説明

図面表示方法

【目的】 移動方向を指示するだけで周囲の図面への移動が可能な図面表示方法を得る。
【構成】 図面データベースに図面相互の位置関係を管理する図面位置情報を、または、各図面データのそれぞれに当該図面の周囲に隣接する各図面の図面識別情報を持たせ、それらに基づいて、指示された移動方向に対応した図面の前記図面データを抽出してグラフィックディスプレイに表示する。
【効果】 図面データベースに登録されている図面内を自由に移動して表示することが可能となって、複数の図面にまたがる修正等の作業がやり易くなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、図面データベースより、指定された図面の図面データを抽出してグラフィックディスプレイに表示する図面表示方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は例えば、三菱電機技報 第65巻 第3号の第19〜25頁に掲載された論文「配電工事設計支援システム」に示された、従来の図面表示方法を示すブロック図である。図において、1はディスク装置等にあらかじめ蓄積された、複数枚の図面の各図面データより成る図面データベースであり、2は個々の図面データである。3は指定された図面の図面データ2を図面データベース1より抽出して、その表示処理を行う図面表示処理手段であり、4は表示すべき図面を指定する図面識別情報としての図面番号の入力が行われるキーボード、5は抽出された図面データ2による図面が表示されるグラフィックディスプレイである。
【0003】次に動作について説明する。ここで、図8は前記図面表示処理手段3における処理の流れを示すフローチャートである。図面表示処理手段3は起動されると(ステップST1)、キーボード4からの入力待ち状態となる(ステップST2)。キーボード4から表示すべき図面を特定するための図面の識別情報、例えば図面番号が入力されると、当該図面番号にて指定された図面データ2を図面データベース1からリードする(ステップST3)。次に、この図面データベース1よりリードした図面データ2を処理してグラフィックディスプレイ5に送り、その表示画面を表示する(ステップST4)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の図面表示方法は以上のように構成されているため、グラフィックディスプレイ5に表示されている図面を周囲の図面に移動させたいときには、再度、キーボード4より図面番号等の識別情報を入力して要求する図面を呼び出さなければならず、従って、複数の図面にまたがる修正等を行う場合、作業が煩雑となるなどの問題点があった。
【0005】この発明は上記のような問題点を解消するためになされたものであり、周囲の図面に移動するときに図面を再度呼び出さなくても、移動方向を示すだけで周囲の図面へ移動することができる図面表示方法を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に係る図面表示方法は、図面データベース中に、図面相互の位置関係を管理する図面位置情報を持たせ、その図面位置情報から現在表示中の図面の周囲の図面を検索し、移動したい方向の図面データを呼び出すものである。
【0007】また、請求項2に記載の発明に係る図面表示方法は、図面データベース内の各図面データに、その周囲に隣接する図面の図面識別情報を付加し、その図面識別情報を用いて移動したい方向の図面データを呼び出すものである。
【0008】
【作用】請求項1に記載の発明における図面表示方法は、図面データベース中の図面位置情報を検索して、指示された移動方向の図面の図面データをリードすることにより、図面の移動に際して、移動方向を指示するだけで図面の再呼び出しを行う必要のない図面表示方法を実現する。
【0009】また、請求項2に記載の発明における図面表示方法は、各図面データに付加された図面識別情報に基づいて、指示された移動方向の図面の図面データをリードすることにより、図面の移動に際して、移動方向を指示するだけで図面の再呼び出しを行う必要のない図面表示方法を実現する。
【0010】
【実施例】実施例1.以下、この発明の実施例1を図について説明する。図1は請求項1に記載の発明の一実施例を示すブロック図である。図において、2は図面データ、3は図面表示処理手段、4はキーボード、5はグラフィックディスプレイであり、図7に同一符号を付した従来のそれらと同一、あるいは相当部分であるため詳細な説明は省略する。なお、この場合、前記キーボード4からは表示すべき図面を指定する図面識別情報としての図面番号の入力とともに、表示図面の移動方向の入力も行われる。また、6は前記各図面データ2に対応した図面相互の位置関係を管理する図面位置情報であり、7はこの図面位置情報6を備えている点で、図7に符号1を付したものとは異なる図面データベースである。
【0011】また、図2は前記図面データベース7内の図面位置情報6のデータ構造を示す説明図であり、それぞれの図面の図面識別情報としての図面番号#1〜#16が縦横のメッシュ状に配置されて、各図面相互の位置関係が参照できるようになっている。
【0012】次に動作について説明する。ここで、図3は前記図面表示処理手段3の処理の流れを示すフローチャートである。図面表示手段3は起動されると、(ステップST11)、キーボード4からの初期表示図面の図面番号入力待ち状態となる(ステップST12)。そこでキーボード4より、例えば図面番号#6が入力された場合、図面データベース7から当該図面番号#6の図面の図面データをリードする(ステップST13)。次に、この図面データベース7よりリードした図面データ2を処理してグラフィックディスプレイ5に送り、その表示画面上に初期表示する(ステップST14)。この初期表示の処理が完了すると、図面表示処理手段3はキーボード4からのコマンド入力待ちの状態となる(ステップST15)。
【0013】この状態において、キーボード4より移動コマンドで上方の図面への移動が指示された場合、図面表示処理手段3は図面データベース7内の図面位置情報6を参照して、現在表示している図面番号#6の図面の上に隣接している図面の図面番号#5を抽出する(ステップST16)。次にこの抽出した図面番号#5の図面に対応する図面データ2を図面データベース7からリードし(ステップST17)、それをグラフィックディスプレイ5に転送してその表示画面上に表示する(ステップST18)。以下、このステップST15〜ST18の処理を繰り返すことにより、図面データベース7に登録されている図面内を自由に移動することができる。
【0014】実施例2.なお、上記実施例1では、図面データベース内の図面位置情報を参照して移動先の図面を抽出する場合について述べたが、図面データベース内の各図面データに周囲の図面の図面識別情報をそれぞれ付加し、リード済みの図面データから移動先の図面を抽出するようにしてもよい。図4は請求項2に記載したそのような発明の一実施例を示すブロック図で、図1と同一の部分には同一符号を付してその説明を省略する。図において、8は図面データ本体に、当該図面の周囲に隣接する各図面の図面番号が付加されている点で、図1あるいは図7に符号2を付したものとは異なる図面データであり、9は複数枚の図面に対する当該図面データ8を蓄積した図面データベースである。
【0015】図5は1レコード分の前記図面データ8のデータ構成を示す説明図であり、図において、10は図1R>1および図7に符号2で示した図面データと同等の図面データ本体、11はこの図面データ本体10に付加された、当該図面データ本体10に対応する図面の周囲に隣接している各図面を示す図面識別情報(図面番号)である。図示の例は図面番号#6の図面の図面データ8を示しており、その図面識別情報11としては、上に#5、右上に#9、右に#10、右下に#11、下に#7、左下に#3、左に#2、左上に#1がそれぞれ設定されている。
【0016】次に動作について説明する。図6において、ステップST21からST25、およびステップST27,ST28における基本的な動作は、図3に示した実施例1の場合のステップST11からST15、およびステップST17,ST18と同様であり、移動先の図面の抽出方法のみが異なっている。即ち、ステップST25で移動コマンドの入力が検出されると、ステップST26にて現在表示中の図面、例えば図面番号#6の図面の図面データ8から、当該図面に隣接している周囲の図面の図面識別情報11を参照し、前記移動コマンドにて指定された移動方向、例えば“上”に対応する図面番号#5を抽出し、ステップST27でその図面データ8の呼び出しを行う。
【0017】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明によれば、図面データベース内の図面相互の位置関係を図面位置情報にて管理するように構成したので、図面データベースに登録されている図面内を自由に移動でき、複数の図面にまたがる修正等を容易に行うことができる図面表示方法が得られる効果がある。
【0018】また、請求項2に記載の発明によれば、各図面データにその図面に隣接する各図面の図面識別情報を付加するように構成したので、図面の移動に際して、別途図面位置情報などをリードして参照する必要がなくなり、図面の移動を高速化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1による図面表示方法を示すブロック図である。
【図2】上記実施例における図面位置情報のデータ構造を示す説明図である。
【図3】上記実施例における図面表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施例2による図面表示方法を示すブロック図である。
【図5】上記実施例における図面データのデータ構造を示す説明図である。
【図6】上記実施例における図面表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】従来の図面表示方法を示すブロック図である。
【図8】その図面表示処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 図面データ
5 グラフィックディスプレイ
6 図面位置情報
7 図面データベース
8 図面データ
9 図面データベース
11 図面識別情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数枚の図面の各図面データをあらかじめ図面データベースとして蓄積しておき、前記図面データベースより、指定された図面の前記図面データを抽出してグラフィックディスプレイに表示する図面表示方法において、前記図面データベースに、前記複数の図面相互の位置関係を管理する図面位置情報を持たせ、表示図面の移動の指示がなされた場合、前記図面位置情報を検索して指示された移動方向に対応した図面の前記図面データを抽出し、当該図面を前記グラフィックディスプレイに表示することを特徴とする図面表示方法。
【請求項2】 複数枚の図面の各図面データをあらかじめ図面データベースとして蓄積しておき、前記図面データベースより、指定された図面の前記図面データを抽出してグラフィックディスプレイに表示する図面表示方法において、前記各図面データのそれぞれに、当該図面の周囲に隣接する各図面の図面識別情報を付加し、表示図面の移動の指示がなされた場合、前記図面識別情報に基づいて指示された移動方向に対応した図面の前記図面データを抽出し、当該図面を前記グラフィックディスプレイに表示することを特徴とする図面表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開平5−324252
【公開日】平成5年(1993)12月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−153097
【出願日】平成4年(1992)5月21日
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)