説明

回覧文書管理システム、回覧文書管理方法及び回覧文書管理プログラム

【課題】回覧文書の閲覧状況を把握するとともに、この閲覧状況に応じて変更内容を効率的に周知させるための回覧文書管理システム、回覧文書管理方法及び回覧文書管理プログラムを提供する。
【解決手段】ユーザ端末10に接続されている回覧管理サーバ20は、制御部21や配布先データ記憶部26等を備える。配布先データ記憶部26には、文書IDに関連してこの文書の配布先アドレス、これに関連付けられる配布先レベル及び既読フラグが記録される。制御部21は、ユーザ端末10から、回覧処理における更新登録を受信した場合、この登録情報に含まれる変更レベルに基づいて改訂であるか否かを判断し、改訂の場合には、この文書IDに関連付けられ、「高」の配布先レベルで既読フラグが記録されているユーザのメールアドレスに対して、改訂登録通知を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数人が閲覧する回覧文書について管理を行なう回覧文書管理システム、回覧文書管理方法及び回覧文書管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数人に対して情報を周知させたい場合に、この情報を印刷した紙ベースの文書を回覧させることがある。更に、回覧中に文書に間違いが見つかった場合には、回覧文書を回収し、間違いを訂正して再回覧させる必要がある。
【0003】
また、近年のコンピュータ技術の発達により、紙ベースの文書の回覧だけでなく、所定のサーバに電子化された回覧文書を格納し、ユーザに回覧文書を閲覧させる場合もある。この場合には、回覧文書の回収の必要はなく、間違いを訂正し、各ユーザに再閲覧させることができる。このような回覧用文書の管理において、各ユーザによる加筆を許容するともに、編集内容を改変させることなく文書を伝達するための技術も検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1によれば、利用者側装置が、回覧対象の文書ファイルに対して書き込みの指示を受けると、文書ファイル内に新規のレイヤを生成する。そして、各利用者によって書き込まれた文書要素を生成したレイヤに格納し、レイヤに格納された文書要素の閲覧又は編集に関連する属性をレイヤ毎に設定する。これにより、各利用者による加筆を許容しつつ、各利用者の編集内容を改変させることなく文書を伝達することができる。
【特許文献1】特開2004−46414号公報(図2及び図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような回覧文書において、複数の種類の文書や、複数のバージョンが存在する場合には、回覧文書の管理者は、各ユーザ(回覧対象者)の閲覧状況を把握したい場合がある。特に、回覧文書が改訂された場合、改訂前に回覧文書を閲覧したユーザに対しては注意を喚起する必要がある。
【0005】
一方、多くの回覧文書について変更の度に、各ユーザに対して通知を行なったり、閲覧させたりすると、ユーザにとって煩わしくなる場合もある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされ、この目的は、回覧文書の閲覧状況を把握するとともに、この閲覧状況に応じて変更内容を効率的に周知させるための回覧文書管理システム、回覧文書管理方法及び回覧文書管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ユーザに閲覧させる回覧文書を特定するための文書識別子に関連付けて、変更された文書の変更レベルを記録する変更レベルデータ記憶手段と、文書を閲覧するユーザを特定するためのユーザ識別子に関連付けて、このユーザが文書を読んだことを示す既読フラグを記録する配布先データ記憶手段と、各ユーザが用いるユーザ端末に接続される制御部とを備え、回覧文書の閲覧管理を行なうシステムであって、前記制御部が、変更された文書の文書識別子及び変更レベルを含む更新登録情報を取得する更新登録情報取得手段と、前記更新登録情報に含まれる変更レベルに応じて、前記配布先データ記憶手段から、前記更新登録情報に含まれる文書識別子に関連付けられたユーザ識別子であって、更に既読フラグが記録されているユーザ識別子を特定する配布先特定手段と、前記特定したユーザ識別子のユーザが用いるユーザ端末に対して、前記文書が変更されたことを通知する通知手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回覧文書管理システムにおいて、前記更新登録情報には、回覧文書において変更された変更箇所に関する情報が含まれており、前記通知手段は、前記登録情報から前記変更箇所に関する情報を抽出し、この変更箇所についてのメッセージを含む通知を行なうことを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回覧文書管理システムにおいて、前記配布先データ記憶手段は、前記ユーザ識別子に関連付けて、変更通知の要否を判断するための配布先レベルが記録されており、前記配布先特定手段は、前記特定したユーザ識別子のうち、変更通知を行なう配布先レベルが記録されているユーザ識別子を特定することを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の回覧文書管理システムにおいて、回覧文書の種別を特定するための文書種別識別子に関連付けて文書レベルを記録した文書レベルデータ記憶手段と、前記部署識別子に関連付けられたユーザ識別子に対して職位識別子を記録した所属データ記憶手段とを更に備え、前記制御部は、新規登録文書について、文書種別識別子及びこの回覧文書を閲覧させる部署の部署識別子に関する情報を取得した場合、前記文書レベルデータ記憶手段を用いて、この文書種別識別子に関連付けた文書レベルを抽出し、前記所属データ記憶手段を用いて、前記抽出した部署識別子に関連付けられたユーザ識別子のうち、前記抽出した文書レベルに一致する職位識別子のユーザ識別子を特定し、このユーザ識別子のユーザが用いるユーザ端末を回覧先として特定する回覧先設定手段を備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、ユーザに閲覧させる回覧文書を特定するための文書識別子に関連付けて、変更された文書の変更レベルを記録する変更レベルデータ記憶手段と、文書を閲覧するユーザを特定するためのユーザ識別子に関連付けて、このユーザが文書を読んだことを示す既読フラグを記録する配布先データ記憶手段と、各ユーザが用いるユーザ端末に接続される制御部とを備えた回覧文書管理システムを用いて、回覧文書の閲覧管理を行なう方法であって、前記制御部が、変更された文書の文書識別子及び変更レベルを含む更新登録情報を取得する更新登録情報取得段階と、前記更新登録情報に含まれる変更レベルに応じて、前記配布先データ記憶手段から、前記更新登録情報に含まれる文書識別子に関連付けられたユーザ識別子であって、更に既読フラグが記録されているユーザ識別子を特定する配布先特定段階と、前記特定したユーザ識別子のユーザが用いるユーザ端末に対して、前記文書が変更されたことを通知する通知段階とを実行することを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、ユーザに閲覧させる回覧文書を特定するための文書識別子に関連付けて、変更された文書の変更レベルを記録する変更レベルデータ記憶手段と、文書を閲覧するユーザを特定するためのユーザ識別子に関連付けて、このユーザが文書を読んだことを示す既読フラグを記録する配布先データ記憶手段と、各ユーザが用いるユーザ端末に接続される制御部とを備えた回覧文書管理システムを用いて、回覧文書の閲覧管理を行なうためのプログラムであって、前記制御部を、変更された文書の文書識別子及び変更レベルを含む更新登録情報を取得する更新登録情報取得手段と、前記更新登録情報に含まれる変更レベルに応じて、前記配布先データ記憶手段から、前記更新登録情報に含まれる文書識別子に関連付けられたユーザ識別子であって、更に既読フラグが記録されているユーザ識別子を特定する配布先特定手段と、前記特定したユーザ識別子のユーザが用いるユーザ端末に対して、前記文書が変更されたことを通知する通知手段として機能させることを要旨とする。
【0012】
(作用)
請求項1、5又は6に記載の発明によれば、回覧文書管理システムは、文書を閲覧する
ユーザを特定するためのユーザ識別子に関連付けて、このユーザが文書を読んだことを示す既読フラグを記録する配布先データ記憶手段を備える。これにより、各ユーザにおける回覧文書の閲覧状況を把握することができる。
【0013】
そして、制御部は、更新登録情報に含まれる変更レベルに応じて、配布先データ記憶手段から、更新登録情報に含まれる文書識別子に関連付けられたユーザ識別子を取得する。この中で更に既読フラグが関連付けられているユーザ識別子を特定する。そして、制御部は、特定したユーザ識別子のユーザが用いるユーザ端末に対して、文書が変更されたことを通知する。これにより、変更前に回覧文書を閲覧したユーザは、変更されたことを知ることができる。また、変更前の文書を閲覧していなかったユーザに対しては通知を行なわないので、不必要な通知を削減することができる。
【0014】
また、更新登録情報に含まれる変更レベルに応じて、文書が変更されたことを通知するユーザを特定する。これにより、例えば、誤記などの簡単な修正が行なわれた場合には、既に閲覧したユーザに対しても通知を行なわないように制御することができる。従って、形式的な修正については、通知を省略することにより、煩雑さを低減することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、制御部は、変更箇所についてのメッセージを含んだ通知を行なう。このため、ユーザは、通知によって変更箇所について情報を知ることができるので、回覧文書を閲覧しなくても、効率的に変更後の内容を把握することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、配布先データ記憶手段には、ユーザ識別子に関連付けて、変更通知の要否を判断するための配布先レベルが記録される。そして、特定したユーザ識別子のうち、変更通知を行なう配布先レベルが記録されているユーザ識別子を特定し、このユーザ識別子のユーザが用いるユーザ端末に対して通知を行なう。これにより、回覧文書について変更があった場合でも、通知が不要なユーザに対しては通知を省略することができる。従って、通知が必要なユーザに対してのみ通知を行ない、ユーザにおける煩雑さを低減することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、制御部は、新規登録文書について、文書種別識別子及びこの回覧文書を閲覧させる部署の部署識別子に関する情報を取得した場合、文書レベルデータ記憶手段を用いて、この文書種別識別子に関連付けた文書レベルを抽出する。そして、所属データ記憶手段を用いて、部署識別子に関連付けられたユーザ識別子のうち、文書レベルに一致する職位識別子のユーザ識別子を特定する。そして、このユーザ識別子のユーザが用いるユーザ端末を回覧先として特定する。これにより、制御部は、新規登録文書の文書種別と部署識別子とに応じて回覧先を特定することができる。従って、回覧先をまとめて効率的に設定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、回覧文書の閲覧状況を把握するとともに、この閲覧状況に応じて変更内容を効率的に周知させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した回覧文書管理システムの一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。本実施形態の回覧文書管理システムは、複数の回覧文書について、各ユーザの閲覧状況を管理するとともに、この閲覧状況や変更レベルに応じて、所定のユーザに対して変更通知を行なう。本実施形態では、変更レベルとして、誤記訂正等の形式的な変更の場合の「修正」と、内容に大きな影響を与える実体的な変更である「改訂」とを用いる。
【0020】
図1に示す回覧文書管理システムとしての回覧管理サーバ20は、所属員に閲覧させる
回覧文書に関するデータを管理するためのコンピュータシステムである。この回覧管理サーバ20は、ネットワーク11を介して、所属員(ユーザ)が使用する各ユーザ端末10に接続されており、これらユーザ端末10との間でデータの送受信を行なう。
【0021】
ユーザ端末10は、キーボードやポインティングデバイスなどの入力手段と、ディスプレイなどの出力手段とを備えたコンピュータ端末である。入力手段は、ユーザによって、新規に文書を登録したり、文書の変更を指示したりする場合等に用いられる。ディスプレイは、登録された回覧文書を閲覧する場合等に用いられる。
【0022】
一方、回覧管理サーバ20は、制御部21を備え、後述する処理(更新登録情報取得段階、配布先特定段階、通知段階及び回覧先設定段階等を含む処理)を行なう。このための回覧文書管理プログラムを実行することにより、制御部21は、更新登録情報取得手段、配布先特定手段、通知手段及び回覧先設定手段等として機能する。
【0023】
更に、回覧管理サーバ20は、所属データ記憶手段としての所属データ記憶部22及び文書レベルデータ記憶手段としての文書種別データ記憶部23を備えている。
所属データ記憶部22には、図2に示すように、所属員に関するデータが記録されている。このデータは、所属員が配属されてメールアドレス及びパスワードが割り振られた場合に記録される。所属データ記憶部22においては、部署IDに対して、所属員IDが関連付けられている。更に、各所属員IDには、職位ID、メールアドレス及びパスワードが関連付けられている。
【0024】
部署IDデータ領域には、この所属員が属する部署を特定するための識別子に関するデータが記録されている。
所属員IDデータ領域には、この所属員を特定するための識別子に関するデータが記録されている。
【0025】
職位IDデータ領域には、この所属員の職位を特定するための識別子に関するデータが記録されている。
メールアドレスデータ領域には、この所属員が利用している電子メールのメールアドレスに関するデータが記録されている。
【0026】
パスワードデータ領域には、この所属員のパスワードに関するデータが記録されている。このパスワード及び所属員IDによって、回覧管理サーバ20へのアクセス者のユーザ認証を行なうことができる。
【0027】
一方、文書種別データ記憶部23には、図3に示すように、文書種別に関するデータが記録されている。このデータは、回覧される可能性がある文書の種類を登録した場合に記録される。文書種別データ記憶部23においては、文書種別IDに対して、配布先職位IDが関連付けられている。更に、各配布先職位IDには、文書レベルが関連付けられている。
【0028】
文書種別IDデータ領域には、文書の種別を特定するための識別子に関するデータが記録されている。
配布先職位IDデータ領域には、この文書種類によって特定される配布先の職位を特定するためのデータが記録されている。例えば、部長のみに閲覧させる文書の場合には、文書種別IDに関連付けて、部長職を特定するための職位IDに関するデータが記録されている。
【0029】
文書レベルデータ領域には、この文書種類の配布先における閲覧レベルを特定するため
のデータが記録されている。本実施形態では、文書レベルとして「低」又は「高」の2つのレベルを用いる。文書レベルが「高」に関連付けられている配布先職位IDに対しては、文書の改訂があった場合に変更通知を行なうものとする。
【0030】
また、回覧管理サーバ20は、文書属性データ記憶部25、配布先データ記憶手段としての配布先データ記憶部26及び変更レベルデータ記憶手段としての文書内容データ記憶部27を備えている。これらデータ記憶部25〜27は、回覧対象として登録された各回覧文書に関するデータを記録する。
【0031】
文書属性データ記憶部25には、図4に示すように、回覧文書の属性に関するデータが記録される。このデータは、回覧対象の回覧文書が新たに登録されたときに記録される。この文書属性データ記憶部25においては、文書IDに対して文書種別IDに関するデータが関連付けられる。更に、この文書IDに対して、登録権限を有する所属員の所属員IDに関するデータが関連付けられる。
【0032】
文書IDデータ領域には、回覧文書を特定するための識別子に関するデータが記録される。
文書種別IDデータ領域には、この回覧文書の種別を特定するための識別子に関するデータが記録される。
所属員IDデータ領域には、この回覧文書に対して、登録権限を有する所属員を特定するための所属員識別子に関するデータが記録される。
【0033】
一方、配布先データ記憶部26には、図5に示すように、回覧文書を閲覧させる配布先に関するデータが記録される。このデータは、新規な回覧文書が文書内容データ記憶部27に登録されたときに記録される。この配布先データ記憶部26には、文書IDに対して配布先部署ID及び配布先アドレスに関するデータが関連付けられる。そして、各配布先アドレスには、配布先レベル及び既読フラグに関するデータが関連付けられる。
【0034】
文書IDデータ領域には、回覧文書を特定するための識別子に関するデータが記録される。
配布先部署IDデータ領域には、この回覧文書を配布する部署を特定するための識別子に関するデータが記録される。なお、この回覧文書を配布する部署は1つでもよいし、複数でもよい。
【0035】
配布先アドレスデータ領域には、この回覧文書を配布する所属員のメールアドレスに関するデータが記録される。
配布先レベルデータ領域には、この回覧文書の配布先アドレスのレベルを特定するためのデータが記録される。本実施形態では、配布先レベルとして「低」又は「高」の2つのレベルを用い、この配布先レベルデータ領域には、いずれか一方のレベルを示すデータが記録される。
【0036】
既読フラグデータ領域には、この回覧文書の配布先である所属員が文書を読んだことを示すフラグデータが記録される。所属員が、まだ回覧文書を読んでいない場合には、この既読フラグデータ領域には、データが記録されていない。そして、回覧文書が改訂された場合、既読フラグが記録され、かつ配布先レベルとして「高」が設定された配布先アドレスの所属員に対して通知を行なう。
【0037】
更に、文書内容データ記憶部27には、図6に示すように、回覧文書の内容に関するデータが記録される。このデータは、回覧文書の新規登録や更新登録が行なわれると記録される。文書内容データ記憶部27においては、文書IDに対してバージョンIDに関する
データが関連付けられる。そして、各バージョンIDには、変更レベル及び文書内容に関するデータが関連付けられる。
【0038】
文書IDデータ領域には、この回覧文書を特定するための識別子に関するデータが記録される。
バージョンIDデータ領域には、この回覧文書のバージョンを特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、バージョンIDは、例えば「2. 3」のようにドットを挟んだ上位桁(ここでは「2」)と下位桁(ここでは「3」)とから構成される。
【0039】
変更レベルデータ領域には、このバージョンにおける回覧文書の変更レベルに関するデータが記録される。本実施形態では、変更レベルとして「修正」又は「改訂」のいずれかを示すデータが記録される。
【0040】
文書内容データ領域には、このバージョンにおける回覧文書の内容に関するデータが記録される。本実施形態では、1つ前のバージョンの文書内容に対して、修正又は改訂された文書内容に関するデータが記録される。
【0041】
次に、上記のように構成されたシステムにおける処理手順について、図7〜図9を用いて説明する。ここでは、新規文書登録処理、新規登録の通知処理、回覧処理及び改訂登録の通知処理の順番に説明する。
【0042】
(新規文書登録処理)
まず、回覧文書が新規に登録される場合の処理について、図7を用いて説明する。
本実施形態では、新規に回覧文書を登録する場合、ユーザ端末10を用いて新規回覧文書を作成する。そして、このユーザ端末10を用いて、回覧管理サーバ20に対して新規回覧文書データの保存指示を送信する。
【0043】
この場合、回覧管理サーバ20の制御部21は、新規回覧文書の登録処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、回覧管理サーバ20の制御部21は、ユーザ端末10から、保存指示を受けた新規回覧文書データを取得する。そして、制御部21は、この回覧文書データに対して文書ID及びバージョンIDを付与する。ここで、制御部21は、他の回覧文書と識別可能な文書IDを付与する。更に、バージョンIDとして、最初のバージョンであることを意味する初期値として「1」を付与する。次に、制御部21は、付与した文書ID及びバージョンIDに対して文書内容を関連付けて、文書内容データ記憶部27に記録する。
【0044】
次に、制御部21は、回覧先となる部署IDの取得処理を実行する(ステップS1−2)。ここでは、制御部21は、登録者のユーザ端末10において設定された回覧先となる部署に関する情報を取得する。具体的には、制御部21は、回覧文書を閲覧させる部署を特定する識別子に関するデータを取得する。そして、制御部21は、取得した部署IDデータを、この新規回覧文書の文書IDに関連付けて、配布先部署IDとして配布先データ記憶部26に記録する。
【0045】
次に、制御部21は、文書種別IDの取得処理を実行する(ステップS1−3)。ここでは、登録者はユーザ端末10において回覧文書の種別を設定し、制御部21は、この回覧文書の種別に関する情報を取得する。具体的には、制御部21は、回覧文書の種別を特定するための識別子を取得する。そして、制御部21は、先に付与した文書IDとこの文書種別IDとを関連付けて文書属性データ記憶部25に記録する。
【0046】
更に、登録者はユーザ端末10においてこの文書の更新登録権限を付与する所属員IDを設定する。そして、制御部21は、この所属員IDをユーザ端末10から取得して、文書IDに関連付けて文書属性データ記憶部25に記録する。
【0047】
次に、制御部21は、部署ID、文書種別IDに基づいて配布先アドレスの取得処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21は、取得した文書種別IDに関連付けられた配布先職位IDデータを、文書種別データ記憶部23において特定する。次に、制御部21は、特定した配布先職位IDについて、ステップS1−2において取得した部署IDに関連付けられた所属員IDデータを、所属データ記憶部22から抽出する。そして、制御部21は、抽出した所属員IDデータに関連付けられたメールアドレスを所属データ記憶部22から取得し、文書IDに関連付けて配布先データ記憶部26に記録する。
【0048】
次に、制御部21は、文書種別ID及び職位IDに基づいて配布先レベルの設定処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21は、文書種別データ記憶部23において、この文書種別IDに関連付けられている配布先職位IDと文書レベルとを抽出する。そして、この回覧文書の配布先アドレスに関連付けられた職位IDと、文書種別データ記憶部23から抽出した配布先職位IDとを照合し、一致する配布先職位IDに関連付けられている文書レベルを特定する。そして、制御部21は、配布先アドレスと文書レベルとを関連付けて、配布先データ記憶部26に記録する。
【0049】
以上により、新規文書登録処理が終了する。この処理によって、新規に登録された回覧文書に関するデータが、文書属性データ記憶部25、配布先データ記憶部26及び文書内容データ記憶部27に登録される。
【0050】
(新規登録の通知処理)
次に、文書が登録された場合に行なう通知処理について、図8を用いて説明する。この通知処理は、新規文書登録処理における新規登録や後述する回覧処理における更新登録が行なわれると実行される。ここでは、まず、新規文書が登録された場合の通知処理について説明し、回覧処理の説明の後で更新文書の通知処理を説明する。
【0051】
新規登録の通知処理においては、制御部21は、まず、登録情報を取得する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21は、ユーザ端末10の指示に応じて新規登録や更新登録を行なうと、このときに用いた文書IDを取得する。
【0052】
次に、制御部21は、登録情報を取得した対象となる回覧文書が新規登録であるか否かを判断する(ステップS2−2)。本実施形態では、新規登録であるか否かはバージョンIDを用いて判断する。具体的には、バージョンIDが初期値(ここでは「1」)の場合には新規登録の文書であり、バージョンIDが初期値より大きい値の場合には新規登録の文書ではない。具体的には、制御部21は、回覧文書の文書IDを含むバージョンIDを、文書内容データ記憶部27から抽出する。そして、バージョンIDに基づいて、新規登録であるか否かを判断する。
【0053】
ここで、バージョンIDが「1」になっており、新規登録であると判断される場合(ステップS2−2において「YES」の場合)、制御部21は、全レベルの回覧先に新規登録通知を行なう(ステップS2−3)。具体的には、制御部21は、配布先データ記憶部26に記録されている文書IDに関連付けられている配布先アドレスデータをすべて抽出する。そして、制御部21は、この配布先アドレスに対して、新規に登録された回覧文書がある旨の通知を行なう。この通知においては、回覧文書の文書IDに関するデータが含まれる。
【0054】
一方、バージョンIDが「1」を超えている場合、その回覧文書は更新された文書の登録である。このように新規登録でない場合(ステップS2−2において「NO」の場合)の処理(ステップS2−4以降の処理)については後述する。以上により、新規文書の登録時の通知処理が終了する。
【0055】
(回覧処理)
次に、新規登録通知や後述する改訂登録通知を受けた所属員が文書の閲覧を行なう場合の回覧処理について、図9を用いて説明する。
【0056】
文書登録の通知を受けた所属員が回覧文書を閲覧する場合には、ユーザ端末10から回覧管理サーバ20にアクセスする。この場合、ユーザ端末10は、回覧管理サーバ20に対して、ユーザが設定した回覧文書の文書IDを送信する。
【0057】
ここで、回覧管理サーバ20の制御部21は、まず、ユーザ認証処理を実行する(ステップS3−1)。この場合、制御部21は、アクセスしてきたユーザ端末10に対して、ログイン画面データを送信し、ユーザ端末10のディスプレイにログイン画面を表示させる。このログイン画面には、所属員ID及びパスワードをそれぞれ入力するための入力欄及び送信ボタンが含まれる。所属員がログイン画面の各入力欄に所属員の所属員ID及びパスワードを入力して送信ボタンを選択すると、ユーザ端末10は、これらの情報を回覧管理サーバ20に送信する。
【0058】
回覧管理サーバ20の制御部21は、取得した所属員IDに関連付けられたパスワードデータを所属データ記憶部22から取得する。そして、制御部21は、ユーザ端末10から取得したパスワードと、所属データ記憶部22から取得したパスワードとを比較する。この場合、パスワードが一致した場合にはユーザ認証が完了する。
【0059】
次に、制御部21は、メニュー画面の表示処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、制御部21は、所属データ記憶部22を用いて、ユーザ認証を完了した所属員のメールアドレスを特定する。そして、配布先データ記憶部26において、このメールアドレスを配布先アドレスとして登録され、かつ既読フラグが記録されていない文書IDを特定する。そして、制御部21は、この文書IDにより特定される回覧文書を一覧表示させたメニュー画面をユーザ端末10のディスプレイに表示させる。この一覧には、各回覧文書を選択することができるアイコンを表示させる。
【0060】
次に、制御部21は、選択された文書の特定処理を実行する(ステップS3−3)。ここでは、ユーザは、ユーザ端末10のディスプレイに表示された一覧表示の中から、閲覧を希望する回覧文書のアイコンを選択する。この場合、ユーザ端末10は選択された回覧文書の文書IDを、回覧管理サーバ20に送信する。そして、制御部21は、受信した文書IDに基づいて回覧文書を特定する。
【0061】
そして、制御部21は、ユーザ認証を完了した所属員が登録権限を有しているか否かを判断する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21は、文書属性データ記憶部25において、ユーザ認証を完了した所属員の所属員IDが、登録権限を有する所属員IDとして記録されているか否かを判断する。
【0062】
ここで、ユーザ認証を完了した所属員の所属員IDが、登録権限を有する所属員IDとして登録されていない場合(ステップS3−4において「NO」の場合)には、閲覧のみの許可処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、回覧管理サーバ20の制御部21は、受信した文書IDの最新のバージョンIDを特定する。そして、制御部21は、
この最新のバージョンIDに関連付けられている文書内容を、文書内容データ記憶部27から取得する。次に、制御部21は、この文書内容データをユーザ端末10に送信して、ディスプレイに表示させる。このとき、制御部21は、ユーザ端末10のディスプレイに、読取専用であることを表示させ、ユーザによる内容変更を拒否する。
【0063】
その後、この所属員が回覧文書の閲覧を終了し、終了の入力が行なわれた場合、ユーザ端末10は、回覧管理サーバ20に対して閲覧終了通知を送信する。この閲覧終了通知には、閲覧された文書の文書IDと、閲覧した所属員を示す所属員IDとが含まれる。
【0064】
そして、閲覧終了通知を受信した回覧管理サーバ20の制御部21は、既読フラグの記録処理を実行する(ステップS3−6)。具体的には、制御部21は、回覧文書を閲覧した所属員の所属員IDに関連付けられているメールアドレスを、所属データ記憶部22から取得する。そして、制御部21は、取得したメールアドレスに一致する配布先アドレスに関連付けて、既読フラグを、配布先データ記憶部26に記録する。これにより、回覧文書の閲覧が終了する。
【0065】
一方、ユーザ認証を完了した所属員の所属員IDが、登録権限を有する所属員IDとして登録されている場合(ステップS3−4において「YES」の場合)には、閲覧・変更の許可処理を実行する(ステップS3−7)。この場合にも、回覧管理サーバ20の制御部21は、受信した文書IDの最新のバージョンIDに関連付けられている文書内容を、文書内容データ記憶部27から取得する。そして、制御部21は、この文書内容データをユーザ端末10に送信して、ユーザ端末10のディスプレイに表示させる。
【0066】
ここで、ユーザ端末10から、この所属員から更新登録の指示がなく、回覧文書の閲覧終了通知を受信した場合(ステップS3−8において「NO」の場合)、回覧管理サーバ20の制御部21は、この文書の文書IDに関連付けて、配布先データ記憶部26に既読フラグを記録し(ステップS3−6)、回覧文書の閲覧が終了する。
【0067】
一方、ユーザ端末10から、変更指示を受信した場合(ステップS3−8において「YES」の場合)には、制御部21は、更新登録処理を実行する(ステップS3−9)。ここでは、回覧文書を確認した所属員は、回覧文書の内容を変更した文書を作成する。そして、ユーザ端末10から回覧管理サーバ20に対して変更指示を送信する。この場合、この変更レベルとして「修正」又は「改訂」を設定する。ここでは、誤記訂正等の形式的な変更の場合には、変更レベルとして「修正」を設定し、内容に大きな影響を与える実体的な変更の場合には変更レベルとして「改訂」を設定する。これにより、ユーザ端末10は、回覧管理サーバ20に対して、回覧文書の変更を指示する。
【0068】
この場合、回覧管理サーバ20の制御部21は、ユーザ端末10から、その文書の文書IDと、修正又は改訂であることを示す変更レベルフラグと、変更内容とに関するデータを取得する。
【0069】
そして、制御部21は、取得した文書IDの最新のバージョンIDを取得する。具体的には、制御部21は、文書IDに関連付けられているバージョンIDのうち、最も大きいバージョンIDを取得する。そして、制御部21は、取得したバージョンIDに、所定値を加えたバージョンIDを算出する。具体的には、「改訂」の場合には現行のバージョンIDの上位桁に「1」を加算して下位桁をリセットする。一方、「修正」の場合には下位桁に「1」を加算する。このバージョンIDに基づいて、「改訂」や「修正」を区別することができる。
【0070】
そして、このバージョンID、文書ID、変更された訂正箇所に関するデータを含む文
書内容及び変更レベルフラグを関連付けて、文書内容データ記憶部27に記録する。更に、制御部21は、既読フラグを配布先データ記憶部26に記録する。
【0071】
(改訂登録の通知処理)
次に、更新文書が登録された場合に行なう通知処理について、図8を用いて説明する。
ここでも、制御部21は、まず、登録情報の取得処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21は、ユーザ端末10の指示に応じて新規登録や更新登録が行なわれた場合、このときに用いた文書IDを取得する。
【0072】
次に、制御部21は、登録情報を取得した対象となる回覧文書が新規登録であるか否かを判断する(ステップS2−2)。ここで、バージョンIDが初期値(ここでは「1」)より大きい値であり、新規登録でないと判断される場合(ステップS2−2において「NO」の場合)、制御部21は、その変更が「改訂」か又は「修正」かを判断する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21は、後述するように、ユーザ端末10から受信した変更レベルフラグが改訂を示すフラグであるか否かを判断する。ここで、制御部21は、受信した変更レベルフラグが改訂を示すフラグでなかった場合(ステップS2−4において「NO」の場合)には、通知処理を終了する。
【0073】
一方、受信した変更レベルフラグが改訂を示すフラグであった場合(ステップS2−4において「YES」の場合)には、制御部21は、変更された箇所の抽出処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21は、文書内容に含まれる改訂箇所データを取得する。本実施形態では、1つ前のバージョンの文書内容を文書内容データ記憶部27から取得し、変更指示の文書内容と比較処理を実行することにより、変更箇所(改訂箇所)を特定する。
【0074】
次に、制御部21は、配布先レベル及び既読フラグに基づいて通知先の特定処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21は、この文書IDに関連付けられている配布先アドレスであって、配布先レベルとして「高」かつ既読フラグが記録されている配布先アドレスを、配布先データ記憶部26から取得する。
【0075】
次に、制御部21は、特定した配布先について、改訂登録通知処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、制御部21は、取得した配布先アドレスについて、ステップS2−5で抽出した変更箇所を特定した内容を含むメールを送信する。そして、送信されたメールを閲覧することにより、所属員は、既に閲覧した回覧文書に修正があったこと及びその修正箇所についての情報を知ることができる。以上により、通知処理が終了する。
【0076】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態では、配布先データ記憶部26においては、配布先アドレスに対して、既読フラグに関するデータが関連付けられる。これにより、ユーザ毎や文書毎に、閲覧状況(未読又は既読)に関する情報を取得することができる。更に、ユーザに対応させて未読文書を展開して一覧表示させたり、回覧文書に対して未読ユーザを展開して一覧表示させたりすることもできる。従って、回覧文書の管理者は、文書の閲覧状況を把握することができる。
【0077】
・ 本実施形態では、制御部21は、取得した登録情報の回覧文書が更新登録であり、変更レベルが改訂である場合(ステップS2−4において「YES」の場合)には、配布先レベル及び既読フラグに基づいて通知先の特定を行ない(ステップS2−6)、特定した配布先アドレスについて修正があった旨のメールを送信する(ステップS2−7)。このため、改訂前に閲覧したユーザは、改訂されたことを知ることができる。また、改訂される前の文書を閲覧していなかった所属員に対しては通知を行なわれないので、不必要な
通知を削減することができる。
【0078】
また、変更レベルが「改訂」でない場合、例えば誤字脱字などの形式的な変更が行なわれた場合には、既に閲覧したユーザに対して通知を行なわない。このため、「修正」については、通知を省略することにより煩雑さを低減することができる。
【0079】
・ 本実施形態では、通知先の特定処理(ステップS2−6)において、制御部21は、更新登録を行なった文書の文書IDに関連付けられている配布先アドレスを取得する。更に、制御部21は、取得した配布先アドレスに関連付けられている配布先レベルが「高」で、既読フラグが記録されているデータを、配布先データ記憶部26から取得する。すなわち、配布先レベルが「高」となっており、かつ改訂前の回覧文書を閲覧した所属員についてのみ通知を行なう。このため、配布先レベルとして「低」が設定されている場合には、改訂が行なわれても通知が不要の所属員に対する通知を省略することができる。従って、通知が必要なユーザに対してのみ効率的に通知を行なうことができ、煩雑さを低減することができる。
【0080】
・ 本実施形態では、変更レベルが改訂である場合(ステップS2−4において「YES」の場合)には、制御部21は、変更された箇所を抽出する(ステップS2−5)。そして、制御部21は、特定した配布先について、ステップS2−5で抽出した変更箇所について修正があったことを知らせる改訂登録通知を行なう(ステップS2−7)。このため、所属員は、通知によって、既に閲覧した回覧文書に修正があったことだけでなく、その変更箇所について情報を知ることができる。従って、所属員は、回覧文書を再度閲覧しなくても、通知されたメッセージに基づいて、変更後の内容を効率的に把握することができる。
【0081】
・ 本実施形態では、制御部21は、新規回覧文書の登録処理を実行すると(ステップS1−1)、部署ID及び文書種別IDを取得し(ステップS1−2,S1−3)、これらに基づいて配布先アドレスの取得処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21は、取得した文書種別IDに関連付けられた配布先職位IDデータを、文書種別データ記憶部23において特定する。次に、制御部21は、特定した配布先職位IDについて、部署IDに関連付けられた所属員IDデータを、所属データ記憶部22から抽出する。そして、制御部21は、抽出した所属員IDデータに関連付けられたメールアドレスを所属データ記憶部22から取得し、文書IDに関連付けて配布先データ記憶部26に記録する。これにより、制御部21は、新規登録する文書の文書種別IDと部署IDに応じて、回覧先を特定するので、回覧先をまとめて設定することができ、回覧先の設定を効率的に行なうことができる。
【0082】
・ 本実施形態では、制御部21は、新規回覧文書の登録処理を実行し、配布先アドレスの取得処理(ステップS1−4)を実行し、文書種別ID及び職位IDに基づいて配布先レベルの設定処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21は、文書種別データ記憶部23において、この文書種別IDに関連付けられている配布先職位IDと文書レベルとを抽出する。そして、この回覧文書の配布先アドレスに関連付けられた職位IDと、文書種別データ記憶部23から抽出した配布先職位IDとを照合し、一致する配布先職位IDに関連付けられている文書レベルを特定する。そして、制御部21は、配布先アドレスと文書レベルとを関連付けて、配布先データ記憶部26に記録する。これにより、制御部21は、文書種別IDに応じて、改訂登録通知を行なう文書レベル「高」の設定を行なうので、文書種別に応じて通知が必要な職位IDの回覧先については、漏れなく通知を行なうことができる。
【0083】
・ 本実施形態では、回覧処理において認証が完了した所属員に登録権限がない場合に
は、閲覧のみを許可する。この場合、制御部21は、ユーザ端末10のディスプレイに、読取専用であることを表示し、キーボード等による登録指示を受け付けた場合には拒否する。このため、登録権限がない所属員によって不用意に回覧文書が修正されてしまうことを回避することができる。
【0084】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態においては、配布先データ記憶部26において、ユーザを特定するためのユーザ識別子として配布先アドレス(メールアドレス)を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、所属員IDそのものをユーザ識別子として利用することも可能である。
【0085】
○ 上記実施形態においては、回覧管理サーバ20の制御部21は、改訂登録通知(ステップS2−7)を行なって通知処理を終了した。これに代えて、改訂登録通知を行なったときに、既読フラグの更新を行なってもよい。具体的には、制御部21は、送信した配布先アドレスに関連付けられている既読フラグデータを削除する。その後、改訂登録通知を行なった所属員が閲覧する前に、次の更新登録が行なわれた場合には、この所属員の所属員IDに関連付けられた既読フラグが削除されているため、制御部21は、この所属員の配布先アドレスは、通知先として特定しない。従って、制御部21は、この所属員に対しては、改訂登録通知を行なわない。従って、改訂された後の回覧文書を閲覧させたい場合には、複数回の改訂による通知の煩雑さを低減することができる。
【0086】
○ 上記実施形態においては、配布先データ記憶部26においては、配布先アドレスに関連付けて、未読や既読を識別するための既読フラグを記録した。この場合、既読フラグとして、所属員が閲覧した回覧文書を特定可能な情報(例えば、バージョンID)を記録してもよい。具体的には、既読フラグの記録処理(ステップS3−6)や更新登録処理(ステップS3−9)において、ユーザ端末10から閲覧終了通知を受信した制御部21は、ユーザ端末10において閲覧された回覧文書の文書IDとともにバージョンIDを特定する。ここでは、文書内容データ記憶部27に記録された最新のバージョンIDが、閲覧された回覧文書のバージョンIDとして特定される。そして、制御部21は、このバージョンIDを、配布先データ記憶部26の既読フラグデータ領域に記録する。これにより、ユーザ毎に、閲覧されたバージョンを含めた閲覧状況を把握することができる。
【0087】
○ 上記実施形態においては、「高」の配布先レベルに対して、改訂登録通知を行なった(ステップS2−6)。すなわち、上記実施形態においては、制御部21は、配布先レベルに関するデータに基づいて、改訂登録通知を行なう配布先を特定した。これに代えて、配布先レベルに応じて、異なる通知処理を行なってもよい。例えば、配布先レベルとして、「高」、「中」、「低」の3つのレベルを用いてもよい。この場合、制御部21は、登録された文書が新規登録でなく、その変更が「改訂」であった場合には、「高」及び「中」の配布先レベルで、既読フラグが記録されている配布先アドレスを通知先として特定する。そして、制御部21は、「中」の配布先レベルに関連付けられた配布先アドレスに対しては、上記実施形態における改訂登録通知を行ない、「高」の配布先レベルに関連付けられた配布先アドレスに対しては、更に改訂後の回覧文書の全体を確認するようなメッセージを含んだ改訂登録通知を行なってもよい。なお、制御部21は、「低」の配布先レベルに関連付けられた配布先アドレスには改訂登録通知を行なわない。従って、所属員に対する改訂後の内容の熟知度合いに応じて、通知の煩雑さを変更できるので、回覧文書や、その改訂内容を効率的に周知させることができる。
【0088】
○ 上記実施形態においては、新規文書及び改訂された文書が登録されたときに、新規登録通知処理(ステップS2−3)又は改訂登録通知処理(ステップS2−7)を行なった。これに加えて、早急に回覧したい文書については、登録による通知を行なってから所
定時間経過した後に、未読である所属員に再度、通知を行なってもよい。具体的には、制御部21は、新規登録通知処理(ステップS2−3)又は改訂登録通知処理(ステップS2−7)を行なった時刻を、文書IDと関連付けて記録する。そして、この時刻に対して所定時間が経過したときに、制御部21は、配布先データ記憶部26において、この文書IDに関連付けられた配布先アドレスのうち、既読フラグがまだ記録されていない配布先アドレスを抽出する。そして、制御部21は、この配布先アドレスに対して、まだ閲覧していない旨の通知を行なう。これにより、まだ閲覧していない所属員に対して、早急に閲覧を行なうように促すことができる。
【0089】
○ 上記実施形態においては、回覧文書に対して登録権限がある所属員IDは、新規文書登録処理において、ユーザ端末10を介して登録した。これに代えて、登録権限の有無の限定は、例えば、「高」の配布先レベルを有する所属員は登録権限を有するとしてもよい。具体的には、制御部21は、ユーザ認証が完了した場合(ステップS3−1)、所属員の所属員IDに関連付けられているメールアドレスを、所属データ記憶部22から取得する。制御部21は、閲覧指示を受けている文書の文書IDと、取得したメールアドレスに一致する配布先レベルが「高」となっているか否かを判断する。この場合、配布先レベルが「高」であれば、制御部21は、ユーザ認証が完了した所属員は登録権限があると判断する(ステップS3−4において「YES」)。これにより、処理に用いるデータ量を削減することができる。
【0090】
○ 上記実施形態においては、回覧管理サーバ20は、社内等で回覧される文書を電子化した電子文書を回覧する場合について説明した。本発明は、これに限らず、複数人が順番に同じ電子文書を閲覧する場合の管理について用いることが可能である。例えば、業務作業におけるワークフローにおける承認や決済処理における承認などにおいても、本発明を適用することができる。
【0091】
○ 上記実施形態においては、変更レベルとして「修正」又は「改訂」を用いたが、これに限定されるものではなく、「廃止」、「削除」等を設定することも可能である。ここでは、「廃止」は文書の利用を停止すること、「削除」は文書を廃棄することを意味する。これにより、文書を閲覧したユーザに文書の保存状況を周知させることができる。
【0092】
○ 上記実施形態においては、新規登録通知処理(ステップS2−3)において、制御部21は、配布先データ記憶部26に記録されている文書IDに関連付けられている配布先アドレスデータを抽出し、この配布先アドレスに対して、新規に登録された回覧文書に関する通知を行なった。また、改訂登録通知処理(ステップS2−7)においては、制御部21は、配布先アドレスに対して変更箇所を特定した内容を含むメールを送信する。これに代えて、ユーザが回覧管理サーバ20にログインして、ユーザ認証を行なった場合に、このユーザに周知すべき新規登録や改訂登録を、メニュー画面に表示させることにより通知することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の回覧文書管理システムの概略構成図。
【図2】所属データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図3】文書種別データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図4】文書属性データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図5】配布先データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図6】文書内容データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図7】新規文書登録処理の処理手順を説明するための説明図。
【図8】通知処理の処理手順を説明するための説明図。
【図9】回覧処理の処理手順を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0094】
10…ユーザ端末、20…回覧管理サーバ、21…制御部、22…所属データ記憶手段としての所属データ記憶部、23…文書レベルデータ記憶手段としての文書種別データ記憶部、26…配布先データ記憶手段としての配布先データ記憶部、27…変更レベルデータ記憶手段としての文書内容データ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに閲覧させる回覧文書を特定するための文書識別子に関連付けて、変更された文書の変更レベルを記録する変更レベルデータ記憶手段と、
文書を閲覧するユーザを特定するためのユーザ識別子に関連付けて、このユーザが文書を読んだことを示す既読フラグを記録する配布先データ記憶手段と、
各ユーザが用いるユーザ端末に接続される制御部とを備え、回覧文書の閲覧管理を行なうシステムであって、
前記制御部が、
変更された文書の文書識別子及び変更レベルを含む更新登録情報を取得する更新登録情報取得手段と、
前記更新登録情報に含まれる変更レベルに応じて、前記配布先データ記憶手段から、前記更新登録情報に含まれる文書識別子に関連付けられたユーザ識別子であって、更に既読フラグが記録されているユーザ識別子を特定する配布先特定手段と、
前記特定したユーザ識別子のユーザが用いるユーザ端末に対して、前記文書が変更されたことを通知する通知手段とを備えたことを特徴とする回覧文書管理システム。
【請求項2】
前記更新登録情報には、回覧文書において変更された変更箇所に関する情報が含まれており、
前記通知手段は、前記登録情報から前記変更箇所に関する情報を抽出し、この変更箇所についてのメッセージを含む通知を行なうことを特徴とする請求項1に記載の回覧文書管理システム。
【請求項3】
前記配布先データ記憶手段は、前記ユーザ識別子に関連付けて、変更通知の要否を判断するための配布先レベルが記録されており、
前記配布先特定手段は、前記特定したユーザ識別子のうち、変更通知を行なう配布先レベルが記録されているユーザ識別子を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の回覧文書管理システム。
【請求項4】
回覧文書の種別を特定するための文書種別識別子に関連付けて文書レベルを記録した文書レベルデータ記憶手段と、
前記部署識別子に関連付けられたユーザ識別子に対して職位識別子を記録した所属データ記憶手段とを更に備え、
前記制御部は、
新規登録文書について、文書種別識別子及びこの回覧文書を閲覧させる部署の部署識別子に関する情報を取得した場合、前記文書レベルデータ記憶手段を用いて、この文書種別識別子に関連付けた文書レベルを抽出し、
前記所属データ記憶手段を用いて、前記抽出した部署識別子に関連付けられたユーザ識別子のうち、前記抽出した文書レベルに一致する職位識別子のユーザ識別子を特定し、
このユーザ識別子のユーザが用いるユーザ端末を回覧先として特定する回覧先設定手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の回覧文書管理システム。
【請求項5】
ユーザに閲覧させる回覧文書を特定するための文書識別子に関連付けて、変更された文書の変更レベルを記録する変更レベルデータ記憶手段と、
文書を閲覧するユーザを特定するためのユーザ識別子に関連付けて、このユーザが文書を読んだことを示す既読フラグを記録する配布先データ記憶手段と、
各ユーザが用いるユーザ端末に接続される制御部とを備えた回覧文書管理システムを用いて、回覧文書の閲覧管理を行なう方法であって、
前記制御部が、
変更された文書の文書識別子及び変更レベルを含む更新登録情報を取得する更新登録情
報取得段階と、
前記更新登録情報に含まれる変更レベルに応じて、前記配布先データ記憶手段から、前記更新登録情報に含まれる文書識別子に関連付けられたユーザ識別子であって、更に既読フラグが記録されているユーザ識別子を特定する配布先特定段階と、
前記特定したユーザ識別子のユーザが用いるユーザ端末に対して、前記文書が変更されたことを通知する通知段階とを実行することを特徴とする回覧文書管理方法。
【請求項6】
ユーザに閲覧させる回覧文書を特定するための文書識別子に関連付けて、変更された文書の変更レベルを記録する変更レベルデータ記憶手段と、
文書を閲覧するユーザを特定するためのユーザ識別子に関連付けて、このユーザが文書を読んだことを示す既読フラグを記録する配布先データ記憶手段と、
各ユーザが用いるユーザ端末に接続される制御部とを備えた回覧文書管理システムを用いて、回覧文書の閲覧管理を行なうためのプログラムであって、
前記制御部を、
変更された文書の文書識別子及び変更レベルを含む更新登録情報を取得する更新登録情報取得手段と、
前記更新登録情報に含まれる変更レベルに応じて、前記配布先データ記憶手段から、前記更新登録情報に含まれる文書識別子に関連付けられたユーザ識別子であって、更に既読フラグが記録されているユーザ識別子を特定する配布先特定手段と、
前記特定したユーザ識別子のユーザが用いるユーザ端末に対して、前記文書が変更されたことを通知する通知手段
として機能させることを特徴とする回覧文書管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−152554(P2008−152554A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340166(P2006−340166)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)