回転印用無端印字ベルトを製造する方法及び回転印用無端印字ベルト
【課題】 熱可塑性樹脂多孔質印材の表面と表面又は裏面と裏面といった同一面を向かい合わせに重ねて接触部とした後、重ね合わせた接触部の一部又は全部をシール機にて溶融して接着連結させるといった新たなアプローチによる無端印字ベルトの製造方法を提案するものである
【解決手段】熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を向かい合わせに重ねて接触部とし、前記接触部の一部又は全部をシール機を用いて溶融して非多孔質結合部を形成し、リング状の回転印用無端印字ベルトを製造する方法、及び、当該方法により製造される非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルト。
【解決手段】熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を向かい合わせに重ねて接触部とし、前記接触部の一部又は全部をシール機を用いて溶融して非多孔質結合部を形成し、リング状の回転印用無端印字ベルトを製造する方法、及び、当該方法により製造される非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透印タイプの回転印に使用される連続気泡を有する多孔質印材を用いた無端印字ベルトの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開昭54−103127や実開昭54−118210等に開示されている連続気泡を有する多孔質印材を用いた無端印字ベルトからなる回転印は、自身にインキを内蔵できるので、使用の度にインキを付着させなくても連続して押印することができ、大変有用である。
従来このような無端印字ベルトの素材となる多孔質印材には主にスポンジ化した多孔質ゴムが用いられていたが、近年では素材を熱可塑性樹脂に変更した特開平11−129595号、特開平11−129596号、特開2005−205798号等も公知となっている。
前記熱可塑性樹脂多孔質印材は、大体次のように製造される。まず、気泡形成剤等を配合した熱可塑性樹脂を厚み1〜5mm程度の薄板状シートに成形した後、当該シートから気泡形成剤を除去してスポンジ状の多孔質シートを得る。次に、多孔質シートにマスキングを施し、その上から赤外線を照射するなど公知の技術を用いて多孔質印字部と非多孔質部による印面を作成した後、これを所要のサイズに切断して帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を得ていた。
この帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を使用して回転印用の無端印字ベルトを製造するには、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の一端の表面側と他端の裏面側を重ね合わせて接触させ、重ね合わせた接触部分をシール機にて溶融し接着連結させて、リング状の無端印字ベルトを製造していた。
または、実開昭52−144014号に記載の考案の様に、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を接着してリング状の無端印字ベルトを製造していた。
【0003】
【特許文献1】特開平11−129595号公報
【特許文献2】特開平11−129596号公報
【特許文献4】特開2005−205798号公報
【特許文献5】実開昭52−144014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の回転印用無端印字ベルトを製造には、上記の通り帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を重ね合わせ、重ね合わせた接触部分をシール機にて溶融し接着連結させるのであるが、その際は図1のように熱可塑性樹脂多孔質印材の一端の表面側と他端の裏面側を重ね合わせていた。または、図5のように両端を接着してリング状の無端印字ベルトを製造していた。
本発明は熱可塑性樹脂多孔質印材の表面と表面又は裏面と裏面といった同一面を向かい合わせに重ねて接触部とした後、重ね合わせた接触部の一部又は全部をシール機にて溶融して接着連結させるといった新たなアプローチによる無端印字ベルトの製造方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を向かい合わせに重ねて接触部とし、前記接触部の一部又は全部をシール機を用いて溶融して非多孔質結合部を形成し、リング状の回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
前記シール機がヒートシーラー、超音波ウェルダー、レーザ溶着機のいずれかである回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
前記非多孔質結合部の不要先端部分を切断してなる回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
前記シール機がヒートカッター、超音波カッター、レーザ切断機のいずれかであって、前記接触部を切断すると同時に切断面を溶融し、かつ、前記非多孔質結合部を形成する回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
前記の方法により製造される、非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルト。
前記の方法により製造される、非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルトの表裏を反対にした回転印用無端印字ベルト。
【発明の効果】
【0006】
従来は、図1のように下型シール機に帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を巻き付けた後、上型シール機にて挟み付ける様にして溶融して接着連結させていたが、巻き付けの必要が無い異なる新たなアプローチによる無端印字ベルトの製造方法を提案できた。
また、本発明製造方法によって製造された非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルトを表裏反対になるよう裏返しにすると、非多孔質結合部が内側となって表面に出現しないので外見が良く、非多孔質結合部による押印不可能範囲が極小で済む利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
まず、熱可塑性樹脂、水溶性有機溶剤、水溶性気泡形成剤を適量の割合で配合して混練したものを厚み1.0〜5.0mmに押し出し成形した薄板状シートを作成し、当該シートから水溶性有機溶剤及び水溶性気泡形成剤を水等で除去してスポンジ状の多孔質シートを作成し、必要に応じてインキ滲み出し可能な多孔質印字部とインキ滲み出し不可能な非多孔質部とからなる印面を形成した後、カッター等を用いて必要な幅に切断して帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を作成する。
次に、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を向かい合わせに重ねて接触させて接触部とし、接触部の一部又は全部をシール機にて溶融し接着連結させ非多孔質結合部を形成し、本発明のリング状の無端印字ベルトを製造する。
なお、本発明の熱可塑性樹脂だけでは強度が足りない場合は、補強材によって補強しても良い。具体的には、上記スポンジ状の多孔質シートを作成する際、薄板状シートを織編物や不織布からなる補強材の上に重ね合わせた状態で金型に収容し、これを加圧加熱して一体化した多孔質シートを得た後、当該シートから水溶性有機溶剤及び水溶性気泡形成剤を水等で除去してスポンジ状の多孔質シートを作成すると良い。
以下、詳述する。
【0008】
本発明で用いることができる熱可塑性樹脂としては、50℃〜250℃で融解する熱可塑性樹脂が用いられ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化物系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂などを用いることができるが、特にポリエチレンが好ましく用いられる。
また、水溶性有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどを使用することができる。
また、水溶性気泡形成剤としては、塩化ナトリウムや塩化カルシウム等のアルカリ金属塩、ペンタエリスリトールなどを用いることができ、2〜100μmの粒径のものが好ましく用いられる。
次に、熱可塑性樹脂、水溶性有機溶剤、水溶性気泡形成剤をよく混練し、押し出し機を使用して厚み1〜5mmに成形した薄板状シートを作成する。ここで、本発明では熱可塑性樹脂、水溶性有機溶剤、水溶性気泡形成剤を1.0:0.1〜0.8:3.0〜4.0の割合で配合することが好ましい。この配合比率を逸脱すると、たわみによる押し出し成形不良や強度不足による破断等をおこしたり多孔質印材中の連続気泡の形成に支障をきたし、薄板状シートを得ることが困難となる。当該配合とすることによって、各性能を満足する薄板状シートを得ることができる。
なお、薄板状シートを作成する際には、カーボンブラック・有色顔料・パール顔料・有色染料など赤外線を吸収して発熱する微粉末を加えてもよく、カーボンブラック・ホワイトカーボン・酸化チタン・無機顔料・有機顔料・パール顔料などの着色剤を加えてもよい。
【0009】
上記熱可塑性樹脂だけの薄板状シートでは強度が足りない場合は、補強材によって補強しても良い。しかし、補強材は必須構成要素ではなく、無端印字ベルトの補強が必要な場合のみ使用すれば良いのであって、必ずしも必要となるものではない。
補強材を使用する場合は、薄板状シートの厚みのバランスが取れるように、厚み0.5mm以下の織編物が主に用いられる。材質としては、主に綿、絹、羊毛、アセテート、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、フッ素系フィラメント、ポリクラール、レーヨン、ナイロン、ポリエステルなどの繊維を平織り布や綾織り布、各種編物布や不織布とした布を用いることができる。特に、極微細繊維といわれる繊度1d以下の合成繊維を使用した織編物は、耐インキ性、インキの流通性、強度、ほつれ、耐熱性、接着性、回転性、耐久性などに優れているので、最も好ましい。例えば、シルフローラX(商品名:東洋紡績株式会社製)、ザヴィーナミニマックス、クラウゼンMCF、ベルセイムハイテクロス(商品名:KBセーレン株式会社製)がある。
補強材付きの薄板状シートを作成するには、熱可塑性樹脂だけの薄板状シートと前記補強材とを重ね合わせて金型に収容し、適度な圧力を加えつつ熱可塑性樹脂の融点以上の温度約50℃〜250℃に加熱して一体化した補強材付きの薄板状シートを得る。圧力を加えることによって当該薄板状シートの厚みは熱可塑性樹脂だけの薄板状シートの厚みより若干収縮する。
他の方法として、前記押し出し機の排出口に熱ロールを設置して連続的に補強材と圧着して補強材付きの薄板状シートを得ても良い。
【0010】
次に、当該薄板状シートから前記水溶性有機溶剤及び水溶性気泡形成剤を水等で除去して多孔質シートを作成する。
【0011】
次に、必要に応じて前記多孔質シートに印面を形成する。通常多孔質シート表面に文字や図形等の印面を形成するには、余白に相当する部分の熱可塑性樹脂を溶融固化させてインキが滲み出し不能な非多孔質印材保護被膜で非多孔質部を形成すると共に、文字や図形等に相当する印字部分をインキが滲み出し可能となるよう多孔質を溶融せずに残すことによって多孔質印字部を形成して作成する。
印面を形成する方法としては、加熱した金型を直接押し当てて余白部分を溶融する方法、サーマルヘッドで余白部分を直接加熱して溶融する方法、炭酸ガスレーザやYAGレーザといった各種レーザ光を用いて余白部分を加熱して溶融する方法、発熱材を介在させ赤外線キセノンフラッシュランプなどによって余白部分を加熱して溶融する方法などを用いることができる。
ここで、必要に応じてというのは、この段階で印面を形成しても構わないし、後から印面を形成しても構わないためである。
【0012】
次に、前記多孔質シートをカッターを用いて必要な幅に切断し、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を作成する。超音波カッター、加熱したヒートカッター、レーザ切断機などで切断すると、切断面を溶融固化させてインキが滲み出し不能な非多孔質印材保護膜を形成できるので好ましい。
【0013】
次に、切断した帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を向かい合わせに重ねて接触部とする。接触部は、熱可塑性樹脂多孔質印材の一端の表面側と他端の表面側を重ね合わせて接触させる場合と、熱可塑性樹脂多孔質印材の一端の裏面側と他端の裏面側を重ね合わせて接触させる場合がある。
次に、接触部の一部又は全部をシール機を用いて溶融し接着連結させ非多孔質結合部を形成し、本発明のリング状の無端印字ベルトを製造することができる。
本発明は、材質がゴムのような熱硬化性樹脂でなく熱可塑性樹脂であるので、シール機によって熱可塑性樹脂が再溶融して自己接着するため、特に接着剤を用いなくても熱融着が可能である。しかしながら、これは接着剤を使用してはいけないということではなく、各種接着剤を併用しても本発明の回転印用無端印字ベルトを製造することができることは言うまでもない。
シール機としては、主にヒートシーラー、超音波ウェルダー、レーザ溶着機を用いることができるが、当該シール機により形成される非多孔質結合部はその先端部に余分な不要先端部分を含んでいる場合もある。そのような場合は、当該不要先端部分を切断して無端印字ベルトを製造することが好ましい。
また、シール機がヒートカッター、超音波カッター、レーザ切断機のいずれかを用いることもできる。この場合は、前記接触部を切断すると同時に切断面も溶融でき、かつ、前記接触部の一部又は全部を溶融して非多孔質結合部も形成することができる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
ポリエチレン樹脂100重量部、分子量400のポリエチレングリコール20重量部、粒径10〜60μmの塩化ナトリウム350重量部を配合したものに、カーボンブラック3部・酸化チタン3部を加えて混練し、厚み3.0mmの薄板状シートを作成する。
次に、当該シートを温水中に浸してポリエチレングリコールと塩化ナトリウムを除去し、完全に除去できたら十分に乾燥させ、厚さ3.0mmの多孔質シートを得る。
次に、所要の文字や図面等を黒地とし余白を透明地で表したポジフィルムを前記多孔質印材に重ね、前記フィルム側から赤外線を照射する。そうすると、ポジフィルムの黒地の部分では赤外線が多孔質シートに到達するのを防ぐので多孔質がそのまま残って多孔質印字部となり、一方ポジフィルムの透明地の部分では赤外線が透過して対応する部分の多孔質中のカーボンを発熱させ、熱可塑性樹脂を溶融固化させて非多孔質印材保護被膜からなる非多孔質部を形成するので、インキ滲み出し可能な多孔質印字部とインキ滲み出し不可能な非多孔質部が形成されることになって、印面が形成される。
次に、多孔質シートを超音波カッターにて切断して帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を作成する。そうすると、切断されると同時にその切断面が溶融固化されてインキが滲み出し不能な非多孔質印材保護膜が形成される。
次に、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の印面と反対側である裏面側の両端10.0mm同士を向かい合わせに重ねて接触部とし、接触部の上から100℃に加熱したヒートシール機を押圧して接触部全部を溶融する。溶融された接触部は全て溶融して0.5mm程度の厚みに収縮した非多孔質結合部を形成しており、熱可塑性樹脂多孔質印材の両端が接着連結されたリング状の無端印字ベルトが得られる。当該非多孔質結合部は長さが10.0mmあって邪魔なので、不要先端部分となる先端から8.0mm程度を切断して無端印字ベルトを製造する。
【実施例2】
【0015】
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂100重量部、グリセリン15重量部、粒径10〜30μmのペンタエリスリトール350重量部を配合したものに、カーボンブラック5部を加えて混練し、厚み1.0mmの薄板状シートを作成する。
次に、当該薄板状シートと綿糸を平織りにした補強材とを重ね合わせて金型に収容し、200kg/cm2の圧力を加えつつ140℃に加熱して一体化した補強材付きの薄板状シートを得る。当該薄板状シートの厚さは圧力の効果により0.5mmに収縮している。
次に、当該薄板状シートを温水中に浸してグリセリンとペンタエリスリトールを除去し、完全に除去できたら十分に乾燥させ、厚さ0.5mmの多孔質シートを得る。
次に、所要の文字や図面等を黒地とし余白を透明地で表したポジフィルムを前記多孔質印材に重ね、前記フィルム側から赤外線を照射する。そうすると、ポジフィルムの黒地の部分では赤外線が多孔質シートに到達するのを防ぐので多孔質がそのまま残って多孔質印字部となり、一方ポジフィルムの透明地の部分では赤外線が透過して対応する部分の多孔質中のカーボンを発熱させ、熱可塑性樹脂を溶融固化させて非多孔質印材保護被膜からなる非多孔質部を形成するので、インキ滲み出し可能な多孔質印字部とインキ滲み出し不可能な非多孔質部が形成されることになって、印面が形成される。
次に、多孔質シートをヒートカッターで切断して帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を作成する。そうすると、多孔質シートが切断されると同時にその切断面が溶融固化されてインキが滲み出し不能な非多孔質印材保護膜を形成される。
次に、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の印面が存在する表面側の両端30.0mm同士を向かい合わせに重ねて接触部とし、接触部の上下から1.0cmの厚さを有するアクリル板2枚で挟み込み、10kg/cm2の圧力でアクリル板を挟圧する。
次に、アクリル板の上から接触部先端から10.0mmの位置に向けてYAGレーザ溶着機でレーザ光線を幅方向に照射し、接触部の一部を幅方向に溶融し接着連結する。これにより、溶融された接触部は熱可塑性樹脂が溶融して凝縮した非多孔質結合部を形成しており、熱可塑性樹脂多孔質印材の両端が溶融し接着連結されたリング状の無端印字ベルトが得られる。
この無端印字ベルトは内側に印面があるので、裏返して表裏を反対にして本発明の回転印用無端印字ベルトを得る。
【実施例3】
【0016】
ポリエチレン樹脂100重量部、分子量400のポリエチレングリコール20重量部、粒径10〜60μmの塩化ナトリウム350重量部を配合したものに、カーボンブラック3部を加えて混練し、厚み2.0mmの薄板状シートを作成する。
次に、当該シートを温水中に浸してポリエチレングリコールと塩化ナトリウムを除去し、完全に除去できたら十分に乾燥させ、厚さ2.0mmの多孔質シートを得る。
次に、所要の文字や図面等を黒地とし余白を透明地で表したポジフィルムを前記多孔質印材に重ね、前記フィルム側から赤外線を照射する。そうすると、ポジフィルムの黒地の部分では赤外線が多孔質シートに到達するのを防ぐので多孔質がそのまま残って多孔質印字部となり、一方ポジフィルムの透明地の部分では赤外線が透過して対応する部分の多孔質中のカーボンを発熱させ、熱可塑性樹脂を溶融固化させて非多孔質印材保護被膜からなる非多孔質部を形成するので、インキ滲み出し可能な多孔質印字部とインキ滲み出し不可能な非多孔質部が形成されることになって、印面が形成される。
次に、多孔質シートを100℃に加熱したヒートカッターで所要の幅に切断して帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を作成する。そうすると、多孔質シートが切断されると同時にその切断面が溶融固化されてインキが滲み出し不能な非多孔質印材保護膜を形成される。
次に、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の印面が存在する表面側の両端20.0mm同士を向かい合わせに重ねて接触部とし、接触部の上から100℃に加熱したヒートカッターで接触部の先端から10.0mmの位置を切断する。そうすると、接触部が切断される同時に切断面を溶融し、かつ、接触部の接触部分同士を幅方向に溶融し接着連結する。これにより、溶融された接触部は熱可塑性樹脂が溶融して凝縮した非多孔質結合部を形成しており、熱可塑性樹脂多孔質印材の両端が溶融し接着連結されたリング状の無端印字ベルトが得られる。
この無端印字ベルトは内側に印面があるので、裏返して表裏を反対にして本発明の回転印用無端印字ベルトを得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の無端印字ベルト
【図2】従来の無端印字ベルト
【図3】従来の無端印字ベルト
【図4】実開昭52−144014号考案
【図5】実施例1の説明図
【図6】実施例1の説明図
【図7】実施例1の説明図
【図8】実施例1の説明図
【図9】実施例2の説明図
【図10】実施例2の説明図
【図11】実施例2の説明図
【図12】実施例2の説明図
【図13】実施例3の説明図
【図14】実施例3の説明図
【図15】実施例3の説明図
【図16】実施例3の説明図
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透印タイプの回転印に使用される連続気泡を有する多孔質印材を用いた無端印字ベルトの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開昭54−103127や実開昭54−118210等に開示されている連続気泡を有する多孔質印材を用いた無端印字ベルトからなる回転印は、自身にインキを内蔵できるので、使用の度にインキを付着させなくても連続して押印することができ、大変有用である。
従来このような無端印字ベルトの素材となる多孔質印材には主にスポンジ化した多孔質ゴムが用いられていたが、近年では素材を熱可塑性樹脂に変更した特開平11−129595号、特開平11−129596号、特開2005−205798号等も公知となっている。
前記熱可塑性樹脂多孔質印材は、大体次のように製造される。まず、気泡形成剤等を配合した熱可塑性樹脂を厚み1〜5mm程度の薄板状シートに成形した後、当該シートから気泡形成剤を除去してスポンジ状の多孔質シートを得る。次に、多孔質シートにマスキングを施し、その上から赤外線を照射するなど公知の技術を用いて多孔質印字部と非多孔質部による印面を作成した後、これを所要のサイズに切断して帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を得ていた。
この帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を使用して回転印用の無端印字ベルトを製造するには、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の一端の表面側と他端の裏面側を重ね合わせて接触させ、重ね合わせた接触部分をシール機にて溶融し接着連結させて、リング状の無端印字ベルトを製造していた。
または、実開昭52−144014号に記載の考案の様に、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を接着してリング状の無端印字ベルトを製造していた。
【0003】
【特許文献1】特開平11−129595号公報
【特許文献2】特開平11−129596号公報
【特許文献4】特開2005−205798号公報
【特許文献5】実開昭52−144014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の回転印用無端印字ベルトを製造には、上記の通り帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を重ね合わせ、重ね合わせた接触部分をシール機にて溶融し接着連結させるのであるが、その際は図1のように熱可塑性樹脂多孔質印材の一端の表面側と他端の裏面側を重ね合わせていた。または、図5のように両端を接着してリング状の無端印字ベルトを製造していた。
本発明は熱可塑性樹脂多孔質印材の表面と表面又は裏面と裏面といった同一面を向かい合わせに重ねて接触部とした後、重ね合わせた接触部の一部又は全部をシール機にて溶融して接着連結させるといった新たなアプローチによる無端印字ベルトの製造方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を向かい合わせに重ねて接触部とし、前記接触部の一部又は全部をシール機を用いて溶融して非多孔質結合部を形成し、リング状の回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
前記シール機がヒートシーラー、超音波ウェルダー、レーザ溶着機のいずれかである回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
前記非多孔質結合部の不要先端部分を切断してなる回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
前記シール機がヒートカッター、超音波カッター、レーザ切断機のいずれかであって、前記接触部を切断すると同時に切断面を溶融し、かつ、前記非多孔質結合部を形成する回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
前記の方法により製造される、非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルト。
前記の方法により製造される、非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルトの表裏を反対にした回転印用無端印字ベルト。
【発明の効果】
【0006】
従来は、図1のように下型シール機に帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を巻き付けた後、上型シール機にて挟み付ける様にして溶融して接着連結させていたが、巻き付けの必要が無い異なる新たなアプローチによる無端印字ベルトの製造方法を提案できた。
また、本発明製造方法によって製造された非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルトを表裏反対になるよう裏返しにすると、非多孔質結合部が内側となって表面に出現しないので外見が良く、非多孔質結合部による押印不可能範囲が極小で済む利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
まず、熱可塑性樹脂、水溶性有機溶剤、水溶性気泡形成剤を適量の割合で配合して混練したものを厚み1.0〜5.0mmに押し出し成形した薄板状シートを作成し、当該シートから水溶性有機溶剤及び水溶性気泡形成剤を水等で除去してスポンジ状の多孔質シートを作成し、必要に応じてインキ滲み出し可能な多孔質印字部とインキ滲み出し不可能な非多孔質部とからなる印面を形成した後、カッター等を用いて必要な幅に切断して帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を作成する。
次に、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を向かい合わせに重ねて接触させて接触部とし、接触部の一部又は全部をシール機にて溶融し接着連結させ非多孔質結合部を形成し、本発明のリング状の無端印字ベルトを製造する。
なお、本発明の熱可塑性樹脂だけでは強度が足りない場合は、補強材によって補強しても良い。具体的には、上記スポンジ状の多孔質シートを作成する際、薄板状シートを織編物や不織布からなる補強材の上に重ね合わせた状態で金型に収容し、これを加圧加熱して一体化した多孔質シートを得た後、当該シートから水溶性有機溶剤及び水溶性気泡形成剤を水等で除去してスポンジ状の多孔質シートを作成すると良い。
以下、詳述する。
【0008】
本発明で用いることができる熱可塑性樹脂としては、50℃〜250℃で融解する熱可塑性樹脂が用いられ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化物系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂などを用いることができるが、特にポリエチレンが好ましく用いられる。
また、水溶性有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどを使用することができる。
また、水溶性気泡形成剤としては、塩化ナトリウムや塩化カルシウム等のアルカリ金属塩、ペンタエリスリトールなどを用いることができ、2〜100μmの粒径のものが好ましく用いられる。
次に、熱可塑性樹脂、水溶性有機溶剤、水溶性気泡形成剤をよく混練し、押し出し機を使用して厚み1〜5mmに成形した薄板状シートを作成する。ここで、本発明では熱可塑性樹脂、水溶性有機溶剤、水溶性気泡形成剤を1.0:0.1〜0.8:3.0〜4.0の割合で配合することが好ましい。この配合比率を逸脱すると、たわみによる押し出し成形不良や強度不足による破断等をおこしたり多孔質印材中の連続気泡の形成に支障をきたし、薄板状シートを得ることが困難となる。当該配合とすることによって、各性能を満足する薄板状シートを得ることができる。
なお、薄板状シートを作成する際には、カーボンブラック・有色顔料・パール顔料・有色染料など赤外線を吸収して発熱する微粉末を加えてもよく、カーボンブラック・ホワイトカーボン・酸化チタン・無機顔料・有機顔料・パール顔料などの着色剤を加えてもよい。
【0009】
上記熱可塑性樹脂だけの薄板状シートでは強度が足りない場合は、補強材によって補強しても良い。しかし、補強材は必須構成要素ではなく、無端印字ベルトの補強が必要な場合のみ使用すれば良いのであって、必ずしも必要となるものではない。
補強材を使用する場合は、薄板状シートの厚みのバランスが取れるように、厚み0.5mm以下の織編物が主に用いられる。材質としては、主に綿、絹、羊毛、アセテート、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、フッ素系フィラメント、ポリクラール、レーヨン、ナイロン、ポリエステルなどの繊維を平織り布や綾織り布、各種編物布や不織布とした布を用いることができる。特に、極微細繊維といわれる繊度1d以下の合成繊維を使用した織編物は、耐インキ性、インキの流通性、強度、ほつれ、耐熱性、接着性、回転性、耐久性などに優れているので、最も好ましい。例えば、シルフローラX(商品名:東洋紡績株式会社製)、ザヴィーナミニマックス、クラウゼンMCF、ベルセイムハイテクロス(商品名:KBセーレン株式会社製)がある。
補強材付きの薄板状シートを作成するには、熱可塑性樹脂だけの薄板状シートと前記補強材とを重ね合わせて金型に収容し、適度な圧力を加えつつ熱可塑性樹脂の融点以上の温度約50℃〜250℃に加熱して一体化した補強材付きの薄板状シートを得る。圧力を加えることによって当該薄板状シートの厚みは熱可塑性樹脂だけの薄板状シートの厚みより若干収縮する。
他の方法として、前記押し出し機の排出口に熱ロールを設置して連続的に補強材と圧着して補強材付きの薄板状シートを得ても良い。
【0010】
次に、当該薄板状シートから前記水溶性有機溶剤及び水溶性気泡形成剤を水等で除去して多孔質シートを作成する。
【0011】
次に、必要に応じて前記多孔質シートに印面を形成する。通常多孔質シート表面に文字や図形等の印面を形成するには、余白に相当する部分の熱可塑性樹脂を溶融固化させてインキが滲み出し不能な非多孔質印材保護被膜で非多孔質部を形成すると共に、文字や図形等に相当する印字部分をインキが滲み出し可能となるよう多孔質を溶融せずに残すことによって多孔質印字部を形成して作成する。
印面を形成する方法としては、加熱した金型を直接押し当てて余白部分を溶融する方法、サーマルヘッドで余白部分を直接加熱して溶融する方法、炭酸ガスレーザやYAGレーザといった各種レーザ光を用いて余白部分を加熱して溶融する方法、発熱材を介在させ赤外線キセノンフラッシュランプなどによって余白部分を加熱して溶融する方法などを用いることができる。
ここで、必要に応じてというのは、この段階で印面を形成しても構わないし、後から印面を形成しても構わないためである。
【0012】
次に、前記多孔質シートをカッターを用いて必要な幅に切断し、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を作成する。超音波カッター、加熱したヒートカッター、レーザ切断機などで切断すると、切断面を溶融固化させてインキが滲み出し不能な非多孔質印材保護膜を形成できるので好ましい。
【0013】
次に、切断した帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を向かい合わせに重ねて接触部とする。接触部は、熱可塑性樹脂多孔質印材の一端の表面側と他端の表面側を重ね合わせて接触させる場合と、熱可塑性樹脂多孔質印材の一端の裏面側と他端の裏面側を重ね合わせて接触させる場合がある。
次に、接触部の一部又は全部をシール機を用いて溶融し接着連結させ非多孔質結合部を形成し、本発明のリング状の無端印字ベルトを製造することができる。
本発明は、材質がゴムのような熱硬化性樹脂でなく熱可塑性樹脂であるので、シール機によって熱可塑性樹脂が再溶融して自己接着するため、特に接着剤を用いなくても熱融着が可能である。しかしながら、これは接着剤を使用してはいけないということではなく、各種接着剤を併用しても本発明の回転印用無端印字ベルトを製造することができることは言うまでもない。
シール機としては、主にヒートシーラー、超音波ウェルダー、レーザ溶着機を用いることができるが、当該シール機により形成される非多孔質結合部はその先端部に余分な不要先端部分を含んでいる場合もある。そのような場合は、当該不要先端部分を切断して無端印字ベルトを製造することが好ましい。
また、シール機がヒートカッター、超音波カッター、レーザ切断機のいずれかを用いることもできる。この場合は、前記接触部を切断すると同時に切断面も溶融でき、かつ、前記接触部の一部又は全部を溶融して非多孔質結合部も形成することができる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
ポリエチレン樹脂100重量部、分子量400のポリエチレングリコール20重量部、粒径10〜60μmの塩化ナトリウム350重量部を配合したものに、カーボンブラック3部・酸化チタン3部を加えて混練し、厚み3.0mmの薄板状シートを作成する。
次に、当該シートを温水中に浸してポリエチレングリコールと塩化ナトリウムを除去し、完全に除去できたら十分に乾燥させ、厚さ3.0mmの多孔質シートを得る。
次に、所要の文字や図面等を黒地とし余白を透明地で表したポジフィルムを前記多孔質印材に重ね、前記フィルム側から赤外線を照射する。そうすると、ポジフィルムの黒地の部分では赤外線が多孔質シートに到達するのを防ぐので多孔質がそのまま残って多孔質印字部となり、一方ポジフィルムの透明地の部分では赤外線が透過して対応する部分の多孔質中のカーボンを発熱させ、熱可塑性樹脂を溶融固化させて非多孔質印材保護被膜からなる非多孔質部を形成するので、インキ滲み出し可能な多孔質印字部とインキ滲み出し不可能な非多孔質部が形成されることになって、印面が形成される。
次に、多孔質シートを超音波カッターにて切断して帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を作成する。そうすると、切断されると同時にその切断面が溶融固化されてインキが滲み出し不能な非多孔質印材保護膜が形成される。
次に、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の印面と反対側である裏面側の両端10.0mm同士を向かい合わせに重ねて接触部とし、接触部の上から100℃に加熱したヒートシール機を押圧して接触部全部を溶融する。溶融された接触部は全て溶融して0.5mm程度の厚みに収縮した非多孔質結合部を形成しており、熱可塑性樹脂多孔質印材の両端が接着連結されたリング状の無端印字ベルトが得られる。当該非多孔質結合部は長さが10.0mmあって邪魔なので、不要先端部分となる先端から8.0mm程度を切断して無端印字ベルトを製造する。
【実施例2】
【0015】
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂100重量部、グリセリン15重量部、粒径10〜30μmのペンタエリスリトール350重量部を配合したものに、カーボンブラック5部を加えて混練し、厚み1.0mmの薄板状シートを作成する。
次に、当該薄板状シートと綿糸を平織りにした補強材とを重ね合わせて金型に収容し、200kg/cm2の圧力を加えつつ140℃に加熱して一体化した補強材付きの薄板状シートを得る。当該薄板状シートの厚さは圧力の効果により0.5mmに収縮している。
次に、当該薄板状シートを温水中に浸してグリセリンとペンタエリスリトールを除去し、完全に除去できたら十分に乾燥させ、厚さ0.5mmの多孔質シートを得る。
次に、所要の文字や図面等を黒地とし余白を透明地で表したポジフィルムを前記多孔質印材に重ね、前記フィルム側から赤外線を照射する。そうすると、ポジフィルムの黒地の部分では赤外線が多孔質シートに到達するのを防ぐので多孔質がそのまま残って多孔質印字部となり、一方ポジフィルムの透明地の部分では赤外線が透過して対応する部分の多孔質中のカーボンを発熱させ、熱可塑性樹脂を溶融固化させて非多孔質印材保護被膜からなる非多孔質部を形成するので、インキ滲み出し可能な多孔質印字部とインキ滲み出し不可能な非多孔質部が形成されることになって、印面が形成される。
次に、多孔質シートをヒートカッターで切断して帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を作成する。そうすると、多孔質シートが切断されると同時にその切断面が溶融固化されてインキが滲み出し不能な非多孔質印材保護膜を形成される。
次に、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の印面が存在する表面側の両端30.0mm同士を向かい合わせに重ねて接触部とし、接触部の上下から1.0cmの厚さを有するアクリル板2枚で挟み込み、10kg/cm2の圧力でアクリル板を挟圧する。
次に、アクリル板の上から接触部先端から10.0mmの位置に向けてYAGレーザ溶着機でレーザ光線を幅方向に照射し、接触部の一部を幅方向に溶融し接着連結する。これにより、溶融された接触部は熱可塑性樹脂が溶融して凝縮した非多孔質結合部を形成しており、熱可塑性樹脂多孔質印材の両端が溶融し接着連結されたリング状の無端印字ベルトが得られる。
この無端印字ベルトは内側に印面があるので、裏返して表裏を反対にして本発明の回転印用無端印字ベルトを得る。
【実施例3】
【0016】
ポリエチレン樹脂100重量部、分子量400のポリエチレングリコール20重量部、粒径10〜60μmの塩化ナトリウム350重量部を配合したものに、カーボンブラック3部を加えて混練し、厚み2.0mmの薄板状シートを作成する。
次に、当該シートを温水中に浸してポリエチレングリコールと塩化ナトリウムを除去し、完全に除去できたら十分に乾燥させ、厚さ2.0mmの多孔質シートを得る。
次に、所要の文字や図面等を黒地とし余白を透明地で表したポジフィルムを前記多孔質印材に重ね、前記フィルム側から赤外線を照射する。そうすると、ポジフィルムの黒地の部分では赤外線が多孔質シートに到達するのを防ぐので多孔質がそのまま残って多孔質印字部となり、一方ポジフィルムの透明地の部分では赤外線が透過して対応する部分の多孔質中のカーボンを発熱させ、熱可塑性樹脂を溶融固化させて非多孔質印材保護被膜からなる非多孔質部を形成するので、インキ滲み出し可能な多孔質印字部とインキ滲み出し不可能な非多孔質部が形成されることになって、印面が形成される。
次に、多孔質シートを100℃に加熱したヒートカッターで所要の幅に切断して帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材を作成する。そうすると、多孔質シートが切断されると同時にその切断面が溶融固化されてインキが滲み出し不能な非多孔質印材保護膜を形成される。
次に、帯状の熱可塑性樹脂多孔質印材の印面が存在する表面側の両端20.0mm同士を向かい合わせに重ねて接触部とし、接触部の上から100℃に加熱したヒートカッターで接触部の先端から10.0mmの位置を切断する。そうすると、接触部が切断される同時に切断面を溶融し、かつ、接触部の接触部分同士を幅方向に溶融し接着連結する。これにより、溶融された接触部は熱可塑性樹脂が溶融して凝縮した非多孔質結合部を形成しており、熱可塑性樹脂多孔質印材の両端が溶融し接着連結されたリング状の無端印字ベルトが得られる。
この無端印字ベルトは内側に印面があるので、裏返して表裏を反対にして本発明の回転印用無端印字ベルトを得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の無端印字ベルト
【図2】従来の無端印字ベルト
【図3】従来の無端印字ベルト
【図4】実開昭52−144014号考案
【図5】実施例1の説明図
【図6】実施例1の説明図
【図7】実施例1の説明図
【図8】実施例1の説明図
【図9】実施例2の説明図
【図10】実施例2の説明図
【図11】実施例2の説明図
【図12】実施例2の説明図
【図13】実施例3の説明図
【図14】実施例3の説明図
【図15】実施例3の説明図
【図16】実施例3の説明図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を向かい合わせに重ねて接触部とし、前記接触部の一部又は全部をシール機を用いて溶融して非多孔質結合部を形成し、リング状の回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
【請求項2】
前記シール機がヒートシーラー、超音波ウェルダー、レーザ溶着機のいずれかである請求項1に記載の回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
【請求項3】
前記非多孔質結合部の不要先端部分を切断してなる請求項1又は請求項2に記載の回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
【請求項4】
前記シール機がヒートカッター、超音波カッター、レーザ切断機のいずれかであって、前記接触部を切断すると同時に切断面を溶融し、かつ、前記非多孔質結合部を形成する請求項1に記載の回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
【請求項5】
前記請求項1〜請求項4に記載の方法により製造される、非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルト。
【請求項6】
前記請求項1〜請求項4に記載の方法により製造される、非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルトの表裏を反対にした回転印用無端印字ベルト。
【請求項1】
熱可塑性樹脂多孔質印材の両端を向かい合わせに重ねて接触部とし、前記接触部の一部又は全部をシール機を用いて溶融して非多孔質結合部を形成し、リング状の回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
【請求項2】
前記シール機がヒートシーラー、超音波ウェルダー、レーザ溶着機のいずれかである請求項1に記載の回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
【請求項3】
前記非多孔質結合部の不要先端部分を切断してなる請求項1又は請求項2に記載の回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
【請求項4】
前記シール機がヒートカッター、超音波カッター、レーザ切断機のいずれかであって、前記接触部を切断すると同時に切断面を溶融し、かつ、前記非多孔質結合部を形成する請求項1に記載の回転印用無端印字ベルトを製造する方法。
【請求項5】
前記請求項1〜請求項4に記載の方法により製造される、非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルト。
【請求項6】
前記請求項1〜請求項4に記載の方法により製造される、非多孔質結合部によってリング状に連結された回転印用無端印字ベルトの表裏を反対にした回転印用無端印字ベルト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−105213(P2010−105213A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277303(P2008−277303)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
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