説明

土質改良機

【課題】土質改良材供給装置から排出される土質改良材のサンプリングに関わる作業を省力化することができる土質改良機を提供する。
【解決手段】土砂と土質改良材とを混合する土質改良機において、本体フレーム3と、この本体フレーム3上に支持された土質改良材の貯留タンク15と、この貯留タンク15から土質改良材を排出するフィーダ16と、土質改良材を受け入れる容器54を支持する計量器51と、この計量器51を支持する支持台50と、フィーダ16の土質改良材の排出口39の下方位置から容器54の土質改良材の受入口まで延在する着脱可能なシュート55とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土砂と土質改良材とを混合する土質改良機に関する。
【背景技術】
【0002】
土質改良機は、土質改良材供給装置から供給された土質改良材とともに改質対象とする土砂を混合する。その際、土砂に対する土質改良材の添加量の精度を確保するために、土質改良材供給装置による土質改良材の単位駆動時間当たり又は積算容量当たりの供給重量、つまり土質改良材の嵩比重に相当する値の精度を確保する工夫がなされてきた。代表的には、土質改良材供給装置のフィーダの回転速度と土質改良材の供給重量との一定の関係を予め設定しておき、その設定に従ってフィーダの回転速度を決めるものがある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−256589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、土質改良材の供給重量とフィーダの回転速度との関係について過去に現場の運転条件下で得た測定値又は理論的に得られた値が、今回の現場において土質改良機を稼動させた場合の現実の値と一致又は近似するとは限らない。土質改良材供給装置のフィーダの回転速度と土質改良材の供給重量との関係を適正に把握する上では、その現場で使用する土質改良材を土質改良材供給装置の実物を使って実際の運転条件下で供給してみて、その供給重量を実測することが重要である。
【0005】
しかしながら、土質改良機の実物を用いて実際の現場で土質改良材供給装置の試運転を実施して、土質改良材供給装置から排出される土質改良材をサンプリングしてその重量を測定する作業は作業者に色々と負担を強いる。例えば、土質改良材供給装置のフィーダから排出される土質改良材を容器で受けてサンプリングすることになるが、サンプリングした土質改良材は相応の重量(例えば20kg程度)があり、これを計量器のところまで運ぶ作業は重労働である。また、計量後の土質改良材は土質改良材供給装置に戻すことになるが、土質改良材のタンクは一般に機体最上部に位置しており、土質改良材を持ってタンクのところまで上るのも相当に重労働である。そして、計量により得られるデータの信頼性を高めるためにはできるだけサンプリング量を多くする必要があり、サンプリング量を200kg、1t等と設定すれば土質改良材の運搬に要する労力は益々増える。
【0006】
本発明の目的は、土質改良材供給装置から排出される土質改良材のサンプリングに関わる作業を省力化することができる土質改良機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、土砂と土質改良材とを混合する土質改良機において、本体フレームと、この本体フレーム上に支持された土質改良材の貯留タンクと、この貯留タンクから土質改良材を排出するフィーダと、このフィーダから排出される土質改良材を受け入れる容器を支持しつつ、土質改良材の重量を計量する計量器と、この計量器を前記本体フレームに対して支持する支持手段と、前記フィーダの土質改良材の排出口の下方位置から前記容器の土質改良材の受入口まで延在する着脱可能なシュートとを備えたことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記計量器は前記容器を載せる床置き式の計量器であり、前記支持手段は前記本体フレームに取り付けた支持台であることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、前記支持台は可動式であることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第1の発明において、前記計量器は前記容器を吊り下げるフックを有する吊り下げ式の計量器であり、前記支持手段は前記本体フレームに設けたクレーンであることを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、第4の発明において、前記容器はフレキシブルコンテナであり、前記貯留タンクの入口には前記フレキシブルコンテナを切り裂くカッタが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、土質改良材供給装置から排出される土質改良材のサンプリングに関わる作業を省力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る土質改良機の全体構造を表す側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る土質改良機のフィーダの近傍の拡大図であり、カバーを付けたままの状態を表している。
【図3】本発明の一実施の形態に係る土質改良機のフィーダの近傍の拡大図であり、カバーを取り外した状態を表している。
【図4】本発明の一実施の形態に係る土質改良機の土質改良材のサンプリング用のシュートを設置した状態を表す図であり、図2及び図3に対応する図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る土質改良機の土質改良材のサンプリング用のシュートを設置した状態を表す図であり、土質改良機の背面図(後面図)である。
【図6】図4におけるシュート付近の拡大図である。
【図7】図5におけるシュート付近の拡大図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る土質改良機に備えられたシュート単体の後面図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る土質改良機に備えられたシュート単体の平面図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る土質改良機に備えられたシュート単体の左側面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る土質改良機を用いて土質改良材のサンプリング作業を実施する様子を表した図であり、図5に対応した図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る土質改良機を用いて土質改良材のサンプリング作業を実施する様子を表した図であり、第1の実施の形態の図11に対応した図である。
【図13】比較例を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0015】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の一実施の形態に係る土質改良機の全体構造を表す側面図である。本実施形態において、図1中の左・右をそれぞれ機体の前・後とする。
【0016】
図1に示した土質改良機は、自力走行するための走行体1、改質対象土砂を受け入れるためのホッパ12、ホッパ12に受け入れられた土砂を搬送する搬送コンベヤ13、土砂に土質改良材を供給する土質改良材供給装置14、土砂と土質改良材を混合処理する混合装置19、混合装置19から排出された改良土を搬送し機外に排出する排出コンベヤ26、及び各搭載機器の動力源等を内蔵したパワーパック(動力装置)21を備えている。
【0017】
走行体1は、左右一対の走行装置2、及び走行装置2の上部にほぼ平行に設けた左右一対の本体フレーム3で構成されている。走行装置2は、本体フレーム3の下部に連設したトラックフレーム4、トラックフレーム4の両端にそれぞれ設けた従動輪(アイドラ)5及び駆動輪6、従動輪5及び駆動輪6に掛け回した履帯(無限軌道履帯)7、及び駆動輪6に直結した走行用の駆動装置8を備えている。本体フレーム3は前後方向にほぼ水平に延在している。この本体フレーム3上には複数の支持ポスト9が立設されていて、これら支持ポスト9によって、本体フレーム3の長手方向の一方側(機体後方側)の上方に配置した支持フレーム10、及び本体フレーム3の長手方向のほぼ中央部の上方に配置した支持フレーム11が支持されている。
【0018】
ホッパ12は、上下が開口した枠型の部材であって上方に向かって拡がった形状をしている。このホッパ12は、支持フレーム10を介して本体フレーム3の後部に支持されている。搬送コンベヤ13は、上記支持ポスト9等で支持されていて、ホッパ12の下方から混合装置19の上面後部に設けた入口(不図示)の上方にかけてほぼ水平に延在している。
【0019】
土質改良材供給装置14は、土質改良材を貯留する貯留タンク15、貯留タンクの下部に連設し下方に向かって縮径するシュート17、及びシュート17により導かれた貯留タンク15内の土質改良材を土砂に供給するフィーダ16を備えており、上記支持フレーム11を介し本体フレーム3のほぼ中央部上に配設されている。貯留タンク15は、伸縮自在なフレキシブルな材料、例えばポリエチレン系ゴム材料で構成されており、土質改良機をトレーラ等で輸送する場合には、図1の状態から下方に縮めて高さを抑えることができるようになっている。また、貯留タンク15は複数の補強リング33で強度が確保されているが、これら補強リング33のピッチは貯留した土質改良材からの内圧が上がる下方ほど狭くしてある。
【0020】
機体左側(図1中の紙面直交方向手前側)には、この土質改良材供給装置14の側方に位置するようにクレーン18が配設されている。このクレーン18は、土質改良材を充填した例えばフレキシブルコンテナ(トンパック)等を貯留タンク15の上方に吊るし、フレキシブルコンテナ内の土質改良材を貯留タンク15に充填する場合等に用いられる。
【0021】
なお、フレキシブルコンテナとは、粉末或いは粒状物を保管又は運搬するための袋状の包材をいい、一般にポリエチレンやポリプロピレン等の上部な化学繊維でできたシートで形成されている。貯留タンク15内に土質改良材を供給するときは、貯留タンク15の天板部に設けた蓋31を開けて該タンクの入口を開放し、クレーン18によりフレキシブルコンテナを吊り上げて貯留タンク15の入口に挿入する。すると、入口に垂設したタンク内のカッタ32に対してフレキシブルコンテナが自重で押し付けられ、フレキシブルコンテナの下部がカッタ32によって切り裂かれて、フレキシブルコンテナ内部の土質改良材が貯留タンク15内に充填される。
【0022】
混合装置19は、搬送コンベヤ13から導入された土砂を土質改良材とともにパドル状の複数の攪拌手段(不図示)によって混合し改良土を生成するものであって、本体フレーム3の長手方向ほぼ中央上に設けられてフィーダ16の下方に位置している。搬送コンベヤ13の放出端(前端部)からこの混合装置19の土砂及び土質改良材の入口(不図示)にかけての空間はカバー20で包囲されている。このカバー20は上記フィーダ16の土質改良材の排出口39(図3参照)の周囲を併せて包囲していて、混合装置18の入口に投入される土砂及び土質改良材の飛散を抑制している。
【0023】
パワーパック21は、本体フレーム3の前端部上に支持されている。このパワーパック21の後方側の区画には、走行装置2を操作する操作レバー(不図示)等を備えた運転席(不図示)が設けられる場合がある。走行操作はリモコン操作でなされる場合もある。また、図1では示されていないが、機体右側面でパワーパック21の下方位置には混合装置19等の各搭載機器を操作する操作盤(不図示)が設けられている。
【0024】
排出コンベヤ26は、左右の走行装置2の間における混合装置19の出口の下方付近から前方に所定距離だけ前方にほぼ水平に延在した後、パワーパック21の下方付近で折れ曲がり、前方に向かって上方に傾斜して延在している。排出コンベヤ26の後部側(搬送方向上流側)は図示しない支持部材を介して本体フレーム3に、前部側(搬送方向下流側)は支持部材28,29等を介してパワーパック21の前部に、それぞれ吊り下げ支持されている。また、排出コンベヤ13の前端のプーリには排出コンベヤ26用の駆動装置27が連結されている。
【0025】
図2及び図3はフィーダ16の近傍の拡大図であり、図2はカバー20を付けたままの状態、図3はカバー20を取り外した状態を表している。
【0026】
図2及び図3に示したフィーダ16は、いわゆるスクリューフィーダであり、円筒状のケーシング34と、このケーシング34に収容されたスクリュー(図示せず)と、このスクリューをケーシング34に対して回転自在に支持する軸受35と、フィーダ16用の駆動装置(油圧モータ等)36と、この駆動装置36の動力をスクリューに伝達する駆動伝達装置37とを備えている。ケーシング34は、それ自体がシュート17の下部に接合されるとともに、支持部材38を介してシュート17の外壁面に連結されることによって固定されている。また、ケーシング34の土質改良材の移送方向の下流側の端部(本例では後端部)には土質改良材を排出する排出口39(図3参照)が下向きに開口していて、この排出口39が搬送コンベヤ13の放出端の上方に位置している。
【0027】
クレーン18は、機械幅方向一方側(本例では左側)の本体フレーム3に取付けた支持台40上を介し、本体フレーム3に設けられている。このクレーン18は、支持台40に旋回自在に立設したポスト41、ポスト41に対して上下に揺動可能に連結された伸縮式ブーム42、この伸縮ブーム42の先端にワイヤを介して吊り下げたフック43、ポスト41を旋回させる旋回装置44、伸縮式ブーム42を俯仰動させるシリンダ45、伸縮式ブーム42を伸縮させる伸縮装置(不図示)、及びワイヤの巻き上げ装置(不図示)を備えている。
【0028】
ここで、図3に示したように、フィーダ16の排出口39及び混合装置19の入口の周囲に配置したカバー20の取り付け枠49には、排出口39の機械幅方向一方側(本例では左側)に対向する位置にボルト穴46が設けられている。そして、この取り付け枠49よりも排出口39の機械幅方向一方側(本例では左側)やや下方に位置する搬送コンベヤ13の駆動装置48のフレーム部分にも、ボルト穴47が設けられている。また、この駆動装置48よりも排出口39の機械幅方向一方側(本例では左側)やや下方に位置する左側の本体フレーム3には、支持台50が設けられている。ボルト穴46,47には土質改良材のサンプリングに用いるシュート(図4等参照)が取り付けられ、支持台50にはサンプリングした土質改良材の重量を計量する計量器(図11参照)が載せられる。
【0029】
図4及び図5は土質改良材のサンプリング用のシュートを設置した状態を表す図であり、図4は図2及び図3に対応する図、図5は土質改良機の背面図(後面図)である。但し、図5においては、要部の明確化のため、支持ポスト9、支持フレーム10,11、ホッパ12、クレーン18、パワーパック21等を図示省略している。
【0030】
図4及び図5に示すように、支持台50は、サンプリングした土質改良材の重量を計量する床置き式の計量器51(図11参照)を本体フレーム3に対して支持する支持手段として機能する。この支持台50は、四角形状の平板で構成された可動式の台であって、前後に延びる軸52を介して本体フレーム3に取り付けられており、不使用時には鉛直に起立させて格納姿勢(図5中の二点鎖線参照)をとることができる。水平な展開姿勢(図5中の実線参照)に移行した際には、本体フレーム3の左側面に取り付けた支持部材53に基部底面が支持されることによって、支持台50には、想定されるサンプリング量の土質改良材を受け入れる容器54(図11参照)及び計量器51(図11参照)の合計重量を十分に支持することができる程度の耐荷重が付与されている。
【0031】
図6及び図7はそれぞれ図4及び図5におけるシュート付近の拡大図、図8−図10はそれぞれシュート単体の後面図、平面図、左側面図である。
【0032】
これら図6−図10に示したように、シュート55は、樋状のシュート本体56と、このシュート本体56を取り付けるための取り付け部57,58とを備えている。取り付け部57は、シュート本体56の長手方向の中間部において両縁部に掛け渡されたビーム59と、このビーム59の中央位置から上方に延びる吊り部60とを備えており、吊り部60の上端部に設けたその貫通穴61(図10等参照)に通したボルト62(図6等参照)を介して前述したボルト穴46(図3参照)に固定されている。一方の取り付け部58は、取り付け部57よりも土質改良材のガイド方向の下流側(本実施の形態では左側)においてシュート本体56の下部に取り付けられており、その貫通穴63(図10等参照)に通したボルト64(図6等参照)を介して前述したボルト穴47(図3参照)に固定されている。したがって、ボルト62,64を着脱することでシュート55は土質改良機に対して着脱可能である。取り外したシュート55は、例えばパワーパック21に設けた収容部(不図示)に収容できるようにすることができる。そして、シュート55は、図6等に示したように取り付けた場合、シュート本体56がフィーダ16の土質改良材の排出口39の下方位置から、支持台50上に計量器51(図11参照)を介して載せた容器54(図11参照)の土質改良材の受入口の上方まで下り傾斜に延在する。
【0033】
図11は土質改良材のサンプリング作業を実施する様子を表した図であり、先の図5に対応した図である。
【0034】
図11において、展開した支持台50上に床置き式の計量器51が載せられている。この計量器51上にはフィーダ16から排出されたサンプルの土質改良材を受け入れる容器54が載せられ、容器54は計量器51を介して支持台50に支持されている。計量器51や容器54は、例えばパワーパック21に設けた収容部(不図示)に収容できるようにすることができる。また、容器54は所要の剛性を持った床置き式の器であり、クレーン18で吊ったり作業者が持ち運んだりし易いように当該容器54を吊り下げられる把手65を有している。容器54には、所要のサンプリング量(少なくとも20kg程度)を受け入れるだけの容量が求められる。
【0035】
上記構成の土質改良機の基本動を説明する。
【0036】
油圧ショベルやコンベヤ等によってホッパ12に改質対象となる土砂が投入されると、ホッパ12に受け入れられた土砂が搬送コンベヤ13により混合装置19に向かって搬送される。搬送中、搬送コンベヤ13上の土砂に対し土質改良材供給装置14によって土質改良材が供給され、土砂は土質改良材とともに混合装置19に供給される。これら土砂及び土質改良材は、混合装置19内で攪拌手段(不図示)によって混合処理される。混合装置19で混合処理された改良土は排出コンベヤ26上に排出され、排出コンベヤ26によって機外に搬出される。
【0037】
次に土質改良材のサンプリング及び計量の作業について説明する。
【0038】
土質改良材のサンプリング作業をする場合、まず、図11のように支持台50を水平に展開し、支持台50上に計量器51を介して容器54を置く。ボルト62,64によってシュート55を土質改良機に取り付け、フィーダ16の排出口39から容器54の上部にかけてシュート55を掛け渡す。そして、土質改良機を稼動する現場で実際に使用する土質改良材を土質改良材供給装置14の貯留タンク15に充填する。これら計量器51及び容器54の設置、シュート55の設置、及び土質改良材の充填の手順は順不同で良い。
【0039】
その後、当該現場で想定される実際の運転条件(フィーダ16の駆動速度)で土質改良材供給装置14を運転すると、フィーダ16の排出口39から排出される土質改良材がシュート55にガイドされて容器54に受けられる。運転開始から一定時間でフィーダ16を停止させ、計量器51の表示を確認し必要に応じて計量結果の記録を取る。或いは、計量器51の表示を見ながらその表示が一定の値に達したらフィーダ16を停止させ、必要に応じて運転時間及び計量結果の記録を取る。計量後は、容器54の把手65にフック43をかけてクレーン18で貯留タンク15の上方に容器54を移動させ、作業者が貯留タンク15の蓋31を開けて容器54を傾ける等して容器54内の土質改良材を貯留タンク15に戻す。
【0040】
ここで、比較例を図13に表す。図13において、本実施の形態の土質改良機と共通する部分については既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0041】
図13の比較例に係る土質改良機には、支持台50やシュート55がなく、土質改良材のサンプリングのためには、狭く奥まったフィーダ16の排出口39の下部スペースまで作業者が上っていって容器100を設置し、例えば一定時間フィーダ16を駆動した後、再び機体を上って土質改良材を受け入れて重量を増した容器100を持って下りる。そして、その容器100を別途用意した計量器(不図示)に載せて計量した後、今度は容器100を貯留タンク15の上まで運んで土質改良材を貯留タンク15に戻す。
【0042】
この場合、(1)フィーダ16の下部から土質改良材の入った容器100を回収する際に無理な姿勢で容器100を引きずり出す作業、(2)土質改良材を受け入れて相応の重量のある容器100を計量器まで運ぶ作業、(3)計量後の土質改良材を貯留タンク15に戻すにあたって貯留タンク15の上に容器100を運ぶ作業は、いずれも重労働であり作業者に負担を強いる。
【0043】
それに対し、本実施の形態によれば、支持台50上に計量器51を介して設置された容器54にシュート55を設置して土質改良材が導かれるので、上記(1)(2)の作業がなくなる。よって、土質改良材供給装置14から排出される土質改良材のサンプリングに関わる作業を省力化することができる。また、十分なサンプリング量を確保することができるので、結果として得られる土質改良材の嵩比重のデータの信頼性も向上させることができる。
【0044】
また、本実施の形態の場合、クレーン18を有しているので、容器54に把手65を設けたことで、クレーン18で容器54を吊り下げることができるため、上記(3)の作業もなくなる。この点も、土質改良材のサンプリングに関わる作業の省力化に大きく貢献する。
【0045】
また、合計のサンプリング量を増やすために、容器54の設置、フィーダ16の運転、及び貯留タンク15への土質改良材の戻し入れの一連の工程を繰り返し行う場合にも、その一連の工程中、土質改良材の入った容器54を作業者が運搬しなければならない場面がなく、作業者の労力を抑制することができる。この場合、サンプリング量の増大によりデータ信頼性をさらに向上させることができる。
【0046】
なお、本実施の形態においては、クレーン18を車載した場合を例に挙げて説明したが、シュート55を介して支持台50上の開けたスペースに設置した容器54で土質改良材を受け入れることができるので、別途用意したクレーンを用いても土質改良材の戻し入れの作業は円滑に行える。したがって、クレーン18は必ずしも土質改良機に搭載されている必要はない。また、土質改良材の戻し入れの作業を人力で行うとしても、シュート55及び支持台50の設置によって上記作業(1)(2)の労力を削減することができるので、クレーン18を省略しても、省力化及びデータ信頼性の向上に係る一定の効果は得られる。
【0047】
また、その他にも次のような効果が得られる。
【0048】
例えば、シュート55が取り付けられた状態ではフィーダ16から排出された土質改良材が混合装置19に入らないが、シュート55は着脱式であるため、シュート55を取り外せば土質改良作業の邪魔になることはない。
【0049】
また、土質改良作業が終了したときに貯留タンク15内に土質改良材の余剰分が残存している場合、土質改良機のメンテナンス等何らかの理由で貯留タンク15内に残留する土質改良材を排出する必要がある場合にも、支持台50を展開して容器54及びシュート55を設置することで、フィーダ16を駆動するだけで貯留タンク15内の土質改良材を容易に抜き取ることができる。その際、クレーン18と容器54との間に計量器51が介在している必要はない。
【0050】
また、自走式の土質改良機においては、使用する土質改良材の種類や改質対象土砂の性状、運転条件が異なる様々な現場で稼動し得る実情から、本実施の形態のように自走式土質改良機を対象とする場合には、特に適用による有意性が大きい。
【0051】
なお、本実施の形態において、支持台50を可動式とした場合を例に挙げて説明したが、支持台50は固定式であって良い。また、場合によっては、専用の支持台を設けるのではなく、履帯7を支持台として兼用し、容器54の大きさによっては履帯7上に計量器51を介して当該容器54を設置する構成とすることもできる。
【0052】
<第2の実施の形態>
図12は本発明の第2の実施の形態に係る土質改良機を用いて土質改良材のサンプリング作業を実施する様子を表した図であり、第1の実施の形態の図11に対応した図である。
【0053】
第1の実施の形態では支持台50上に計量器51及び容器54を置いてサンプリング作業を行ったのに対し、本実施の形態は、計量器71を介してクレーン18によって吊るした容器72にシュート55を介して土質改良材を導く点で相違する。すなわち、第1の実施の形態では支持台50が“本体フレームに対して計量器を支持する支持手段”として機能として機能していたのに対し、本実施の形態ではクレーン18が“本体フレームに対して計量器を支持する支持手段”として機能する。
【0054】
本実施の形態における計量器71は、容器72を吊り下げるフック73を有する吊り下げ式の計量器(クレーンスケール)であり、容器72はこの計量器71に吊り支持される。その容器72は、本実施の形態では前述したフレキシブルコンテナを用いている。その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、図12において既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0055】
本実施の形態において、土質改良材のサンプリング作業をする場合、まず図12のようにボルト62,64によってシュート55を土質改良機に取り付け、計量器71を介して容器72をクレーン18に吊るし、シュート55から放出される土質改良材が容器72に流入するようにクレーン18を操作して容器72の位置を合わせる。そして、土質改良機を稼動する現場で実際に使用する土質改良材を土質改良材供給装置14の貯留タンク15に充填する。計量器71及び容器72の設置、シュート55の設置、及び土質改良材の充填の手順は順不同で良い。
【0056】
その後、当該現場で想定される実際の運転条件(フィーダ16の駆動速度)で土質改良材供給装置14を運転すると、フィーダ16の排出口39から排出される土質改良材がシュート55にガイドされて容器72に受けられる。運転開始から一定時間でフィーダ16を停止させ、計量器71の表示を確認し必要に応じて計量結果の記録を取る。或いは、計量器71の表示を見ながらその表示が一定の値に達したらフィーダ16を停止させ、必要に応じて運転時間及び計量結果の記録を取る。計量後は貯留タンク15の蓋31を開け(予め開けておいても良い)、クレーン18を操作してそのまま容器72を貯留タンク15に挿入する。これにより、前述したように貯留タンク15内のカッタ32(図1参照)で容器72の底部が切り裂かれ、容器72内の土質改良材が貯留タンク15内に戻される。
【0057】
本実施の形態においても、クレーン18で計量器71を介して設置された容器72にシュート55を設置して土質改良材が導かれるので、上記(1)(2)の作業がなくなる。さらには、そもそもクレーン18で容器72を吊るしており、しかも容器72がフレキシブルコンテナであるため、計量後の土質改良材の貯留タンク15への戻し入れ作業の負担が第1の実施の形態に比べても軽減される。また、クレーン18による吊り構造とすることにより、支持台50の面積に制約を受けないため容器72の容量を大きくする(サンプリング量を確保する)上でも有利である。
【0058】
また、シュート55は着脱式であるため、第1の実施の形態と同様にシュート55を取り外せば土質改良作業の邪魔になることはない。貯留タンク15内に残留する土質改良材を排出する必要がある場合にも、シュート55及び容器72を図12のように設置すれば、フィーダ16を駆動するだけで貯留タンク15内の土質改良材を容易に抜き取ることができる。その際、クレーン18と容器72との間に計量器71が介在している必要はない。自走式土質改良機を対象とした場合に適用による有意性が特に大きい点も同様である。
【0059】
なお、本実施の形態では、カッタ32を利用した土質改良材の戻し入れを想定してフレキシブルコンテナを容器72として用いたが、サンプリング作業を実行する限りにおいては計量器71のフック73に吊り下げられれば良いので、吊り下げ用の把手等を有する容器であればフレキシブルコンテナ以外の容器であっても当然ながら適用可能である。
【0060】
また、図12では支持台50を図示しているが、図12の作業態様を採る限りにおいて支持台50は必要ないため、支持台50を省略しても良い。
【0061】
<その他>
以上においては、ホッパ12に直接土砂が投入される土質改良機の混合装置19を適用対象とした場合を例に挙げて説明したが、ホッパ12の上部に土砂中の異物を除去する振動式又は固定式の篩を設けた土質改良機も対象となり得る。また、履帯7を有するクローラ式の走行装置を備えた土質改良機を適用対象とした場合を例に挙げて説明したが、いわゆるホイール式の走行装置を備えた土質改良機も適用対象となり得る。また自走機能を有さない固定式の土質改良機にも適用し得る。さらには、フィーダ16としてスクリューフィーダを備えた土質改良材供給装置を有する土質改良機を適用対象とした場合を例に挙げて説明したが、スクリューフィーダに代えてロータリフィーダを備えた土質改良機も適用対象となり得る。
【符号の説明】
【0062】
3 本体フレーム
15 貯留タンク
16 フィーダ
18 クレーン(支持手段)
32 カッタ
39 排出口
50 支持台(支持手段)
51 計量器
54 容器
55 シュート
71 計量器
72 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂と土質改良材とを混合する土質改良機において、
本体フレームと、
この本体フレーム上に支持された土質改良材の貯留タンクと、
この貯留タンクから土質改良材を排出するフィーダと、
このフィーダから排出される土質改良材を受け入れる容器を支持しつつ、土質改良材の重量を計量する計量器と、
この計量器を前記本体フレームに対して支持する支持手段と、
前記フィーダの土質改良材の排出口の下方位置から前記容器の土質改良材の受入口まで延在する着脱可能なシュートと
を備えたことを特徴とする土質改良機。
【請求項2】
前記計量器は前記容器を載せる床置き式の計量器であり、
前記支持手段は前記本体フレームに取り付けた支持台である
ことを特徴とする請求項1に記載の土質改良機。
【請求項3】
前記支持台は可動式であることを特徴とする請求項2に記載の土質改良機。
【請求項4】
前記計量器は前記容器を吊り下げるフックを有する吊り下げ式の計量器であり、
前記支持手段は前記本体フレームに設けたクレーンである
ことを特徴とする請求項1に記載の土質改良機。
【請求項5】
前記容器はフレキシブルコンテナであり、
前記貯留タンクの入口には前記フレキシブルコンテナを切り裂くカッタが設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の土質改良機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−47423(P2013−47423A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186275(P2011−186275)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)