説明

圧力スイッチ

【課題】ポンプの吐出口とバルブとの間の封入圧を長時間保持可能とすることによりハンチング現象の発生を防止可能な圧力封入式の圧力スイッチを提供する。
【解決手段】圧力スイッチ10は、ポンプ41の吐出口とバルブ6との間の流路に設けられ、バルブの開閉に基づく流路内の圧力変化を検知する圧力検知手段Sとしてのダイヤフラム15、ピストン16および圧縮コイルバネ36等を備える。また、圧力スイッチ10は、上述の圧力検知手段の圧力変化の検知に基づいてポンプの作動を制御する制御手段としてのマイクロスイッチ17を備える。さらに、圧力スイッチ10は、ポンプの吐出口と圧力検知手段との間の流路に設けられ、ポンプによる液体の吐出方向と逆方向に液体が流れるのを止める逆止弁を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力封入式の圧力スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、農薬等を噴霧するための農業用ポンプでは、農業用ポンプの吐出口に噴霧用ホースが接続されている。この噴霧用ホースの先端部には液体を噴霧するためのノズルが取り付けられ、そのノズルの基端部側には、ノズルへの液体の流出を止めることができるノズル用バルブが設けられており、作業者は噴霧時にノズル用バルブを開とし、噴霧停止時にノズル用バルブを閉とする。
【0003】
この場合に、バルブの操作と、原動機のオン・オフ等の制御は直接関係しておらず、そのままでは、バルブを閉にして液体の噴霧を停止しているのにもかかわらず原動機が噴霧時と同様に回転していることになる。また、噴霧停止時にポンプの負荷を低減するアンロード弁を設けたような場合には、バルブを閉じた際に、ポンプの負荷が低下し、原動機の回転数が上がってしまう場合もある。
そこで、アンロード弁を備えるポンプにおいて、前記バルブを閉としてアンロード弁がアンロード位置となった際のアンロード弁入口側の圧力変化に応じて原動機としてのエンジンの回転数を制御することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このアンロード弁を備えるポンプは、ポンプから吐出される液体の通路の基端部、すなわちポンプの近傍側にアンロード弁が設けられ、その入口側、すなわちポンプの吐出口とアンロード弁との間に、アンロード弁入口側の圧力変化により動作するピストンを備えたピストン型液圧検出手段と、エンジンの出力を機械的に制御する制御手段と、当該制御手段にピストンの動作を伝達する伝達手段とを備えている。
【0005】
このアンロード弁を備えるポンプにおいては、前記バルブを閉とすることでアンロード弁がロード位置からアンロード位置に変化して、前記バルブが開の状態の液圧よりもアンロード弁の入口側の液圧が下がった場合に、前記液圧に基いてピストンが液圧が高い位置から液圧が低い位置に移動する。このピストンの移動が前記制御手段に伝達され、エンジンの出力が低下させられる。
この際に、アンロード弁の出口側、すなわち、ノズル用バルブを閉じた状態の噴霧用ホース側は、圧力が封入された状態となって、アンロード弁をアンロード位置に保持する。
【0006】
また、ノズル用バルブを再び開とすると、アンロード弁の出口側の上述の封入された圧力(封入圧)が低下し、アンロード弁がアンロード位置からロード位置に移動し、上述の液圧が上昇し、ピストンが液圧が低い際の位置から液圧が高い際の位置に移動する。これが伝達手段によりエンジンの制御手段に伝達され、エンジンの出力が通常のポンプの動作時の状態まで上げられ、液体の噴霧が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭63−19046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、アンロード弁を用いた場合の噴霧側、すなわち、アンロード弁の出口側の液圧の変化は、バルブを開とした場合の噴霧圧(アンロード弁がロード位置の場合の噴霧側の液圧)と、閉とした場合の封入圧(アンロード弁がアンロード位置の液圧)との圧力変化における圧力差があまり大きくなく、ノズル用バルブを閉とした状態で、ノズル用バルブや噴霧用ホースから封入圧が漏れるような場合に、封入圧が前記噴霧圧程度となってアンロード弁がロード位置となる虞がある。この場合に、アンロード弁がロード位置となって、ピストン型液圧検出手段が原動機の回転数を上げる側に作動する。これにより、原動機の回転数が上昇してポンプが動作すると、ノズル用バルブが閉となっているので、再びアンロード弁がアンロード位置となって、ピストン型液圧検出手段が原動機の回転数を下げる側に作動し、原動機の回転数が下降する。
このような状態となった際に、アンロード弁においては、アンロード位置とロード位置とを行ったり来たりする状態となるハンチング現象を起こす虞がある。
【0009】
また、アンロード弁を用いずに、ポンプの吐出口側の液圧を検出する手段を設け、ポンプの吐出口側からポンプに封入される圧力の変化により、原動機の回転数を制御することが考えられる。
この場合にも、ポンプ側の弁部において、長期使用等により弁部のシール性能が低下しているなどの問題があると、弁部からポンプ側に封入された圧力が抜けてしまい、ポンプ側に封入された圧力(封入圧)の保持時間が低下し、封入圧が原動機の回転数を上げ下げする閾値近傍まで下がることで、ハンチングを起こす虞がある。特に、弁(弁部)を複数個持つ多連式ポンプ等においては、いずれかの弁でシール性能の低下が生じれば封入圧が抜けてしまうので、封入圧を安定して長時間保持することが難しい。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、封入圧を長時間保持可能とすることによりハンチング現象の発生を防止可能な圧力封入式の圧力スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の圧力スイッチは、ポンプ(41)の吐出口に接続された流路にバルブ(6)を備えるとともに、前記バルブ(6)を閉とした際に前記ポンプ(41)の吐出口と前記バルブ(6)との間の流路内に圧力が封入される液体吐出装置に用いられ、前記バルブ(6)の開閉に基づく前記ポンプ(41)の吐出口と前記バルブ(6)との間の前記流路内の圧力変化により前記ポンプ(41)の作動を制御する圧力スイッチ(10)であって、前記ポンプ(41)の吐出口と前記バルブ(6)との間の前記流路に設けられ、前記バルブ(6)の開閉に基づく前記流路内の圧力変化を検知する圧力検知手段(S)と、当該圧力検知手段(S)の圧力変化の検知に基づいて前記ポンプ(41)の作動を制御する制御手段(17)と、前記ポンプ(41)の吐出口と前記圧力検知手段(S)との間の流路に設けられ、前記ポンプ(41)による液体の吐出方向と逆方向に液体が流れるのを止める逆止弁(51)とを備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の発明においては、ポンプが作動した状態でバルブを閉じることでポンプの吐出口とバルブとの間の流路の圧力が高く変化したことを圧力検知手段が検知し、当該圧力検知手段の圧力変化の検知に基づいて制御手段がポンプを停止した際に、バルブを閉じることでバルブとポンプとの間に封入された圧力(封入圧)がポンプの弁部から抜ける場合に、逆止弁がポンプへの液体の逆流が防止され、逆止弁により圧力が封入された状態に維持される。
【0013】
これにより、ポンプの弁部から封入圧が漏れることで封入圧が低下し、その結果バルブが閉じているにもかかわらずポンプを作動させてしまうことがなくなるので、ハッチング現象の発生が防止される。
したがって、ポンプ内の弁部のシール性能が低下しても、逆止弁のシール性能が保持されていれば、ハッチング現象を防止できることになるので、常にポンプの弁部のシール性能を高い状態に保持する必要がなく、メンテナンスの手間を低減することができる。
【0014】
請求項2に記載の圧力スイッチは、請求項1に記載の発明において、前記圧力検知手段(S)が前記ポンプ(41)の下側に配置され、前記逆止弁(51)が前記ポンプ(41)の下側で前記圧力検知手段(S)の上側に配置され、前記逆止弁(51)は、弁体(52)と、当該弁体(52)の上側に設けられた弁座(53)と、当該弁体(52)の下側に設けられた台座(54)とを備え、前記弁座(53)と前記台座(54)との間に液体が流れる通路が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の圧力スイッチにおいては、ポンプが作動している状態では、ポンプから吐出される液体の流れにより弁体は弁座から離れて台座に押し付けられた状態となっている。なお、台座は、基本的に前記バルブが開放された状態で、ポンプ作動時および停止時の両方において、弁体を支持するものであり、台座に弁体が載せられた状態や液体により押し付けられた状態であっても、液体を通過可能とするものである。
【0016】
そして、バルブが閉じられた状態で、ポンプ側の弁部に漏れがあり、液体が逆流した場合に、弁体が弁座に押し付けられて液体の逆流が止められることにより、ポンプと閉じたバルブとの間に封入された圧力が低下するのを防止することができる。
また、バルブを開放し封入された圧力が開放された際には、弁体は自重により弁座側から台座側に移動することになり、弁体を弁座から引き離すために弁体を弁座から台座側に付勢する付勢手段を必要とせず、コストの低減を図ることができる。
また、付勢手段を設けないものとすれば、液体の流れが無く、液圧も作用しない場合に弁座には自重だけが作用している状態となり、液体が僅かに逆流しただけで弁体が弁座側に移動して逆止弁を閉状態とすることになる。
【0017】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の圧力封入式の圧力スイッチよれば、バルブを閉じた際に封入された圧力が抜けることにより、ハッチング現象が起きてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る圧力スイッチを備えた液体噴霧装置の概略構成を示す図である。
【図2】前記液体噴霧装置の往復ポンプ装置に取り付けられた前記圧力スイッチを示す斜視図である。
【図3】前記圧力スイッチを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1から図3に示すように、この例の圧力封入式の圧力スイッチ10は、例えば、農業用の液体噴霧装置(液体吐出装置)に取付け可能なものであり、モータ(原動機)42で駆動される往復ポンプ装置(ポンプ)41に取り付けられるものである。なお、ポンプで液体を吐出させるとともに、バルブの開閉で液体の吐出と吐出停止とを制御する装置ならば、液体噴霧装置以外の液体吐出装置、たとえば、高圧洗浄機等でも、この例の圧力スイッチ10を適用可能である。
そして、往復ポンプ装置41は、吐出口を有するコネクタ72に圧力スイッチ10の取付管11が取り付けられている。
【0021】
また、圧力スイッチ10のホース接続管12に噴霧ホース1の基端部が取り付けられている。この噴霧ホース1の先端部には、ノズル装置2が取り付けられている。ノズル装置2は、ノズル装置2を手で操作する際に掴むためのノズルグリップ3と、このノズルグリップ3から先側に延出するノズルパイプ4と、ノズルパイプ4の先端部に設けられて液体を噴霧するノズル5と、ノズルグリップ3とノズルパイプ4の間に設けられてノズルグリップ3とノズルパイプ4とを接続するとともに、ノズル5における噴霧(吐出)と噴霧(吐出)停止とを切り換えるためのバルブ6とを備えている。
【0022】
バルブ6は、噴霧ホース1を開放状態と閉塞状態に切り換えるものであり、モータ42を起動して往復ポンプ装置41が作動している状態で、バルブ6を開とすると、往復ポンプ装置41から吐出される液体が噴霧ホース1を通ってノズル5に達して、液体が噴霧される。そして、バルブ6を閉とすると噴霧ホース1の先端側で液体の流路が閉じられ噴霧が停止する。
なお、噴霧ホース1が往復ポンプ装置41からバルブ6までの液体の流路(吐出流路)となるとともに、噴霧ホース1と往復ポンプ装置41との間に配置される圧力スイッチ10内部の液体が流れる部分も往復ポンプ装置41からバルブ6までの液体の流路(吐出流路)の一部となる。
この例の圧力スイッチ10は、モータ42の電源に直列に接続されており、モータ42のオン・オフ、すなわち、起動と停止とを制御するようになっている。
【0023】
また、圧力スイッチ10では、モータ42が作動している状態で、バルブ6を閉じることで、往復ポンプ装置41の吐出口側と圧力スイッチ10内部の液圧が上昇し、噴霧時の噴霧圧より相対的に高い封入圧となる。
この高い封入圧となった際に、圧力スイッチ10が作動してモータ42がオフ(停止)とされる。この際に往復ポンプ装置41においては、吐出口につながる経路に設けられた弁部(たとえば、吸入弁、調圧弁、吐出弁等)が閉となることで、往復ポンプ装置41の吐出口からバルブ6においては密閉状態となり、相対的に高い封入圧が維持されることになる。
【0024】
また、この状態でバルブ6を開状態とすると、開放状態となるノズル5側から液圧が抜けて、圧力スイッチ10内部の液圧が低圧となり、前記相対的に高い封入圧から所定の相対的に低い低圧となった際に、圧力スイッチ10が作動して往復ポンプ装置41のモータ42を起動させる。
これにより、往復ポンプ装置41の吐出側が噴霧圧となり、ノズル5から液体が噴霧される状態となる。
【0025】
このように作用する圧力スイッチ10は、図2に示すように、その本体部が概略筒状で内部空間を有するケーシング13と、当該ケーシング13に接続されるとともに概略筒状で内部空間を有するマニホールド14を備える。また、ケーシング13には、上述のポンプ取付管11が取り付けられ、マニホールド14には、上述のホース接続管12が取り付けられている。
また、図3に示すようにケーシング13の内部空間と、マニホールド14の内部空間とが、ケーシング13とマニホールド14とを接続した状態で一体の空間(所定空間)となり、当該空間内にピストン(スイッチ操作部材)16が配置されている。また、ケーシング13とマニホールド14との接合部には、ドーナッツ状の薄板であるダイヤフラム(受圧部材)15がその外周部を挟まれた状態に配置されている。また、ケーシング13のマニホールド14が取り付けられる後端側の端部の反対側の先端部にマイクロスイッチ(スイッチ)17が配置されている。
【0026】
ケーシング13は、その本体内部に前記ピストン16が配置される内部空間を有する概略筒状に形成されている。そして、前記筒状の本体部における内部空間に直交するように上部側に前記ポンプ取付管11が固定される取付筒部18が形成されている。そして、取付筒部18においては、その内部にねじが切られてねじ孔とされている。
一方、ポンプ取付管11は、円筒状に形成されるとともに軸方向の中央部にスパナで回転可能とする六角形状のフランジ11aが形成されている。
【0027】
そして、ポンプ取付管11のフランジ11aより下側の外周面は、雄ねじとなっている。また、フランジ11aより上の部分は、同様に雄ねじとなっており、往復ポンプ装置41の円筒状のコネクタ72にねじ込まれて往復ポンプ装置41に取り付け可能となっている。
このようなポンプ取付管11のフランジ11aより下の雄ねじ部分が取付筒部18にねじ込まれてポンプ取付管11が前記取付筒部18に締結された状態となる。また、前記取付筒部18の内部空間と概略筒状のケーシング13の内部空間は、互いに連通した状態となっている。なお、ケーシング13の本体側の内部空間が水平方向に延在して配置され、前記取付筒部18の内部空間が垂直方向に延在して配置され、これら互いに連通する内部空間が逆T字状とされている。
【0028】
この例においては、取付筒部18の内部には、当該取付筒部の内部空間とケーシング13の内部空間とが連通する底部とポンプ取付管11の基端部との間に逆止弁51が設けられている。逆止弁51は、液体が往復ポンプ41が作動して、往復ポンプ41の吐出口から圧力スイッチ10のポンプ取付管11および取付筒部18の内部空間を通ってケーシング13の内部空間に向かう場合(順方向の流れの場合)に開状態となり、その逆にケーシング13の内部空間からポンプ取付管11および取付筒部18の内部空間を通って往復ポンプ41の吐出口に向かう場合(逆方向の流れの場合)に閉状態となる。
【0029】
すなわち、逆止弁51は、噴霧ホース1(圧力スイッチ10)側からポンプ側に液体が逆流するのを阻止するようになっており、後述のようにポンプ41の吐出口側から閉となったバルブ6まで圧力が封入された状態でポンプ41から封入圧が抜けるのを防止するようになっている。
このような逆止弁51は,ポンプ取付管11の取付筒部18内に挿入された基端部に設けられた弁座53と、取付筒部18内の底部に設けられる台座54と、弁座53と台座54との間に設けられた球状の弁体52を備える。
【0030】
弁体52は、上述のように球体である。
弁座53は、筒状のポンプ取付管11の基端面(下端面)の貫通孔の開口の周囲となる部分に固定される円環状に形成され、液体が弁座53の内部を通ってポンプ取付管11の内部空間と取付筒部18のケーシング13内に連通する内部空間との間で通過可能となっている。また、弁座53の円環状の下面は、球状の弁体52の外周面に円環状に面接触可能な球面状や、円状に線接触可能な円錐状に形成されている。
【0031】
また、台座54は、取付筒部18内の底部のケーシング13の水平方向に長い内部空間に連通する孔の開口部の周囲に固定されている。球状の弁体52を受ける形状となっているが、複数のスリットもしくは溝などにより台座54に弁体52が載った状態で、台座54を液体が通過可能となっている。
また、台座54と弁座53との間隔は、最も近い部分が弁体52の直径より短くなっているとともに、概略円環状の台座54と円環状の弁座53との間に弁体52を配置した状態で、弁体52が台座54と弁座53との間から出ないようになっている。ただし、台座54と弁座53との間の距離は、弁体52の台座54と弁座53との間の移動を許容するもので、弁体52が弁座53に対して接離自在に移動できるようになっている。
このような逆止弁51は、取付筒部18の内部空間のポンプ取付管11の基端面の下側となっており、弁体52の周囲には、十分に液体が流動可能な空間があり、逆止弁51の部分がポンプ41から吐出される液体の流路(吐出流路)となっている。
【0032】
ケーシング13の本体側の内部空間は、マニホールド14が取り付けられる後端側に円形に開放している。また、ケーシング13の本体側の内部空間は、マイクロスイッチ17が取り付けられる先端部側にも開口しているがその開口が後端側の開口より小さな径の円形の開口部23となっている。
また、ケーシング13の小さな円形の開口部23の先側には、マイクロスイッチ17を保持するマイクロスイッチ保持部19が設けられている。このマイクロスイッチ保持部19は、上下の板体でマイクロスイッチ17を挟むように保持している。マイクロスイッチ17は、押下されるとオンとなって、押下が解除されるとばね等の付勢手段によりスイッチが戻る押しボタン17aを備えた押しボタン式スイッチとなっている。そして、後述のように前進したピストン16のピストンピン20により押しボタン17aが押されてモータ42をオンとし、ピストン16が後退して押しボタン17aから離れるとモータ42をオフとするようになっている。このマイクロスイッチ17が、圧力検知手段の圧力変化の検知に基づいて往復ポンプ装置41の作動を制御する制御手段となる。
【0033】
このケーシング13の本体部の内部空間には、概略円筒状のケーシング13の軸方向に軸方向を合わせたピストン16が配置されている。ピストン16は、円筒状の本体部21と、その先側に形成された円筒状のピストン先端部22と、ピストン先端部22内に基端部が挿入されて固定されたピストンピン20と、本体部21の後端側で本体部21より拡径された拡径部25とを備える。そして、ピストン先端部22から本体部21を介して拡径部25に至る部分に、軸方向に沿った貫通孔(円筒の内部空間)が形成されている。
【0034】
この貫通孔のうちピストン先端部22の部分は、前記ピストンピン20が挿入されることにより閉塞した状態とされるが、本体部21から拡径部25の後端に開口する貫通孔は、往復ポンプ装置41から吐出される液体が流れるピストン第1通路24となっている。また、本体部21においては、ピストン16の軸方向に沿った貫通孔に直交する貫通孔としてのピストン第2通路26が設けられ、当該ピストン第2通路26は、ピストン第1通路24と直交した状態で連通している。
【0035】
ここで、往復ポンプ装置41の吐出口から吐出される液体がポンプ取付管11内を通ってケーシング13内に流入し、当該ポンプ取付管11が取り付けられた取付筒部18を通るとともに逆止弁51を通過し、当該取付筒部18に連通する筒状の本体部21の内部空間に流入する。そして、本体部21内に流入した液体は、ピストン16を上下に貫通するピストン第2通路26からピストン16内に流入し、ピストン第2通路26からピストン第1通路24を経てピストン16の後端から流出するようになっている。
【0036】
また、ピストン16の本体部21より後の拡径部25は、ケーシング13より後のマニホールド14内に収容される状態となっている。
また、拡径部25は、ケーシング13とマニホールド14の接合部で外周部全体を挟まれて固定されたダイヤフラムよりマニホールド14側に配置されている。また、ピストン16の本体部21の外周面にはねじが切られて雄ねじとなっている。この雄ねじに止めナット28が螺合しており、拡径部25と止めナット28との間に、中央部に穴があいてピストン16が貫通した状態のダイヤフラム15の内周部が挟まれた状態とされている。この止めナット28により、ピストン16がダイヤフラム15に固定された状態となっている。
【0037】
すなわち、ダイヤフラム15の円環状の外周部が筒状のマニホールド14と同じ筒状のケーシング13とにより挟まれた状態でこれら互いに接合されるマニホールド14およびケーシング13に接合され、ダイヤフラム15の円環状の内周部が拡径部25と止めナット28により締結された状態に接合されている。
したがって、ケーシング13とマニホールド14とで連通する内部空間は、ピストン16の外周側でダイヤフラム15によりケーシング13の内部空間であるA室(一方の空間)29と、マニホールド14側の内部空間であるB室(他方の空間)30との2つの空間に区切られた状態となっている。
【0038】
このA室29とB室30とはダイヤフラム15により区切られるが、A室29からB室30にかけて延在するピストン16の上述のピストン第2通路26と、ピストン第1通路24とを通って、A室29とB室30との間を往復ポンプ装置41から吐出する液体が流出可能となっている。
【0039】
また、ダイヤフラム15は、区切ったA室と、B室の圧力差により外周部に対して中央部がA室側に撓んだり、B室側に撓んだりすることが可能であり、これによりピストン16を軸方向に沿って前進および後退させることが可能となる。また、ダイヤフラム15ではなくピストン16に後述の圧縮コイルバネ(付勢手段)36や圧力スイッチ10全体の液圧の上昇などにより力がかかった場合には、ダイヤフラム15がピストン16を軸方向に沿って移動自在に支持した状態となっており、ピストン16が軸方向に沿って移動可能となっている。
なお、ダイヤフラム15は、たとえば、合成樹脂(ゴムを含む)もしくは金属等の薄板(膜)で、上述のように外周部に対して内周部が前後に移動可能に撓むようになっている。
【0040】
ピストン16の拡径部25の後端面には、上述のピストン第1通路24の開口が形成されるとともに、この開口部が圧力損失手段としての弁39(圧力損失手段)の弁座39aとなっており、開口の周囲が凹面上とされている。また、弁座39aに対向して弁体39bが配置されている。弁体39bは、ピストン16の拡径部25の後端面より後に配置され、弁座39aに接離自在となっている。また、弁体39bの後には、圧力損失手段用の圧縮コイルバネ(弁体付勢手段)39cが後述のようにホース接続管12に支持された状態で配置されており、弁体39bは、付勢手段としての圧縮コイルバネ39cにより弁座39aに付勢されている。
【0041】
また、弁座39aの弁体39bと当接する弁座面は、ピストン第1通路24の開口を中心とする円形状の凹面となっているが、当該弁座面に前記円の半径方向に沿った複数の溝39dが形成されている。すなわち、弁座39aに弁体39bが当接した状態で、弁体39bに閉塞された状態のピストン第1通路24とマニホールド14の内部空間としてのB室30とを連通するように弁座39aに溝39dが形成されており、弁座39aに弁体39bが当接しても、弁39において完全に液体の流れを止めることができず、流速は制限されるが、弁39の前後で液体が流れることが可能となっている。これにより、弁39が閉となった状態で、A室29とB室30とで液圧の差が発生した場合に、この液圧の差が直ぐに減衰して0に収束する。
【0042】
そして、ケーシング13のA室29では、そのマニホールド14側となる部分が最も径が大きく、ピストン16の後端部の拡径部25と略同径とされる止めナット28の外径より僅かに大きな径とされている。そして、A室29の後端部より前の中央部は、前記止めナット28の外径より内径が小さいものとなっている。このA室29の後端部と中央部の境目の段差により、止めナット28の先側への移動が規制されるようになっており、止めナット28が締結されたピストン16の先側の移動範囲がこの境目までとなる。そして、この位置がピストン61の上死点となり、これが後述の第1の位置に対して第2の位置となる。
【0043】
そして、A室29の中央部にピストン16の本体部21のピストン第2通路26から先側のピストン先端部22が配置され、さらにピストン先端部22からピストンピン20が延出した状態となっており、ピストンピン20の先端は、前述のケーシング13の先端の小径の開口部23から僅かに突出した状態となっている。なお、図3においては、ピストン16は、最も後側(第1の位置)に後退した状態となっている。
【0044】
そして、A室29の先側には、A室より僅かに小径とされたシール収納部31が設けられ、当該シール収納部31にシール27が固定された状態に配置されている。シール27は、シール収納部31の内壁に外周面を当接した状態とされているとともに、中央部にピストンピン20を貫通させる孔が形成され、当該孔の部分でシール27の内周側がピストンピン20の外周に当接して止水した状態となっている。そして、シール27の内周部分にピストンピン20が摺動するようになっている。
【0045】
そして、ケーシング13のシール収納部31の先にシール収納部31より小径の潤滑油室32が設けられている。この潤滑油室32には、ケーシング13の外周面の上側に開口する注入口33が連通しており、潤滑油室32に潤滑油を供給可能となっている。
この潤滑油室32内の潤滑油によりシール27とピストンピン20との摺動の際の摺動抵抗を低減するようになっている。
そして、この注入口33の先に前述の小径の開口部23が形成され、この開口部23は、潤滑油室32より小径となっている。そして、この開口部23に上述のようにピストンピン20の先端部が貫通した状態となっている。
【0046】
また、上述のA室29とそれより小径のシール収納部31との境界となる段差部分のA室側には、円環状で外周が筒状に屈曲した座金35が配置され、当該座金35をピストンピン20が貫通した状態となっている。
また、止めナット28と座金35との間には、圧縮コイルバネ36が配置されている。圧縮コイルバネ36は、止めナット28を介してピストン16をB室30側、すなわち、ピストンピン20をマイクロスイッチ17の押しボタン17aから離す側に付勢している。すなわち、ピストン16を第2の位置から第1の位置に後退するように付勢している。
【0047】
筒状のマニホールド14の内部空間は、ケーシング13が接続される先端側と、ホース接続管12が接続される後端側とのそれぞれに開口している。そして、マニホールド14の先端側の開口の径は、ケーシング13の後端側の開口の径とほぼ等しくされている。
そして、マニホールド14とケーシング13との接続部分は、それぞれ概略正方形状とされ、その四隅部分のそれぞれにおいてビス14aでマニホールド14とケーシング13とが締結されている。
【0048】
そして、マニホールド14の内部空間であるB室30は、マニホールド14の先端側のピストン収納部37と、ホース接続管12を取付けるための取付筒部38とが軸方向に連通したものとなっている。
そして、ピストン収納部37は、ピストン16の後端部の拡径部25の外径より僅かに広い内径を有するものとなっている。
また、取付筒部38は、ピストン収納部37よりも内径が狭く、ピストン収納部37の内周面と取付筒部38の内周面との境界部分に段差が形成されている。そして、この段差面に拡径部25の後端面の外周部が当接することで、ピストン16が後退した際に移動範囲が規制されるようになっている。このピストン16が後退した位置が下死点で、この下死点が第1の位置となる。
【0049】
また、取付筒部38の内周面にはねじが切られて、ねじ孔となっており、このねじ孔にホース接続管12が螺合して締結されるようになっている。また、ホース接続管12は、筒状に形成されるとともにその中央部に六角形状のフランジ12aが形成されている。そして、ホース接続管12のフランジ12aより下側の外周面にねじが切られ、雄ねじとされ、前記取付筒部38に螺合されて締結されるようになっている。
【0050】
また、ホース接続管12の取付筒部38に挿入される部分の内部は、その基端部側にその先側より径が大くされ、この径の大きな部分に前記圧力損失手段としての弁39の弁体39bが配置されるようになっている。また、基端部の内径より小径とされた基端部に隣接する内部空間と、基端部の内部空間と境界面には段差が形成され、この段差に弁体39bの後端面の外周部が当接可能となっており、弁体39bの移動範囲が弁座39aとこの段差とにより規制されるようになっている。
【0051】
また、ホース接続管12の基端部の内部に弁体39bが配置される部分の直ぐ先側には、内部空間から外周面側の外部に連通する複数の開口部12bが形成されており、ホース接続管12の基端部側の開口のほとんどを弁体39bに塞がれた状態でも、十分な流量を確保できるようになっている。また、ホース接続管12の基端部の外周にはねじが切られておらず、この部分に前記開口部12bが設けられている。そして、このホース接続管12の基端部外径より取付筒部38の内径の方が大きくなっており、ホース接続管12の外周面と取付筒部38の内周面との間に間隔があいている。これによっても十分に液体を流動可能となっている。
また、ホース接続管12の前記開口部12bの先側にも径が小さくなることによる段差があり、この段差と前記弁体39bとの間に上述の圧縮コイルバネ39cが配置されている。
【0052】
次に、圧力スイッチ10の作用について説明する。
往復ポンプ装置において、例えば、ノズル装置2のバルブ6を開放した状態で往復ポンプ装置41のモータ42のメイン電源をオンとする。なお、メイン電源のスイッチは、圧力スイッチ10と別に設けられたものであるが、メイン電源のスイッチがオフの場合にはモータ42は必ずオフで、メイン電源のスイッチがオンの場合に圧力スイッチ10のマイクロスイッチ17がオン(押しボタン17aを押されていない状態)ならモータ42がオンとなり、マイクロスイッチ17がオフ(押しボタン17aが押された状態)ならオフとなる。
【0053】
メイン電源のスイッチをオンとした場合に、往復ポンプ装置41の吐出口に接続された圧力スイッチ10内部のA室29とB室30の液圧は低い状態となっている。
この状態では、圧縮コイルバネ36がピストン16をマイクロスイッチ17をオンとする第1の位置側に付勢しており、モータ42が作動する。この状態で、バルブ6を開放状態に維持すると、往復ポンプ装置41からの液体の吐出圧で、圧力スイッチ10内のA室29およびB室30の液圧がたとえばP1となる。なお、この状態で調圧弁70の設定圧を超えると調圧弁70が開放するので、この際の吐出圧(噴霧圧)は、調圧弁70による設定圧以下となる。
【0054】
そして、往復ポンプ装置41の吐出口73から吐出された液体は、圧力スイッチ10のポンプ取付管11を通ってケーシング13の本体内部のA室29に流入し、ピストン16のピストン第2通路26を介して、ピストン第1通路24に至る。ピストン第1通路24に至った液体は、弁39の弁体39bを押圧して、弁39を開放状態として、マニホールド14のB室30に流出する。そして、B室30に至った液体は、ホース接続管12を通って噴霧ホース1に至り、噴霧ホース1からノズル装置2の開となったバルブ6からノズルパイプ4を介してノズル5に至って液体が噴霧される。
【0055】
この状態でも、付勢手段として圧縮コイルバネ36がピストン16をマイクロスイッチ17をオンとする第1の位置側に付勢している。この際の付勢力としてのバネ荷重をここではQとする。
さらに、ピストン16内から弁39通って液体がA室29からB室30に流れることにより、圧力損失が生じ、B室30よりA室20の圧力が高くなるように圧力差が生じる。
これによってダイヤフラム15のピストン16に固定された内周側が、マニホールド14とケーシング13に固定された外周側に対して、A室29からB室30側に向かって凸となるように弾性変形し、ピストン16をA室29側からB室30側、すなわち、第2の位置から第1の位置側に押圧する状態となる。この際の圧力差をΔPとし、ダイヤフラム15の径をDとすると、圧力損失に基いて、ピストン16を第1の位置側に押圧する力は(πD2/4)・ΔPとなる。
【0056】
一方、ピストンピン20をケーシング13およびマニホールド14に囲まれた空間(A室29とB室30を合わせた空間)から出没自在とされたピストン16に対しては、ピストン16が収納されるA室29およびB室30内の液圧が外部より高くなることで、ピストンピン20を突出させる方向に力が作用している。ここで、ピストンピン20の径をdとし、圧力スイッチ10内の液圧を近似する前記B室30のP1とすると、(πd2/4)・P1となる
【0057】
しかし、上述の付勢手段としての圧縮コイルバネ36の付勢力(バネの荷重Q)と、上述の圧力損失に基く圧力差による受圧部材としてのダイヤフラム15に作用する力とを合わせた力が、上述のピストンピン20を突出させる力より強くなるように設定されているので、ピストン16は第1の位置に保持され、マイクロスイッチ17の押しボタン17aを押すことがない。
【0058】
すなわち、(πD2/4)・ΔP+Q>(πd2/4)・P1の関係となる。なお、バネの荷重Qは、Q<(πd2/4)・P1となるように設定されており、圧力損失に基く圧力差が受圧部材であるダイヤフラム15に作用することで、ピストンピン20の突出方向への移動を押えられるようになっており、圧縮コイルバネ36の付勢力だけでは、ピストン16が第1の位置から第2の位置に移動してしまう設定となっている。
ここで、マイクロスイッチ17は、押しボタン17aが押された状態で、モータ42への電流を遮断し、押しボタン17aが押されずに戻った状態で、モータ42へ電流を供給する状態となるので、モータ42では、電力が供給された状態が維持される。
【0059】
この状態でバルブ6を開から閉とすると、往復ポンプ装置41が作動した状態で、液体の吐出が止められた状態となり、往復ポンプ装置41、圧力スイッチ10、噴霧ホース1内で圧力が上昇する。
なお、この際に、液体の流れが止まることで、ピストン16後端側の弁39が閉じた状態となるが、弁39においては、弁座29aの溝39dにより弁座39aに弁体39bが当接した状態となっても、完全に液体の流れを遮断することができず、液圧を逃がすことができるようになっている。
【0060】
また、弁39の位置で液体の流れが止まると、圧力損失も生じなくなり、弁39によって、A室29とB室30との間に圧力差を生じることもなくなる。
したがって、ピストン16を第2の位置から第1の位置に移動させようとする力は、圧縮コイルバネ36の力のみとなり、圧力差を受けたダイヤフラム15からの力はなくなることになる。
【0061】
また、A室29およびB室30では、バルブ6が閉じた状態で、往復ポンプ装置41が作動していることにより、圧力がP1からP2に上昇することなる(P1<P2)。これにより、上述のようにピストンピン20を突出させる圧力が高くなることになる。すなわち、第1の位置から第2の位置側に押す力が上昇することなる。
【0062】
これにより、ピストン16を第2の位置から第1の位置側に押す力より、第1の位置から第2の位置側に押す力が勝り、ピストン16はバルブ6が閉となった後に第1の位置から第2の位置に移動する。
すなわち、圧力損失に基く圧力差の力がなくなり、かつ、ピストンピン20を押す力は液圧のP1からP2への上昇により強くなり、Q<(πd2/4)・P1<(πd2/4)・P2となり、確実にピストン16は第1の位置から第2の位置に移動することになる。
この際に、第2の位置が、マイクロスイッチ17の押しボタン17aを押して、マイクロスイッチ17を切換可能な位置となっている。したがって、マイクロスイッチ17においては、押しボタン17aが押されて、モータ42への電力供給(電流)を遮断すること、すなわちオフすることになる。なお、この際には、噴霧ホース1の先のバルブ6が閉じた際にピーク的に液圧が上昇するようなことはなく、ピストン16が急激に移動して他の部材にぶつかって衝撃音を発生するようなことはない。
【0063】
ここで、往復ポンプ装置41が停止すると、往復ポンプ装置41では、未だ内圧が高い状態で、液体の流れがとまり、バルブ6が閉となっていることで、ポンプ41において、吐出口側から圧力が抜けることがなく、かつ、液体の流れが止まるので、往復ポンプ装置41では、弁部(吸水弁、エア抜弁、調圧弁、吐出弁)が閉じた状態とされる。これにより圧力スイッチ10側の内圧が保持され、圧力スイッチ10では、ビストン16が第2の位置でマイクロスイッチ17の押しボタン17aを押した状態に保持される。
【0064】
また、往復ポンプ装置41側の弁部でシール性能の低下等により液体の漏れが生じると逆止弁51の弁体52が台座54から弁座53側に移動し、逆止弁51が閉状態となる。これにより、往復ポンプ装置41側で弁部のシール性能の低下等があっても、圧力スイッチ10側に封入された圧力を長時間に渡って保持することができる。
したがって、バルブ6を閉としているのにも係らず、ピストン16が第2の位置から第1の位置に移動して、マイクロスイッチ17の押しボタン17aから離れてモータ42をオンにすることがないので、ハッチング現象の発生を確実に防止できる。
また、弁体52は、液体の流れや液圧により弁座53側と台座54側との位置が決定され、かつ、外部からの力が作用していない場合に、自重により下の台座54側に位置するようになっており、付勢手段による付勢力が作用していない。
すなわち、台座54側に付勢されていないので、液体の僅かな流れでも弁体52が弁座53側に移動し、逆止弁51を閉状態とするようになっているので、迅速に往復ポンプ装置41側の液漏れに対応することができる。
【0065】
上述のようにバルブ6を閉とした状態から開とした状態とすると、ノズル5側から圧力が抜けて圧力スイッチ10側の圧力が低下する。この際に圧力スイッチ10内では、噴霧ホース1に接続されるB室30の圧力が低下する。この際に弁39が閉であっても、弁39の弁座39aの溝39dから圧力がA室29からB室30に逃げて、A室29とB室30の圧力は同じとなる。また、A室29およびB室30の圧力が低下することにより、ピストン16のピストンピン20を押し出す力が低下する。
【0066】
この際には、未だモータ42の電源が遮断された状態で、往復ポンプ装置41が作動していないので、A室29からB室30に向かって、上述のように圧力損失を生じるように液体が流れていないので、A室29とB室30に圧力差を生じる圧力損失が発生しない。
したがって、この場合には、ピストン16を第2の位置から第1の位置に押す力は圧縮コイルバネ36の付勢力だけとなる。
【0067】
したがって、上述のA室29およびB室30の圧力によりピストンピン20を押し出す力が、圧縮コイルバネ36の付勢力以下となるまで、ピストン16は第2の位置にあり、ピストンピン20がマイクロスイッチ17の押しボタン17aを押したままとなり、モータ42は起動しない。
そして、圧力スイッチ10内の圧力がP1より低いP3まで下がると、上述のピストンピン20を押し出す力が圧縮コイルバネ36の付勢力以下となり、圧縮コイルバネ36によりピストン16が第2の位置から第1の位置に移動し、ピストンピン20がマイクロスイッチ17の押しボタン17aから離れ、マイクロスイッチ17がモータ42に電流を流すオン状態となり、往復ポンプ装置41が作動する。
すなわち、(πd2/4)・P3<Q<(πd2/4)・P1<(πd2/4)・P2となっている。
【0068】
圧力スイッチ10においては、ダイヤフラム15、ピストン16、圧縮コイルバネ36等の移動、変形等する部材が、往復ポンプ装置41と、バルブ6との間の流路(吐出流路)内の圧力変化を検知する圧力検知手段Sを構成している。
このような圧力スイッチ10によれば、バルブ6を開から閉としてモータの電源をオフとした後に、例えば、漏れ等により圧力が低下しても、圧力スイッチでモータの電源をオンとする圧力をかなり低く設定できるので、モータの電源のオン・オフを繰り返すようなハンチングを防止することができる。
【0069】
すなわち、上述のようにバルブ6が開で、モータ42が起動し、往復ポンプ装置41から液体が吐出されている間は、バルブ6が閉となった際に、第2の位置に移動して電源をオフとするピストンを電源をオンとする第1の位置に保持するのに、圧縮コイルバネ36の付勢力に加えて往復ポンプ装置41から吐出されて流れる液体に基く圧力損失で生じた圧力差を用いているので、その分だけ圧縮コイルバネ36に必要とされる付勢力(バネの荷重)を小さなものとすることができる。
【0070】
これにより、ピストン16が第2の位置から第1の位置に戻る際の圧力スイッチ10内の圧力(液圧)を小さなものとすることが可能となり、圧力が僅かに下がっただけで、モータ42の電源がオフからオンとなってしまうのを防止できる。
すなわち単にばねの不正力だけで、ピストン16を第1の位置に維持するような構成とした場合よりも、圧力損失に基く圧力差を利用することで、ハンチングを防止することができる。
【0071】
また、圧力スイッチ10の動作において、シールと摺動部材とが用いられるのは、圧力スイッチ10から出没するピストンピン20とこの部分での漏水を防止するシール27との部分である。この部分では、水和剤を噴霧する場合に、水和剤の粒子が入り込んでも、ピストンピン20の径を十分に小さくして、摺動面の面積を小さくできるので、ピストンピン20で動作不良が発生するのを防止することができる。
【0072】
なお、水和剤の粒子を噛み込むことによる摺動抵抗の増加に対して、摺動部材を動かす力が十分に大きければ、動作不良は生じない。ここでは、ピストンピンが小径なので、摺動抵抗が小さく、動作不良が生じない。
また、往復ポンプ装置41側では、ピストンが内圧による力とバネの付勢力との差のような弱い力で作動するのではなく、モータ42で駆動されるので、水和剤でも噴霧可能である。
【0073】
また、ピストン16の受圧部材による圧力差による動作には、シールを用いずダイヤフラム15を用いたので、この部分で水和剤の影響を受けることがなく、水和剤の使用に問題を生じない。
また、弁39において、弁座39aに溝を設けることで、圧力損失が生じていない場合にA室とB室の圧力差をなくすことができるとともに、弁座39aに弁体39bが当接する際に異物が詰まりづらい構造とすることができる。
【0074】
また、ダイヤフラム15の弾性変形によるピストン16の移動に際し、A室29とB室30との間で、液体が移動する必要があるが、弁39が閉状態でも、弁39の溝を通って液体を移動させることができる。そして、バルブ6を閉から開とした場合のように、液体の流れが止まっていることにより弁39が閉じた状態でも、ダイヤフラム15がピストン16を第2の位置から第1の位置に戻す際に、液体は弁座39aの溝39dを通って移動することができる。さらに、液体は狭い溝39d内の空間を通らなければならないので、ダイヤフラム15およびピストン16の急激な移動を緩衝して防止することができる。
【0075】
また、圧力スイッチは、ピストン16が軸方向に移動するだけの簡単な構成であり、メンテナンスが容易である。
また、マイクロスイッチ17をモータ42と直列に配置し、ピストン16の移動に伴なって、ピストンピン20がマイクロスイッチ17をオン・オフするだけの簡単な構成でモータ42のオン・オフを制御するので、電子制御装置等を必要とせず、簡単な構成でかつ極めて安価に製造することができる。
なお、オンオフするマイクロスイッチ17ではなく、抵抗値を変更可能な可変抵抗器などを用いて、モータ42に流れる電流量を制御するようなものとしてもよいし、原動機としてエンジンを用い従来のように、エンジンの回転数を制御するような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 噴霧ホース
6 バルブ
10 圧力スイッチ
41 往復ポンプ装置(ポンプ)
51 逆止弁
52 弁体
53 弁座
54 台座
S 圧力検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ(41)の吐出口に接続された流路にバルブ(6)を備えるとともに、前記バルブ(6)を閉とした際に前記ポンプ(41)の吐出口と前記バルブ(6)との間の流路内に圧力が封入される液体吐出装置に用いられ、前記バルブ(6)の開閉に基づく前記ポンプ(41)の吐出口と前記バルブ(6)との間の前記流路内の圧力変化により前記ポンプ(41)の作動を制御する圧力スイッチ(10)であって、
前記ポンプ(41)の吐出口と前記バルブ(6)との間の前記流路に設けられ、前記バルブ(6)の開閉に基づく前記流路内の圧力変化を検知する圧力検知手段(S)と、
当該圧力検知手段(S)の圧力変化の検知に基づいて前記ポンプ(41)の作動を制御する制御手段(17)と、
前記ポンプ(41)の吐出口と前記圧力検知手段(S)との間の流路に設けられ、前記ポンプ(41)による液体の吐出方向と逆方向に液体が流れるのを止める逆止弁(51)とを備えていることを特徴とする圧力スイッチ。
【請求項2】
前記圧力検知手段(S)が前記ポンプ(41)の下側に配置され、前記逆止弁(51)が前記ポンプ(41)の下側で前記圧力検知手段(S)の上側に配置され、
前記逆止弁(51)は、弁体(52)と、当該弁体(52)の上側に設けられた弁座(53)と、当該弁体(52)の下側に設けられた台座(54)とを備え、前記弁座(53)と前記台座(54)との間に液体が流れる通路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧力スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−100675(P2011−100675A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255781(P2009−255781)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】