説明

土壁材料

【課題】 本発明は、荒土に対して、砂、石灰、藁すさ、水等を適量配合して混練した組成の泥を用いた土壁の欠点である乾燥期間の長期化、硬度不足に起因して数年程度の短期間で早期劣化するという問題、粘土を大量に使用するためにコストが増大するとともに重量が重いために建材の耐久性が低下し易い、という不具合を解決することができる木造家屋等の土壁用材料を提供する。
【解決手段】 屋根土に対してセメント、砂、色粉及び稲わらを混ぜ、水で混練したものを材料とする土壁用材料であって、前記色粉は黄色酸化鉄であり、前記稲わらは長さ5cm程度に切ったものを使用する。そして、前記土壁用材料の配合比率は、前記屋根土20kg入が1袋に対し、前記セメント20kg入を1袋、前記砂がスコップ約10杯、そして前記色粉は黄色酸化鉄500g入りを2袋、そして稲わらが左官バケツ約3杯の割合である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば木造家屋における土壁材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本の木造家屋の軸組み構造においては、壁面部分にラス板を張り、この上に泥を塗り、乾燥させることにより土壁を構築する。
土壁は、季節によって温・湿度差の大きい日本の気候風土に適合し、温・湿度の調節機能を備えた優れた建築技術であって、室内の温・湿度の調節維持という機能の他に、断熱、防音、耐火という点で優れている。
【0003】
特に、木造家屋を構成する材料が結露、高湿度により急激に増殖する腐朽菌等によって劣化する。旧来の木造家屋においては、通気性を十分に確保できるので、結露等の発生がある程度防止されていたが、最近のようにグラスウール等の断熱材を用いると、家屋を気密化し、結露、吸湿等の湿気に関わる問題を更に深刻化している。
【0004】
木造家屋における結露、高湿度化による不具合を解決する手段として土壁は従来から知られている。従来の土壁は、粘土に対して、砂、石灰、藁、水等を適量配合して混練したのち、所要厚で壁に塗ったものである。
【0005】
泥は、塗る前に水に浸漬して長期間かけて十分養生し、藁などの植物繊維を分解するバクテリアの増殖させた上で、実用に供される。壁などに塗った泥は、通常一ヶ月以上自然乾燥させる必要があり、天候によっては乾燥期間は更に長期化する。また、乾燥時の自然条件によっては乾燥が過剰となってひび割れ、剥落を起こし、泥を塗り直す必要が発生することも多い。
【0006】
また、乾燥等の養生が不十分な場合には、家屋の完成後に、内装の内部の土壁にもひび割れ、剥落等が発生することがあり、この場合には内装を構成する壁を撤去しない限り修復不能であるため、土壁の機能を喪失する恐れがある。
【0007】
また、従来の泥は、粘土を大量に使用するため、泥の重量が大きくなり、建材に過負荷が常時加わり、これが原因で家屋の耐久性が低下する。また、最近では大量の粘土を入手するのが困難になり、建築コストアップの原因となっている。
【0008】
このように従来の土壁にあっては、使用する泥自体のコストも決して安くはなく、また塗った泥を乾燥するのに要する期間を含めた工事期間の長期化、施工コスト増、早期劣化をもたらす。更に、粘土を大量に使用するために泥の重量が大きくなっており、泥を保持する建材の耐久性が低下し易い状況にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、荒土に対して、砂、石灰、藁すさ、水等を適量配合して混練した組成の泥を用いた土壁の欠点である乾燥期間の長期化、硬度不足に起因して数年程度の短期間で早期劣化するという問題、粘土を大量に使用するためにコストが増大するとともに重量が重いために建材の耐久性が低下し易い、という不具合を解決することができる木造家屋等の土壁用材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明に係る土壁用材料は、屋根土に対してセメント、砂、色粉及び稲わらを混ぜ、水で混練したものを材料とする土壁用材料であって、
前記色粉は黄色酸化鉄であり、
前記稲わらは長さ5cm程度に切ったものを使用することを特徴とする。
また、前記土壁用材料の配合比率は、前記屋根土20kg入が1袋に対し、前記セメント20kg入を1袋、前記砂がスコップ約10杯、そして前記色粉は黄色酸化鉄500g入りを2袋、そして前記稲わらが左官バケツ約3杯の割合であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、屋根土に対して、セメント、砂、色粉、稲わら、水等を適量配合して混練した組成の泥を用いることによって、土壁の欠点である乾燥期間の長期化、硬度不足に起因して数年程度の短期間で早期劣化するという不具合を解決することができる。
【0012】
また、使用する土として軽量の屋根土を主に使用するので、泥の比重を大幅に小さくして建材に対する過負荷が防止できる。
【0013】
即ち、屋根土に対して、セメント、砂、色粉、稲わらを混ぜて水にて混練した泥を、泥保持手段上に塗布するので、泥が硬化した後に、泥中のセメントの存在により、泥の硬化が早まり、硬化後の強度も高まる。
【0014】
しかも、土壁に求められる通気性、吸湿性、防音性、耐火性等々の利点をそのまま維持することができる。そして前記土は、屋根土、セメント、砂を主成分とするので、格別高価格な材料を使用せずに、従来の土壁の欠点を解決することができる。
【0015】
さらに、色粉として黄色酸化鉄を使用するので、昔ながらの美しい土壁を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
本発明は、前記したように木造家屋の軸組みを構成する木材(角材、板等)のうち、側壁部分を土壁とする際に、側壁部分(泥保持手段)に塗り込む土壁用材料に関するものである。そして本発明に係る土壁用材料は、土として屋根土、すなわち水、土、わらを混ぜ合せて練り上げたものに、セメント、砂、色粉、わらを所要量混ぜ、水で混練したものを材料とする土壁用材料である。これを泥保持手段上に塗布して土壁を作る。
【0017】
本発明の土壁用材料は、土として屋根土を使用する。屋根土は、水、土、わらを混ぜて練り上げたものである。
【0018】
上記屋根土に混ぜる他の成分としては、セメント、砂、色粉そして稲わらである。
【0019】
前記セメントを混ぜることによって乾燥速度を高めることができる外、強固な土壁を得ることができる。
【0020】
土壁用材料を構成する素材及びその配合比率については大略次の通りである。
【0021】
まず土として屋根土を使用するが、これを20kg入りを1袋、セメントは20kg入り1袋、砂をスコップ約10杯、色粉として黄色酸化鉄500g入りを2袋、稲わらを長さ5cm内外に切ったものを左官バケツ約3杯の割合で混練する。
【0022】
前記屋根土としては、馬場商店製のものが好ましい。また前記黄色酸化鉄としては、スーパーオーカー・エリスが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根土に対してセメント、砂、色粉及び稲わらを混ぜ、水で混練したものを材料とする土壁用材料であって、
前記色粉は黄色酸化鉄であり、
前記稲わらは長さ5cm程度に切ったものを使用することを特徴とする土壁用材料。
【請求項2】
前記土壁用材料の配合比率は、前記屋根土20kg入が1袋に対し、前記セメント20kg入を1袋、前記砂がスコップ約10杯、そして前記色粉は黄色酸化鉄500g入りを2袋、そして前記稲わらが左官バケツ約3杯の割合であることを特徴とする請求項1記載の土壁用材料。

【公開番号】特開2006−241923(P2006−241923A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62236(P2005−62236)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(591284003)株式会社エコ計画 (8)