説明

圧力検出装置

【課題】受圧部に到達する水分(液相水、気相水)を低減させることのできる圧力検出装置を提供する。
【解決手段】媒体が配管2内を流れる媒体流れ部4の一部に接続して設けられた圧力検出器7を備え、その圧力検出器7の受圧部6で、媒体の圧力を検出する圧力検出装置において、受圧部6と該受圧部6に接触する媒体との温度差を小さくする温度差縮小手段8を設ける。温度差縮小手段8は、圧力検出器7が取り付けられる検出器取付部3内に装着され且つ前記受圧部6と媒体流れ部4間に設けられた本体部12とし、その本体部12に形成した媒体導入路13a〜13dを曲がりくねった連通路13とする媒体温度低下構造体としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検出装置に関し、詳細には、圧力検出器の受圧部に到達する水分を低減させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力検出装置の凍結対応技術としては、例えば、圧力検出器(圧力センサ)の受圧部にガスが到達するまでの圧力導入路を直線路とせずに曲がりくねった迷路構造として、水蒸気の浸入防止を図った構造が提案されている(例えば、特許文献1等に記載)。
【特許文献1】特許第3404257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、圧力検出器の導入口に設けた比熱の小さい部材(防護板)で水蒸気の浸入防止を実現しようとしているが、比熱が小さいということは温度上昇も速く、水蒸気温度を下げる作用が失われ、当該水蒸気を圧力検出器側へ通過させてしまう。
【0004】
また、特許文献1に記載の圧力センサ装置では、検出部の一部が熱源であるガス流れの中に突き出ており、圧力検出器の受圧部まで到達する圧力媒体(加湿ガス)の温度が比較的早く昇温してしまい、水蒸気を圧力検出器側に通過させてしまう。すなわち、特許文献1に記載の技術では、圧力検出器の凍結対応としては十分ではなく、受圧部での凍結による圧力検出異常が生じてしまう。
【0005】
この圧力センサ装置を、燃料電池車の燃料電池に供給される燃料ガス供給経路を流れるガス圧を測定するのに使用した場合、燃料電池車では受圧部で凍結した氷が解けるまでシステム起動を待たなければならない。あるいは、システム起動時間を短くするため、比較的大きな容量のヒータを搭載しなければならず、小型化・低コスト化に反し、実用化の妨げになる。
【0006】
そこで本発明は、受圧部に到達する水分(液相水、気相水)を低減させることのできる圧力検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、流路を流れる媒体の圧力を圧力検出器の受圧部で検出する圧力検出装置において、受圧部と、該受圧部に接触する媒体との温度差を小さくする温度差縮小手段を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、圧力検出器の受圧部と該受圧部に接触する媒体の温度差を小さくする温度差縮小手段を設けたことで、例えば媒体である加湿気体が前記受圧部に付着して結露するのを抑制することができ、また、零下まで温度が下がって凍結する環境下になっても凍結量が極めて少なく、当該圧力検出器の出力誤差が小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
「第1実施形態」
図1は第1実施形態の圧力検出装置の断面図、図2は図1の温度差縮小手段の斜視図である。本実施形態は、燃料電池車における燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路を構成する配管に、本発明の圧力検出装置を装着し、この圧力検出装置でその配管内を流れる燃料ガス(加湿された燃料ガス)の圧力を検出する例とする。
【0011】
「圧力検出装置の構成説明」
本実施形態の圧力検出装置1は、内部に媒体(加湿された燃料ガス)が流れる配管2の一部を外方へ突設させた検出器取付部3に装着されている。検出器取付部3は、筒状の配管2を流れる媒体の媒体流れ方向Xに対して垂直方向に該配管2の一部を外方へ突出させることにより形成されている。この検出器取付部3は、媒体が流れる配管2の流路である媒体流れ部4と連通する内部空間5を有した突出円筒体とされている。
【0012】
圧力検出装置1は、圧力検出素子である受圧部6で媒体圧力を検出する圧力検出器7と、受圧部6と該受圧部6に接触する媒体との温度差を小さくする温度差縮小手段8と、から構成されている。
【0013】
圧力検出器7は、受圧部6を保持する圧力センサ本体9を有している。圧力センサ本体9は、前記検出器取付部3の先端部に、ガス漏れ防止用のシール部材10を介してネジ等の締結手段にて装着固定されている。この圧力センサ本体9には、受圧部6を保持する受圧部保持部9aと、この受圧部保持部9aに保持された受圧部6の受圧面6a前方に形成された空間部9bとが形成されている。受圧部6は、外部へのガス漏れを防止するシール部材14を介在させて受圧部保持部9aに設けられている。
【0014】
また、圧力センサ本体9には、受圧部6が媒体圧力を受けることで生じた変位が電気信号に変換されて図示を省略した制御部へと出力するための端子11郡が設けられている。端子11郡は、圧力センサ本体9の前記受圧部6とは反対側の基端部側に設けられている。
【0015】
温度差縮小手段8は、媒体の温度を下げる媒体温度低下構造からなり、前記圧力検出器7が取り付けられる検出器取付部3内に装着され且つ前記受圧部6と前記媒体流れ部4間に設けられている。かかる温度差縮小手段8は、前記検出器取付部3の断面円形状とされた内部空間5に挿入し得る円柱形状をなす本体部12を有している。この温度差縮小手段8は、本体部12の基端側部12aの直径を前記内部空間5の直径とほぼ同じにしてその基端側部12aを前記検出器取付部3に圧入させることで固定させている。また、基端側部12aは、外気の熱(低温側)を本体部12に熱伝導し易くするために前記圧力センサ本体9と接触させている。これに対して、本体部12の基端側部12aを除く部位(先端側部12b)は、前記検出器取付部3の内壁面3aに対して若干の隙間が開くように非接触とされている。
【0016】
本体部12には、先端側部12bから基端側部12aに亘って連通する媒体導入路である複数の連通路13(13a〜13d)が形成されることにより媒体の温度を下げる媒体温度低下構造体とされている。具体的には、本体部12の外周面に、先端側部12bから基端側部12aに向かって断面略コ字状とされた溝部が第1連通路13aとして形成されている。第1連通路13aは、本体部12の外周面を均等に分割した位置にそれぞれ4つ形成されている。また、本体部12には、その長手方向中央位置付近に貫通された孔部が第2連通路13bとして形成されている。第2連通路13bは、相対向する2つの第1連通路13a同士を連通させている。他方の相対向する2つの第1連通路13a同士も、もう一方の第2連通路13bにて連通されている。
【0017】
また、本体部12には、その軸芯位置に基端側部12aから前記第2連通路13bに至る位置まで貫通した中心孔が第3連通路13cとして形成されている。さらに、本体部12には、基端側部12aの天面に前記第3連通路13cの中心と同心円となる円錐形状の凹溝が第4連通路13dとして形成されている。連通路13は、これら第1連通路13aから第4連通路13dによって、その流路が曲がりくねった流路構造とされ、その流路距離が直線流路に比べて非常に長くなっている。このため、前記本体部12は、その曲がりくねった長い各連通路13a〜13dを通過することで媒体の温度を低下させる媒体温度低下構造体となっている。
【0018】
このように、複数の連通部13(13a〜13d)を媒体導入路として本体部12に形成した温度差縮小手段8においては、媒体流れ部4を流れる媒体の一部は、第1連通路13aへ流入した後、その流れる向きを変えて第2連通路13bへと流れ、再び流の向きを変えて第3連通路13cを通して第4連通路13dへと流出する。そして、この第4連通路13dの上部に出た媒体は、受圧部6の前方に形成された空間部9bに到達する。
【0019】
「圧力検出装置による媒体圧力検出動作説明」
以下、前記構成とされた本実施形態の圧力検出装置による媒体圧力検出動作について説明する。例えば、外気温度が零下で冷えているときに燃料電池車を運転すると、運転直後は媒体(燃料ガス)温度が低く、媒体流れ部4を通過するガスが持つ水分(水蒸気分圧)は少ないが、その後の運転の仕方で、運転負荷を上げていくと媒体流れ部4を通過するガスは温度上昇(ガスが持つ水分が急増)していく。このとき、圧力検出器7側と、媒体流れ部4側とは、それぞれ低温側(外気の熱)と高温側(ガス熱)との関係に有り、温度勾配が生じる。
【0020】
温度差縮小手段8がない場合、冷えている圧力検出素子である受圧部6の受圧面6aに、比較的高温のまま水蒸気が拡散し到達してしまい、受圧部6がガス温度と同じ温度になるまで結露が生じてしまう。水蒸気だけでなくミスト状の液水(湯気のような質量が大きい水蒸気)も浸入しやすいため、短時間に受圧面6aに付着してしまう。
【0021】
これに対して、本実施形態では、媒体流れ部4に臨む流路開口部から受圧部6の前方に設けた空間部9bまでの通路(各連通路13a〜13d)に曲がり部があることで、1分子の水蒸気だけでなく数分子で構成されているクラスター状の水分、あるいは湯気のように目視できるほどの分子の数で構成されるミスト状の水分などは、この曲がり部で処理され、前記空間部9bまで到達するのを防止できる。既に液状となった水分は持っている熱量も高く、この水分を処理することで媒体の温度(空間部9bの温度)を効果的に低下させることができる。
【0022】
また、本実施形態では、媒体温度低下構造体をなす本体部12を圧力検出器7側で保持すると共に圧力センサ本体9と接触するように取り付けており、且つ本体部12の先端側部12bを検出器取付部3の内壁面3aに対して非接触としている。そのため、圧力検出器7は、外気の熱(低温側)が本体部12に熱伝導し易く、当該本体部12が冷え易くなっている。これは、高温側の熱源である燃料ガスによって温度上昇が速い媒体流れ部4(ガス圧導入口側)周辺の配管内壁2a、3aからの熱で本体部12の温度上昇が抑えられるからである。
【0023】
圧力検出器7の本体部12が冷えること、或いは、ガス温度の上昇と共に本体部12が温度上昇し難いことの効果としては、媒体流れ部4から受圧部6の前方に設けた空間部9bへ浸入する水蒸気の温度を下げられることである。これは、例えばガス温度が70℃で配管2内を流れていて、前記空間部9bの温度を20℃まで低下させることができれば、この空間部9b内に到達した水蒸気は約1/10以下にまで低減できる。さらに、受圧部6との温度差が小さくなるので、受圧面6a面上で結露する量を大幅に少なくできる。これは、外気が極めて低い極寒地(例えば、−30℃)ほど効果が大きい。
【0024】
このように、本実施形態の圧力検出装置によれば、受圧部6上の凍結量を削減することができるため、圧力センサの検出誤差が小さくなり、外気温度零下で燃料電池車の起動がスムーズ且つ短時間で行え走行が可能となる。
【0025】
以上のように、本実施形態の圧力検出装置によれば、受圧部6とこの受圧部6に接触する媒体との温度差を小さくする温度差縮小手段8を有しているので、例えば、媒体である加湿気体が圧力検出器7の受圧部6で結露するのが抑制され、外気温度が零下まで下がって凍結する環境下になっても凍結量が極めて少なく、圧力検出器7の出力誤差を小さくできる。
【0026】
また、本実施形態の圧力検出装置によれば、温度差縮小手段8が媒体の温度を下げる媒体温度低下構造体であるので、その媒体温度低下構造によって受圧部6に到達する気体温度が下がる。すなわち、水蒸気分圧が下がり、絶対的に結露する量が少なくなる。
【0027】
また、本実施形態の圧力検出装置によれば、媒体温度低下構造体を、媒体流れ部4から受圧部6まで媒体を導く媒体導入路を曲がりくねった連通路13として形成しているので、大きな熱量を有するミスト状水分を効率的に凝縮でき、媒体の温度低下を促進できる。
【0028】
また、本実施形態の圧力検出装置によれば、媒体温度低下構造体である本体部12を圧力検出器7側で保持し、媒体流れ部4側では検出器取付部3と非接触としたので、媒体(高温側熱源)の入口側の配管部はいち早く昇温していくが、本体部12は温度上昇せず外気により冷却されることから、この媒体温度低下構造体の温度低下性能を向上させることができる。
【0029】
「第2実施形態」
図3は第2実施形態の圧力検出装置の断面図、図4は図3の温度差縮小手段を取り出して示す斜視図である。
【0030】
第2実施形態では、本体部12と、この本体部12の前方に配置した断熱体15の2つの部品で温度差縮小手段8を構成すると共に、これら本体部12と断熱体15を何れも媒体温度低下構造体とし、さらに圧力検出器7側に配置する本体部12を高熱伝導部である熱伝導体とし、媒体流れ部4側に配置する断熱体15を低熱伝導部である熱伝導体とした。
【0031】
媒体温度低下構造体である本体部12は、第1実施形態と同一構成であるが、熱導電性に優れた材料、例えば銅、アルミ合金、あるいはカーボン材等から形成され、高熱伝導部として機能する。
【0032】
断熱体15は、前記本体部12とは異なり、熱伝導性の悪い材料、例えば樹脂材、ゴム材等で形成され、低熱伝導部として機能する。かかる断熱体15は、本体部12の先端側部12a及びその大部分の部位を嵌入させる円形凹部16を有した円柱体として形成され、前記検出器取付部3の内部空間5に挿入配置されている。かかる断熱体15は、本体部12の保持方法と同じ考え方で低温側の熱を受け易くするために、基端側部15aを検出器取付部3に圧入させることで固定させている。断熱体15の基端側部15aを除く部位(先端側部15b)は、前記検出器取付部3の内壁面3aに対して若干の隙間が開くように非接触とされている。
【0033】
断熱体15には、媒体流れ部4と本体部12に形成された各第1連通路13aとをそれぞれ連通させる連通孔17が形成されている。連通孔17は、例えば円形孔として断熱体15の底部に貫通形成されている。この連通孔17が形成されることで、断熱体15は、該連通孔17を通る媒体の温度を下げる媒体温度低下構造体となる。
【0034】
このように第2実施形態では、高温側には熱伝導が悪い低熱伝導部である断熱体15を配置し、低温側には熱伝導が良い高熱伝導部である本体部(熱伝導体)12を配置することで、第1実施形態に比べて媒体温度の低下性能を更に向上させることができる。なお、本体部12と断熱体15からなる温度差縮小手段8の数を増やせば、より一層効果が高まる。この場合、圧力検出器7の取り付け長さが長くなり、重量やコストおよび体積が増えてしまうマイナス要素もあるが、燃料電池車の零下起動運転性能を満足する媒体温度の低下性能となる構成を選択すればマイナス要素を打ち消せる。
【0035】
第3実施形態の圧力検出装置によれば、圧力検出器7側を高熱伝導部である熱伝導体(本体部12)とし、媒体流れ部4側を低熱伝導部である断熱体15としたので、低温側である圧力検出器7の熱を本体部12に効率よく伝導させ、高温側である媒体流れ部4側の熱は断熱体15によって伝導し難いことから、媒体温度低下性能を更に向上させることができる。
【0036】
「第3実施形態」
図5は第3実施形態の温度差縮小手段を示す断面図である。第3実施形態では、断熱体15に形成した連通孔17を螺旋状とし、また、圧力検出器7の取付状態が傾斜して取り付けられた場合に前記本体部12に形成した第2連通路13b及び第4連通路13dが媒体流れ方向Xに対して傾くようにした例である。
【0037】
断熱体15に形成した連通孔17は、図5(A)に示すように、第2実施形態のように直線状ではなく、所定の傾斜角度θ1を持った螺旋状とされている。この連通孔17を所定の角度θ1をなす螺旋状に形成することで、直線状とした場合に比べて有効通路長を長くすることができる。これにより、断熱体15は、連通孔17の有効通路長が長くなることで、媒体の温度をより一層下げる効果が高まる。
【0038】
この他、図5(B)に示すように、第1連通路13aの形状を階段状としてもよい。または、第1連通路13aの形状は、螺旋状と階段状の両方の形状を組み合わせた形状とすることもできる。何れにしても、階段状或いは階段状と螺旋状を組み合わせた第1連通路13aとすることで、直線状とした場合に比べて有効通路長さを相当長くすることができ、媒体の温度を下げる効果が期待できる。
【0039】
また、燃料電池車の傾斜を考慮し、いろいろな車両姿勢でも連通路13が水平にならないよう第2連通路13bと第4連通路13dに所定の傾き角度θ2、θ3をつける。これは、結露水の排水性を良くすることで、第3連通路13cの通路径Dが比較的小さいサイズまで連通路13が凍結によって閉塞しないようにしている。つまり、通路径Dが小さいほど、媒体温度の低下性能が高いからである。ここで、傾き角度θ1、θ2、θ3は、それぞれ同じである必要はないが、車両設計を最大30%勾配傾斜路を想定すると、道路状況等から15度以上が好ましい。
【0040】
第3実施形態の圧力検出装置によれば、車両が所定の角度で傾斜した場合でも主要通路(第2連通路13b及び第4連通路13d)の底面側は傾いていることで、媒体(加湿された燃料ガス)の凝縮水の排水性が高まり、凝縮水溜まりによる通路の閉塞を防止することができる。さらには、連通路13に凝縮水が溜まり難いことから、媒体温度低下構造体の通路サイズを小さくする限界が延び、温度低下性能を向上できる。
【0041】
「第4実施形態」
図6は第4実施形態の圧力検出装置の断面図、図7は図6の温度差縮小手段を取り出して示す斜視図である。第4実施形態では、本体部12と断熱体15との間に断熱層として機能させる空間18を設け、この空間18が設けられた部位の検出器取付部3の壁厚を薄くしている。もちろん、壁厚を薄くした部位は、機械強度的に必要十分な厚さであることは言うまでもない。
【0042】
さらに、第4実施形態では、検出器取付部3は、圧力検出器7が取り付けられる側の壁厚D2を、前記媒体流れ部4側の壁厚(前記空間18が設けられた部位の壁厚)D1に比べて厚くしている。逆の見方をすると、検出器取付部3の媒体流れ部4側の壁厚D1を圧力検出器7側の壁厚D2に対して薄くしている。こうすることで、本実施形態では、検出器取付部3における圧力検出器7側の体積を大きく確保して熱容量を増大させている。検出器取付部3の媒体流れ部4側の壁厚を薄したのは、熱伝導面積を少なくするためである。すなわち、燃料電池車が運転を開始した後、高温の燃料ガスが流れ始め、その熱を本体部12に伝導するのを抑えるためである。
【0043】
このような構造とした圧力検出装置では、例えば圧力検出器7だけでなく検出器取付部3も冷え切った状態となった燃料電池の零下起動後、高温の燃料ガスが流れ始め、媒体流れ部4を熱源として、熱が圧力検出器7にもやがて伝わってくるが、前記空間18が断熱層として機能するから温度上昇速度を遅くすることができる。つまり、検出器取付部3のセンサ側熱容量が大きいため温度上昇が遅く、その分本体部12の温度上昇も遅くなるのである。本体部12の温度が低い分、媒体の温度低下性能も高く、より長い時間その大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は第1実施形態の圧力検出装置の断面図である。
【図2】図2は図1の温度差縮小手段の斜視図である。
【図3】図3は第2実施形態の圧力検出装置の断面図である。
【図4】図4は図3の温度差縮小手段を取り出して示す斜視図である。
【図5】図5は第3実施形態の温度差縮小手段を示す断面図である。
【図6】図6は第4実施形態の圧力検出装置の断面図である。
【図7】図7は図6の温度差縮小手段を取り出して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1…圧力検出装置
2…配管
3…検出器取付部
4…媒体流れ部
5…内部空間
6…受圧部(圧力検出素子)
7…圧力検出器
8…温度差縮小手段
9…圧力センサ本体(圧力検出器)
12…本体部(温度差縮小手段)
13…連通路
13a…第1連通路
13b…第2連通路
13c…第3連通路
13d…第4連通路
15…断熱体(温度差縮小手段)
17…連通孔
18…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に媒体が流れる流路の一部に接続して設けられた圧力検出器を備え、該圧力検出器の受圧部で、前記流路を流れる媒体の圧力を検出する圧力検出装置において、
前記受圧部と、該受圧部に接触する媒体との温度差を小さくする温度差縮小手段を有した
ことを特徴とする圧力検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力検出装置であって、
前記温度差縮小手段は、前記媒体の温度を下げる媒体温度低下構造体からなり、前記圧力検出器が取り付けられる検出器取付部内に装着され且つ前記受圧部と媒体流れ部間に設けられた
ことを特徴とする圧力検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力検出装置であって、
前記媒体温度低下構造体には、前記媒体流れ部から前記受圧部まで媒体を導く媒体導入路が曲がりくねった連通路として形成されている
ことを特徴とする圧力検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の圧力検出装置であって、
前記連通路は、少なくとも階段状又は螺旋状或いはその両方の形状が組み合わされた形状とされた
ことを特徴とする圧力検出装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の圧力検出装置であって、
前記圧力検出器の取付状態が傾斜して取り付けられた場合に、前記連通路が前記媒体流れ方向に対して傾く
ことを特徴とする圧力検出装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5の何れかに記載の圧力検出装置であって、
前記媒体温度低下構造体は、前記圧力検出器側で保持され、前記媒体流れ部側では前記検出器取付部と非接触とされた
ことを特徴とする圧力検出装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6の何れかに記載の圧力検出装置であって、
前記媒体温度低下構造体は、前記圧力検出器側を高熱伝導部とし、前記媒体流れ部側を低熱伝導部とした
ことを特徴とする圧力検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の圧力検出装置であって、
前記媒体温度低下構造体は、前記媒体流れ部側に配置される低熱伝導部である断熱体と、前記圧力検出器側に配置される高熱伝導部である熱伝導体と、からなる
ことを特徴とする圧力検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の圧力検出装置であって、
前記検出器取付部は、前記圧力検出器が取り付けられる側の壁厚を前記媒体流れ部側の壁厚に比べて厚くした
ことを特徴とする圧力検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−85601(P2009−85601A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251716(P2007−251716)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)