説明

回転式ロックを備えた呼吸器アクセスアセンブリ及びその使用方法

【課題】挿管患者の呼吸器系に閉鎖式システムが安全で予測可能にアクセスできるようにし、かつ安全機能を有しているような、操作が簡単でフェイルセーフ機能付きの閉鎖式システム呼吸器アクセスアセンブリを提供する。
【解決手段】呼吸器アクセスアセンブリは、可動マニホルドと、閉鎖式吸引カテーテルアセンブリと、マニホルドと閉鎖式吸引カテーテルアセンブリとの間をアクチュエータにより移動可能であるシャトル部とを含む。呼吸器アクセスアセンブリは、シャトル部及び閉鎖式吸引カテーテルアセンブリに隣接して設けられたフラップを含み、該フラップは、吸引カテーテルの通過を許容する開位置と、吸引カテーテルの通過を防止する閉位置とにそれぞれ配置される。呼吸器アクセスアセンブリは、非ロック位置にあるときに吸引を可能にし、ロック位置にあるときに吸引カテーテルの進入を妨げるように、人工気道との機能的連通を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている発明は、挿管患者に対する医療の向上に関し、詳細には、新規なマルチアクセス呼吸器ポート、アセンブリ、マニホルド、フィッティング、アダプタ、コネクタ及び/またはアクセス制御アセンブリの発明、並びに関連する換気方法、吸引方法、モニタリング方法、サンプリング方法、及び乳児、青年、成人を含む挿管患者の気道に治療薬デリバリーを提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器疾患患者のケアは、発展著しい医学分野であり、乳児から高齢者までニーズに幅がある。そのような患者たちが一時的及び永続的に患う呼吸器系疾患には、多くの、様々な種類のものがある。例えば、挿管患者に対する医療処置には、換気、吸引、酸素供給、サンプリング、目視検査、インライン検出、圧力モニタリング、フラッシング、投薬及び/または洗浄が含まれ得る。ほとんどの問題は、現在、患者の多様なニーズと、複数の治療(一部は同時に行われる)への適応とに集中している。患者にとって最善の複数の治療を、容易に、効率的に、かつ安全に達成するための機器がないことは、以前から問題になっており、未だ解決されていない。
【0003】
例えば、肺活量が小さい患者(未熟児や気腫を患う成人など)の場合、1つの問題は、貯留した肺分泌物の除去である。そのような患者を分泌物除去処理中に酸素不足に陥らせることは望ましくない。分泌物除去は、吸引カテーテルにより達成される。吸引カテーテルは、呼吸器アクセスアセンブリによって人工気道内に一時的に配置され、すなわち、気管内チューブが患者の気道の一部に留置されて、患者の肺に空気(酸素及び他のガス)を供給する。
【0004】
これらの患者及び呼吸管理下にある他の患者に対して、挿管されている間に、呼吸器アクセスアセンブリに関する問題を含む種々の問題が発生することがある。換気、吸引、吸い込み及び他の機能のための呼吸器アクセスアセンブリの安全でない拡張的な使用は、例えば人工呼吸器関連肺炎などの院内感染感染症を引き起こすことがある。また、そのような呼吸器アクセスアセンブリの信頼性も懸念されている。さらに、装置を交換し、他の治療上の処置を行うために、人工呼吸器回路を開放する必要があることも懸案事項である。
【0005】
患者に対する医療の質を低下させることなく、呼吸器アクセスアセンブリを迅速かつ容易に抜去し、交換する必要がある。呼吸器アクセスアセンブリの機能不良による、閉鎖式呼吸器システムから開放式呼吸器システムへの想定外の転換も、呼吸器アクセスアセンブリに関して気懸かりな点である。さらに、呼吸器アクセスアセンブリの機能不良が原因で、患者の肺と空気をやりとりするための閉鎖式呼吸器システム内空気通路が想定外に部分的に閉塞または閉鎖され、それに起因する患者へのストレスもまた、問題となっている。さらに、このような呼吸器アクセスアセンブリを形成し得る複数の、メーカーの異なる様々な互いに適合しない構成部品の大量の在庫にも、医療提供者は煩わされている。従って、多様な目的のために挿管患者の呼吸器系に閉鎖式システムが安全で予測可能にアクセスできるようにし、かつ不注意による閉鎖式呼吸器システムの破損を減らすかまたはなくすための安全機能を有しているような、操作が簡単でフェイルセーフ機能付きの閉鎖式システム呼吸器アクセスアセンブリがあれば望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,569,344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらのニーズに対処し、閉鎖式システムにおいて使用される安全ロックを備えた呼吸器アクセスアセンブリを提供する。すなわち、本発明は、本発明の呼吸器アクセスアセンブリまたは装置によって生じる種々の問題をかなり軽減する。本発明は、閉鎖式換気システムにおいて機能し、システムの閉鎖回路特性を損なうことなく、また患者への換気ガスの流入を阻害することなく、挿管患者の呼吸器系へのマルチアクセスに適応する。例えば、限定されるものではないが、1若しくは複数のガスを用いて患者の肺を換気するため、肺から分泌物を吸引するため、肺に酸素を送り込んで肺からの残留二酸化炭素を除去するかまたは減少させるため、患者の呼吸器系の選択された部分を目視検査するため、痰及びガスをサンプリングするため、流量、圧力及び/または温度などのパラメータを検出するため、溶液で洗い流すため並びに、薬剤、ガス及び/または洗浄液を投与するために、1若しくは複数のアクセス部位を通って閉鎖式呼吸器システムへのアクセスが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した困難及び問題を踏まえて、呼吸器アクセスアセンブリが提供される。呼吸器アクセスアセンブリには、少なくとも1つの開口を有する可動マニホルドが含まれる。開口は、患者の人工気道と連通する。呼吸器アクセスアセンブリはまた、閉鎖式吸引カテーテルアセンブリを有する。閉鎖式吸引カテーテルアセンブリは、開口を有する連結端部と、吸引カテーテルと、該吸引カテーテルを覆うスリーブとを少なくともを含む。呼吸器アクセスアセンブリは、マニホルドの開口と閉鎖式吸引カテーテルアセンブリの連結端部の開口との間を移動可能であるシャトル部をさらに含む。シャトル部は、貫通形成された開口を有する。シャトル部は、マニホルドに対するロック及び非ロック位置へ移動するように構成されている。さらに、呼吸器アクセスアセンブリは、シャトル部アセンブリをロック位置及び非ロック位置へ移動させるためのアクチュエータを含む。最後に、呼吸器アクセスアセンブリは、シャトル部及び閉鎖式吸引カテーテルアセンブリに隣接して設けられたフラップを有する。フラップは、シャトル部がロック位置にあるときに吸引カテーテルと人工気道との機能的連通を許容する開位置に配置される。フラップはまた、シャトル部が非ロック位置にあるときに吸引カテーテルと人工気道との機能的連通を妨げる閉位置に配置される。
【0009】
本発明の別の態様では、呼吸器アクセスアセンブリの使用方法が提供される。呼吸器アクセスアセンブリの使用方法は、少なくとも1つの開口を有する可動マニホルドを有する呼吸器アクセスアセンブリを提供するステップを含む。この開口は、患者の人工気道と連通する。呼吸器アクセスアセンブリはまた、閉鎖式吸引カテーテルアセンブリを有する。閉鎖式吸引カテーテルアセンブリは、開口を有する連結端部と、吸引カテーテルと、吸引カテーテルを覆うスリーブとを含む。呼吸器アクセスアセンブリは、マニホルドの開口と閉鎖式吸引カテーテルアセンブリの連結端部の開口との間を移動可能であるシャトル部をさらに含む。シャトル部は、貫通形成された開口を有する。シャトル部は、マニホルドに対するロック及び非ロック位置へ移動するように構成されている。さらに、呼吸器アクセスアセンブリは、シャトル部アセンブリをロック位置及び非ロック位置へ移動させるためのアクチュエータを含む。最後に、呼吸器アクセスアセンブリは、シャトル部及び閉鎖式吸引カテーテルアセンブリに隣接して設けられたフラップを有する。フラップは、シャトル部がロック位置にあるときに吸引カテーテルと人工気道との機能的連通を許容する開位置に配置される。フラップはまた、シャトル部が非ロック位置にあるときに吸引カテーテルと人工気道との機能的連通を妨げる閉位置に配置される。本方法はまた、アクチュエータを動かして、a)シャトル部を遠位に移動させ、マニホルドに係合させかつロックさせることにより、マニホルドの開口を通じてのアクセスを可能にすることと、b)シャトル部を閉鎖式吸引カテーテルアセンブリのエンドコネクタ(連結端部)から離すことにより、フラップを開位置に配置させることとを同時に行うステップを含む。本方法は、吸引カテーテルが人工気道内に配置されるように、エンドコネクタ、シャトル部及びマニホルドを通して吸引カテーテルを移動させるステップをさらに含む。さらに、本方法は、患者の気道及び人工気道の少なくとも一部から分泌物を吸引するステップを含む。さらに、本方法は、吸引カテーテルを吸引カテーテル通路から引き抜き、吸引カテーテルをそのスリーブ内に配置するステップを含む。最後に、本方法は、アクチュエータを動かしてシャトル部を近位に移動させ、a)マニホルドとの係合から外し、非ロック位置へ移動させることにより、マニホルドを可動状態にすることと、b)シャトル部を閉鎖式吸引カテーテルアセンブリのエンドコネクタに向かって移動させることにより、シャトル部の一部がフラップを閉位置へ動かすようにし、それによって吸引カテーテルによるシャトル部へのアクセスを阻止及び防止することとを同時に行うステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】吸引カテーテルアセンブリに取り外し可能に結合された本発明の呼吸器アクセスアセンブリの斜視図。
【図2】図1の呼吸器アクセスアセンブリの構成部品の分解斜視図であるが、吸引カテーテルアセンブリなしで、二部分から構成されるベースマニホルド、遠位コネクタ、シャトル部、回転体、可動ドアまたはロック(閉位置に配置されている)及び近位コネクタを、軸線方向に整合された状態で示している。
【図3A】図2の二部分から構成されるベースマニホルド、遠位コネクタ及びシャトル部の部分的分解斜視図であって、二部分から構成されるベースマニホルドに対するシャトル部及び遠位コネクタの配置を示している。
【図3B】図2の二部分から構成されるベースマニホルド、遠位コネクタ及びシャトル部の部分的分解斜視図であるが、二部分から構成されるベースに適所において連結される遠位コネクタを示している。
【図4】遠位コネクタ及び二部分から構成されるベースに対して非結合位置にあるシャトル部の部分分解斜視図であって、ドアは、近位コネクタ及びシャトル部に対して開位置に配置されており、回転体は、シャトル部の使用中の位置をより良好に示すべく説明のためだけに側方に配置されている。
【図5】遠位コネクタ及び二部分から構成されるベースに対して非結合位置にあるシャトル部の部分分解斜視図であって、ドアは、近位コネクタ及びシャトル部に対して閉ロック位置に配置されており、回転体は、シャトル部の使用中の位置をより良好に示すべく説明のためだけに側方に配置されている。
【図6】呼吸器アクセスアセンブリの斜視図であり、シャトル部を破線で示している。
【図7】図1の呼吸器アクセスアセンブリの斜視図であるが、吸引カテーテルアセンブリの吸引カテーテルが貫通して配置されている図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
【0012】
本明細書において、以下の用語は、文脈上異なる意味が求められるかまたは異なる意味が示されない限り、特定の意味を有する。また、他に指定のない限り、単数形は通常複数形を含み、複数形は通常単数形を含む。
【0013】
本明細書では、「含む」「含んでいる」なる語及び語根「含む」からの他の派生語は、任意の記載されている特徴部、要素、整数、ステップまたは構成部品の存在を規定する非限定的な用語であることを意図しているが、1若しくは複数の他の特徴部、要素、整数、ステップ、構成部品またはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。同様に、「含む」「含んでいる」なる語及び「有する」「有している」なる語及びそれらの派生語は、「含む」なる語として解釈されることを意図しているが、任意の記載されている特徴部、要素、整数、ステップまたは構成部品の存在を規定する非限定的な用語であることを意図しているが、1若しくは複数の他の特徴部、要素、整数、ステップ、構成部品またはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。
【0014】
本明細書では、「ポート」なる語は、或る物体及び/または液体及び/またはガスを通過させるために構成部品に開口しているかまたは該構成部品を貫通する開口を意味する。
【0015】
本明細書では、「カフ部」なる語は、ポート上に配置され、貫通開口を有する概ね円筒形の構成部品を意味する。
【0016】
本明細書では、「機能的連通(operable communication)」なる語句は、特定の目的のための2つの点及び/または2つの構造間での伝達または通過を意味する。この例では、機能的連通は、ガスを通過させることができる通路であり、物体を通過させることができるように構成することもできる。
【0017】
本明細書では、「吸引カテーテル」なる語は、気道から分泌物を取り除くために用いられる長い軟質チューブを意味し、多くのサイズ(普通は10〜20Fr)及び様々な長さ(通常は15〜25インチ(38〜64cm))のものが入手可能である。吸引カテーテルは、ラテックス及び他の高分子から製造されたものであってよい。
【0018】
吸引カテーテルは、公知であり、多くの医学的用途のために広く市販されている。吸引は、「開放式」または「閉鎖式」システムを用いて行うことができる。開放式システムでは、吸引カテーテルは、軟質ルーメンに挿入される単なる軟質プラスチックチューブであり、吸引カテーテルの近位端には吸引源が接続される。ルーメンに入る前に吸引カテーテルが接触する如何なるものも滅菌状態に維持されていなければならないので、患者に接触または隣接して「滅菌領域」が作られなければならない。吸引カテーテルは、使用後には、表面が患者の分泌物で覆われることになるので、慎重に取り扱わなければならない。対照的に、例えば共同所有の米国特許第4,569,344号(特許文献1)に開示されているような「閉鎖式」システムにおいて、分泌物を吸引するために用いることができる機器は、使用前に吸引カテーテルの汚染を排除するかまたは最小にするために、概ね円筒状のプラスチックバッグに封入されている。これは、一般に「閉鎖式吸引カテーテル」と呼ばれるもので、バラード(登録商標)メディカルプロダクツ社(キンバリークラーク社)からトラックケアー(登録商標)という商品名で販売されている。患者が分泌物の人工的な除去を必要としているとき、吸引カテーテルを、プラスチックバッグの一端から接続継手を通って軟質ルーメン内へ進めることができる。吸引カテーテルの他端すなわち近位端は、吸引源に装着される。吸引カテーテルの近位端上の例えば指で制御するフィンガーバルブを用いて吸引力を加え、分泌物を除去することができる。分泌物はこうして吸引カテーテルのルーメンに吸い込まれて除去され、システムは閉じたままである。吸引カテーテルはその後、軟質ルーメンからプラスチックバッグまで引き戻され、それによって回路は閉状態に維持される。閉鎖式吸引システムは広く医療提供者に好まれているが、その理由は、閉鎖式吸引システムの方が患者の分泌物からの医療提供者の保護が優れているからである。開放式吸引システムでは、患者を吸引する都度、滅菌領域を作る必要があるが、閉鎖式吸引システムでは、その必要がないので、より容易かつ迅速でもある。閉鎖式吸引カテーテルは、軟質ルーメンの近位端に取り外し不能に取り付けてもよいし、あるいは定期的に交換できるように取り外し可能に連結してもよい。
【0019】
本明細書では、「吸引カテーテル通路」なる表現は、吸引カテーテルアセンブリに結合されるかまたは結合され得る本明細書において画定される構成部品を含み、これらの構成部品は、整合されたときに、その中を吸引カテーテルが通過できるように軸線方向に整合された開口を提供する。
【0020】
本明細書では、「結合」なる語は、2つのものの接続、連結、締結、関連付け、結束、(接着剤による)接着、または一体的または介在的な結び付けを含むが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書では、「構成する」または「構成」なる語及びそれらの派生語は、特定の用途または使用を目的として設計、配置、設置または成形することを意味する。例えば:起伏の多い地形向けに構成された軍用車両;システムのパラメータを設定することによって構成されたコンピュータ。
【0022】
本明細書では、「実質的な」または「実質的に」なる語は、かなりの範囲または程度までなされた何か;相当な、またはかなりの量を指す。例えば、本明細書において「実質的に」覆われているの如く適用される「実質的に」は、或るものが少なくとも70%覆われていることを意味する。
【0023】
本明細書では、「整合」なる語は、一直線に配列された複数のものの配置または位置が持つ空間特性を指す。
【0024】
本明細書では、同じ意味で用いられる「方向」または「配置」なる語は、何かが位置している場所または方法の空間特性を指す;例えば「時計の針の位置」。
【0025】
本明細書では、記載されている数字に隣接する「約」なる語は、記載されている数字プラスまたはマイナス10%の量を指す。
【0026】
これらの用語は、本明細書の残りの部分において、さらなる言葉によって定義され得る。
【0027】
実施例
【0028】
ここで、詳細に本発明の実施形態を参照すると、本発明の例が図面に示されている。各例及び実施形態は、本発明の説明のために提供されており、本発明を制限することを意図したものではない。例えば、一実施形態の一部として図示または記載されている特徴を別の実施形態とともに用いてさらなる実施形態を生み出すことができる。本発明はこれら及び他の変更形態及び本発明の範囲及び趣旨に含まれるような変形形態を含むことを意図している。
【0029】
現行の呼吸器アクセスアセンブリ設計は、1つのポートしか有していないものがある。そのような場合、他の作業、例えば、気管支鏡検査や気管支肺胞洗浄などを行う必要があるときには、吸引カテーテルを抜去しなければならない。そのような人工呼吸器装着患者の吸引カテーテルを抜去することによって閉鎖式換気システムを開放すると、上述したような感染症を来す可能性がある。また、現行の、複数のポートを有するマルチアクセスポートマニホルド及び/またはアセンブリの設計には、安全ロックが含まれていない。場合によっては、そのような安全ロックの欠如が原因で、マニホルドポートから吸引カテーテルを導入したときに、カテーテルの一部が脱落(離断)して患者の肺内に吸引されてしまうかもしれない。これが、気道閉塞、感染症を含む重篤な合併症を引き起こし、死につながる可能性すらある。さらに、呼吸器アクセスアセンブリの適切なシーリングが行われないと、終末呼気陽圧(PEEP)に支障を来すことがあり、それが今度は最適以下の換気を生じさせて、結果として患者の肺胞虚脱を招く可能性がある。本発明は、閉鎖式換気システムを開放することなくマルチアクセスを可能にする機能を含み、かつ吸引カテーテルの一部分が亡失することを防ぐ安全ロック機能を含む呼吸器アクセスアセンブリについて説明する。
【0030】
ここで図面を見てみると、図1〜図7に示されているように、呼吸器アクセスアセンブリ10が提供される。図1及び図2に示されているように、アセンブリ10にはシャトル部12が含まれており、シャトル部12は、概ね円筒形の本体14を有し、互いに相反する側に位置する第1の端部すなわち遠位端16及び第2の端部すなわち近位端18を有している。第1の端部すなわち遠位端16から円筒形本体14を貫通して第2の端部すなわち近位端18まで延在する開口20が形成されており、それによって、或る内径を画定する内周面22が提供されている。シャトル部12の外周面24は、円筒形本体14に形成された第1の溝25を有している。第1の溝25は、外周面24の少なくとも一部に螺旋状に形成されることが望ましいが、これに限定されるものではない。遠位端16においては、遠位端16から始まり近位端18に向かって或る距離延在する1つまたは望ましくは1対の端部溝(集合的に「26」)を外周面24に形成することができる。端部溝26は、シャトル部12に対して概ね軸線方向に整合された直線状の溝として構成され得るが、これに限定されるものではない。遠位端16は、近位ベース28及び遠位ベース29をそれぞれ有する二部分から構成されるマニホルド27に隣接して配置されることが望ましく、近位ベース28及び遠位ベース29は協働してマニホルド27を提供する。
【0031】
図2及び図3A、図3Bに示されているように、マニホルド27の近位ベース28及び遠位ベース29はそれぞれ円盤形状であることが望ましいが、これに限定されるものではない。近位及び遠位ベース28、29の外周縁部32、33には、それぞれリップ部30、31を形成することができる。近位及び遠位ベース28、29はまた、貫通形成された少なくとも1つの、すなわち第1の開口34、35をそれぞれ有し得ることが望ましい。さらに、近位ベース28は、貫通形成された別の、すなわち第2の開口36を有し得ることが望ましく、当然のことながら、追加の開口(図示せず)を設けることもできる。近位ベース28は、近位ベース28の近位側表面40上において第1の開口34の周囲付近に形成された円筒形のロック用カフ部38を含むことが望ましい。遠位ベース29もまた、遠位ベース29の遠位側表面42上において第1の開口35の周囲付近に形成された円筒形カフ部41を有することができる。
【0032】
近位ベース28はまた、ベース28の近位側表面40上に、第2の開口36の周囲付近に形成された第2のカフ部45を含むこともできる。ロック用カフ部38は、シャトル部12の遠位端16を受容する大きさの内径を有する内周面43を含む。
【0033】
マニホルド27の近位及び遠位ベース28、29は、当分野で既知の任意の手段によって、協調的に連結される。さらに、これらのベースは、各ベース28、29を貫通して軸線方向に配置された回転ピン(図示せず)を含むことができ、回転ピンにより、両ベースは、互いに対して回転することができる。本明細書に記載の目的を達成するためには、当然のことながら、近位ベース28のロック用カフ部38及び遠位ベース29のカフ部41は、軸線方向に整合された状態に維持されることが望ましい。遠位ベース29のカフ部41は、患者の呼吸器系の少なくとも一部に配置された人工気道120に結合されるかまたは人工気道120と連通していることが望ましい。
【0034】
シャトル部12の遠位端16が近位ベース28のロック用カフ部38から離れると、近位及び遠位ベース28、29は、第2のカフ部41にアクセスできるように、互いに対して移動または回転するように構成されている。しかし、シャトル部12の遠位端16がロック用カフ部38内に入ると、マニホルドベース28、29は、非回転固定位置に収まるようにロックされる。マニホルド27の近位及び遠位ベース28、29は、円筒形の遠位コネクタ44によって、シャトル部12の遠位端16に隣接して配置されかつ保持される。
【0035】
図2〜図6に示されているように、遠位コネクタ44は遠位部分46を有しており、遠位部分46はシャトル部12の遠位端16の外周面24上の一部に配置される。遠位コネクタ44は近位部分48も有しており、近位部分48はマニホルド27の近位ベース28のロック用カフ部38の外周面上の一部に配置される。遠位コネクタ44は、その遠位部分46から近位部分48まで延在する開口50を含み、開口50は、内周面52及び内径を提供するようにう構成されている。シャトル部12の遠位端16は、遠位コネクタ44内を軸線方向に移動することができる(図4及び図5)。遠位コネクタ44の内周面52に1対のピン54を設けることも望ましい(1対のピン54のうちの1本のみを図3Bに示す)。各ピン54は、遠位端16が遠位コネクタ44内に配置されたときに、遠位端16の1対の端部溝26のうちの一方に係合し、それによってシャトル部12を回転可能でない固定位置に収まるようにロックするように構成されている。同時に、遠位コネクタ44の遠位部分46は、概ね遠位方向56に動かされてロック用カフ部38内に配置され、それによって近位ベース28及びマニホルド27を固定不動ロック位置にロックする。シャトル部12の遠位端16を近位方向58に移動させると、遠位端16及びそこに設けられた端部溝26はピン54から離れ、遠位コネクタ44にロックされていない(非ロック)状態になるが、一方で、遠位コネクタ44もマニホルド27の近位ベース28に対して近位方向58に移動するので、近位ベース28は、再び非ロック位置で回転可能な状態になる。
【0036】
シャトル部12の外周面上に、アクチュエータまたは回転体60を可動に設けることが望ましい(図6)。アクチュエータまたは回転体または回転式ロック60は、望ましくは円筒形形状であり、互いに相反する側に位置する遠位端及び近位端64、66間に貫通形成された開口62を有する。開口62は、シャトル部12の外径より僅かに大きくなるように構成された内径を有する回転体60の内周面68を形成しており、従って、シャトル部12及びその動きに適応する。回転体60の内周面68上にはピン70を設けることが望ましく、ピン70は、シャトル部12の外周面24上の第1の溝25に嵌合するように構成される。回転体60の外周面76上に複数の外周突起部(リブ)74(集合的に「74」)を設けることもできるので、使用者は、外周面76を掴んで回転体60を回転させることができる。このようにして回転させるとき、回転体60は、シャトル部12を長手方向軸線77に沿って遠位または近位方向56、58に移動するように構成される。すなわち、使用者が回転体60を掴んで回転させると、回転体60の内周面68上のピン70がシャトル部12の外周面上の第1の溝25に係合して、シャトル部をマニホルド27の近位ベース28に向かって遠位に移動させるか、あるいは円筒形の近位コネクタ78に向かって近位に移動させる。
【0037】
図4〜図7に示されているように、近位コネクタ78は遠位部分80を有しており、遠位部分80はシャトル部12の近位端18の外周面24上の一部に配置される。近位コネクタ48は近位部分82も有しており、近位部分82は吸引カテーテルアセンブリ84の少なくとも一部に連結され得ることが望ましい。近位コネクタ78は、その遠位部分80から近位部分82まで延在する開口86を含み、開口86は、内周面88及び内径を提供するように構成されている。近位コネクタ78は、遠位コネクタ44及び回転体60ともシャトル部12とも協働して、シャトル部12を長手方向軸線77に沿って軸線方向に回転または移動させることができる。近位ベース28の開口34、シャトル部12の開口20及び遠位及び近位コネクタ44、78の開口50、86はそれぞれ、患者の人工気道及び/または気道から分泌物を吸引するために吸引カテーテルを通過させることができる吸引カテーテル通路90を提供する。
【0038】
近位コネクタ78の遠位部分80は、フラッパーバルブ92を有することが望ましい。フラッパーバルブ92は、マウント部94と、マウント部94に枢動可能に結合されているドア、フラップ、またはロック96とを含み得る。フラッパーバルブ92のドア、フラップ、またはロック96は、マウント部94から遠位に延出するように付勢されていることが望ましい。すなわち、ドア、フラップ、またはロック96は、開いているときには、長手方向軸線77に対して概ね平行に配置されることができ、そのとき、シャトル部12はマニホルド27の方に遠位に配置されている。しかし、回転体60によってシャトル部12を近位コネクタ78に向かって移動させると、シャトル部12の第2の端部すなわち近位端18の縁端98がフラップ96に接触し、フラップ96を、シャトル部12の開口20全面を覆うように、あるいは、近位コネクタ78の開口86全面を覆うようにして横方向に配置されるように動かし、それによって開口20及び/または開口86を塞ぐ。従って、シャトル部12を貫通する開口20及び/または近位コネクタ78の開口86が開いたままなのか、それともフラッパーバルブ92のフラップ96によって塞がれるのかは、近位コネクタ78のフラッパーバルブ92に対するシャトル部12の動きに影響される。
【0039】
従って、回転体60を回転させてシャトル部12を遠位コネクタ44に向かって遠位方向56に移動させてロック位置に配置させたときには(図4)、シャトル部12の近位端18はマウント部94から離れており、それによってフラップ96はフラッパーバルブ92から遠位方向56に付勢されているので、シャトル部12を貫通する開口20及び/または近位コネクタ78を貫通する開口86は、開いた状態のままである。回転体60を回転させてシャトル部12を近位コネクタ78に向かって近位方向58に移動させて非ロック位置(マニホルド27の近位ベース28が回転可能である位置)に配置させたときには、フラッパーバルブ92のフラップ96を、シャトル部12の開口20全面及び/または近位コネクタ78の開口86全面を覆うようにして横方向に配置されるように動かし、それによって開口20及び/または86を閉位置において効果的に閉塞しかつ閉鎖するまで、シャトル部12の近位端18の縁端98によって近位方向58に動かされる(図5)。この閉位置では、吸引カテーテルアセンブリ84の吸引カテーテル100を含むいかなる物体も、開口20及び/または86を通ることができない。
【0040】
しかしながら、代わりに、フラッパーバルブ92は、シャトル部12の遠位端16に配置されてもよく、フラップ96は、開位置においてフラップ96が近位コネクタ78に向かって近位にかつ長手方向軸線77に平行に延在するように付勢される。従って、シャトル部12を遠位方向56に移動させてロック用カフ部38に結合させたときには、フラップ96は開いている。シャトル部12をロック用カフ部38に対する非ロック位置まで近位方向58に移動または回転させると、フラップ96は、近位コネクタ78の内周面88上に設けられたカラー部(図示せず)に接触する方向に動く。シャトル部12を近位に移動させると、フラップ96は、カラー部と接触し、カラー部によって長手方向軸線77に対して横向きに配置されることになり、シャトル部12ひいてはフラッパーバルブ92がカラー部から離れるまで、カラー部によってフラップは横方向位置に保持される(図示せず)。
【0041】
吸引カテーテルアセンブリ84には、近位コネクタ78の近位部分82に取り外し可能に結合されている遠位カプラ102(図1及び図7)が少なくとも含まれる。吸引カテーテル100はまた、少なくとも1つの孔106を備えた遠位先端104と、吸引カテーテル100を実質的に覆うように遠位カプラ102から近位カプラ(図示せず)まで延在するスリーブ108とを含む。近位カプラは、吸引装置(図示せず)の少なくとも一部に結合するように適合されることが望ましい。吸引カテーテル100の全長は、呼吸器アクセスアセンブリ10を通過し、装着された人工気道120を通過し、患者の気道内の一部まで延び、そこから分泌物を吸引するのに十分な長さとする。吸引が中断されかつ吸引カテーテル100が引き抜かれると、吸引カテーテル100の全長はスリーブ108内に収容され、従って、再び吸引が必要になるまで患者の閉鎖回路換気システムの外側に置かれる。
【0042】
呼吸器アクセスアセンブリ10の使用方法において、図1及び図4〜図7に示されているように、遠位コネクタ44、回転体60及び近位コネクタ78は、少なくとも部分的にシャトル部12の外周面上に配置される。遠位コネクタは、マニホルド27の近位ベース28のロック用カフ部38の少なくとも一部と接触している。吸引カテーテル100は、使用していないときには、吸引カテーテルアセンブリ84の遠位カプラと近位カプラの間でスリーブ108内の適所に維持される。吸引カテーテル100を使用するために、すなわち吸引カテーテル通路90を通して吸引カテーテル100を延在させるために、使用者は回転体を2つの回転方向112のうちの一方に手で作動または回転させ、シャトル部12を遠位方向56に移動させる。シャトル部12を遠位方向56に回転させるために、回転体を手で回転させると、回転体60上のピン70はシャトル部12の外周面24上の第1の溝25に係合する。シャトル部の遠位端16は、遠位コネクタ44内に配置され、遠位コネクタの内周面52上のピン54は、シャトル部の端部溝26に係合し、シャトル部12を遠位コネクタ44にロックし、それによって、シャトル部12の遠位端16をマニホルドの近位ベース28のロック用カフ部38内へ移動させ、ベース28及びマニホルド27を不動固定ロック位置にロックする。同時に、シャトル部12の近位端18は近位コネクタ78及びフラッパーバルブ92から離され、それによって、ドアまたはフラップ96は、シャトル部12の開口20及び/または近位コネクタ78の開口86内で、その付勢された方向すなわち遠位方向56に動くことができる。フラップ96のこの位置は、開口86及び/または20を貫通する実質的な開口を提供する。遠位端16はまた、第1開口34及びロック用カフ部38に対するロック位置に配置される。従って、ロック位置では、吸引カテーテル100が吸引カテーテル通路90を通過できるように、吸引カテーテル通路90は開放されている。
【0043】
吸引カテーテル100が吸引カテーテル通路90から部分的または不完全にしか引き抜かれないとすれば、当然のことながら、アセンブリ10内において吸引カテーテル100のいかなる部分の脱落(離断)も起こり得ない。その理由は、フラッパーバルブ92のフラップ96によってシャトル部12の動きが妨害されるとき、シャトル部12は回転せず、別の位置に移動しないからである。
【0044】
吸引が完了したら、吸引カテーテル100をそのスリーブ108へ完全に引き抜くことが望ましい。吸引カテーテル100をスリーブ108内の適所に維持するためには、回転体60を再び手で掴んで近位方向58に移動させる。このように、遠位コネクタ44のピン54は、シャトル部12の遠位端16における端部溝26との係合から外れ、遠位端16は、遠位コネクタ44内のロック用カフ部38から離れ、それによって近位ベース28またはマニホルド27を、そのロック位置から解放して、マニホルド27の近位及び遠位ベース28、29が互いに対して回転し得る非ロック位置へ移動させるので、近位ベース28の第2開口36を気管支鏡検査用などに用いることができる。回転体60はその後、本明細書中で既に述べたように第1の溝25内のピン70によってシャトル部12と係合し、シャトル部12を軸線方向にかつ近位方向58に移動させる。従って、シャトル部12の近位端18は、近位コネクタ78に向かって動かされる。シャトル部12の近位端18の縁端98は、フラッパーバルブ92のフラップ96と接触すると、フラップがシャトル部12の開口20及び/または近位コネクタ78の開口86全面を覆うようにして横方向位置すなわち閉位置に配置されるまでフラップ96を強制的に動かす。フラッパーバルブ92のフラップ96のこの位置は、開口20及び/または86を効果的に閉塞させ、吸引カテーテル通路90内への吸引カテーテル100の導入を妨げる。
【0045】
当然のことながら、遠位及び近位コネクタ44、78並びに回転体60と、本明細書に記載の任意の他の構成部品とは、該構成部品を本明細書に示されかつ/または記載されているように作動させる任意の手段によって、可動に連結されている。フラップは、高分子材料から形成することができ、フラッパーバルブ96のバネは、金属、プラスチックまたはそれらの組合せであることが望ましいであろう。アセンブリの構成部品も同様に高分子材料から形成することができ、ポリカーボネート、アクリルポリマー、その他から形成されることが望ましいが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本発明について特定の好適実施形態に関連して説明してきたが、本発明に含まれる対象はこれらの特定の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。それどころか、本発明の対象は、本発明の趣旨及び範囲内に含めることができる全ての代替形態、変更形態及び等価形態を含むものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道と連通する少なくとも1つの開口を有する可動マニホルドと、
貫通形成された開口を有する連結端部、吸引カテーテル及び、該吸引カテーテルを覆うスリーブを含む閉鎖式吸引カテーテルアセンブリと、
前記マニホルドに対するロック及び非ロック位置へ移動するように前記マニホルドの前記開口と前記閉鎖式吸引カテーテルアセンブリの前記連結端部の前記開口との間を移動可能であるとともに、貫通形成された開口を有するシャトル部と、
前記シャトル部アセンブリを前記ロック位置及び前記非ロック位置へ移動させるためのアクチュエータと、
前記シャトル部及び前記閉鎖式吸引カテーテルアセンブリに隣接して設けられたフラップとを含み、該フラップが、前記シャトル部が前記ロック位置にあるときに前記吸引カテーテルを人工気道内へ通すことができる開位置と、前記シャトル部が前記非ロック位置にあるときに前記吸引カテーテルを前記シャトル部に通さない閉位置とにそれぞれ配置されるようにしたことを特徴とするアプリケータシステム。
【請求項2】
前記シャトル部を前記アクチュエータにより動かして前記マニホルドの前記開口に係合させたときに、前記シャトル部及び前記マニホルドが前記ロック位置に配置されるようにして、前記マニホルドの前記開口を通じてアクセスが可能な状態にすると同時に、前記シャトル部を前記吸引カテーテルアセンブリの前記連結端部から離すことにより前記フラップが開放状態となり、それによって前記吸引カテーテルが前記アセンブリを通って前記人工気道内へ導入され得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項3】
前記吸引カテーテルを前記人工気道から前記スリーブまで引き戻したときに、前記シャトル部を前記マニホルドの前記開口から離れて前記フラップに接触する方向に動かすことにより前記フラップを閉鎖状態にし、それによって前記吸引カテーテルによる前記シャトル部の前記開口への進入を防止するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項4】
前記マニホルドが少なくとも1つの他の開口を含み、前記マニホルドが枢動可能であることを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項5】
前記アクチュエータが、前記シャトル部の外周面上の少なくとも一部に配置された回転体であり、前記シャトル部に可動に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項6】
前記シャトル部が第1の溝を含み、前記回転体が、該回転体の回転時に前記シャトル部を動かすように前記第1の溝に係合するピンを含むことを特徴とする請求項5に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項7】
前記シャトル部の遠位端及び前記マニホルドの前記カフ部のそれぞれの外周面上に少なくとも部分的に配置された遠位コネクタをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項8】
前記シャトル部が端部溝を含み、前記遠位コネクタが前記端部溝に係合するピンを含み、前記端部溝と前記ピンを係合させることによって前記シャトル部及び前記マニホルドを互いに関連して前記ロック位置へ移動させるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項9】
前記シャトル部の外周面上の一部に配置された近位コネクタをさらに含み、前記フラップの少なくとも一部が前記近位コネクタ内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項10】
前記フラップを前記シャトル部の前記開口の全面を覆うようにして配置するために、前記シャトル部の前記一部が、前記フラップを、前記近位コネクタの一部に接触する方向に動かすようにしたことを特徴とする請求項9に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項11】
呼吸器アクセスアセンブリの使用方法であって、
呼吸器アクセスアセンブリを提供するステップを含み、該呼吸器アクセスアセンブリが、
患者の人工気道と連通する少なくとも1つの開口を有する可動マニホルドと、
貫通形成された開口を有する連結端部、吸引カテーテル及び、該吸引カテーテルを覆うスリーブを含む閉鎖式吸引カテーテルアセンブリと、
前記マニホルドに対するロック及び非ロック位置へ移動するように前記マニホルドの前記開口と前記閉鎖式吸引カテーテルアセンブリの前記連結端部の前記開口との間を移動可能であるとともに、貫通形成された開口を有するシャトル部と、
前記シャトル部アセンブリを前記ロック位置及び前記非ロック位置へ移動させるためのアクチュエータと、
前記シャトル部及び前記閉鎖式吸引カテーテルアセンブリに隣接して設けられたフラップとを含み、該フラップが、前記シャトル部が前記ロック位置にあるときに前記吸引カテーテルを人工気道内へ通すことができる開位置と、前記シャトル部が前記非ロック位置にあるときに前記吸引カテーテルを前記シャトル部に通さない閉位置とにそれぞれ配置されるように構成されており、
前記方法が、さらに
前記アクチュエータを動かして、a)前記シャトル部を遠位に移動させ、前記マニホルドに係合させかつロックさせることにより、前記マニホルドの前記開口を通じてのアクセスを可能にすることと、b)前記シャトル部を前記閉鎖式吸引カテーテルアセンブリの前記連結端部から離すことにより、前記フラップを開位置に配置させることとを同時に行うステップと、
前記吸引カテーテルを、前記連結端部、前記シャトル部及び前記マニホルドを通って移動させて人工気道内に配置するステップと、
患者の気道及び人工気道の少なくとも一部から分泌物を吸引するステップと、
前記吸引カテーテルを前記吸引カテーテル通路から引き抜き、前記吸引カテーテルをそのスリーブ内に配置するステップと、
前記アクチュエータを動かして前記シャトル部を近位に移動させ、a)前記マニホルドとの係合から外し、非ロック位置へ移動させることにより、前記マニホルドを可動状態にすることと、b)前記シャトル部を前記閉鎖式吸引カテーテルアセンブリの前記連結端部に向かって移動させることにより、前記シャトル部の一部が前記フラップを閉位置へ動かすようにし、それによって前記吸引カテーテルによる前記シャトル部へのアクセスを阻止及び防止することとを同時に行うステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記アクチュエータを動かして前記シャトル部を遠位に移動させる前記ステップにおいて、該ステップが前記アクチュエータを回転させるステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アクチュエータを動かして前記シャトル部を近位に移動させる前記ステップにおいて、該ステップが前記アクチュエータを回転させるステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道と連通する少なくとも1つの開口を有する可動マニホルドと、
貫通形成された開口を有する連結端部、吸引カテーテル及び、該吸引カテーテルを覆うスリーブを含む閉鎖式吸引カテーテルアセンブリと、
前記マニホルドに対するロック及び非ロック位置へ移動するように前記マニホルドの前記開口と前記閉鎖式吸引カテーテルアセンブリの前記連結端部の前記開口との間を移動可能であるとともに、貫通形成された開口を有するシャトル部と、
前記シャトル部アセンブリを前記ロック位置及び前記非ロック位置へ移動させる手段と、
吸引カテーテルを前記スリーブから前記シャトル部を通って患者の人工気道内へ挿入するために前記シャトル部を開放する手段とを含み、該手段が、前記吸引カテーテルが前記シャトル部を通過するのを阻止する手段を含み、
前記シャトル部を前記ロック位置に移動させる前記手段が、前記シャトル部を開放する前記手段を同時に作動させ、
前記シャトル部を前記非ロック位置に移動させる前記手段が、前記シャトル部の通過を阻止する前記手段を同時に作動させるようにしたことを特徴とする呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項15】
前記シャトル部を移動させるための前記手段が、アクチュエータを含むことを特徴とする請求項14に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項16】
前記アクチュエータが、前記シャトル部の外周面上の少なくとも一部に配置された回転体であり、前記シャトル部に可動に結合されていることを特徴とする請求項15に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項17】
前記開放する手段及び前記阻止する手段が、前記シャトル部及び前記閉鎖式吸引カテーテルアセンブリに隣接して設けられたフラップを含み、該フラップが、前記シャトル部が前記ロック位置にあるときに前記吸引カテーテルを人工気道内へ通すことができる開位置と、前記シャトル部が前記非ロック位置にあるときに前記吸引カテーテルを前記シャトル部に通さない閉位置とにそれぞれ配置されるようにしたことを特徴とする請求項16に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項18】
前記シャトル部を前記アクチュエータにより動かして前記マニホルドの前記開口に係合させたときに、前記シャトル部及び前記マニホルドが前記ロック位置に配置されるようにして、前記マニホルドの前記開口を通じてアクセスが可能な状態にすると同時に、前記シャトル部を前記吸引カテーテルアセンブリの前記連結端部から離すことにより前記フラップが開放状態となり、それによって前記吸引カテーテルが前記アセンブリを通って前記人工気道内へ導入され得るようにしたことを特徴とする請求項17に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項19】
前記吸引カテーテルを前記人工気道から前記スリーブまで引き戻したときに、前記シャトル部を前記マニホルドの前記開口から離して前記フラップに接触する方向に動かすことにより前記フラップを閉鎖状態にし、それによって前記吸引カテーテルによる前記シャトル部の前記開口への進入を防止するようにしたことを特徴とする請求項18に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項20】
前記マニホルドが少なくとも1つの他の開口を含み、前記マニホルドが枢動可能であることを特徴とする請求項14に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−513234(P2012−513234A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541659(P2011−541659)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055303
【国際公開番号】WO2010/073150
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)