説明

土 嚢

【課題】 運搬しやすい袋体の土嚢を提供する。
【解決手段】 筒状の袋体2の底辺を折返した折返し部5に、織布からなる把持部3の一部を重ねて縫着すると共に、前記把持部3の折返し部より突出している部分に把持スリット4を穿孔する。袋体の上辺の袋口にはその袋口端8に沿って袋口閉鎖用の紐10を取り付ける。また、土嚢1の底部の両方の三角形の縫い合せ部7をそれぞれ斜めに縫合し、縫合により囲まれるそれぞれの縫い合せ部7に、縫合と平行に把持スリット4を穿孔する。把持部3に設けた把持スリット4と縫い合せ部7に設けた把持スリット4は、少なくともいずれか一方を設ければよい。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、土砂あるいは岩石を詰込み、人手により積み下し運搬する土嚢に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に、従来の土嚢の例を示す。
1は土嚢で、合成樹脂製繊維の筒状の織布で出来ている。土嚢1は、袋体2の底辺を所定の巾で折返して、この折返し部5を縫って閉じ、袋口には紐10が取り付けてある。
袋体2に土砂等を満杯に詰めたら、紐10を締めて袋口を閉じ、袋体2を抱えるように持って、土嚢1を運搬する。
【0003】
このように従来は、袋体2には袋口の紐10以外に手掛りがなく、土砂等を詰めると重く大変持ちにくかった。
さらに、折返し部5の両端の袋隅角部に土砂が入り込み、その部分が外側に突出して邪魔になり運搬しにくかった。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、持ちやすく運搬しやすい土嚢の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決する手段】
本考案では、筒状の袋体の底辺を折返して折返し部を形成し、この折返し部に、織布で出来た把持部の一端を重ねて縫着し、把持部を袋体の外に突出させると共に、この把持部に把持スリットを穿孔する。そして袋体の上辺の袋口にはその袋口端に沿って袋口閉鎖用の紐を取り付ける。
また、筒状の袋体を合成樹脂製繊維の織布により形成すると共に、袋体の底部の左右隅角部をそれぞれ斜めに縫合して三角形の縫合せ部を形成し、これら縫合せ部に把持スリットを穿孔する。
【0006】
【考案の実施の形態】
本考案の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本考案の土嚢の斜視図、図2は土砂あるいは岩石等を収納した土嚢を運搬する状態を示す斜視図である。
1は本考案の土嚢で、2はポリプロピレン製のフラットヤーンのような合成樹脂製繊維の織布を筒状に編成した袋体で、その一端を所定の巾で折返して土嚢1の底部を形成する。
3は把持部で、袋体と同様な合成樹脂製繊維の織布からなり、長方形に切断してその一側に短辺と平行に横長の把持スリット4を穿孔する。把持部は合成樹脂製繊維の織布で出来ているので、高熱の鏝のような溶断器具を使えば、簡単に把持スリット4を形成できる。
この把持部3を袋体2の底部中央に配置し、把持スリット4が袋体2の底部から外に突出し、把持スリット4が袋体2の折返しと平行になるように揃える。
この折返し部5と把持部3を重ねた状態で、折返し部5と把持部3を一体に縫合する。縫合は凧糸等の太い丈夫な糸6により、把持部3を強固に袋体2に固定する。さらに、袋体2の底部の隅角を斜めに横切って円弧状に縫合して三角形の縫合せ部7を形成する。
袋体2の袋口端8を外側に折返し、折返しの先端を袋体2に縫合して袋口端8の袋口に両端を開口した袋状の帯9を形成する。この袋状の帯9に紐10を挿通して、紐10の両端を引出す。
【0007】
この構成で、袋体2の袋口端8を開き、土砂あるいは岩石等を袋体2内に収納し、紐10の両端を引張って袋口端8を閉じ、紐10の両端を袋口端8の周囲に巻回して、袋口端8から土砂や岩石が洩れないように確実に絞束する。
土砂あるいは岩石等を収納した土嚢1を運搬するには、図2に示すように、一方の手で紐10の巻回部分を掴み、他方の手を把持部3の把持スリット4に差し込んで土嚢1を持上げて運搬する。
【0008】
図3は本考案の他の実施例で、袋体2の底部の隅角を斜めに糸6で縫合し、この縫合により形成した左右の三角形の縫い合せ部7に、隅角を斜めに横切る縫合の糸6と平行に把持スリット4をそれぞれ穿孔する。また、把持スリット4を穿孔した把持部3を縫着する。
袋体2が充分大きく、この袋体2に大量の土砂あるいは岩石を詰めると、図2のように一人で持運びすることができず、二人で持運ぶ場合がある。このときは袋体2の縫い合せ部7の把持スリット4を利用する。
袋体2に土砂あるいは岩石を詰め、紐10の両端を引張り袋口端8を閉じ、紐10の両端を袋口端8の周囲に巻回し、この紐10の巻回部分を一人が掴み、他の一人が左右の縫い合せ部7の把持スリット4に手を入れて、二人でこの土嚢1を持ち運ぶ。また、把持スリット4に代わり、左右の縫い合せ部7に紐10を挿通する丸孔を設け、左右の丸孔に別の紐10を通してその紐10を把持するようにしても、同等の効果が期待できる。
このように、土嚢1に大量の土砂あるいは岩石を詰めて運ぶ場合は二人で協力して運び、比較的少量の土砂あるいは岩石を詰めて運ぶ場合は、図2のように、把持部3の把持スリット4と袋口端8の紐10の巻回部分を掴んで一人で持運ぶことが出来る。
【0009】
前記実施例では把持部3を有するが、図4に示すように把持部3を省略してもよい。
把持部3を省略する場合には、袋体2の縫い合せ部7に把持スリット4を設ける。
【0010】
以上のように構成することにより、袋体2の袋口の紐10と底部の把持スリット4により、運搬する際の手掛りができ、容易に持運ぶことができる。
また、把持部3に把持スリット4を加工する作業も、取扱い易い単品で集中して作業することができ、作業性を上げることができる。
さらに、底部の三角形の縫い合せ部7を設けることにより、角隅部に土砂や岩石が入らないようにし、この部分の突出を抑えて持運びの際に邪魔にならないようにする。
【0011】
【考案の効果】
本考案では、袋体の底辺を折返して折返し部を形成し、この折返し部に、織布からなる把持部の一端を重ねて縫着して袋体の外に把持部を突出させると共に、この把持部に把持スリットを穿孔するので、縫合作業を増やすことなく、運搬の際の手掛りとなる把持スリットを設け作業性を改善できる。
さらに、土嚢の底部の両方の三角形の縫い合せ部を斜めに縫合し、この縫い合せ部に把持スリットを加工し、二人で持運ぶ場合には、この2つの縫い合せ部の把持スリットを把持して確実に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の土嚢の斜視図である。
【図2】図1の使用状態の説明図である。
【図3】本考案の他の土嚢の斜視図であり、把持部を有するものである。
【図4】本考案の他の土嚢の斜視図であり、把持部を有さないものである。
【図5】従来の土嚢の斜視図である。
【符号の説明】
1 土嚢
2 袋体
3 把持部
4 把持スリット
5 折返し部
6 糸
7 三角形の縫い合せ部
8 袋口端
9 袋状の帯
10 紐

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】筒状の袋体の底辺を折返して折返し部を形成し、この折返し部に、織布からなる把持部の一端を重ねて縫着して袋体の外に把持部を突出させると共に、この把持部に把持スリットを穿孔し、そして袋体の上辺の袋口にはその袋口端に沿って袋口閉鎖用の紐を取り付けてなる土嚢。
【請求項2】前記筒状の袋体と把持部を合成樹脂製繊維の織布により形成すると共に、前記袋体の底部の左右隅角部をそれぞれ斜めに縫合して三角形の縫合せ部を形成し、これら縫合せ部に把持スリットを穿孔してなる請求項1記載の土嚢。
【請求項3】筒状の袋体を合成樹脂製繊維の織布により形成すると共に、前記袋体の底部の左右隅角部をそれぞれ斜めに縫合して三角形の縫合せ部を形成し、これら縫合せ部に把持スリットを穿孔し、そして前記袋体の上辺の袋口にはその袋口端に沿って袋口閉鎖用の紐を取り付けてなる土嚢。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3055575号
【登録日】平成10年(1998)10月28日
【発行日】平成11年(1999)1月22日
【考案の名称】土 嚢
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平10−4926
【出願日】平成10年(1998)7月6日
【出願人】(598062206)有限会社 ナガイ (1)