説明

回転操作器及び電子機器

【課題】操作部材の機器本体に対するがたつきを抑制しながらも十分な低コスト化を図ることができる回転操作器及び当該回転操作器を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】オーディオ装置2は回転操作器1を備えている。回転操作器1は回転検出器10と操作部材11と転がり軸受12と内輪用固定部材13と外輪用固定部材14を備えている。回転検出器10はオーディオ装置2の機器本体3に取り付けられた本体部15と軸芯P回りに回転自在に設けられた回転軸16とを有している。操作部材11は記回転検出器10の回転軸16に取り付けられた取付部22を有している。転がり軸受12は取付部22と機器本体3との間に設けられている。内輪用固定部材13は取付部22との間に転がり軸受12の内輪30を軸芯Pに沿って挟みこんで固定する。外輪用固定部材14は機器本体3との間に転がり軸受12の外輪31を軸芯Pに沿って挟みこんで固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、オーディオ装置などの電子機器に設けられて回転操作される回転操作器及び当該回転操作器を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、オーディオ装置などの電子機器には、使用者の回転操作により操作情報を入力するための回転操作器が用いられている。この種の回転操作器は、機器本体のハウジングなどに取り付けられる本体部とこの本体部に軸芯回りに回転自在に設けられた回転軸とを有した回転検出器と、前記回転検出器の前記回転軸に取り付けられかつ前述した使用者に回転操作される操作部材とを備えている。
【0003】
この種の回転操作器は、前述した操作部材の前記機器本体に対するがたつきを抑制するために、前述した回転検出器として前記本体部に対する前記回転軸のいがたつきの少ない回転検出器を用いたり、前記機器本体と前記操作部材との間に弾性変形自在なシート部材を設けて、当該シート部材に前記操作部材を当接させてきた。しかしながら、前記本体部に対する前記回転軸のがたつきの少ない回転検出器を用いると、当該回転検出器自体のコストが高騰して回転操作器即ち電子機器のコストが高騰する問題があった。また、前記機器本体と前記操作部材との間に表面が滑らかなシート部材を設けると、前述したがたつきのために、軸芯回りに回転させた際に前記操作部材を前記シート部材に常に接触させておくことが困難となってしまう。このために、操作部材が軸芯回りに回転させた際にシート部材に間欠的に接触することとなり、操作部材を回転操作するときの感触が悪化してしまうという問題があった。
【0004】
前述した問題を解決するために、本発明の出願人は、前述した機器本体と前記操作部材との間に当該操作部材を前記軸芯回りに回転自在に支持する軸受としての転がり軸受を設けた回転操作器(例えば、特許文献1参照)を提案している。この特許文献1に示された回転操作器は、機器本体の前記電子機器の外殻を構成するハウジングに取り付けられかつ前記回転検出器の本体部が取り付けられるブラケットと、前記操作部材の前記回転軸の外周に取り付けられる取付部との間に前述した転がり軸受を設けている。特許文献1に示された回転検出器は、転がり軸受の外輪の外周にブラケットを嵌合し、転がり軸受の内輪の内周に前記取付部を嵌合させることで、前述した転がり軸受により操作部材が機器本体に対してがたつくことを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−3472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に示された回転操作器は、前述したブラケットを転がり軸受の外輪の外周に嵌合し、取付部を転がり軸受の内輪に嵌合している。即ち、特許文献1に示された回転操作器では、ブラケットと転がり軸受の外輪とを所謂しまり嵌めによりこれらを固定し、取付部と転がり軸受の内輪とを所謂しまり嵌めによりこれらを固定している。このために、ブラケットと取付部の寸法公差が1/1000mm程度であることが要求され、これらの製造にかかるコストを低減できずに、特許文献1に示された回転操作器では、十分に低コスト化を図ることが困難であった。
【0007】
上記した問題点を鑑みてなされた本発明の目的の一例は、操作部材の取付部などの機器本体に対するがたつきを抑制しながらも十分な低コスト化を図ることができる回転操作器及び当該回転操作器を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の回転操作器は、本体部と、前記本体部に軸芯回りに回転自在に設けられた回転軸と、前記回転軸に取り付けられた取付部と、前記取付部と前記回転軸とのうちの一方を前記本体部に対して前記軸芯回りに回転自在に支持する軸受と、を備えた回転操作器において、前記軸受を前記軸芯に沿って挟み込んで固定する固定部材を備えたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例にかかる回転操作器を備えたオーディオ装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示された回転操作器の分解斜視図である。
【図3】図1中のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2に示された固定部材を機器本体に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の回転操作器は、本体部に対して操作部材を回転自在に支持する軸受を、軸芯に沿って挟み込んで固定する固定部材を備えている。こうすることで、軸受を軸芯方向に沿って挟み込んで固定することとなるので、軸受と、当該軸受の内周に設けられる取付部と回転軸とのうちの一方とを所謂しまり嵌めにより固定する必要がない。さらに、この発明の回転操作器は、軸受と、当該軸受の外周に設けられる機器本体などとを所謂しまり嵌めにより固定する必要がない。このために、この発明の回転操作器は、軸受と、前述した一方及び機器本体の寸法精度に対する要求を、例えば、1/10mm程度などの前述した特許文献1に示されたものよりの十分に低くすることが出来る。よって、この発明の回転操作器は、前述した一方と機器本体などの製造に係る工数を削減でき、勿論、これらのコストの低減を図ることができる。したがって、この発明の回転操作器は、軸受を設けて取付部の機器本体に対するがたつきを抑制しながらも十分な低コスト化を図ることができる。
【0011】
また、この発明の回転操作器は、固定部材が取付部と回転軸とのうちの一方と機器本体とのうちの少なくともいずれかとの間に、軸受を挟み込んで固定してもよい。この場合、軸受を軸芯方向に沿って確実に挟み込んで固定することとなるので、この発明の回転操作器は、軸受と、前述した一方及び機器本体の寸法精度に対する要求を、例えば、1/10mm程度などの前述した特許文献1に示されたものよりの十分に低くすることが出来る。よって、この発明の回転操作器は、軸受を設けて操作部材の取付部などの機器本体に対するがたつきを抑制しながらも十分な低コスト化を図ることができる。
【0012】
また、この発明の回転操作器は、前述した一方と機器本体とのうちの少なくともいずれかに設けられ、かつ軸受の周面に重ねられる周面重なり面の高さを、軸受の厚みよりも小さくしてもよい。この場合、固定部材が、軸受を前述した一方と機器本体とのうちの少なくともいずれかとの間に挟み込むと、当該固定部材が、軸受に確実に接触することとなり、前述した少なくともいずれかとの間に軸受を確実に挟み込んで固定できる。よって、この発明の回転操作器は、操作部材の機器本体に対するがたつきを確実に抑制することができる。
【0013】
さらに、この発明の回転操作器は、軸受として転がり軸受を用い、固定部材として前述した一方との間に転がり軸受の内輪を挟み込んで固定する内輪用固定部材を設け、固定部材として機器本体との間に転がり軸受の外輪を挟み込んで固定する外輪用固定部材を設けてもよい。この場合、転がり軸受の内輪と外輪それぞれを軸芯に沿って挟み込んで固定するので、転がり軸受を確実に固定することができる。よって、この発明の回転操作器は、操作部材の機器本体に対するがたつきを確実に抑制することができる。
【0014】
また、この発明は、前述した回転操作器を備えた電子機器としても良い。この場合、軸受を設けて操作部材の機器本体に対するがたつきを抑制しながらも十分な低コスト化を図ることができる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の一実施例にかかる回転操作器及び電子機器としてのオーディオ装置を、図1乃至図4を参照して説明する。回転操作器1は、例えば、図1に示す電子機器としてのオーディオ装置2に用いられる。オーディオ装置2は、例えば、建造物の室内に設置され、かつ周知の図示しないスピーカが接続される。
【0016】
オーディオ装置2は、図1に示すように、機器本体3と、再生装置としてのCD(Compact Disk)プレーヤと、再生装置としてのDVD(Digital Versatile Disc)プレーヤと、ラジオ放送を受信するAM/FMチューナと、外部情報再生装置と、複数の外部接続用端子部4と、操作部5とを備えている。
【0017】
機器本体3は、扁平な箱状に形成されかつ前述した建造物の室内に設置される。機器本体3の図1中手前側に位置する一つの壁3a(以下、前壁と呼ぶ)には、CD及びDVDを出し入れするための開閉テーブル6と、複数の外部接続用端子部4が設けられている。これらの外部接続用端子部4には、周知のUSBメモリなどの外部の情報記録媒体及びパーソナルコンピュータなどの外部の情報記憶端末が接続する。
【0018】
CDプレーヤは、機器本体3内に収容されており、機器本体3に挿入されたCDの情報を読み出して、音声としてスピーカに出力する。DVDプレーヤは、機器本体3内に収容されており、機器本体3に挿入されたDVDの情報を読み出して、音声などとしてスピーカに出力する。AM/FMチューナは、機器本体3内に収容されており、ラジオ放送を受信して、音声としてスピーカに出力する。外部情報再生装置は、機器本体3内に収容されており、前述した外部接続用端子部4に接続した情報記録媒体及び情報記憶端末に記憶された情報を読み出して、音声などとしてスピーカに出力する。これらのプレーヤ、チューナ及び外部情報再生装置は、操作部5に設けられた後述する回転操作器1等を使用者が回転操作されることによって、音声の音量を変更するなどの動作を行う。
【0019】
操作部5は、機器本体3の前壁3aに開閉自在に設けられた開閉パネル7に設けられた複数の押圧スイッチと、前記前壁3aに回転自在に設けられた回転操作器1とを備えている。押圧スイッチは、前記開閉パネル7が開放された状態で、使用者から押圧操作されることで、再生中又は受信中のプログラムを変更するためなどに用いられる。
【0020】
回転操作器1は、前記前壁3aの幅方向の一端部に設けられ、使用者などにより後述する操作部材11を軸芯P(図3に示す)回りに回転されることで、再生中又は受信中のプログラムの音量を調整するために用いられる。回転操作器1は、図2及び図3などに示すように、回転検出器10と、操作部材11と、軸受としての転がり軸受12と、固定部材としての内輪用固定部材13と、固定部材としての外輪用固定部材14と、を備えている。
【0021】
回転検出器10は、機器本体3の前壁3aの内面に取り付けられた本体部15と、この本体部15から立設しかつ軸芯P回りに回転自在に前記本体部15に設けられた回転軸16とを備えている。本体部15即ち回転検出器10は、回転軸16が回転されると、当該回転軸16の軸芯P回りの回転方向及び回転角度(回転に応じた情報に相当する)を、前述したプレーヤ、チューナ及び外部情報再生装置に向かって出力する。回転軸16は、前記前壁3aを貫通した丸孔17内に通されて、軸芯Pが前記前壁3aの表面に対して交差(図示例では、直交)している。
【0022】
なお、丸孔17は、前記前壁3aの幅方向の一端部に設けられている。丸孔17は、機器本体3の内側から順に、回転軸通し部18と、軸受通し部19と、操作部通し部20とが設けられている。回転軸通し部18は、内径が回転軸16の外径と略等しく形成されている。軸受通し部19は、内径が回転軸通し部18の内径よりも大きくかつ転がり軸受12の外輪31の外径と略等しく形成されている。操作部通し部20は、内径が軸受通し部19の内径よりも大きくかつ後述する操作部5の外径よりも若干大きく形成されている。これらの回転軸通し部18と軸受通し部19と操作部通し部20は、互いに同軸に設けられている。
【0023】
また、前述した軸受通し部19の回転検出器10の本体部15寄りの縁には、丸孔17の内周方向に突出した重なり段部21が一体に設けられている。重なり段部21の表面21aには、転がり軸受12の本体部15寄りの端面12aが重ねられる。このため、重なり段部21の表面21aは、特許請求の範囲に記載された重なり面となっている。また、軸受通し部19の内周面19aには、外輪31即ち転がり軸受12の周面としての外周面12bが重ねられる。このため、軸受通し部19の内周面19aは、特許請求の範囲に記載された周面重なり面となっている。軸受通し部19の内周面19aの軸芯P方向の高さTaは、転がり軸受12の厚みDよりも若干小さく形成されている。
【0024】
操作部材11は、図2及び図3に示すように、互いに別体の取付部22と、操作部23とを備えている。取付部22は、円筒状に形成された円筒部24と、フランジ部25とを備えている。円筒部24は、その内径が回転軸16の外径と略等しく形成され、外径が軸受通し部19の内径よりも小さく形成されている。円筒部24は、その内側に回転検出器10の回転軸16を通している。円筒部24は、当該円筒部24を貫通してねじ込まれる止ねじ26により回転軸16に固定されて、当該回転軸16と同軸に設けられている。フランジ部25は、円筒部24の回転検出器10寄りの端部に設けられかつ当該円筒部24の外周方向に突出した円環状に形成されている。フランジ部25は、その外径が軸受通し部19の内径よりも小さく形成されている。前述した取付部22は、円筒部24が止ねじ26により回転軸16に固定されることで、当該回転軸16に取り付けられている。
【0025】
また、前述したフランジ部25の回転検出器10の本体部15寄りの縁には、取付部22の外周方向に突出した重なり片27が一体に設けられている。重なり片27の表面27aには、転がり軸受12の本体部15寄りの端面12aが重ねられる。このため、重なり片27の表面27aは、特許請求の範囲に記載された重なり面となっている。また、フランジ部25の外周面25aには、内輪30即ち転がり軸受12の周面としての内周面12cが重ねられる。このため、フランジ部25の外周面25aは、特許請求の範囲に記載された周面重なり面となっている。フランジ部25の外周面25aの軸芯P方向の高さTbは、転がり軸受12の厚みDよりも若干小さく形成されている。
【0026】
操作部23は、厚手の円盤状に形成されている。操作部23は、その外径が軸受通し部19の内径よりも大きくかつ操作部通し部20の内径より若干小さく形成されている。操作部23はその中央部に取付部22が挿入される凹み28が設けられている。操作部23は、凹み28内に取付部22を収容した状態で、当該操作部23を貫通してねじ込まれる図示しない止ねじにより取付部22に固定されて、当該回転軸16及び取付部22などと同軸に設けられている。操作部23は、取付部22を介して、回転軸16に取り付けられることで、当該回転軸16とともに前記軸芯P回りに回転自在となる。前述した操作部材11の操作部23は、使用者により前記軸芯P回りに回転操作される。
【0027】
転がり軸受12は、互いに同軸に設けられた内輪30と、外輪31と、これら内外輪30,31間に転動自在に設けられた転動体としての玉32とを備えている。内輪30の内径即ち転がり軸受12の内径は、操作部材11の取付部22のフランジ部25の外径と略等しく形成されている。外輪31の内径は勿論内輪30の外径よりも大きく形成されている。内輪30即ち転がり軸受12は、その内側にフランジ部25を通して、当該フランジ部25の外周面25a上に設けられている。なお、本発明では、内輪30の内径即ち転がり軸受12の内径と、操作部材11の取付部22のフランジ部25の外径とに要求される寸法精度は、所謂しまり嵌めに要求される寸法精度よりも十分に低く、図示例では、内輪30の即ち転がり軸受12と、フランジ部25との間には、1/10mm程度の隙間が設けられている。
【0028】
外輪31の外径即ち転がり軸受12の外径は、丸孔17の軸受通し部19の内径と略等しく形成されている。外輪31即ち転がり軸受12は、丸孔17の軸受通し部19内に通されて、当該軸受通し部19の内周面19a上に設けられている。なお、本発明では、外輪31の外径即ち転がり軸受12の外径と、軸受通し部19の内径とに要求される寸法精度は、所謂しまり嵌めに要求される寸法精度よりも十分に低く、図示例では、外輪31の即ち転がり軸受12と、軸受通し部19との間には、1/10mm程度の隙間が設けられている。
【0029】
玉32は、球状に形成されており、内外輪30,31間を転動することにより、これらの内外輪30,31が相対的に回転することを許容する。
【0030】
このように、転がり軸受12は、内輪30がフランジ部25の外周面25a上に設けられ、かつ外輪31が軸受通し部19の内周面19a上に設けられることで、回転検出器10の回転軸16、操作部材11の取付部22、操作部5及び丸孔17などと同軸に配置されている。こうして、転がり軸受12は、操作部材11の取付部22のフランジ部25の外周面と、機器本体に設けられた丸孔17の軸受通し部19の内周面との間に設けられて、玉32が内外輪30,31間を転動してこれら内外輪30,31が相対的に回転することで、操作部材11の取付部22を機器本体3即ち本体部15に対して前述した軸芯P回りに回転自在に支持する。
【0031】
内輪用固定部材13は、薄手の円環状に形成されている。内輪用固定部材13は、その内径が取付部22の外径よりも大きくかつフランジ部25の外径よりも小さく形成されている。内輪用固定部材13は、その外径がフランジ部25の外径及び転がり軸受12の内径よりも大きくかつ転がり軸受12の内輪30の外径よりも小さく形成されている。内輪用固定部材13は、図3及び図4に示すように、内側に操作部材11の取付部22を通して、フランジ部25に重ねられて、これらと同軸に配置される。そして、内輪用固定部材13は、フランジ部25にねじ込まれるねじ33などによりフランジ部25に固定される。このとき、前述した高さTbが厚みDより小さく形成されているので、内輪用固定部材13は、転がり軸受12の内輪30のみを軸芯Pに沿ってフランジ部25の重なり片27との間に挟み込んで固定することとなる。
【0032】
外輪用固定部材14は、薄手の円環状に形成されている。外輪用固定部材14は、その内径が内輪用固定部材13の外径及び転がり軸受12の外輪31の内径よりも大きく、かつ軸受通し部19の内径よりも小さく形成されている。外輪用固定部材14は、図3及び図4に示すように、その外径が操作部通し部20の内径よりも小さく形成されている。外輪用固定部材14は、内側に操作部材11の取付部22を通して、転がり軸受12の外輪31と丸孔17の軸受通し部19と操作部通し部20との間に重ねられて、これらと同軸に配置される。そして、外輪用固定部材14は、機器本体3にねじ込まれるねじ34などにより当該機器本体3に固定される。このとき、前述した高さTaが厚みDより小さく形成されているので、外輪用固定部材14は、転がり軸受12の外輪31のみを軸芯Pに沿って機器本体3の丸孔17の軸受通し部19の重なり段部21との間に挟み込んで固定することとなる。
【0033】
こうして、前述した構成の回転操作器1は、使用者により操作部材11の操作部材11が軸芯P回りに回転される回転操作が施されることで、操作部5とともに回転軸16が回転して、回転検出器10が回転軸16の回転方向及び回転角度などの前述したプレーヤ、チューナなどを操作するための信号を出力する。
【0034】
本実施例によれば、機器本体3即ち本体部15に対して操作部材11即ち取付部22を回転自在に支持する転がり軸受12を、操作部材11の取付部22と機器本体3との双方との間に、軸芯Pに沿って挟み込んで固定する固定部材13,14を備えている。このために、転がり軸受12を軸芯P方向に沿って挟み込んで固定することとなるので、転がり軸受12と、当該転がり軸受12の内周に設けられる操作部材11の取付部22とを所謂しまり嵌めにより固定する必要がない。さらに、転がり軸受12と、当該転がり軸受12の外周に設けられる機器本体3とを所謂しまり嵌めにより固定する必要がない。
【0035】
このために、転がり軸受12と、前述した操作部材11の取付部22及び機器本体3の寸法精度に対する要求を、例えば、1/10mm程度などの従来よりの十分に低くすることが出来る。よって、回転操作器1は、前述した操作部材11の取付部22と機器本体3の製造に係る工数を削減でき、勿論、これらのコストの低減を図ることができる。したがって、回転操作器1は、転がり軸受12を設けて操作部材11の機器本体3に対するがたつきを抑制しながらも十分な低コスト化を図ることができる。
【0036】
また、この回転操作器1は、前述した操作部材11の取付部22と機器本体3とのうちの双方に設けられ、かつ転がり軸受12の外内周面12b,12cに重ねられる周面重なり面としての内周面19aの高さTa及び外周面25aの高さTbを、転がり軸受12の厚みDよりも小さくしている。このために、固定部材13,14が、転がり軸受12を前述した操作部材11の取付部22と機器本体3とのうちの双方との間に挟み込むと、当該固定部材13,14が、転がり軸受12に確実に接触することとなり、前述した双方との間に転がり軸受12を確実に挟み込んで固定できる。よって、この回転操作器1は、操作部材11の機器本体3に対するがたつきを確実に抑制することができる。
【0037】
さらに、この回転操作器1は、軸受として転がり軸受12を用い、固定部材として前述した操作部材11の取付部22との間に転がり軸受12の内輪30を挟み込んで固定する内輪用固定部材13を設け、固定部材として機器本体3との間に転がり軸受12の外輪31を挟み込んで固定する外輪用固定部材14を設けている。このために、転がり軸受12の内輪30と外輪31それぞれを軸芯Pに沿って挟み込んで固定するので、転がり軸受12を確実に固定することができる。よって、この回転操作器1は、操作部材11の機器本体3に対するがたつきを確実に抑制することができる。
【0038】
また、オーディオ装置2は、前述した回転操作器1を備えているので、転がり軸受12を設けて操作部材11の機器本体3に対するがたつきを抑制しながらも十分な低コスト化を図ることができる。
【0039】
前述した実施例では、軸受としての転がり軸受12を操作部材11の取付部22と機器本体3との間に設けたが、本発明では、軸受を回転検出器10の回転軸16と機器本体3との間に設けてもよい。また、前述した実施形態では、軸受として、内外輪30,31及び玉32を有する転がり軸受12を用いているが、本発明では、軸受として滑り軸受を用いてもよい。この場合、操作部材11の取付部22と回転軸16とのうちの一方と、機器本体3とのうちのいずれかとの間に、当該滑り軸受を軸芯Pに沿って挟み込んで固定する固定部材を設ければよい。この場合、勿論、前記一方と機器本体3とのうちのいずれかに滑り軸受の端面が重ねられる重なり面と滑り軸受の内外周面のうちのいずれかに重ねられる周面重なり面を設けるのが望ましい。
【0040】
このように、本発明では、操作部材11の取付部22と回転軸16とのうちの一方と、機器本体3と、のうちの少なくともいずれかとの間に軸受を挟み込んで固定する固定部材を設ければよく、前述した一方と機器本体3とのうちの少なくともいずれかに滑り軸受の端面が重ねられる重なり面と滑り軸受の周面に重ねられる周面重なり面を設ければよい。
【0041】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0042】
前述した実施例によれば、以下の回転操作器1が得られる。
【0043】
(付記) 本体部15と、
前記本体部15に軸芯P回りに回転自在に設けられた回転軸16と、
前記回転軸16に取り付けられた取付部22と、
前記取付部22と前記回転軸16とのうちの一方を前記本体部15に対して前記軸芯P回りに回転自在に支持する軸受12と、を備えた回転操作器1において、
前記軸受12を前記軸芯Pに沿って挟み込んで固定する固定部材13,14を備えたことを特徴とする回転操作器。
【0044】
付記に記載の回転操作器1によれば、本体部15に対して取付部22を回転自在に支持する転がり軸受12を、軸芯Pに沿って挟み込んで固定する固定部材13,14を備えている。このために、転がり軸受12を軸芯P方向に沿って挟み込んで固定することとなるので、転がり軸受12と、当該転がり軸受12の内周に設けられる操作部材11の取付部22などとを所謂しまり嵌めにより固定する必要がない。さらに、転がり軸受12と、当該転がり軸受12の外周に設けられる機器本体3などとを所謂しまり嵌めにより固定する必要がない。
【0045】
このために、転がり軸受12と、前述した操作部材11の取付部22及び機器本体3の寸法精度に対する要求を、例えば、1/10mm程度などの従来よりの十分に低くすることが出来る。よって、回転操作器1は、前述した操作部材11の取付部22と機器本体3の製造に係る工数を削減でき、勿論、これらのコストの低減を図ることができる。したがって、回転操作器1は、転がり軸受12を設けて操作部材11の機器本体3に対するがたつきを抑制しながらも十分な低コスト化を図ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 回転操作器
2 オーディオ装置(電子機器)
3 機器本体
10 回転検出器
11 操作部材
12 転がり軸受(軸受)
12a 端面
12b 外周面(周面)
12c 内周面(周面)
13 内輪用固定部材(固定部材)
14 外輪用固定部材(固定部材)
15 本体部
16 回転軸
19a 内周面(周面重なり面)
21a,27a 表面(重なり面) スイッチ
22 取付部
25a 外周面(周面重なり面)
30 内輪
31 外輪
32 玉(転動体)
P 軸芯
D 厚み
Ta 内周面の高さ
Tb 外周面の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に軸芯回りに回転自在に設けられた回転軸と、
前記回転軸に取り付けられた取付部と、
前記取付部と前記回転軸とのうちの一方を前記本体部に対して前記軸芯回りに回転自在に支持する軸受と、を備えた回転操作器において、
前記軸受を前記軸芯に沿って挟み込んで固定する固定部材を備えたことを特徴とする回転操作器。
【請求項2】
前記本体部は、機器本体に取り付けられ、
前記軸受は、前記一方と前記機器本体との間に設けられ、
前記固定部材は、前記一方と前記機器本体とのうちの少なくともいずれかとの間に前記軸受を前記軸芯に沿って挟み込んで固定する、
ことを特徴とする請求項1記載の回転操作器。
【請求項3】
前記一方と前記機器本体とのうちの少なくともいずれかに、前記軸受の周面と重なる周面重なり面が設けられ、前記周面重なり面の前記軸芯方向の高さが前記軸受の前記軸芯方向の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転操作器。
【請求項4】
前記軸受が、互いに同軸に設けられた内輪と外輪とこれらの間に転動自在に設けられた転動体とを備えた転がり軸受であり
前記固定部材として、前記一方との間に前記軸受の前記内輪を前記軸芯に沿って挟みこんで固定する内輪用固定部材と、
前記固定部材として、前記機器本体との間に前記軸受の前記外輪を前記軸芯に沿って挟みこんで固定する外輪用固定部材と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の回転操作器。
【請求項5】
機器本体と、
前記機器本体に軸芯回りに回転自在に設けられた操作部材を有した回転操作器と、を備えた電子機器において、
前記回転操作器として、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の回転操作器を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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