固体電解コンデンサ
【課題】過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れコンデンサ素子が発熱しても、発熱によりコンデンサ素子が破損するのを抑制する。
【解決手段】陽極2と、陽極2の表面に形成された誘電体層3と、誘電体層3表面に形成された陰極層4,5,6と、陽極2、誘電体層3、及び陰極層4,5,6から構成されるコンデンサ素子11を覆う樹脂外装体9と、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子12とを備え、コンデンサ素子11からの熱エネルギーを変換することによりエネルギー変換素子12から発生する電圧によって、コンデンサ素子11に印加される電圧が低減されるように、エネルギー変換素子12がコンデンサ素子11に電気的に接続されていることを特徴としている。
【解決手段】陽極2と、陽極2の表面に形成された誘電体層3と、誘電体層3表面に形成された陰極層4,5,6と、陽極2、誘電体層3、及び陰極層4,5,6から構成されるコンデンサ素子11を覆う樹脂外装体9と、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子12とを備え、コンデンサ素子11からの熱エネルギーを変換することによりエネルギー変換素子12から発生する電圧によって、コンデンサ素子11に印加される電圧が低減されるように、エネルギー変換素子12がコンデンサ素子11に電気的に接続されていることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁作用金属またはその合金からなる陽極を用いた固体電解コンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体電解コンデンサは、パソコン、携帯電話等の各種携帯情報端末、デジタルカメラ等の各種映像情報機器、その他の電子機器等において、CPUの電源回路、その周辺回路等に組み込まれて使用されている。
【0003】
しかしながら、万一の誤接続や故障の際には、大きな短絡電流がコンデンサ素子に流れ、コンデンサ素子が発熱することで、周辺の部品やプリント基板を破損するおそれがあった。
【0004】
特許文献1においては、コンデンサ素子と端子の間にヒューズを接続し、ヒューズを外装樹脂内に封入した、いわゆるヒューズ内蔵型の固体電解コンデンサが提案されている。このようなヒューズ内蔵型の固体電解コンデンサにおいては、コンデンサ素子と端子の間にヒューズを設置することにより、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた際に、電気回路を開放させて電流を遮断し、固体電解コンデンサからの発熱による周辺部品やプリント基板の破損を防止することができる。
【特許文献1】特開2001−176374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のヒューズ内蔵型の固体電解コンデンサは、コンデンサ素子の温度上昇による他の部品への悪影響を防止するものであり、固体電解コンデンサ自体の破損を抑制することができるものではなかった。
【0006】
本発明の目的は、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れコンデンサ素子が発熱しても、発熱によりコンデンサ素子が破損するのを抑制することができる固体電解コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従う第1の局面の固体電解コンデンサは、陽極と、陽極表面に形成された誘電体層と、誘電体層表面上に形成された陰極層と、陽極、誘電体層、及び陰極層から構成されるコンデンサ素子を覆う樹脂外装体と、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子とを備え、コンデンサ素子からの熱エネルギーを変換することによりエネルギー変換素子から発生する電圧によって、コンデンサ素子に印加される電圧が低減されるように、エネルギー変換素子がコンデンサ素子に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の第1の局面においては、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子が設けられており、このエネルギー変換素子から発生する電圧によって、コンデンサ素子に印加される電圧が低減されるようにエネルギー変換素子がコンデンサ素子に電気的に接続されている。
【0009】
このため、コンデンサ素子に過大な短絡電流が流れ、コンデンサ素子が発熱した際、コンデンサ素子からの熱エネルギーをエネルギー変換素子によって電気エネルギーに変換し、エネルギー変換素子から発生した電圧を、コンデンサ素子への逆電圧としてコンデンサ素子に印加し、コンデンサ素子に印加される電圧を低減することができる。
【0010】
本発明の第1の局面によれば、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れコンデンサ素子が発熱しても、発熱によりコンデンサ素子が破損するのを抑制することができる。
【0011】
本発明の第1の局面に用いるエネルギー変換素子としては、ゼーベック効果を利用した熱発電素子が挙げられる。
【0012】
本発明に従う第2の局面の固体電解コンデンサは、陽極と、陽極表面に形成された誘電体層と、誘電体層表面に形成された陰極層と、陽極、誘電体層、及び陰極層から構成されるコンデンサ素子を覆う樹脂外装体と、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するエネルギー変換素子とを備え、エネルギー変換素子によって、コンデンサ素子が冷却されるように、エネルギー変換素子がコンデンサ素子に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0013】
本発明の第2の局面においては、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するエネルギー変換素子が設けられており、このエネルギー変換素子に電流を流すことにより、コンデンサ素子が冷却されるように、エネルギー変換素子がコンデンサ素子に電気的に接続されている。このため、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた際、短絡電流の少なくとも一部をエネルギー変換素子に流すことにより、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、エネルギー変換素子によりコンデンサ素子を冷却することができる。このため、本発明の第2の局面によれば、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れコンデンサ素子が発熱しても、発熱によりコンデンサ素子が破損するのを抑制することができる。
【0014】
本発明の第2の局面に用いるエネルギー変換素子は、ペルチェ効果を利用した電子冷却素子が挙げられる。
【0015】
以下、本発明の第1の局面及び第2の局面に共通する事項については、「本発明」として説明する。
【0016】
本発明において、エネルギー変換素子は、コンデンサ素子と電気的に並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよい。コンデンサ素子とエネルギー変換素子を電気的に並列に接続する場合、コンデンサ素子からの発熱を感知してエネルギー変換素子に通電するスイッチング手段を設けてもよい。このようなスイッチング手段としては、例えば、バイメタルを用いたサーモスタットなどが挙げられる。このようなスイッチング手段を用いることにより、コンデンサ特性を維持しつつ、過大な短絡電流によりコンデンサ素子が破損するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れコンデンサ素子が発熱しても、発熱によりコンデンサ素子が破損するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の固体電解コンデンサを具体的な実施形態により説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の局面に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図である。
【0020】
本実施例の固体電解コンデンサ10は、図1に示すように、コンデンサ素子11と、陽極端子7と、陰極端子8と、樹脂外装体9と、エネルギー変換素子12から構成されている。コンデンサ素子11は、陽極2の上に誘電体酸化被膜からなる誘電体層3、電解質層としての導電性高分子層4、カーボン層5及び銀ペースト層6をこの順序で積層して形成されている。陽極2には、陽極リード線1が埋設されており、陽極リード線1に陽極端子7が溶接されている。銀ペースト層6には、陰極端子8が接続されている。電解質層4、カーボン層5及び銀ペースト層6から陰極層が構成されている。コンデンサ素子11は、エポキシ樹脂等からなる樹脂外装体9で被覆されている。
【0021】
図2は、図1に示す固体電解コンデンサを示す平面図である。図2は、図1の上方向から見た状態を示しており、内部の構造が分かりやすいように、樹脂外装体9の上方部分を除去した状態で示している。
【0022】
図1及び図2に示すように、コンデンサ素子11の外周面に設けられた陰極端子8の上に、固定部材13を介してエネルギー変換素子12が設けられている。固定部材13は、例えば、GE東芝シリコーン製のシリコン樹脂(TSE3070)などの耐熱性樹脂から形成されている。この固定部材13を陰極端子8の上に設け、固定部材13にエネルギー変換素子12を取り付けることにより、エネルギー変換素子12をコンデンサ素子11上に固定している。コンデンサ素子とエネルギー変換素子との間には、樹脂外装体9が介在する。
【0023】
本実施例においては、エネルギー変換素子12として、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子を用いている。具体的には、エネルギー変換素子12として、ゼーベック効果を利用した熱発電素子を用いる。エネルギー変換素子12は、一端と他端とを有する2種類の金属を有し、該一端が接続部により接続されることで2種類の金属が接続されている。また、2種類の金属各々の他端部は、エネルギー変換素子12内部の配線によりエネルギー変換素子12の端子と電気的に接続されている。そして、エネルギー変換素子12は、接合部と他端部とにおける温度差によりゼーベック効果による熱起電力を生じさせる。
【0024】
本実施例では、図1に示すように、エネルギー変換素子12として2種類の金属の接続部側が一主面A1側、他端部側が他主面B1側となるものを用い、一主面A1がコンデンサ素子側となるようエネルギー変換素子12を配した。よって、コンデンサ素子11が発熱した場合、一主面A1で検知された高い温度と、他主面B1で検知された低い温度の差から熱起電力が発生し、エネルギー変換素子12の端子間に電圧が生じる。なお、エネルギー変換素子12に、2種類の金属の組み合わせを複数組内蔵させ、接続させることにより、熱起電力による電圧を調整することができる。
【0025】
また、コンデンサ素子11からの熱エネルギーにより発生した前述の電圧によって、コンデンサ素子11に印加される電圧が低減されるように、エネルギー変換素子12がコンデンサ素子11に電気的に接続されている。具体的には、図1に示すようにエネルギー変換素子12の一方端子が、コンデンサ素子11の陽極端子7と接続部材14によって電気的に接続しており、エネルギー変換素子12の他方端子が、接続部材15によって、コンデンサ素子11の陰極端子8と電気的に接続されている。これによって、コンデンサ素子11の陽極端子7にエネルギー変換素子12からのマイナスの電圧が印加され、陰極端子8に、エネルギー変換素子12からのプラスの電圧が印加される。このように電圧が印加されることで、コンデンサ素子11には逆電圧が印加される。
【0026】
樹脂外装体9は、エネルギー変換素子12の他主面B1が露出するように、コンデンサ素子11と共に、エネルギー変換素子12の他主面B1を覆うように形成されている。エネルギー変換素子12の他主面B1を露出させているのは、本実施例においては、熱発電素子の起電力は素子の温度差に依存するため、他主面B1を外気で冷却することにより、一主面Aとの温度差を大きくし、熱発電素子における発電効率を向上させるためである。コンデンサ素子で発生した熱は、コンデンサ素子とエネルギー変換素子との間に介在する樹脂外装体9を介して一主面A1に伝わる。
【0027】
陽極2は、弁作用金属またはその合金から形成されている。弁作用金属またはその合金としては、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウム等の金属の単体または合金を例示することができる。陽極2の形態としては、多孔質焼結体や、箔状の基体であってもよく、特に限定されるものではない。本実施例においては、ニオブ粉末を陽極形状にプレス成型した後、減圧及び高温下で焼結することにより作製した多孔質焼結体を用いている。このような多孔質焼結体は、比表面積が大きいため、コンデンサの容量を高めることができる。
【0028】
誘電体層3は、特に限定されるものではないが、例えば、陽極2の表面をリン酸等の水溶液中で陽極酸化させることにより形成することができる。本実施例では、陽極2として、ニオブの多孔質焼結体を用いており、誘電体層3としては、酸化ニオブを主体とした被膜が形成されている。
【0029】
導電性高分子層4は、固体電解質層として用いられるものであり、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等は特に導電性が高いため好ましく用いられる。導電性高分子は、1種類を単独で用いてもよいし、複数の種類を併用して用いてもよい。また、導電性高分子層4は、単一層であってもよく、複数の層を積層した構造を有していてもよい。複数層を積層した構造を有する場合、各層の導電性高分子層は同じ種類のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。本実施例においては、ポリピロールを用いた単一層で導電性高分子層4を形成している。
【0030】
図7は、本実施例の固体電解コンデンサの等価回路を示している。エネルギー変換素子12は、コンデンサ素子11と電気的に並列に接続されており、コンデンサ素子11の陽極端子にエネルギー変換素子12のマイナス側を接続し、コンデンサ素子11の陰極端子にエネルギー変換素子12のプラス側を接続している。
【0031】
コンデンサ素子11に短絡電流が流れた際、ジュール熱によりコンデンサ素子11が発熱し、その熱が電流を流れ易くすることから、コンデンサ素子11の発熱量がさらに大きくなり素子の破損を生じる場合がある。本発明によれば、コンデンサ素子11からの熱エネルギーをエネルギー変換素子12により電圧に変換し、この電圧をコンデンサ素子11への逆電圧としてコンデンサ素子11に印加できる。このため、コンデンサ素子11に印加される電位差が低減され、コンデンサ素子11に流れる電流を抑制できるためコンデンサ素子11の発熱を抑制することができる。
【0032】
よって、過大な短絡電流がコンデンサ素子11に流れた場合であっても、エネルギー変換素子12によってジュール熱を低減することができるため、コンデンサ素子11の発熱の抑制が可能となりコンデンサ素子11の破損を抑制すこことができる。
【0033】
以下、本実施例の固体電解コンデンサの製造工程を説明する。
【0034】
〔ステップ1〕
平均粒子径2μmのニオブ金属の粉末を焼結し、得られた多孔質焼結体を陽極2として用いた。なお、焼結する際、陽極リード線1となるニオブ線材を焼結体の中心に配置し、多孔質焼結体内にニオブ線材が埋設されるようにして焼結した。
【0035】
得られた陽極2を、60℃に保持した0.5重量%のリン酸水溶液中において、10Vの定電圧で8時間陽極酸化させ、陽極2の表面に酸化ニオブからなる誘電体層3を形成した。なお、陽極2は、多孔質体であるので、その内部の表面上にも誘電体層3が形成されている。
【0036】
〔ステップ2〕
次に、誘電体層3の表面上を被覆するように、ポリピロールからなる導電性高分子層4を化学重合等により形成した。
【0037】
〔ステップ3〕
次に、導電性高分子層4の上にカーボンペーストからなるカーボン層5及び銀ペーストからなる銀ペースト層6を順次形成し、陰極層を形成した。また、導電性接着剤を介して銀ペースト層6の上に陰極端子8を接続した。また、陽極端子7を陽極リード線1に溶接して接続した。
【0038】
〔ステップ4〕
エネルギー変換素子12として、幅が約2.5mm、長さが約5mm、厚さが約2.6mmであるゼーベック効果を利用したBi−Te系の熱発電素子(東北岡野エレクトロニクス社製)を用いた。このエネルギー変換素子12を、陰極端子8から1mmの距離となるように、耐熱性樹脂(GE東芝シリコーン製のシリコン樹脂(TSE3070))からなる固定部材13により取り付けた。次に、エネルギー変換素子12のプラス側端子に接続部材15を用いて陰極端子8を接続し、エネルギー変換素子12のマイナス側端子に接続部材14を用いて陽極端子7を接続した。接続部材14及び15としては、厚さ0.5mmのニッケル箔を1〜2mmの幅に切断したものを用い、これらの接続部材14及び15は、半田付けによりエネルギー変換素子12並びに陽極端子7及び陰極端子8に取り付けた。
【0039】
〔ステップ5〕
次に、コンデンサ素子11及びエネルギー変換素子12のコンデンサ素子11側の部分を覆うように、モールド成形により、エポキシ樹脂からなる樹脂外装体9を形成した。エネルギー変換素子の他主面B1が樹脂外装体9から露出するように、樹脂外装体9を形成した。本実施例においては、エネルギー変換素子の他主面B1を含む一部が樹脂外装体9から1mm程度露出するように樹脂外装体を形成した。
【0040】
以上のようにして、本実施例の固体電解コンデンサを20個作製した。
【0041】
(実施例2)
図3は、本発明の第1の局面に従う固体電解コンデンサの他の実施形態を示す概略断面図である。
【0042】
本実施例においては、エネルギー変換素子12の一方端子と陽極端子7の間にサーモスタット17を設けている。サーモスタット17は、コンデンサ素子11からの発熱を感知して、エネルギー変換素子に電流を流すためのスイッチング手段である。
【0043】
内部抵抗が低いエネルギー変換素子12をコンデンサ素子に並列に接続した場合、電流がエネルギー変換素子12に流れ、固体電解コンデンサに電荷が蓄積され難くなる可能性がある。よって、本実施例ではサーモスタットを設けることで、コンデンサ素子の温度が上昇した場合を除き、エネルギー変換素子12に電流が流れないため、固体電解コンデンサに電荷が蓄積される。
【0044】
具体的には、上記実施例1の〔ステップ4〕において、サーモスタット17の一方端子を陽極端子7に接続し、サーモスタット17の他方端子を接続部材14でエネルギー変換素子12の一方端子と接続した。本実施例では、サーモスタット17近傍において、120℃に温度上昇した際に、エネルギー変換素子12に電流が流れるように調整した。従って、本実施例において、サーモスタット17は、120℃に加熱されると、エネルギー変換素子12に電流を流す。これにより、エネルギー変換素子12は、コンデンサ素子11からの熱エネルギーを電気エネルギーに変換して、陽極端子7と陰極端子8の間に、これらの端子間の電圧を低減する逆の電圧を印加する。
【0045】
その他の構成は、実施例1と同様にして作製した。
【0046】
以上のようにして、本実施例の固体電解コンデンサを20個作製した。
【0047】
図8は、本実施例の固体電解コンデンサの等価回路を示している。図8に示すように、コンデンサ素子11にエネルギー変換素子12を電気的に並列に接続しており、コンデンサ素子11の陽極端子とエネルギー変換素子12のマイナス側との間にサーモスタット17を配置している。
【0048】
(実施例3)
図4は、本発明の第1の局面に従うさらに他の実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図である。
【0049】
上記実施例1及び実施例2の固体電解コンデンサにおいては、エネルギー変換素子12と、コンデンサ素子11とを電気的に並列に接続している。本実施例においては、エネルギー変換素子12と、コンデンサ素子11とを電気的に直列に接続している。
【0050】
図4に示すように、エネルギー変換素子12を、コンデンサ素子11の外周面の上に、固定部材13を介して取り付け、エネルギー変換素子12の一方端子を、コンデンサ素子11の外周面の銀ペースト層6と接続部材14により電気的に接続している。従って、エネルギー変換素子12のプラス側端子を、コンデンサ素子11の陰極側端子に接続している。
【0051】
また、図4に示すように、エネルギー変換素子12の他方端子に陰極端子8を接続している。従って、エネルギー変換素子12のマイナス側端子を、陰極端子8に接続している。
【0052】
その他の構成は、実施例1及び実施例2と同様にして作製している。
【0053】
以上のようにして、本実施例の固体電解コンデンサを20個作製した。
【0054】
図9は、本実施例の固体電解コンデンサの等価回路を示す図である。図9に示すように、コンデンサ素子11とエネルギー変換素子12を電気的に直列に接続している。
【0055】
(実施例4)
図5は、本発明の第2の局面に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図である。
【0056】
本実施例においては、図1に示す実施例1の固体電解コンデンサにおける熱発電素子であるエネルギー変換素子12に代えて、ペルチェ効果を利用した電子冷却素子であるエネルギー変換素子16を用いている。エネルギー変換素子16としては、幅が約4mm、長さが約4mm、厚さが約2.4mmである電子冷却素子を用いている。
【0057】
エネルギー変換素子16は、図5に示すように冷却面A2と放熱面B2とを有する。エネルギー変換素子16内部を電流が流れると、冷却面A2では温度が低くなり、放熱面B2では温度が高くなるため、冷却面A2がコンデンサ素子側となるようにエネルギー変換素子16を配置し、接続する。このようにエネルギー変換素子16を配することで、コンデンサ素子11に短絡電流が流れた際、冷却面A2の温度が低くなりコンデンサ素子11を冷却することができる。
【0058】
本実施例では、図5に示すように、エネルギー変換素子16のマイナス側端子を、接続部材14によって陽極端子7に接続し、エネルギー変換素子16のプラス側端子を接続部材15によって、陰極端子8に接続している。よって、エネルギー変換素子16に通電されると、エネルギー変換素子16において、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することにより、エネルギー変換素子16の冷却面A2の温度が低くなり、コンデンサ素子11を冷却することができる。なお、本実施例において、上述の記載のように接続を行ったが、エネルギー変換素子16の冷却面がコンデンサ素子11側に位置すればよく、上記接続方法に限られるものではない。
【0059】
上記の構成以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを20個作製した。
【0060】
図10は、本実施例の固体電解コンデンサの等価回路を示す図である。図10に示すように、コンデンサ素子11に、エネルギー変換素子16を電気的に並列に接続している。また、エネルギー変換素子16の冷却面A2を、コンデンサ素子11側に配置している。なお、本実施例においても、実施例2と同様にサーモスタットを設けてもよい。
【0061】
コンデンサ素子11に短絡電流が流れた際、ジュール熱によりコンデンサ素子11が加熱される。このような場合、コンデンサ素子11の温度が上昇することで短絡電流がさらに増大し、これにより発生したジュール熱によりコンデンサ素子11が破損する場合がある。本発明によれば、短絡電流の少なくとも一部をエネルギー変換素子16に流すことにより、エネルギー変換素子16が電気エネルギーを熱エネルギーに変換することが可能となりエネルギー変換素子16の温度が低くなりコンデンサ素子11を冷却することができる。
【0062】
よって、過大な短絡電流がコンデンサ素子11に流れた場合であっても、エネルギー変換素子16によりコンデンサ素子11自体を冷却することができるため、コンデンサ素子11の温度上昇を抑制し、それにより短絡電流を低減することでコンデンサ素子11の破損を抑制することができる。
【0063】
(実施例5)
図6は、本発明の第2の局面に従う他の実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図である。
【0064】
本実施例においては、エネルギー変換素子として、実施例4と同様に、電子冷却素子であるエネルギー変換素子16を用いている。本実施例では、図6に示すように、エネルギー変換素子16のマイナス側端子を接続部材14によってコンデンサ素子11の銀ペースト層6と接続し、エネルギー変換素子16のプラス側端子を陰極端子8と接続している。このようにエネルギー変換素子を配することで冷却面A2がコンデンサ素子側となる。なお、本実施例において、上述の記載のように接続を行ったが、エネルギー変換素子16の冷却面がコンデンサ素子11側に位置すればよく、上記接続方法に限られるものではない。
【0065】
上記の構成以外は、実施例3と同様にして固体電解コンデンサを20個作製した。
【0066】
図11は、本実施例の固体電解コンデンサの等価回路を示す図である。図11に示すように、コンデンサ素子11とエネルギー変換素子16とを電気的に直列に接続しており、エネルギー変換素子16の冷却面A2がコンデンサ素子11側に位置するようにエネルギー変換素子16を配置している。
【0067】
(比較例)
実施例1において、ステップ4を行わずに、ステップ3の次にステップ5のモールド成形による樹脂外装体の形成を行った。従って、エネルギー変換素子を設けずに、従来の固体電解コンデンサと同様にコンデンサ素子11のみを樹脂外装体で覆い、固体電解コンデンサを20個作製した。
【0068】
<過電圧印加試験>
実施例1〜5及び比較例の固体電解コンデンサについて、過電圧印加試験を行った。各固体電解コンデンサを、半田ゴテを用いて、コンデンサが加熱され過ぎないように、プリント基板の表面上に実装した。実装後、20Vの過電圧を2分間、各固体電解コンデンサに印加した。20Vを2分間印加する過電圧印加試験の条件は、通常の使用状態より大変厳しい条件である。この過電圧の印加により、発煙した素子の個数を測定した。その結果を表1に示す。なお、試験中の発煙個数は、20個に対する個数である。
【0069】
また、試験終了後の素子の破損個数を求め、その結果を表1に示した。また、素子の破損個数から、過電圧印加試験において素子が破損されなかった個数を算出し、以下の式により破損率を求め、表1に結果を示した。
【0070】
破損率(%)=(破損個数/20)×100
【0071】
【表1】
【0072】
表1に示すように、本発明に従う実施例1〜5の固体電解コンデンサは、比較例の固体電解コンデンサに比べ、試験中の発煙個数が少なく、かつ試験終了後の破損率が低くなっている。従って、本発明に従う固体電解コンデンサは、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた際に、コンデンサ素子が破損するのを抑制できることがわかる。
【0073】
実施例4,5の破損率は実施例1〜3の破損率と比較し低くなっている。この結果から、実施例1〜3に使用した熱発電素子による逆電圧の効果より、実施例4,5で使用した電子冷却素子によるコンデンサ素子への冷却効果のほうがコンデンサ素子の破損を抑制することがわかる。
【0074】
以上、具体的な実施形態及び実施例により、本発明の固体電解コンデンサを説明したが、本発明の固体電解コンデンサは、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではない。
【0075】
また、本発明の固体電解コンデンサは、パソコン、携帯電話等の各種情報端末、デジタルカメラ等の各種映像情報機器、その他の電子機器等に適用することができるものであり、これらの機器内において過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた際に、コンデンサ素子が破損するのを抑制することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の局面に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図。
【図2】本発明の第1の局面に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す概略平面図。
【図3】本発明の第1の局面に従う他の実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図。
【図4】本発明の第1の局面に従うさらに他の実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図。
【図5】本発明の第2の局面に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図。
【図6】本発明の第2の局面に従う他の実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図。
【図7】図1及び図2に示す固体電解コンデンサの等価回路を示す図。
【図8】図3に示す固体電解コンデンサの等価回路を示す図。
【図9】図4に示す固体電解コンデンサの等価回路を示す図。
【図10】図5に示す固体電解コンデンサの等価回路を示す図。
【図11】図6に示す固体電解コンデンサの等価回路を示す図。
【符号の説明】
【0077】
1…陽極リード線
2…陽極
3…誘電体層
4…導電性高分子層
5…カーボン層
6…銀ペースト層
7…陽極端子
8…陰極端子
9…樹脂外装体
10…固体電解コンデンサ
11…コンデンサ素子
12…エネルギー変換素子(熱発電素子)
13…固定部材
14,15…接続部材
16…エネルギー変換素子(電子冷却素子)
17…サーモスタット
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁作用金属またはその合金からなる陽極を用いた固体電解コンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体電解コンデンサは、パソコン、携帯電話等の各種携帯情報端末、デジタルカメラ等の各種映像情報機器、その他の電子機器等において、CPUの電源回路、その周辺回路等に組み込まれて使用されている。
【0003】
しかしながら、万一の誤接続や故障の際には、大きな短絡電流がコンデンサ素子に流れ、コンデンサ素子が発熱することで、周辺の部品やプリント基板を破損するおそれがあった。
【0004】
特許文献1においては、コンデンサ素子と端子の間にヒューズを接続し、ヒューズを外装樹脂内に封入した、いわゆるヒューズ内蔵型の固体電解コンデンサが提案されている。このようなヒューズ内蔵型の固体電解コンデンサにおいては、コンデンサ素子と端子の間にヒューズを設置することにより、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた際に、電気回路を開放させて電流を遮断し、固体電解コンデンサからの発熱による周辺部品やプリント基板の破損を防止することができる。
【特許文献1】特開2001−176374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のヒューズ内蔵型の固体電解コンデンサは、コンデンサ素子の温度上昇による他の部品への悪影響を防止するものであり、固体電解コンデンサ自体の破損を抑制することができるものではなかった。
【0006】
本発明の目的は、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れコンデンサ素子が発熱しても、発熱によりコンデンサ素子が破損するのを抑制することができる固体電解コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従う第1の局面の固体電解コンデンサは、陽極と、陽極表面に形成された誘電体層と、誘電体層表面上に形成された陰極層と、陽極、誘電体層、及び陰極層から構成されるコンデンサ素子を覆う樹脂外装体と、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子とを備え、コンデンサ素子からの熱エネルギーを変換することによりエネルギー変換素子から発生する電圧によって、コンデンサ素子に印加される電圧が低減されるように、エネルギー変換素子がコンデンサ素子に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の第1の局面においては、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子が設けられており、このエネルギー変換素子から発生する電圧によって、コンデンサ素子に印加される電圧が低減されるようにエネルギー変換素子がコンデンサ素子に電気的に接続されている。
【0009】
このため、コンデンサ素子に過大な短絡電流が流れ、コンデンサ素子が発熱した際、コンデンサ素子からの熱エネルギーをエネルギー変換素子によって電気エネルギーに変換し、エネルギー変換素子から発生した電圧を、コンデンサ素子への逆電圧としてコンデンサ素子に印加し、コンデンサ素子に印加される電圧を低減することができる。
【0010】
本発明の第1の局面によれば、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れコンデンサ素子が発熱しても、発熱によりコンデンサ素子が破損するのを抑制することができる。
【0011】
本発明の第1の局面に用いるエネルギー変換素子としては、ゼーベック効果を利用した熱発電素子が挙げられる。
【0012】
本発明に従う第2の局面の固体電解コンデンサは、陽極と、陽極表面に形成された誘電体層と、誘電体層表面に形成された陰極層と、陽極、誘電体層、及び陰極層から構成されるコンデンサ素子を覆う樹脂外装体と、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するエネルギー変換素子とを備え、エネルギー変換素子によって、コンデンサ素子が冷却されるように、エネルギー変換素子がコンデンサ素子に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0013】
本発明の第2の局面においては、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するエネルギー変換素子が設けられており、このエネルギー変換素子に電流を流すことにより、コンデンサ素子が冷却されるように、エネルギー変換素子がコンデンサ素子に電気的に接続されている。このため、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた際、短絡電流の少なくとも一部をエネルギー変換素子に流すことにより、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、エネルギー変換素子によりコンデンサ素子を冷却することができる。このため、本発明の第2の局面によれば、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れコンデンサ素子が発熱しても、発熱によりコンデンサ素子が破損するのを抑制することができる。
【0014】
本発明の第2の局面に用いるエネルギー変換素子は、ペルチェ効果を利用した電子冷却素子が挙げられる。
【0015】
以下、本発明の第1の局面及び第2の局面に共通する事項については、「本発明」として説明する。
【0016】
本発明において、エネルギー変換素子は、コンデンサ素子と電気的に並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよい。コンデンサ素子とエネルギー変換素子を電気的に並列に接続する場合、コンデンサ素子からの発熱を感知してエネルギー変換素子に通電するスイッチング手段を設けてもよい。このようなスイッチング手段としては、例えば、バイメタルを用いたサーモスタットなどが挙げられる。このようなスイッチング手段を用いることにより、コンデンサ特性を維持しつつ、過大な短絡電流によりコンデンサ素子が破損するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れコンデンサ素子が発熱しても、発熱によりコンデンサ素子が破損するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の固体電解コンデンサを具体的な実施形態により説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の局面に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図である。
【0020】
本実施例の固体電解コンデンサ10は、図1に示すように、コンデンサ素子11と、陽極端子7と、陰極端子8と、樹脂外装体9と、エネルギー変換素子12から構成されている。コンデンサ素子11は、陽極2の上に誘電体酸化被膜からなる誘電体層3、電解質層としての導電性高分子層4、カーボン層5及び銀ペースト層6をこの順序で積層して形成されている。陽極2には、陽極リード線1が埋設されており、陽極リード線1に陽極端子7が溶接されている。銀ペースト層6には、陰極端子8が接続されている。電解質層4、カーボン層5及び銀ペースト層6から陰極層が構成されている。コンデンサ素子11は、エポキシ樹脂等からなる樹脂外装体9で被覆されている。
【0021】
図2は、図1に示す固体電解コンデンサを示す平面図である。図2は、図1の上方向から見た状態を示しており、内部の構造が分かりやすいように、樹脂外装体9の上方部分を除去した状態で示している。
【0022】
図1及び図2に示すように、コンデンサ素子11の外周面に設けられた陰極端子8の上に、固定部材13を介してエネルギー変換素子12が設けられている。固定部材13は、例えば、GE東芝シリコーン製のシリコン樹脂(TSE3070)などの耐熱性樹脂から形成されている。この固定部材13を陰極端子8の上に設け、固定部材13にエネルギー変換素子12を取り付けることにより、エネルギー変換素子12をコンデンサ素子11上に固定している。コンデンサ素子とエネルギー変換素子との間には、樹脂外装体9が介在する。
【0023】
本実施例においては、エネルギー変換素子12として、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子を用いている。具体的には、エネルギー変換素子12として、ゼーベック効果を利用した熱発電素子を用いる。エネルギー変換素子12は、一端と他端とを有する2種類の金属を有し、該一端が接続部により接続されることで2種類の金属が接続されている。また、2種類の金属各々の他端部は、エネルギー変換素子12内部の配線によりエネルギー変換素子12の端子と電気的に接続されている。そして、エネルギー変換素子12は、接合部と他端部とにおける温度差によりゼーベック効果による熱起電力を生じさせる。
【0024】
本実施例では、図1に示すように、エネルギー変換素子12として2種類の金属の接続部側が一主面A1側、他端部側が他主面B1側となるものを用い、一主面A1がコンデンサ素子側となるようエネルギー変換素子12を配した。よって、コンデンサ素子11が発熱した場合、一主面A1で検知された高い温度と、他主面B1で検知された低い温度の差から熱起電力が発生し、エネルギー変換素子12の端子間に電圧が生じる。なお、エネルギー変換素子12に、2種類の金属の組み合わせを複数組内蔵させ、接続させることにより、熱起電力による電圧を調整することができる。
【0025】
また、コンデンサ素子11からの熱エネルギーにより発生した前述の電圧によって、コンデンサ素子11に印加される電圧が低減されるように、エネルギー変換素子12がコンデンサ素子11に電気的に接続されている。具体的には、図1に示すようにエネルギー変換素子12の一方端子が、コンデンサ素子11の陽極端子7と接続部材14によって電気的に接続しており、エネルギー変換素子12の他方端子が、接続部材15によって、コンデンサ素子11の陰極端子8と電気的に接続されている。これによって、コンデンサ素子11の陽極端子7にエネルギー変換素子12からのマイナスの電圧が印加され、陰極端子8に、エネルギー変換素子12からのプラスの電圧が印加される。このように電圧が印加されることで、コンデンサ素子11には逆電圧が印加される。
【0026】
樹脂外装体9は、エネルギー変換素子12の他主面B1が露出するように、コンデンサ素子11と共に、エネルギー変換素子12の他主面B1を覆うように形成されている。エネルギー変換素子12の他主面B1を露出させているのは、本実施例においては、熱発電素子の起電力は素子の温度差に依存するため、他主面B1を外気で冷却することにより、一主面Aとの温度差を大きくし、熱発電素子における発電効率を向上させるためである。コンデンサ素子で発生した熱は、コンデンサ素子とエネルギー変換素子との間に介在する樹脂外装体9を介して一主面A1に伝わる。
【0027】
陽極2は、弁作用金属またはその合金から形成されている。弁作用金属またはその合金としては、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウム等の金属の単体または合金を例示することができる。陽極2の形態としては、多孔質焼結体や、箔状の基体であってもよく、特に限定されるものではない。本実施例においては、ニオブ粉末を陽極形状にプレス成型した後、減圧及び高温下で焼結することにより作製した多孔質焼結体を用いている。このような多孔質焼結体は、比表面積が大きいため、コンデンサの容量を高めることができる。
【0028】
誘電体層3は、特に限定されるものではないが、例えば、陽極2の表面をリン酸等の水溶液中で陽極酸化させることにより形成することができる。本実施例では、陽極2として、ニオブの多孔質焼結体を用いており、誘電体層3としては、酸化ニオブを主体とした被膜が形成されている。
【0029】
導電性高分子層4は、固体電解質層として用いられるものであり、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等は特に導電性が高いため好ましく用いられる。導電性高分子は、1種類を単独で用いてもよいし、複数の種類を併用して用いてもよい。また、導電性高分子層4は、単一層であってもよく、複数の層を積層した構造を有していてもよい。複数層を積層した構造を有する場合、各層の導電性高分子層は同じ種類のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。本実施例においては、ポリピロールを用いた単一層で導電性高分子層4を形成している。
【0030】
図7は、本実施例の固体電解コンデンサの等価回路を示している。エネルギー変換素子12は、コンデンサ素子11と電気的に並列に接続されており、コンデンサ素子11の陽極端子にエネルギー変換素子12のマイナス側を接続し、コンデンサ素子11の陰極端子にエネルギー変換素子12のプラス側を接続している。
【0031】
コンデンサ素子11に短絡電流が流れた際、ジュール熱によりコンデンサ素子11が発熱し、その熱が電流を流れ易くすることから、コンデンサ素子11の発熱量がさらに大きくなり素子の破損を生じる場合がある。本発明によれば、コンデンサ素子11からの熱エネルギーをエネルギー変換素子12により電圧に変換し、この電圧をコンデンサ素子11への逆電圧としてコンデンサ素子11に印加できる。このため、コンデンサ素子11に印加される電位差が低減され、コンデンサ素子11に流れる電流を抑制できるためコンデンサ素子11の発熱を抑制することができる。
【0032】
よって、過大な短絡電流がコンデンサ素子11に流れた場合であっても、エネルギー変換素子12によってジュール熱を低減することができるため、コンデンサ素子11の発熱の抑制が可能となりコンデンサ素子11の破損を抑制すこことができる。
【0033】
以下、本実施例の固体電解コンデンサの製造工程を説明する。
【0034】
〔ステップ1〕
平均粒子径2μmのニオブ金属の粉末を焼結し、得られた多孔質焼結体を陽極2として用いた。なお、焼結する際、陽極リード線1となるニオブ線材を焼結体の中心に配置し、多孔質焼結体内にニオブ線材が埋設されるようにして焼結した。
【0035】
得られた陽極2を、60℃に保持した0.5重量%のリン酸水溶液中において、10Vの定電圧で8時間陽極酸化させ、陽極2の表面に酸化ニオブからなる誘電体層3を形成した。なお、陽極2は、多孔質体であるので、その内部の表面上にも誘電体層3が形成されている。
【0036】
〔ステップ2〕
次に、誘電体層3の表面上を被覆するように、ポリピロールからなる導電性高分子層4を化学重合等により形成した。
【0037】
〔ステップ3〕
次に、導電性高分子層4の上にカーボンペーストからなるカーボン層5及び銀ペーストからなる銀ペースト層6を順次形成し、陰極層を形成した。また、導電性接着剤を介して銀ペースト層6の上に陰極端子8を接続した。また、陽極端子7を陽極リード線1に溶接して接続した。
【0038】
〔ステップ4〕
エネルギー変換素子12として、幅が約2.5mm、長さが約5mm、厚さが約2.6mmであるゼーベック効果を利用したBi−Te系の熱発電素子(東北岡野エレクトロニクス社製)を用いた。このエネルギー変換素子12を、陰極端子8から1mmの距離となるように、耐熱性樹脂(GE東芝シリコーン製のシリコン樹脂(TSE3070))からなる固定部材13により取り付けた。次に、エネルギー変換素子12のプラス側端子に接続部材15を用いて陰極端子8を接続し、エネルギー変換素子12のマイナス側端子に接続部材14を用いて陽極端子7を接続した。接続部材14及び15としては、厚さ0.5mmのニッケル箔を1〜2mmの幅に切断したものを用い、これらの接続部材14及び15は、半田付けによりエネルギー変換素子12並びに陽極端子7及び陰極端子8に取り付けた。
【0039】
〔ステップ5〕
次に、コンデンサ素子11及びエネルギー変換素子12のコンデンサ素子11側の部分を覆うように、モールド成形により、エポキシ樹脂からなる樹脂外装体9を形成した。エネルギー変換素子の他主面B1が樹脂外装体9から露出するように、樹脂外装体9を形成した。本実施例においては、エネルギー変換素子の他主面B1を含む一部が樹脂外装体9から1mm程度露出するように樹脂外装体を形成した。
【0040】
以上のようにして、本実施例の固体電解コンデンサを20個作製した。
【0041】
(実施例2)
図3は、本発明の第1の局面に従う固体電解コンデンサの他の実施形態を示す概略断面図である。
【0042】
本実施例においては、エネルギー変換素子12の一方端子と陽極端子7の間にサーモスタット17を設けている。サーモスタット17は、コンデンサ素子11からの発熱を感知して、エネルギー変換素子に電流を流すためのスイッチング手段である。
【0043】
内部抵抗が低いエネルギー変換素子12をコンデンサ素子に並列に接続した場合、電流がエネルギー変換素子12に流れ、固体電解コンデンサに電荷が蓄積され難くなる可能性がある。よって、本実施例ではサーモスタットを設けることで、コンデンサ素子の温度が上昇した場合を除き、エネルギー変換素子12に電流が流れないため、固体電解コンデンサに電荷が蓄積される。
【0044】
具体的には、上記実施例1の〔ステップ4〕において、サーモスタット17の一方端子を陽極端子7に接続し、サーモスタット17の他方端子を接続部材14でエネルギー変換素子12の一方端子と接続した。本実施例では、サーモスタット17近傍において、120℃に温度上昇した際に、エネルギー変換素子12に電流が流れるように調整した。従って、本実施例において、サーモスタット17は、120℃に加熱されると、エネルギー変換素子12に電流を流す。これにより、エネルギー変換素子12は、コンデンサ素子11からの熱エネルギーを電気エネルギーに変換して、陽極端子7と陰極端子8の間に、これらの端子間の電圧を低減する逆の電圧を印加する。
【0045】
その他の構成は、実施例1と同様にして作製した。
【0046】
以上のようにして、本実施例の固体電解コンデンサを20個作製した。
【0047】
図8は、本実施例の固体電解コンデンサの等価回路を示している。図8に示すように、コンデンサ素子11にエネルギー変換素子12を電気的に並列に接続しており、コンデンサ素子11の陽極端子とエネルギー変換素子12のマイナス側との間にサーモスタット17を配置している。
【0048】
(実施例3)
図4は、本発明の第1の局面に従うさらに他の実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図である。
【0049】
上記実施例1及び実施例2の固体電解コンデンサにおいては、エネルギー変換素子12と、コンデンサ素子11とを電気的に並列に接続している。本実施例においては、エネルギー変換素子12と、コンデンサ素子11とを電気的に直列に接続している。
【0050】
図4に示すように、エネルギー変換素子12を、コンデンサ素子11の外周面の上に、固定部材13を介して取り付け、エネルギー変換素子12の一方端子を、コンデンサ素子11の外周面の銀ペースト層6と接続部材14により電気的に接続している。従って、エネルギー変換素子12のプラス側端子を、コンデンサ素子11の陰極側端子に接続している。
【0051】
また、図4に示すように、エネルギー変換素子12の他方端子に陰極端子8を接続している。従って、エネルギー変換素子12のマイナス側端子を、陰極端子8に接続している。
【0052】
その他の構成は、実施例1及び実施例2と同様にして作製している。
【0053】
以上のようにして、本実施例の固体電解コンデンサを20個作製した。
【0054】
図9は、本実施例の固体電解コンデンサの等価回路を示す図である。図9に示すように、コンデンサ素子11とエネルギー変換素子12を電気的に直列に接続している。
【0055】
(実施例4)
図5は、本発明の第2の局面に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図である。
【0056】
本実施例においては、図1に示す実施例1の固体電解コンデンサにおける熱発電素子であるエネルギー変換素子12に代えて、ペルチェ効果を利用した電子冷却素子であるエネルギー変換素子16を用いている。エネルギー変換素子16としては、幅が約4mm、長さが約4mm、厚さが約2.4mmである電子冷却素子を用いている。
【0057】
エネルギー変換素子16は、図5に示すように冷却面A2と放熱面B2とを有する。エネルギー変換素子16内部を電流が流れると、冷却面A2では温度が低くなり、放熱面B2では温度が高くなるため、冷却面A2がコンデンサ素子側となるようにエネルギー変換素子16を配置し、接続する。このようにエネルギー変換素子16を配することで、コンデンサ素子11に短絡電流が流れた際、冷却面A2の温度が低くなりコンデンサ素子11を冷却することができる。
【0058】
本実施例では、図5に示すように、エネルギー変換素子16のマイナス側端子を、接続部材14によって陽極端子7に接続し、エネルギー変換素子16のプラス側端子を接続部材15によって、陰極端子8に接続している。よって、エネルギー変換素子16に通電されると、エネルギー変換素子16において、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することにより、エネルギー変換素子16の冷却面A2の温度が低くなり、コンデンサ素子11を冷却することができる。なお、本実施例において、上述の記載のように接続を行ったが、エネルギー変換素子16の冷却面がコンデンサ素子11側に位置すればよく、上記接続方法に限られるものではない。
【0059】
上記の構成以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを20個作製した。
【0060】
図10は、本実施例の固体電解コンデンサの等価回路を示す図である。図10に示すように、コンデンサ素子11に、エネルギー変換素子16を電気的に並列に接続している。また、エネルギー変換素子16の冷却面A2を、コンデンサ素子11側に配置している。なお、本実施例においても、実施例2と同様にサーモスタットを設けてもよい。
【0061】
コンデンサ素子11に短絡電流が流れた際、ジュール熱によりコンデンサ素子11が加熱される。このような場合、コンデンサ素子11の温度が上昇することで短絡電流がさらに増大し、これにより発生したジュール熱によりコンデンサ素子11が破損する場合がある。本発明によれば、短絡電流の少なくとも一部をエネルギー変換素子16に流すことにより、エネルギー変換素子16が電気エネルギーを熱エネルギーに変換することが可能となりエネルギー変換素子16の温度が低くなりコンデンサ素子11を冷却することができる。
【0062】
よって、過大な短絡電流がコンデンサ素子11に流れた場合であっても、エネルギー変換素子16によりコンデンサ素子11自体を冷却することができるため、コンデンサ素子11の温度上昇を抑制し、それにより短絡電流を低減することでコンデンサ素子11の破損を抑制することができる。
【0063】
(実施例5)
図6は、本発明の第2の局面に従う他の実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図である。
【0064】
本実施例においては、エネルギー変換素子として、実施例4と同様に、電子冷却素子であるエネルギー変換素子16を用いている。本実施例では、図6に示すように、エネルギー変換素子16のマイナス側端子を接続部材14によってコンデンサ素子11の銀ペースト層6と接続し、エネルギー変換素子16のプラス側端子を陰極端子8と接続している。このようにエネルギー変換素子を配することで冷却面A2がコンデンサ素子側となる。なお、本実施例において、上述の記載のように接続を行ったが、エネルギー変換素子16の冷却面がコンデンサ素子11側に位置すればよく、上記接続方法に限られるものではない。
【0065】
上記の構成以外は、実施例3と同様にして固体電解コンデンサを20個作製した。
【0066】
図11は、本実施例の固体電解コンデンサの等価回路を示す図である。図11に示すように、コンデンサ素子11とエネルギー変換素子16とを電気的に直列に接続しており、エネルギー変換素子16の冷却面A2がコンデンサ素子11側に位置するようにエネルギー変換素子16を配置している。
【0067】
(比較例)
実施例1において、ステップ4を行わずに、ステップ3の次にステップ5のモールド成形による樹脂外装体の形成を行った。従って、エネルギー変換素子を設けずに、従来の固体電解コンデンサと同様にコンデンサ素子11のみを樹脂外装体で覆い、固体電解コンデンサを20個作製した。
【0068】
<過電圧印加試験>
実施例1〜5及び比較例の固体電解コンデンサについて、過電圧印加試験を行った。各固体電解コンデンサを、半田ゴテを用いて、コンデンサが加熱され過ぎないように、プリント基板の表面上に実装した。実装後、20Vの過電圧を2分間、各固体電解コンデンサに印加した。20Vを2分間印加する過電圧印加試験の条件は、通常の使用状態より大変厳しい条件である。この過電圧の印加により、発煙した素子の個数を測定した。その結果を表1に示す。なお、試験中の発煙個数は、20個に対する個数である。
【0069】
また、試験終了後の素子の破損個数を求め、その結果を表1に示した。また、素子の破損個数から、過電圧印加試験において素子が破損されなかった個数を算出し、以下の式により破損率を求め、表1に結果を示した。
【0070】
破損率(%)=(破損個数/20)×100
【0071】
【表1】
【0072】
表1に示すように、本発明に従う実施例1〜5の固体電解コンデンサは、比較例の固体電解コンデンサに比べ、試験中の発煙個数が少なく、かつ試験終了後の破損率が低くなっている。従って、本発明に従う固体電解コンデンサは、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた際に、コンデンサ素子が破損するのを抑制できることがわかる。
【0073】
実施例4,5の破損率は実施例1〜3の破損率と比較し低くなっている。この結果から、実施例1〜3に使用した熱発電素子による逆電圧の効果より、実施例4,5で使用した電子冷却素子によるコンデンサ素子への冷却効果のほうがコンデンサ素子の破損を抑制することがわかる。
【0074】
以上、具体的な実施形態及び実施例により、本発明の固体電解コンデンサを説明したが、本発明の固体電解コンデンサは、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではない。
【0075】
また、本発明の固体電解コンデンサは、パソコン、携帯電話等の各種情報端末、デジタルカメラ等の各種映像情報機器、その他の電子機器等に適用することができるものであり、これらの機器内において過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた際に、コンデンサ素子が破損するのを抑制することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の局面に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図。
【図2】本発明の第1の局面に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す概略平面図。
【図3】本発明の第1の局面に従う他の実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図。
【図4】本発明の第1の局面に従うさらに他の実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図。
【図5】本発明の第2の局面に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図。
【図6】本発明の第2の局面に従う他の実施形態の固体電解コンデンサを示す概略断面図。
【図7】図1及び図2に示す固体電解コンデンサの等価回路を示す図。
【図8】図3に示す固体電解コンデンサの等価回路を示す図。
【図9】図4に示す固体電解コンデンサの等価回路を示す図。
【図10】図5に示す固体電解コンデンサの等価回路を示す図。
【図11】図6に示す固体電解コンデンサの等価回路を示す図。
【符号の説明】
【0077】
1…陽極リード線
2…陽極
3…誘電体層
4…導電性高分子層
5…カーボン層
6…銀ペースト層
7…陽極端子
8…陰極端子
9…樹脂外装体
10…固体電解コンデンサ
11…コンデンサ素子
12…エネルギー変換素子(熱発電素子)
13…固定部材
14,15…接続部材
16…エネルギー変換素子(電子冷却素子)
17…サーモスタット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、
前記陽極表面に形成された誘電体層と、
前記誘電体層表面に形成された陰極層と、
前記陽極、前記誘電体層、及び前記陰極層から構成されるコンデンサ素子を覆う樹脂外装体と、
熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子とを備え、
前記コンデンサ素子からの熱エネルギーを変換することにより前記エネルギー変換素子から発生する電圧によって、前記コンデンサ素子に印加される電圧が低減されるように、前記エネルギー変換素子が前記コンデンサ素子に電気的に接続されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項2】
前記エネルギー変換素子が、ゼーベック効果を利用した熱発電素子であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
陽極と、
前記陽極表面に形成された誘電体層と、
前記誘電体層表面に形成された陰極層と、
前記陽極、前記誘電体層、及び前記陰極層から構成されるコンデンサ素子を覆う樹脂外装体と、
電気エネルギーを熱エネルギーに変換するエネルギー変換素子とを備え、
前記エネルギー変換素子によって、前記コンデンサ素子が冷却されるように、前記エネルギー変換素子が前記コンデンサ素子に電気的に接続されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項4】
前記エネルギー変換素子が、ペルチェ効果を利用した電子冷却素子であることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
前記エネルギー変換素子が、前記コンデンサ素子と電気的に並列に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項6】
前記コンデンサ素子からの発熱を感知して前記エネルギー変換素子に通電するスイッチング手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項7】
前記エネルギー変換素子が、前記コンデンサ素子と電気的に直列に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項1】
陽極と、
前記陽極表面に形成された誘電体層と、
前記誘電体層表面に形成された陰極層と、
前記陽極、前記誘電体層、及び前記陰極層から構成されるコンデンサ素子を覆う樹脂外装体と、
熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子とを備え、
前記コンデンサ素子からの熱エネルギーを変換することにより前記エネルギー変換素子から発生する電圧によって、前記コンデンサ素子に印加される電圧が低減されるように、前記エネルギー変換素子が前記コンデンサ素子に電気的に接続されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項2】
前記エネルギー変換素子が、ゼーベック効果を利用した熱発電素子であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
陽極と、
前記陽極表面に形成された誘電体層と、
前記誘電体層表面に形成された陰極層と、
前記陽極、前記誘電体層、及び前記陰極層から構成されるコンデンサ素子を覆う樹脂外装体と、
電気エネルギーを熱エネルギーに変換するエネルギー変換素子とを備え、
前記エネルギー変換素子によって、前記コンデンサ素子が冷却されるように、前記エネルギー変換素子が前記コンデンサ素子に電気的に接続されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項4】
前記エネルギー変換素子が、ペルチェ効果を利用した電子冷却素子であることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
前記エネルギー変換素子が、前記コンデンサ素子と電気的に並列に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項6】
前記コンデンサ素子からの発熱を感知して前記エネルギー変換素子に通電するスイッチング手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項7】
前記エネルギー変換素子が、前記コンデンサ素子と電気的に直列に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−10530(P2010−10530A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170059(P2008−170059)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
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