回転軸まわり蠕動式ポンプおよび関連する方法
【課題】回転軸まわり蠕動式ポンプを提供すること。
【解決手段】回転軸まわり蠕動式ポンプ10は、一般にプラテン表面22を有するプラテンと、プラテン表面に隣接して配置されたチューブ50と、回転軸の周りを回転し、かつプラテン表面からはなれ間隔をおいて配置されたカム表面を有するカム30と、複数のチューブ圧縮フィンガー44とを含む。フィンガーは、順に軸方向に前後移動し、プラテン表面に対してチューブのセグメントすなわち領域を順次圧縮し、それによって、チューブを通る流体の蠕動運動を引き起こす。フィンガーは、カムが回転する軸線に実質的に平行である軸上を前後移動する。
【解決手段】回転軸まわり蠕動式ポンプ10は、一般にプラテン表面22を有するプラテンと、プラテン表面に隣接して配置されたチューブ50と、回転軸の周りを回転し、かつプラテン表面からはなれ間隔をおいて配置されたカム表面を有するカム30と、複数のチューブ圧縮フィンガー44とを含む。フィンガーは、順に軸方向に前後移動し、プラテン表面に対してチューブのセグメントすなわち領域を順次圧縮し、それによって、チューブを通る流体の蠕動運動を引き起こす。フィンガーは、カムが回転する軸線に実質的に平行である軸上を前後移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、ポンプおよび関連方法に関し、およびより詳細に述べると、さまざまな医学的および非医学的用途に有用である流体をポンプ揚水するための蠕動ポンプおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蠕動ポンプは、1つ以上の少なくとも一部柔軟な細長いチューブ(単数または複数)を介して、各チューブを蠕動式に圧縮することによって流体を移送するデバイスである。チューブを介しての流体移送は、チューブの長さに沿って圧縮領域を移動させることによって実行される。圧縮領域のそのような運動は、一般に、管の長さに沿って圧縮領域を漸進的に移動させ、それによって、管を介して流体を蠕動運動でポンプ揚水する1つ以上のローラーまたは往復運動プッシャーを介して達成される。そのようなポンプは、静脈または皮下輸液、創傷排液システムおよびさまざまな研究室機器内の流体引き出し、ならびに工業用途(毒性または腐食性流体をポンプ揚水する工業用途など)を含む医学的用途に使用されることが多い。
【0003】
代表的なリニア蠕動ポンプは、特許文献1(Sorgら)、特許文献2(Borsannyi)、特許文献3(Hemingwayら)、および特許文献4(Canon)において開示された該ポンプを含み、上記の特許の開示は、それら全体を参照することにより本明細書に特に組み込まれる。全体として、これらのポンプは、弾力性のあるチューブに平行である駆動シャフトと、プッシャーを該チューブに向かったり離れたりして移動させる該駆動シャフトに沿う複数のカムを必要とする。
【0004】
回転蠕動ポンプには、一般に、チューブをふさぎかつチューブを通して流体を押し進めるために、チューブに沿って順に転がる円形ローターの周縁を囲むように取り付けられたいくつかのローラーを備えた円形経路に沿って弾力性のあるチューブが配置される。代表的なそのようなポンプは、特許文献5(Soderquistら)および特許文献6(King)において開示された該ポンプであり、上記の特許の開示は、それら全体を参照することにより本明細書に特に組み込まれる。これらのポンプは、比較的低い効率を有し、およびチューブ内壁の侵食または剥離を引き起こす高いせん断および引張応力を負わせる場合が多い。最終的にチューブは恒久的に変形され、それによって、チューブはより楕円状に平らになり、流体の移送はより少なくなる。
【0005】
従来技術は、別のタイプの蠕動ポンプも含んでおり、このような構成において、チューブが円形経路に沿って配置され、偏心的に回転する円筒形状カムが使われ、複数の尖っていないプッシャーすなわちフィンガーが順に移動され、該経路の一方の端部から該経路の他方の端部へチューブの領域が順に圧縮される。そのようなポンプの例は、特許文献7(Goner)、および伊国特許第582,797号(Tubospir)において開示されており、上記の特許の開示は、それら全体を参照することにより本明細書に特に組み込まれる。全体として、これらの「フィンガー」タイプ蠕動ポンプは、リニア蠕動ポンプほど複雑ではない傾向がある。しかし、尖っていないフィンガーによって管に及ぼされる圧力によって、管の寿命が短縮される可能性があり、および少なくとも場合によっては、チューブ内壁の侵食または剥離が引き起こされる可能性があり、チューブ壁から粒子状物質が流体の流れの中に紛れ込む可能性が生じることになる。場合によっては、異なる壁厚を備えたチューブもこれらのポンプによって対応されない可能性があるが、それは、標準のチューブより薄い場合、フィンガーは適切にチューブをふさがないことになり、および標準のチューブより厚い場合、チューブは、時期尚早に閉じ、および過度の圧縮を受けることになり、そのため、より高いカム駆動力が必要になり、かつカムおよびチューブに過度の摩耗が生じることになる。
【0006】
蠕動ポンプの多くの用途において、特に医学的用途において、ポンプがポンプチューブ内の閉塞により動作を中止したとき、ポンプの前方か後方かを迅速に検出することが重要である。別の用途において、管内の圧力を監視することは同様に重要である。ポンプにつながるチューブ内で発生する入力閉塞は、入力側から吸い込まれ出力側に押し出される流体によってチューブがつぶされる。ポンプからはなれてゆくチューブ内で発生する出力閉塞は、流体を出力チューブの中に押し込み続け、チューブは膨張し、チューブの破裂を引き起こす可能性がある。どちらの場合でも、最終用途まで流れる流体は、停止されるか低減される。
【0007】
特に効率的な蠕動ポンプの1つのタイプは、特許文献8(Moubayedら)において開示された曲線状蠕動ポンプであり、上記の特許の開示は、その全体を参照することにより本明細書に特に組み込まれる。特許文献8で開示されたポンプにおいて、弾力性のあるチューブが一般的な円形プラテンを背に配置され、およびフィンガーによってチューブが圧縮され、およびチューブを介して流体が蠕動式に押しやられるように、回転カム部材によって複数のフィンガーが順にかつ径方向に移動される。従来技術のこの曲線状蠕動ポンプにおいては、カムによってポンプフィンガーが径方向に駆動される。ポンプフィンガーが湾曲したカム表面から径方向に延在するので、ポンプは、カムの外側半径長さ、ポンプフィンガーの高さ、および凹形湾曲プラテンの厚さを収容するために十分大きく(径方向に)なければならない。
【0008】
これら先行技術の蠕動ポンプを超える利点および/または有用な改善または相違を備えた新しい蠕動ポンプの開発技術が求められている。
【特許文献1】米国特許第2,877,714号明細書
【特許文献2】米国特許第4,671,792号明細書
【特許文献3】米国特許第4,893,991号明細書
【特許文献4】米国特許第4,728,265号明細書
【特許文献5】米国特許第4,886,431号明細書
【特許文献6】米国特許第3,172,367号明細書
【特許文献7】独国特許第2,152,352号明細書
【特許文献8】米国特許第5,791,881号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、従来技術のこれら蠕動ポンプを超える利点および/または有用な改善または相違を備えた蠕動ポンプデバイス(本明細書においては、「回転軸まわり蠕動ポンプ」と呼ぶこともある)および方法を提供するものである。本発明の少なくともいくつかの実施形態において、平滑な流体送出、低駆動トルク電力、および/または従来技術の従来型蠕動ポンプより少ない複雑性を備えた回転軸まわり蠕動ポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態に従って、一般にプラテン表面を含むプラテン組立品と、回転軸を有するカムと、プラテン表面からはなれ間隔をおいて配置されたカム表面とを含む蠕動ポンプデバイスを提供する。さらに、該デバイスは、カム表面と協同的に係合している第1の部分と、プラテン表面に隣接しかつプラテン表面に沿って配置された管に係合し該管を圧縮するように構成された第2の部分とを有する複数のフィンガーを含む。該デバイスは、カムおよびフィンガーを収容するハウジングをさらに含むとよい。
【0011】
さらに本発明に従って、カムが該カムの回転軸の周りで回転されるとき、該フィンガーの第2の部分が該カムの回転軸に実質的に平行である方向に往復運動し、流体で満たされた圧縮可能な管がプラテン表面に沿って配置されるとき、該フィンガーの第2部分の往復運動によって、該管を通る流体のポンプ揚水が引き起こされるように、プラテン組立品、カム、およびフィンガーを動作可能に構成するとよい。
【0012】
なおさらに本発明に従って、いくつかの実施形態において、プラテンは、実質的に平坦な表面に平行に圧縮可能な管の部分を受け入れるように構成されている該平坦な表面を含むとよい。いくつかの実施形態において、プラテン組立品は、圧縮可能な管を所望の位置、またはプラテン表面と該フィンガーの第2の部分との間の配置に維持すなわち保持する1つ以上のチューブ保持部材(単数または複数)(たとえば、クリップ、リブ、ノッチ、磁石、溝、くぼみなど)を含むとよい。たとえば、いくつかの実施形態において、チューブ保持部材(単数または複数)は、プラテン表面から延在し、および該プラテン表面に沿って適切な位置に管を受け入れかつ固定するための特徴、たとえば、きりかき領域を含む、複数の間隔をおいて配置されたリブ部材を含むとよい。
【0013】
なおさらに本発明に従って、いくつかの実施形態において、プラテン組立品は、蝶番式すなわち旋回式にハウジングに連結されたドアを含むとよく、このような構成において、そのようなドアは、該ドアの内側表面上にプラテン表面を含む。そのようなドアを含む実施形態において、該ドアは、管キャリアならびにフィンガーおよび/またはシステムの他の構成部品に容易にアクセスできるようにすることによって、管の設置および除去、およびデバイスの保守が容易になるように構成できる。
【0014】
なおさらに本発明に従って、ポンプのフィンガーは、カム表面に対して概して垂直であり、かつ該カムが回転する回転軸に対して概して平行である長手方向軸上で前後に往復運動できる。概して、カム組立品は、回転軸の周りを回転するので、該カムの高さすなわちローブによって、フィンガーを該カム回転軸に対して実質的に平行な方向に移動できる。より詳細に述べると、カム表面は、カムが移動するにつれてフィンガーの第1の部分が乗る軌道すなわちカムレースを含むと表現し得る。フィンガーをカムレースによって画定された軌道に沿って一列に並べられ得る。カムレースは、カムの周辺領域に配置するのが好ましく、そのようなカムレースは、フィンガーが乗る1つ以上のレース表面(単数または複数)を有する。軸平面は、レース表面(単数または複数)全体にわたり突出可能であってよく、そのような平面はカムが回転する回転軸に対して実質的に直角である。カムレースは、カムが回転軸の周りで回転するとき、フィンガーの第2の部分を該第2の部分の長手方向軸に沿って前後に移動させる一段高い領域すなわちローブを含み、それによって、順に管を圧縮したり圧縮解除したりして管を通る流体のポンプ揚水が引き起こされる。
【0015】
なおさらに本発明に従って、いくつかの実施形態において、フィンガーの第1の端部は、可動部材、たとえば、フィンガーの第1の端部上またはその内部に取り付けたローラーを含むとよい。カム表面が回転経路に沿って移動するにつれて、これらの可動部材(たとえば、ローラー)は、カムレースに接触しおよび該カムレースに沿って転がりまたは別の方法で移動できる。いくつかの実施形態において、これらのローラーは、実質的には球形であるとよい。いくつかの実施形態においても、カム表面は、実質的に凹のレースを含むとよい。そのような凹のレースは、レースの半径がローラーの半径より大きいように構成するとよい。したがって、実質的には、各ローラーは、「点」で、または限られた接触領域でカムレースに接触することになる。他の実施形態において、各ローラーが溝またはくぼみの対向する側面上の対向する位置に接触することになるように、レースは溝またはくぼみを含むとよい。さらに別の実施形態において、レースはテーパーのついた溝を含んでもよく、およびローラーには、レースのテーパーのついた壁上に乗るようにそれに対応したテーパーをつけるとよい。なお他の実施形態において、レースは、一段高い領域すなわちレールを含んでもよく、およびローラーは、そのような一段高い領域すなわちレール上に乗るようにそれに対応した構成されるとよい。なお他の実施形態において、レースは、波状すなわち湾曲したカム表面を含んでもよく、ローラーは、ローラーがそのような波状すなわち湾曲した表面上に乗ることになる位置に保持し得る。
【0016】
なおさらに本発明に従って、いくつかの実施形態において、ポンプは、フィンガーが意図したとおりに管を圧縮した後、カムによってフィンガーが管から積極的に引き離されることになるような方法で、フィンガーをカムに連結することなく、フィンガーを積極的に後退させるためのスプリング(単数または複数)または他の付勢装置を含むとよい。より詳細に述べると、フィンガーは、フィンガーが管の所望の圧縮を引き起こした後、プラテン表面から離れる方向に各フィンガーの第2の端部の後退を引き起こすスプリング(単数または複数)または他の付勢装置と相互作用するとよい。さらにまたはあるいは、フィンガーは、カム表面と動作可能な係合状態でフィンガーを実質的に保持するスプリング(単数または複数)または他の付勢装置と相互作用するとよい。そのようなスプリング(単数または複数)または他の付勢装置は、管の復元力すなわち弾力性に依存してポンプフィンガーの後退を引き起こす、および/または、カムが各フィンガーを押して管を圧縮するだけでなく、各フィンガーを引っ張ってフィンガーを管から遠くへ後退させるようにフィンガーをカムに連結することが必要になる従来技術のデバイスに比べて、フィンガーの動作のより高精度の制御と、ポンプ揚水動作のより高精度の制御が可能になるように構成され得る。
【0017】
なおさらに本発明に従って、いくつかの実施形態において、先端部材は、ポンプフィンガーのいくつかまたはすべての端部に配置するとよい。そのような先端部材は、スプリングによって付勢されまたは他の方法で付勢され、管上に制御された量の圧縮力を与えることができ、それによって、フィンガーは、フィンガーの最大移動点に到達するが、管上の圧縮力が管上に不必要な応力または摩耗を生じさせる程に強くならず、管の内腔が完全に閉塞すなわち「ピンチオフ」されることになる。少なくともいくつかの実施形態において、先端部材は、フィンガーの圧縮表面の幅よりせまいものであり得る。そのような先端部材を、フィンガーが該フィンガーの最大移動点に達したとき管を横断して延在する別個の閉塞区間を設けるように形成するとよい。
【0018】
なおさらに本発明に従って、ポンプデバイスは、流体が管を通ってポンプ揚水されるとき、管のたわみ、膨張、または収縮の度合いすなわち量の示度を与えるストレンゲージ変換器または他の装置をオプションとして含んでもよい。
【0019】
本発明のこれらおよび他の態様および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲において、特に類似する部品を同様の参照番号によって特定した以下の図面と共に考察するとき明白となる。
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
プラテン表面を有するプラテンと、
該プラテン表面に隣接して配置されたチューブと、
回転軸のまわりを回転するカムであって、該プラテン表面からはなれ間隔をおいて配置されたカム表面を有する、カムと、
複数のフィンガーであって、各フィンガーが該カムの該回転軸に対して実質的に平行である長手方向軸を有し、該フィンガーは該カム表面に係合し、該カムが該回転軸のまわりを回転するにつれて、該フィンガーは軸方向に前後に移動し、順に該チューブを該プラテン表面に対して圧縮し、それによって、該チューブを通る流体の蠕動運動を引き起こす、複数のフィンガーと
を含む、蠕動ポンプデバイス。
(項目2)
上記プラテン表面が実質的に平坦である、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
上記カム表面が複数のローブを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
上記カムの各ローブが上記カム表面内に起伏を含み、そのような起伏のそれぞれがピークを有し、各起伏の該ピークが上記プラテン表面の他の部分より該プラテン表面により近い、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
上記プラテン表面に隣接する上記管を保持するチューブホルダーをさらに含む、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
上記チューブホルダーは、複数の該チューブ受け入れノッチを含み、該チューブ受け入れノッチ内に上記チューブが受け入れられる、項目5に記載のデバイス。
(項目7)
上記プラテン表面は実質的に平坦であり、および上記チューブホルダーは、上記チューブを該実質的に平坦なプラテン表面に隣接して通常の形状で保持する、項目5に記載のデバイス。
(項目8)
開閉し得るドアをさらに含む、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
上記プラテン表面が上記ドアの片面上に位置する、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
上記管を上記プラテン表面に隣接して保持するチューブホルダーをさらに含む、項目9に記載のデバイス。
(項目11)
上記チューブホルダーは、複数の上記チューブ受け入れノッチを含み、該チューブ受け入れノッチ内に上記チューブが受け入れられる、項目10に記載のデバイス。
(項目12)
上記プラテン表面は実質的に平坦であり、上記チューブホルダーは、上記チューブを該実質的に平坦なプラテン表面に隣接して通常の形状で保持する、項目11に記載のデバイス。
(項目13)
上記ドアは上記チューブへのアクセスを確保するために開放可能である、項目8に記載のデバイス。
(項目14)
上記チューブは取り外され、別のチューブに置き換えられることが可能である、項目13に記載のデバイス。
(項目15)
上記チューブを含むチューブカセットをさらに含む、項目1に記載のデバイス。
(項目16)
上記チューブカセットは、取り外され、別のチューブカセットに置き換えられることが可能である、項目15に記載のデバイス。
(項目17)
上記チューブカセットは、上記チューブを任意の構成で保持する実質的に剛な構造物を含む、項目15に記載のデバイス。
(項目18)
上記カセット構造は、上記チューブを実質的に精密な構成で保持する、項目17に記載のデバイス。
(項目19)
上記チューブはカセット上または該カット内に取り付けられ、上記ドアはアクセスを確保するために開放可能であることにより、該カセット上または該カセット内に該チューブを有する該カセットの取り出し、該カセットから、別のカセット上または該別のカセット内に別のチューブを有する該別のカセットへの置き換えを可能にする、項目13に記載のデバイス。
(項目20)
少なくとも1つの位置合い表面が上記ドア内に形成され、該位置合い表面は、該ドアが閉じられたとき、上記カセットと位置合わせされるように構成されており、それによって、該カセットは所望の位置合いに保持される、項目19に記載のデバイス。
(項目21)
上記プラテン表面が上記ドアの内側表面上にあり、かつ上記少なくとも1つの凹みが該プラテン表面内に形成され、それによって、上記チューブは、該ドアが閉じられたとき、該プラテン表面に実質的に並置される、項目20に記載のデバイス。
(項目22)
上記カセットは、複数の該支柱部材を含み、該支柱部材を通って上記チューブが延在し、複数の支柱部材受け入れ凹みが上記プラテン表面内に受け入れられ、それによって、上記ドアが閉じられたとき、該支柱部材は、該支柱部材受け入れ凹みに受け入れられ、該チューブは該プラテン表面に実質的に並置されるようになる、項目21に記載のデバイス。
(項目23)
上記フィンガーのうちの少なくとも1つは、該フィンガーを上記プラテン表面から遠くへ後退させるための装置に連結される、項目1に記載のデバイス。
(項目24)
上記フィンガーを後退させるための上記装置は、該フィンガーを上記プラテン表面から離すように働きかけるスプリングを含む、項目23に記載のデバイス。
(項目25)
上記フィンガーの実質的にすべては、該すべてのフィンガーを上記プラテン表面からはなれて後退させるための装置に連結される、項目23に記載のデバイス。
(項目26)
上記フィンガーのうちの少なくとも1つは、該フィンガーを後退させるための装置に連結され、ポンプ揚水サイクルの一部分の間、上記カムが該フィンガーを上記プラテン表面から引き離すことになると思われる方法では該カムに連結されない、項目23に記載のデバイス。
(項目27)
上記フィンガーを後退させるための上記装置は、上記カム表面と接触した状態に該フィンガーを実質的に保持する、項目23に記載のデバイス。
(項目28)
上記フィンガーを後退させるための上記装置は、スプリングを含む、項目23に記載のデバイス。
(項目29)
上記フィンガーはフィンガー組立品を含み、各フィンガー組立品は、i)一端に第1部分および他端に第2部分を有する本体と、ii)該本体の該第1部分上に配置されたカム接触表面と、iii)該本体の該第2部分上に配置されたチューブ圧縮表面とを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目30)
上記フィンガー組立品は、上記ポンプ揚水サイクルの一部分の間、上記チューブ圧縮部材を後退させるためのスプリングをさらに含む、項目29に記載のデバイス。
(項目31)
上記カム表面は、上記カムの周縁領域に位置する、項目1に記載のデバイス。
(項目32)
上記カム表面は、実質的に平坦、凹、または凸のレース表面を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目33)
上記レースは、実質的に精密な壁を有する溝を含む、項目32に記載のデバイス。
(項目34)
上記レースは、実質的にV字形状の壁を有する溝を含む、項目32に記載のデバイス。
(項目35)
上記レースは、実質的にテーパーのついた壁を有する溝を含む、項目32に記載のデバイス。
(項目36)
上記レースは、上記カム上に一段高い領域を含む、項目32に記載のデバイス。
(項目37)
上記フィンガーは、上記レース上または該レース内に乗るローラーを有する、項目32に記載のデバイス。
(項目38)
上記フィンガーは、上記実質的に精密な壁に接して乗る実質的に球形のローラーを有する、項目33に記載のデバイス。
(項目39)
上記フィンガーは、上記実質的にV字形状の壁の両側面上の位置に接して乗るローラーを有する、項目34に記載のデバイス。
(項目40)
上記フィンガーは、上記実質的にテーパーのついた壁に接して乗るローラーを有する、項目35に記載のデバイス。
(項目41)
上記フィンガーは、上記一段高い領域上に乗るように構成されたローラーを有する、項目36に記載のデバイス。
(項目42)
軸平面は上記レース全体にわたり突出可能であり、該軸平面は、上記カムが回転する上記回転軸に対して実質的に垂直である、項目32に記載のデバイス。
(項目43)
上記フィンガーのうちの少なくとも1つの各々は、上記ポンプ揚水サイクルの一部分の間、上記チューブを十分に圧縮し、該チューブの内腔を実質的に閉塞させる閉塞部材を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目44)
上記フィンガーは、第1の幅のチューブ圧縮表面を有し、および上記チューブ閉塞部材は、該チューブ圧縮表面を越えて突出し、該チューブ閉塞部材は、該第1の幅より狭い第2の幅を有する、項目43に記載のデバイス。
(項目45)
各フィンガーは、上記閉塞部材が上記プラテン表面に達するほどの近さに該閉塞部材がなる最大移動点を有し、各閉塞部材は、該フィンガーが該フィンガーの最大移動点に、または最大移動点から所定の距離以内にあるとき、上記チューブに、制御された量の圧縮力を働かすようにスプリングで付勢される、項目43に記載のデバイス。
(項目46)
横断スロットが上記ポンプフィンガー内に形成され、上記閉塞部材が該横断スロット内に摺動可能に配置される、項目43に記載のデバイス。
(項目47)
上記ポンプフィンガーは、上記閉塞部材を延伸位置まで推進力として作用するスプリングをさらに含む、項目46に記載のデバイス。
(項目48)
上記デバイスの動作を制御するためのコントローラをさらに含む、項目1に記載のデバイス。
(項目49)
上記チューブカセットが上記ポンプデバイスによって識別可能である識別特徴を内蔵する、項目15に記載のデバイス。
(項目50)
上記チューブが上記チューブカセット内または該チューブカセット上に取り付けられ、該チューブカセットが上記コントローラによって識別可能である識別特徴を内蔵し、該コントローラが、許容可能な識別特徴を内蔵していないカセットを備えた上記デバイスの動作を阻止するようにプログラムされる、項目489に記載のデバイス。
(項目51)
蠕動ポンプと組み合わせて使用できる管カセットデバイスであって、該管カセットデバイスは、
実質的に剛な構造物と、
該構造物内または該構造物に隣接してチューブを受け入れかつ保持するような大きさに作られた複数のチューブ受け入れ部材と、
該チューブ受け入れ部材によって受け入れられかつ保持されるチューブと、
該管カセットが該ポンプ揚水デバイス内で所望の位置に合わせて保持されるように、該ポンプ揚水デバイスの少なくとも1つの対応する表面と位置合わせする少なくとも1つの位置合い表面と
を含む、管カセットデバイス。
(項目52)
上記実質的に剛な構造物はフレームを含み、上記チューブ受け入れ部材は該フレームを横断して延在する複数のチューブ保持部材を含む、項目51に記載の管カセットデバイス。
(項目53)
上記チューブに隣接して配置された上記プラテンをさらに含み、該チューブは該プラテンに対して圧縮され得る、項目51に記載の管カセットデバイス。
(項目54)
上記プラテンは上記フレームに取り付けられる、項目53に記載の管カセットデバイス。
(項目55)
上記管カセットデバイスは、上記ポンプ揚水デバイスによって識別可能である識別特徴を内蔵する、項目51に記載の管カセットデバイス。
(項目56)
上記チューブ保持部材は、上記フレームを越えて突出し、上記ポンプ揚水デバイス内の対応する表面に対して位置合わせし、該ポンプ揚水デバイス内で上記管カセットデバイスの所望の位置合わせを確保する、項目52に記載の管カセットデバイス。
(項目57)
フィンガータイプ蠕動ポンプ内で使用するためのポンプフィンガー/カム組立品であって、複数のフィンガーが、ポンプチューブをプラテンに対して順に圧縮し圧縮解除し、それによって、該ポンプチューブを通る流体の蠕動運動を引き起こし、該ポンプフィンガー/カム組立品は、
形成された凹のレースを有するカムであって、該カムは、カム回転軸のまわりを回転する、カムと、
複数のフィンガーであって、各フィンガーは一端にチューブ圧縮表面を、他端にローラーを有し、該ローラーはローラー回転軸のまわりを回転可能である、複数のフィンガーと
を含み、
該ローラーは、該カムの該レース内に回転可能に乗り、該ローラー回転軸は該カム回転軸に対して実質的に垂直である、組立品。
(項目58)
上記レースが実質的に精密な壁を有し、上記ローラーが実質的に球形である、項目57に記載の組立品。
(項目59)
上記レースが実質的にV字形状の壁を有し、上記ローラーが該実質的にV字形状の壁の両側面に接触する、項目57に記載の組立品。
(項目60)
上記レースが実質的にテーパーのついた壁を有し、上記ローラーが該実質的にテーパーのついた壁に接触する、項目57に記載の組立品。
(項目61)
上記レースが一段高い表面を有し、上記ローラーが該一段高い表面上に乗るように構成される、項目57に記載の組立品。
(項目62)
上記レースが一段高い表面を有し、上記ローラーが該一段高い表面上に乗るように構成される、項目57に記載の組立品。
(項目63)
上記カム表面が複数のローブを含む、項目57に記載の組立品。
(項目64)
上記カムの各ローブが上記カム表面内に起伏を含み、そのような起伏のそれぞれがピークを有し、各起伏の該ピークが上記プラテン表面の他の部分より該プラテン表面により近い、項目63に記載の組立品。
(項目65)
上記フィンガーが上記チューブを圧縮した後、該フィンガーの該チューブ圧縮表面を該チューブから遠くへ後退させるための後退装置をさらに含む、項目57に記載の組立品。
(項目66)
上記後退装置がスプリングを含む、項目65に記載の組立品。
(項目67)
上記後退装置は上記フィンガーを上記カムの方向に付勢する、項目64に記載の組立品。
(項目68)
上記ローラーが上記カムの回転のすべての点で上記レースと接触したままであるように、上記後退装置が上記フィンガーを付勢する、項目67に記載の組立品。
(項目69)
上記カム表面が上記カムの周縁領域上に配置される、項目57に記載の組立品。
(項目70)
上記フィンガーは、上記チューブ圧縮表面を越えて突出するチューブ閉塞部材を含み、上記閉塞部材は、上記ポンプ揚水サイクルの一部分の間、上記チューブの内腔を実質的に閉塞するように構成される、項目57に記載の組立品。
(項目71)
上記チューブ接触表面が第1の幅を有し、および上記閉塞部材が該第1幅より狭い第2の幅を有する、項目70に記載の組立品。
(項目72)
各フィンガーは、上記チューブ閉塞部材が上記プラテンに達するほどに近い最大移動点を有し、各チューブ閉塞部材は、該フィンガーが該フィンガーの最大移動点または該フィンガーの最大移動点の所定の距離以内にあるとき、上記チューブに、制御された量の圧縮力を働かすように、スプリングで付勢される、項目70に記載の組立品。
(項目73)
横断スロットが上記フィンガー内に形成され、上記閉塞部材が該横断スロット内に摺動可能に配置される、項目72に記載の組立品。
(項目74)
上記チューブ閉塞部材を延伸位置まで促すスプリングをさらに含む、項目73に記載の組立品。
(項目75)
流体をポンプ揚水する方法であって、該方法は、
A)i)プラテン表面を有するプラテンと、ii)該プラテン表面に隣接して配置されたチューブと、iii)回転軸のまわりを回転するカムであって、該プラテン表面からはなれ間隔をおいて配置されたカム表面を有する、カムと、iv)該カムの該回転軸に対して実質的に平行である長手方向軸上を前後に移動する複数のフィンガーであって、該回転軸のまわりの該カムの回転が、該フィンガーが該長手方向軸上を前後に移動するように、該フィンガーが該カム表面と協力的に係合し、それによって、該チューブを該プラテンに対して順に圧縮し、結果的に該チューブを通る流体の蠕動運動を引き起こす、複数のフィンガーとを含む、蠕動ポンプデバイスを準備するステップと、
B)該チューブの一端を流体源に取り付けするステップと、
C)該フィンガーが該プラテン表面に対して該チューブを順に圧縮するように、該カムを回転させ、それによって、該チューブを通る該流体の蠕動運動が引き起こすステップと
を含む、方法。
(項目76)
上記チューブの一端が、流体の治療または診断用の物質の供給源に取り付けられ、該チューブの他端が人間または動物の被験者の身体に取り付けられ、それによって、ステップCの実行が、該流体の治療または診断用の物質が該人間または動物の被験者の身体の中に注入されるようにする、項目75に記載の方法。
(項目77)
上記ポンプデバイスが開閉可能なドアを有することと、上記方法がステップCの実行の前に該ドアを閉じるステップをさらに含む、項目76に記載の方法。
(項目78)
上記プラテン表面が上記ドアの片側上に配置され、該ドアを閉じる上記ステップによって、上記チューブが該プラテン表面に隣接して位置付けられる、項目77に記載の方法。
(項目79)
上記チューブが、着脱可能および交換可能である管カセット上に取り付けられ、上記方法が、該管カセットを取り外しおよび交換するステップをさらに含む、項目78に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、一部を切り取ったハウジングを備えた本発明の回転軸まわり蠕動ポンプデバイスの実施形態の斜視図であり、該デバイスは、ハウジングに設置したカセット管キャリアと開放した蝶番付きプラテンドアとを含む。
【図2】図2は、ハウジングが一部切り取られ、およびプラテンドアが閉じられたまたは動作位置にある(理解しやすいように掛け金および止め具組立品を省略)状態の、図1に示したデバイスの側面図である。
【図3】図3は、システムのさまざまな構成部品の位置合わせを示す、図1に示したポンプデバイスの分解組立斜視図である。
【図4】図4は、本発明の態様によるフィンガーの部分切取斜視図であり、該フィンガーは、可動バイアス閉塞バルブ部材を含む。
【図4A】図4Aは、本発明のポンプ揚水デバイスのカム/フィンガー組立品の一実施形態略図であり、このような構成において、フィンガーは、実質的に精密なカムレース表面に乗る実質的に球形のローラー表面を有する。
【図4B】図4Bは、本発明のポンプ揚水デバイスのカム/フィンガー組立品の別の実施形態略図であり、このような構成において、フィンガーは、実質的にV字形状のカムレースに乗る実質的に球形のローラー表面を有する。
【図4C】図4Cは、本発明のポンプ揚水デバイスのカム/フィンガー組立品の別の実施形態略図であり、このような構成において、フィンガーは、実質的にテーパーが付いたカムレースに乗る実質的にテーパーが付いたローラー表面を有する。
【図4D】図4Dは、本発明のポンプ揚水デバイスのカム/フィンガー組立品の別の実施形態略図であり、このような構成において、フィンガーは、実質的に一段高いカムレース表面に乗る、ローラー表面に概してV字形状のくぼみを有するローラーを有する。
【図4E】図4Eは、本発明のポンプ揚水デバイスのカム/フィンガー組立品の別の実施形態略図であり、このような構成において、フィンガーは、断面を見ると実質的に平坦なカムレース表面に乗るローラー表面を有する。
【図5】図5は、本発明のデバイスに有用な代替フィンガーの斜視図である。
【図6A】図6Aは、後退位置にあるフィンガーを示す該デバイスの一部分の部分切取断面図である。
【図6B】図6Bは、実質的には図6Aと同一であるが圧縮位置にあるフィンガーを示す該デバイスの一部分の部分切取断面図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態の斜視図である。
【図8】図8は、本発明のポンプ揚水デバイスのいっそうさらなる実施形態の斜視図である。
【図9A】図9Aは、管膨張の度合いを測定するオプションのストレンゲージビームを示す図1のポンプ揚水デバイスの一部分の断面図であり、このような構成において、ストレンゲージに隣接する管は実質上膨張している。
【図9B】図9Bは、管膨張の度合いを測定するオプションのストレンゲージビームを示す図1のポンプ揚水デバイスの一部分の断面図であり、このような構成において、ストレンゲージに隣接する管は実質上膨張していない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細な記載および添付図面は、本発明のいくつかの、しかし必ずしもすべてではない実施形態すなわち具体例を説明するためのものである。この詳細なに記載の内容および添付図面は、必ずしもすべてを包含するものではなく、および決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
図1および2は、本発明の回転軸まわり蠕動ポンプデバイス10の一実施形態を示す。図1において、デバイス10を、デバイス10の内部構成をよりはっきりと理解するために「開放」構成で示す。図2は、「閉じた」すなわち動作構成で同じデバイス10の端面図を示す。
【0023】
図1および2に示すデバイス10は、一般にハウジング12に蝶番で係合されたプラテンドア14を備えたハウジングを含む。プラテンドア14は、プラテン表面22を含むプラテン組立品20の一部を形成する。プラテン表面22は、実質的に平面すなわち実質的に平坦なプラテン表面22を含むことが望ましい。このプラテン表面22は、プラテンドア14の内側表面23の少なくとも周辺領域を含むか、または該領域に配置され得る。このデバイス10は、回転軸ARのまわりを回転するカム30をさらに含み、およびプラテンドア14が図2に示すドアのように閉じた位置にあるとき、プラテン表面22から遠くへ間隔をおいて配置されたカム表面32を有する。図1の外観から分かるように、カム30は、矢印36で示すような方向に回転軸ARのまわりを回転できる。しかし、明らかなように、矢印36の反対方向にカム30が回転することも可能である。
【0024】
図1および2に示すデバイス10は、ハウジング12内に搭載したフィンガー組立品45を形成できる複数のフィンガー44をさらに含む。フィンガー44を、実質的に正確なアレイの状態で、隣接し実質的に互いに対して平行(たとえば、約10度以内の平行)に位置合わせする。フィンガー44を、各フィンガー44の長手方向軸LAが実質的にカム30の回転軸ARに平行になるように位置合わせする。
【0025】
ここで図2を詳細に参照すると、各フィンガー44は、第1部分46および第2部分48を含み得る。デバイス10が使用中であるとき、第1部分46は、カム表面32と協力的な係合状態にあり、および第2部分48は、プラテン表面22に隣接する。好適な材料(たとえば、ポリ塩化ビニル(PVC)、珪素、ラテックス、ウレタン樹脂など)で形成された柔軟なチューブなどの管部材50を、フィンガー44の第2部分48とプラテン表面22との間に配置する。
【0026】
カム30は、モーター駆動歯車機構56(図6Aおよび6Bに示す)などの好適な手段によって回転軸ARのまわりを回転する。この例においては、デバイス10が閉鎖された状態すなわち稼働配置にあり、およびカム30が回転軸ARのまわりを回転するとき、フィンガー44の第2部分48が該フィンガーの長手方向軸LAの方向に前後往復運動することになり、換言すれば、各フィンガー44がカム30の回転軸ARに対して実質的に平行(たとえば、約10度以内の平行)である長手方向軸LA上を前後往復運動するように該デバイスを構成する。
【0027】
図2において破線で示したとおり、カム表面32は、ローブLなどの、カム表面32のさまざまな高さを画定する外形を有する領域を含むとよい。カム表面32の外形によって、該カム表面32がフィンガー44の第1端部の下を移動するにつれて、フィンガー44の波状すなわち蠕動運動が引き起こされる。当然のことであるが、少なくともいくつかの実施形態において、カムローブLの勾配変化の割合が大きいほど、より動力がポンプ動作に必要になる。本発明のポンプには、該ポンプフィンガーの長手方向軸がカム回転軸に対して実質的に平行である該ポンプフィンガーを採用しているので、カムの周縁は、ほとんどポンプハウジングの限界近くまで延在できる。その結果、カムの周縁近くに位置するカムレースは、機構容器のサイズを増大させることなく、最大カムレース長を実現する。カムレース長がカムローブの上昇および下降に比べて実質的に長い場合、勾配変化の割合が小さいカムローブが実現し、その結果、本発明のポンプは、より小さい消費電力によって同等以上のポンプ揚水効率を実証できる。電池で駆動する実施形態において、この改善されたポンプ揚水効率によって、結果的に電池寿命をより長くできることになる。さらに、本発明のポンプには、フィンガー44の長手方向軸LAに対して実質的に平行である回転軸ARのまわりを回転するカムを使用できるので、本発明のそのようなポンプは、先行技術による同等のポンプ揚水能力の蠕動ポンプより小型にできる。図1および3に示すとおり、管部材50を、チューブカセット60上または内にオプションとして配置するとよく、およびそのようなカセット60を、ハウジング12内に配置するとよい。チューブカセット60は、ハウジング12内に設置したとき、管部材50を実質的に固定された位置すなわち形状に保持するあらゆる好適なタイプの構造物(単数または複数)または装置(たとえば、フレーム、格子、組立台、一連のクリップ、一連のリブなど)であってよい。カセット60は、管部材50がノッチ65内に受け入れられかつ保持されるように、形成されたノッチ65を備えたリブ63などの複数の横断部材を有するフレーム61を含むとよい。当然のことであるが、この例に示す特定のカセット60の代わりに、管部材50を該デバイス内に任意の位置または形状で、接着剤、クリップ、クランプ、ノッチ、フックなどといったさまざまな別の材料/装置を使って保持または他の方法で固定してもよい。安定化部材、たとえば、ウェブセクション64をカセット60に強度および安定性を与えるためにカセット上に含むとよい。いくつかの実施形態において、リブ63は、隣接するフィンガー44の第2部分48の間に収まるように所定のサイズに作りおよび配置するとよい。この状態を、たとえば、図2に示す。いくつかの実施形態において、リブ63は、管キャリア60をハウジング前表面62に設置する場合、カセット管キャリア60の位置合わせを容易にするために所定のサイズに作りおよび配置するとよい。この配置は、リブ63を該デバイスの特定のくぼみ、凹み、開口部、または表面によって設置、係合、または位置合わせし、それによって、リブ63およびしたがって管部材50がフィンガー44に対して所望の形状および/または所望の位置(たとえば、所望の位置合わせ)になるように、該リブを設計することによって達成するとよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、管は、カッセット60上または内に事前に取り付けてもよく、それによって、ポンプデバイス10内に管部材50を手作業で対処および取り付けする必要がなくなる。さらにまたはあるいは、管部材50が貫通するノッチ65の形状または別の切取り領域は、管部材50が各フィンガー44によって圧縮された後、該管部材が完全に、またはほぼ完全に膨張された非圧縮形状に回復するのを支援すなわち容易にするように、一般に三角形状のものであるか、または別の形状であってもよい。そのようなノッチ65または他の好適なチューブを拘束する、すなわちチューブに接触する構造物は、フィンガー44が管部材50を圧縮する方向に対して一般に垂直である方向に膨張する管部材50に対して部分的な圧縮すなわち抵抗を備え、それによって、管部材50への圧縮作用に逆らい、フィンガー44が管部材50から遠くへ後退するにつれて、管部材50の急速な再膨張を容易にする。
【0029】
さらにまたはあるいは、いくつかの実施形態において、カセット60は、ポンプデバイス10の感知(たとえば、検出)部品(たとえば、コンピュータ、コントローラ、または他のプロセッサと通信状態にあるセンサー)によって、特定のカセット60またはカセット60の特定のサイズ/タイプを識別できる、またはカセット60の存在または不存在を識別できる、およびオプションとして、カセット60が不存在である、不正に配置されている、または不正確なサイズ/タイプなどである場合、ポンプデバイス10を無能にできる、または警報(たとえば、音響式警報、光など)または他の信号を発することができるタグ、バーコード、センサー、スイッチ、トリガ機構、突起部識別(単数または複数)、機械可読部材(単数または複数)、または他の装置/材料を含むとよい。
【0030】
図1に示すとおり、ハウジング12は、必要に応じて分解および組立を容易にするために、複数のボルトによって共に保持される背面支持プレート67を含むとよい。ハウジング12は、ドア14をハウジング12に連結する蝶番ピン66のまわりを旋回する蝶番プラテンドア14を支持する。閉鎖位置にあるとき、ドア14をカバーストップ68に接して静止させ、および掛け金72をドア14の上に引っかけてドア14を閉鎖位置に固定する。
【0031】
図2に示すように閉鎖位置において、ドア14は、実質的に平坦すなわち実質的に平面のプラテン表面を備え、カセット管キャリア60内に保持された弾力性のある管50を圧縮する。ドア14は、掛け金72を持ち上げることによって開放および解放できる。閉鎖位置において掛け金をかけない場合、ドア14は、図1に示すとおり完全開放位置まで自由に旋回できる。当然のことであるが、別の機構もプラテン組立品をカムおよび複数のフィンガーに機能的方法で効果的かつ便利に固定することが可能であり、およびそのような機構は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0032】
図1および図2に示すとおり、ハウジング12は、実質的に複数のフィンガー44を封じ込めるすなわち包含する。フィンガー44のそれぞれは、カム30の回転に対して軸線方向に配向される。いくつかの実施形態において、フィンガー44を、たとえば、ハウジング12の周縁近くに位置する該ハウジング内壁によって画定される個別のハウジング空洞内に配置する。たとえば、図3の分解組立図に見られるとおり、個別ハウジング空洞は、カム回転軸に対して軸方向に配向されたフィンガーガイド表面86を有する複数の中空空洞すなわちチャンバーを含むとよい。本発明の別の実施形態において、2つ以上のフィンガー44、たとえば、フィンガー44すべてをハウジング12内に実質的に封じ込める単一のハウジング空洞を設けてもよい。
【0033】
フィンガー44の第1部分46は、可動部材、たとえば、カム30の表面上に乗るローラー80を含むとよい。いくつかの実施形態においては、溝、くぼみ、軌道などといったレース32をカム30内に形成し、ローラー80がそのようなレース32内に乗る。表示の例において、ローラーを、ローラー80が回転する軸82によってフィンガー44に固定する。あるいは、ローラー80が実質的に球形である実施形態のように、ローラーを、ボールペンのボールと同じ方法で全方向に自由に転がるように、軸線上に中心を置くことなくフィンガー44の端部上のくぼみ内に配置しかつ保持するとよい。
【0034】
図1〜3および7〜8に示す実施形態において、フィンガー44を、互いに隣接してアレイ状に配列し、およびカムレース32の上にフィンガー44の位置付けを保持する側面ガイド表面86を備えて構成する。本発明のいくつかの実施形態において、アレイ内の最初および最後のポンプフィンガー44を、連続するカムローブのピークと概して位置合わせするとよい。フィンガー44の数は、当業者には公知である所望の用途、所望のポンプ精密度、および/または別の考慮すべき事項によって、たとえば、約3フィンガーから約50フィンガー以上まで変更してもよい。
【0035】
各フィンガー44の第2部分48は、ハウジング前面62を少なくとも部分的に越えて延在し、およびカセット管キャリア60内に保持された管50に接触するヘッド部分84を含む。
【0036】
本発明のさまざまな態様をよりはっきりと理解するために、カム30から軸方向に引き離した1つのフィンガー44を伴った分解組立斜視図内のデバイス10とさまざまなより効果的な構成の特徴を有する個別フィンガー44の切取斜視図とをそれぞれ示す図3および4を参照する。
【0037】
本発明の一態様によるポンプフィンガー44は、フィンガー44が所望の量以上前進したとき(たとえば、フィンガー44が該フィンガーの最大前進移動の特定距離内にあるとき)、チューブ50の内腔を完全に閉塞すなわちピンチオフするように、チューブ50を完全に圧縮する、先頭の縁端部すなわち先端部材などのチューブ閉塞器表面88を含むとよい。たとえば、例示の実施形態において、フィンガー44は、横スロット90を通ってスプリングバイアスのかかった閉塞部材92が、フィンガー44のヘッド部分84の圧縮表面94を若干越えて延在する、該スロットを含む。閉塞部材92を、ヘッド部分82内の実質的に中央に配置して示したが、別の位置も好適であり得る。たとえば、いくつかの実施形態において、閉塞部材92を中心から外れた、または圧縮表面94の近辺、または周辺領域または縁端に配置してもよい。閉塞部材スプリング96は、閉塞部材92を伸張位置の方へバイアスをかけるように機能する。閉塞部材92の伸張は、開口部104内にまたは該開口部と関連して配置した閉塞部材ガイドピン102によって限定するとよい。図に示した例において、各フィンガー44上で圧縮表面94の両部分を閉塞部材92の両側に配置するように、圧縮表面94の両端部の間の中間部に閉塞部材92を配置する。しかし、言うまでもなく、いくつかの実施形態において、閉塞部材92を圧縮表面94の両端部間の中間部以外の位置に配置してもよい。
【0038】
図5を参照すると、別のフィンガー244が示されている。フィンガー244が、可動すなわちスプリングバイアスのかかった閉塞部材92を有しないが、その代わりに突起部、たとえば、圧縮表面294の遠位に配置した表面108を備えた稜線部分106を有することを除いて、フィンガー244は、実質的にフィンガー44と同一である。この実施形態において、稜線部分106は、フィンガー244のヘッド284に組み込まれている。可動閉塞部材92と同じように、固定部材108を、例示のような実質的に圧縮表面294の中央部よりもむしろその周辺部近辺に配置してもよい。稜線部分106は、デバイス10の動作中、ヘッド284が管を押し付けるにつれて、閉塞の集中領域を形成するように機能する。
【0039】
今から再び図4を参照すると、フィンガー44は、フィンガー44の第2部分48をプラテン表面22から離れる方向へバイアスをかけるために後退機構112をさらに含むとよい。後退機構112は、ポンプフィンガー44内に取り付けかつ位置決めピン116によって所定位置に保持した後退スプリング114を含むとよい。フィンガー44をデバイスハウジング12の中に設置するとき、図3の例に示したとおり開口部122から外方に延在する後退スプリング114のかぎ形終端部118をハウジング開口部126に係合させる。
【0040】
ポンプデバイス10は、以下の方法で動作する。図2を参照すると、ポンプ揚水動作中カム30の回転方向によって、流体は左から右へ流される。ポンプフィンガー44によって、該ポンプフィンガーのローラー80は、カム表面32と協同的に係合される。カムローブLの位置によって、第1フィンガーおよび最終フィンガー、44aおよび44bの間のフィンガー44が、カム表面32の外形によって制御されるとおり次第に後退し、第1フィンガーおよび最終フィンガーのそれぞれは完全に伸張する。第1および最終ポンプフィンガー44aおよび44bの閉塞バルブ部材92aおよび92bは、管50のセクションを閉塞するように動作し、第1ポンプフィンガー44aと最終ポンプフィンガー44bとの間に取り込まれた流体量を作り出す。
【0041】
カム30が回転するにつれて、左のカムローブが右へ移動し、左第2ポンプフィンガーがさらに伸張され、該左第2フィンガー上方の管を圧縮しかつ閉塞させる一方、同時に、最終フィンガーは後退しかつ該最終フィンガー上方の管の閉塞を解放する。チューブ50内の流体は、直ちに最終ポンプフィンガーを通り越して右方へ流れ始める。さらに、管50の入口側からの流体が、左第2ポンプフィンガーの後方(左から)の管セクションを満たし始める。左カムローブが右方へ移動し続けるにつれて、次ぎのポンプ揚水フィンガーが次第に該フィンガー上方の管を圧縮しかつ閉塞させ続け、こうして管内の流体は右方へ流されかつ左方から満たされる。カムが複数のカムローブを有するので、左ローブが最後には最終ポンプフィンガー(最右方)の下に到達し、別のカムローブが第1ポンプフィンガーの下に到達したときに、第1と最終のポンプフィンガー44との間に新しい流体量を取り込む。
【0042】
フィンガー44のローラー80または他の可動部材は、溝または凹みなどのレースを含むカム表面32を通って、転がるか、回転して乗るか、または別の方法で乗るかまたは追尾し得る。ローラー80または他の可動部材の形状は、ローラー44の安定した追尾および最小摩耗を可能にするために、カム表面レース32の形状に対応するとよい。図4A〜4Eは、この概念のいくつかの限定されない例を示す。図4Aにおいて、カム30aは実質的に精密であるレース表面32aを有し、フィンガー44のローラー80aは、例示のとおり、ローラーが該精密なレース表面32aにぴったりはまりおよび安定して転がるように実質的に球形およびまたは対応するサイズである。図4Bにおいて、カム30bは、実質的にV字形状断面であるレース表面32bを有し、フィンガー44のローラー80bは、例示のとおり、ローラーが実質的にV字形状レース表面32bの対向する両側壁に接触して該レース内にぴったりはまりおよび安定して転がるように実質的に球形形状を有しおよび対応するサイズのものである。図4Cにおいて、カム30cは、実質的に片側にテーパーがかけられたレース表面32cを有し、およびフィンガー44のローラー80cは、例示のとおり、ローラーが実質的にテーパーがかけられたレース32c内にぴったりはまりおよび安定して転がるように対応するテーパーおよびサイズを有する。図4Dにおいて、カム30dは、細長い一段高い領域(たとえば、レール、ハンプ、またはビーズ)を含むレース表面32dを有し、ローラー80dは、例示のとおり、ローラーがレース表面32d内にぴったりはまりおよび安定して転がるように該ローラー表面上に形成された対応する溝または凹みを有する。図4Eにおいて、カム30eは、実質的に平坦であるレース表面32eを有し、フィンガーは、例示のとおり、該フィンガーがレース表面32e上に乗るように所定位置に保持される。
【0043】
ポンプデバイス10の個々のフィンガー44の動作は、図6Aおよび6Bを参照することによってよりはっきりと理解できる。図6Aは、カム30の回転軸(図6A内で一点鎖線ARによって表わした回転軸)に実質的に平行に位置合わせされた、デバイス10のフィンガー44を示す。ハウジング12の壁部分12aおよび12bは、フィンガー44のローラー50が凹面カムレースの内部にぴったりはまるように、カム表面32の上方でフィンガー44の位置決めを保持する。フィンガー44の後退スプリング114は、ハウジング12の開口部126を通って延在し、および開口部表面126aに寄りかかって静止させるとよい。例示のとおり、閉塞バルブ部材92の遠位端は、流体で満たされている管50に接触した状態であるが、該管の実質的な圧縮はまったく引き起こされていない。管50は、リブ63によってプラテン表面22を背に所定位置に保持されている。
【0044】
図6Bは、カムローブLがローラー80の真下を通るにつれてフィンガー44がプラテン表面22の方へ往復運動することによって閉塞バルブ部材92が管50をプラテン表面22に対して圧縮し、および該管を通る流体の流れを閉塞させるようなフィンガーの動作を示す。閉塞バルブスプリング96は、開口部104を通るガイドピン102によって制御されながら閉塞バルブ部材92をこの伸張位置まで付勢するように機能する。
【0045】
図6Aおよび6Bに示すとおり、カム表面32のレースは、ローラー50が自由に該レース内にぴったりはまるように所定の大きさに作られた凹面状に湾曲した横断面によって画定される。カムレースの断面は、ローラー50が非常に小さい接触領域、理論的には、接触点においてカム表面32に接触するために、ローラー50の半径より若干大きい半径を有することが望ましい。別の実施形態において、カム表面は、各ローラーが2つの実質的に対向する「点」でカム表面に接触するように、実質的にVノッチ断面レースを含む。あるいは、テーパーがかかった断面レースなどの他の構成を形成してもよい。
【0046】
図7は、一体型プラテンおよびカセット組立品216を備えた本発明の別の蠕動ポンプデバイス210を示す。このデバイス210は、該デバイス210が蝶番付きドア、ラッチ、またはストップをまったく含まないという主要な違いを備えた、デバイス10と実質的に同じものである。
【0047】
図8は、蝶番付きドア328の中に組み込んだカセット管キャリア構造物318を備えた本発明の回転軸まわり蠕動ポンプデバイス310の別の実施形態を示す。たとえば、この実施形態において、平面プラテン表面330およびリブまたはリブ部材332を例示のようにドア328の中に組み込む。デバイス10に対して上述と同じ方法で、ドア328は、開放位置と閉鎖位置との間で旋回する。
【0048】
オプションとして、図1、図9Aおよび9Bに示すとおり、圧力検出デバイス132、133をデバイス10内に、一方は第1ポンプフィンガーの前(入口側)に、および他方は最終ポンプフィンガーの後(出口側)に含むとよい。あるいはまたはさらに、管内の圧力を検出する装置を備えてもよい。管50は、片端部がハウジングに取り付けられ予荷重がかけられたストレンゲージビーム133に対して反力を及ぼす圧力検出デバイス132、133によって部分的に圧縮される。したがって、ストレンゲージビーム133のたわみ量は、該圧力検出デバイス132、133の位置における管50内部の圧力量によって直接的に変化する。どんな従来のストレンゲージ変換器を使ってもよい。より詳細に述べると、ストレンゲージビーム133は、以下の方法で動作する。管50内の圧力が増大または減少するにつれて、管は、固定された平面プラテンに対してそれぞれ膨張または収縮し、圧力検出デバイス132、133がストレンゲージビーム133に対してさまざまな圧力を及ぼし、それによって、ストレンゲージビームのたわみが変化する。技術分野においては十分に確立されているとおり、ストレンゲージから測定された電気信号は、ストレンゲージビームが遭遇するたわみ量に比例する。さらに、ストレンゲージからの電気信号を較正することによって、システムは、圧力読取および閉塞検出を目的として、管内の圧力量の測定が可能になる。
【0049】
図2および9Bを参照すると、ポンプ揚水が行われるにつれて、流体が入口側からポンプ管50の中に引き込まれる。ポンプ管50の中へ流入する流体が塞がれた場合、たとえば、入口または供給チューブがねじれた場合、または流体源が枯渇した場合、管50内圧力の減少が生じ、管50はつぶされ、入口側の圧力検出デバイス132に対する管の力は減少することになり、それによって、該圧力検出デバイス132に連動されたストレンゲージビーム133は図9Bに見られるとおり、管50の方へそれる。管50の方へそれる量が所定量を超えた場合、ポンプ揚水デバイス10に連動されたコントローラ、コンピュータ、またはプロセッサが入口閉塞警報または信号を発し得、および/またはポンプ揚水デバイス10の自動遮断などのいくつかの所望の改善策を起動し得る。他方、図2および9Aに見られるとおり、ポンプ揚水が行われるにつれて、流体がポンプ管50の出口端部から押し出される。ポンプ管50から流出する流体が塞がれた場合、たとえば、出口チューブが塞がれたまたはポンプの外側でピンチオフされた場合、管50内圧力の増大が生じることになり、それによって、管50は膨張する。管50のそのような膨張によって、ポンプデバイス10の出口端部における圧力検出デバイス134は、該圧力検出デバイス134に連動されたストレンゲージビーム133を図9Aに見られるとおり、管50から離れる方向へそらせる。管50から離れる方向へそれる量が所定量を超えた場合、ポンプ揚水デバイス10に連動されたコントローラ、コンピュータ、またはプロセッサが出口閉塞警報または信号を発し得、および/またはポンプ揚水デバイス10の自動遮断などのいくつかの任意の改善策を起動し得る。
【0050】
当然のことであるが、本発明の特定の例または実施形態について本発明を本明細書の上文に説明してきたが、本発明の所期の精神および範囲を逸脱することなく、これらの例および実施形態にはさまざまな追加、削除、変更、および改変を行うことが可能である。たとえば、一方の実施形態または例のあらゆる部材または属性を、そうすることが実施形態、実施例またはその所期の使用には不適でない限り、他方の実施形態または例とともに使用するまたはそれに組み込むことが可能である。同じく、方法または工程のステップが特定の順序で説明され、列記され、またはクレームされている場合、そのようなステップは、そうすることが実施形態または実施例を、新規ではなく、当業者には明白な、またはその所期の使用には不適であるとしない限り、あらゆる他の順序で実行が可能である。すべての合理的な追加、削除、改変、および変更は、記載された例および実施形態の均等物と考えられるべきであり、および以下のクレームの範囲内に含まれるものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、ポンプおよび関連方法に関し、およびより詳細に述べると、さまざまな医学的および非医学的用途に有用である流体をポンプ揚水するための蠕動ポンプおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蠕動ポンプは、1つ以上の少なくとも一部柔軟な細長いチューブ(単数または複数)を介して、各チューブを蠕動式に圧縮することによって流体を移送するデバイスである。チューブを介しての流体移送は、チューブの長さに沿って圧縮領域を移動させることによって実行される。圧縮領域のそのような運動は、一般に、管の長さに沿って圧縮領域を漸進的に移動させ、それによって、管を介して流体を蠕動運動でポンプ揚水する1つ以上のローラーまたは往復運動プッシャーを介して達成される。そのようなポンプは、静脈または皮下輸液、創傷排液システムおよびさまざまな研究室機器内の流体引き出し、ならびに工業用途(毒性または腐食性流体をポンプ揚水する工業用途など)を含む医学的用途に使用されることが多い。
【0003】
代表的なリニア蠕動ポンプは、特許文献1(Sorgら)、特許文献2(Borsannyi)、特許文献3(Hemingwayら)、および特許文献4(Canon)において開示された該ポンプを含み、上記の特許の開示は、それら全体を参照することにより本明細書に特に組み込まれる。全体として、これらのポンプは、弾力性のあるチューブに平行である駆動シャフトと、プッシャーを該チューブに向かったり離れたりして移動させる該駆動シャフトに沿う複数のカムを必要とする。
【0004】
回転蠕動ポンプには、一般に、チューブをふさぎかつチューブを通して流体を押し進めるために、チューブに沿って順に転がる円形ローターの周縁を囲むように取り付けられたいくつかのローラーを備えた円形経路に沿って弾力性のあるチューブが配置される。代表的なそのようなポンプは、特許文献5(Soderquistら)および特許文献6(King)において開示された該ポンプであり、上記の特許の開示は、それら全体を参照することにより本明細書に特に組み込まれる。これらのポンプは、比較的低い効率を有し、およびチューブ内壁の侵食または剥離を引き起こす高いせん断および引張応力を負わせる場合が多い。最終的にチューブは恒久的に変形され、それによって、チューブはより楕円状に平らになり、流体の移送はより少なくなる。
【0005】
従来技術は、別のタイプの蠕動ポンプも含んでおり、このような構成において、チューブが円形経路に沿って配置され、偏心的に回転する円筒形状カムが使われ、複数の尖っていないプッシャーすなわちフィンガーが順に移動され、該経路の一方の端部から該経路の他方の端部へチューブの領域が順に圧縮される。そのようなポンプの例は、特許文献7(Goner)、および伊国特許第582,797号(Tubospir)において開示されており、上記の特許の開示は、それら全体を参照することにより本明細書に特に組み込まれる。全体として、これらの「フィンガー」タイプ蠕動ポンプは、リニア蠕動ポンプほど複雑ではない傾向がある。しかし、尖っていないフィンガーによって管に及ぼされる圧力によって、管の寿命が短縮される可能性があり、および少なくとも場合によっては、チューブ内壁の侵食または剥離が引き起こされる可能性があり、チューブ壁から粒子状物質が流体の流れの中に紛れ込む可能性が生じることになる。場合によっては、異なる壁厚を備えたチューブもこれらのポンプによって対応されない可能性があるが、それは、標準のチューブより薄い場合、フィンガーは適切にチューブをふさがないことになり、および標準のチューブより厚い場合、チューブは、時期尚早に閉じ、および過度の圧縮を受けることになり、そのため、より高いカム駆動力が必要になり、かつカムおよびチューブに過度の摩耗が生じることになる。
【0006】
蠕動ポンプの多くの用途において、特に医学的用途において、ポンプがポンプチューブ内の閉塞により動作を中止したとき、ポンプの前方か後方かを迅速に検出することが重要である。別の用途において、管内の圧力を監視することは同様に重要である。ポンプにつながるチューブ内で発生する入力閉塞は、入力側から吸い込まれ出力側に押し出される流体によってチューブがつぶされる。ポンプからはなれてゆくチューブ内で発生する出力閉塞は、流体を出力チューブの中に押し込み続け、チューブは膨張し、チューブの破裂を引き起こす可能性がある。どちらの場合でも、最終用途まで流れる流体は、停止されるか低減される。
【0007】
特に効率的な蠕動ポンプの1つのタイプは、特許文献8(Moubayedら)において開示された曲線状蠕動ポンプであり、上記の特許の開示は、その全体を参照することにより本明細書に特に組み込まれる。特許文献8で開示されたポンプにおいて、弾力性のあるチューブが一般的な円形プラテンを背に配置され、およびフィンガーによってチューブが圧縮され、およびチューブを介して流体が蠕動式に押しやられるように、回転カム部材によって複数のフィンガーが順にかつ径方向に移動される。従来技術のこの曲線状蠕動ポンプにおいては、カムによってポンプフィンガーが径方向に駆動される。ポンプフィンガーが湾曲したカム表面から径方向に延在するので、ポンプは、カムの外側半径長さ、ポンプフィンガーの高さ、および凹形湾曲プラテンの厚さを収容するために十分大きく(径方向に)なければならない。
【0008】
これら先行技術の蠕動ポンプを超える利点および/または有用な改善または相違を備えた新しい蠕動ポンプの開発技術が求められている。
【特許文献1】米国特許第2,877,714号明細書
【特許文献2】米国特許第4,671,792号明細書
【特許文献3】米国特許第4,893,991号明細書
【特許文献4】米国特許第4,728,265号明細書
【特許文献5】米国特許第4,886,431号明細書
【特許文献6】米国特許第3,172,367号明細書
【特許文献7】独国特許第2,152,352号明細書
【特許文献8】米国特許第5,791,881号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、従来技術のこれら蠕動ポンプを超える利点および/または有用な改善または相違を備えた蠕動ポンプデバイス(本明細書においては、「回転軸まわり蠕動ポンプ」と呼ぶこともある)および方法を提供するものである。本発明の少なくともいくつかの実施形態において、平滑な流体送出、低駆動トルク電力、および/または従来技術の従来型蠕動ポンプより少ない複雑性を備えた回転軸まわり蠕動ポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態に従って、一般にプラテン表面を含むプラテン組立品と、回転軸を有するカムと、プラテン表面からはなれ間隔をおいて配置されたカム表面とを含む蠕動ポンプデバイスを提供する。さらに、該デバイスは、カム表面と協同的に係合している第1の部分と、プラテン表面に隣接しかつプラテン表面に沿って配置された管に係合し該管を圧縮するように構成された第2の部分とを有する複数のフィンガーを含む。該デバイスは、カムおよびフィンガーを収容するハウジングをさらに含むとよい。
【0011】
さらに本発明に従って、カムが該カムの回転軸の周りで回転されるとき、該フィンガーの第2の部分が該カムの回転軸に実質的に平行である方向に往復運動し、流体で満たされた圧縮可能な管がプラテン表面に沿って配置されるとき、該フィンガーの第2部分の往復運動によって、該管を通る流体のポンプ揚水が引き起こされるように、プラテン組立品、カム、およびフィンガーを動作可能に構成するとよい。
【0012】
なおさらに本発明に従って、いくつかの実施形態において、プラテンは、実質的に平坦な表面に平行に圧縮可能な管の部分を受け入れるように構成されている該平坦な表面を含むとよい。いくつかの実施形態において、プラテン組立品は、圧縮可能な管を所望の位置、またはプラテン表面と該フィンガーの第2の部分との間の配置に維持すなわち保持する1つ以上のチューブ保持部材(単数または複数)(たとえば、クリップ、リブ、ノッチ、磁石、溝、くぼみなど)を含むとよい。たとえば、いくつかの実施形態において、チューブ保持部材(単数または複数)は、プラテン表面から延在し、および該プラテン表面に沿って適切な位置に管を受け入れかつ固定するための特徴、たとえば、きりかき領域を含む、複数の間隔をおいて配置されたリブ部材を含むとよい。
【0013】
なおさらに本発明に従って、いくつかの実施形態において、プラテン組立品は、蝶番式すなわち旋回式にハウジングに連結されたドアを含むとよく、このような構成において、そのようなドアは、該ドアの内側表面上にプラテン表面を含む。そのようなドアを含む実施形態において、該ドアは、管キャリアならびにフィンガーおよび/またはシステムの他の構成部品に容易にアクセスできるようにすることによって、管の設置および除去、およびデバイスの保守が容易になるように構成できる。
【0014】
なおさらに本発明に従って、ポンプのフィンガーは、カム表面に対して概して垂直であり、かつ該カムが回転する回転軸に対して概して平行である長手方向軸上で前後に往復運動できる。概して、カム組立品は、回転軸の周りを回転するので、該カムの高さすなわちローブによって、フィンガーを該カム回転軸に対して実質的に平行な方向に移動できる。より詳細に述べると、カム表面は、カムが移動するにつれてフィンガーの第1の部分が乗る軌道すなわちカムレースを含むと表現し得る。フィンガーをカムレースによって画定された軌道に沿って一列に並べられ得る。カムレースは、カムの周辺領域に配置するのが好ましく、そのようなカムレースは、フィンガーが乗る1つ以上のレース表面(単数または複数)を有する。軸平面は、レース表面(単数または複数)全体にわたり突出可能であってよく、そのような平面はカムが回転する回転軸に対して実質的に直角である。カムレースは、カムが回転軸の周りで回転するとき、フィンガーの第2の部分を該第2の部分の長手方向軸に沿って前後に移動させる一段高い領域すなわちローブを含み、それによって、順に管を圧縮したり圧縮解除したりして管を通る流体のポンプ揚水が引き起こされる。
【0015】
なおさらに本発明に従って、いくつかの実施形態において、フィンガーの第1の端部は、可動部材、たとえば、フィンガーの第1の端部上またはその内部に取り付けたローラーを含むとよい。カム表面が回転経路に沿って移動するにつれて、これらの可動部材(たとえば、ローラー)は、カムレースに接触しおよび該カムレースに沿って転がりまたは別の方法で移動できる。いくつかの実施形態において、これらのローラーは、実質的には球形であるとよい。いくつかの実施形態においても、カム表面は、実質的に凹のレースを含むとよい。そのような凹のレースは、レースの半径がローラーの半径より大きいように構成するとよい。したがって、実質的には、各ローラーは、「点」で、または限られた接触領域でカムレースに接触することになる。他の実施形態において、各ローラーが溝またはくぼみの対向する側面上の対向する位置に接触することになるように、レースは溝またはくぼみを含むとよい。さらに別の実施形態において、レースはテーパーのついた溝を含んでもよく、およびローラーには、レースのテーパーのついた壁上に乗るようにそれに対応したテーパーをつけるとよい。なお他の実施形態において、レースは、一段高い領域すなわちレールを含んでもよく、およびローラーは、そのような一段高い領域すなわちレール上に乗るようにそれに対応した構成されるとよい。なお他の実施形態において、レースは、波状すなわち湾曲したカム表面を含んでもよく、ローラーは、ローラーがそのような波状すなわち湾曲した表面上に乗ることになる位置に保持し得る。
【0016】
なおさらに本発明に従って、いくつかの実施形態において、ポンプは、フィンガーが意図したとおりに管を圧縮した後、カムによってフィンガーが管から積極的に引き離されることになるような方法で、フィンガーをカムに連結することなく、フィンガーを積極的に後退させるためのスプリング(単数または複数)または他の付勢装置を含むとよい。より詳細に述べると、フィンガーは、フィンガーが管の所望の圧縮を引き起こした後、プラテン表面から離れる方向に各フィンガーの第2の端部の後退を引き起こすスプリング(単数または複数)または他の付勢装置と相互作用するとよい。さらにまたはあるいは、フィンガーは、カム表面と動作可能な係合状態でフィンガーを実質的に保持するスプリング(単数または複数)または他の付勢装置と相互作用するとよい。そのようなスプリング(単数または複数)または他の付勢装置は、管の復元力すなわち弾力性に依存してポンプフィンガーの後退を引き起こす、および/または、カムが各フィンガーを押して管を圧縮するだけでなく、各フィンガーを引っ張ってフィンガーを管から遠くへ後退させるようにフィンガーをカムに連結することが必要になる従来技術のデバイスに比べて、フィンガーの動作のより高精度の制御と、ポンプ揚水動作のより高精度の制御が可能になるように構成され得る。
【0017】
なおさらに本発明に従って、いくつかの実施形態において、先端部材は、ポンプフィンガーのいくつかまたはすべての端部に配置するとよい。そのような先端部材は、スプリングによって付勢されまたは他の方法で付勢され、管上に制御された量の圧縮力を与えることができ、それによって、フィンガーは、フィンガーの最大移動点に到達するが、管上の圧縮力が管上に不必要な応力または摩耗を生じさせる程に強くならず、管の内腔が完全に閉塞すなわち「ピンチオフ」されることになる。少なくともいくつかの実施形態において、先端部材は、フィンガーの圧縮表面の幅よりせまいものであり得る。そのような先端部材を、フィンガーが該フィンガーの最大移動点に達したとき管を横断して延在する別個の閉塞区間を設けるように形成するとよい。
【0018】
なおさらに本発明に従って、ポンプデバイスは、流体が管を通ってポンプ揚水されるとき、管のたわみ、膨張、または収縮の度合いすなわち量の示度を与えるストレンゲージ変換器または他の装置をオプションとして含んでもよい。
【0019】
本発明のこれらおよび他の態様および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲において、特に類似する部品を同様の参照番号によって特定した以下の図面と共に考察するとき明白となる。
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
プラテン表面を有するプラテンと、
該プラテン表面に隣接して配置されたチューブと、
回転軸のまわりを回転するカムであって、該プラテン表面からはなれ間隔をおいて配置されたカム表面を有する、カムと、
複数のフィンガーであって、各フィンガーが該カムの該回転軸に対して実質的に平行である長手方向軸を有し、該フィンガーは該カム表面に係合し、該カムが該回転軸のまわりを回転するにつれて、該フィンガーは軸方向に前後に移動し、順に該チューブを該プラテン表面に対して圧縮し、それによって、該チューブを通る流体の蠕動運動を引き起こす、複数のフィンガーと
を含む、蠕動ポンプデバイス。
(項目2)
上記プラテン表面が実質的に平坦である、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
上記カム表面が複数のローブを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
上記カムの各ローブが上記カム表面内に起伏を含み、そのような起伏のそれぞれがピークを有し、各起伏の該ピークが上記プラテン表面の他の部分より該プラテン表面により近い、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
上記プラテン表面に隣接する上記管を保持するチューブホルダーをさらに含む、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
上記チューブホルダーは、複数の該チューブ受け入れノッチを含み、該チューブ受け入れノッチ内に上記チューブが受け入れられる、項目5に記載のデバイス。
(項目7)
上記プラテン表面は実質的に平坦であり、および上記チューブホルダーは、上記チューブを該実質的に平坦なプラテン表面に隣接して通常の形状で保持する、項目5に記載のデバイス。
(項目8)
開閉し得るドアをさらに含む、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
上記プラテン表面が上記ドアの片面上に位置する、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
上記管を上記プラテン表面に隣接して保持するチューブホルダーをさらに含む、項目9に記載のデバイス。
(項目11)
上記チューブホルダーは、複数の上記チューブ受け入れノッチを含み、該チューブ受け入れノッチ内に上記チューブが受け入れられる、項目10に記載のデバイス。
(項目12)
上記プラテン表面は実質的に平坦であり、上記チューブホルダーは、上記チューブを該実質的に平坦なプラテン表面に隣接して通常の形状で保持する、項目11に記載のデバイス。
(項目13)
上記ドアは上記チューブへのアクセスを確保するために開放可能である、項目8に記載のデバイス。
(項目14)
上記チューブは取り外され、別のチューブに置き換えられることが可能である、項目13に記載のデバイス。
(項目15)
上記チューブを含むチューブカセットをさらに含む、項目1に記載のデバイス。
(項目16)
上記チューブカセットは、取り外され、別のチューブカセットに置き換えられることが可能である、項目15に記載のデバイス。
(項目17)
上記チューブカセットは、上記チューブを任意の構成で保持する実質的に剛な構造物を含む、項目15に記載のデバイス。
(項目18)
上記カセット構造は、上記チューブを実質的に精密な構成で保持する、項目17に記載のデバイス。
(項目19)
上記チューブはカセット上または該カット内に取り付けられ、上記ドアはアクセスを確保するために開放可能であることにより、該カセット上または該カセット内に該チューブを有する該カセットの取り出し、該カセットから、別のカセット上または該別のカセット内に別のチューブを有する該別のカセットへの置き換えを可能にする、項目13に記載のデバイス。
(項目20)
少なくとも1つの位置合い表面が上記ドア内に形成され、該位置合い表面は、該ドアが閉じられたとき、上記カセットと位置合わせされるように構成されており、それによって、該カセットは所望の位置合いに保持される、項目19に記載のデバイス。
(項目21)
上記プラテン表面が上記ドアの内側表面上にあり、かつ上記少なくとも1つの凹みが該プラテン表面内に形成され、それによって、上記チューブは、該ドアが閉じられたとき、該プラテン表面に実質的に並置される、項目20に記載のデバイス。
(項目22)
上記カセットは、複数の該支柱部材を含み、該支柱部材を通って上記チューブが延在し、複数の支柱部材受け入れ凹みが上記プラテン表面内に受け入れられ、それによって、上記ドアが閉じられたとき、該支柱部材は、該支柱部材受け入れ凹みに受け入れられ、該チューブは該プラテン表面に実質的に並置されるようになる、項目21に記載のデバイス。
(項目23)
上記フィンガーのうちの少なくとも1つは、該フィンガーを上記プラテン表面から遠くへ後退させるための装置に連結される、項目1に記載のデバイス。
(項目24)
上記フィンガーを後退させるための上記装置は、該フィンガーを上記プラテン表面から離すように働きかけるスプリングを含む、項目23に記載のデバイス。
(項目25)
上記フィンガーの実質的にすべては、該すべてのフィンガーを上記プラテン表面からはなれて後退させるための装置に連結される、項目23に記載のデバイス。
(項目26)
上記フィンガーのうちの少なくとも1つは、該フィンガーを後退させるための装置に連結され、ポンプ揚水サイクルの一部分の間、上記カムが該フィンガーを上記プラテン表面から引き離すことになると思われる方法では該カムに連結されない、項目23に記載のデバイス。
(項目27)
上記フィンガーを後退させるための上記装置は、上記カム表面と接触した状態に該フィンガーを実質的に保持する、項目23に記載のデバイス。
(項目28)
上記フィンガーを後退させるための上記装置は、スプリングを含む、項目23に記載のデバイス。
(項目29)
上記フィンガーはフィンガー組立品を含み、各フィンガー組立品は、i)一端に第1部分および他端に第2部分を有する本体と、ii)該本体の該第1部分上に配置されたカム接触表面と、iii)該本体の該第2部分上に配置されたチューブ圧縮表面とを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目30)
上記フィンガー組立品は、上記ポンプ揚水サイクルの一部分の間、上記チューブ圧縮部材を後退させるためのスプリングをさらに含む、項目29に記載のデバイス。
(項目31)
上記カム表面は、上記カムの周縁領域に位置する、項目1に記載のデバイス。
(項目32)
上記カム表面は、実質的に平坦、凹、または凸のレース表面を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目33)
上記レースは、実質的に精密な壁を有する溝を含む、項目32に記載のデバイス。
(項目34)
上記レースは、実質的にV字形状の壁を有する溝を含む、項目32に記載のデバイス。
(項目35)
上記レースは、実質的にテーパーのついた壁を有する溝を含む、項目32に記載のデバイス。
(項目36)
上記レースは、上記カム上に一段高い領域を含む、項目32に記載のデバイス。
(項目37)
上記フィンガーは、上記レース上または該レース内に乗るローラーを有する、項目32に記載のデバイス。
(項目38)
上記フィンガーは、上記実質的に精密な壁に接して乗る実質的に球形のローラーを有する、項目33に記載のデバイス。
(項目39)
上記フィンガーは、上記実質的にV字形状の壁の両側面上の位置に接して乗るローラーを有する、項目34に記載のデバイス。
(項目40)
上記フィンガーは、上記実質的にテーパーのついた壁に接して乗るローラーを有する、項目35に記載のデバイス。
(項目41)
上記フィンガーは、上記一段高い領域上に乗るように構成されたローラーを有する、項目36に記載のデバイス。
(項目42)
軸平面は上記レース全体にわたり突出可能であり、該軸平面は、上記カムが回転する上記回転軸に対して実質的に垂直である、項目32に記載のデバイス。
(項目43)
上記フィンガーのうちの少なくとも1つの各々は、上記ポンプ揚水サイクルの一部分の間、上記チューブを十分に圧縮し、該チューブの内腔を実質的に閉塞させる閉塞部材を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目44)
上記フィンガーは、第1の幅のチューブ圧縮表面を有し、および上記チューブ閉塞部材は、該チューブ圧縮表面を越えて突出し、該チューブ閉塞部材は、該第1の幅より狭い第2の幅を有する、項目43に記載のデバイス。
(項目45)
各フィンガーは、上記閉塞部材が上記プラテン表面に達するほどの近さに該閉塞部材がなる最大移動点を有し、各閉塞部材は、該フィンガーが該フィンガーの最大移動点に、または最大移動点から所定の距離以内にあるとき、上記チューブに、制御された量の圧縮力を働かすようにスプリングで付勢される、項目43に記載のデバイス。
(項目46)
横断スロットが上記ポンプフィンガー内に形成され、上記閉塞部材が該横断スロット内に摺動可能に配置される、項目43に記載のデバイス。
(項目47)
上記ポンプフィンガーは、上記閉塞部材を延伸位置まで推進力として作用するスプリングをさらに含む、項目46に記載のデバイス。
(項目48)
上記デバイスの動作を制御するためのコントローラをさらに含む、項目1に記載のデバイス。
(項目49)
上記チューブカセットが上記ポンプデバイスによって識別可能である識別特徴を内蔵する、項目15に記載のデバイス。
(項目50)
上記チューブが上記チューブカセット内または該チューブカセット上に取り付けられ、該チューブカセットが上記コントローラによって識別可能である識別特徴を内蔵し、該コントローラが、許容可能な識別特徴を内蔵していないカセットを備えた上記デバイスの動作を阻止するようにプログラムされる、項目489に記載のデバイス。
(項目51)
蠕動ポンプと組み合わせて使用できる管カセットデバイスであって、該管カセットデバイスは、
実質的に剛な構造物と、
該構造物内または該構造物に隣接してチューブを受け入れかつ保持するような大きさに作られた複数のチューブ受け入れ部材と、
該チューブ受け入れ部材によって受け入れられかつ保持されるチューブと、
該管カセットが該ポンプ揚水デバイス内で所望の位置に合わせて保持されるように、該ポンプ揚水デバイスの少なくとも1つの対応する表面と位置合わせする少なくとも1つの位置合い表面と
を含む、管カセットデバイス。
(項目52)
上記実質的に剛な構造物はフレームを含み、上記チューブ受け入れ部材は該フレームを横断して延在する複数のチューブ保持部材を含む、項目51に記載の管カセットデバイス。
(項目53)
上記チューブに隣接して配置された上記プラテンをさらに含み、該チューブは該プラテンに対して圧縮され得る、項目51に記載の管カセットデバイス。
(項目54)
上記プラテンは上記フレームに取り付けられる、項目53に記載の管カセットデバイス。
(項目55)
上記管カセットデバイスは、上記ポンプ揚水デバイスによって識別可能である識別特徴を内蔵する、項目51に記載の管カセットデバイス。
(項目56)
上記チューブ保持部材は、上記フレームを越えて突出し、上記ポンプ揚水デバイス内の対応する表面に対して位置合わせし、該ポンプ揚水デバイス内で上記管カセットデバイスの所望の位置合わせを確保する、項目52に記載の管カセットデバイス。
(項目57)
フィンガータイプ蠕動ポンプ内で使用するためのポンプフィンガー/カム組立品であって、複数のフィンガーが、ポンプチューブをプラテンに対して順に圧縮し圧縮解除し、それによって、該ポンプチューブを通る流体の蠕動運動を引き起こし、該ポンプフィンガー/カム組立品は、
形成された凹のレースを有するカムであって、該カムは、カム回転軸のまわりを回転する、カムと、
複数のフィンガーであって、各フィンガーは一端にチューブ圧縮表面を、他端にローラーを有し、該ローラーはローラー回転軸のまわりを回転可能である、複数のフィンガーと
を含み、
該ローラーは、該カムの該レース内に回転可能に乗り、該ローラー回転軸は該カム回転軸に対して実質的に垂直である、組立品。
(項目58)
上記レースが実質的に精密な壁を有し、上記ローラーが実質的に球形である、項目57に記載の組立品。
(項目59)
上記レースが実質的にV字形状の壁を有し、上記ローラーが該実質的にV字形状の壁の両側面に接触する、項目57に記載の組立品。
(項目60)
上記レースが実質的にテーパーのついた壁を有し、上記ローラーが該実質的にテーパーのついた壁に接触する、項目57に記載の組立品。
(項目61)
上記レースが一段高い表面を有し、上記ローラーが該一段高い表面上に乗るように構成される、項目57に記載の組立品。
(項目62)
上記レースが一段高い表面を有し、上記ローラーが該一段高い表面上に乗るように構成される、項目57に記載の組立品。
(項目63)
上記カム表面が複数のローブを含む、項目57に記載の組立品。
(項目64)
上記カムの各ローブが上記カム表面内に起伏を含み、そのような起伏のそれぞれがピークを有し、各起伏の該ピークが上記プラテン表面の他の部分より該プラテン表面により近い、項目63に記載の組立品。
(項目65)
上記フィンガーが上記チューブを圧縮した後、該フィンガーの該チューブ圧縮表面を該チューブから遠くへ後退させるための後退装置をさらに含む、項目57に記載の組立品。
(項目66)
上記後退装置がスプリングを含む、項目65に記載の組立品。
(項目67)
上記後退装置は上記フィンガーを上記カムの方向に付勢する、項目64に記載の組立品。
(項目68)
上記ローラーが上記カムの回転のすべての点で上記レースと接触したままであるように、上記後退装置が上記フィンガーを付勢する、項目67に記載の組立品。
(項目69)
上記カム表面が上記カムの周縁領域上に配置される、項目57に記載の組立品。
(項目70)
上記フィンガーは、上記チューブ圧縮表面を越えて突出するチューブ閉塞部材を含み、上記閉塞部材は、上記ポンプ揚水サイクルの一部分の間、上記チューブの内腔を実質的に閉塞するように構成される、項目57に記載の組立品。
(項目71)
上記チューブ接触表面が第1の幅を有し、および上記閉塞部材が該第1幅より狭い第2の幅を有する、項目70に記載の組立品。
(項目72)
各フィンガーは、上記チューブ閉塞部材が上記プラテンに達するほどに近い最大移動点を有し、各チューブ閉塞部材は、該フィンガーが該フィンガーの最大移動点または該フィンガーの最大移動点の所定の距離以内にあるとき、上記チューブに、制御された量の圧縮力を働かすように、スプリングで付勢される、項目70に記載の組立品。
(項目73)
横断スロットが上記フィンガー内に形成され、上記閉塞部材が該横断スロット内に摺動可能に配置される、項目72に記載の組立品。
(項目74)
上記チューブ閉塞部材を延伸位置まで促すスプリングをさらに含む、項目73に記載の組立品。
(項目75)
流体をポンプ揚水する方法であって、該方法は、
A)i)プラテン表面を有するプラテンと、ii)該プラテン表面に隣接して配置されたチューブと、iii)回転軸のまわりを回転するカムであって、該プラテン表面からはなれ間隔をおいて配置されたカム表面を有する、カムと、iv)該カムの該回転軸に対して実質的に平行である長手方向軸上を前後に移動する複数のフィンガーであって、該回転軸のまわりの該カムの回転が、該フィンガーが該長手方向軸上を前後に移動するように、該フィンガーが該カム表面と協力的に係合し、それによって、該チューブを該プラテンに対して順に圧縮し、結果的に該チューブを通る流体の蠕動運動を引き起こす、複数のフィンガーとを含む、蠕動ポンプデバイスを準備するステップと、
B)該チューブの一端を流体源に取り付けするステップと、
C)該フィンガーが該プラテン表面に対して該チューブを順に圧縮するように、該カムを回転させ、それによって、該チューブを通る該流体の蠕動運動が引き起こすステップと
を含む、方法。
(項目76)
上記チューブの一端が、流体の治療または診断用の物質の供給源に取り付けられ、該チューブの他端が人間または動物の被験者の身体に取り付けられ、それによって、ステップCの実行が、該流体の治療または診断用の物質が該人間または動物の被験者の身体の中に注入されるようにする、項目75に記載の方法。
(項目77)
上記ポンプデバイスが開閉可能なドアを有することと、上記方法がステップCの実行の前に該ドアを閉じるステップをさらに含む、項目76に記載の方法。
(項目78)
上記プラテン表面が上記ドアの片側上に配置され、該ドアを閉じる上記ステップによって、上記チューブが該プラテン表面に隣接して位置付けられる、項目77に記載の方法。
(項目79)
上記チューブが、着脱可能および交換可能である管カセット上に取り付けられ、上記方法が、該管カセットを取り外しおよび交換するステップをさらに含む、項目78に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、一部を切り取ったハウジングを備えた本発明の回転軸まわり蠕動ポンプデバイスの実施形態の斜視図であり、該デバイスは、ハウジングに設置したカセット管キャリアと開放した蝶番付きプラテンドアとを含む。
【図2】図2は、ハウジングが一部切り取られ、およびプラテンドアが閉じられたまたは動作位置にある(理解しやすいように掛け金および止め具組立品を省略)状態の、図1に示したデバイスの側面図である。
【図3】図3は、システムのさまざまな構成部品の位置合わせを示す、図1に示したポンプデバイスの分解組立斜視図である。
【図4】図4は、本発明の態様によるフィンガーの部分切取斜視図であり、該フィンガーは、可動バイアス閉塞バルブ部材を含む。
【図4A】図4Aは、本発明のポンプ揚水デバイスのカム/フィンガー組立品の一実施形態略図であり、このような構成において、フィンガーは、実質的に精密なカムレース表面に乗る実質的に球形のローラー表面を有する。
【図4B】図4Bは、本発明のポンプ揚水デバイスのカム/フィンガー組立品の別の実施形態略図であり、このような構成において、フィンガーは、実質的にV字形状のカムレースに乗る実質的に球形のローラー表面を有する。
【図4C】図4Cは、本発明のポンプ揚水デバイスのカム/フィンガー組立品の別の実施形態略図であり、このような構成において、フィンガーは、実質的にテーパーが付いたカムレースに乗る実質的にテーパーが付いたローラー表面を有する。
【図4D】図4Dは、本発明のポンプ揚水デバイスのカム/フィンガー組立品の別の実施形態略図であり、このような構成において、フィンガーは、実質的に一段高いカムレース表面に乗る、ローラー表面に概してV字形状のくぼみを有するローラーを有する。
【図4E】図4Eは、本発明のポンプ揚水デバイスのカム/フィンガー組立品の別の実施形態略図であり、このような構成において、フィンガーは、断面を見ると実質的に平坦なカムレース表面に乗るローラー表面を有する。
【図5】図5は、本発明のデバイスに有用な代替フィンガーの斜視図である。
【図6A】図6Aは、後退位置にあるフィンガーを示す該デバイスの一部分の部分切取断面図である。
【図6B】図6Bは、実質的には図6Aと同一であるが圧縮位置にあるフィンガーを示す該デバイスの一部分の部分切取断面図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態の斜視図である。
【図8】図8は、本発明のポンプ揚水デバイスのいっそうさらなる実施形態の斜視図である。
【図9A】図9Aは、管膨張の度合いを測定するオプションのストレンゲージビームを示す図1のポンプ揚水デバイスの一部分の断面図であり、このような構成において、ストレンゲージに隣接する管は実質上膨張している。
【図9B】図9Bは、管膨張の度合いを測定するオプションのストレンゲージビームを示す図1のポンプ揚水デバイスの一部分の断面図であり、このような構成において、ストレンゲージに隣接する管は実質上膨張していない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細な記載および添付図面は、本発明のいくつかの、しかし必ずしもすべてではない実施形態すなわち具体例を説明するためのものである。この詳細なに記載の内容および添付図面は、必ずしもすべてを包含するものではなく、および決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
図1および2は、本発明の回転軸まわり蠕動ポンプデバイス10の一実施形態を示す。図1において、デバイス10を、デバイス10の内部構成をよりはっきりと理解するために「開放」構成で示す。図2は、「閉じた」すなわち動作構成で同じデバイス10の端面図を示す。
【0023】
図1および2に示すデバイス10は、一般にハウジング12に蝶番で係合されたプラテンドア14を備えたハウジングを含む。プラテンドア14は、プラテン表面22を含むプラテン組立品20の一部を形成する。プラテン表面22は、実質的に平面すなわち実質的に平坦なプラテン表面22を含むことが望ましい。このプラテン表面22は、プラテンドア14の内側表面23の少なくとも周辺領域を含むか、または該領域に配置され得る。このデバイス10は、回転軸ARのまわりを回転するカム30をさらに含み、およびプラテンドア14が図2に示すドアのように閉じた位置にあるとき、プラテン表面22から遠くへ間隔をおいて配置されたカム表面32を有する。図1の外観から分かるように、カム30は、矢印36で示すような方向に回転軸ARのまわりを回転できる。しかし、明らかなように、矢印36の反対方向にカム30が回転することも可能である。
【0024】
図1および2に示すデバイス10は、ハウジング12内に搭載したフィンガー組立品45を形成できる複数のフィンガー44をさらに含む。フィンガー44を、実質的に正確なアレイの状態で、隣接し実質的に互いに対して平行(たとえば、約10度以内の平行)に位置合わせする。フィンガー44を、各フィンガー44の長手方向軸LAが実質的にカム30の回転軸ARに平行になるように位置合わせする。
【0025】
ここで図2を詳細に参照すると、各フィンガー44は、第1部分46および第2部分48を含み得る。デバイス10が使用中であるとき、第1部分46は、カム表面32と協力的な係合状態にあり、および第2部分48は、プラテン表面22に隣接する。好適な材料(たとえば、ポリ塩化ビニル(PVC)、珪素、ラテックス、ウレタン樹脂など)で形成された柔軟なチューブなどの管部材50を、フィンガー44の第2部分48とプラテン表面22との間に配置する。
【0026】
カム30は、モーター駆動歯車機構56(図6Aおよび6Bに示す)などの好適な手段によって回転軸ARのまわりを回転する。この例においては、デバイス10が閉鎖された状態すなわち稼働配置にあり、およびカム30が回転軸ARのまわりを回転するとき、フィンガー44の第2部分48が該フィンガーの長手方向軸LAの方向に前後往復運動することになり、換言すれば、各フィンガー44がカム30の回転軸ARに対して実質的に平行(たとえば、約10度以内の平行)である長手方向軸LA上を前後往復運動するように該デバイスを構成する。
【0027】
図2において破線で示したとおり、カム表面32は、ローブLなどの、カム表面32のさまざまな高さを画定する外形を有する領域を含むとよい。カム表面32の外形によって、該カム表面32がフィンガー44の第1端部の下を移動するにつれて、フィンガー44の波状すなわち蠕動運動が引き起こされる。当然のことであるが、少なくともいくつかの実施形態において、カムローブLの勾配変化の割合が大きいほど、より動力がポンプ動作に必要になる。本発明のポンプには、該ポンプフィンガーの長手方向軸がカム回転軸に対して実質的に平行である該ポンプフィンガーを採用しているので、カムの周縁は、ほとんどポンプハウジングの限界近くまで延在できる。その結果、カムの周縁近くに位置するカムレースは、機構容器のサイズを増大させることなく、最大カムレース長を実現する。カムレース長がカムローブの上昇および下降に比べて実質的に長い場合、勾配変化の割合が小さいカムローブが実現し、その結果、本発明のポンプは、より小さい消費電力によって同等以上のポンプ揚水効率を実証できる。電池で駆動する実施形態において、この改善されたポンプ揚水効率によって、結果的に電池寿命をより長くできることになる。さらに、本発明のポンプには、フィンガー44の長手方向軸LAに対して実質的に平行である回転軸ARのまわりを回転するカムを使用できるので、本発明のそのようなポンプは、先行技術による同等のポンプ揚水能力の蠕動ポンプより小型にできる。図1および3に示すとおり、管部材50を、チューブカセット60上または内にオプションとして配置するとよく、およびそのようなカセット60を、ハウジング12内に配置するとよい。チューブカセット60は、ハウジング12内に設置したとき、管部材50を実質的に固定された位置すなわち形状に保持するあらゆる好適なタイプの構造物(単数または複数)または装置(たとえば、フレーム、格子、組立台、一連のクリップ、一連のリブなど)であってよい。カセット60は、管部材50がノッチ65内に受け入れられかつ保持されるように、形成されたノッチ65を備えたリブ63などの複数の横断部材を有するフレーム61を含むとよい。当然のことであるが、この例に示す特定のカセット60の代わりに、管部材50を該デバイス内に任意の位置または形状で、接着剤、クリップ、クランプ、ノッチ、フックなどといったさまざまな別の材料/装置を使って保持または他の方法で固定してもよい。安定化部材、たとえば、ウェブセクション64をカセット60に強度および安定性を与えるためにカセット上に含むとよい。いくつかの実施形態において、リブ63は、隣接するフィンガー44の第2部分48の間に収まるように所定のサイズに作りおよび配置するとよい。この状態を、たとえば、図2に示す。いくつかの実施形態において、リブ63は、管キャリア60をハウジング前表面62に設置する場合、カセット管キャリア60の位置合わせを容易にするために所定のサイズに作りおよび配置するとよい。この配置は、リブ63を該デバイスの特定のくぼみ、凹み、開口部、または表面によって設置、係合、または位置合わせし、それによって、リブ63およびしたがって管部材50がフィンガー44に対して所望の形状および/または所望の位置(たとえば、所望の位置合わせ)になるように、該リブを設計することによって達成するとよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、管は、カッセット60上または内に事前に取り付けてもよく、それによって、ポンプデバイス10内に管部材50を手作業で対処および取り付けする必要がなくなる。さらにまたはあるいは、管部材50が貫通するノッチ65の形状または別の切取り領域は、管部材50が各フィンガー44によって圧縮された後、該管部材が完全に、またはほぼ完全に膨張された非圧縮形状に回復するのを支援すなわち容易にするように、一般に三角形状のものであるか、または別の形状であってもよい。そのようなノッチ65または他の好適なチューブを拘束する、すなわちチューブに接触する構造物は、フィンガー44が管部材50を圧縮する方向に対して一般に垂直である方向に膨張する管部材50に対して部分的な圧縮すなわち抵抗を備え、それによって、管部材50への圧縮作用に逆らい、フィンガー44が管部材50から遠くへ後退するにつれて、管部材50の急速な再膨張を容易にする。
【0029】
さらにまたはあるいは、いくつかの実施形態において、カセット60は、ポンプデバイス10の感知(たとえば、検出)部品(たとえば、コンピュータ、コントローラ、または他のプロセッサと通信状態にあるセンサー)によって、特定のカセット60またはカセット60の特定のサイズ/タイプを識別できる、またはカセット60の存在または不存在を識別できる、およびオプションとして、カセット60が不存在である、不正に配置されている、または不正確なサイズ/タイプなどである場合、ポンプデバイス10を無能にできる、または警報(たとえば、音響式警報、光など)または他の信号を発することができるタグ、バーコード、センサー、スイッチ、トリガ機構、突起部識別(単数または複数)、機械可読部材(単数または複数)、または他の装置/材料を含むとよい。
【0030】
図1に示すとおり、ハウジング12は、必要に応じて分解および組立を容易にするために、複数のボルトによって共に保持される背面支持プレート67を含むとよい。ハウジング12は、ドア14をハウジング12に連結する蝶番ピン66のまわりを旋回する蝶番プラテンドア14を支持する。閉鎖位置にあるとき、ドア14をカバーストップ68に接して静止させ、および掛け金72をドア14の上に引っかけてドア14を閉鎖位置に固定する。
【0031】
図2に示すように閉鎖位置において、ドア14は、実質的に平坦すなわち実質的に平面のプラテン表面を備え、カセット管キャリア60内に保持された弾力性のある管50を圧縮する。ドア14は、掛け金72を持ち上げることによって開放および解放できる。閉鎖位置において掛け金をかけない場合、ドア14は、図1に示すとおり完全開放位置まで自由に旋回できる。当然のことであるが、別の機構もプラテン組立品をカムおよび複数のフィンガーに機能的方法で効果的かつ便利に固定することが可能であり、およびそのような機構は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0032】
図1および図2に示すとおり、ハウジング12は、実質的に複数のフィンガー44を封じ込めるすなわち包含する。フィンガー44のそれぞれは、カム30の回転に対して軸線方向に配向される。いくつかの実施形態において、フィンガー44を、たとえば、ハウジング12の周縁近くに位置する該ハウジング内壁によって画定される個別のハウジング空洞内に配置する。たとえば、図3の分解組立図に見られるとおり、個別ハウジング空洞は、カム回転軸に対して軸方向に配向されたフィンガーガイド表面86を有する複数の中空空洞すなわちチャンバーを含むとよい。本発明の別の実施形態において、2つ以上のフィンガー44、たとえば、フィンガー44すべてをハウジング12内に実質的に封じ込める単一のハウジング空洞を設けてもよい。
【0033】
フィンガー44の第1部分46は、可動部材、たとえば、カム30の表面上に乗るローラー80を含むとよい。いくつかの実施形態においては、溝、くぼみ、軌道などといったレース32をカム30内に形成し、ローラー80がそのようなレース32内に乗る。表示の例において、ローラーを、ローラー80が回転する軸82によってフィンガー44に固定する。あるいは、ローラー80が実質的に球形である実施形態のように、ローラーを、ボールペンのボールと同じ方法で全方向に自由に転がるように、軸線上に中心を置くことなくフィンガー44の端部上のくぼみ内に配置しかつ保持するとよい。
【0034】
図1〜3および7〜8に示す実施形態において、フィンガー44を、互いに隣接してアレイ状に配列し、およびカムレース32の上にフィンガー44の位置付けを保持する側面ガイド表面86を備えて構成する。本発明のいくつかの実施形態において、アレイ内の最初および最後のポンプフィンガー44を、連続するカムローブのピークと概して位置合わせするとよい。フィンガー44の数は、当業者には公知である所望の用途、所望のポンプ精密度、および/または別の考慮すべき事項によって、たとえば、約3フィンガーから約50フィンガー以上まで変更してもよい。
【0035】
各フィンガー44の第2部分48は、ハウジング前面62を少なくとも部分的に越えて延在し、およびカセット管キャリア60内に保持された管50に接触するヘッド部分84を含む。
【0036】
本発明のさまざまな態様をよりはっきりと理解するために、カム30から軸方向に引き離した1つのフィンガー44を伴った分解組立斜視図内のデバイス10とさまざまなより効果的な構成の特徴を有する個別フィンガー44の切取斜視図とをそれぞれ示す図3および4を参照する。
【0037】
本発明の一態様によるポンプフィンガー44は、フィンガー44が所望の量以上前進したとき(たとえば、フィンガー44が該フィンガーの最大前進移動の特定距離内にあるとき)、チューブ50の内腔を完全に閉塞すなわちピンチオフするように、チューブ50を完全に圧縮する、先頭の縁端部すなわち先端部材などのチューブ閉塞器表面88を含むとよい。たとえば、例示の実施形態において、フィンガー44は、横スロット90を通ってスプリングバイアスのかかった閉塞部材92が、フィンガー44のヘッド部分84の圧縮表面94を若干越えて延在する、該スロットを含む。閉塞部材92を、ヘッド部分82内の実質的に中央に配置して示したが、別の位置も好適であり得る。たとえば、いくつかの実施形態において、閉塞部材92を中心から外れた、または圧縮表面94の近辺、または周辺領域または縁端に配置してもよい。閉塞部材スプリング96は、閉塞部材92を伸張位置の方へバイアスをかけるように機能する。閉塞部材92の伸張は、開口部104内にまたは該開口部と関連して配置した閉塞部材ガイドピン102によって限定するとよい。図に示した例において、各フィンガー44上で圧縮表面94の両部分を閉塞部材92の両側に配置するように、圧縮表面94の両端部の間の中間部に閉塞部材92を配置する。しかし、言うまでもなく、いくつかの実施形態において、閉塞部材92を圧縮表面94の両端部間の中間部以外の位置に配置してもよい。
【0038】
図5を参照すると、別のフィンガー244が示されている。フィンガー244が、可動すなわちスプリングバイアスのかかった閉塞部材92を有しないが、その代わりに突起部、たとえば、圧縮表面294の遠位に配置した表面108を備えた稜線部分106を有することを除いて、フィンガー244は、実質的にフィンガー44と同一である。この実施形態において、稜線部分106は、フィンガー244のヘッド284に組み込まれている。可動閉塞部材92と同じように、固定部材108を、例示のような実質的に圧縮表面294の中央部よりもむしろその周辺部近辺に配置してもよい。稜線部分106は、デバイス10の動作中、ヘッド284が管を押し付けるにつれて、閉塞の集中領域を形成するように機能する。
【0039】
今から再び図4を参照すると、フィンガー44は、フィンガー44の第2部分48をプラテン表面22から離れる方向へバイアスをかけるために後退機構112をさらに含むとよい。後退機構112は、ポンプフィンガー44内に取り付けかつ位置決めピン116によって所定位置に保持した後退スプリング114を含むとよい。フィンガー44をデバイスハウジング12の中に設置するとき、図3の例に示したとおり開口部122から外方に延在する後退スプリング114のかぎ形終端部118をハウジング開口部126に係合させる。
【0040】
ポンプデバイス10は、以下の方法で動作する。図2を参照すると、ポンプ揚水動作中カム30の回転方向によって、流体は左から右へ流される。ポンプフィンガー44によって、該ポンプフィンガーのローラー80は、カム表面32と協同的に係合される。カムローブLの位置によって、第1フィンガーおよび最終フィンガー、44aおよび44bの間のフィンガー44が、カム表面32の外形によって制御されるとおり次第に後退し、第1フィンガーおよび最終フィンガーのそれぞれは完全に伸張する。第1および最終ポンプフィンガー44aおよび44bの閉塞バルブ部材92aおよび92bは、管50のセクションを閉塞するように動作し、第1ポンプフィンガー44aと最終ポンプフィンガー44bとの間に取り込まれた流体量を作り出す。
【0041】
カム30が回転するにつれて、左のカムローブが右へ移動し、左第2ポンプフィンガーがさらに伸張され、該左第2フィンガー上方の管を圧縮しかつ閉塞させる一方、同時に、最終フィンガーは後退しかつ該最終フィンガー上方の管の閉塞を解放する。チューブ50内の流体は、直ちに最終ポンプフィンガーを通り越して右方へ流れ始める。さらに、管50の入口側からの流体が、左第2ポンプフィンガーの後方(左から)の管セクションを満たし始める。左カムローブが右方へ移動し続けるにつれて、次ぎのポンプ揚水フィンガーが次第に該フィンガー上方の管を圧縮しかつ閉塞させ続け、こうして管内の流体は右方へ流されかつ左方から満たされる。カムが複数のカムローブを有するので、左ローブが最後には最終ポンプフィンガー(最右方)の下に到達し、別のカムローブが第1ポンプフィンガーの下に到達したときに、第1と最終のポンプフィンガー44との間に新しい流体量を取り込む。
【0042】
フィンガー44のローラー80または他の可動部材は、溝または凹みなどのレースを含むカム表面32を通って、転がるか、回転して乗るか、または別の方法で乗るかまたは追尾し得る。ローラー80または他の可動部材の形状は、ローラー44の安定した追尾および最小摩耗を可能にするために、カム表面レース32の形状に対応するとよい。図4A〜4Eは、この概念のいくつかの限定されない例を示す。図4Aにおいて、カム30aは実質的に精密であるレース表面32aを有し、フィンガー44のローラー80aは、例示のとおり、ローラーが該精密なレース表面32aにぴったりはまりおよび安定して転がるように実質的に球形およびまたは対応するサイズである。図4Bにおいて、カム30bは、実質的にV字形状断面であるレース表面32bを有し、フィンガー44のローラー80bは、例示のとおり、ローラーが実質的にV字形状レース表面32bの対向する両側壁に接触して該レース内にぴったりはまりおよび安定して転がるように実質的に球形形状を有しおよび対応するサイズのものである。図4Cにおいて、カム30cは、実質的に片側にテーパーがかけられたレース表面32cを有し、およびフィンガー44のローラー80cは、例示のとおり、ローラーが実質的にテーパーがかけられたレース32c内にぴったりはまりおよび安定して転がるように対応するテーパーおよびサイズを有する。図4Dにおいて、カム30dは、細長い一段高い領域(たとえば、レール、ハンプ、またはビーズ)を含むレース表面32dを有し、ローラー80dは、例示のとおり、ローラーがレース表面32d内にぴったりはまりおよび安定して転がるように該ローラー表面上に形成された対応する溝または凹みを有する。図4Eにおいて、カム30eは、実質的に平坦であるレース表面32eを有し、フィンガーは、例示のとおり、該フィンガーがレース表面32e上に乗るように所定位置に保持される。
【0043】
ポンプデバイス10の個々のフィンガー44の動作は、図6Aおよび6Bを参照することによってよりはっきりと理解できる。図6Aは、カム30の回転軸(図6A内で一点鎖線ARによって表わした回転軸)に実質的に平行に位置合わせされた、デバイス10のフィンガー44を示す。ハウジング12の壁部分12aおよび12bは、フィンガー44のローラー50が凹面カムレースの内部にぴったりはまるように、カム表面32の上方でフィンガー44の位置決めを保持する。フィンガー44の後退スプリング114は、ハウジング12の開口部126を通って延在し、および開口部表面126aに寄りかかって静止させるとよい。例示のとおり、閉塞バルブ部材92の遠位端は、流体で満たされている管50に接触した状態であるが、該管の実質的な圧縮はまったく引き起こされていない。管50は、リブ63によってプラテン表面22を背に所定位置に保持されている。
【0044】
図6Bは、カムローブLがローラー80の真下を通るにつれてフィンガー44がプラテン表面22の方へ往復運動することによって閉塞バルブ部材92が管50をプラテン表面22に対して圧縮し、および該管を通る流体の流れを閉塞させるようなフィンガーの動作を示す。閉塞バルブスプリング96は、開口部104を通るガイドピン102によって制御されながら閉塞バルブ部材92をこの伸張位置まで付勢するように機能する。
【0045】
図6Aおよび6Bに示すとおり、カム表面32のレースは、ローラー50が自由に該レース内にぴったりはまるように所定の大きさに作られた凹面状に湾曲した横断面によって画定される。カムレースの断面は、ローラー50が非常に小さい接触領域、理論的には、接触点においてカム表面32に接触するために、ローラー50の半径より若干大きい半径を有することが望ましい。別の実施形態において、カム表面は、各ローラーが2つの実質的に対向する「点」でカム表面に接触するように、実質的にVノッチ断面レースを含む。あるいは、テーパーがかかった断面レースなどの他の構成を形成してもよい。
【0046】
図7は、一体型プラテンおよびカセット組立品216を備えた本発明の別の蠕動ポンプデバイス210を示す。このデバイス210は、該デバイス210が蝶番付きドア、ラッチ、またはストップをまったく含まないという主要な違いを備えた、デバイス10と実質的に同じものである。
【0047】
図8は、蝶番付きドア328の中に組み込んだカセット管キャリア構造物318を備えた本発明の回転軸まわり蠕動ポンプデバイス310の別の実施形態を示す。たとえば、この実施形態において、平面プラテン表面330およびリブまたはリブ部材332を例示のようにドア328の中に組み込む。デバイス10に対して上述と同じ方法で、ドア328は、開放位置と閉鎖位置との間で旋回する。
【0048】
オプションとして、図1、図9Aおよび9Bに示すとおり、圧力検出デバイス132、133をデバイス10内に、一方は第1ポンプフィンガーの前(入口側)に、および他方は最終ポンプフィンガーの後(出口側)に含むとよい。あるいはまたはさらに、管内の圧力を検出する装置を備えてもよい。管50は、片端部がハウジングに取り付けられ予荷重がかけられたストレンゲージビーム133に対して反力を及ぼす圧力検出デバイス132、133によって部分的に圧縮される。したがって、ストレンゲージビーム133のたわみ量は、該圧力検出デバイス132、133の位置における管50内部の圧力量によって直接的に変化する。どんな従来のストレンゲージ変換器を使ってもよい。より詳細に述べると、ストレンゲージビーム133は、以下の方法で動作する。管50内の圧力が増大または減少するにつれて、管は、固定された平面プラテンに対してそれぞれ膨張または収縮し、圧力検出デバイス132、133がストレンゲージビーム133に対してさまざまな圧力を及ぼし、それによって、ストレンゲージビームのたわみが変化する。技術分野においては十分に確立されているとおり、ストレンゲージから測定された電気信号は、ストレンゲージビームが遭遇するたわみ量に比例する。さらに、ストレンゲージからの電気信号を較正することによって、システムは、圧力読取および閉塞検出を目的として、管内の圧力量の測定が可能になる。
【0049】
図2および9Bを参照すると、ポンプ揚水が行われるにつれて、流体が入口側からポンプ管50の中に引き込まれる。ポンプ管50の中へ流入する流体が塞がれた場合、たとえば、入口または供給チューブがねじれた場合、または流体源が枯渇した場合、管50内圧力の減少が生じ、管50はつぶされ、入口側の圧力検出デバイス132に対する管の力は減少することになり、それによって、該圧力検出デバイス132に連動されたストレンゲージビーム133は図9Bに見られるとおり、管50の方へそれる。管50の方へそれる量が所定量を超えた場合、ポンプ揚水デバイス10に連動されたコントローラ、コンピュータ、またはプロセッサが入口閉塞警報または信号を発し得、および/またはポンプ揚水デバイス10の自動遮断などのいくつかの所望の改善策を起動し得る。他方、図2および9Aに見られるとおり、ポンプ揚水が行われるにつれて、流体がポンプ管50の出口端部から押し出される。ポンプ管50から流出する流体が塞がれた場合、たとえば、出口チューブが塞がれたまたはポンプの外側でピンチオフされた場合、管50内圧力の増大が生じることになり、それによって、管50は膨張する。管50のそのような膨張によって、ポンプデバイス10の出口端部における圧力検出デバイス134は、該圧力検出デバイス134に連動されたストレンゲージビーム133を図9Aに見られるとおり、管50から離れる方向へそらせる。管50から離れる方向へそれる量が所定量を超えた場合、ポンプ揚水デバイス10に連動されたコントローラ、コンピュータ、またはプロセッサが出口閉塞警報または信号を発し得、および/またはポンプ揚水デバイス10の自動遮断などのいくつかの任意の改善策を起動し得る。
【0050】
当然のことであるが、本発明の特定の例または実施形態について本発明を本明細書の上文に説明してきたが、本発明の所期の精神および範囲を逸脱することなく、これらの例および実施形態にはさまざまな追加、削除、変更、および改変を行うことが可能である。たとえば、一方の実施形態または例のあらゆる部材または属性を、そうすることが実施形態、実施例またはその所期の使用には不適でない限り、他方の実施形態または例とともに使用するまたはそれに組み込むことが可能である。同じく、方法または工程のステップが特定の順序で説明され、列記され、またはクレームされている場合、そのようなステップは、そうすることが実施形態または実施例を、新規ではなく、当業者には明白な、またはその所期の使用には不適であるとしない限り、あらゆる他の順序で実行が可能である。すべての合理的な追加、削除、改変、および変更は、記載された例および実施形態の均等物と考えられるべきであり、および以下のクレームの範囲内に含まれるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【公開番号】特開2012−122483(P2012−122483A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−30663(P2012−30663)
【出願日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【分割の表示】特願2008−528242(P2008−528242)の分割
【原出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−30663(P2012−30663)
【出願日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【分割の表示】特願2008−528242(P2008−528242)の分割
【原出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
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