、熟練遊技者等による遊技の技術的介入を排除して、公正な遊技が行えるようになっている。
【0004】
一方で、スタートレバーが傾倒操作された時点から、一定時間(例えば40秒)ストップボタンによる停止操作がされず回転中のリールについては、自動停止制御が施される(例えば特許文献1参照)。すなわち、従来のスロットマシンにおいては、リールの自動停止を行う際に、リールの回転開始から一定時間経過した時点で上述のストップボタンによる停止操作がされたとみなし、リールの停止制御を行っている。つまり、内部抽選によって当該遊技がある入賞役に内部当選しているときには、上記引き込み制御が行われ、当該入賞役への入賞が確定する場合があった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−153596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来のスロットマシンによれば、リールの回転開始時の加速度と定速回転時の回転速度とが各遊技において同一条件で制御されているため、回転開始から一定時間経過した時点で自動停止が作動すると、当該遊技における表示図柄は、遊技開始前の表示図柄に依存することとなる。つまり、遊技開始前の表示図柄に基づいて自動停止を意図的に作動させれば、ストップボタンによる停止操作の場合に比較して、入賞の確率が高くなり遊技の公正さに欠けるという問題があった。
【0007】
本発明は、こうした従来の問題に鑑みてなされたものであり、遊技開始前の表示図柄に依存する効果を排除し、又は意図的な自動停止による有利性を排除することで遊技の公正さを確保する等の回胴式遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、周面に複数種類の図柄が描かれた複数のリールと、前記複数のリールの回転開始操作を行うためのスタートレバーと、前記各リールの回転をそれぞれ停止させる操作を行うためのストップボタンと、前記スタートレバーによる前記リールの回転開始から所定時間経過後に回転中のリールを停止させることが可能な自動停止手段とを備える回胴式遊技機であって、前記自動停止手段は、前記所定時間経過後に全ての前記リールが回転動作している場合に、当該全てのリールについて、入賞を形成しない図柄を選択し表示させ、前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作し、かつ、前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ、全ての前記リールにおいて前記入賞を形成しない図柄を表示可能な場合に、回転中のリールについて前記入賞を形成しない図柄を選択し表示させ、前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作し、かつ、前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ、全ての前記リールにおいて前記入賞を形成しない図柄を表示可能でない場合に、回転中のリールの自動停止を行わないことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回胴式遊技機であって、前記自動停止手段は、すでに自動停止させたリールが表示している図柄に基づいて、自動停止させるリールにおいて入賞を形成しない図柄を選択する停止図柄選択手段と、前記停止図柄選択手段により選択された前記入賞を形成しない図柄を表示する位置に当該リールを停止させるリール制動手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の回胴式遊技機であって、前記停止図柄選択手段は、自動停止させるリールに描かれている全ての図柄について前記入賞を形成しない図柄の位置が予め設定されるとともに前記各リールの表示状態に基づいて検索される停止図柄テーブルを参照することで前記入賞を形成しない図柄を選択することを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の回胴式遊技機によれば、自動停止手段は、前記所定時間経過後に全ての前記リールが回転動作している場合に、当該全てのリールについて、入賞を形成しない図柄を選択し表示させ、前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作し、かつ、前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ、全ての前記リールにおいて前記入賞を形成しない図柄を表示可能な場合に、回転中のリールについて前記入賞を形成しない図柄を選択し表示させる。すなわち、リールが自動停止されると、入賞の機会がなくなる。
【0012】
請求項2に記載の回胴式遊技機によれば、自動停止手段が作動時において停止図柄選択手段は、すでに自動停止させたリールが表示している図柄に基づいて、自動停止させるリールにおいて入賞を形成しない図柄を選択する。そして、リール制動手段は、停止図柄選択手段により選択された上記図柄を表示する位置に当該リールを停止させる。これにより、リールが自動停止されると、入賞の機会がなくなる。
【0013】
請求項3に記載の回胴式遊技機によれば、自動停止手段が作動時において停止図柄選択手段は、各リールの表示状態に基づいて停止図柄テーブルを検索する。停止図柄テーブルには、自動停止させるリールに描かれている全ての図柄についてハズレ図柄の位置が予め設定され、停止図柄選択手段がこれを参照することでハズレ図柄を選択する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の回胴式遊技機によれば、スタートレバーによるリールの回転開始から所定時間経過後に自動停止されるリールについては、入賞を形成しない図柄が表示され、入賞の機会がなくなる。したがって、遊技開始前の表示図柄に応じて自動停止を意図的に作動させ入賞の機会を増加させるという有利性が排除され、公正な遊技を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る遊技機の好適な一実施形態としてスロットマシンを例に図面を参照して説明する。なお、図1は、スロットマシン1の外観構造を表した斜視図、図2は、前扉3を開放した状態におけるスロットマシン1の内部構造を表した図である。
【0016】
図1において、スロットマシン1は、略矩形状の箱体である筐体2と、当該筐体2と蝶番機構により開閉可能に取り付けられた前扉3とを備えている。
【0017】
前扉3の前面側は、上部パネル部4と下部パネル部5に略区分けされ、これらは視覚効果を高めてデザインされたいわゆる化粧板として、硬質プラスチックにより一体的に形成されている。更に、下部パネル部5の下方には、入賞時に払い出されるメダル(遊技媒体)を貯留する受皿部6aが一体的に形成された受皿ユニット6が設けられている。
【0018】
また、上部パネル部4と下部パネル部5との間に、遊技者側に突出し、ゲーム操作を行うためのスイッチ類が配置されている操作卓7が一体的に形成されている。なお、上部パネル部4、操作卓7、下部パネル部5、及び受皿ユニット6は、遊技者側に面し、これらによって「前面パネル部」が構成される。
【0019】
上部パネル部4の中央には、硬質プラスチック板等で形成されたパネル面41が設けられている。パネル面41のほぼ中央には略長方形の透明な表示窓42が形成され、表示窓42を通して筐体2内に設けられているリールユニット100の3個のリール101a、101b、101cが目視される。
【0020】
ここで、筐体2内に設置されているリールユニット100は、円筒形状のリール101a、101b、101cがそれぞれ回転軸方向に並べられ、各リール101a、101b、101cの外周面にはその周方向に沿って複数種類の図柄が描かれている。遊技者は、表示窓42を通して3列のリールに描かれたそれぞれ上下方向3個の図柄を目視できるようになっている。
【0021】
また、パネル面41には、裏面側に設けられている図示しないランプを点灯させることで例えば入賞役への内部当選など遊技状態に関する情報を演出表示する遊技状態表示部43と、複数の発光ダイオードを点灯させてドット画像を演出表示するドットマトリクス表示部44、スロットマシン1にクレジット(貯留)されているメダル数や、入賞によって獲得したメダル数、又は入賞役への当選回数等の情報を数値表示する数値情報表示部45が、それぞれ表示窓42の周辺に設けられている。
【0022】
上部パネル部4の上部には、高輝度発光ダイオード等のランプ類を内蔵する演出用照明部46と、ゲームに係る効果音を発生させるスピーカを内蔵する演出用放音部47a、47bがそれぞれ配置されている。
【0023】
また、演出用放音部47a、47bの間には、透明な硬質プラスチック板等が嵌め込まれて形成された表示窓に面して液晶表示ユニット48が配置されている。なお、液晶表示ユニット48は、ゲームの演出に係る映像やゲーム(遊技)に関する情報を主に表示する。
【0024】
上部パネル部4の側部には、蛍光灯や高輝度発光ダイオードで形成された演出用照明部49a、49bが設けられている。ゲームの進行に応じて上述した複数の演出用照明部46、49a、49b等が点灯又は点滅することで、ゲームにおける視覚的な演出効果を高めるように形成されている。
【0025】
操作卓7の上面右側には、メダルを投入するための投入口を有するメダル投入部71が設けられている。また、当該上面の左側には、押しボタンスイッチである3個のベットボタン72、73、74が設けられている。
【0026】
ベットボタン72、73、74はスロットマシンの1ゲームに賭けるメダルの枚数を提示するためのボタンスイッチである。ゲームを開始する際に、ベットボタン72が押圧操作されることで、貯留されているメダルから1枚のメダルがゲームに対して賭けられる。同様に、ベットボタン73が押圧操作されることで2枚のメダルが賭けられ、ベットボタン74が押圧操作されることで3枚の当該ゲームにメダルが賭けられる。なお、ベットボタン74は、最大枚数のメダルを賭けることから、特に「マックスベットボタン」と呼ばれている。
【0027】
操作卓7の前面左側には、リール101a、101b、101cの回転開始を指示するためのスタートレバー75が設けられている。スタートレバー75は、先端に球形の操作ノブを有する揺動可能な操作旱を備え、操作旱が傾倒操作されるとオン、操作旱から手が離されるとスプリングの付勢力によって自動的に元の位置に戻ってオフ状態となるスイッチユニットで形成されている。
【0028】
また、操作卓7の中央には、各リール101a、101b、101cの回転停止をそれぞれ指示するためのストップボタン76a、76b、76cが各リールの配列に対応して並設されている。
【0029】
操作卓7の前面右側には、前扉3を開錠するための鍵が挿入される鍵穴77が設けられている。スロットマシン1の管理者等が鍵穴77に所定の鍵を挿入して開錠操作すると、蝶番機構によって筐体2に取り付けられている前扉3を前方へ開くことができ、また前扉3を筐体2側に閉じると、自動的にこれらを施錠するようになっている。
【0030】
下部パネル部5には、スロットマシン1のモデルタイプを遊技者へ認識させる等のため、登場キャラクターの絵などを表示するパネル51が設けられている。下部パネル部5の下側に配置された受皿ユニット6には、入賞時にメダルを排出するメダル払出口61と、払い出されたメダルを貯留する受皿部6aと、演出効果音を発生させるスピーカを内蔵する演出用放音部62がそれぞれ配置されている。
【0031】
次に、図2を参照して、筐体2の内部構造と前扉3の裏面構造とを説明する。同図において、筐体2内の上部には、スロットマシン1の全体動作を集中制御するCPU(マイコン)を備え硬質プラスチックのケースに収納された主制御基板20が取り付けられている。
【0032】
筐体2内の中央には、リール101a、101b、101cを備えるリールユニット100が設けられている。リールユニット100は、前扉3が筐体2側に閉じられると前扉3の表示窓42にリール101a、101b、101cが対向するように、所定フレームに位置決めされて取り付けられている。なお、各リール101a、101b、101cは、それぞれに内蔵されたステッピングモータによって回転駆動される。
【0033】
また、リールユニット100の上部には、各リールを回転駆動する上記ステッピングモータへ4相の駆動パルス信号を送出する回胴装置基板が取り付けられており、主制御基板20が回胴装置基板に回胴駆動(励磁)パルスデータを送出することで、各リールの回転と制動及び停止の制御を行っている。
【0034】
リールユニット100の下方には、ホッパ装置21と、ホッパ装置21から溢れたメダルを収容するための補助貯留部22と、主電源装置23が設けられている。主電源装置23の側面には、いわゆる配電盤に相当する電源装置基板24が設けられている。更に、筐体2の上部右側の内壁に、遊技場に設置されている「ホールコンピュータ」と呼ばれる管理用コンピュータと接続可能な外部集中端子基板25が取り付けられている。
【0035】
次に、前扉3の裏面側上部には、演出用照明部46の光源である高輝度の発光ダイオード31が複数配列されると共に、上述の演出用放音部47a、47bに対向してスピーカ32a、32bが取り付けられている。また、図2には示していないが、スピーカ32a、32bの間に、液晶表示ユニット48が取り付けられている。更に、液晶表示ユニット48の裏面側に、電気回路基板で形成されたサブ制御基板30が取り付けられている。
【0036】
なお、スロットマシン1全体の動作は、筐体2側に設けられている主制御基板20によって統括制御されており、サブ制御基板30は、液晶表示ユニット48による演出映像の表示制御、演出用照明部46、49a、49bを使った照明制御、及び演出用放音部47a、47b、62を使った演出効果音制御など、ゲームの演出に係る制御を主に行っている。
【0037】
サブ制御基板30の下方には、リール101a、101b、101cを目視させるための透明な表示窓42が形成されたパネル板が配置され、表示窓42の下方には、前面側のスタートレバー75及びストップボタン76a、76b、76c等の操作スイッチ類の出力信号を主制御基板20へ転送する中継基板として機能する中央表示基板33が設けられている。
【0038】
中央表示基板33の下方には、メダル選別装置34が取り付けられている。メダル選別装置34は、メダル投入部71に投入されたメダルの適否を判別し振り分ける装置である。また、メダル選別装置34はメダルセンサを内蔵しており、ゲームの待機状態等において正規のメダルが投入され、メダルセンサがこのメダルを検出することによって、メダル投入の受け付けを示す信号を主制御基板20へ送出する。
【0039】
メダル選別装置34の下方には、メダル選別装置34によって振り分けられた正規のメダルを筐体2内に設けられているホッパ装置21へ案内するガイド部材35と、メダル選別装置34により排除されたメダル(又は異物)をメダル排出口61へ案内するガイド部材36が設けられている。また、前扉3の裏面側下部には、ホッパ装置21から排出されたメダルをメダル排出口61へ案内するガイド部材37が設けられている。更に、メダル排出口61に隣接して、上述した演出用放音部62に対向するスピーカ38が取り付けられている。
【0040】
次に、リールユニット100の構造を図3を参照して説明する。なお、図3(a)は、リールユニット100に備えられたリール101aを分解して表した平面図、図3(a)は、リールユニット101aの側面図である。リールユニット100は、3個のリール101a、101b、101cがそれぞれ回転軸方向に並べられて組み立てられるが、ここでは、一のリール101aについてその構造を代表して説明する。
【0041】
リール101aは、ステッピングモータaの回転軸が挿入される軸穴を有するボス部102と、ボス部102を中心に放射状に延在する複数本のアーム部103と、アーム部103の先端部分に接続されボス部102の中心から同心円状に形成された第1リング部104と、第1リング部104と同一径を有し、これと所定の間隔をおいて平行に位置する第2リング部105と、第1リング部104と第2リング部105を複数カ所で連結する棒状の連結部106から構成され、これらを骨組み体として比較的軽質のプラスチックによって一体的に形成されている。また、一つのアーム部103には、内側に向けて延びる舌片状の遮光片107が形成されている。なお、円筒状のリール101aの外周面には、後述する複数種類の図柄が印刷された長尺状のプラスチックシートであるリールテープ108が捲装されている。
【0042】
ステッピングモータ110aの駆動軸にリール101aのボス部102が固着されることで、ステッピングモータ110aによるリール101aの回転駆動が可能となっている。なお、ステッピングモータ110aは、板状の基枠体111にボルト112で固定される。
【0043】
基枠体111に取り付けられるバックランプユニット113には、上下方向に3個のバックランプ114、115、116が設けられている。バックランプユニット113はリール101aの内部に収容され、ランプ114、115、116がリールテープ108の裏面を照射することにより、リールテープ108に描かれた3個の図柄を明るく表示するようになっている。
【0044】
また、バックランプユニット113を介して基準位置センサ120aが基枠体111に取り付けられており、リール101aが一回転する毎にリール101aのアーム部103に形成された遮光片107が基準位置センサ120aを遮光してオン動作させる。なお詳細は後述するが、本実施形態では、リールテープ108に21個の図柄が描かれ、リール101aが回転して先頭の図柄(図柄番号[0])が表示窓42の中央の有効ラインへさしかかると同時に、最後尾の図柄(後述する図柄番号[20])が当該有効ラインを超えた位置を基準位置として、基準位置センサ120aの出力信号が立ち上がるように形成されている。
【0045】
かかる構成のリール101a、101b、101cが3個配列してリールユニット100が組み立てられている。
【0046】
次に、図4のブロック図を参照して、スロットマシン1に設けられている制御システムについて説明する。
【0047】
主制御基板20は、CPU201の他にROM、RAM等の半導体メモリからなる記憶部203が備えられ、ここに予め記憶されているスロットマシンゲーム用のシステムプログラム204に従ってCPU201が演算処理を実行することで、スロットマシン1全体の動作を統括制御している。主制御基板20には、ベットボタン72、73、74、スタートレバー75、ストップボタン76a、76b、76c等の操作スイッチ類、メダル選別装置34のメダルセンサ34a等の検出スイッチ類が配線ケーブルで接続され、これらのスイッチ類からの出力信号によりゲームに係る操作が検出される。
【0048】
また、主制御基板20は、各リール101a、101b、101cに設けられる基準位置センサ120a、120b、120cの検出信号を入力し、各リールの基準となる回転位置を把握しながら、回胴装置基板130に所定の回胴駆動パルスデータを送出する。回胴装置基板130は、主制御基板20からの回胴駆動パルスデータに従って各ステッピングモータ110a、110b、110cを回転駆動することで、各リール101a、101b、101cの回転及び停止の動作を行っている。なお、主制御基板20による各リール101a、101b、101cの回転及び停止制御の詳細については後述する。
【0049】
また、主制御基板20には、ホッパ装置21等のメダル払出装置、及びサブ制御基板30がそれぞれ配線ケーブルによって接続されている。入賞が確定した際、主制御基板20はホッパ装置21を制御することで、所定数のメダルを受皿部6aに払い出す。サブ制御基板30は、主制御基板20からの制御信号に基づいて液晶表示ユニット48、演出用照明部46、49a、49b、演出用放音部47a、47b、62を制御駆動することで、遊技者の視覚や聴覚に訴える演出をゲームの進行に応じて行っている。
【0050】
なお、主制御基板20には、乱数抽選部202が設けられるとともに、記憶部203に、入賞抽選テーブル205が記憶されている。例えばCPU201は、スタートレバー75が操作された時点で乱数抽選部202を起動して乱数値を取得し、入賞抽選テーブル205を参照することで、得られた乱数値に割り当てられた入賞役またはハズレを抽選する。乱数値に対応する入賞役が存在すると、それを当該ゲームの入賞役として当選し、記憶部203の内部抽選フラグ206に記憶する。ここでは、かかる入賞役の抽選方法を「内部抽選」と呼んでいる。
【0051】
また、記憶部203には、図柄配列データ207、リール停止位置検索テーブル208、リール停止位置選択テーブル209等の書き換え不可の参照データテーブルが記憶され、更にリール停止コマフラグ210、リール制御フラグ211等の書き換え可能なデータフラグ用のメモリ領域が確保されている。これら参照データテーブル及びデータフラグは、リール101a、101b、101cの回転及び停止制御の際に用いられ、詳細については後述する。
【0052】
更に、主制御基板20には、後述する自動停止制御を起動するまでの時間を計測するタイマ212、及び各リール101a、101b、101cのステッピングモータ110a、110b、110cを制御するパルス信号(回胴駆動パルスデータ)の同期を取るためのタイマ割込生成部213が設けられている。
【0053】
次に、図5のフローチャートに基づいて、スロットマシン1におけるゲーム動作の概要を説明する。
【0054】
スロットマシン1は、先のゲームにおいて入賞しメダルの配当が完了した時、又は先のゲームにおいてハズレが確定すると待機状態となる。この待機状態においては、当該状態を遊技者に示唆するとともにゲーム操作を促す待機モードの演出が行われる(ステップS101)。遊技者がメダル投入部71にメダルを投入し何れかのベットボタン72、73、74を押圧操作することで、内部に貯留したメダル(クレジット)から当該ゲームに所定枚数のメダルが賭けられゲームが準備される(ステップS102:YES)。
【0055】
ゲーム準備の状態でスタートレバー75が傾倒操作されゲームが開始されると(ステップS103:YES)、主制御基板20は、3個のリール101a、101b、101cを一斉に回転させ始める(ステップS104)とともに、上述した内部抽選を実行する(ステップS105)。内部抽選の結果は、内部抽選フラグ206に記憶される。
【0056】
次に、遊技者により何れかのストップボタン76a、76b、76cが押圧操作されることで、主制御基板20がリール停止の操作を検出すると(ステップS106:YES)、押圧操作されたストップボタンに対応するリールを停止させる制御を行う(ステップS107)。そして、全てのリール101a、101b、101cが停止したことを検知すると(ステップS108:YES)、各リールが表示する図柄と上述の内部抽選フラグ206に対応する入賞役に係る図柄の組み合せとが一致しているかどうか判定する(ステップS109)。
【0057】
ステップS109の入賞の判定においては、例えば、ベットボタン74が押圧操作されることで当該ゲームに3枚のメダルが賭けられた場合、図6に示されるように、表示窓42を通して目視される9個の図柄のうち、上中下段のラインL1、L2、L3に沿って横3列に並んだ3組の図柄と、右に下る斜めのラインL4と左に下る斜めのラインL5に沿って対角線上に3列並んだ2組の図柄を調べ、何れか1つの組の図柄が内部抽選フラグ206に対応する入賞役に係る図柄の組み合せとが一致しているかどうか判定する。また、ベットボタン73が押圧操作され2枚のメダルが賭けられた場合には、入賞役に係る図柄の組み合せが判定される有効ラインは上中下段のラインL1、L2、L3のみとなる。更に、ベットボタン72が押圧操作され1枚のメダルが当該ゲームに賭けられた場合には、中央(中段)のラインL1のみを有効ラインとして、入賞図柄の組み合せが判定される。
【0058】
役への入賞が確定すると(ステップS109:YES)、当該役の種類に応じて予め決められた配当数のメダルを受皿部6aへ払い出す(ステップS110)。または配当数分のメダルを内部貯留しているクレジット数に加算してもよい。
【0059】
なお、主制御基板20は、ステップS103においてスタートレバー75によるゲーム開始操作を検知するとタイマ212を起動し、タイマ212が例えば40秒の既定時間経過を示した時(ステップS111:YES)に、全てのリールが回転中である場合(ステップS112:YES)に、当該リールを自動的に停止させる自動停止制御を行っている(ステップS114)。そして、自動停止されたリール101a、101b、101cについても、ステップS109において、それぞれのリールが表示する図柄に基づく入賞判定が行われる。
【0060】
また、主制御基板20は、タイマ212が例えば40秒の既定時間経過を示した時に、リール101a、101b、101cの内少なくとも一つが回転動作しているとともにリール101a、101b、101cの内少なくとも一つが停止し(ステップS112:NO)、かつ、入賞を形成しないハズレ図柄を選択し表示させて回転中のリールを停止可能な場合(ステップS113:YES)に、当該リールを自動的に停止させる自動停止制御を行っている(ステップS114)。
【0061】
さらに、主制御基板20は、前記既定時間経過を示した時に、リール101a、101b、101cの内少なくとも一つが停止し(ステップS112:NO)、かつ、例えば左リール101aの「チェリー」SA8、SA16(図7参照)がラインL1〜L5(図6参照)の何れかへのライン上に来た場合のように、全ての前記リールにおいて前記ハズレ図柄を表示可能でない場合(ステップS113:NO)に、ストップボタンによる停止制御ルーチンへ戻る(ステップS106)。
【0062】
次に、スロットマシン1における入賞形態の一例を図7及び図8を参照し説明する。図7は、各リール101a、101b、101cの外周に捲装されるリールテープ108に描かれた図柄の及びその配列の具体的な例を表し、説明のため各図柄の名称及び符号等を付記している。また、図8には、スロットマシン1における入賞形態を、図7に表示した図柄の組み合せを用いて例示する。
【0063】
図7において、各リール101a、101b、101cのリールテープには、7種類21個の図柄が適宜の順序で描かれ、それぞれの図柄に[0]から[20]の図柄番号が順次連続して割り当てられている。なお、本実施形態によるスロットマシン1においては、各リールは、表示窓42を通して表示される図柄が上から下へ移動する方向に回転するものとしている。このため、図7にあるように、図柄番号の順(昇順)に各図柄が変動表示されるようになっている。また、本実施形態では、400ステップ(最小可動単位が360度/400)のステッピングモータをリールの駆動原として使用するものとし、このため、各図柄の大きさに相当しリールの外周において占めるステップ数として、図柄番号0の図柄のみステップ数として[20]を、他の図柄番号1から20の図柄にはステップ数[19]を割り当てている。かかるステップ数の割り当ては、各リールにおいて共通している。
【0064】
図7に示した図柄の配列及び名称を有するスロットマシン1の入賞形態について、その具体的な一例を図8に基づいて説明する。なお、図8(a)は、一般遊技における入賞形態を表している。一般遊技における入賞は、入賞時に所定枚数のメダルを払い出す小役と、役物連続装置(レギュラーボーナス:「RB」と記載)または役物連続増加装置(ビッグボーナス:「BB」と記載)等の条件装置を作動させる大当たり役に概ね分けられる。
【0065】
なお、一般遊技中の再遊技役装置(リプレイ)は、先のゲームで投入したメダルの枚数を維持しつつ再ゲームの権利を遊技者に与える入賞役である。
【0066】
図8(b)は、役物連続装置(RB)が作動した場合における入賞形態を表し、このRBが作動すると遊技者は高確率で高配当の遊技状態(特別遊技状態)を所定の回数又は所定入賞回数に達するまで行うことができる。
【0067】
更に図8(c)は、役物連続増加装置(BB)が作動した場合における入賞形態を表しており、このBB中においては、上記特別遊技状態を更に所定の回数連続して遊技者に与えられる。
【0068】
次に、上述の入賞形態を有するスロットマシン1において、主制御基板20が実行するリール101a、101b、101cの回転及び停止制御についての詳細を説明する。図9は、図4に示したスロットマシン1のハードウエア資源を用いて主制御基板20に備えられる、リール101a、101b、101cの回転及び停止制御に係る手段を表すブロック図である。
【0069】
まず、主制御基板20には内部抽選手段250が備えられている。内部抽選手段250は、上述したように、スタートレバー75の操作を契機に乱数抽選部202を起動して乱数値を取得し、入賞抽選テーブル205を参照することで、得られた乱数値に割り当てられた入賞役またはハズレを抽選する。そして、内部抽選の結果を内部抽選フラグ206に記憶する。
【0070】
リール定速駆動手段251は、スタートレバー75の操作を契機に全てのリール101a、101b、101cの回転を開始して、各リールを一定の速度で回転させる制御を行う。ここで、図10は、リール定速駆動手段251とその他のリールの回転制御に係る手段が共有するリール制御フラグ211の構成を表す図である。なお、リール制御フラグ211は、各リール101a、101b、101cについて、それぞれ別個に備えられている。
【0071】
リール制御フラグ211は、更に、リール状態フラグRF1、センサ通過フラグRF2、図柄ステップフラグRF3、通過図柄番号フラグRF4、停止図柄番号フラグRF5、ステップカウンタフラグRF6を備え、それぞれに所定のバイト数が割り当てられている。
【0072】
リール状態フラグRF1には、当該リールの状態が記憶され、例えば、リールが停止中の時は[0]、回転加速中では[1]、定速動作中は[2]等の値が設定される。センサ通過フラグRF2には、リールが定速動作中に基準位置を通過して基準位置センサが検出信号を送出した時、[FFh](h符号は16進数表示とする)が設定される。
【0073】
図柄ステップフラグRF3には、表示窓42の中央のラインL1を通過中の図柄の位置を、各図柄に割り当てられた上述のステップ数で表して設定される。例えば、図7に示した図柄番号[1]の図柄がラインL1にさしかかると、その図柄に割り当てられたステップ数[19]が設定される。そしてリールが回転するに従いステッピングモータの単位ステップが過ぎる毎に図柄ステップフラグRF3も減少し、図柄の中心がラインL1上に来たときには、図柄ステップフラグRF3は、ほぼ[10]のステップ数を示すこととなる。
【0074】
通過図柄番号フラグRF4には、現在ラインL1上を通過している図柄の図柄番号が設定される。停止図柄番号フラグRF5には、当該リールにおいて停止させるべき図柄の図柄番号が設定される。なお、停止図柄番号フラグRF5は、後述する入賞図柄またはハズレ図柄の引き込み制御が行われる際に、所定の停止図柄選択手順に従って設定される。かかる引き込み制御等が行われない場合には、[FFh]がデフォルトとして設定されている。
【0075】
ステップカウンタフラグRF6は、リールが定速動作中においては、主制御基板20がステッピングモータを単位ステップだけ動作させる毎にインクリメントされる。なお、主制御基板20は、タイマ割込生成部213からの割込(例えば1.87msec)毎にリール制御フラグ211を更新するとともに、リールを駆動するステッピングモータに対しては、当該割込信号すなわちリール制御フラグ211の更新に同期して単位ステップだけ回転動作を進めるパルス信号(励磁データ)を回胴装置基板130に送出している。
【0076】
図11は、リールの定速動作中におけるリール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。同図によれば、リールが単位ステップだけ回転するに同期して、図柄ステップフラグRF3が減算(デクリメント)され、この値が[1]以下になると、次の図柄番号が通過図柄番号フラグRF4に設定される。また、定速動作中に基準位置センサがオン動作し出力信号の立ち上がりが検出された時、センサ通過フラグRF2に[FFh]が設定され、通過図柄番号フラグRF4が図柄番号[0]に設定され、図柄ステップフラグRF3が図柄番号[0]の図柄に割り当てられたステップ数である[20]に設定される。
【0077】
かかるリール制御フラグ211を主制御基板20のリール定速駆動手段251が逐一更新することで、中央のラインL1上に表示する図柄の種類(図柄番号)及びリールの回転位置を正確に把握し、当該リールを定速で回転制御することが可能となっている。
【0078】
次に、図9において示される、主制御基板20に備えられるストップ操作停止制御手段260を説明する。ストップ操作停止制御手段260は、ストップボタン76a、76b、76cが押圧操作に応じて対応するリールの回転を停止させる。なお、ストップ操作停止制御手段260のリール制動手段262は、ストップボタンによる停止操作が検出された時点でリール制御フラグ211の図柄ステップフラグRF3が[17]以上の値(ステップ数)を示していれば、当該図柄を中央のラインL1上に停止させることができるように設計されている。
【0079】
ストップ操作停止制御手段260について、目押し制御と呼ばれる、停止操作直後にリールの回転を停止させる動作を説明する。図12は、かかるリール停止動作におけるリール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。図12によれば、通過図柄番号フラグRF4が示す図柄番号[9]がラインL1を通過中にストップボタンによる停止操作が検出され、この時図柄ステップフラグRF3が[19]を示しているので、ストップ操作停止制御手段260(リール停止位置選択手段261)は、リール制御フラグ211の次の更新において、当該図柄番号[9]を停止図柄番号フラグRF5に設定する。そして、ストップ操作停止制御手段260(リール制動手段262)は、ステップフラグRF3が[16]になった時点で、ステッピングモータへの4相の駆動パルス信号を全てオンさせる励磁データを回胴装置基板130に送出することでリールの制動を行う。これにより、図柄番号[9]の当該図柄がラインL1の中央に停止することとなる。
【0080】
次に、図13は、ストップボタンによる停止操作がされた時点で図柄ステップフラグRF3が[17]よりも小さな値を示す場合のリール停止動作における、リール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。図13によれば、通過図柄番号フラグRF4が示す図柄番号[9]がラインL1を通過中にストップボタンが操作され、この時図柄ステップフラグRF3が[16]を示しているので、リール停止位置選択手段261は、当該図柄の次の番号[10]を停止図柄番号フラグRF5に設定する。そして、リール制動手段262は、図柄番号[10]の図柄がラインL1に到達するまで当該リールの制動を行わないことで、図柄番号[9]の図柄を滑らせる。そして、図柄番号[10]の図柄がラインL1に到達し、ステップフラグRF3が[16]になった時点で、ステッピングモータへの制動を行う。これにより、図柄番号[10]の図柄がラインL1の中央に停止することとなる。
【0081】
次に、特定の図柄をラインL1上に停止させる引き込み制御と呼ばれるリールの制動制御を説明する。図14は、引き込み制御におけるリール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。例えば、通過図柄番号フラグRF4が示す図柄番号[9]がラインL1を通過中にストップボタンが操作されると、リール位置選択手段261は、内部抽選フラグ206を調べ、仮に一の入賞役に当選しその入賞役に係る図柄がラインL1を通過中の図柄から所定の滑りコマ数(例えば5コマ)だけ先に配置された図柄の中にある場合、その図柄の図柄番号、例えば[13]を停止図柄番号フラグRF5に設定する。リール制動手段262は、入賞に係る図柄番号[13]の図柄がラインL1に到達するまで、リールの制動を行わず、その間の図柄を滑らせる。そして、図柄番号[13]の図柄がラインL1に到達し、ステップフラグRF3が[16]になった時点で、ステッピングモータへの制動を行う。これにより、入賞に係る図柄がラインL1の中央に停止することとなる。
【0082】
かかるリール停止位置選択手段261が内部抽選フラグ206に基づいて停止すべき図柄を選択する動作を更に説明する。リール停止位置選択手段261は、各図柄がラインL1上に到達する毎に、図15に示されるようなリール停止コマフラグ210を設定更新している。ここで、リール停止コマフラグ210は、ラインL1上の図柄と滑り制御を行うコマ数の和、すなわち本実施形態では6コマ分(6ビット)のビット配列から形成されている。リール停止位置選択手段261は、現在ラインL1上の表示図柄を含め滑り制御可能なそれぞれの図柄について、停止させるべき図柄であれば停止ビット[1]を、停止させない図柄であれば蹴飛ばしビット[0]をそれぞれの図柄のビット目に設定する。そして、ストップボタンの操作時に、リール停止コマフラグ210を参照し、上記停止ビットが設定された図柄のうち、現在ラインL1上にある表示図柄から最も近い図柄の図柄番号を停止図柄番号フラグRF5に設定している。
【0083】
図15に基づいて、例えばBBに内部当選中にリール停止位置選択手段261によって設定されるリール停止コマフラグ210の設定例を説明する。なお、この例は、「赤セブン」の図柄が何れかのラインL1〜L5上に停止するように引き込み制御される場合について示している。また、図15に示される例は、全てのリールが回転状態であって、第1投目のリール停止操作待ちの状態における、リール停止コマフラグ210の抜粋である。例えば、回転する中央のリール101bの図柄「リプレイ」SB10がラインL1上を通過している場合について説明すると、リール停止位置選択手段261は、当該状態から5コマ先までの図柄がラインL1上にあるケースをそれぞれ想定し、各ケースでBBに係る図柄「赤セブン」がラインL1、L2、L3の何れかに表示されるか、例えば図柄配列データ207を参照して調べる。そして、各ケースにおいて、上記各ライン上に当該図柄「赤セブン」がないときは、当該図柄の引き込み制御ができないので、リール停止コマフラグ210の全てのビットを停止ビット[1]に設定する。この場合、図柄「リプレイ」SB10がラインL1を通過中にストップボタン76bによる停止操作がされると、直近の図柄、すなわち当該「リプレイ」SB10または「ベル」SB9がラインL1上に停止することとなる。
【0084】
また、例えば、中央のリール101bの図柄「ベル」SB9がラインL1上を通過している場合について説明すると、上述した例と同様にリール停止位置選択手段261は、当該状態から5コマ先までの図柄がラインL1上にあるケースをそれぞれ想定し、各ケースでBBに係る図柄「赤セブン」が何れかのラインL1、L2、L3上に表示されるかリール図柄配列から調べる。この例の場合、図柄「ベル」SB9から5コマ先の図柄「BAR」SB4がラインL1上に滑り制御されると、入賞に係る図柄「赤セブン」SB3がラインL2上に来るため、リール停止コマフラグ210の5コマ目のビットが停止ビット[1]に設定される。そして、リール停止コマフラグ210のその他のビットは蹴飛ばしビット[0]に設定される。この場合、図柄「ベル」SB9がラインL1を通過中にストップボタン76bによる停止操作がされると、5コマ分の図柄が滑り制御され、図柄「BAR」SB4がラインL1上に停止するとともに、入賞に係る「赤セブン」SB3がラインL2上に引き込み制御される。
【0085】
次に、図9のブロック図に示した主制御基板20に備えられる自動停止制御手段270について説明する。なお、自動停止制御手段270は、停止させるべき図柄を選択し上述のリール停止コマフラグ210を設定するリール停止位置選択手段271と、同じくリール停止コマフラグ210及びリール制御フラグ211を使ってリールの制動を行うリール制動手段272とを有している。
【0086】
自動停止制御手段270の動作を図16及び図17のフローチャートを参照して説明する。なお、自動停止制御は、上述したように、スタートレバー75が操作されてから、既定時間(例えば40秒)経過後、上述したように、スタートレバー75が操作されてから、既定時間(例えば40秒)経過後、ストップボタンによる停止操作がされていない回転中のリールに対して施される回転停止制御のことをいう。図16によれば、自動停止制御手段270は、左リール101a、中央リール101b、右リール101cの順で回転中のリールに対し図17に示す自動停止制御を行う。
【0087】
すなわち、自動停止制御手段270は、スタートレバー75が操作された時点から既定時間が経過したと判定し(ステップS201:YES)、複数のリール(左リール101a、中央リール101b、右リール101c)の全てが回転中であれば(ステップS202:YES、ステップS204:YES)、左リール101aに対する自動停止制御のサブルーチンを起動する(ステップS205)。
【0088】
また、主制御基板20は、スタートレバー75が操作されてから、既定時間(例えば40秒)経過後、複数のリール(左リール101a、中央リール101b、右リール101c)の内少なくとも一つが回転動作しているとともにリール101a、101b、101cの内少なくとも一つが停止し(ステップS202:NO)、かつ、前記ハズレ図柄を選択して回転中のリールを停止可能な場合(ステップS203:YES)に、左リール101aが回転中か否かの判定(ステップS204)を行う。
【0089】
また、主制御基板20は、停止したリールにより入賞が回避できない場合(ステップS203:NO)に、ストップボタンによる停止制御ルーチンへ戻る。
【0090】
主制御基板20は、左リール101aが回転中か否かの判定(ステップS204)において、左リール101aが停止中の場合(ステップS204:YES)、左リール101aに対する自動停止制御のサブルーチンを起動する(ステップS205)。
【0091】
そして主制御基板20は、当該自動停止制御のサブルーチンを起動(ステップS205)から例えば200msec程度待機して時間調整を行う(ステップS206)。
【0092】
左リール101aが停止中の場合(ステップS204:NO)、または左リール101aが自動停止制御され時間調整された後、中央リール101bが回転中か調べ、中央リール101bが回転中であれば(ステップS207:YES)、中央リール101bに対する自動停止制御のサブルーチンを起動し(ステップS208)、同じく、当該起動から例えば200msec程度待機して時間調整を行う(ステップS209)。
【0093】
中央リール101bが停止中の場合(ステップS207:NO)、または中央リール101bが自動停止制御され時間調整された後、右リール101cが回転中か調べ、右リール101cが回転中であれば(ステップS210:YES)、右リール101cに対する自動停止制御のサブルーチンを起動する(ステップS211)。
【0094】
かかる条件下で起動される自動停止制御のサブルーチンを図17のフローチャートに基づいて説明する。自動停止制御が開始されると、リール停止位置選択手段271は、図18に例示するリール停止位置検索テーブル208を参照し、当該リールの停止図柄テーブル(リール停止位置選択テーブル209)を特定する(ステップS301)。
【0095】
ここで、図18に示されるリール停止位置検索テーブル208には、全てのリールが停止状態である場合を除き、各リールによる表示状態の全ての組み合せ毎にリール停止位置選択テーブル209の記憶場所(停止位置選択テーブル209のファイル名としても良い)が対応づけられている。すなわち、回転中のリールの表示を含めれば一のリールにおいて22の表示状態があるので、3個のリールでは22×22×22組の表示状態の組み合せとなる。全てのリールが停止した際の表示状態の組み合せは21×21×21組あるので、これを差し引いた数の1387個のリール停止位置選択テーブル209が主制御基板20に用意されている。
【0096】
例えば、図18によれば、リール停止位置選択手段271は、スタートレバー75が操作されてから、既定時間(例えば40秒)経過後、全てのリールが回転中の場合、停止位置選択テーブル209としてAST_A0B0C0を特定し、最初に自動停止させるリール(例えば左リール101a)に描かれている全ての図柄についてリール停止位置選択テーブル209を参照することでハズレ図柄を選択し、左リール101aのみが停止した状態で当該リールが図柄SA1、SA2、SA3を表示している場合には、AST_A1B0C0を特定する。このように、リールの表示状態(回転状態も含む)に基づいて、一のリール停止位置選択テーブル209が特定される。
【0097】
なお、図19は、リール停止位置選択テーブル209の内容を抜粋して例示する表である。図19によれば、各リール停止位置選択テーブル209には、図柄毎にリール停止コマフラグ210に設定されるべきビット値が予め設定されている。つまり、リールが自動停止制御される際に、各リールの表示状態に基づいて選択されたリール停止位置選択テーブル209に記載されているビット配列をリール停止コマフラグ210に設定することで、ハズレの図柄が有効ライン上に引き込み制御されるようになっている。
【0098】
例えば、左のリール101aのみが上段から下段にかけて図柄「リンゴ」SA1、「赤セブン」SA2、「赤セブン」SA3を停止表示している場合にリール停止位置選択テーブルAST_A1B0C0が選択され、このリール停止位置選択テーブルにおいて、次の自動停止の対象である中央のリール101bの各図柄について引き込み制御可能な停止ビットがそれぞれ設定されている。具体的に、リール101bの図柄「リプレイ」SB1について言えば、当該図柄をラインL1から2コマ、3コマ及び4コマ滑らせた場合には、中央のリール101bが表示する図柄は、ラインL1〜L5の何れのライン上においても、左リール101aが表示する3個の図柄とは一致しない、いわゆる非テンパイになることがリール図柄の配列からわかっている。そこで、リール停止位置選択テーブルAST_A1B0C0における図柄SB1については、当該各ビット配列の設定を図柄の滑り順に[0]、[0]、[1]、[1]、[1]、[0]としている。他の図柄及び、他のリール停止位置選択テーブルについても同様に、既に停止しているリールが表示する図柄の配列に基づいて、入賞を形成しないハズレの図柄が有効ライン上に引き込み制御されるようにそれぞれのビット配列が設定されている。このように、各リール停止位置選択テーブル209において、リール停止コマフラグ210に設定すべき各図柄に係るビット配列を予め設定することで、自動停止制御時において入賞を形成しない図柄の引き込み制御が高速で行われるようになっている。
【0099】
次に、リール停止位置選択手段271は、自動停止しようとする当該リールが中央のラインL1上に現在表示している図柄を特定する(ステップS302)。そして、ステップS301で特定したリール停止選択テーブル209を参照し、ラインL1上に表示する図柄に係るビット配列をそのままリール停止コマフラグ210に設定する(ステップS303)。
【0100】
次に、リール制動手段272は、リール停止コマフラグ210に基づいて、引き込み制御すべき図柄の図柄番号をリール制御フラグ211の停止図柄番号フラグRF5に設定する。このとき、リール停止コマフラグ210のビット配列のうち、0コマ目(ラインL1を通過中の図柄)から最も近い停止ビットが立てられた図柄の図柄番号が停止図柄番号フラグRF5に設定される。そして、当該設定された図柄をラインL1上の位置に表示するよう引き込み制御を行ってリールを停止させる(ステップS304)。
【0101】
例えば、上述のリール停止位置選択テーブルAST_A1B0C0が選択される場合において、中央のリール101bの図柄「リプレイ」SB1がラインL1を通過中に当該自動停止制御が起動された場合、リール停止位置選択手段271によって設定されるリール停止コマフラグ210から、直近の停止ビットが設定される図柄番号、すなわち、2コマ目の図柄である「マンゴ」SB20の図柄番号[2]を引き込み制御すべき図柄としてリール制御フラグ211の停止図柄番号フラグRF5に設定する。これにより、リール制動手段272は、「マンゴ」SB20をラインL1上に引き込み制御して停止させることで、ラインL1〜L5の全てのライン上において、左リール101aが表示する3個の図柄とは一致しない図柄を中央のリール101bに表示している。これにより、左のリール101aと中央のリール101bが表示する図柄の組み合せが非テンパイとなり、入賞の可能性が失われる。
【0102】
かかる構成のスロットマシン1によれば、一定時間全てのリールの停止操作がされず当該リールの自動停止制御が起動された場合には、ハズレ図柄が有効ライン上に自動停止するよう制御される。前記一定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作しているとともに前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつハズレ図柄を選択可能な場合には、ハズレ図柄が有効ライン上に自動停止するよう制御される。前記一定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作しているとともに前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ停止したリールにより入賞が回避できない場合には、回転中のリールの自動停止を回避する。したがって、リールの自動停止を意図的に行い入賞の確率を高める等の問題は解消される。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、本発明の実施形態によるスロットマシンの外観構造を表した斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態によるスロットマシンの内部構造を表した図である。
【図3】図3(a)は、本発明の実施形態による一のリールの構造を分解して表した平面図、図3(b)は、一のリールの側面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態によるスロットマシンの制御システムを表したブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおけるゲーム動作の概要を表すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施形態によるスロットマシンの表示窓に表示される図柄と、ゲーム結果の判定に用いる有効ラインを表す図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態によるリールの図柄の配列と各図柄の名称及び符号を付記した表である。
【図8】図8は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおける入賞形態を例示する表である。
【図9】図9は、本発明の実施形態によるスロットマシンに備えられる、リールの回転動作制御に係る手段を表すブロック図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態によるリール制御コマフラグの構成を表す図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおいて、リールの定速動作中におけるリール制御フラグの推移例を表すタイムチャートである。
【図12】図12は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおいて、ストップボタン受付後のリール停止動作におけるリール制御フラグの推移の一例を表すタイムチャートである。
【図13】図13は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおいて、ストップボタン受付後のリール停止動作におけるリール制御フラグの推移の他の例を表すタイムチャートである。
【図14】図14は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおいて、ストップボタン受付後の引き込み制御におけるリール制御フラグの推移例を表すタイムチャートである。
【図15】図15は、本発明の実施形態によるスロットマシンが役物連続増加装置作動の内部当選中において、リール停止コマフラグに設定される内容を例示する表である。
【図16】図16は、本発明の実施形態による、リールの自動停止動作を表すフローチャートである。
【図17】図17は、本発明の実施形態による、リールに対する自動停止制御の詳細な動作を表すフローチャートである。
【図18】図18は、本発明の実施形態によるリール停止位置検索テーブルの構成とその内容を抜粋して例示する図である。
【図19】図19は、本発明の実施形態による回転中のリールを停止させる操作を促す表示を示す説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1…スロットマシン、 2…筐体、 3…前扉、 4…上部パネル部、
5…下部パネル部、 6…受皿ユニット、 6a…受皿部、 7…操作卓、
20…主制御基板、 21…ホッパ装置、 22…補助貯留部、
23…主電源装置、 24…電源装置基板、 25…外部集中端子基板、
30…サブ制御基板、 31…発光ダイオード、
32a、32b…スピーカ、 33…中央表示基板、
34…メダル選別装置、 34a…メダルセンサ、
35、36、37…ガイド部材、 38…スピーカ、
41…パネル面、 42…表示窓、 43…遊技状態表示部、
44…ドットマトリクス表示部、 45…数値情報表示部、
46…演出用照明部、 47a、47b…演出用放音部、
48…液晶表示ユニット、 49a、49b…演出用照明部、
51…パネル、 61…メダル払出口、 62…演出用放音部、
71…メダル投入部、 72、73、74…ベットボタン、
75…スタートレバー、 76a、76b、76c…ストップボタン、
77…鍵穴、
100…リールユニット、
101a、101b、101c…リール、
102…ボス部、 103…アーム部、 104…第1リング部、
105…第2リング部、 106…連結部、 107…遮光片、
108…リールテープ、
110a、110b、110c…ステッピングモータ、
111…基枠体、 112…ボルト、 113…バックランプユニット、
114、115、116…ランプ、
120a、120b、120c…基準位置センサ、
130…回胴装置基板、
201…CPU、 202…乱数抽選部、 203…記憶部、
204…システムプログラム、 205…入賞抽選テーブル、
206…内部抽選フラグ、 207…図柄配列データ、
208…リール停止位置検索テーブル、
209…シール停止位置選択テーブル、
210…リール停止コマフラグ、 211…リール制御フラグ、
212…タイマ、 213…タイマ割込生成部、
250…内部抽選手段、 251…リール定速駆動手段、
260…ストップ操作停止制御手段、 261…リール停止位置選択手段、
262…リール制動手段、 270…自動停止制御手段、
271…リール停止位置選択手段、 272…リール制動手段、
300…演出装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールを回転させることで図柄を変動表示し、停止図柄の組合せに応じて遊技結果を提示する回胴式遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回胴式遊技機としてスロットマシンが知られている。一般的なスロットマシンは、前扉に形成された透明な表示窓を通して筐体内の3列のリールが目視される。各リールの周面には複数種類の図柄が配列されて描かれており、リールを回転させることで遊技の入賞又はハズレに係る図柄が変動表示される。また、スロットマシンには、リールを一斉に回転させるスタートレバーと、回転する各リールを個別に停止させるためのストップボタンが設けられ、スタートレバーが傾倒操作されて回転を開始したリールは、ストップボタンの押圧操作を契機にそれぞれ制動されて停止する。そして、各リールが表示する図柄の組合せが有効ライン上に揃うと入賞が確定し、入賞図柄の組合せに応じた数の遊技媒体(メダル)を配当するように構成されている。
【0003】
なお、上述のスタートレバーが傾倒操作された時点で、内部抽選と呼ばれる乱数を使った入賞役の抽選が行なわれる。すなわち、スロットマシンは、内部抽選によってある入賞役を当選したとき、当選した当該入賞役に係る図柄を記憶し、ストップボタンが押圧操作された時点から所定時間(例えば190m秒)内に当該図柄を有効ライン上に停止させることが可能である場合、当該リールの回転を制御して当該入賞に係る図柄を有効ライン上に停止させている(このようなリール制御を「引き込み制御」という)。これにより、スロットマシンの入賞又はハズレを決定づける要素は、乱数を使った内部抽選に大きく依存することとなり、熟練遊技者等による遊技の技術的介入を排除して、公正な遊技が行えるようになっている。
【0004】
一方で、スタートレバーが傾倒操作された時点から、一定時間(例えば40秒)ストップボタンによる停止操作がされず回転中のリールについては、自動停止制御が施される(例えば特許文献1参照)。すなわち、従来のスロットマシンにおいては、リールの自動停止を行う際に、リールの回転開始から一定時間経過した時点で上述のストップボタンによる停止操作がされたとみなし、リールの停止制御を行っている。つまり、内部抽選によって当該遊技がある入賞役に内部当選しているときには、上記引き込み制御が行われ、当該入賞役への入賞が確定する場合があった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−153596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来のスロットマシンによれば、リールの回転開始時の加速度と定速回転時の回転速度とが各遊技において同一条件で制御されているため、回転開始から一定時間経過した時点で自動停止が作動すると、当該遊技における表示図柄は、遊技開始前の表示図柄に依存することとなる。つまり、遊技開始前の表示図柄に基づいて自動停止を意図的に作動させれば、ストップボタンによる停止操作の場合に比較して、入賞の確率が高くなり遊技の公正さに欠けるという問題があった。
【0007】
本発明は、こうした従来の問題に鑑みてなされたものであり、遊技開始前の表示図柄に依存する効果を排除し、又は意図的な自動停止による有利性を排除することで遊技の公正さを確保する等の回胴式遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、周面に複数種類の図柄が描かれた複数のリールと、前記複数のリールの回転開始操作を行うためのスタートレバーと、前記各リールの回転をそれぞれ停止させる操作を行うためのストップボタンと、前記スタートレバーによる前記リールの回転開始から所定時間経過後に回転中のリールを停止させることが可能な自動停止手段とを備える回胴式遊技機であって、前記自動停止手段は、前記所定時間経過後に全ての前記リールが回転動作している場合に、当該全てのリールについて、入賞を形成しない図柄を選択し表示させ、前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作し、かつ、前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ、全ての前記リールにおいて前記入賞を形成しない図柄を表示可能な場合に、回転中のリールについて前記入賞を形成しない図柄を選択し表示させ、前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作し、かつ、前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ、全ての前記リールにおいて前記入賞を形成しない図柄を表示可能でない場合に、回転中のリールの自動停止を行わないことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回胴式遊技機であって、前記自動停止手段は、すでに自動停止させたリールが表示している図柄に基づいて、自動停止させるリールにおいて入賞を形成しない図柄を選択する停止図柄選択手段と、前記停止図柄選択手段により選択された前記入賞を形成しない図柄を表示する位置に当該リールを停止させるリール制動手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の回胴式遊技機であって、前記停止図柄選択手段は、自動停止させるリールに描かれている全ての図柄について前記入賞を形成しない図柄の位置が予め設定されるとともに前記各リールの表示状態に基づいて検索される停止図柄テーブルを参照することで前記入賞を形成しない図柄を選択することを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の回胴式遊技機によれば、自動停止手段は、前記所定時間経過後に全ての前記リールが回転動作している場合に、当該全てのリールについて、入賞を形成しない図柄を選択し表示させ、前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作し、かつ、前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ、全ての前記リールにおいて前記入賞を形成しない図柄を表示可能な場合に、回転中のリールについて前記入賞を形成しない図柄を選択し表示させる。すなわち、リールが自動停止されると、入賞の機会がなくなる。
【0012】
請求項2に記載の回胴式遊技機によれば、自動停止手段が作動時において停止図柄選択手段は、すでに自動停止させたリールが表示している図柄に基づいて、自動停止させるリールにおいて入賞を形成しない図柄を選択する。そして、リール制動手段は、停止図柄選択手段により選択された上記図柄を表示する位置に当該リールを停止させる。これにより、リールが自動停止されると、入賞の機会がなくなる。
【0013】
請求項3に記載の回胴式遊技機によれば、自動停止手段が作動時において停止図柄選択手段は、各リールの表示状態に基づいて停止図柄テーブルを検索する。停止図柄テーブルには、自動停止させるリールに描かれている全ての図柄についてハズレ図柄の位置が予め設定され、停止図柄選択手段がこれを参照することでハズレ図柄を選択する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の回胴式遊技機によれば、スタートレバーによるリールの回転開始から所定時間経過後に自動停止されるリールについては、入賞を形成しない図柄が表示され、入賞の機会がなくなる。したがって、遊技開始前の表示図柄に応じて自動停止を意図的に作動させ入賞の機会を増加させるという有利性が排除され、公正な遊技を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る遊技機の好適な一実施形態としてスロットマシンを例に図面を参照して説明する。なお、図1は、スロットマシン1の外観構造を表した斜視図、図2は、前扉3を開放した状態におけるスロットマシン1の内部構造を表した図である。
【0016】
図1において、スロットマシン1は、略矩形状の箱体である筐体2と、当該筐体2と蝶番機構により開閉可能に取り付けられた前扉3とを備えている。
【0017】
前扉3の前面側は、上部パネル部4と下部パネル部5に略区分けされ、これらは視覚効果を高めてデザインされたいわゆる化粧板として、硬質プラスチックにより一体的に形成されている。更に、下部パネル部5の下方には、入賞時に払い出されるメダル(遊技媒体)を貯留する受皿部6aが一体的に形成された受皿ユニット6が設けられている。
【0018】
また、上部パネル部4と下部パネル部5との間に、遊技者側に突出し、ゲーム操作を行うためのスイッチ類が配置されている操作卓7が一体的に形成されている。なお、上部パネル部4、操作卓7、下部パネル部5、及び受皿ユニット6は、遊技者側に面し、これらによって「前面パネル部」が構成される。
【0019】
上部パネル部4の中央には、硬質プラスチック板等で形成されたパネル面41が設けられている。パネル面41のほぼ中央には略長方形の透明な表示窓42が形成され、表示窓42を通して筐体2内に設けられているリールユニット100の3個のリール101a、101b、101cが目視される。
【0020】
ここで、筐体2内に設置されているリールユニット100は、円筒形状のリール101a、101b、101cがそれぞれ回転軸方向に並べられ、各リール101a、101b、101cの外周面にはその周方向に沿って複数種類の図柄が描かれている。遊技者は、表示窓42を通して3列のリールに描かれたそれぞれ上下方向3個の図柄を目視できるようになっている。
【0021】
また、パネル面41には、裏面側に設けられている図示しないランプを点灯させることで例えば入賞役への内部当選など遊技状態に関する情報を演出表示する遊技状態表示部43と、複数の発光ダイオードを点灯させてドット画像を演出表示するドットマトリクス表示部44、スロットマシン1にクレジット(貯留)されているメダル数や、入賞によって獲得したメダル数、又は入賞役への当選回数等の情報を数値表示する数値情報表示部45が、それぞれ表示窓42の周辺に設けられている。
【0022】
上部パネル部4の上部には、高輝度発光ダイオード等のランプ類を内蔵する演出用照明部46と、ゲームに係る効果音を発生させるスピーカを内蔵する演出用放音部47a、47bがそれぞれ配置されている。
【0023】
また、演出用放音部47a、47bの間には、透明な硬質プラスチック板等が嵌め込まれて形成された表示窓に面して液晶表示ユニット48が配置されている。なお、液晶表示ユニット48は、ゲームの演出に係る映像やゲーム(遊技)に関する情報を主に表示する。
【0024】
上部パネル部4の側部には、蛍光灯や高輝度発光ダイオードで形成された演出用照明部49a、49bが設けられている。ゲームの進行に応じて上述した複数の演出用照明部46、49a、49b等が点灯又は点滅することで、ゲームにおける視覚的な演出効果を高めるように形成されている。
【0025】
操作卓7の上面右側には、メダルを投入するための投入口を有するメダル投入部71が設けられている。また、当該上面の左側には、押しボタンスイッチである3個のベットボタン72、73、74が設けられている。
【0026】
ベットボタン72、73、74はスロットマシンの1ゲームに賭けるメダルの枚数を提示するためのボタンスイッチである。ゲームを開始する際に、ベットボタン72が押圧操作されることで、貯留されているメダルから1枚のメダルがゲームに対して賭けられる。同様に、ベットボタン73が押圧操作されることで2枚のメダルが賭けられ、ベットボタン74が押圧操作されることで3枚の当該ゲームにメダルが賭けられる。なお、ベットボタン74は、最大枚数のメダルを賭けることから、特に「マックスベットボタン」と呼ばれている。
【0027】
操作卓7の前面左側には、リール101a、101b、101cの回転開始を指示するためのスタートレバー75が設けられている。スタートレバー75は、先端に球形の操作ノブを有する揺動可能な操作旱を備え、操作旱が傾倒操作されるとオン、操作旱から手が離されるとスプリングの付勢力によって自動的に元の位置に戻ってオフ状態となるスイッチユニットで形成されている。
【0028】
また、操作卓7の中央には、各リール101a、101b、101cの回転停止をそれぞれ指示するためのストップボタン76a、76b、76cが各リールの配列に対応して並設されている。
【0029】
操作卓7の前面右側には、前扉3を開錠するための鍵が挿入される鍵穴77が設けられている。スロットマシン1の管理者等が鍵穴77に所定の鍵を挿入して開錠操作すると、蝶番機構によって筐体2に取り付けられている前扉3を前方へ開くことができ、また前扉3を筐体2側に閉じると、自動的にこれらを施錠するようになっている。
【0030】
下部パネル部5には、スロットマシン1のモデルタイプを遊技者へ認識させる等のため、登場キャラクターの絵などを表示するパネル51が設けられている。下部パネル部5の下側に配置された受皿ユニット6には、入賞時にメダルを排出するメダル払出口61と、払い出されたメダルを貯留する受皿部6aと、演出効果音を発生させるスピーカを内蔵する演出用放音部62がそれぞれ配置されている。
【0031】
次に、図2を参照して、筐体2の内部構造と前扉3の裏面構造とを説明する。同図において、筐体2内の上部には、スロットマシン1の全体動作を集中制御するCPU(マイコン)を備え硬質プラスチックのケースに収納された主制御基板20が取り付けられている。
【0032】
筐体2内の中央には、リール101a、101b、101cを備えるリールユニット100が設けられている。リールユニット100は、前扉3が筐体2側に閉じられると前扉3の表示窓42にリール101a、101b、101cが対向するように、所定フレームに位置決めされて取り付けられている。なお、各リール101a、101b、101cは、それぞれに内蔵されたステッピングモータによって回転駆動される。
【0033】
また、リールユニット100の上部には、各リールを回転駆動する上記ステッピングモータへ4相の駆動パルス信号を送出する回胴装置基板が取り付けられており、主制御基板20が回胴装置基板に回胴駆動(励磁)パルスデータを送出することで、各リールの回転と制動及び停止の制御を行っている。
【0034】
リールユニット100の下方には、ホッパ装置21と、ホッパ装置21から溢れたメダルを収容するための補助貯留部22と、主電源装置23が設けられている。主電源装置23の側面には、いわゆる配電盤に相当する電源装置基板24が設けられている。更に、筐体2の上部右側の内壁に、遊技場に設置されている「ホールコンピュータ」と呼ばれる管理用コンピュータと接続可能な外部集中端子基板25が取り付けられている。
【0035】
次に、前扉3の裏面側上部には、演出用照明部46の光源である高輝度の発光ダイオード31が複数配列されると共に、上述の演出用放音部47a、47bに対向してスピーカ32a、32bが取り付けられている。また、図2には示していないが、スピーカ32a、32bの間に、液晶表示ユニット48が取り付けられている。更に、液晶表示ユニット48の裏面側に、電気回路基板で形成されたサブ制御基板30が取り付けられている。
【0036】
なお、スロットマシン1全体の動作は、筐体2側に設けられている主制御基板20によって統括制御されており、サブ制御基板30は、液晶表示ユニット48による演出映像の表示制御、演出用照明部46、49a、49bを使った照明制御、及び演出用放音部47a、47b、62を使った演出効果音制御など、ゲームの演出に係る制御を主に行っている。
【0037】
サブ制御基板30の下方には、リール101a、101b、101cを目視させるための透明な表示窓42が形成されたパネル板が配置され、表示窓42の下方には、前面側のスタートレバー75及びストップボタン76a、76b、76c等の操作スイッチ類の出力信号を主制御基板20へ転送する中継基板として機能する中央表示基板33が設けられている。
【0038】
中央表示基板33の下方には、メダル選別装置34が取り付けられている。メダル選別装置34は、メダル投入部71に投入されたメダルの適否を判別し振り分ける装置である。また、メダル選別装置34はメダルセンサを内蔵しており、ゲームの待機状態等において正規のメダルが投入され、メダルセンサがこのメダルを検出することによって、メダル投入の受け付けを示す信号を主制御基板20へ送出する。
【0039】
メダル選別装置34の下方には、メダル選別装置34によって振り分けられた正規のメダルを筐体2内に設けられているホッパ装置21へ案内するガイド部材35と、メダル選別装置34により排除されたメダル(又は異物)をメダル排出口61へ案内するガイド部材36が設けられている。また、前扉3の裏面側下部には、ホッパ装置21から排出されたメダルをメダル排出口61へ案内するガイド部材37が設けられている。更に、メダル排出口61に隣接して、上述した演出用放音部62に対向するスピーカ38が取り付けられている。
【0040】
次に、リールユニット100の構造を図3を参照して説明する。なお、図3(a)は、リールユニット100に備えられたリール101aを分解して表した平面図、図3(a)は、リールユニット101aの側面図である。リールユニット100は、3個のリール101a、101b、101cがそれぞれ回転軸方向に並べられて組み立てられるが、ここでは、一のリール101aについてその構造を代表して説明する。
【0041】
リール101aは、ステッピングモータaの回転軸が挿入される軸穴を有するボス部102と、ボス部102を中心に放射状に延在する複数本のアーム部103と、アーム部103の先端部分に接続されボス部102の中心から同心円状に形成された第1リング部104と、第1リング部104と同一径を有し、これと所定の間隔をおいて平行に位置する第2リング部105と、第1リング部104と第2リング部105を複数カ所で連結する棒状の連結部106から構成され、これらを骨組み体として比較的軽質のプラスチックによって一体的に形成されている。また、一つのアーム部103には、内側に向けて延びる舌片状の遮光片107が形成されている。なお、円筒状のリール101aの外周面には、後述する複数種類の図柄が印刷された長尺状のプラスチックシートであるリールテープ108が捲装されている。
【0042】
ステッピングモータ110aの駆動軸にリール101aのボス部102が固着されることで、ステッピングモータ110aによるリール101aの回転駆動が可能となっている。なお、ステッピングモータ110aは、板状の基枠体111にボルト112で固定される。
【0043】
基枠体111に取り付けられるバックランプユニット113には、上下方向に3個のバックランプ114、115、116が設けられている。バックランプユニット113はリール101aの内部に収容され、ランプ114、115、116がリールテープ108の裏面を照射することにより、リールテープ108に描かれた3個の図柄を明るく表示するようになっている。
【0044】
また、バックランプユニット113を介して基準位置センサ120aが基枠体111に取り付けられており、リール101aが一回転する毎にリール101aのアーム部103に形成された遮光片107が基準位置センサ120aを遮光してオン動作させる。なお詳細は後述するが、本実施形態では、リールテープ108に21個の図柄が描かれ、リール101aが回転して先頭の図柄(図柄番号[0])が表示窓42の中央の有効ラインへさしかかると同時に、最後尾の図柄(後述する図柄番号[20])が当該有効ラインを超えた位置を基準位置として、基準位置センサ120aの出力信号が立ち上がるように形成されている。
【0045】
かかる構成のリール101a、101b、101cが3個配列してリールユニット100が組み立てられている。
【0046】
次に、図4のブロック図を参照して、スロットマシン1に設けられている制御システムについて説明する。
【0047】
主制御基板20は、CPU201の他にROM、RAM等の半導体メモリからなる記憶部203が備えられ、ここに予め記憶されているスロットマシンゲーム用のシステムプログラム204に従ってCPU201が演算処理を実行することで、スロットマシン1全体の動作を統括制御している。主制御基板20には、ベットボタン72、73、74、スタートレバー75、ストップボタン76a、76b、76c等の操作スイッチ類、メダル選別装置34のメダルセンサ34a等の検出スイッチ類が配線ケーブルで接続され、これらのスイッチ類からの出力信号によりゲームに係る操作が検出される。
【0048】
また、主制御基板20は、各リール101a、101b、101cに設けられる基準位置センサ120a、120b、120cの検出信号を入力し、各リールの基準となる回転位置を把握しながら、回胴装置基板130に所定の回胴駆動パルスデータを送出する。回胴装置基板130は、主制御基板20からの回胴駆動パルスデータに従って各ステッピングモータ110a、110b、110cを回転駆動することで、各リール101a、101b、101cの回転及び停止の動作を行っている。なお、主制御基板20による各リール101a、101b、101cの回転及び停止制御の詳細については後述する。
【0049】
また、主制御基板20には、ホッパ装置21等のメダル払出装置、及びサブ制御基板30がそれぞれ配線ケーブルによって接続されている。入賞が確定した際、主制御基板20はホッパ装置21を制御することで、所定数のメダルを受皿部6aに払い出す。サブ制御基板30は、主制御基板20からの制御信号に基づいて液晶表示ユニット48、演出用照明部46、49a、49b、演出用放音部47a、47b、62を制御駆動することで、遊技者の視覚や聴覚に訴える演出をゲームの進行に応じて行っている。
【0050】
なお、主制御基板20には、乱数抽選部202が設けられるとともに、記憶部203に、入賞抽選テーブル205が記憶されている。例えばCPU201は、スタートレバー75が操作された時点で乱数抽選部202を起動して乱数値を取得し、入賞抽選テーブル205を参照することで、得られた乱数値に割り当てられた入賞役またはハズレを抽選する。乱数値に対応する入賞役が存在すると、それを当該ゲームの入賞役として当選し、記憶部203の内部抽選フラグ206に記憶する。ここでは、かかる入賞役の抽選方法を「内部抽選」と呼んでいる。
【0051】
また、記憶部203には、図柄配列データ207、リール停止位置検索テーブル208、リール停止位置選択テーブル209等の書き換え不可の参照データテーブルが記憶され、更にリール停止コマフラグ210、リール制御フラグ211等の書き換え可能なデータフラグ用のメモリ領域が確保されている。これら参照データテーブル及びデータフラグは、リール101a、101b、101cの回転及び停止制御の際に用いられ、詳細については後述する。
【0052】
更に、主制御基板20には、後述する自動停止制御を起動するまでの時間を計測するタイマ212、及び各リール101a、101b、101cのステッピングモータ110a、110b、110cを制御するパルス信号(回胴駆動パルスデータ)の同期を取るためのタイマ割込生成部213が設けられている。
【0053】
次に、図5のフローチャートに基づいて、スロットマシン1におけるゲーム動作の概要を説明する。
【0054】
スロットマシン1は、先のゲームにおいて入賞しメダルの配当が完了した時、又は先のゲームにおいてハズレが確定すると待機状態となる。この待機状態においては、当該状態を遊技者に示唆するとともにゲーム操作を促す待機モードの演出が行われる(ステップS101)。遊技者がメダル投入部71にメダルを投入し何れかのベットボタン72、73、74を押圧操作することで、内部に貯留したメダル(クレジット)から当該ゲームに所定枚数のメダルが賭けられゲームが準備される(ステップS102:YES)。
【0055】
ゲーム準備の状態でスタートレバー75が傾倒操作されゲームが開始されると(ステップS103:YES)、主制御基板20は、3個のリール101a、101b、101cを一斉に回転させ始める(ステップS104)とともに、上述した内部抽選を実行する(ステップS105)。内部抽選の結果は、内部抽選フラグ206に記憶される。
【0056】
次に、遊技者により何れかのストップボタン76a、76b、76cが押圧操作されることで、主制御基板20がリール停止の操作を検出すると(ステップS106:YES)、押圧操作されたストップボタンに対応するリールを停止させる制御を行う(ステップS107)。そして、全てのリール101a、101b、101cが停止したことを検知すると(ステップS108:YES)、各リールが表示する図柄と上述の内部抽選フラグ206に対応する入賞役に係る図柄の組み合せとが一致しているかどうか判定する(ステップS109)。
【0057】
ステップS109の入賞の判定においては、例えば、ベットボタン74が押圧操作されることで当該ゲームに3枚のメダルが賭けられた場合、図6に示されるように、表示窓42を通して目視される9個の図柄のうち、上中下段のラインL1、L2、L3に沿って横3列に並んだ3組の図柄と、右に下る斜めのラインL4と左に下る斜めのラインL5に沿って対角線上に3列並んだ2組の図柄を調べ、何れか1つの組の図柄が内部抽選フラグ206に対応する入賞役に係る図柄の組み合せとが一致しているかどうか判定する。また、ベットボタン73が押圧操作され2枚のメダルが賭けられた場合には、入賞役に係る図柄の組み合せが判定される有効ラインは上中下段のラインL1、L2、L3のみとなる。更に、ベットボタン72が押圧操作され1枚のメダルが当該ゲームに賭けられた場合には、中央(中段)のラインL1のみを有効ラインとして、入賞図柄の組み合せが判定される。
【0058】
役への入賞が確定すると(ステップS109:YES)、当該役の種類に応じて予め決められた配当数のメダルを受皿部6aへ払い出す(ステップS110)。または配当数分のメダルを内部貯留しているクレジット数に加算してもよい。
【0059】
なお、主制御基板20は、ステップS103においてスタートレバー75によるゲーム開始操作を検知するとタイマ212を起動し、タイマ212が例えば40秒の既定時間経過を示した時(ステップS111:YES)に、全てのリールが回転中である場合(ステップS112:YES)に、当該リールを自動的に停止させる自動停止制御を行っている(ステップS114)。そして、自動停止されたリール101a、101b、101cについても、ステップS109において、それぞれのリールが表示する図柄に基づく入賞判定が行われる。
【0060】
また、主制御基板20は、タイマ212が例えば40秒の既定時間経過を示した時に、リール101a、101b、101cの内少なくとも一つが回転動作しているとともにリール101a、101b、101cの内少なくとも一つが停止し(ステップS112:NO)、かつ、入賞を形成しないハズレ図柄を選択し表示させて回転中のリールを停止可能な場合(ステップS113:YES)に、当該リールを自動的に停止させる自動停止制御を行っている(ステップS114)。
【0061】
さらに、主制御基板20は、前記既定時間経過を示した時に、リール101a、101b、101cの内少なくとも一つが停止し(ステップS112:NO)、かつ、例えば左リール101aの「チェリー」SA8、SA16(図7参照)がラインL1〜L5(図6参照)の何れかへのライン上に来た場合のように、全ての前記リールにおいて前記ハズレ図柄を表示可能でない場合(ステップS113:NO)に、ストップボタンによる停止制御ルーチンへ戻る(ステップS106)。
【0062】
次に、スロットマシン1における入賞形態の一例を図7及び図8を参照し説明する。図7は、各リール101a、101b、101cの外周に捲装されるリールテープ108に描かれた図柄の及びその配列の具体的な例を表し、説明のため各図柄の名称及び符号等を付記している。また、図8には、スロットマシン1における入賞形態を、図7に表示した図柄の組み合せを用いて例示する。
【0063】
図7において、各リール101a、101b、101cのリールテープには、7種類21個の図柄が適宜の順序で描かれ、それぞれの図柄に[0]から[20]の図柄番号が順次連続して割り当てられている。なお、本実施形態によるスロットマシン1においては、各リールは、表示窓42を通して表示される図柄が上から下へ移動する方向に回転するものとしている。このため、図7にあるように、図柄番号の順(昇順)に各図柄が変動表示されるようになっている。また、本実施形態では、400ステップ(最小可動単位が360度/400)のステッピングモータをリールの駆動原として使用するものとし、このため、各図柄の大きさに相当しリールの外周において占めるステップ数として、図柄番号0の図柄のみステップ数として[20]を、他の図柄番号1から20の図柄にはステップ数[19]を割り当てている。かかるステップ数の割り当ては、各リールにおいて共通している。
【0064】
図7に示した図柄の配列及び名称を有するスロットマシン1の入賞形態について、その具体的な一例を図8に基づいて説明する。なお、図8(a)は、一般遊技における入賞形態を表している。一般遊技における入賞は、入賞時に所定枚数のメダルを払い出す小役と、役物連続装置(レギュラーボーナス:「RB」と記載)または役物連続増加装置(ビッグボーナス:「BB」と記載)等の条件装置を作動させる大当たり役に概ね分けられる。
【0065】
なお、一般遊技中の再遊技役装置(リプレイ)は、先のゲームで投入したメダルの枚数を維持しつつ再ゲームの権利を遊技者に与える入賞役である。
【0066】
図8(b)は、役物連続装置(RB)が作動した場合における入賞形態を表し、このRBが作動すると遊技者は高確率で高配当の遊技状態(特別遊技状態)を所定の回数又は所定入賞回数に達するまで行うことができる。
【0067】
更に図8(c)は、役物連続増加装置(BB)が作動した場合における入賞形態を表しており、このBB中においては、上記特別遊技状態を更に所定の回数連続して遊技者に与えられる。
【0068】
次に、上述の入賞形態を有するスロットマシン1において、主制御基板20が実行するリール101a、101b、101cの回転及び停止制御についての詳細を説明する。図9は、図4に示したスロットマシン1のハードウエア資源を用いて主制御基板20に備えられる、リール101a、101b、101cの回転及び停止制御に係る手段を表すブロック図である。
【0069】
まず、主制御基板20には内部抽選手段250が備えられている。内部抽選手段250は、上述したように、スタートレバー75の操作を契機に乱数抽選部202を起動して乱数値を取得し、入賞抽選テーブル205を参照することで、得られた乱数値に割り当てられた入賞役またはハズレを抽選する。そして、内部抽選の結果を内部抽選フラグ206に記憶する。
【0070】
リール定速駆動手段251は、スタートレバー75の操作を契機に全てのリール101a、101b、101cの回転を開始して、各リールを一定の速度で回転させる制御を行う。ここで、図10は、リール定速駆動手段251とその他のリールの回転制御に係る手段が共有するリール制御フラグ211の構成を表す図である。なお、リール制御フラグ211は、各リール101a、101b、101cについて、それぞれ別個に備えられている。
【0071】
リール制御フラグ211は、更に、リール状態フラグRF1、センサ通過フラグRF2、図柄ステップフラグRF3、通過図柄番号フラグRF4、停止図柄番号フラグRF5、ステップカウンタフラグRF6を備え、それぞれに所定のバイト数が割り当てられている。
【0072】
リール状態フラグRF1には、当該リールの状態が記憶され、例えば、リールが停止中の時は[0]、回転加速中では[1]、定速動作中は[2]等の値が設定される。センサ通過フラグRF2には、リールが定速動作中に基準位置を通過して基準位置センサが検出信号を送出した時、[FFh](h符号は16進数表示とする)が設定される。
【0073】
図柄ステップフラグRF3には、表示窓42の中央のラインL1を通過中の図柄の位置を、各図柄に割り当てられた上述のステップ数で表して設定される。例えば、図7に示した図柄番号[1]の図柄がラインL1にさしかかると、その図柄に割り当てられたステップ数[19]が設定される。そしてリールが回転するに従いステッピングモータの単位ステップが過ぎる毎に図柄ステップフラグRF3も減少し、図柄の中心がラインL1上に来たときには、図柄ステップフラグRF3は、ほぼ[10]のステップ数を示すこととなる。
【0074】
通過図柄番号フラグRF4には、現在ラインL1上を通過している図柄の図柄番号が設定される。停止図柄番号フラグRF5には、当該リールにおいて停止させるべき図柄の図柄番号が設定される。なお、停止図柄番号フラグRF5は、後述する入賞図柄またはハズレ図柄の引き込み制御が行われる際に、所定の停止図柄選択手順に従って設定される。かかる引き込み制御等が行われない場合には、[FFh]がデフォルトとして設定されている。
【0075】
ステップカウンタフラグRF6は、リールが定速動作中においては、主制御基板20がステッピングモータを単位ステップだけ動作させる毎にインクリメントされる。なお、主制御基板20は、タイマ割込生成部213からの割込(例えば1.87msec)毎にリール制御フラグ211を更新するとともに、リールを駆動するステッピングモータに対しては、当該割込信号すなわちリール制御フラグ211の更新に同期して単位ステップだけ回転動作を進めるパルス信号(励磁データ)を回胴装置基板130に送出している。
【0076】
図11は、リールの定速動作中におけるリール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。同図によれば、リールが単位ステップだけ回転するに同期して、図柄ステップフラグRF3が減算(デクリメント)され、この値が[1]以下になると、次の図柄番号が通過図柄番号フラグRF4に設定される。また、定速動作中に基準位置センサがオン動作し出力信号の立ち上がりが検出された時、センサ通過フラグRF2に[FFh]が設定され、通過図柄番号フラグRF4が図柄番号[0]に設定され、図柄ステップフラグRF3が図柄番号[0]の図柄に割り当てられたステップ数である[20]に設定される。
【0077】
かかるリール制御フラグ211を主制御基板20のリール定速駆動手段251が逐一更新することで、中央のラインL1上に表示する図柄の種類(図柄番号)及びリールの回転位置を正確に把握し、当該リールを定速で回転制御することが可能となっている。
【0078】
次に、図9において示される、主制御基板20に備えられるストップ操作停止制御手段260を説明する。ストップ操作停止制御手段260は、ストップボタン76a、76b、76cが押圧操作に応じて対応するリールの回転を停止させる。なお、ストップ操作停止制御手段260のリール制動手段262は、ストップボタンによる停止操作が検出された時点でリール制御フラグ211の図柄ステップフラグRF3が[17]以上の値(ステップ数)を示していれば、当該図柄を中央のラインL1上に停止させることができるように設計されている。
【0079】
ストップ操作停止制御手段260について、目押し制御と呼ばれる、停止操作直後にリールの回転を停止させる動作を説明する。図12は、かかるリール停止動作におけるリール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。図12によれば、通過図柄番号フラグRF4が示す図柄番号[9]がラインL1を通過中にストップボタンによる停止操作が検出され、この時図柄ステップフラグRF3が[19]を示しているので、ストップ操作停止制御手段260(リール停止位置選択手段261)は、リール制御フラグ211の次の更新において、当該図柄番号[9]を停止図柄番号フラグRF5に設定する。そして、ストップ操作停止制御手段260(リール制動手段262)は、ステップフラグRF3が[16]になった時点で、ステッピングモータへの4相の駆動パルス信号を全てオンさせる励磁データを回胴装置基板130に送出することでリールの制動を行う。これにより、図柄番号[9]の当該図柄がラインL1の中央に停止することとなる。
【0080】
次に、図13は、ストップボタンによる停止操作がされた時点で図柄ステップフラグRF3が[17]よりも小さな値を示す場合のリール停止動作における、リール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。図13によれば、通過図柄番号フラグRF4が示す図柄番号[9]がラインL1を通過中にストップボタンが操作され、この時図柄ステップフラグRF3が[16]を示しているので、リール停止位置選択手段261は、当該図柄の次の番号[10]を停止図柄番号フラグRF5に設定する。そして、リール制動手段262は、図柄番号[10]の図柄がラインL1に到達するまで当該リールの制動を行わないことで、図柄番号[9]の図柄を滑らせる。そして、図柄番号[10]の図柄がラインL1に到達し、ステップフラグRF3が[16]になった時点で、ステッピングモータへの制動を行う。これにより、図柄番号[10]の図柄がラインL1の中央に停止することとなる。
【0081】
次に、特定の図柄をラインL1上に停止させる引き込み制御と呼ばれるリールの制動制御を説明する。図14は、引き込み制御におけるリール制御フラグ211の推移例を表すタイムチャートである。例えば、通過図柄番号フラグRF4が示す図柄番号[9]がラインL1を通過中にストップボタンが操作されると、リール位置選択手段261は、内部抽選フラグ206を調べ、仮に一の入賞役に当選しその入賞役に係る図柄がラインL1を通過中の図柄から所定の滑りコマ数(例えば5コマ)だけ先に配置された図柄の中にある場合、その図柄の図柄番号、例えば[13]を停止図柄番号フラグRF5に設定する。リール制動手段262は、入賞に係る図柄番号[13]の図柄がラインL1に到達するまで、リールの制動を行わず、その間の図柄を滑らせる。そして、図柄番号[13]の図柄がラインL1に到達し、ステップフラグRF3が[16]になった時点で、ステッピングモータへの制動を行う。これにより、入賞に係る図柄がラインL1の中央に停止することとなる。
【0082】
かかるリール停止位置選択手段261が内部抽選フラグ206に基づいて停止すべき図柄を選択する動作を更に説明する。リール停止位置選択手段261は、各図柄がラインL1上に到達する毎に、図15に示されるようなリール停止コマフラグ210を設定更新している。ここで、リール停止コマフラグ210は、ラインL1上の図柄と滑り制御を行うコマ数の和、すなわち本実施形態では6コマ分(6ビット)のビット配列から形成されている。リール停止位置選択手段261は、現在ラインL1上の表示図柄を含め滑り制御可能なそれぞれの図柄について、停止させるべき図柄であれば停止ビット[1]を、停止させない図柄であれば蹴飛ばしビット[0]をそれぞれの図柄のビット目に設定する。そして、ストップボタンの操作時に、リール停止コマフラグ210を参照し、上記停止ビットが設定された図柄のうち、現在ラインL1上にある表示図柄から最も近い図柄の図柄番号を停止図柄番号フラグRF5に設定している。
【0083】
図15に基づいて、例えばBBに内部当選中にリール停止位置選択手段261によって設定されるリール停止コマフラグ210の設定例を説明する。なお、この例は、「赤セブン」の図柄が何れかのラインL1〜L5上に停止するように引き込み制御される場合について示している。また、図15に示される例は、全てのリールが回転状態であって、第1投目のリール停止操作待ちの状態における、リール停止コマフラグ210の抜粋である。例えば、回転する中央のリール101bの図柄「リプレイ」SB10がラインL1上を通過している場合について説明すると、リール停止位置選択手段261は、当該状態から5コマ先までの図柄がラインL1上にあるケースをそれぞれ想定し、各ケースでBBに係る図柄「赤セブン」がラインL1、L2、L3の何れかに表示されるか、例えば図柄配列データ207を参照して調べる。そして、各ケースにおいて、上記各ライン上に当該図柄「赤セブン」がないときは、当該図柄の引き込み制御ができないので、リール停止コマフラグ210の全てのビットを停止ビット[1]に設定する。この場合、図柄「リプレイ」SB10がラインL1を通過中にストップボタン76bによる停止操作がされると、直近の図柄、すなわち当該「リプレイ」SB10または「ベル」SB9がラインL1上に停止することとなる。
【0084】
また、例えば、中央のリール101bの図柄「ベル」SB9がラインL1上を通過している場合について説明すると、上述した例と同様にリール停止位置選択手段261は、当該状態から5コマ先までの図柄がラインL1上にあるケースをそれぞれ想定し、各ケースでBBに係る図柄「赤セブン」が何れかのラインL1、L2、L3上に表示されるかリール図柄配列から調べる。この例の場合、図柄「ベル」SB9から5コマ先の図柄「BAR」SB4がラインL1上に滑り制御されると、入賞に係る図柄「赤セブン」SB3がラインL2上に来るため、リール停止コマフラグ210の5コマ目のビットが停止ビット[1]に設定される。そして、リール停止コマフラグ210のその他のビットは蹴飛ばしビット[0]に設定される。この場合、図柄「ベル」SB9がラインL1を通過中にストップボタン76bによる停止操作がされると、5コマ分の図柄が滑り制御され、図柄「BAR」SB4がラインL1上に停止するとともに、入賞に係る「赤セブン」SB3がラインL2上に引き込み制御される。
【0085】
次に、図9のブロック図に示した主制御基板20に備えられる自動停止制御手段270について説明する。なお、自動停止制御手段270は、停止させるべき図柄を選択し上述のリール停止コマフラグ210を設定するリール停止位置選択手段271と、同じくリール停止コマフラグ210及びリール制御フラグ211を使ってリールの制動を行うリール制動手段272とを有している。
【0086】
自動停止制御手段270の動作を図16及び図17のフローチャートを参照して説明する。なお、自動停止制御は、上述したように、スタートレバー75が操作されてから、既定時間(例えば40秒)経過後、上述したように、スタートレバー75が操作されてから、既定時間(例えば40秒)経過後、ストップボタンによる停止操作がされていない回転中のリールに対して施される回転停止制御のことをいう。図16によれば、自動停止制御手段270は、左リール101a、中央リール101b、右リール101cの順で回転中のリールに対し図17に示す自動停止制御を行う。
【0087】
すなわち、自動停止制御手段270は、スタートレバー75が操作された時点から既定時間が経過したと判定し(ステップS201:YES)、複数のリール(左リール101a、中央リール101b、右リール101c)の全てが回転中であれば(ステップS202:YES、ステップS204:YES)、左リール101aに対する自動停止制御のサブルーチンを起動する(ステップS205)。
【0088】
また、主制御基板20は、スタートレバー75が操作されてから、既定時間(例えば40秒)経過後、複数のリール(左リール101a、中央リール101b、右リール101c)の内少なくとも一つが回転動作しているとともにリール101a、101b、101cの内少なくとも一つが停止し(ステップS202:NO)、かつ、前記ハズレ図柄を選択して回転中のリールを停止可能な場合(ステップS203:YES)に、左リール101aが回転中か否かの判定(ステップS204)を行う。
【0089】
また、主制御基板20は、停止したリールにより入賞が回避できない場合(ステップS203:NO)に、ストップボタンによる停止制御ルーチンへ戻る。
【0090】
主制御基板20は、左リール101aが回転中か否かの判定(ステップS204)において、左リール101aが停止中の場合(ステップS204:YES)、左リール101aに対する自動停止制御のサブルーチンを起動する(ステップS205)。
【0091】
そして主制御基板20は、当該自動停止制御のサブルーチンを起動(ステップS205)から例えば200msec程度待機して時間調整を行う(ステップS206)。
【0092】
左リール101aが停止中の場合(ステップS204:NO)、または左リール101aが自動停止制御され時間調整された後、中央リール101bが回転中か調べ、中央リール101bが回転中であれば(ステップS207:YES)、中央リール101bに対する自動停止制御のサブルーチンを起動し(ステップS208)、同じく、当該起動から例えば200msec程度待機して時間調整を行う(ステップS209)。
【0093】
中央リール101bが停止中の場合(ステップS207:NO)、または中央リール101bが自動停止制御され時間調整された後、右リール101cが回転中か調べ、右リール101cが回転中であれば(ステップS210:YES)、右リール101cに対する自動停止制御のサブルーチンを起動する(ステップS211)。
【0094】
かかる条件下で起動される自動停止制御のサブルーチンを図17のフローチャートに基づいて説明する。自動停止制御が開始されると、リール停止位置選択手段271は、図18に例示するリール停止位置検索テーブル208を参照し、当該リールの停止図柄テーブル(リール停止位置選択テーブル209)を特定する(ステップS301)。
【0095】
ここで、図18に示されるリール停止位置検索テーブル208には、全てのリールが停止状態である場合を除き、各リールによる表示状態の全ての組み合せ毎にリール停止位置選択テーブル209の記憶場所(停止位置選択テーブル209のファイル名としても良い)が対応づけられている。すなわち、回転中のリールの表示を含めれば一のリールにおいて22の表示状態があるので、3個のリールでは22×22×22組の表示状態の組み合せとなる。全てのリールが停止した際の表示状態の組み合せは21×21×21組あるので、これを差し引いた数の1387個のリール停止位置選択テーブル209が主制御基板20に用意されている。
【0096】
例えば、図18によれば、リール停止位置選択手段271は、スタートレバー75が操作されてから、既定時間(例えば40秒)経過後、全てのリールが回転中の場合、停止位置選択テーブル209としてAST_A0B0C0を特定し、最初に自動停止させるリール(例えば左リール101a)に描かれている全ての図柄についてリール停止位置選択テーブル209を参照することでハズレ図柄を選択し、左リール101aのみが停止した状態で当該リールが図柄SA1、SA2、SA3を表示している場合には、AST_A1B0C0を特定する。このように、リールの表示状態(回転状態も含む)に基づいて、一のリール停止位置選択テーブル209が特定される。
【0097】
なお、図19は、リール停止位置選択テーブル209の内容を抜粋して例示する表である。図19によれば、各リール停止位置選択テーブル209には、図柄毎にリール停止コマフラグ210に設定されるべきビット値が予め設定されている。つまり、リールが自動停止制御される際に、各リールの表示状態に基づいて選択されたリール停止位置選択テーブル209に記載されているビット配列をリール停止コマフラグ210に設定することで、ハズレの図柄が有効ライン上に引き込み制御されるようになっている。
【0098】
例えば、左のリール101aのみが上段から下段にかけて図柄「リンゴ」SA1、「赤セブン」SA2、「赤セブン」SA3を停止表示している場合にリール停止位置選択テーブルAST_A1B0C0が選択され、このリール停止位置選択テーブルにおいて、次の自動停止の対象である中央のリール101bの各図柄について引き込み制御可能な停止ビットがそれぞれ設定されている。具体的に、リール101bの図柄「リプレイ」SB1について言えば、当該図柄をラインL1から2コマ、3コマ及び4コマ滑らせた場合には、中央のリール101bが表示する図柄は、ラインL1〜L5の何れのライン上においても、左リール101aが表示する3個の図柄とは一致しない、いわゆる非テンパイになることがリール図柄の配列からわかっている。そこで、リール停止位置選択テーブルAST_A1B0C0における図柄SB1については、当該各ビット配列の設定を図柄の滑り順に[0]、[0]、[1]、[1]、[1]、[0]としている。他の図柄及び、他のリール停止位置選択テーブルについても同様に、既に停止しているリールが表示する図柄の配列に基づいて、入賞を形成しないハズレの図柄が有効ライン上に引き込み制御されるようにそれぞれのビット配列が設定されている。このように、各リール停止位置選択テーブル209において、リール停止コマフラグ210に設定すべき各図柄に係るビット配列を予め設定することで、自動停止制御時において入賞を形成しない図柄の引き込み制御が高速で行われるようになっている。
【0099】
次に、リール停止位置選択手段271は、自動停止しようとする当該リールが中央のラインL1上に現在表示している図柄を特定する(ステップS302)。そして、ステップS301で特定したリール停止選択テーブル209を参照し、ラインL1上に表示する図柄に係るビット配列をそのままリール停止コマフラグ210に設定する(ステップS303)。
【0100】
次に、リール制動手段272は、リール停止コマフラグ210に基づいて、引き込み制御すべき図柄の図柄番号をリール制御フラグ211の停止図柄番号フラグRF5に設定する。このとき、リール停止コマフラグ210のビット配列のうち、0コマ目(ラインL1を通過中の図柄)から最も近い停止ビットが立てられた図柄の図柄番号が停止図柄番号フラグRF5に設定される。そして、当該設定された図柄をラインL1上の位置に表示するよう引き込み制御を行ってリールを停止させる(ステップS304)。
【0101】
例えば、上述のリール停止位置選択テーブルAST_A1B0C0が選択される場合において、中央のリール101bの図柄「リプレイ」SB1がラインL1を通過中に当該自動停止制御が起動された場合、リール停止位置選択手段271によって設定されるリール停止コマフラグ210から、直近の停止ビットが設定される図柄番号、すなわち、2コマ目の図柄である「マンゴ」SB20の図柄番号[2]を引き込み制御すべき図柄としてリール制御フラグ211の停止図柄番号フラグRF5に設定する。これにより、リール制動手段272は、「マンゴ」SB20をラインL1上に引き込み制御して停止させることで、ラインL1〜L5の全てのライン上において、左リール101aが表示する3個の図柄とは一致しない図柄を中央のリール101bに表示している。これにより、左のリール101aと中央のリール101bが表示する図柄の組み合せが非テンパイとなり、入賞の可能性が失われる。
【0102】
かかる構成のスロットマシン1によれば、一定時間全てのリールの停止操作がされず当該リールの自動停止制御が起動された場合には、ハズレ図柄が有効ライン上に自動停止するよう制御される。前記一定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作しているとともに前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつハズレ図柄を選択可能な場合には、ハズレ図柄が有効ライン上に自動停止するよう制御される。前記一定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作しているとともに前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ停止したリールにより入賞が回避できない場合には、回転中のリールの自動停止を回避する。したがって、リールの自動停止を意図的に行い入賞の確率を高める等の問題は解消される。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、本発明の実施形態によるスロットマシンの外観構造を表した斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態によるスロットマシンの内部構造を表した図である。
【図3】図3(a)は、本発明の実施形態による一のリールの構造を分解して表した平面図、図3(b)は、一のリールの側面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態によるスロットマシンの制御システムを表したブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおけるゲーム動作の概要を表すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施形態によるスロットマシンの表示窓に表示される図柄と、ゲーム結果の判定に用いる有効ラインを表す図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態によるリールの図柄の配列と各図柄の名称及び符号を付記した表である。
【図8】図8は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおける入賞形態を例示する表である。
【図9】図9は、本発明の実施形態によるスロットマシンに備えられる、リールの回転動作制御に係る手段を表すブロック図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態によるリール制御コマフラグの構成を表す図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおいて、リールの定速動作中におけるリール制御フラグの推移例を表すタイムチャートである。
【図12】図12は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおいて、ストップボタン受付後のリール停止動作におけるリール制御フラグの推移の一例を表すタイムチャートである。
【図13】図13は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおいて、ストップボタン受付後のリール停止動作におけるリール制御フラグの推移の他の例を表すタイムチャートである。
【図14】図14は、本発明の実施形態によるスロットマシンにおいて、ストップボタン受付後の引き込み制御におけるリール制御フラグの推移例を表すタイムチャートである。
【図15】図15は、本発明の実施形態によるスロットマシンが役物連続増加装置作動の内部当選中において、リール停止コマフラグに設定される内容を例示する表である。
【図16】図16は、本発明の実施形態による、リールの自動停止動作を表すフローチャートである。
【図17】図17は、本発明の実施形態による、リールに対する自動停止制御の詳細な動作を表すフローチャートである。
【図18】図18は、本発明の実施形態によるリール停止位置検索テーブルの構成とその内容を抜粋して例示する図である。
【図19】図19は、本発明の実施形態による回転中のリールを停止させる操作を促す表示を示す説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1…スロットマシン、 2…筐体、 3…前扉、 4…上部パネル部、
5…下部パネル部、 6…受皿ユニット、 6a…受皿部、 7…操作卓、
20…主制御基板、 21…ホッパ装置、 22…補助貯留部、
23…主電源装置、 24…電源装置基板、 25…外部集中端子基板、
30…サブ制御基板、 31…発光ダイオード、
32a、32b…スピーカ、 33…中央表示基板、
34…メダル選別装置、 34a…メダルセンサ、
35、36、37…ガイド部材、 38…スピーカ、
41…パネル面、 42…表示窓、 43…遊技状態表示部、
44…ドットマトリクス表示部、 45…数値情報表示部、
46…演出用照明部、 47a、47b…演出用放音部、
48…液晶表示ユニット、 49a、49b…演出用照明部、
51…パネル、 61…メダル払出口、 62…演出用放音部、
71…メダル投入部、 72、73、74…ベットボタン、
75…スタートレバー、 76a、76b、76c…ストップボタン、
77…鍵穴、
100…リールユニット、
101a、101b、101c…リール、
102…ボス部、 103…アーム部、 104…第1リング部、
105…第2リング部、 106…連結部、 107…遮光片、
108…リールテープ、
110a、110b、110c…ステッピングモータ、
111…基枠体、 112…ボルト、 113…バックランプユニット、
114、115、116…ランプ、
120a、120b、120c…基準位置センサ、
130…回胴装置基板、
201…CPU、 202…乱数抽選部、 203…記憶部、
204…システムプログラム、 205…入賞抽選テーブル、
206…内部抽選フラグ、 207…図柄配列データ、
208…リール停止位置検索テーブル、
209…シール停止位置選択テーブル、
210…リール停止コマフラグ、 211…リール制御フラグ、
212…タイマ、 213…タイマ割込生成部、
250…内部抽選手段、 251…リール定速駆動手段、
260…ストップ操作停止制御手段、 261…リール停止位置選択手段、
262…リール制動手段、 270…自動停止制御手段、
271…リール停止位置選択手段、 272…リール制動手段、
300…演出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に複数種類の図柄が描かれた複数のリールと、前記複数のリールの回転開始操作を行うためのスタートレバーと、前記各リールの回転をそれぞれ停止させる操作を行うためのストップボタンと、前記スタートレバーによる前記リールの回転開始から所定時間経過後に回転中のリールを停止させることが可能な自動停止手段とを備える回胴式遊技機であって、
前記自動停止手段は、前記所定時間経過後に全ての前記リールが回転動作している場合に、当該全てのリールについて、入賞を形成しない図柄を選択し表示させ、
前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作し、かつ、前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ、全ての前記リールにおいて前記入賞を形成しない図柄を表示可能な場合に、回転中のリールについて前記入賞を形成しない図柄を選択し表示させ、
前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作し、かつ、前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ、全ての前記リールにおいて前記入賞を形成しない図柄を表示可能でない場合に、回転中のリールの自動停止を行わないことを特徴とする回胴式遊技機。
【請求項2】
前記自動停止手段は、すでに自動停止させたリールが表示している図柄に基づいて、自動停止させるリールにおいて入賞を形成しない図柄を選択する停止図柄選択手段と、
前記停止図柄選択手段により選択された前記入賞を形成しない図柄を表示する位置に当該リールを停止させるリール制動手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の回胴式遊技機。
【請求項3】
前記停止図柄選択手段は、自動停止させるリールに描かれている全ての図柄について前記入賞を形成しない図柄の位置が予め設定されるとともに前記各リールの表示状態に基づいて検索される停止図柄テーブルを参照することで前記入賞を形成しない図柄を選択することを特徴とする請求項2に記載の回胴式遊技機。
【請求項1】
周面に複数種類の図柄が描かれた複数のリールと、前記複数のリールの回転開始操作を行うためのスタートレバーと、前記各リールの回転をそれぞれ停止させる操作を行うためのストップボタンと、前記スタートレバーによる前記リールの回転開始から所定時間経過後に回転中のリールを停止させることが可能な自動停止手段とを備える回胴式遊技機であって、
前記自動停止手段は、前記所定時間経過後に全ての前記リールが回転動作している場合に、当該全てのリールについて、入賞を形成しない図柄を選択し表示させ、
前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作し、かつ、前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ、全ての前記リールにおいて前記入賞を形成しない図柄を表示可能な場合に、回転中のリールについて前記入賞を形成しない図柄を選択し表示させ、
前記所定時間経過後に前記複数のリールの内少なくとも一つが回転動作し、かつ、前記複数のリールの内少なくとも一つが停止し、かつ、全ての前記リールにおいて前記入賞を形成しない図柄を表示可能でない場合に、回転中のリールの自動停止を行わないことを特徴とする回胴式遊技機。
【請求項2】
前記自動停止手段は、すでに自動停止させたリールが表示している図柄に基づいて、自動停止させるリールにおいて入賞を形成しない図柄を選択する停止図柄選択手段と、
前記停止図柄選択手段により選択された前記入賞を形成しない図柄を表示する位置に当該リールを停止させるリール制動手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の回胴式遊技機。
【請求項3】
前記停止図柄選択手段は、自動停止させるリールに描かれている全ての図柄について前記入賞を形成しない図柄の位置が予め設定されるとともに前記各リールの表示状態に基づいて検索される停止図柄テーブルを参照することで前記入賞を形成しない図柄を選択することを特徴とする請求項2に記載の回胴式遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−509(P2006−509A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181712(P2004−181712)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
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