説明

回転式ハンガー掛け

【課題】 簡単な構造によって、衣服等の収納が容易で、かつ収納していない空の状態でも邪魔にならず、さらに床に損傷を生じることがないようにする。
【解決手段】 第1の軸支柱3と、パイプ状の上部回転支柱41及び下部回転支柱51との上下端部に、横アーム4,5を固定する。ハンガーを掛ける掛け部材2の中央部をパイプ状の回転支柱22で構成し、第1の軸支柱3の外周に回転自在に挿着する。上部回転支柱41と下部回転支柱51とを、上中下位置で固定した第2の軸支柱6の外周に回転自在に挿着する。横アーム4,5を回転させれば、掛け部材2を収納区画10の外に移動させることができ、また空の掛け部材を回転させれば、この収納区画の内壁面に沿わせて収納することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマンションのウォーク・イン・クローゼットに設置する回転式ハンガー掛けに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上部に棚を設け、その下にハンガー掛けパイプを設けた衣服等の収納区画が広く使用されている。このような収納区画に多くの衣服等を収納するためには、ハンガー掛けパイプを長くする必要があるが、そのためには収納区画の横幅を広くしなければならない。しかるにマンション等の集合住宅では、住戸の間取りとの関係で、十分な横幅を確保することが困難な場合も多く、このような場合には、いわゆるウォーク・イン・クローゼットが採用されている。
【0003】
図8に示すように、マンション等のウォーク・イン・クローゼットでは、通常収納用の棚やハンガー掛けパイプを略L字状に配置し、これらと出入口の扉との間に空間が設けられている。したがって横幅が取り難い住戸の間取りであっても、多くの衣服等を収納できる点で優れている。しかるに出入口の扉との間に設けた空間には、人の出入等を確保するために、家具等を固定して設置することはできない。したがって、この空間が無駄なデッドスペースとなりがちであった。そこでこのデッドスペースを有効に利用するための手段が提案されている(例えば特許文献1および2参照。)。
【0004】
特許文献1で開示されている手段は、図9に示すように、衣服等を入れる網籠等の収納用部材7を複数個上下に収納した四角い箱体1を、上下のスライド部材4a,4bと連結している垂直部材4cに、回転自在に取り付けたものである。したがって、スライド部材4a,4bを、ウォーク・イン・クローゼットの外に引出せば、箱体1を90度以上に大きく回転できるので、この箱体がウォーク・イン・クローゼットの出入口を塞がないようにすることができる。このためウォーク・イン・クローゼットの奥にある据付型の棚等へのアクセスが容易になる。
【0005】
特許文献2で開示されている手段は、図10に示すように、クローゼット内に一端が回転自在のハンガー掛け1を設けたものである。したがってハンガー掛け1をクローゼットの外に回転させれば、このハンガー掛けの奥にある棚等に収納した衣服等を取り出したりする場合に、邪魔にならない。このためこのハンガー掛け1を設けることによって、クローゼット内の空間をデッドスペースにすることなく有効に利用できる。
【特許文献1】特開平6−62927号公報(第1−3頁、第2図)
【特許文献2】特開平10−52326号公報(第1−2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上述した従来の手段には、次の改良すべき問題があった。すなわちいずれの手段も、衣服等を収納していない空の状態であっても、箱体1やハンガー掛け1は、クローゼット内の空間を占領するため、クローゼットの奥に収納してある衣服等を取り出したり、収納したりするためには、これらを一々クローゼットの外に出さなければならない。すなわち衣服等を収納していない空の状態では、箱体1やハンガー掛け1は、クローゼット内の空間を無駄に占領するだけの邪魔な物になってしまうという、基本的な問題がある。したがって衣服等を収納していない空の状態でも、邪魔にならない手段が望まれる。
【0007】
また特許文献1の手段では、衣服等の収納に、網籠等の収納用部材7を用いているため、折り目を嫌うコート等を収納するのには適さない。また衣服等を収納する際には、網籠等の収納用部材7を引出し、衣服等を畳んだ上で、この収納用部材に積み重ねる作業等が必要になるため、手間がかかる。さらに箱体1を大きくして多量の衣服等を収納できるようにすると、全体が重くなり、これを支えるスライド部材4a,4bやこれを移動可能に支持するスライド支持体のサイズや強度を大きくする必要があるため、製造や据付コスト等が高くなる。
【0008】
一方特許文献2の手段では、上述した特許文献1の問題点を有していないが、ハンガー掛け1の先端下部に、キャスタ7を設けている。すなわちハンガーを掛ける横棒4を支持する支柱3は、上下を軸受け2、2によって回転自在に軸支されているが、キャスタ7を設けることによって、ハンガー掛け1を容易に回転できるようにしてある。
【0009】
しかしキャスタ7が床面を転動すると、床面に傷がつく。特に最近は床を木目調のフローリング等にする場合が多く、このような比較的軟質なフローリングの上を、キャスタ7が転動すると、表面に致命的な損傷を与える恐れがある。とくに重いハンガー掛けを、何年もの間にわたって繰り返し移動させると、キャスタ7による損傷が避けられない。したがって、キャスタを設けなくても、長期にわたって、重いハンガー掛けを回転自在に支える手段が望まれる。
【0010】
そこで本発明の目的は、第1に、衣服等を収納していない空の状態でも、邪魔にならない回転式ハンガー掛けを提供することにある。第2に、床に損傷を生じることがない回転式ハンガー掛けを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、本発明による回転式ハンガー掛けの特徴は、衣服等の収納区画に設けられており、ハンガーを掛ける掛け部材と、この掛け部材を回転自在に支持する第1の軸支柱と、この第1の軸支柱を支持する横アームと、この横アームを回転自在に支持する第2の軸支柱または回転軸部材のいずれかとを備えることにある。上記第2の軸支柱または回転軸部材のいずれかは、上記収納区画の出入口の一側端の近傍に設けてあることが望ましい。
【0012】
さらに上記第2の軸支柱の下端部分は、上記収納区画の床に固定され、その上端部分は、この収納区画を構成する上部または側部のいずれかに固定してあって、上記横アームは、中空パイプ状の回転支柱に支持され、この回転支柱を上記第2の軸支柱の外周に回転自在に挿着してあることが望ましい。
【0013】
ここで「衣服等の収納区画」とは、据付型のハンガー掛けや棚等の他に、本発明による回転式ハンガー掛けを収納できる空間を有するすべての区画を意味し、その形状や大きさを問わない。またいわゆる人間が出入りできるウォーク・イン・クローゼットに限らず、人間が出入りできない、小型のクローゼット等も含む。「ハンガーを掛ける掛け部材」とは、洋服等を吊るしたハンガーを引っ掛けて保持できる部材を意味し、その形状や材質や個数を問わない。例えば金属製の横棒、ハンガーを掛ける穴や溝等を設けた板状の部材、バー材を半月状に構成したもの、あるいは四角形等の多角形に構成したものも含む。
【0014】
また「横アーム」とは、第2の軸支柱または回転軸部材のいずれかを中心として、横方向に延伸する部材を意味し、その形状や材質や個数を問わない。例えば金属製の棒、板材、あるいは複数のバー材を組み合わせたものも含む。「回転軸部材」とは、収納区画を構成する柱や壁等に、横アームを回転自在に連結する部材を意味し、例えばヒンジ、あるいは横アームの先端に設けた垂直軸を回転自在に支持するベアリングが該当する。また「収納区画の出入口」とは、衣服等を収納等する際に、人間が出入したりアクセスしたりするための開口部分を意味し、扉の有無を問わない。「収納区画を構成する上部」とは、いわゆる天井部分のほか、収納区画の上部に設けた梁等の部材も含む。また「側部」とは、いわゆる収納区画を構成する壁を意味し、壁の一部を構成する柱も含む。
【発明の効果】
【0015】
掛け部材が、第1の軸支柱に回転自在に支持されているため、ハンガーを掛ける位置を、容易に手前に回転させることができるので、例えばウォーク・イン・クローゼット内の狭い空間において、容易にハンガーを掛けたり、取り外したりすることができる。また掛け部材を支持する横アームが、第2の軸支柱または回転軸部材のいずれかに回転自在に支持されているため、この横アームを回転させて、この掛け部材を収納区画の外に移動することが可能となる。このため、ハンガーの掛け下ろしが極めて容易になると共に、収納区画の出入や、奥に収納した固定ハンガー掛けや棚等へのアクセス等が容易になる。
【0016】
さらに横アームが、第2の軸支柱または回転軸部材のいずれかに回転自在に支持されていることによって、この横アームの回転先端を、収納区画の壁に接するように回転することができる。この場合において、掛け部材は、第1の軸支柱を介して、横アームに回転自在に支持されているため、この掛け部材を壁にほぼ密着する位置に回転させることができる。したがって掛け部材が空で無用な場合には、この空の掛け部材を収納区画の壁にほぼ接するように配置できるため、この空の掛け部材を収納区画に収納しても邪魔にならず、容易に収納区画の出入や、奥に収納した固定ハンガー掛けや棚等へのアクセス等が可能となる。なおこの効果については、次の実施の形態で図解する。
【0017】
次に上記第2の軸支柱または回転軸部材のいずれかを、上記収納区画の出入口の一側端の近傍に設けることによって、この第2の軸支柱または回転軸部材のいずれかに、回転自在に支持されている横アームの回転先端等を、出入口から離れた外側に移動させることが可能となる。したがってハンガー掛を、出入口からより遠ざけることができるため、ハンガーの掛け下ろしが一層容易になると共に、収納区画の出入や、奥に収納した固定ハンガー掛けや棚等へのアクセス等が、一層容易になる。
【0018】
また上記第2の軸支柱の下端部分を、上記収納区画の床に固定し、その上端部分を、この収納区画を構成する上部または側部のいずれかに固定することによって、この第2の軸支柱を、垂直方向と水平方向に、堅固に固定することができる。そして上記横アームを、中空パイプ状の回転支柱に固定し、この回転支柱を上記第2の軸支柱の外周に回転自在に挿着することによって、ハンガー掛けに多量の衣服等を掛けた場合にも、キャスタによる補助がなくても、回転式ハンガー掛けの剛性や耐久性等を、簡単な構成で増強することが可能となる。
【0019】
すなわち、まず上記第2の軸支柱の下端部分を、上記収納区画の床に固定し、その上端部分を、この収納区画を構成する上部または側部のいずれかに固定することによって、横アームを回転自在に支持する第2の軸支柱の取り付け強度および剛性を、簡単な構成で増強することができる。すなわち第2の軸支柱には、本発明による回転式ハンガー掛け自体の重量と、ハンガー掛けに掛けた衣服等の全重量が掛かる。この全重量を、例えば収納区画の壁から突出させた横ヒンジ等で受け持たせるようにすると、この横ヒンジ等に極めて大きな曲げモーメントが発生するために、この横ヒンジ等を大きく頑丈にする必要がある。
【0020】
しかるに第2の軸支柱の下端部分を、収納区画の床に固定すれば、全重量をこの床が垂直に支えるため、この第2の軸支柱の下端部分には曲げモーメントが発生しない。したがって小くて簡単な構造で全重量を支持することができる。一方第2の軸支柱の上端部分においては、垂直方向の重量を支える必要がなくなるために、例えば天井や壁に固定しても、小くて簡単な構造で取り付け剛性や強度を確保することができる。以上により、重い重量が掛かった場合でも、第2の軸支柱の取り付け強度および剛性を、簡単な構成で増強することができる。
【0021】
次に上記横アームを、中空パイプ状の回転支柱に支持し、そしてこの回転支柱を上記第2の軸支柱の外周に回転自在に挿着することによって、この第2の軸支柱に回転自在に支持される横アームの支持剛性と耐久性とを、簡単な構成で増強することができる。すなわち横アームは、中空パイプ状の回転支柱に固定的に支持することができるので、横アームと中空パイプ状の回転支柱との、取り付け剛性を大きくすることができる。さらに中空パイプ状の回転支柱の長さを十分長く設定することができるため、横アームに掛かる曲げモーメントを、長い回転支柱の両端で支えることができる。したがって回転支柱の両端に掛かる水平方向の力を小さくすることができるため、この両端部分に回転接触する第2の軸支柱の外周との摩擦力を小さくすることが可能となり、耐久性と円滑な回転運動が確保できる。
【0022】
なお、上述した曲げモーメントに十分耐えうるような壁(例えば、コンクリート壁や、鉄骨を内蔵する壁)で収納区画が構成されている場合には、第2の軸支柱を床で支持する替わりに、ヒンジ等の回転軸部材で横アームを壁に支持する、あるいはヒンジ等の回転軸部材で第2の軸支柱を壁に支持することもできる。すなわちこのように収納区画の壁や柱の強度や剛性が高い場合には、ヒンジ等の回転軸部材を用いることによって、キャスタによる補助がなくても、回転式ハンガー掛けの剛性や耐久性等を、簡単な構成で確保することが可能となる。
【0023】
以上によって、ハンガー掛けに多量の衣服等を掛けた場合にも、キャスタによる補助がなくても、回転式ハンガー掛けの剛性や耐久性等を、簡単な構成で増強することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1〜図3を参照しつつ、本発明による回転式ハンガー掛けの構成を説明する。回転式ハンガー掛け1は、衣服等の収納区画10の内側であって、出入口11の一側端を構成する柱12の近傍に設けてあり、ハンガーを掛ける掛け部材2と、この掛け部材を回転自在に支持する、第1の軸支柱3とを備えている。掛け部材2は、アルミ製パイプからなる四角枠状に形成したフレーム部21と、このフレーム部の上下2辺の中央部において溶接結合した、アルミ製パイプからなる回転支柱22とから構成される。
【0025】
図3に示すように、第1の軸支柱3は、アルミ製の中実棒からなる上部分31と、この上部分の下端部に連結した、やや外径が大きいアルミ製パイプからなる下部分32とからなり、この上部分に掛け部材2のアルミ製パイプからなる回転支柱22が、回転自在に挿着される。第1の軸支柱3の上下両端部は、アルミ製パイプからなる上部横アーム4と、下部横アーム5との先端部に、それぞれ溶接結合してある。
【0026】
上部横アーム4と下部横アーム5との他端部は、それぞれアルミ製パイプからなる上部回転支柱41と下部回転支柱51とに、それぞれ溶接結合してある。そして上部回転支柱41と下部回転支柱51とは、アルミ製の中実棒からなる第2の軸支柱6の外周に、それぞれ回転自在に挿着されている。第2の軸支柱6は、その下端部において、床に設けた受け部材7に固定され、また上端部とほぼ中央部において、収納区画10の出入口11の一側端を構成する柱12に突設した係止部材8,9に固定してある。なお上部回転支柱41と下部回転支柱51との下端面は、それぞれ係止部材9と、受け部材7との上面に当接して摺動する。
【0027】
したがって、四角枠状に形成したフレーム部21と、このフレーム部の中央部で溶接結合した回転支柱22とからなる掛け部材2は、他の補強部材を設けなくても、それ自体で極めて剛性が高く、重い衣服等を掛けても変形しない構造になっている。また上部横アーム4と下部横アーム5との先端部分は、第1の軸支柱3の上下端部に、それぞれ溶接で固定され、他端部も、長い上部回転支柱41と下部回転支柱51とに、それぞれ溶接で固定され、さらにこれらの長い上部回転支柱と下部回転支柱とは、それぞれ第2の軸支柱6の外周に挿着されている。このため、上部横アーム4と下部横アーム5とは、全体として、四隅を固定した四角形のフレーム構造と同等になり、他の補強部材を設けなくても、それ自体で極めて上下方向の剛性が高くなっている。
【0028】
したがって上述したように構成することによって、本発明による回転式ハンガー掛け1は、掛け部材2に、多量の衣服等を掛けた場合であっても、他に補強部材やキャスタ等を設けることなく、最小限の構成部材によって、それ自体で変形し難い構造になっている。
【0029】
また第2の軸支柱6の下端部は、床に設けた受け部材7に固定されているので、この第2の軸支柱に掛かる全ての重量を、この受け部材が容易かつ確実に支えることができる。一方第2の軸支柱6に掛かる曲げモーメントは、長い上部回転支柱41と下部回転支柱51との両端部分で受け持つため、この両端部分に掛かる水平方向の力は小さくなり、この部分で回転接触する第2の軸支柱6との摩擦力も小さくなる。したがって上部横アーム4と下部横アーム5との回転が容易になると共に、回転接触する部分が摩耗し難くなる。
【0030】
図4に、本発明による回転式ハンガー掛けの他の実施の形態を示す。本発明による回転式ハンガー掛け101は、衣服等の収納区画110の内側であって、出入口の一側端を構成する柱112の近傍に設けてあり、ハンガーを掛ける掛け部材102と、この掛け部材を回転自在に支持する、第1の軸支柱103とを備えている。掛け部材102は、半月状の上部材と、コの字形状の下部材とを一体形成したアルミ製のフレーム部121と、このフレーム部の上下中央部において溶接結合した、アルミ製パイプからなる回転支柱122とから構成される。
【0031】
アルミ製パイプからなる第1の回転支柱122は、アルミ製の中実棒からなる第1の軸支柱103に回転自在に挿着され、この第1の軸支柱の上下両端部は、アルミ製の板材からなる上部横アーム104と、下部横アーム105との先端部に、それぞれ溶接結合してある。
【0032】
上部横アーム104と下部横アーム105との他端部は、アルミ製パイプからなる回転支柱145に、それぞれ溶接結合してある。そして回転支柱145は、アルミ製の中実棒からなる第2の軸支柱106の外周に、回転自在に挿着されている。第2の軸支柱106は、その下端部において、床に設けた受け部材107に固定され、また上端部において、収納区画110の出入口の一側端を構成する柱112に突設した係止部材108に固定してある。なお回転支柱145の下端面は、受け部材107の上面に当接して摺動する。
【0033】
したがって、枠状に一体形成したフレーム部121と、このフレーム部の中央部で溶接結合した回転支柱122とからなる掛け部材102は、他の補強部材を設けなくても、それ自体で極めて剛性が高く、重い衣服等を掛けても変形しない構造になっている。また上部横アーム104と下部横アーム105との先端部分及び他端部分は、第1の軸支柱103の上下端部と、回転支柱145の上下端部とに、それぞれ溶接で固定されている。このため、上部横アーム104と下部横アーム105とは、全体として、四隅を固定した四角形のフレーム構造になり、他の補強部材を設けなくても、それ自体で極めて上下方向の剛性が高くなっている。
【0034】
したがって上述したように構成することによって、本発明による回転式ハンガー掛け101は、掛け部材102に、図1等に示した回転式ハンガー掛け1よりも多量の衣服等を掛けた場合でも、他に補強部材やキャスタ等を設けることなく、最小限の構成部材によって、それ自体で変形し難い構造になっている。
【0035】
図5〜図7を参照しつつ、本発明による回転式ハンガー掛け1の使用の一例について説明する。図5は、衣服等を吊るしたハンガーを掛けた回転式ハンガー掛け1を、収納区画10内の空間13に配置した場合を示している。すなわち出入口11の左側端部の直内側に設けた第2の軸支柱6を中心として、上部横アーム4等の先端を空間13内に回転する。そして上部横アーム4等の先端に固定した第1の軸支柱3を中心として、衣服等を吊るしたハンガーを掛けた掛け部材2を、出入口11にほぼ平行に回転する。したがって、出入口11から収納区画10内の空間13に入って、容易にハンガーを掛け部材2に掛けたり降ろしたりすることができる。
【0036】
図6は、回転式ハンガー掛け1を、収納区画10の外に回転移動した場合を示している。すなわち第2の軸支柱6を出入口11の左側端部に設けてあるので、この出入口の横幅より上部横アーム4等の長さを短くしておけば、掛け部材2を縦方向に回転させることによって、この出入口を通過して、外部に移動させることができる。したがって、出入口11の外で容易にハンガーを掛け部材2に掛けたり降ろしたりすることができ、また収納区画10の奥に据え付けた固定式のL字形状のハンガー掛け15,15に、容易にアクセスすることができる。
【0037】
図7は、空の回転式ハンガー掛け1を、収納区画10の壁の内側に、ほぼ平行に接するように回転移動した場合を示している。すなわち第2の軸支柱6を中心として、上部横アーム4等の先端部分を、収納区画10の壁の内側にほぼ接するように回転移動し、さらに第1の軸支柱3を中心として、掛け部材2をこの収納区画の壁の内側にほぼ平行になるように回転移動する。したがって、衣服等を掛けない空の状態では、回転式ハンガー掛け1を、上述したように回転移動させるだけで、壁際に寄せることができる。したがって収納区画10内に収納しても、固定式のL字形状のハンガー掛け15,15にアクセスする場合に、ほとんど邪魔になることはない。
【0038】
なお、横アーム4等を長くして、第1の軸支柱3と掛け部材2とを、複数設けることも容易にできる。また横アーム4等を、3本以上に構成することも容易にできる。回転式ハンガー掛け1等の材料は、アルミ製に限らず、スチールやステンレス材等の他の金属にすることも容易にできる。回転自在に支持する部分に、ラジアル軸受けやスラスト軸受けを使用して、回転をより滑らかにすることも容易にできる。また収納区画10等に、本発明による複数の回転式ハンガー掛け1等を設置することも容易にできる。
【0039】
収納区画10等を構成する柱12等や壁に、十分強度や剛性が高いコンクリートや鉄骨を内蔵する壁が使用されている場合には、第2の軸支柱6,106を床で支持する替わりに、ヒンジ等の回転軸部材で横アーム4等を柱や壁に支持することもできる。すなわちこのように収納区画の壁や柱の強度や剛性が高い場合には、ヒンジ等の回転軸部材を用いることによって、キャスタによる補助がなくても、回転式ハンガー掛の剛性や耐久性等を、簡単な構成で確保することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明による回転式ハンガー掛けは、衣服等を収納していない空の状態でも邪魔にならないだけでなく、床に損傷を生じることがなく、さらに補強部材等を必要としない簡単な構造であるため、利用価値が高く量産性に優れる。したがって一戸建て住宅や集合住宅等の建設産業や、家具の製造産業等に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】回転式ハンガー掛けの正面図である。
【図2】回転式ハンガー掛けの側面図である。
【図3】掛け部材と、第1の軸支柱との組み付けを説明する斜視図である。
【図4】他の回転式ハンガー掛けの正面図である。
【図5】回転式ハンガー掛を収納区画内に配置した場合の上面図である。
【図6】回転式ハンガー掛を収納区画外に移動した場合の上面図である。
【図7】空の回転式ハンガー掛を収納区画内に配置した場合の上面図である。
【図8】集合住宅のウォーク・イン・クローゼットの概略構成図である。
【図9】従来例によるウォーク・イン・クローゼットの斜視図である。
【図10】従来例による回転式ハンガー掛けの概略構成図である。
【符号の説明】
【0042】
1,101 回転式ハンガー掛け
2,102 掛け部材
21,121 フレーム部
22,122 回転支柱
3,103 第1の軸支柱
4,104 横アーム
41 上部回転支柱
5,105 横アーム
51 下部回転支柱
6,106 第2の軸支柱
7,107 受け部材
8,108 係止部材
9 係止部材
10,110 収納区画
11 出入口
12,112 柱
145 回転支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服等の収納区画に設けられ、
ハンガーを掛ける掛け部材と、この掛け部材を回転自在に支持する第1の軸支柱と、この第1の軸支柱を支持する横アームと、この横アームを回転自在に支持する第2の軸支柱または回転軸部材のいずれかとを備える
ことを特徴とする回転式ハンガー掛け。
【請求項2】
請求項1において、上記第2の軸支柱または回転軸部材のいずれかは、上記収納区画の出入口の一側端の近傍に設けてあることを特徴とする回転式ハンガー掛け。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかにおいて、上記第2の軸支柱の下端部分は、上記収納区画の床に固定され、その上端部分は、この収納区画を構成する上部または側部のいずれかに固定してあって、
上記横アームは、中空パイプ状の回転支柱に支持され、この回転支柱を上記第2の軸支柱の外周に回転自在に挿着してあることを特徴とする回転式ハンガー掛け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−87838(P2006−87838A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280519(P2004−280519)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【出願人】(500118241)株式会社長谷工アーベスト (3)