説明

圧電発電装置、および圧電発電装置を備えた電子機器

【課題】圧電板のたわむ方向と交差する方向に加えられる力学的エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換できる圧電発電装置を提供する。
【解決手段】圧電発電装置100は、外部から加わる力学的エネルギーを電気エネルギーに変換する圧電発電装置であって、支持部10と、一方の端部が支持部10に固定された複数の弾性部材21と、弾性部材21に貼り合わされ、表裏面に電極を有する圧電板22と、複数の弾性部材21の他方の端部を連結する弾性連結部材30と、弾性連結部材30の略中央部に形成された錘40と、を備える。不特定方向に加えられた力学的エネルギーが、錘40の運動により圧電板22がたわみ振動するように伝達されるため、より効率的に電気エネルギーへの変換をすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電発電装置、および圧電発電装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載されているように、片持ち梁状の板に圧電板を貼り付け、板を振動によりたわませることで圧電板を伸縮させ、圧電板に設けた電極対に交流電圧を発生させる圧電発電装置が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−107752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の圧電発電装置では、板を振動させることで、板に貼り付けられた圧電板を伸縮させて電気エネルギーに変換するが、振動による力学的エネルギーが、板のたわむ方向と同じ方向のエネルギー成分に限られる。つまり、板のたわむ方向と交差する方向に加えられた力学的エネルギーの内、板のたわむ方向と同一方向のエネルギー成分のみが、板をたわませることができるため、力学的エネルギーの方向が定まらず様々な方向から振動が加えられる環境下では、電気エネルギーへの変換効率が低いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]振動を電気エネルギーに変換する圧電発電装置であって、振動によって繰返し変形可能な第1の弾性部材と、振動によって繰返し変形可能な第2の弾性部材と、前記第1の弾性部材の一方の端部と前記第2の弾性部材の一方の端部とを支持する支持部と、前記第1の弾性部材の一方の面に備えられる第1の圧電板と、前記第2の弾性部材の一方の面に備えられる第2の圧電板と、前記第1の弾性部材の他方の端部と前記第2の弾性部材の他方の端部とを連結し、振動によって繰返し変形可能な弾性連結部材と、前記弾性連結部材に備えられる錘と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本適用例によれば、第1および第2の弾性部材を変形させることで第1および第2の圧電板が伸縮し、第1および第2の圧電板が電気エネルギーを発生する。錘に加えられた力学的エネルギーが、弾性連結部材を通じて第1および第2の弾性部材に伝達され、第1および第2の弾性部材を変形させる。この際、錘に対して不特定方向に加えられた力学的エネルギーは、錘が継続して運動することによって第1および第2の弾性部材に伝達され、様々な方向からの振動でも第1および第2の弾性部材を変形させることができるため、より効率的に電気エネルギーへの変換をすることができる。
【0008】
具体的には、弾性連結部材に備えられる錘は、振動により力学的エネルギーを加えられると、一定の期間、弾性連結部材の持つ弾性作用により、運動を継続する。錘に加えられた力学的エネルギーの方向が、第1および第2の弾性部材の変形方向と交差する方向であっても、その運動エネルギーは、錘が運動する期間は、弾性連結部材を介して、第1および第2の弾性部材に伝達される。すなわち、錘は、往復運動あるいは円運動あるいはそれらの組み合わせの運動をしながら、弾性連結部材によって連結された第1および第2の弾性部材の変形方向のエネルギー成分としてエネルギーの伝達を継続し、その運動を減衰させていく。空気抵抗や摩擦、支持部から外部に漏れ出る力学的エネルギーなどのエネルギー損失分を除き、錘が運動を減衰してゆく減衰期間を通して、錘の持つ力学的エネルギーの多くが第1および第2の弾性部材の変形方向のエネルギー成分として繰り返し伝達される。このため、第1の弾性部材が備える第1の圧電板および第2の弾性部材が備える第2の圧電板は伸縮を繰り返し、より効率的にエネルギーの変換を行うことができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る圧電発電装置において、前記第1および第2の弾性部材の弾性率は、前記弾性連結部材の弾性率よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
本適用例によれば、一般に弾性率は変形のしにくさを表す物性値のため、外部からの振動に対する第1および第2の弾性部材の変形量は、弾性連結部材に比較して小さくなる。そのため、支持部から第1および第2の弾性部材を通じて加えられる振動が、弾性連結部材や錘に伝達しやすくなる。つまり、力学的エネルギーをより効率的に錘を含む弾性連結部材に伝達することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る圧電発電装置において、前記第1の弾性部材の一方の端部と前記第2の弾性部材の一方の端部とが接合されて前記支持部に支持されていることを特徴とする。
【0012】
本適用例によれば、第1および第2の弾性部材の端部同士が支持部で接合される構成となるため、支持部をよりコンパクトに構成することができる。その結果、発電装置の小型化を図ることができる。また、第1および第2の弾性部材の接合箇所では剛性が増し、大きい振動を受けたときでも破損されにくい圧電発電装置を提供することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係る圧電発電装置において、前記第1の弾性部材の、前記一方の面に向かい合う他方の面に備えられる第3の圧電板と、前記第2の弾性部材の、前記一方の面に向かい合う他方の面に備えられる第4の圧電板と、をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
本適用例によれば、第1の弾性部材の向かい合う両面に第1の圧電板と第3の圧電板とが備えられているため、第1の弾性部材の変形に対して、一方の圧電板は伸び、他方の圧電板は縮むことでそれぞれが逆位相の電気エネルギーを同時に発生させることができる。同様に、第2の弾性部材の向かい合う両面に第2の圧電板と第4の圧電板とが備えられているため、第2の弾性部材の変形に対して、一方の圧電板は伸び、他方の圧電板は縮むことでそれぞれが逆位相の電気エネルギーを同時に発生させることができる。このため、より効率的に発電をすることができる。
【0015】
[適用例5]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の圧電発電装置を用いたことを特徴とする。
【0016】
電子機器として上記の圧電発電装置を用いることにより、電源供給源を必須構成としない電子機器として提供することができる。例えば、振動の方向が定まらない人体や動物に装着して使用する電子機器や、自然エネルギーに起因して発生する振動(風や波など)を利用して発電することが可能な環境で使用される電子機器に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係る圧電発電装置の構成を示す概略図である。
【図2】(a)〜(c);実施形態1に係る圧電発電装置の動作を示す説明図である。
【図3】実施形態2に係る圧電発電装置の構成を示す概略図である。
【図4】変形例1に係る圧電発電装置の構成を示す概略図である。
【図5】圧電発電装置の利用例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、説明を分かりやすくするため、実際とは異なる尺度で記載している場合がある。
【0019】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る圧電発電装置100の構成を示す概略図である。
圧電発電装置100は、2つの圧電素子を利用した圧電発電装置で、支持部10、弾性部材21、圧電素子20、弾性連結部材30、錘40などから構成されている。
【0020】
支持部10は、圧電発電装置100のベースとなる略直方体のブロックで、2つの弾性部材21のそれぞれの一方の端部21bを支持し固定している。支持部10は、外部からの力学的エネルギーを受けて、弾性部材21を経由し、弾性部材21の他方の端部21tに連結されている弾性連結部材30および錘40にそのエネルギーを伝達する。
【0021】
支持部10は非圧電材料からなり、本実施形態では好適例としてアルミナ(Al23)を用いている。非圧電材料としては、アルミナの他、ジルコニア(ZrO2)、シリコン、窒化シリコン、シリコンカーバイト、石英、有機ポリマーなどが挙げられる。
【0022】
圧電素子20は、圧電板22、電極板23、配線24などから構成され、弾性部材21に備えられる。2つの弾性部材21は、互いに向き合うように、間隔を有して略平行に、また支持部10に対して略垂直方向に延出するように配置され、それぞれの端部21bは支持部10に挿嵌され、固定されている。2つの弾性部材21の配置は特に限定されるものではなく、間隔を有して略平行に配置すれば、2つの弾性部材21は振動に対し同じような変形をするため、圧電板22から発生する電気エネルギーも等しくなる。よって、振動で発生する電気エネルギーの発生量を予測することが容易となる。
【0023】
圧電板22は電極板23を備え、弾性部材21に1つの振動が入力されたとき、伸張する部位と収縮する部位とに貼り付けられている。弾性部材21のたわみによって、一方の圧電板22は伸び、他方の圧電板22は縮むことでそれぞれが逆位相の電気エネルギーを同時に発生させることができる構成となっている。
【0024】
電極板23は、圧電板22と略同面積の広さを有する金属板であり、圧電板22の表裏面に貼り付けられている。電極板23は、圧電板22で発生する電気エネルギーを配線24によって端子A、A’、B、B’に導出する。
【0025】
弾性部材21には、好適例として、SUS(Stainless Used Steel)を用いている。なおこれに限ることなく、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックスや、真鍮、燐青銅などを用いても良い。
【0026】
圧電板22には、好適例としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いている。なお、これに限定するものではなく、マグネシウム酸ニオブ酸鉛(PMN)−PZT、ニッケル酸ニオブ酸鉛(PNN)−PZT、PMN−チタン酸鉛(PT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの圧電性セラミックスや、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のような圧電性高分子などを用いても良い。
また、圧電板22は、延在方向の収縮により厚み方向に電圧が発生するように、予め分極させておく。
【0027】
弾性連結部材30は、2つの弾性部材21の端部21tを連結している。つまり、弾性部材21の支持部10に固定されていない自由端同士を、弾性連結部材30によって連結している。
【0028】
錘40は、弾性連結部材30の略中央部に形成されている。錘40の運動エネルギーは、弾性連結部材30の持つ弾性エネルギーとの間で授受を繰り返し、弾性連結部材30を介して、連結された弾性部材21に伝達される構成となっている。錘40を弾性連結部材30の略中央部に形成することにより、2つの弾性部材21は振動に対し同じような変形をするため、圧電板22から発生する電気エネルギーも等しくなる。よって、振動で発生する電気エネルギーの発生量を予測することが容易となる。
錘40には、好適例として、SUSを用いている。なおこれに限ることなく、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックスや、真鍮、燐青銅などを用いても良く、また、よりコンパクトに構成する上では、より密度(比重)の高いものが好ましい。
【0029】
なお、錘40は、2つの端部21tを連結する弾性連結部材30の略中央部に周設するように形成しても良いし、錘40を2つの端部21tの中間位置に配置して、2つ弾性連結部材30によって錘40を両側の端部21tに連結させる構成であってもよい。また、弾性連結部材30の中央部分の形状を変えること(厚くする、太くするなど)により、弾性連結部材30自身に錘40の機能を持たせる構成であっても良い。
【0030】
弾性連結部材30には、好適例としてSUSで作られたバネを用いている。なお、バネの材料は、これに限定するものではなく、チタン、リン青銅、ピアノ線(炭素鋼)などを用いても良い。また弾性連結部材30は、必ずしもバネである必要はなく、ゴムなどを含め、錘40の運動エネルギーを、弾性エネルギーとして吸収し、また錘40や弾性部材21にエネルギーを発散し伝達できる弾性体であれば良い。
弾性連結部材30の材料、弾性率、長さ、重さ、また錘40の材料、形状、重さ、大きさなどは、発電に利用する力学的エネルギーの発生環境や、発電エネルギーの仕様により、圧電素子20の仕様と共に、適宜最適な仕様として選定することが好ましい。
【0031】
なお、弾性部材21の弾性率は、弾性連結部材30の弾性率と同等か、あるいは弾性連結部材30の弾性率より大きいことが好ましい。弾性部材21を弾性連結部材30に比較して変形しにくい構成とすることで、支持部10に入力され、弾性部材21を経由して加えられる外部からの応力が、より弾性連結部材30に伝達しやすくなる。
【0032】
以上の構成によれば、支持部10に外力として力学的エネルギーが加わると、弾性部材21を振動するようにたわみ、圧電板22が伸縮し電気エネルギーが発生する。具体的には、支持部10に入力された外力は、弾性部材21および弾性連結部材30を経由して錘40に伝達される。錘40は、伝達された力学的エネルギーにより、一定の期間、弾性連結部材30の持つ弾性エネルギーとの間でエネルギーの授受を繰り返して運動を継続する。錘40が運動する期間を通じて、その運動エネルギーは、弾性部材21をたわませる方向のエネルギー成分として、継続的に弾性部材21に伝達される。
より具体的な動作を以下に説明する。
【0033】
図2(a)〜(c)は、本実施形態に係る圧電発電装置100の動作を示す説明図である。それぞれの図において直交するXYZの3軸方向は、圧電素子20が端部21b(固定端)から端部21t(自由端)に延出している方向をZ方向、端部21t同士を結ぶ方向をY方向、ZおよびY方向に交差する方向をX方向としている。
【0034】
図2(a)は、外力を受けた錘40がZ方向に往復運動をしている状態を、X方向から見た側面図である。図から明らかなように、弾性連結部材30によって錘40に連結された端部21tは、Z方向に往復運動する錘40に引かれて、あるいは戻されてY方向に往復運動する。端部21tの往復運動は、圧電素子20をたわませる往復運動となり、その結果、圧電板22には、電気エネルギーが発生する。
【0035】
図2(b)は、外力を受けた錘40がX方向に往復運動をしている状態を、Z方向から見た上面図である。図から明らかなように、弾性連結部材30によって錘40に連結された端部21tは、X方向に往復運動する錘40に引かれて、あるいは戻されてY方向に往復運動する。端部21tの往復運動は、圧電素子20をたわませる往復運動となり、その結果、圧電板22には、電気エネルギーが発生する。
【0036】
図2(c)は、外力を受けた錘40がY方向に往復運動をしている状態を、X方向から見た側面図である。図から明らかなように、弾性連結部材30によって錘40に連結された端部21tは、Y方向に往復運動する錘40に押し引きされてY方向に往復運動する。端部21tの往復運動は、圧電素子20をたわませる往復運動となり、その結果、圧電板22には、電気エネルギーが発生する。
【0037】
実際の錘40の運動は、上記のような単一方向の往復運動に限られることはなく、外力が与えられる方向や、弾性部材21のたわみなどの影響によってX、Y、Zの各方向成分の動きが複合された3次元空間での複雑な動きとなる。つまり、往復運動、円運動、振動などが組み合わせられた運動となる。しかし、3次元空間におけるいずれの運動も端部21tのY方向の往復運動を促すことになる。錘40は、弾性連結部材30によって連結された弾性部材21をたわませる方向のエネルギー成分としてエネルギーを伝達しながら、その運動を減衰させていく。
【0038】
以上述べたように、本実施形態による圧電発電装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
錘40に加えられた力学的エネルギーの方向が、弾性部材21のたわむ方向と交差する方向であっても、錘40が運動する期間の運動エネルギーは、弾性部材21をたわみにより振動させる方向のエネルギー成分として、継続的に弾性部材21に伝達される。この際、錘40に対して、弾性部材21がたわむ方向のみならず不特定方向に加えられた力学的エネルギーは、錘40が継続運動することにより弾性部材21に伝達されるため、より効率的に電気エネルギーへの変換をすることができる。
【0039】
すなわち、空気抵抗や摩擦、支持部10から外部に漏れ出る力学的エネルギーなどのエネルギー損失分を除き、錘40の持つ力学的エネルギーの多くが弾性部材21をたわみにより振動させる方向のエネルギー成分として繰り返し伝達される。このため、弾性部材21に貼り合わされた圧電板22は伸縮を繰り返すため、より効率的にエネルギーの変換を行うことができる。
以上のように、本実施形態によると、圧電板22のたわむ方向と交差する方向に加えられる力学的エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換できる圧電発電装置を提供することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、錘40の重さや、弾性連結部材30の弾性率を変えることにより、錘40の運動特性を変化させることができる。具体的には、錘40の円運動や往復運動の周期や減衰振動の半減期間を調整することができる他、外部からの振動の大きさに対して効率的な発電が得られる。また、以下の効果も得ることができる。
上記仕様の異なる錘40や弾性連結部材30に代えるだけで、発電に利用する力学的エネルギー発生源の環境に合わせた圧電発電装置の最適化を行うことができる。つまり、圧電発電装置としてのバリエーションを、簡便に提供することができる。例えば、それぞれの環境に特有の振動範囲が既知の場合(波の周期運動、人の歩行、鳥類の羽ばたきなど)に、予め、それぞれの振動に合わせて効率的な発電を行う構成にしておくことができる。
また、振動の共振点において発電量がピークとなることを利用して、特有の振動を検出し発信するセンサー機能としても活用することができる。その際にも、錘40や弾性連結部材30を代えるだけで、検出範囲を予め設定することができる。
【0041】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る圧電発電装置について説明する。なお、説明にあたり、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
【0042】
図3は、実施形態2に係る圧電発電装置200の構成を示す概略図である。
実施形態2は、互いに向かい合う2つの弾性部材21のそれぞれの一方の端部21bが接合部Jで接合され、接合部Jが支持部10に固定されていることを特徴とする。
実施形態1では、2つの弾性部材21は、間隔を有して略平行に、支持部10に対して略垂直方向に延出するように配置されているとして説明したが、本実施形態では、2つの端部21bが接合部Jで一箇所に接合され、2つの端部21tと、接合部Jとの3点で三角形を成すような構成となっている。
【0043】
本実施例によれば、2つの弾性部材21のそれぞれの端部21bがひとつの接合部Jに接合される構成となるため、接合部Jを固定する支持部10をよりコンパクトに構成することができるため、発電機自体を小型化できる。また、2つの弾性部材21の端部21bが接合されているため、端部21bの剛性が増し、大きい振動を受けたときでも破損されにくい発電機を提供することができる。また、弾性部材21が、互いに向かい合う方向に逆位相でたわむ、あるいは逆位相で振動する場合には、接合部Jでその応力が打ち消しあうため、接合部Jから支持部10に漏れ出るエネルギーが減少して、圧電板22に、より効果的にエネルギーの伝達をすることができる。結果として、より効率的に発電をすることができる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。
【0045】
(変形例1)
変形例1に係る圧電発電装置について、以下に説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
【0046】
図4は、変形例1に係る圧電発電装置300の構成を示す概略図である。
実施形態1および実施形態2では、2つの圧電素子を利用した圧電発電装置として説明したが、この構成に限定するものではなく、3つ以上の圧電素子で構成されても良い。
【0047】
本変形例では、支持部10に略垂直方向に3つの圧電素子20が互いに中央を向き合うように配置されている。支持部10は、3つの圧電素子20のそれぞれの一方の端部21bを支持し固定している。また、弾性連結部材30は、3つの弾性部材21のそれぞれの端部21tを連結している。錘40は、3つの端部21tを連結している弾性連結部材30の略中央部に形成されている。錘40の運動エネルギーは、弾性連結部材30の持つ弾性エネルギーとの間でエネルギーの授受を繰り返し、弾性連結部材30を介して、連結された弾性部材21に伝達される構成となっている。
【0048】
本変形例に係る圧電発電装置300によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
錘40は、3つの端部21tを連結する弾性連結部材30の略中央部に形成されており、3方向から支えられる構成となるために、力学的エネルギーを受けた場合の錘40の運動範囲を、3つの圧電素子20に囲まれる空間内に治め易くなる。また、錘40が受ける力学的エネルギーを3方向の弾性連結部材30および3つの圧電素子20の弾性エネルギーとの間で授受を行えるため、実施形態1および実施形態2の場合と比較して、大きな力学的エネルギーを加えることができる。従って、より大きな加速度を持つ自然エネルギーなどを利用して発電する場合に効果的に使用することができる。
【0049】
また、図示していないが、3つの圧電素子20の端部21bは、接合部で一箇所に接合され、接合部が支持部10に固定される構成であっても良い。
【0050】
(電子機器)
次に、本実施形態の圧電発電装置を利用した電子機器について説明する。
図5は、圧電発電装置100ないし圧電発電装置300のいずれかの圧電発電装置を利用した一例としての充電回路400を示す回路図である。
充電回路400は、前記圧電発電装置、ブリッジ整流器50、充電用容量51、ツェナーダイオード52などから構成される。
前記圧電発電装置の発電する電気エネルギーは交流であるため、ブリッジ整流器50で整流して充電用容量51に蓄電する。ツェナーダイオード52は、過電圧保護用に設けている。
【0051】
充電用容量51に蓄電された電気エネルギーは、接続された負荷53の電力源として活用することができ、端子C、C’に接続される負荷53の部分には、本充電回路を電力源とした様々な電子機器を接続することができる。すなわち、バッテリーなどの電源を有さずに動作させることができる電子機器としての優れた特性を、より効果的なものとして提供することができる。例えば、運動の方向が定まらない人体や動物に装着して使用する電子機器や、自然エネルギーによる運動(風や波など)を利用して発電することが可能な環境で使用される電子機器に最適である。
【符号の説明】
【0052】
10…支持部、20…圧電素子、21…弾性部材、21b,21t…端部、22…圧電板、23…電極板、24…配線、30…弾性連結部材、40…錘、100,200,300…圧電発電装置、400…充電回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を電気エネルギーに変換する圧電発電装置であって、
振動によって繰返し変形可能な第1の弾性部材と、
振動によって繰返し変形可能な第2の弾性部材と、
前記第1の弾性部材の一方の端部と前記第2の弾性部材の一方の端部とを支持する支持部と、
前記第1の弾性部材の一方の面に備えられる第1の圧電板と、
前記第2の弾性部材の一方の面に備えられる第2の圧電板と、
前記第1の弾性部材の他方の端部と前記第2の弾性部材の他方の端部とを連結し、振動によって繰返し変形可能な弾性連結部材と、
前記弾性連結部材に備えられる錘と、を備えることを特徴とする圧電発電装置。
【請求項2】
前記第1および第2の弾性部材の弾性率は、前記弾性連結部材の弾性率よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の圧電発電装置。
【請求項3】
前記第1の弾性部材の一方の端部と前記第2の弾性部材の一方の端部とが接合されて前記支持部に支持されていることを特徴とする、請求項1あるいは請求項2に記載の圧電発電装置。
【請求項4】
前記第1の弾性部材の、前記一方の面に向かい合う他方の面に備えられる第3の圧電板と、
前記第2の弾性部材の、前記一方の面に向かい合う他方の面に備えられる第4の圧電板と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の圧電発電装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の圧電発電装置を用いたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−200077(P2012−200077A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62526(P2011−62526)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)