説明

圧縮可能な化粧品アプリケータ

マスカラなどの化粧品向けのアプリケータヘッドが記載される。アプリケータヘッドは、外側に向けられたアプリケータ表面をそれぞれ有する、少なくとも二つのアーチ状支持体を有する。アーチ状支持体は隙間を取り囲み、載荷及び塗布のため、比較的大きな拡張構成を規定する。アーチ状支持体は、内向きに屈曲して隙間に入るので、比較的小さなワイパー開口部を通してアプリケータヘッドを引き出せるように、拡張構成は潰れることができる。アプリケータヘッドは既製のパッケージングに使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケータ棒を含む化粧品パッケージング分野のものであり、より詳細には、本発明は、マスカラなどの化粧品を使用するためのアプリケータ棒に取り付けるアプリケータヘッド部分に関するものである。なお、本出願は、2009年5月18日出願の米国特許仮出願第61/179,277号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品ユーザに便利なように、化粧品パッケージングは、パッケージ容器又はバイアルに収容された特定の化粧品を分配するのに適した化粧品アプリケータを含む場合が多い。例えば、マスカラのパッケージングは通常、管状のバイアルの中に延在するアプリケータ棒を含む。化粧品のアプリケータ棒は、一般に、ハンドル部分と、ハンドル部分から塗布端部まで延在するロッドと、ロッドの塗布端部に別個に取り付けられるか、又はそれと一体的に成型されたアプリケータヘッドとを備える。ハンドル部分は化粧品の容器又はバイアルの閉止キャップも兼ねる。ロッドは、製品をバイアルから取り出すため、製品容器内に棒が届く範囲に延在する。アプリケータヘッドは、容器から製品を載荷し、製品を塗布領域(例えば、まつ毛)に運び、製品を塗布領域に供給する。アプリケータヘッドは、付加的に、例えば広げる、塗布を薄く又は厚くする、まつ毛を分離させるなど、塗布される製品を「整える」のに使用されてもよい。アプリケータヘッドの構成は、ユーザのトリートメント領域のエルゴノミクス、所望の塗布特性、及び化粧品が引き出されるパッケージングの寸法を含む、多数の要因によって決まる。例えば、コアから延在する毛を有する撚り線を備える従来の又は「既製(stock)」のマスカラアプリケータヘッドは、全体に細長い円筒状の毛のエンベロープ(bristle envelope)(毛先によって規定される)を有するが、円筒状のエンベロープは、例えば一端又は両端で先細状になっている場合が多い。それに対応する従来の又は「既製」の容器は、マスカラ製品を格納する全体に細長いバイアルを有し、バイアルの首部には、ブラシに載荷される製品の一回分の量を制御するため、そこを通してアプリケータヘッドが引き出されるワイパーを有する。従来のブラシ、バイアル、及びワイパーは、比較的少数の既製サイズで利用可能である。様々な形状及び構成を有する成型アプリケータヘッドも知られているが、その多数は、より従来的な撚り線コアブラシに類似した寸法及び全体構成で細長い円筒状のエンベロープを形成するように延在する、毛状の歯(tines)を備えたコアを有する。寸法及び全体構成が類似しているため、これらの成型アプリケータは、既製のバイアル及びワイパー寸法を有する従来のパッケージングで簡単に使用することができる。これにより、従来にはない寸法を有するバイアル及びワイパーのための特別仕様の機械加工及び型を必要としないため、生産コストが大幅に低減される。
【0003】
しかし、近年の傾向では、従来にはない寸法及び/又は形状を有する成型アプリケータヘッドを使用する(球状など、例えば米国特許公開第2008/0202546 A1を参照)。従来にはない寸法及び形状を有するアプリケータヘッドは、例えば「凝集」を回避しながら「ボリュームを出す効果(volumizing)」を高めることが有利であると言われている。しかし、従来にはない寸法及び形状のため、これらのアプリケータヘッドは事実上、従来の又は既製のバイアル及びワイパーとともに使用できない。例えば、従来にはない寸法が既製のワイパーを通るには大きすぎるか、或いはその形状が既製のワイパーで効率的に拭うのには普通と違いすぎる形状なので、結果として拭い取り特性(wiping characteristics)が乱雑なもの及び/又は予測不能になる。それに加えて、従来にはない寸法又は形状を有するアプリケータヘッドは、より大きな寸法又は形状に適応するように、パッケージの他の部分をカスタマイズすることを要することがあり、例えば、ロッド、ワイパー、及びバイアルを拡大する必要があることがある。これらの特別仕様のパッケージ要素は、扱いにくく、魅力に欠けることがある。また、従来にはない寸法又は形状を有するアプリケータヘッドは、アプリケータヘッドだけではなく、従来にはないアプリケータヘッドに適応するように寸法が定められた対応するワイパー、バイアル、ロッド、及びキャップを生産するために、付加的な特別仕様の機械加工及び型を要することがある。
【0004】
Gueretに付与された米国特許第4,446,880号及び同第4,545,393号、並びにHabatjouに付与された米国特許第7,467,905号は、作動手段又はアジャスタ要素の操作に応じて長さを変えることによって直径が変えられる、化粧用ブラシ/アプリケータを開示している。拡張構成を実現するため、作動手段/アジャスタ要素を操作しなければならず、ユーザにとっては不便である。更に、拡張構成のブラシ又はアプリケータが、比較的小さなワイパー開口部を通して引き出せることについては示唆されていない。880号及び393号の開示は、ベローズの実施形態が、細長い小径部分に戻すために十分な弾性を有することを明白に示唆しており、即ち、ブラシは、本発明の拡張構成ではなくより小さな構成に付勢(bias)される。905号の開示は類似したものであると思われる。また、開示されたブラシは、構造(多数の部品が組み立てられる)及び使用(拡張構成を実現するための作動手段又はアジャスタ要素の操作)の両面で、比較的複雑である。
【0005】
Mooneyに付与された米国特許第4,869,612号は、支持体をアーチ状に曲げてバネ圧縮状態の拡張構成にするように軸体を短縮することによって、支持体上のパッドが中央の軸体から離される、類似の複雑な液体アプリケータを開示している。これは、湾曲した支持体の定常状態が拡張位置である、即ち拡張構成ではバネ圧縮のない本発明とは対照的である。
【0006】
上記の従来技術文献はいずれも、十分に拡大した構成に付勢されるが、比較的小さなワイパー開口部を通して引き出すのを容易にするために簡単に潰れるアプリケータを開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、アプリケータヘッドが従来の寸法又は形状よりも大きく自動的に拡張するが、従来の寸法及び形状のパッケージング、即ち既製のバイアル及びワイパーに使用することができる、マスカラなどの化粧品向けの簡便でコスト効率の良いアプリケータヘッドが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、アプリケータヘッドが従来にはない寸法又は形状を示すが、従来の寸法及び形状のパッケージング、即ち既製のバイアル及びワイパーに使用することができる、マスカラなどの化粧品向けのアプリケータヘッドである。本発明は、塗布目的の比較的大きな化粧品アプリケータヘッドを提供することにより、従来技術によって示される欠陥を解決するが、アプリケータヘッドは、既製のバイアルに使用し、既製のワイパーシステムを通して引き出すのに十分に潰れる。アプリケータヘッドは、アプリケータロッドに接続するように適合された基部を備え、そのアプリケータロッドが次いで製品バイアルのキャップ/クロージャの形態のハンドル部分に接続される。中央長手方向軸線は基部を通って規定される。少なくとも二つの支持体が、長手方向軸線に沿って基部から延在する。各支持体は、基部に接続された近位端から遠位端まで延在する。二つのアーチ状支持体はそれぞれ、化粧品、例えばマスカラを搬送して塗布するように適合された、外側に向けられた表面を有する。二つの支持体は、長手方向軸線の周りで隙間を規定して維持するように、外向きに付勢(bias)される。二つの支持体は、アプリケータヘッドが第1の寸法のワイパー開口部を通して引き出されるとき、屈曲して隙間に入るように適合される。結果として得られるアプリケータヘッドは、従来にはないアプリケータヘッドの利点を示すが、従来の既製のバイアル及びワイパーシステムで使用するのに適した構成及び寸法に潰れる、比較的大きな、円形状の、又はハート形のアプリケーション構成を有する。
【0009】
各支持体の外側に向けられた表面は、突出物、歯、毛、リブ、溝、又はマスカラなどの化粧品を載荷し、運び、且つ塗布するのに適した他の表面形状を備えることによって、化粧品を搬送して塗布するように適合される。
【0010】
アプリケータヘッドの別の実施形態は、長手方向軸線に沿って基部から延在する複数のアーチ状支持体を有する。各支持体は、アプリケータヘッドの基部に接続された近位端から遠位端まで延在する。複数のアーチ状支持体はそれぞれ、化粧品を搬送して塗布するように適合された、外側に向けられた表面を有する。複数の支持体はそれぞれ、長手方向軸線の周りで隙間を規定して維持するように、外向きに付勢される。複数の支持体はそれぞれ、アプリケータヘッドが既製のワイパー開口部を通して引き出されるとき、屈曲して隙間に入るように適合される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ワイパーを通過し始めたところでアプリケータヘッドが部分的に圧縮されている、バイアル及びワイパーに挿入された本発明のアプリケータヘッドを含むアプリケータ棒を示す正面断面図である。
【図2】アプリケータヘッドがバイアル内で完全に拡張している、バイアル及びワイパーに挿入された本発明のアプリケータヘッドを含む図1のアプリケータ棒を示す正面断面図である。
【図3】アプリケータ棒から除去された、図1及び2に示されるアプリケータヘッドの正面図である。
【図4】アーチ状支持体の遠位端を接続するヒンジを含む本発明のアプリケータヘッドの別の実施形態を示す正面図である。
【図5】アーチ状支持体の遠位端が介在構造なしに直接接続されている、本発明のアプリケータヘッドの更に別の実施形態を示す正面図である。
【図6A】複数のアーチ状支持体、例えば三つ以上の支持体が提供される、本発明の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッドの更に別の実施形態を示す正面図である。
【図6B】複数のアーチ状支持体、例えば三つ以上の支持体が提供される、本発明の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッドの更に別の実施形態を示す斜視図である。
【図7】外側に向けられたアプリケータ面が溝又は切り込みの形態の隙間を有して適合された、本発明のアプリケータヘッドの更に別の実施形態を示す正面図である。
【図8】ヒンジが外側に向けられたウェブの形態である、本発明のアプリケータの更に別の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による圧縮可能なマスカラアプリケータヘッドが、参照番号2で図1、2、及び3に示される。アプリケータヘッドは、載荷及び塗布するのに好ましい従来よりも相対的に大きな寸法を有するが、従来のワイパーを通して引き出されるときは、十分に潰れるか縮む。
【0013】
好ましい一実施形態のアプリケータヘッド2が示され、その環境において、化粧品パッケージシステム4は、バイアル6、アプリケータ棒8、及びワイパー10を含む。棒8は、ハンドル部分12と、ハンドル部分に取り付けられるとともにそこから塗布端部16まで延在するロッド14と、ロッド14の塗布端部16から延在するアプリケータヘッド2を含む。ハンドル部分12はバイアル6の閉止キャップ18も兼ねる。キャップは、しっかりした閉止を達成するため、バイアル6の首部22上にある雄ねじ20と協働して係合するのに適した雌ねじ(図示されない)を備える。図1及び2では、ハンドル部分12、ロッド14、及びアプリケータヘッド2を含むアプリケータ棒8は正面図で示されるが、ワイパー10を含むバイアル6は断面で示されていることに留意されたい。
【0014】
ワイパー10は、第1の寸法を有するワイパー開口部24を画定する(図2参照)。ワイパー開口部24の寸法は、図示されるようにロッド14がワイパー開口部24を緊密に塞ぐように、ロッド14の寸法とほぼ同じであってもよい。しかし、ロッドはまた、適切な、より小さな直径であってもよい。ワイパー開口部24の直径に対応するロッドの直径は、約0.25cm〜1.02cm(約0.1インチ〜0.4インチ)の従来の範囲であることができる。
【0015】
次に図3を参照すると、アプリケータヘッド2は、ロッド14の塗布端部16(図1及び2に図示)に接続されるとともにそこから延在するように適合された基部26を備える。アプリケータヘッド2は、ロッド14の塗布端部16に別個に取り付けられるか、又は一体的に成型されてもよい。別個に取り付けられる場合、基部26は従来の手段によってロッド14の塗布端部16に接続される。例えば、基部26は、基部26から延在する装着用のポスト又は突起(図3)を含んでもよい。ポスト54は、ロッド14の塗布端部16にある孔(図示なし)に受け入れられるように寸法が決められる。装着ポスト54は、ポスト54に対するロッド14の「かしめ」を容易にするため、小径部分56を含んでもよい。或いは、ポスト54は、例えば、熱かしめ、プレス嵌め、スナップ嵌め、ピン留め、接着、接合、又は溶接など、成型アプリケータヘッドをアプリケータ棒に固定するための任意の従来手段によって、ロッド14に固定されてもよい。ポスト54は、ロッド14に対する締結能力を改善するため、溝、フルート、環状のリング若しくは切り込み、又は他の任意の構造細部を有してもよい。中央長手方向軸線28は基部26を通って規定される。アーチ状の第1の支持体30は、基部26に接続された第1の近位端32から第1の遠位端34まで長手方向軸線28に沿って延在し、またそこから間隔が空けられる。第1の支持体30は、例えばマスカラなどの化粧品を搬送して塗布するように適合された、第1の外側に向けられたアプリケータ表面36を有する。アーチ状の第2の支持体40は、第1の支持体30のほぼ反対側で長手方向軸線28に沿って延在し、またそこから間隔が空けられる。第2の支持体40は、基部26に接続された第2の近位端42から第2の遠位端44まで延在する。第2の支持体40は、マスカラ製品を搬送して塗布するように適合された、第2の外側に向けられたアプリケータ表面46を有する。
【0016】
図示されるように、化粧品の載荷、搬送、塗布、及び修正(doctoring)を容易にするため、外側に向けられたアプリケータ表面36、46から突出する歯38が設けられてもよい。或いは、第1の支持体30及び第2の支持体40それぞれの外側に向けられた表面36、46は、他のタイプの突出物、毛、歯、フロック加工、粒子、リブ、溝、円板、スリット、切り込み、穴、くぼみ、発泡体、又は例えばマスカラなどの化粧品を載荷し、運び、且つ塗布するのに適した他の表面形状若しくは表面処理(例えば、研磨)を備えることによって、化粧品を搬送して塗布するように適合されてもよい。例えば、図7に示されるように、外側に向けられたアプリケータ表面36、46は、マスカラなどの化粧品を載荷し、運び、且つ塗布するのに適した、溝又は切り込み58の形態の陥凹部を備えてもよい。それに加えて、異なる機能を促進するため、外側に向けられた表面36、46それぞれに対する適応は異なってもよい。例えば、表面36は、マスカラを載荷し、まつ毛に塗布するのにより適した、より幅広の歯を備えてもよく、一方で表面46は、塗布されたマスカラを修正するか、又はまつ毛を整形し分離するのにより適した、より薄い歯を備えてもよい。
【0017】
図2及び3に示されるようなアプリケータヘッドの拡張構成を規定するため、第1の支持体30及び第2の支持体40の少なくとも一方は、長手方向軸線28から外向きに付勢される。好ましくは、第1の支持体30及び第2の支持体40の両方が外向きに付勢されて、拡張構成を提供する。外向きに付勢された第1及び/又は第2の支持体30、40によって作られる拡張構成は、第1の支持体30と第2の支持体40との間で長手方向軸線28の周りに比較的大きな隙間48を規定する(図2及び3を参照)。例えば、マスカラを塗布するためのアプリケータヘッドの場合、外側に向けられた塗布表面36及び46の間の最大距離として見なされる拡張構成の寸法は、理想的には、約0.32cm〜約2.03cm(約0.125インチ〜約0.8インチ)の範囲であろう。比較的大きな隙間48を有する拡張構成では、アプリケータヘッド2はワイパー開口部24の第1の寸法よりも大幅に大きい(図2を参照)。比較的大きなアプリケータヘッド2が比較的小さなワイパー開口部24をどちらの方向にも通過できるようにするため、第1の支持体30及び第2の支持体40の少なくとも一方は、屈曲して隙間48に入って圧縮構成を規定するように適合される(図1を参照)。圧縮構成では、隙間48はサイズが大幅に低減される。一つ又は複数の支持体が屈曲できることによって規定される圧縮構成により、ワイパー開口部24の比較的小さな寸法を通してアプリケータヘッドを押し込み、又は引き抜くことができる。好ましくは、アプリケータヘッドが図1に示されるようにワイパー開口部24から引き出されるとき、第1の支持体30及び第2の支持体40の両方が屈曲して隙間48に入る。第1及び/又は第2の支持体30、40の屈曲を容易にするため、各支持体が全長に亘って可撓性であってもよく、或いは各支持体の一部分が、材料を柔らかくするように薄くされるか若しくは鋳造され(coined)、又は細工されてもよく、例えば、一方の支持体又は各支持体の近位端32、42は、隙間48の中への屈曲を促進するように脆弱化されてもよい。アプリケータヘッド2がどちらかの方向で、即ちバイアルの内部又はバイアルの外部のどちらかにワイパー開口部24を通過した後、アプリケータヘッド2は、図2及び3に示される拡張構成に完全に戻る。第1の支持体30及び第2の支持体40のアーチ状構成により、棒がバイアル6から引き出される際にバイアル6の内部から、並びにアプリケータヘッド2がバイアル6内に戻される際にバイアル6の外部から、アプリケータヘッド2が比較的狭いワイパー寸法に入ることが容易になる。
【0018】
図1、2、及び3では第1の支持体36及び第2の支持体46を有して示されるが、本発明の圧縮可能なマスカラアプリケータは、例えば図6A及び6Bに示されるように、複数のアーチ状支持体、例えば三つ以上の支持体を更に備えてもよい。図6A及び6Bを参照すると、アーチ状の第1の支持体30は、基部26に接続された第1の近位端32から第1の遠位端34まで長手方向軸線28に沿って延在し、またそこから間隔が空けられる。第1の支持体30は、例えばマスカラなどの化粧品を搬送して塗布するように適合された、第1の外側に向けられたアプリケータ表面36を有する。アーチ状の第2の支持体40は、第1の支持体30のほぼ反対側で長手方向軸線28に沿って延在し、またそこから間隔が空けられる。第2の支持体40は、基部26に接続された第2の近位端42から第2の遠位端44まで延在する。第2の支持体40は、マスカラ製品を搬送して塗布するように適合された、第2の外側に向けられたアプリケータ表面46を有する。アーチ状の第3の支持体60は、第1の支持体30及び第2の支持体40のほぼ反対側でそれらから等しく離隔して長手方向軸線28に沿って延在し、またそこから間隔が空けられる。第3の支持体60は、基部26に接続された第3の近位端62から第3の遠位端64まで延在する。第3の支持体60は、マスカラ製品を搬送して塗布するように適合された、外側に向けられたアプリケータ表面66を有する。アーチ状支持体30、40、及び60は歯38を備えてもよい。また、三つのアーチ状支持体を有する形態を示したが、アプリケータヘッドは、任意の適切な数のアーチ状支持体を有してもよく、それぞれ、例えば歯又は他の表面構造によって、例えばマスカラなどの化粧品を搬送して塗布するように適合された、外側に向けられた塗布表面を有してもよい。複数のアーチ状支持体30、40、60の一つ又は複数は、長手方向軸線28から外向きに付勢されて、アプリケータヘッドのための隙間48を含む拡張構成を規定する(図6A及び6Bを参照)。複数のアーチ状支持体30、40、60の一つ又は複数も、二つのアーチ状支持体の実施形態に関して上述したように、屈曲して隙間48に入るように適合され、即ち、アプリケータヘッドがワイパー開口部を通過できるように十分に小さい。どちらかの方向、即ちバイアルの内部又はバイアルの外部の方向で開口部を通ると、アプリケータヘッドは、図6A及び6Bに示される拡張構成に完全に戻る。
【0019】
第1の支持体30及び第2の支持体40は、第1の遠位端34と第2の遠位端44を接続する内側に向けられた可撓性ウェブ51の形態のヒンジ50によって接続されてもよい(図4、7参照)。或いは、ヒンジ50は、棒8がバイアル6に戻されるときにアプリケータヘッド2をワイパー開口部24内に案内するように形作られた、外側に向けられた可撓性ウェブ53(図8参照)の形態をとってもよい。ヒンジ50は、アプリケータヘッド2がワイパー開口部を通して引かれるか、又は押される際の、第2の支持体40の第2の遠位端44に対する第1の支持体30の第1の遠位端34の位置を安定させる。それに加えて、アプリケータヘッド2がワイパー開口部24から引き出されるとき、ヒンジ50は狭窄する(pinches closed)ので、普通なら各支持体の第1の遠位端34及び第2の遠位端44に残る可能性がある余分なマスカラが、ヒンジ50から絞り出され、ワイパー10によって除去される。したがって、ヒンジ50により、従来のアプリケータの自由端で一般的に見られる余分なマスカラの蓄積が回避される。
【0020】
任意に、第1の支持体30の第1の遠位端34は、参照番号52で図5に示されるように、即ち介在構造なしに、第2の支持体40の第2の遠位端44により直接的に接続されてもよい。直接接続は、支持体30、40が隙間48に入ることができるようにそれらの一方又は両方の十分な可撓性を提供して、ワイパー開口部の通過を容易にするため、材料及び/又は構造を選択することによって適合される。このような配置は、最適な性能のため、アプリケータヘッドがワイパー開口部を通過した後、圧縮構成から最初の拡張構成により戻りやすくなるという利点を有すると考えられる。
【0021】
圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド2は、成型、機械加工、又は他の既知のプロセスによって任意の適切な材料から作ることができる。適切な材料としては、熱可塑性のポリマー及びエラストマー、布地、不織布、並びにメッシュを含む、ポリマー又はゴムが挙げられるがそれらに限定されない。適切な材料とは、拡張構成に戻るのに十分な外向きの付勢と、化粧品パッケージの有用寿命の間で一般的な複数回、比較的小さなワイパー開口部を通して引き出すのに十分な内向きの可撓性とを有するものであろう。好ましい材料は、デュポン製の熱可塑性ポリエステルエラストマーであるハイトレル(Hytrel)である。好ましくは、アプリケータヘッドは熱可塑性ポリエステルエラストマーから作られる。アプリケータヘッド2全体が単一の材料から作られてもよく、又はヘッドの様々な部品が異なる材料から作られてもよく、即ち、基部26、第1の支持体30、及び第2の支持体40の少なくとも一つが熱可塑性ポリエステルエラストマーから作られ、他の部品が別のタイプのプラスチックから作られてもよい。アプリケータヘッド2は、単一片として、又は部品に分けて成型することができる。様々な部品は、例えば、一つ又は複数の材料を基部材料の上に二重射出(bi-injection)、連続射出、複数回射出、又はオーバーモールディング(over-molding)することによって、共に成型することができる。或いは、アプリケータヘッド2は、接合、溶接などによって部品から組み立てられてもよい。好ましくは、アプリケータヘッド2全体、又は基部26、第1の支持体30、及び第2の支持体40の少なくとも一つは、40〜100の範囲のショアD硬さを有する材料で、より具体的には62〜70の範囲の硬さを有する材料で作られる。
【0022】
図示される中空のハート形の構成は好ましい一実施形態であるが、例えば、「U」字型又は「V」字型、中空の多角形、中空のクローバー形、楕円形(図5に類似)などの、他の構成が想到される。
【0023】
上述のものに加えて、より大きな拡張構成に付勢されるという理由により、アプリケータヘッドは、別の形では従来の寸法を有するアプリケータヘッドには、例えば従来の撚り線ブラシには利用できないであろう、バイアルの壁から製品を取り出すことができる(図2を参照)という更なる利点を有する。
【0024】
本発明は、マスカラ製品向けのアプリケータに関連して主に記載してきたが、本発明のアプリケータヘッドは、幅広の拡大されたアプリケータを使用することによって利益を得るであろう、且つ従来のワイパーを通して引き出すことができるあらゆる化粧品、例えばリップグロス、アイシャドウ、ファンデーション、又は美顔若しくは皮膚トリートメント製品の塗布に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の寸法を有するワイパー開口部を規定するワイパーを含むパッケージに使用される、圧縮可能なマスカラアプリケータヘッドであって、
アプリケータロッドに接続されるように適合された、中央長手方向軸線がそこを通って規定される基部と、
前記基部に接続された第1の近位端から第1の遠位端まで前記長手方向軸線に沿って延在するとともに、マスカラ製品を搬送して塗布するように適合された第1の外側に向けられたアプリケータ表面を有するアーチ状の第1の支持体と、
前記第1の支持体のほぼ反対側で前記長手方向軸線に沿って延在し、前記基部に接続された第2の近位端から第2の遠位端まで延在するとともに、マスカラ製品を搬送して塗布するように適合された第2の外側に向けられたアプリケータ表面を有するアーチ状の第2の支持体と、を備え、
前記第1の支持体が前記長手方向軸線から外向きに付勢されて、前記ワイパー開口部の前記第1の寸法よりも大きな第2の寸法を有する拡張構成を規定し、前記第1の支持体と前記第2の支持体との間で前記長手方向軸線の周りの隙間を前記拡張構成が含み、前記アプリケータヘッドが前記第1の寸法の前記ワイパー開口部を通して引き出されるときに屈曲して前記隙間に入るように前記第1の支持体が適合されている、圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項2】
前記第2の支持体が前記長手方向軸線から外向きに付勢されて、前記隙間を含む前記拡張構成を更に規定し、前記アプリケータヘッドが前記第1の寸法の前記ワイパー開口部を通して引き出されるときに屈曲して前記隙間に入るように前記第2の支持体が適合されている、請求項1に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項3】
前記第1の支持体の前記アプリケータ表面及び前記第2の支持体の前記アプリケータ表面の少なくとも一方から外向きに延在する第1の複数の歯を更に備えている、請求項1に記載のマスカラアプリケータヘッド。
【請求項4】
前記第1の支持体の前記アプリケータ表面及び前記第2の支持体の前記アプリケータ表面の他方から外向きに延在する第2の複数の歯を更に備えている、請求項3に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項5】
化粧品を搬送して塗布するように、前記第1の複数の歯又は前記第2の複数の歯の少なくとも一方が適合されている、請求項4に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項6】
まつ毛を分離するように、前記第1の複数の歯又は前記第2の複数の歯の他方が適合されている、請求項5に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項7】
マスカラの搬送、マスカラの塗布、マスカラの修正、まつ毛の整形、及びまつ毛の分離から選択される少なくとも一つの機能を行うように、前記第1の複数の歯が適合されている、請求項3に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項8】
化粧品の搬送、化粧品の塗布、及び化粧品の修正から選択される少なくとも一つの機能を行うように、前記第1の複数の歯が適合されている、請求項4に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項9】
マスカラの搬送、マスカラの塗布、マスカラの修正、まつ毛の整形、及びまつ毛の分離から選択される少なくとも一つの機能を行うように、前記第2の複数の歯が適合されている、請求項8に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項10】
前記長手方向軸線に沿って前記基部から延在する、前記第1の支持体及び前記第2の支持体から離隔したアーチ状の第3の支持体を更に備え、
前記第3の支持体が前記基部に接続された第3の近位端から第3の遠位端まで延在し、化粧品を搬送して塗布するように適合された外側に向けられたアプリケータ表面を前記第3の支持体が有し、
前記第3の支持体が前記長手方向軸線から外向きに付勢されて、前記隙間を含む前記拡張構成を更に規定し、前記アプリケータヘッドが前記第1の寸法の前記ワイパー開口部を通して引き出されるときに屈曲して前記隙間に入るように前記第3の支持体が適合されている、請求項1に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータ。
【請求項11】
前記第3の支持体の前記アプリケータ表面から延在する第3の複数の歯を更に備えている、請求項10に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータ。
【請求項12】
マスカラの搬送、マスカラの塗布、マスカラの修正、まつ毛の整形、及びまつ毛の分離から選択される少なくとも一つの機能を行うように、前記第3の複数の歯が適合されている、請求項11に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項13】
前記第1の遠位端と前記第2の遠位端とを接続する可撓性ウェブの形態のヒンジを更に備えている、請求項1に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータ。
【請求項14】
前記基部、前記第1の支持体、及び前記第2の支持体の少なくとも一つが熱可塑性ポリエステルエラストマーから作られている、請求項1に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータ。
【請求項15】
前記基部、前記第1の支持体、及び前記第2の支持体の少なくとも一つが40から100の範囲のショアD硬さを有する可撓性材料で作られている、請求項1に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータ。
【請求項16】
前記基部、前記第1の支持体、及び前記第2の支持体の前記少なくとも一つが62から70の範囲のショアD硬さを有する可撓性材料で作られている、請求項15に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータ。
【請求項17】
第1の寸法を有するワイパー開口部を規定するワイパーを含むパッケージに使用される、圧縮可能なマスカラアプリケータヘッドであって、前記アプリケータヘッドが、
アプリケータロッドに接続されるように適合された、中央長手方向軸線がそこを通って規定される基部と、
前記基部から前記長手方向軸線に沿って延在するとともに、前記基部に接続された近位端から遠位端までそれぞれ延在し、マスカラ製品を搬送して塗布するように適合された外側に向けられた表面をそれぞれ有し、前記長手方向軸線の周りの隙間を規定して維持するように外向きに付勢され、前記アプリケータヘッドが前記第1の寸法の前記ワイパー開口部を通して引き出されるときに屈曲して前記隙間に入るようにそれぞれ適合された、複数のアーチ状支持体と、を備えている、圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項18】
内側に向けられたウェブを前記ヒンジが備えている、請求項13に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項19】
前記アプリケータヘッドを前記ワイパー開口部内に案内するように形作られている外側に向けられたウェブを前記ヒンジが備えている、請求項13に記載の圧縮可能なマスカラアプリケータヘッド。
【請求項20】
第1の寸法を有するワイパー開口部を規定するワイパーを含むパッケージに使用される、圧縮可能なアプリケータヘッドであって、前記アプリケータヘッドが、
アプリケータロッドに接続されるように適合された、中央長手方向軸線がそこを通って規定される基部と、
前記基部から前記長手方向軸線に沿って延在するとともに、前記基部に接続された近位端から遠位端までそれぞれ延在し、化粧品を搬送して塗布するように適合された外側に向けられた表面をそれぞれ有し、前記長手方向軸線の周りの隙間を規定して維持するように外向きに付勢され、前記アプリケータヘッドが前記第1の寸法の前記ワイパー開口部を通して引き出されるときに屈曲して前記隙間に入るようにそれぞれ適合された、複数のアーチ状支持体と、を備えている、圧縮可能なアプリケータヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−527305(P2012−527305A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511842(P2012−511842)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/031966
【国際公開番号】WO2010/135052
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)