説明

圧縮保存袋

【課題】 従来の圧縮保存袋はポリエチレン樹脂などで構成されていた。ところがポリエチレン樹脂の摩擦係数は極めて小さい。従って実際に布団などを収納した状態で複数個積み上げる場合、滑り落ちやすいという問題があった。本発明はこのような課題を解決し、複数個積み上げても滑り落ちにくくした圧縮保存袋を提供しようとするものである。
【解決手段】合成樹脂製の袋本体と、この袋の片側の外表面の少なくとも一部に形成された袋本体よりも摩擦係数が大きい滑止要素を備えることにより、積み重ねても滑り落ちなくなる。滑止要素を本体の開閉部側の端部にのみ設けた場合、複数個積み重ねて、その中の一枚だけを抜き取る場合、崩れ落ちることなく簡単に抜き取ることが出来る。また、抜
き出す必要がない場合は袋本体の片面の全体に滑止要素を備えれば、より袋同士が密着し複数個積み重ねても崩れることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は布団等の柔軟性生活用品を収納する圧縮保存袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
布団や衣類等をコンパクトに収納するための保存用袋としてポリエチレン樹脂等で形成された密閉式の圧縮保存袋が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−261152
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の圧縮保存袋は上記特許文献1に示すようなポリエチレン樹脂などで構成されていた。ところがポリエチレン樹脂の摩擦係数は極めて小さい。従って実際に布団などを収納した状態で複数個積み上げる場合、滑り落ちやすいという問題があった。本発明はこのような課題を解決し、複数個積み上げても滑り落ちにくくした圧縮保存袋を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる圧縮保存袋は柔軟性生活用品を収納する合成樹脂製の袋本体と、この袋本体の上下もしくはその片側の外表面の少なくとも一部に形成された袋本体よりも摩擦係数が大きい滑止要素とを備えた圧縮保存袋である。
さらに、本体に滑止要素を開閉部端部側だけに設けたことにより袋本体を複数積み重ねた場合、一枚だけ抜き出すことが出来る圧縮保存袋である。
さらに、滑止要素は袋本体の外表面の少なくとも一部に塗布した粘着剤でもよく、滑止要素が会社名などの表示部を兼ねても良い。また、これらの表示部を本体の取扱説明用表示部などの本体に必須の印刷表示で構成するとより便利である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1によれば、布団などの柔軟性生活用品を収納する合成樹脂製の袋本体と、この袋本体の上下外表面の少なくとも一部に設けた摩擦係数が大きい滑止要素によって圧縮保存袋を複数個積み上げても不用意に滑り落ちる恐れはなくなる。従来の袋は何枚か積み上げると崩れて滑り落ちてしまった。
【0007】
請求項2によれば、滑止要素は袋本体の少なくとも一部に塗布した粘着剤であり、頻繁に出し入れする場合、袋の片面の即ち前端部に塗布したものを使用することにより、複数個重ねてある中から一枚だけを簡単に引っ張りだすことが出来る。
【0008】
請求項3によれば、滑止要素は袋本体の少なくとも一部に塗布した粘着剤であり、塗布により簡単に滑止要素をつけることが出来るので袋本体に自在の模様を形成することが出来る。
【0009】
請求項5によれば、滑止要素を表示部とし会社名等をつけると製造者が希望する情報を使用者に容易に伝達できて便利である。さらに請求項5のように表示部を本体の取扱説明とし、本体に必須の印刷表示で構成されたことにより、従来ならば店舗より購入した袋本体を使用する場合、取扱説明文又は符号が記載されている外側の包み紙は捨ててしまが、外側の包み紙に記載されている取扱説明文又は符号を本発明の圧縮保存袋本体の滑止部に図・文字として付着させておけば、再利用するときに取扱説明の内容を確認することが出来て便利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】袋本体の片面の一部に滑止要素を形成した図である。
【図2】図1の変形例であり袋本体の片面の全体に滑止要素を形成した図である。
【図3】図1の変形例であり滑止要素として、会社名「ABC.CO」を採用した図である。
【図4】図1の変形例であり滑止要素として取扱説明文を採用した図である。
【図5】図1を複数個積み重ね、一枚だけを取り出す場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下発明の実施例を図面に基いて説明する。図1は本発明の圧縮保存袋を示し、1はポリエチレン・ナイロンなどの合成樹脂によりなる袋本体、2はチャック式会閉口、3は袋本体一片面の一部に塗布形成された滑止部材で例えば柔軟性のゲル状の合成樹脂またはゴムなどを含むエラストマ、例えばアクリル樹脂エマルジョン、ポリウレタン樹脂などを用いる。
【0012】
生活用品収納圧縮保存袋を図5のように重ねて積み上げて収納する。が、従来の袋は何枚か積み上げると崩れて滑り落ちてしまう欠点があった。しかしこの発明は袋の表面に滑り止めが付着されているため、滑り落ちることがなく収納できる。
図1は袋本体の端部の一部に滑り止めが付着されているものであり、何枚か重ねて収納してある中から図5に示すように一枚だけ抜き取ることが可能である。逆に図2は全面に滑り止めを付着されているものであり、特に抜き取る必要がなく長期間積み上げて収納しておく場合に使用する。図5は一枚だけ抜き取る場合の説明図で、抜き出したい袋の上の袋をAの矢印のように上に少し持ち上げて抜き出したい袋をBの矢印の方向へ引っ張れば簡単に抜き取ることが出来る。
【0013】
現在生活用品圧縮保存袋を2〜3枚重ねて入れる圧縮保存袋用の外袋はある。しかし中身が見えにくく、一枚だけ取り出すことができない。そして一番の難点は出し入れする場合の重さである。一枚ずつの場合は容易に収納出来る。が、圧縮しているため量は少ないが重さは当然2〜3倍になる。老人や女性には大変危険である。この発明は、複数個重ねても滑らずにきちんと収納できる特徴があるため、重さに負担なく持ち上げられ安全である。そして尚且つ、個々の小袋に滑止めをつけているので2〜3枚の袋を入れる外側の大袋が要らないので、経済的である。
【実施例1】
【0014】
図5で示すように、袋本体の片面の開閉部横に図1に示すように袋全体の縦約五分の一まで花柄模様でゲル状の合成樹脂を塗布したものを5枚用意した。押入れの中にその袋の開閉部を手前に、そしてゲル状の合成樹脂を塗布した面を上にして5枚重ねて収納した。図5に示すように重ねた袋の上から二番目を引き抜く場合一番上に乗せている袋を片手でAの方向に少し上に持ち上げ、もう片方の手で上から二番目の袋をB方向に引き抜いた。引張力は約5kgで簡単に引き抜くことが出来た。上から三番目、四番目そして一番下の袋も同じ要領で簡単に引き抜くことができ、尚且つ引き抜いた袋以外の袋は押入れの中で崩れることはなかった。
【実施例2】
【0015】
図2に示すように袋本体の片面の全体にゲル状の合成樹脂で花柄模様を多数描いたものを10枚用意した。図5と同様、押入れの中に10枚重ねて収納した。この場合10枚と多数に重ねたにもかかわらず高く積み上げても滑り落ちることがなった。
【実施例3】
【0016】
図3で示すように表示部を会社名(ABC.CO)などの文字や形を塗布したものを複数枚重ねた場合も実施例1と同様の効果が得られた。このように表示部を会社名にしたので使用者に会社名を強く印象づけることが出来、宣伝効果が抜群である。
【実施例4】
【0017】
また図4で示すように表示部に袋の取扱説明文を塗布したものを複数枚重ねた場合も実施例1と同様の効果が得られ、従来ならば店舗より購入した袋本体を使用する場合、取扱説明文または符号が記載されている外側の包み紙は捨ててしまうが、外側の包み紙に記載されている取扱説明文または符号を本発明の圧縮保存袋の滑止部に図・文字として付着させておけば、袋本体を再利用するときに取扱説明の内容を確認することが出来て便利なことを発見できた。
【実施例5】
【0018】
さらに滑止要素の表示部を塗布型の粘着剤で描くように塗布すると、図1で示す用に花柄を多彩な色を使用したりして、従来にない明るく楽しい印象を与える袋が出来た。
【実施例6】
【0019】
図2では花柄としたが、いうまでもなくこの他の様々な図や模様を塗布して表現しても良い。この場合、色や模様により袋の中に収納するものを表示し分類することが出来るということを発見出来た。
【実施例7】
【0020】
上記実施例では塗布型のものを示したが当然この滑止要素を図1の花柄の形状のステッカ一のような別体で構成し両面接着剤で貼り付けるようにしてもよいことはいうまでもない。その他の滑止要素の使い方を例示すれば下記のようなものがある。
・ 使用頻度、目的によって貼る位置を変えることが出来る。(全体、四隅、片側、対角線上など)
・ 家族など使用する者によってステッカ一の色・図柄を各々揃え区別することが出来る。(父は青色、母は赤色、長男は黄色など)
・ 中に収納しているものを記入したステッカ一を貼り付けることが出来る。(客布団、夏布団、冬物衣類など)
・ 収納した季節や年月により異なったステッカ一を貼り色などで区別出来る。(2009年は緑色、春は桃色、夏は紫色など)
【実施例8】
【0021】
上記実施例では塗布型、ステッカ一型のものを示したが、滑止要素を含んだ薄いシ一ト型のものを様々な大きさで作り、袋と袋の間に挟んで積み上げても実施例1または2と同じ効果が得られた。
【実施例9】
【0022】
本発明でいう滑止要素は要するに合成樹脂製の袋本体を重ねて収納した場合に滑り、崩れてしまうのを防止する機能があればよく、構成が上記塗布型やステッカ一形状またはシ一ト型に限られないことはいうまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性生活用品を収納する合成樹脂製の袋本体と、この袋の上下もしくはその片側の外表面の少なくとも一部に形成された袋本体よりも摩擦係数が大きい滑止要素とを備えることを特徴とした圧縮保存袋。
【請求項2】
前記滑止要素を本体の開閉部側の端部にだけ設けたことを特徴とする請求項1記載の圧縮保存袋。
【請求項3】
前記滑止要素が袋本体の外表面の少なくとも一部に塗布した粘着剤である請求項1または2に記載の圧縮保存袋。

【請求項4】
前記滑止要素が表示部を兼ねる請求項1または2または3に記載の圧縮保存袋。

【請求項5】
前記表示部には、本体の取扱説明が表示されていることを特徴とした請求項4記載の圧縮保存袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−121613(P2011−121613A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281142(P2009−281142)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【特許番号】特許第4518442号(P4518442)
【特許公報発行日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(309028503)
【Fターム(参考)】