説明

圧縮バネと発条の応力を利用した履物向き変え器

【課題】 住宅の玄関、勝手口及び縁側の床上より土間へ降りる場合、一般に履物は向かって逆向きの場合が多い。この状態で履物を履くには、一旦屈んで手を伸ばし履物の向きを変えたり、足を使って向きを変えたり、或いは後ろ向きで履物の上に乗り、足で探ったりする。この様な面倒で危険な動作を伴う事無く、常に履物を向かって前向きに揃え、スム−ズに履けることを課題とする。
【解決手段】 本器を、上部回転体〔図1〕と中間回転体〔図2〕と下部固定体〔図3〕から構成し、その内部に取りつけた圧縮バネ(16)と発条(6)の応力を利用することにより、人が上部回転体の上面(1)に乗り、脱いだ履物から足が離れた後、上部回転体を自動的に回し、履物の向きを〔図4〕から〔図5〕へ、180°逆向きに変える装置にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土間に設置した本器の上に脱いだ履物を再び履く場合に、その行動が体の無理をする事なく安全で且つ容易出来る様うに、履物の向きを自動的に180°逆向きに変える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は履物を自動的に180°向きを変える装置は見られず、特に圧縮バネと発条の応力を利用した、而も定期交換の部品も無しに活用出来る物は見られなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
玄関,勝手口,縁側,靴脱ぎ場等の土間に降りる場合、履物が脱いだままの床上向き、左右別々向き、或いは散乱しているのを、床上より向かって前向きにきちんと揃えるには、立姿勢からいっきにしゃがみ込みの姿勢になり、一段低い土間に手を伸ばさなければならず、特に身体障害者や腰痛の人、或いは老人や小さな子供には辛くて危険な動作であった。ついめんどうくさくなり足を使い履物を踏みつけて壊したり、土間に足をつけて汚したりもしていた。又この動作の回数が多くなる程尚更辛いことであった。
【0004】
本発明は、設置した本器の上に乗り、そのままの向きで履物を脱ぎ床上に上がれば、その後履物を180°反対方向へ向きを変えることが出来て、従来の危険で、又履物を壊したり足を汚したりする事なく、履物を履くことが出来ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明における圧縮バネ(16)と発条(6)の応力を利用した履物向き変え器は、両応力の特性を活かして組み立てたものである。
圧縮バネはその応力により、上部回転体の上面(1)に履物が有る無しに関わらず、中間回転体
【図2】
とその上に乗る上部回転体
【図1】
を一定の高さまで押し上げて平衡を保つ。この状態での上部回転体は、発条の巻き戻し応力のはたらきにより半回転した後で、常に一定の位置で固定している。
次に上部回転体の上に人が乗れば、その体重により、上部回転体は押し下げられて、下部固定体側面(8)の内側にある段に支えられ固定する。同時に圧縮バネも押し下げられて、強い反発応力を生じる。この応力を受けて中間回転体の四方ベアリング(14)が、上部回転体に取りつけてある円形斜面体(2)の斜面を転がり込む。この作用で中間回転体は斜面の高さの分だけ、回転しながら上側へ逃れる。この時の圧縮バネの反発力は発条の巻き戻し応力よりも強力であり、したがって中間回転体は回転しながら発条を巻き上げていく。
次に履物を残して人が去れば、圧縮バネは再びその反発応力により、上部及び中間回転体を押し上げて平衡を保つ。この時点での圧縮バネの反発応力は既に小さく、巻き上げられている発条の、巻き戻し応力のほうが強力になり、よって中間回転体を回して元に戻そうとはたらきかけるが、カムクラッチを組込んでいる中央ベアリング(12)は一方向しか回転せず、従って発条の巻き戻し応力は、上部回転体の方を回す様にはたらく。回り出した上部回転体は、下部固定体の2箇所に取りつけてある停止用鉄片(17)と、上部回転体側に取りつけてある停使用鉄片(24)が接触する位置まで回転する。
一連の動きで、上部回転体を常に半回転ずつ一定方向に回し、履物の向き変えを行うことが出来る。
【発明の効果】
【0006】
土間に脱いである各履物は、逆向きであったり、向きの方向がバラバラであったり、或いは散乱している場合が多く、これらを履き終えるまでの動作は面倒であり危険でもあった。又履く回数が多くなれば尚更であった。
請求項全般に記載されている本発明は、これらの問題をいっきに解決することが出来る。以下その効果を箇条書きにする。
(1)床上の高い位置からしゃがみ込み手を伸ばして、土間の低い位置にある履物を揃える動作は危険が付きまとい、特に手足の不自由な者、腰痛の者、身体障害者、老人や小さい子供等には苦痛であり又危険でもあった。本発明はこれらの辛さを一切無くすことが出来る。
(2)本発明により履物の位置が定まり、整理整頓や見場も良くなり、履物を揃えて脱ぐという行儀作法の向上にも役立つ。
(3)本発明より、履物への探り足や向き合わせのため、履物を踏みつけて壊したり、足を土間に付けて汚したりすることも一切無くすことが出来る。
【発明を実施するための最良の携帯】
【0007】
実施例として図面を参照して説明する。
【0008】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本器は、下部固定体〔図3〕の上に中間回転体〔図2〕を乗せ、更にその上に上部回転体〔図1〕を乗せた、3体を重ね合わせの構造物と、これらを支持し回転力を加える付属品から構成する。上部回転体は履物を乗せて回転するのに適当な大きさと、人が乗っても十分に耐える強度を持ち、下部固定体はこれら一斉を乗せても十分に安定した強度を有するものである。中間回転体は圧縮バネ(16)による下からの復元応力で回転し、上部回転体は発条(6)による横からの復元応力で回転する履物向き変え器。
【請求項2】
「請求項1」に於いて、圧縮バネは、下部固定体の中心に取りつけた支持パイプ(15)に少し余裕を持って嵌めてあり、中間回転体及び上部回転体と更にその上の履物を下から支え上げ一定の高さで平衡している。発条はその一端を中間回転体中央ベアリンング(12)のハウジング側パイプ(13)に取りつけ、もう一方の端を上部回転体停止用金具(5)に取りつけあり、中間回転体を巻きながら一定の力で平衡している。圧縮バネは、上部回転体に人が乗り、体重が加わると押し下げられて強力な反発力を生じ、中間回転体を圧迫する。この圧迫により中間回転体が回転して発条を巻き上げるが、体重が除かれると元の平衡状態に戻り、今度は発条の巻き戻し応力により上部回転体の方が回転する。そしてこの回転は、上部回転体停止用金具(5)の一端にある停止用鉄片(24)と、下部固定体側面(8)の2箇所に取り付けてある停使用鉄片(17)とが接触した時点で停止する履物向き変え器。
【請求項3】
「請求項2」に於いて、上部回転体の中心に取りつけたパイプ(3)と下部固定体の中心に取りつけたパイプ(15)を、中間回転体の中央ベアリング(12)の軸側パイプ(11)に、上下よりわずかな隙間を設けて挿入し回転を安定させる。中間回転体から四方に突き出した支持棒(20)に取りつけた四方ベアリング(14)は、圧縮バネの復元応力による下からの押し上げ圧力を受け、円形斜面体(2)を転がり、反対側の円形斜面体の角に突き当たり停止する。この作用により中間回転体が回転して発条を巻き上げる。尚カムクラッチを組み込んだ中央ベアリングは一方向しか回転せず、因って発条の巻き戻し復元応力が働けば、上部回転体の方が回転する。この時の応力も強力で、上部回転体に取りつけた円形斜面体の方が四方ベアリングの上を転がり、四方ベアリング止め金具(4)がこの四方ベアリングに突き当たり、更に押し込みながら停止用鉄片(17)と(24)が接触する時点で停止する履物向き変え器。
【請求項4】
「請求項3」に於いて、上部回転体は、中間回転体に取りつけてある四方ベアリンググ(14)に支えられて安定した水平回転をする。人が乗り降りする時の上下運動は下部固定体側面(8)の内側で行うため横振れせずにスム−ズである。人が乗り上部回転体が下がった時は停止用鉄片(24)も下がり、これがバネ片(21)に接触する。又人が退いた時は発条の巻き戻し応力により回転を始めるが、このバネ片が〔図8〕の様にたわんで抵抗をするのでスロ−スタ−トをする。内部の点検や掃除を行うときは、上部回転体を持ち上げ横にずらして行ない、回転力やスピ−ドの調整も、上部回転体を持ち上げ、半回転のピッチで回しながら発条の巻数を変えて行うが、最初に調整設定した位置でほぼ定まり、安定した動きをする履物向き変え器。

【図1】
の上部回転体と
【図3】
の下部固定体とが重なり合い、その中に
【図2】
の中間回転体が入り、支持パイプ(3)と(15)を、中間回転体中央ベアリング(12)の軸側パイプ(11)の中に、上下からわずかな隙間をもって挿入し
【図9】
のごとく一体化をする。又上部回転体と下部固定体の両側面(7)と(8)との間には僅かな隙間を設けている。
【0009】
【図10】
は上部回転体の内部にある各部品の取り付け構造図であり、(4)は四方ベアリング止め金具、(5)は上部回転体停止用金具であり、上部回転体と一体となって回転する。
【図11】
は円形斜面体(2)であり、上部回転体上面(1)の裏側に取り付けていて2列構造になっている。1斜面体は半周の長さで2個繋がって1周となり、隣の斜面体とは90°ずつずらしていて、上部回転体と一体となって回転する。
【0010】
【図12】
は中間回転体の構造図であり、四方の支持棒(20)に嵌め込んだ四方ベアリング(14)が円形斜面体(2)を下から支える。又中央ベアリング(12)と両側の支持パイプ(11),(13)との固定はキ−(9),(10)を用いる。
【0011】
【図13】
は下部固定体の構造図であり、中央の支持パイプ(15)に嵌め込んでいる圧縮バネ(16)は、中央ベアリングの軸側パイプ(11)の下面に接していて、その応力で上部の回転体を支える。側面には対角状に回転停止用鉄片(17)を2個取り付けている。
【0012】
【図14】
は発条(6)の組み立て図であり、一端を上部回転体停止用金具(5)に取り付け、他の一端は中央ベアリングのハウジング側パイプ(13)に取り付けていて回転応力を伝えるはたらきをする。
【0013】
【図6】
は上部と中部の各回転体が組み合わさった構造図を、下部固定体側より見た図である。
【0014】
【図7】
は中間回転体の四方ベアリング(14)の組み立て図であり、支持棒(20)にベアリングを嵌め込み、両側に平ワッシャ(18)を入れ、割ピン(19)を支持棒の穴に差しこみ固定する。
【0015】
【図8】
は下部固定体停使用金具であり、停止用鉄片(17)と、上部回転体の回転始動を、スロ−スタ−トにするための抵抗用バネ片(21)を組み合わせたものである。
【0016】
【図4】

【図5】
は本器の完成品を土間に埋め込んだ様子で、上部回転体が回転して向きを180°変えた様を表したものである。又本器は、必要な強度に合わせて、鉄,アルミニウム,塩化ビニル等の材料を使用し、その固定方法は埋め込む方法、接着剤或いはビスで固定する方法を用いる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】上部回転体の内部構造を表した側面図である。
【図2】中間回転体の側面図である。
【図3】下部固定体の内部構造を表した側面図である。
【図4】土間に埋設した本器の斜視図である。
【図5】[図4]が180°向きを変えた斜視図である。
【図6】上部及び下部の回転体が重ね合った状態を下から見上げた平面図である。
【図7】中間回転体に取り付けてある四方ベアリングの組み立て図である。
【図8】下部固定体に取り付けてある停止用金具の組み立て図である。
【図9】合体した本器の内部構造を表した側面図である。
【図10】上部回転体の内部構造を表した斜視図である。
【図11】円形斜面体の斜視図である。
【図12】中間回転体の斜視図である。
【図13】下部固定体の内部構造を表した斜視図である。
【図14】発条の組み立て斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1. 上部回転体の上面。
2. 円形斜面体。
3. 上部回転体の支持パイプ。
4. 四方ベアリング止め金具。
5. 上部回転体停止用金具。
6. 発条。
7. 上部回転体側面。
8. 下部固定体側面。
9. 中間回転体中央ベアリングの外側固定キ−。
10. 中間回転体中央ベアリングの内側固定キ−。
11. 中間回転体中央ベアリングの軸側パイプ。
12. 中間回転体中央ベアリング。
13. 中間回転体中央ベアリングのハウジング側パイプ。
14. 中間回転体の四方ベアリング。
15. 下部固定体の支持パイプ。
16. 圧縮バネ。
17. 下部固定体停止用金具。
18. 四方ベアリング固定用平ワッシャ。
19. 四方ベアリング固定用割ピン。
20. 四方ベアリング支持棒。
21. 下部固定体停止用金具に組み合わせた抵抗用バネ片。
22. 下部固定体の底面。
23. 中央ベアリングの回転方向指示印。
24. 上部回転体停使用金具の停止用鉄片。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−223779(P2006−223779A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71874(P2005−71874)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(304063691)株式会社チクシ (2)
【Fターム(参考)】