説明

在不在管理システム

【課題】管理対象領域における人の在不在を正確に判断することができる、在不在管理システムを提供すること。
【解決手段】在不在管理システム1は、管理対象領域における人の在不在を管理するシステムであって、管理対象領域の所定の複数の検知領域の各々における人の在不在を検知する人感センサ10と、人感センサ10による複数の検知領域の各々における検知結果に基づいて、管理対象領域に設定された算定領域であって、複数の検知領域とは異なる領域として設定された複数の算定領域の各々における人の存在確率を算定する算定部11aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在不在管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焦電型赤外線センサを人感センサとして用いることで、検出範囲内における人の存在の有無を検出し、検出結果を用いて各種の制御対象機器を制御することが行われている。
【0003】
例えば、検出範囲内に人が出現することに伴う赤外線量の変化が焦電型赤外線センサにより検出された場合、検出範囲内に人が存在すると判断し、赤外線量の変化が焦電型赤外線センサにより検出されない場合、検出範囲内に人が存在しない状態又は検出範囲内の人が静止している状態であると判断する、人検出方法が用いられている。そして、このような従来の人検出方法による判断結果に基づき、検出範囲内に人が存在する場合には照明を点灯し、検出範囲内に人が存在しない状態又は検出範囲内の人が静止している状態が一定時間継続した場合には照明を消灯する等の制御が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−341051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如き従来の方法では、赤外線量の変化が焦電型赤外線センサにより検出されない場合において、「検出範囲内に人が存在しない」状態と、「検出範囲内の人が静止している」状態とを、区別することができなかった。このため、実際には検出範囲内に人が存在しているにも関わらず、その人が一定時間以上静止していた場合、検出範囲内には人が存在しないものと判断してしまう可能性があった。その結果、実際には人が存在する検出範囲に対応する照明を消灯してしまう等、制御対象機器を適切に制御できない可能性があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、管理対象領域における人の在不在を正確に判断することができる、在不在管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の在不在管理システムは、管理対象領域における人の在不在を管理するシステムであって、前記管理対象領域の所定の複数の検知領域の各々における人の在不在を検知する検知手段と、前記検知手段による前記複数の検知領域の各々における検知結果に基づいて、前記管理対象領域に設定された算定領域であって、前記複数の検知領域とは異なる領域として設定された複数の算定領域の各々における人の存在確率を算定する算定手段と、を備える。
【0008】
また、請求項2に記載の在不在管理システムは、請求項1に記載の在不在管理システムにおいて、前記複数の検知領域の各々は、隣接する検知領域が相互に重複するように設定され、前記複数の算定領域の各々は、前記複数の検知領域の各々より小さい領域として設定された。
【0009】
また、請求項3に記載の在不在管理システムは、請求項2に記載の在不在管理システムにおいて、前記複数の検知領域の各々の中で、隣接する複数の検知領域の各々に人が存在することが、前記検知手段により検知された場合、前記算定手段は、当該隣接する複数の検知領域の重心位置からの各算定領域までの距離に基づいて、当該各算定領域における人の存在確率を算定する。
【0010】
また、請求項4に記載の在不在管理システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の在不在管理システムにおいて、前記算定手段は、前記複数の検知領域の各々の中で、所定方法で特定された一つの検知領域において、前記検知手段の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった場合、当該一つの検知領域の周囲の検知領域である周囲検知領域における前記検知手段の検知結果に基づいて、当該一つの検知領域に対応する前記算定領域における人の存在確率を設定する。
【0011】
また、請求項5に記載の在不在管理システムは、請求項4に記載の在不在管理システムにおいて、前記算定手段は、前記周囲検知領域の少なくとも一つにおける前記検知手段の検知結果が存在検知状態であった場合、前記周囲検知領域の全てにおける前記検知手段の検知結果が存在非検知状態であった場合に比べて、当該一つの検知領域に対応する前記算定領域における人の存在確率を、小さく設定する。
【0012】
また、請求項6に記載の在不在管理システムは、請求項4又は5に記載の在不在管理システムにおいて、前記算定手段は、前記周囲検知領域における前記検知手段の検知結果に基づいて、前記一つの検知領域に対応する前記算定領域に設定した人の存在確率をゼロに減衰させるまでの時間である減衰時間を設定する。
【0013】
また、請求項7に記載の在不在管理システムは、請求項6に記載の在不在管理システムにおいて、前記算定手段は、前記周囲検知領域の少なくとも一つにおける前記検知手段の検知結果が存在検知状態であった場合には、前記周囲検知領域の全てにおける前記検知手段の検知結果が存在非検知状態であった場合に比べて、当該一つの検知領域に対応する前記算定領域における減衰時間を短く設定する。
【0014】
また、請求項8に記載の在不在管理システムは、請求項4から7のいずれか一項に記載の在不在管理システムにおいて、前記算定手段は、前記複数の検知領域の各々の中で、所定方法で特定された一つの検知領域において、前記検知手段の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった場合、前記周囲検知領域における前記検知手段の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった時間の当該各検知手段相互間の時間差に基づいて、当該一つの検知領域に対応する前記算定領域における人の滞留の有無を判定する。
【0015】
また、請求項9に記載の在不在管理システムは、請求項1から8のいずれか一項に記載の在不在管理システムにおいて、前記算定手段にて算定された存在確率に基づいて、前記管理対象領域の環境制御を行うための環境制御用機器を制御する制御手段、を備える。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の在不在管理システムによれば、算定手段は、検知手段による複数の検知領域の各々における検知結果に基づいて、管理対象領域に設定された算定領域であって、複数の検知領域とは異なる領域として設定された複数の算定領域の各々における人の存在確率を算定するので、検知手段による複数の検知領域の各々における検知結果を総合的に考慮した上で、各算定領域における人の存在確率を算定することができ、管理対象領域における人の在不在を算定領域毎に正確に判断することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の在不在管理システムによれば、複数の検知領域の各々は、隣接する検知領域が相互に重複するように設定され、複数の算定領域の各々は、複数の検知領域の各々より小さい領域として設定されているので、複数の検知領域の重複部分も考慮して人の存在確率を算定できると共に、各算定領域における人の存在確率の算定精度を一層向上させることができ、管理対象領域における人の在不在を算定領域毎に一層正確に判断することができる。
【0018】
また、請求項3に記載の在不在管理システムによれば、複数の検知領域の各々の中で、隣接する複数の検知領域の各々に人が存在することが、検知手段により検知された場合、算定手段は、当該隣接する複数の検知領域の重心位置からの各算定領域までの距離に基づいて、当該各算定領域における人の存在確率を算定するので、複数の検知領域の重複部分における人の存在確率の算定精度を一層向上させることができ、管理対象領域における人の在不在を算定領域毎に一層正確に判断することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の在不在管理システムによれば、周囲検知領域の検知結果に基づいて、算定領域における人の存在確率を設定するので、逐次的な人の在不在状態のみではなく、連続的な人の移動軌跡を推定して存在確率を算定することができるので、人の存在確率の算定精度を高めることができる。
【0020】
また、請求項5に記載の在不在管理システムによれば、周囲検知領域の少なくとも一つにおける検知結果が存在検知状態であった場合、周囲検知領域の全てにおける検知結果が存在非検知状態であった場合に比べて、人の存在確率を小さく設定するので、周囲検知領域の検知結果に基づいて、連続的な人の移動軌跡を一層精度よく推定して存在確率を算定することができるので、人の存在確率の算定精度を一層高めることができる。
【0021】
また、請求項6に記載の在不在管理システムによれば、周囲検知領域の検知結果に基づいて、算定領域に設定した人の存在確率をゼロに減衰させるまでの時間である減衰時間を設定するので、存在確率を時間経過に応じて自動的に減衰させることで、存在確率設定後の各時間における存在確率の精度を高めることができる。
【0022】
また、請求項7に記載の在不在管理システムによれば、周囲検知領域の少なくとも一つにおける検知結果が存在検知状態であった場合、周囲検知領域の全てにおける検知結果が存在非検知状態であった場合に比べて、減衰時間を短く設定するので、周囲検知領域の検知結果に基づいて、連続的な人の移動軌跡を一層精度よく推定して減衰時間を設定することができるので、減衰時間の設定精度を一層高めることができる。
【0023】
また、請求項8に記載の在不在管理システムによれば、周囲検知領域の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった時間の当該各検知手段相互間の時間差に基づいて、算定領域における人の滞留の有無を判定するので、連続的な人の移動軌跡を一層精度よく推定して存在確率を算定することができるので、人の存在確率の算定精度を一層高めることができる。
【0024】
また、請求項9に記載の在不在管理システムによれば、制御手段は、算定手段にて算定された存在確率に基づいて、管理対象領域の環境制御を行うための環境制御用機器を制御するので、各算定領域における人の存在確率に合致した環境構築を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1に係る在不在管理システムの電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。
【図2】管理対象領域に配置された人感センサ及び各人感センサの検知領域を例示した平面図である。
【図3】センサデータテーブルに格納される情報を例示した表である。
【図4】在不在管理処理のフローチャートである。
【図5】図2のように管理対象領域に配置された各人感センサによる検知結果に基づき、算定部が生成したセンサデータマップを例示した図である。
【図6】算定部により算定された各算定領域における人の存在確率を示す存在確率マップを例示した図である。
【図7】機器制御処理のフローチャートである。
【図8】実施の形態2に係るセンサテーブルを例示する図である。
【図9】判定条件テーブルを例示する図である。
【図10】在不在管理処理における設定処理のフローチャートである。
【図11】算定部により算定された各算定領域における人の存在確率を示す存在確率マップを例示した図である。
【図12】在不在管理処理における減衰処理のフローチャートである。
【図13】実施の形態3に係る判定条件テーブルを例示する図である。
【図14】注目センサと周辺センサの関係を概念的に示す図である。
【図15】在不在管理処理における設定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る在不在管理システムの各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
〔I〕各実施の形態の基本的概念
まず、各実施の形態の基本的概念について説明する。各実施の形態に係る在不在管理システムは、商業施設やオフィス等、人が存在する可能性のある任意の管理対象領域における人の在不在の管理に適用可能なシステムである。
【0028】
各実施の形態に係る在不在管理システムの特徴の一つは、管理対象領域において、検知手段によって人の在不在が検知される複数の検知領域とは異なる領域として、複数の算定領域を設定し、その複数の算定領域の各々における人の存在確率を、検知手段による複数の検知領域の各々における検知結果に基づいて算定する点にある。これにより、検知手段による複数の検知領域の各々における検知結果を総合的に考慮した上で、各算定領域における人の存在確率を算定することができ、管理対象領域における人の在不在を一層正確に判断することができる。
【0029】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
次に、各実施の形態の具体的内容について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この形態は、各算定領域における人の存在確率を算定する基本的形態である。
【0031】
(構成)
最初に、本実施の形態1に係る在不在管理システムの構成について説明する。図1は、在不在管理システムの電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。この図1に示すように、在不在管理システム1は、人感センサ10、制御部11、及びデータ記録部12を備えている。また、この在不在管理システム1には、管理対象領域の環境制御を行うための環境制御用機器2として、照明20及びエアコン21が接続されている。なお、「管理対象領域」とは、在不在管理システム1により人の在不在を管理する対象となる領域のことであり、例えば商業施設やオフィス等を管理対象領域とすることができる。
【0032】
(構成−人感センサ)
人感センサ10は、管理対象領域の所定の複数の検知領域の各々における人の在不在を検知する検知手段である。人感センサ10による検知結果は制御部11に入力される。この人感センサ10としては、例えば焦電型赤外線センサ等の公知のセンサを用いることができる。図2は、管理対象領域に配置された人感センサ10及び各人感センサ10の検知領域を例示した平面図である。この図2に示すように、例えば管理対象領域の天井面に、複数の人感センサ10が所定間隔(例えば1.8m間隔)でグリッド状に配置される。また図2では、人感センサ10の検知領域の外周を一点鎖線の円で示している。図2に示すように、各人感センサ10に対応する複数の検知領域の各々は、隣接する検知領域が相互に重複するように設定されている。
【0033】
(構成−制御部)
図1に戻り、制御部11は、在不在管理システム1及び環境制御用機器2を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0034】
この制御部11は、機能概念的に、算定部11a、及び機器制御部11bを備えている。算定部11aは、管理対象領域に設定された算定領域であって、複数の検知領域とは異なる領域として設定された複数の算定領域の各々における人の存在確率を算定する算定手段である。機器制御部11bは、管理対象領域の環境制御を行うための環境制御用機器2を制御する制御手段である。これらの制御部11の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0035】
(構成−データ記録部)
データ記録部12は、在不在管理システム1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。このデータ記録部12は、センサデータテーブル12a、及び存在確率マップ12bを備えている。なお、存在確率マップ12bについての詳細は後述する。
【0036】
センサデータテーブル12aは、人感センサ10による複数の検知領域の各々における検知結果を特定する情報が格納される検知結果情報格納手段である。図3は、センサデータテーブル12aに格納される情報を例示した表である。この図3に示すように、センサデータテーブル12aには、項目「時刻」、「x座標」、「y座標」、及び「検知結果」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「時刻」に対応して格納される情報は、人感センサ10によって人の在不在の検知が行われた時刻を特定する時刻情報である(図3では、2011年1月27日の10時30分00秒を示す「2011/1/27−10:30:00」等)。項目「x座標」に対応して格納される情報は、人感センサ10が設置されている位置のx座標を特定する座標情報である(図3では「3」等)。項目「y座標」に対応して格納される情報は、人感センサ10が設置されている位置のy座標を特定する座標情報である(図3では「3」等)。項目「検知結果」に対応して格納される情報は、人感センサ10による検知結果を特定する検知結果情報である(図3では、人の存在が検知された旨を示す「on」、又は人の存在の検知が終了した旨を示す「off」)。なお、センサデータテーブル12aに格納されるこれらの情報は、後述する在不在管理処理において各人感センサ10から収集され、当該センサデータテーブル12aに格納される。
【0037】
(構成−照明及びエアコン)
図1に戻り、照明20及びエアコン21は、管理対象領域の環境制御を行うための環境制御用機器2である。図1に示すように、例えば複数の照明20及び複数のエアコン21が、在不在管理システム1に接続され、当該在不在管理システム1によって制御される。
【0038】
(処理−在不在管理処理)
次に、このように構成された在不在管理システム1によって実行される在不在管理処理について説明する。図4は、在不在管理処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この在不在管理処理は、例えば在不在管理システム1の電源が投入された後、在不在管理処理を実行すべき旨の指示が公知の入力手段を介して入力された場合に、所定周期(例えば1秒周期)で繰り返し実行される。
【0039】
図4に示すように、在不在管理処理が開始されると、算定部11aは、各人感センサ10から出力された検知結果を収集し、センサデータテーブル12aに蓄積する(SA1)。例えば焦電型赤外線センサを人感センサ10として用いる場合、人感センサ10は、当該人感センサ10に入射する赤外線エネルギー量の変化の有無に基づき、検知領域における人の在不在を検知する。すなわち、検知領域内で人が動くことで、当該検知領域内の人と背景との温度差により人感センサ10に入射する赤外線エネルギー量が変化した場合に、人感センサ10は検知領域における人の存在を検知する。一方、検知領域内に人がいない場合や、検知領域内で人が動かない場合には、人感センサ10に入射する赤外線エネルギー量が変化しないことから、人感センサ10は検知領域における人の存在を検知しない。そして人感センサ10は、検知結果を所定のデータフォーマットで制御部11に出力する。例えば人感センサ10は、「検知結果を出力する時刻」、「人感センサ10が設置されている位置のx座標とy座標」、及び「検知結果(検知の場合「on」、検知終了の場合「off」)」の各情報を所定の区切り記号で区切ったデータを、制御部11に出力する。算定部11aは、上記のように人感センサ10から出力された検知結果を、図3に例示したセンサデータテーブル12aに蓄積する。
【0040】
続いて算定部11aは、SA1でセンサデータテーブル12aに蓄積された最新の検知結果を当該センサデータテーブル12aから取得し、当該取得した検知結果に基づきセンサデータマップを生成する(SA2)。図5は、図2のように管理対象領域に配置された各人感センサ10による検知結果に基づき、算定部11aが生成したセンサデータマップを例示した図である。ここで、管理対象領域には、人の存在確率を算定する対象となる算定領域であって、人感センサ10の検知領域の各々より小さい複数の算定領域が設定されている。図5の例では、管理対象領域において点線により縦横格子状に分割された各領域が算定領域を示している。各算定領域は、例えば1辺が0.15mの四角形として設定され、当該各算定領域の面積が人感センサ10の検知領域の各々の面積よりも小さくなっている。また、図5において管理対象領域の上辺に記載された数字が管理対象領域における各算定領域のx座標を示し、左辺に記載された数字が管理対象領域における各算定領域のy座標を示している。
【0041】
算定部11aは、センサデータテーブル12aから取得した情報の内、センサデータテーブル12aの項目「x座標」及び「y座標」に対応する情報に基づき、各検知結果を出力した人感センサ10の位置を特定し、当該特定した位置の人感センサ10による検知結果をセンサデータマップに保持させる。例えばSA2において、図3のセンサデータテーブル12aから時刻「2011/1/27−10:30:00」における各人感センサ10による検知結果を取得し、当該取得した検知結果に基づきセンサデータマップを生成すると仮定する。この場合、算定部11aは、例えば座標(3,3)の位置の人感センサ10による検知結果が「on」であることから、当該人感センサ10により人の存在が検知されたものと特定し、センサデータマップにおける座標(3,3)の位置に、当該位置に配置された人感センサ10により人の存在が検知されたことを示す情報(図5では黒色のマーク)を保持させる。同様に、算定部11aは、座標(9,9)及び(15,9)の位置に、これらの位置に配置された人感センサ10により人の存在が検知されたことを示す情報を保持させる。一方、他の位置(図3の例では、例えば座標(9,3)、(15,3)、(3,9)等の位置)の人感センサ10による検知結果が「off」であることから、当該人感センサ10により人の存在の検知が終了したものと特定し、センサデータマップにおける対応する位置に、当該位置に配置された人感センサ10により人の存在が検知されていないことを示す情報(図5では白色のマーク)を保持させる。
【0042】
図4に戻り、SA2の処理の後、算定部11aは、各算定領域における人の存在確率を算定するために、検知結果を用いる対象とする人感センサ10を1つ選択する(SA3)。具体的には、算定部11aは、SA2で生成したセンサデータマップに人の存在が検知されたことを示す情報(図5では黒色のマーク)が保持されている人感センサ10であって、SA3の処理でまだ選択されていない人感センサ10の内、x座標及びy座標が最も小さい人感センサ10を選択する。例えばSA3の処理が初めて実行される場合、算定部11aは、図5に例示したセンサデータマップに人の存在が検知されたことを示す情報が保持されている人感センサ10の中から、座標(3,3)の人感センサ10を選択する。
【0043】
図4に戻り、SA3の処理の後、算定部11aは、SA3で選択した人感センサ10に隣接する人感センサ10(以下、必要に応じて「隣接センサ」)による検知結果を特定する(SA4)。例えば算定部11aは、各人感センサ10の座標に基づき、SA3で選択した人感センサ10に最も距離が近い他の人感センサ10を隣接センサとして抽出し、当該抽出した隣接センサによる検知結果をセンサデータマップに基づき特定する。例えばSA3で座標(3,3)の人感センサ10が選択された場合、図5のセンサデータマップによれば、算定部11aは当該座標(3,3)の人感センサ10に最も近い座標(9,3)の人感センサ10、及び座標(3,9)の人感センサ10を、隣接センサとして抽出する。そして、抽出した座標(9,3)の隣接センサによる検知結果として、図5のセンサデータマップには白色のマークが保持されていることから、算定部11aは当該隣接センサにより人の存在が検知されていないことを特定する。同様に、抽出した座標(3,9)の隣接センサによる検知結果として、図5のセンサデータマップには白色のマークが保持されていることから、算定部11aは当該隣接センサにより人の存在が検知されていないことを特定する。なお、人感センサ10毎に、当該人感センサ10に隣接する他の人感センサ10を特定するための情報をデータ記録部12に記録させておき、当該情報を参照することにより、SA3で選択した人感センサ10に隣接する人感センサ10を特定し、当該特定した人感センサ10による検知結果をセンサデータマップに基づき特定するようにしてもよい。
【0044】
図4に戻り、SA4の処理の後、算定部11aは、SA3で選択された人感センサ10による検知結果、及び、SA4で特定した隣接センサによる検知結果に基づき、各算定領域における人の存在確率を算定する(SA5)。
【0045】
具体的には、算定部11aは、どの隣接センサによっても人の存在が検知されていない場合には、SA3で選択された人感センサ10が配置されている算定領域における人の存在確率を100%と算定する。さらに算定部11aは、SA3で選択された人感センサ10が配置されている算定領域から各算定領域までの距離が長くなるほど、当該各算定領域における人の存在確率が低くなり、当該SA3で選択された人感センサ10の検知領域外の算定領域では人の存在確率が0%となるように、各算定領域における人の存在確率を算定する。図6は、算定部11aにより算定された各算定領域における人の存在確率を示す存在確率マップ12bを例示した図である。図6の例では、図5に示したセンサデータマップに基づき、算定部11aが各算定領域における人の存在確率を算定した結果を例示している。例えばSA3で座標(3,3)の人感センサ10が選択された場合、図5のセンサデータマップによれば、当該人感センサ10に隣接する人感センサ10によって人の存在が検知されていないことから、SA5において算定部11aは人感センサ10が配置されている座標(3,3)の算定領域における人の存在確率を100%と算定する(図6では黒塗りで表示)。さらに算定部11aは、座標(3,3)の算定領域に外接する算定領域(図6では、座標(2,2)、(3,2)、(4,2)、(2,3)、(4,3)、(2,4)、(3,4)、及び(4,4)の各算定領域)における人の存在確率を70%と算定する(図6では密な縦横ハッチングで表示)。さらに算定部11aは、人の存在確率が70%以上の算定領域(図6では、黒塗り及び密な縦横ハッチングの算定領域)に外接する算定領域(図6では、座標(1,1)、(2,1)、(3,1)、(4,1)、(5,1)、(1,2)、(5,2)、(1,3)、(5,3)、(1,4)、(5,4)、(1,5)、(2,5)、(3,5)、(4,5)、及び(5,5)の各算定領域)における人の存在確率を30%と算定する(図6では粗な縦横ハッチングで表示)。さらに算定部11aは、人の存在確率が30%以上の算定領域(図6では、黒塗り、密な縦横ハッチング、及び粗な縦横ハッチングの算定領域)に外接する算定領域(図6では、座標(1,0)、(2,0)、(3,0)、(4,0)、(5,0)、(0,1)、(6,1)、(0,2)、(6,2)、(0,3)、(6,3)、(0,4)、(6,4)、(0,5)、(6,5)、(1,6)、(2,6)、(3,6)、(4,6)、及び(5,6)の各算定領域)における人の存在確率を10%と算定する(図6では斜線ハッチングで表示)。なお、人の存在確率が10%以上の算定領域(図6では、黒塗り、密な縦横ハッチング、粗な縦横ハッチング、及び斜線ハッチングの算定領域)の外側の算定領域については、SA3で選択された座標(3,3)の人感センサ10の検知領域外となることから、人の存在確率が0%であると算定する(図6では密な白塗りで表示)。
【0046】
一方、算定部11aは、いずれかの隣接センサによって人の存在が検知されていた場合には、SA3で選択された人感センサ10の検知領域と、人の存在を検知した隣接センサの検知領域との重心位置から各算定領域までの距離に基づき、当該各算定領域における人の存在確率を算定する。例えば算定部11aは、SA3で選択された人感センサ10の検知領域と、人の存在を検知した隣接センサの検知領域との重心位置(すなわち、SA3で選択された人感センサ10の位置と、人の存在を検知した隣接センサの位置との中間位置)を含む算定領域における人の存在確率を100%と算定する。さらに算定部11aは、SA3で選択された人感センサ10の検知領域と、人の存在を検知した隣接センサの検知領域との重心位置から各算定領域までの距離が長くなるほど、当該各算定領域における人の存在確率が低くなり、SA3で選択された人感センサ10、及び人の存在を検知した隣接センサの検知領域外の算定領域では人の存在確率が0%となるように、各算定領域における人の存在確率を算定する。例えばSA3で座標(9,9)の人感センサ10が選択された場合、図5のセンサデータマップによれば、当該人感センサ10に隣接する座標(15,9)の人感センサ10によって人の存在が検知されていることから、SA5において算定部11aは、座標(9,9)の人感センサ10の検知領域と、座標(15,9)の隣接センサの検知領域との重心位置を含む座標(12,9)の算定領域における人の存在確率を100%と算定する(図6では黒塗りで表示)。さらに算定部11aは、座標(12,9)の算定領域に外接する算定領域(図6では、座標(11,8)、(12,8)、(13,8)、(11,9)、(13,9)、(11,10)、(12,10)、及び(13,10)の各算定領域)における人の存在確率を70%と算定する(図6では密な縦横ハッチングで表示)。さらに算定部11aは、人の存在確率が70%以上の算定領域(図6では、黒塗り及び密な縦横ハッチングの算定領域)に外接する算定領域(図6では、座標(11,7)、(12,7)、(13,7)、(10,8)、(14,8)、(10,9)、(14,9)、(10,10)、(14,10)、(11,11)、(12,11)、及び(13,11)の各算定領域)における人の存在確率を30%と算定する(図6では粗な縦横ハッチングで表示)。さらに算定部11aは、人の存在確率が30%以上の算定領域(図6では、黒塗り、密な縦横ハッチング、及び粗な縦横ハッチングの算定領域)に外接する算定領域の一部(図6では、座標(12,6)、(9,9)、(15,9)、及び(12,12)の各算定領域)における人の存在確率を10%と算定し(図6では斜線ハッチングで表示)、その他の算定領域については人の存在確率が0%であると算定する(図6では密な白塗りで表示)。
【0047】
図4に戻り、SA5の処理の後、算定部11aは、各算定領域における人の存在確率を算定するために検知結果を用いる対象となり得る全ての人感センサ10(すなわち、SA2で生成したセンサデータマップに人の存在が検知されたことを示す情報が保持されている人感センサ10)が、SA3で選択されたか否かを判定する(SA6)。その結果、各算定領域における人の存在確率を算定するために検知結果を用いる対象となり得る全ての人感センサ10がSA3で選択されていない場合(SA6、No)、算定部11aはSA3に戻る。以降、算定部11aは、各算定領域における人の存在確率を算定するために検知結果を用いる対象となり得る全ての人感センサ10がSA3で選択されるまで、SA3からSA6の処理を繰り返す。
【0048】
一方、各算定領域における人の存在確率を算定するために検知結果を用いる対象となり得る全ての人感センサ10が、SA3で選択された場合(SA6、Yes)、算定部11aは、SA5で算定した各算定領域における人の存在確率に基づき、存在確率マップ12bを更新する(SA7)。すなわち算定部11aは、SA5で算定した各算定領域における人の存在確率を、データ記録部12に記録されている存在確率マップ12bに反映することで、当該存在確率マップ12bを更新する。その後、制御部11は在不在管理処理を終了する。
【0049】
(処理−機器制御処理)
次に、在不在管理システム1によって実行される機器制御処理について説明する。図7は、機器制御処理のフローチャートである。この機器制御処理は、例えば在不在管理システム1の電源が投入された後、機器制御処理を実行すべき旨の指示が公知の入力手段を介して入力された場合に、上述の在不在管理処理と並行して、所定周期(例えば1秒周期)で繰り返し実行される。
【0050】
図7に示すように、機器制御処理が開始されると、機器制御部11bはデータ記録部12から存在確率マップ12bを取得する(SB1)。
【0051】
続いて機器制御部11bは、データ記録部12から取得した存在確率マップ12bに基づき、算定部11aにて算定された各算定領域における人の存在確率を特定し、当該特定した存在確率に基づいて、管理対象領域の環境制御を行うための環境制御用機器2を制御する(SB2)。
【0052】
例えば機器制御部11bは、照明20の照射範囲に含まれる全ての算定領域における人の存在確率が0%である場合には、当該照明20を消灯させる。また、照明20の照射範囲に含まれる全ての算定領域における人の存在確率が所定範囲(例えば10%以上70%未満)である場合には、当該照明20の照度を最大時の70%とする。また、照明20の照射範囲に含まれる全ての算定領域における人の存在確率が所定の閾値(例えば70%)以上である場合には、当該照明20の照度を最大とする。また、機器制御部11bは、エアコン21による空調範囲に含まれる全ての算定領域における人の存在確率が0%である場合には、当該エアコン21を停止させる。また、エアコン21による空調範囲に含まれる全ての算定領域における人の存在確率が所定範囲(例えば10%以上70%未満)である場合には、当該エアコン21の設定温度を所定値(例えば1℃)外気温に近づけた上で運転を行う。また、エアコン21による空調範囲に含まれる全ての算定領域における人の存在確率が所定の閾値(例えば70%)以上である場合には、当該エアコン21の設定温度を変更することなく運転を行う。
【0053】
SB2の処理の後、制御部11は機器制御処理を終了する。
【0054】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、算定部11aは、人感センサ10による複数の検知領域の各々における検知結果に基づいて、管理対象領域に設定された算定領域であって、複数の検知領域とは異なる領域として設定された複数の算定領域の各々における人の存在確率を算定するので、人感センサ10による複数の検知領域の各々における検知結果を総合的に考慮した上で、各算定領域における人の存在確率を算定することができ、管理対象領域における人の在不在を算定領域毎に正確に判断することができる。
【0055】
特に、複数の検知領域の各々は、隣接する検知領域が相互に重複するように設定され、複数の算定領域の各々は、複数の検知領域の各々より小さい領域として設定されているので、複数の検知領域の重複部分も考慮して人の存在確率を算定できると共に、各算定領域における人の存在確率の算定精度を一層向上させることができ、管理対象領域における人の在不在を算定領域毎に一層正確に判断することができる。
【0056】
また、複数の検知領域の各々の中で、隣接する複数の検知領域の各々に人が存在することが、人感センサ10により検知された場合、算定部11aは、当該隣接する複数の検知領域の重心位置からの各算定領域までの距離に基づいて、当該各算定領域における人の存在確率を算定するので、複数の検知領域の重複部分における人の存在確率の算定精度を一層向上させることができ、管理対象領域における人の在不在を算定領域毎に一層正確に判断することができる。
【0057】
また、機器制御部11bは、算定部11aにて算定された存在確率に基づいて、管理対象領域の環境制御を行うための環境制御用機器2を制御するので、各算定領域における人の存在確率に合致した環境構築を行うことができる。
【0058】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、所定方法で特定された一つの検知領域において、検知手段の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった場合、当該一つの検知領域の周囲の検知領域である周囲検知領域における検知手段の検知結果に基づいて、当該一つの検知領域に対応する算定領域における人の存在確率を設定する形態である。ただし、実施の形態2の構成や処理は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成や処理と略同一であり、実施の形態1の構成や処理と略同一の構成や処理については実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0059】
(構成)
本実施の形態2に係る在不在管理システム1は、基本的には実際の形態1と同様に構成されているが、以下の点において異なる。
【0060】
(構成−人感センサ)
人感センサ10は、焦電型赤外線センサであり、当該人感センサ10に赤外線が入射された時にオン信号を出力し、当該人感センサ10に入射していた赤外線が遮断された時にオフ信号を出力する。すなわち、人感センサ10のオン信号は、人感センサ10の検知結果が存在非検知状態(当該人感センサ10の検知領域において人の存在が検知されていない状態。以下同じ)から存在検知状態(当該人感センサ10の検知領域において人の存在が検知されている状態。以下同じ)になった場合であることを示す信号であり、人感センサ10のオフ信号は、人感センサ10の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態になった場合であることを示す信号である。なお、各人感センサ10には、人感センサ10を一意に識別するためのセンサIDが公知の方法で設定されている。
【0061】
(構成−制御部)
制御部11の算定部11aは、複数の検知領域の各々の中で、所定方法で特定された一つの検知領域(以下、注目検知領域)において、人感センサ10の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった場合、注目検知領域の周囲の検知領域である周囲検知領域における人感センサ10の検知結果に基づいて、注目検知領域に対応する算定領域(以下、注目算定領域)における人の存在確率を設定する算定手段として構成されている。注目算定領域は、例えば、注目検知領域に完全に含まれる算定領域の全てとして設定され、例えば、図5の例において、座標(9,9)の人感センサ10の検知領域が注目検知領域である場合には、x軸に沿って、座標(7,6)から(11,6)に至る間、座標(6,7)から(12,7)に至る間、座標(6,8)から(12,8)に至る間、座標(6,9)から(12,9)に至る間、座標(6,10)から(12,10)に至る間、座標(6,11)から(12,11)に至る間、及び座標(7,12)から(11,12)に至る間の算定領域が注目算定領域となる。ただし、この他にも、注目検知領域に少なくとも一部が含まれる算定領域の全てを注目算定領域とする等してもよい。これらの制御部11の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0062】
(構成−データ記録部)
データ記録部12は、実施の形態1と同様のセンサデータテーブル12a及び存在確率マップ12bに加えて、センサテーブル及び判定条件テーブルを記録する記録手段として構成されている。
【0063】
図8は、センサテーブルを例示する図である。このセンサテーブルは、人感センサ10に関するセンサ情報であり、項目「センサID」に対応する情報、項目「x座標」に対応する情報、項目「y座標」に対応する情報、及び項目「出入口フラグ」に対応する情報を、相互に関連付けて構成されている。項目「センサID」に対応する情報は、人感センサ10のセンサIDである。項目「x座標」に対応する情報は、人感センサ10のx座標である。項目「y座標」に対応する情報は、人感センサ10のy座標である。項目「出入口フラグ」に対応する情報は、人感センサ10の配置位置が出入口から所定距離以内(例えば1m以内)の位置であるか否かを示す情報であり、出入口フラグ=0は人感センサ10の配置位置が出入口から所定距離以内の位置ではないことを示し、出入口フラグ=1は人感センサ10の配置位置が出入口から所定距離以内の位置であることを示す。
【0064】
図9は、判定条件テーブルを例示する図である。この判定条件テーブルは、人の存在確率を判定するための条件を特定する判定条件特定情報であり、項目「判定条件」に対応する情報、項目「人の軌跡の推定結果」に対応する情報、項目「設定内容」に対応する情報を、相互に関連付けて構成されている。項目「判定条件」に対応する情報は、さらに、項目「注目センサの判定対象時刻以前の直近の出力」に対応する情報、項目「注目センサの配置位置=出入口」に対応する情報、項目「周辺センサの判定対象時刻以前の直近の出力」に対応する情報を、相互に関連付けて構成されている。また、項目「設定内容」に対応する情報は、さらに、項目「存在確率」に対応する情報と、項目「減衰時間」に対応する情報を、相互に関連付けて構成されている。
【0065】
項目「注目センサの判定対象時刻以前の直近の出力」に対応する情報は、注目センサの判定対象時刻以前の直近における出力が、オンとオフのいずれであるかを示す情報である。「注目センサ」とは、注目検知領域を検知領域とする人感センサ10である。「判定対象時刻」とは、人の存在確率を判定する対象として決定された時刻である。「判定対象時刻以前の直近における出力」とは、センサデータテーブル12aに格納されている時刻の中で、判定対象時刻以前の時刻であって、判定対象時刻に最も近い時刻であり、例えば、判定対象時刻=2011/1/27−10:30:05である場合、図3のセンサデータテーブル12aの例では、時刻=2011/1/27−10:30:00に対応する検知結果が、判定対象時刻の直近における出力となる。
【0066】
項目「注目センサの配置位置=出入口」に対応する情報は、注目センサの配置位置が、出入口から所定距離以内(例えば1m以内)の位置であるか否かを示す情報である。
【0067】
項目「周辺センサの判定対象時刻以前の直近の出力」に対応する情報は、周辺センサから判定対象時刻の直近に出力された信号が、オン信号とオフ信号のいずれであるかを示す情報である。「周辺センサ」とは、周辺検知領域を検知領域とする人感センサ10である。「周辺検知領域」とは、注目検知領域の周囲の検知領域である。本実施の形態2では、注目センサを中心とする8つの人感センサ10を周辺センサとし、この8つの人感センサ10の検知領域を注目検知領域とする。例えば、図5の例において、座標(9,9)の人感センサ10が注目センサである場合、この人感センサ10の検知領域が注目検知領域、座標(3,3)、(3,9)、(3,15)、(9,3)、(9,15)、(15,3)、(15,9)、(15,15)の8つの人感センサ10が周辺センサ、これら8つの人感センサ10の検知領域が周辺検知領域となる。ただし、注目センサが管理対象領域の境界近傍に配置されている場合のように、注目センサを中心とする人感センサ10が8つ存在しない場合には、8つ未満の数の人感センサ10を周辺センサとしてもよい。例えば、図5の座標(3,3)の人感センサ10が注目センサである場合、この人感センサ10の検知領域が注目検知領域、座標(3,9)、(9,3)、(9,9)の3つの人感センサ10が周辺センサ、これら3つの人感センサ10の検知領域が周辺検知領域となる。
【0068】
項目「人の軌跡の推定結果」に対応する情報は、判定条件に基づいて推定される人の軌跡を示す情報である。「注目検知領域に入った」とは、周辺検知領域から注目検知領域に人が入ったことを意味し、「室内に入った」とは、管理対象領域が設定されている室内に人が入ったことを意味し、「注目検知領域内で動いた」とは、注目検知領域内で人が動いたことを意味し、「注目検知領域内で停止した」とは、注目検知領域内で人が停止したことを意味する。
【0069】
項目「存在確率」に対応する情報は、判定条件に基づいて注目算定領域に設定される存在確率である。項目「減衰時間」に対応する情報は、判定条件に基づいて注目算定領域に設定される減衰時間である。「減衰時間」とは、注目算定領域に設定した人の存在確率をゼロに減衰させるまでの時間である。例えば、減衰時間により減衰率は一定となるように設定され、存在確率=100%であると共に減衰時間=20分である場合、減衰率=100/20=5%/分であるから、当該存在確率の設定時刻から1分が経過した時点で存在確率=100−5=95%となり、当該存在確率の設定時刻から10分が経過した時点で存在確率=100−50=50%となり、当該存在確率の設定時刻から20分が経過した時点で存在確率=100−100=0%となる。
【0070】
(処理−在不在管理処理)
次に、このように構成された在不在管理システム1によって実行される在不在管理処理について説明する。この処理は、存在確率及び減衰時間を設定する設定処理と、減衰時間に基づいて存在確率を減衰させる減衰処理に大別される。
【0071】
(処理−在不在管理処理−設定処理)
最初に、設定処理について説明する。図10は、設定処理のフローチャートである。この処理は、いずれかの人感センサ10からオン信号又はオフ信号が出力される毎に、いわゆるイベントドリブンにより起動されるものであり、このようにオン信号又はオフ信号を出力した人感センサ10を注目センサに設定して各ステップを行う。
【0072】
図10に示すように、設定処理が開始されると、算定部11aは、判定対象時刻を設定する(SC1)。この判定対象時刻は、公知の方法で特定されるその時点の現在時刻に基づいて、当該現在時刻以前の時刻として設定する。例えば、現在時刻から所定間隔(例えば10秒)だけ遡った時刻として設定する。
【0073】
次いで、算定部11aは、周辺センサを決定する(SC2)。周辺センサとしては、例えば、図9の判定条件テーブルに関して説明を行ったように、注目センサを中心とする8つの人感センサ10を周辺センサとし、注目センサを中心とする8つの人感センサ10が存在しない場合には、8つ未満の数の人感センサ10を周辺センサとする。なお、各人感センサ10のセンサIDや配置位置(座標)は、図8のセンサテーブルを参照することにより特定する。若しくは、各人感センサ10を注目センサとした場合の周辺センサの座標やセンサIDを、記憶部に予め記憶させておいてもよい。
【0074】
次いで、算定部11aは、SC1で設定した判定対象時刻以前の直近における周辺センサの検知結果を取得する(SC3)。すなわち、センサデータテーブル12aに格納されている各周辺センサの検知結果を全て参照し、この検知結果の中から、SC1で設定した判定対象時刻以前の時刻であって、SC1で設定した判定対象時刻に最も近い時刻に対応する検知結果を取得する。ここで、周辺センサが設置後に1回も信号を出力していない場合のように、センサデータテーブル12aに周辺センサの検知結果が一つも格納されていない場合には、当該周辺センサの検知結果=オフとする。
【0075】
その後、算定部11aは、当該処理を起動する契機となった注目センサの検知結果と、SC3で取得した周辺センサの検知結果に基づいて、図9の条件判定テーブルの判定条件に応じた設定内容により、存在確率マップ12bを更新する(SC4〜SC10)。
【0076】
具体的には、まず、算定部11aは、注目センサの検知結果がオンであるか否かを判定する(SC4)。そして、注目センサの検知結果がオンであると判定した場合(SC4、Yes)、算定部11aは、注目センサの注目検知領域に対応する注目算定領域における人の存在確率を100%に設定すると共に、当該注目算定領域における人の存在確率の減衰時間を20分に設定する(SC5)。つまり、この場合には、注目検知領域で存在検知状態にあるため、周辺検知領域での検知結果に関わらず、人の軌跡の推定結果としては、図9の判定条件テーブルに示すように、注目検知領域に入った、室内に入った、又は、注目検知領域内で動いたことが推定できるため、注目算定領域における人の存在確率を最大値である100%に設定した上で、人の存在確率の減衰時間を比較的長い20分に設定する。
【0077】
図11は、算定部11aにより算定された各算定領域における人の存在確率を示す存在確率マップ12bを例示した図である。図11の例では、座標(9,9)の人感センサ10が注目センサであり、座標(3,3)、(3,9)、(3,15)、(9,3)、(9,15)、(15,3)、(15,9)、(15,15)の8つの人感センサ10が周辺センサである場合において、x軸に沿って、座標(7,6)から(11,6)に至る間、座標(6,7)から(12,7)に至る間、座標(6,8)から(12,8)に至る間、座標(6,9)から(12,9)に至る間、座標(6,10)から(12,10)に至る間、座標(6,11)から(12,11)に至る間、及び座標(7,12)から(11,12)に至る間の算定領域が注目算定領域であって、これら注目算定領域の各々に存在確率=100%が設定された状態を示している。なお、図示を省略するが、これら注目算定領域の各々に減衰時間=20分が設定されている。
【0078】
一方、図10において、注目センサの検知結果がオンでない(オフである)と判定した場合(SC4、No)、算定部11aは、注目センサの配置位置が出入口から所定距離内であるか否かを判定する(SC6)。この判定は、図8のセンサテーブルの出入口フラグを参照することにより行うことができる。そして、注目センサの配置位置が出入口から所定距離内であると判定した場合(SC6、Yes)、算定部11aは、注目センサの注目検知領域に対応する注目算定領域における人の存在確率を50%に設定すると共に、当該注目算定領域における人の存在確率の減衰時間を5分に設定する(SC7)。つまり、この場合には、出入口に近い注目検知領域で存在検知状態が存在非検知状態になったため、周辺検知領域での検知結果に関わらず、人の軌跡の推定結果としては、図9の判定条件テーブルに示すように、注目検知領域外に出た、室外に出た、又は、注目検知領域内で停止したことが推定できるため、注目算定領域における人の存在確率をSC5の場合に比べて小さい50%に設定した上で、人の存在確率の減衰時間をSC5の場合に比べて短い5分に設定する。
【0079】
一方、注目センサの配置位置が出入口から所定距離内でないと判定した場合(SC6、No)、算定部11aは、SC3で取得した周辺センサの少なくとも一つの検知結果がオンであるか否かを判定する(SC8)。そして、周辺センサの少なくとも一つの検知結果がオンであると判定した場合(SC8、Yes)、算定部11aは、注目センサの注目検知領域に対応する注目算定領域における人の存在確率を50%に設定すると共に、当該注目算定領域における人の存在確率の減衰時間を5分に設定する(SC9)。つまり、この場合には、出入口に近くない注目検知領域で存在検知状態が存在非検知状態になったが、周辺検知領域で存在検知状態になったため、人の軌跡の推定結果としては、図9の判定条件テーブルに示すように、注目検知領域外に出た(注目検知領域から周辺検知領域に移動した)、又は、注目検知領域内で停止したことが推定できるため、注目算定領域における人の存在確率をSC5の場合に比べて小さい50%に設定した上で、人の存在確率の減衰時間をSC5の場合に比べて短い5分に設定する。
【0080】
一方、周辺センサの少なくとも一つの検知結果がオンでない(周辺センサの全ての検知結果がオフである)と判定した場合(SC8、No)、算定部11aは、注目センサの注目検知領域に対応する注目算定領域における人の存在確率を100%に設定すると共に、当該注目算定領域における人の存在確率の減衰時間を15分に設定する(SC10)。つまり、この場合には、出入口に近くない注目検知領域で存在検知状態が存在非検知状態になり、周辺検知領域でも存在非検知状態であるため、人の軌跡の推定結果としては、図9の判定条件テーブルに示すように、注目検知領域内で停止したことが推定できるため、注目算定領域における人の存在確率をSC5の場合と同様に最大値である100%に設定するが、人の存在確率の減衰時間はSC5の場合より短くSC7やSC9の場合より長い15分に設定する。これにて設定処理を終了する。
【0081】
このように各人感センサ10からオン信号又はオフ信号が出力される毎に、当該人感センサ10を注目センサとして上記設定処理を行うことで、注目算定領域における人の存在確率及び減衰時間を設定し、この設定された存在確率及び減衰時間によって存在確率マップ12bを更新する。各算定領域に対して、それ以前の設定処理で設定された存在確率及び減衰時間は、その後の設定処理で設定された存在確率及び減衰時間により上書き更新される。例えば、特定の算定領域に対して、以前の設定処理で存在確率=100%が設定され、その後の設定処理で存在確率=50%が設定された場合に、存在確率=50%のみが当該特定の算定領域の存在確率として、最終的に存在確率マップ12bに記録される。また、一つの算定領域が、複数の注目センサの各々の注目検知領域に対応する注目算定領域に重複して対応する場合には、一つの注目センサの検知結果に基づいて設定された存在確率及び減衰時間が、その後に設定された他の注目センサの検知結果に基づく存在確率及び減衰時間により上書き更新される。
【0082】
そして、このように更新及び変化する存在確率マップ12bの各算定領域の存在確率に基づいて、実施形態1と同様に機器制御処理が逐次実行されることで、環境制御用機器2が制御される。
【0083】
(処理−在不在管理処理−減衰処理)
次に、減衰処理について説明する。図12は、減衰処理のフローチャートである。この処理は、所定間隔(例えば5秒毎)で繰り返し実行される。
【0084】
最初に、算定部11aは、管理対象領域に含まれる全ての算定領域の中から、一つの算定領域を選択し、当該選択した算定領域を注目算定領域として決定する(SD1)。この注目算定領域の決定方法としては、減衰処理において全ての算定領域を注目算定領域に順次設定することができる限りにおいて、任意の方法を採用することができる。
【0085】
次いで、算定部11aは、注目算定領域の存在確率を減衰時間に基づいて減衰させる(SD2)。具体的には、算定部11aは、存在確率マップ12bを参照して、SD1で決定した注目算定領域に対して設定処理で設定した存在確率及び減衰時間を取得し、当該取得した存在確率を、当該取得した減衰時間によって特定される減衰率によって減衰させる。例えば、特定の算定領域に対して、設定処理で存在確率=100%及び減衰時間=20分が設定された場合、減衰率=100/20=5(%/分)であるから、これら存在確率及び減衰時間が更新されることなく1分が経過した場合、当該特定の算定領域の存在確率=95%に減衰される。従って、存在確率マップ12bに記録された各算定領域の存在確率が、刻々と自動的に変化することとなる。なお、設定処理で存在確率及び減衰時間を設定した時刻は、例えば、存在確率マップ12bにおいて各算定領域毎に記憶させておき、この時刻をSD2において参照することで、設定処理で存在確率及び減衰時間を設定してからの経過時間を特定することができる。
【0086】
その後、算定部11aは、管理対象領域に含まれる全ての算定領域の中で、未処理の(注目算定領域に設定していない)算定領域が残っているか否かを判定し(SD3)、残っている場合には(SD3、Yes)、SD1に移行して当該残っている算定領域を注目算定領域に設定してSD2を行い、残っていない場合には(SD3、No)減衰処理を終了する。
【0087】
そして、このように減衰された各算定領域の存在確率に基づいて、実施形態1と同様に機器制御処理が逐次実行されることで、環境制御用機器2が制御される。
【0088】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、周囲検知領域の検知結果に基づいて、算定領域における人の存在確率を設定するので、逐次的な人の在不在状態のみではなく、連続的な人の移動軌跡を推定して存在確率を算定することができるので、人の存在確率の算定精度を高めることができる。
【0089】
また、周囲検知領域の少なくとも一つにおける検知結果が存在検知状態であった場合、周囲検知領域の全てにおける検知結果が存在非検知状態であった場合に比べて、人の存在確率を小さく設定するので、周囲検知領域の検知結果に基づいて、連続的な人の移動軌跡を一層精度よく推定して存在確率を算定することができるので、人の存在確率の算定精度を一層高めることができる。
【0090】
また、周囲検知領域の検知結果に基づいて、算定領域に設定した人の存在確率をゼロに減衰させるまでの時間である減衰時間を設定するので、存在確率を時間経過に応じて自動的に減衰させることで、存在確率設定後の各時間における存在確率の精度を高めることができる。
【0091】
また、周囲検知領域の少なくとも一つにおける検知結果が存在検知状態であった場合、周囲検知領域の全てにおける検知結果が存在非検知状態であった場合に比べて、減衰時間を短く設定するので、周囲検知領域の検知結果に基づいて、連続的な人の移動軌跡を一層精度よく推定して減衰時間を設定することができるので、減衰時間の設定精度を一層高めることができる。
【0092】
〔実施の形態3〕
最後に、実施の形態3について説明する。この形態は、複数の検知領域の各々の中で、所定方法で特定された一つの検知領域において、検知手段の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった場合、周囲検知領域における検知手段の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった時間の各検知手段相互間の時間差に基づいて、当該一つの検知領域に対応する前記算定領域における人の滞留の有無を判定する形態である。つまり、実施の形態2の場合には、1)人感センサの仕様によっては、赤外線が遮断されてから所定時間(例えば10秒)経過しなければオフ信号を出力しない場合があったり、2)人感センサの出力が在不在管理システムに到達するまでにある程度の通信時間を要する場合があったり、3)人感センサの数が増加する程、在不在管理システムの処理時間が長くなる場合があるために、人感センサの検知結果を一律に比較することに問題が生じ得る。このような問題を解消するため、本形態では、検知手段相互間の時間差を利用して、人の滞留の有無を判定する。ただし、実施の形態3の構成や処理は、特記する場合を除いて実施の形態2の構成や処理と略同一であり、実施の形態2の構成や処理と略同一の構成や処理については実施の形態2で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0093】
(構成)
本実施の形態3に係る在不在管理システム1は、基本的には実際の形態2と同様に構成されているが、以下の点において異なる。
【0094】
(構成−制御部)
制御部11の算定部11aは、複数の検知領域の各々の中で、所定方法で特定された一つの検知領域において、人感センサ10の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった場合、周囲検知領域における人感センサ10の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった時間の当該各人感センサ10相互間の時間差に基づいて、当該一つの検知領域に対応する算定領域における人の滞留の有無を判定する算定手段として構成されている。これらの制御部11の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0095】
(構成−データ記録部)
データ記録部12は、実施の形態2と同様に、センサデータテーブル12a、存在確率マップ12b、センサテーブル、及び判定条件テーブルを記録する記録手段として構成されている。
【0096】
図13は、判定条件テーブルを例示する図である。この判定条件テーブルは、人の存在確率を判定するための条件を特定する判定条件特定情報であり、項目「判定条件」に対応する情報、項目「人の軌跡の推定結果」に対応する情報、項目「設定内容」に対応する情報を、相互に関連付けて構成されている。項目「判定条件」に対応する情報は、さらに、項目「注目センサの判定対象時刻以前の直近の出力」に対応する情報、項目「1次周辺センサ及び2次周辺センサの判定対象時刻以前の直近の出力」に対応する情報、項目「2次周辺センサのオフ時刻<1次周辺センサのオフ時刻の数」に対応する情報を、相互に関連付けて構成されている。また、項目「設定内容」に対応する情報は、さらに、項目「存在確率」に対応する情報と、項目「減衰時間」に対応する情報を、相互に関連付けて構成されている。
【0097】
項目「注目センサの判定対象時刻以前の直近の出力」に対応する情報は、注目センサの判定対象時刻以前の直近における出力が、オンとオフのいずれであるかを示す情報である。項目「1次周辺センサ及び2次周辺センサの判定対象時刻以前の直近の出力」に対応する情報は、1次周辺センサ及び2次周辺センサの判定対象時刻以前の直近における出力が、オンとオフのいずれであるかを示す情報である。「1次周辺センサ」とは、周辺検知領域を検知領域とする人感センサ10であって、注目センサに最も近い所定距離以内に配置されている人感センサ10である。「2次周辺センサ」とは、周辺検知領域を検知領域とする人感センサ10であって、注目センサに1次周辺センサの次に近い所定距離以内に配置されている人感センサ10である。同様に、判定条件テーブルには示していないが、周辺検知領域を検知領域とする人感センサ10を、注目センサからの距離に応じて、3次周辺センサ、4次周辺センサと称する。図14は、注目センサと周辺センサの関係を概念的に示す図であり、「◎」が注目センサ、「×」が1次周辺センサ、「△」が2次周辺センサ、「□」が3次周辺センサ、「○」が4次周辺センサをそれぞれ示している。項目「1次周辺センサ及び2次周辺センサの判定対象時刻以前の直近の出力」に対応する情報は、1次周辺センサ及び2次周辺センサの判定対象時刻以前の直近における出力が、オンとオフのいずれであるかを示す情報である。項目「2次周辺センサのオフ時刻<1次周辺センサのオフ時刻の数」に対応する情報は、2次周辺センサのオフ時刻が1次周辺センサのオフ時刻よりも早い時刻である数を示す情報である。「2次周辺センサのオフ時刻」とは、2次周辺センサの出力がオフになった時刻である。「1次周辺センサのオフ時刻」とは、1次周辺センサの出力がオフになった時刻である。「2次周辺センサのオフ時刻が1次周辺センサのオフ時刻よりも早い時刻である」とは、2次周辺センサのオフ時刻が1次周辺センサのオフ時刻よりも前の時刻である場合を意味し、例えば、2次周辺センサのオフ時刻=2011/1/27−10:30:05であり、1次周辺センサのオフ時刻=2011/1/27−10:30:07である場合には、2次周辺センサのオフ時刻が1次周辺センサのオフ時刻よりも早い時刻となる。このようにオフ時刻を対比する1次周辺センサ及び2次周辺センサとしては、各1次周辺センサに対して、最も近い位置に配置された2次周辺センサを対比する。例えば、図14の例では、座標(3,3)の1次周辺センサに対して座標(2,3)の2次周辺センサ、座標(3,4)の1次周辺センサに対して座標(2,4)の2次周辺センサ、座標(3,5)の1次周辺センサに対して座標(2,5)の2次周辺センサ、座標(4,5)の1次周辺センサに対して座標(4,6)の2次周辺センサ、座標(5,5)の1次周辺センサに対して座標(6,5)の2次周辺センサ、座標(5,4)の1次周辺センサに対して座標(6,4)の2次周辺センサ、座標(5,3)の1次周辺センサに対して座標(6,3)の2次周辺センサ、座標(4,3)の1次周辺センサに対して座標(4,2)の2次周辺センサを、それぞれ相互に対比させる。なお、例えば、座標(3,3)の1次周辺センサに対しては、座標(2,3)の2次周辺センサと座標(3,2)の2次周辺センサとの2つの2次周辺センサが同一距離に存在しているが、いずれか一方の2次周辺センサを任意の基準で選択する。あるいは、一つの1次周辺センサに対して両方の2次周辺センサをそれぞれ対比させてもよい。その他の各項目に対応する情報は、実施の形態2の判定条件テーブルの同一項目名に対応する情報と同じである。
【0098】
(処理−在不在管理処理)
次に、このように構成された在不在管理システム1によって実行される在不在管理処理について説明する。この処理は、存在確率及び減衰時間を設定する設定処理と、減衰時間に基づいて存在確率を減衰させる減衰処理に大別される。ただし、減衰処理は、実施の形態2と同様に行うことができるので、その説明を省略する。
【0099】
(処理−在不在管理処理−設定処理)
設定処理について説明する。図15は、設定処理のフローチャートである。この処理は、いずれかの人感センサ10からオン信号又はオフ信号が出力される毎に、いわゆるイベントドリブンにより起動されるものであり、このようにオン信号又はオフ信号を出力した人感センサ10を注目センサに設定して各ステップを行う。
【0100】
図15に示すように、設定処理が開始されると、算定部11aは、判定対象時刻を設定する(SE1)。この判定対象時刻は、例えば、図10のSC1と同様に設定する。
【0101】
次いで、算定部11aは、1次周辺センサ及び2次周辺センサを決定する(SE2)。1次周辺センサや2次周辺センサとしては、例えば、図13の判定条件テーブルに関して説明を行ったように、注目センサに最も近い所定距離以内に配置されている人感センサ10を1次周辺センサとし、注目センサに1次周辺センサの次に近い所定距離以内に配置されている人感センサ10を2次周辺センサとする。なお、各人感センサ10のセンサIDや配置位置(座標)は、図8のセンサテーブルを参照することにより特定する。若しくは、各人感センサ10を注目センサとした場合の1次周辺センサ及び2次周辺センサの座標やセンサIDを、記憶部に予め記憶させておいてもよい。
【0102】
次いで、算定部11aは、SE1で設定した判定対象時刻以前の直近における、1次周辺センサ及び2次周辺センサの検知結果を取得する(SE3)。すなわち、センサデータテーブル12aに格納されている各1次周辺センサ及び各2次周辺センサの検知結果を全て参照し、この検知結果の中から、SE1で設定した判定対象時刻以前の時刻であって、SE1で設定した判定対象時刻に最も近い時刻に対応する検知結果を取得する。ここで、1次周辺センサ及び2次周辺センサが設置後に1回も信号を出力していない場合のように、センサデータテーブル12aに周辺センサの検知結果が一つも格納されていない場合には、当該1次周辺センサ及び2次周辺センサの検知結果=オフとする。
【0103】
その後、算定部11aは、当該処理を起動する契機となった注目センサの検知結果と、SE3で取得した1次周辺センサ及び2次周辺センサの検知結果に基づいて、図13の条件判定テーブルの判定条件に応じた設定内容により、存在確率マップ12bを更新する(SE4〜SE10)。
【0104】
具体的には、まず、算定部11aは、注目センサの検知結果がオンであるか否かを判定する(SE4)。そして、注目センサの検知結果がオンであると判定した場合(SE4、Yes)、算定部11aは、注目センサの注目検知領域に対応する注目算定領域における人の存在確率を100%に設定すると共に、当該注目算定領域における人の存在確率の減衰時間を20分に設定する(SE5)。つまり、この場合には、注目検知領域で存在検知状態にあるため、周辺検知領域での検知結果に関わらず、人の軌跡の推定結果としては、図13の判定条件テーブルに示すように、注目検知領域に入った、又は注目検知領域内で動いたことが推定できるため、注目算定領域における人の存在確率を最大値である100%に設定した上で、人の存在確率の減衰時間を比較的長い20分に設定する。
【0105】
一方、注目センサの検知結果がオンでない(オフである)と判定した場合(SE4、No)、算定部11aは、全ての1次周辺センサ及び2次周辺センサの検知結果がオフであるか否かを判定する(SE6)。そして、全ての1次周辺センサ及び2次周辺センサの検知結果がオフではない(少なくとも一つがオンである)と判定した場合(SE6、No)、算定部11aは、注目センサの注目検知領域に対応する注目算定領域における人の存在確率を50%に設定すると共に、当該注目算定領域における人の存在確率の減衰時間を5分に設定する(SE7)。つまり、この場合には、この場合には、注目検知領域で存在検知状態が存在非検知状態になったが、周辺検知領域で存在検知状態になったため、人の軌跡の推定結果としては、図13の判定条件テーブルに示すように、注目検知領域外に出た(注目検知領域から周辺検知領域に移動した)ことが推定できるため、注目算定領域における人の存在確率をSE5の場合に比べて小さい50%に設定した上で、人の存在確率の減衰時間をSE5の場合に比べて短い5分に設定する。
【0106】
一方、全ての1次周辺センサ及び2次周辺センサの検知結果がオフであると判定した場合(SE6、Yes)、算定部11aは、「2次周辺センサのオフ時刻<1次周辺センサのオフ時刻の数」が所定の閾値(例えば6個)以上であるか否かを判定する(SE8)。具体的には、図13の判定条件テーブルに関して説明を行ったように、相互に対比する1次周辺センサと2次周辺センサの組み合わせが予め記憶部に設定されており、このように設定された組み合わせを参照して、1次周辺センサのオフ時刻と2次周辺センサのオフ時刻をそれぞれセンサデータテーブル12aから取得する。これらオフ時刻としては、センサデータテーブル12aに格納されている1次周辺センサと2次周辺センサの検知結果の中で、検知結果=offの検知結果であって、SE1で設定された判定時刻以前の直近の検知結果を特定した上で、当該特定した検知結果に対応して格納されている時刻を取得する。ただし、1次周辺センサのオフ時刻と2次周辺センサのオフ時刻が、注目センサのオフ時刻より所定時間(例えば10秒)以前の時刻である場合には、人の移動の軌跡を判定する参考にならないと考えられる。このため、センサデータテーブル12aに格納されている注目センサの検知結果の中で、検知結果=offの検知結果であって、SE1で設定された判定時刻以前の直近の検知結果を特定した上で、当該特定した検知結果に対応して格納されている時刻を取得する。そして、当該取得した注目センサのオフ時刻に基づいて、相互に対比する1次周辺センサのオフ時刻と2次周辺センサのオフ時刻の少なくとも一方が、注目センサのオフ時刻より所定時間以前の時刻であるか否かを判定し、このような時刻である場合には、この対比結果をSE8の判定には含めないこととする。
【0107】
このようなSE8の判定を行った結果、「2次周辺センサのオフ時刻<1次周辺センサのオフ時刻の数」が所定の閾値以上でない場合には(SE8、No)算定部11aは、注目センサの注目検知領域に対応する注目算定領域における人の存在確率を50%に設定すると共に、当該注目算定領域における人の存在確率の減衰時間を5分に設定する(SE9)。つまり、この場合には、注目検知領域で存在検知状態が存在非検知状態になり、2次周辺センサの検知領域から1次周辺センサの検知領域に近づく方向(つまり、注目センサの検知領域に近づく方向)に人が移動したとも言えないため、人の軌跡の推定結果としては、図13の判定条件テーブルに示すように、注目検知領域外に出た(注目検知領域から周辺検知領域に移動した)、又は、注目検知領域内で停止したことが推定できるため、注目算定領域における人の存在確率をSE5の場合に比べて小さい50%に設定した上で、人の存在確率の減衰時間をSE5の場合に比べて短い5分に設定する。
【0108】
一方、「2次周辺センサのオフ時刻<1次周辺センサのオフ時刻の数」が所定の閾値以上である場合には(SE8、Yes)算定部11aは、注目センサの注目検知領域に対応する注目算定領域における人の存在確率を100%に設定すると共に、当該注目算定領域における人の存在確率の減衰時間を15分に設定する(SE10)。つまり、この場合には、注目検知領域で存在検知状態が存在非検知状態になっても、2次周辺センサの検知領域から1次周辺センサの検知領域に近づく方向(つまり、注目センサの検知領域に近づく方向)に人が移動したと言えるため、人の軌跡の推定結果としては、図13の判定条件テーブルに示すように、注目検知領域内で停止したことが推定できるため、注目算定領域における人の存在確率をSE5の場合と同様に最大値である100%に設定するが、人の存在確率の減衰時間はSE5の場合より短くSE7やSE9の場合より長い15分に設定する。これにて設定処理を終了する。
【0109】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、実施の形態2と同様の効果に加えて、周囲検知領域の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった時間の当該各検知手段相互間の時間差に基づいて、算定領域における人の滞留の有無を判定するので、連続的な人の移動軌跡を一層精度よく推定して存在確率を算定することができるので、人の存在確率の算定精度を一層高めることができる。
【0110】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0111】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0112】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、在不在管理システム1の機能の一部を他の機器に持たせて、当該他の機器と在不在管理システム1とをネットワークを介して通信可能に接続することにより、他の機器と在不在管理システム1とで構成されるシステムを構築することができる。
【0113】
(人感センサについて)
上述の実施の形態1では、焦電型赤外線センサを人感センサ10として用いる場合を例として説明したが、他の各種センサ(例えば、可視光カメラ、距離画像センサ、レーザーレンジスキャナ等)を人感センサ10として用いてもよい。さらに、これらの各種センサを併用してもよい。この場合、各算定領域における人の存在確率を、測定原理の異なる各種センサによる検知結果に基づき算定した各存在確率に基づいて算定する。例えば、最終的に算定すべき存在確率をP、焦電型赤外線センサによる検知結果に基づき算定した存在確率をP1、可視光カメラによる検知結果に基づき算定した存在確率をP2、焦電型赤外線センサによる検知結果に基づき算定した存在確率に対する重み係数をa1、可視光カメラによる検知結果に基づき算定した存在確率に対する重み係数をa2とした場合、存在確率P=a1×P1+a2×P2と算定する。ここで、a1+a2=1とする。例えば人の密度が高かったり、可視光カメラと管理対象領域との間に遮蔽物(例えばパーティション等)が多い環境では、重み係数a1を重み係数a2より相対的に大きい値とし(例えば、a1=0.7、a2=0.3等)、焦電型赤外線センサによる検知結果に基づき算定した存在確率の重みを増す。一方、可視光カメラと管理対象領域との間に遮蔽物が少なく、着座して静止している人が多い環境では、重み係数a2を重み係数a1より相対的に大きい値とし(例えば、a1=0.2、a2=0.8等)、可視光カメラによる検知結果に基づき算定した存在確率の重みを増す。これにより、静止した人を検知することが困難な焦電型赤外線センサの弱点を、可視光カメラ等の他のセンサで補完することができ、管理対象領域における人の在不在を算定領域毎に一層正確に判断することができる。
【0114】
(監視対象領域、検知領域、及び算定領域について)
上述の各実施の形態では、検知領域及び算定領域を、それぞれ一定の面積を有する2次元の領域として取り扱う場合を例として説明したが、検知領域及び算定領域を、それぞれ一定の体積を有する3次元の領域として取り扱うようにしてもよい。この場合、例えば焦電型赤外線センサ等の人感センサ10を管理対象領域の天井面及び壁面に3次元的に配置し、あるいは、検知対象との距離を測定可能なセンサ(測距センサや複数台のカメラ等)を人感センサ10として管理対象領域の天井面や壁面等に配置することにより、各人感センサ10に対応する複数の検知領域の各々が、3次元空間である管理対象領域内に設定される。また、管理対象領域には、各人感センサ10に対応する検知領域の各々よりも体積が小さい複数の算定領域が設定される。
【0115】
(在不在管理処理について)
上述の実施の形態1では、図4のSA5において、算定部11aは、SA3で選択された人感センサ10による検知結果、及び、SA4で特定した隣接センサによる検知結果に基づき、各算定領域における人の存在確率を算定すると説明したが、他の基準により、あるいは他の基準と組み合わせて、各算定領域における人の存在確率を算定するようにしてもよい。
【0116】
例えば、図4のSA5において、0%より大きい存在確率が算定部11aによって算定されなかった算定領域については、算定部11aは、前回の在不在管理処理において当該算定領域について算定された存在確率から所定値(例えば0.1%)を減算した値を、当該算定領域における人の存在確率として算定し、当該算定した存在確率を用いて、SA7において存在確率マップ12bの更新するようにしてもよい。これにより、人感センサ10の検知領域内に存在する人が動かなかったために当該人感センサ10により人の存在が検知されなかった場合においても、当該領域内に人が存在する可能性を考慮することができる。また、人感センサ10により人の存在が検知されないまま一定時間経過すると、存在確率が0%まで減少するので、人はある一定時間以上動かずにいることは困難であることも考慮して、管理対象領域における人の在不在を判断することができる。さらに、存在確率の減少率を、算定領域毎に異なるようにしてもよい。例えば、所定の時間帯(例えば日中等)において継続して存在確率が一定値以上となる算定領域については、人が長時間存在する場所(例えばデスク等)だと類推されるので、存在確率の減少率を小さくすることにより、人が存在するにも関わらず存在確率が減少して0%になってしまう頻度を減らすことができる。また、存在確率が一定値以上となる頻度が少ない算定領域については、人が短時間しか存在しない場所(例えば通路等)だと類推されるので、存在確率の減少率を大きくする。これにより、人感センサ10によって人が検知されない場合には早期に存在確率を0%とし、照明20を消灯するなどして省エネを図ることができる。
【0117】
また、各人感センサ10間の距離と、各人感センサ10によって人の存在が検知された時刻とに基づき、存在が検知された人の移動速度を特定し、当該特定した移動速度が所定の閾値(例えば15km/h)以上である場合には、当該人の存在が検知されていない旨に検知結果を修正するようにしてもよい。すなわち、人が移動可能な速度以上の移動速度が特定された場合に、検知結果を修正することで、誤検知を少なくすることができる。
【0118】
また、上述の実施の形態1では、図4のSA5において、SA3で選択された人感センサ10の位置と人の存在を検知した隣接センサの位置との中間位置を、SA3で選択された人感センサ10の検知領域と人の存在を検知した隣接センサの検知領域との重心位置とする場合を例として説明したが、これとは異なる方法で、SA3で選択された人感センサ10の検知領域と人の存在を検知した隣接センサの検知領域との重心位置を特定してもよい。例えば、SA3で選択された人感センサと人の存在を検知した2個以上の隣接センサとを含む3個以上の人感センサ10の各位置の重心を、公知の幾何学的手法を用いて特定してもよい。
【0119】
また、上述の実施の形態2の設定処理においては、注目センサが出入口から所定距離以内に配置されたものであるか否かを考慮しているが、出入口を介した人の出入りを無視できる場合には、このような考慮を省略してもよい。
【0120】
また、上述の実施の形態3の設定処理に代えて、以下のような処理を行うこともできる。すなわち、注目センサの検知結果がオフであると判定された場合には、1次周辺センサ、2次周辺センサ、及び3次周辺センサの検知結果の全てがオフであるか否かを判定する。そして、全てがオフであると判定した場合には、注目検知領域に人が滞留しているものと考えて存在確率及び減衰時間を設定する。一方、全てがオフではないと判定した場合には、4次周辺センサの検知結果の全てがオフであるか否かを判定する。そして、全てがオフではないと判定した場合には、人が注目検知領域から周辺検知領域に移動したものと考えて存在確率及び減衰時間を設定し、全てがオフであると判定した場合には、注目検知領域に人が滞留しているものと考えて存在確率及び減衰時間を設定する。ただし、このように4次周辺センサの検知結果までを含めて判定を行う場合には、在不在管理システム1の計算量が増大すると共に、注目検知領域以外にける人の動きに起因するノイズを受けやすくなるため、上述の実施の形態3の設定処理の方がより好ましい。
【0121】
あるいは、上述の実施の形態3の設定処理に代えて、以下のような処理を行うこともできる。すなわち、注目センサの検知結果がオフであると判定された場合には、1次周辺センサ、2次周辺センサ、及び3次周辺センサの検知結果の全てがオフであるか否かを判定する。そして、全てがオフではないと判定した場合には、人が注目検知領域から周辺検知領域に移動したものと考えて存在確率及び減衰時間を設定する。一方、全てがオフであると判定した場合には、4次周辺センサの検知結果の全てがオフであるか否かを判定する。そして、全てがオフではないと判定した場合には、1次周辺センサのオフ時刻の平均と3次周辺センサのオフ時刻の平均とを比較し、1次周辺センサのオフ時刻の平均の方が遅い場合には、注目検知領域に人が滞留しているものと考えて存在確率及び減衰時間を設定し、3次周辺センサのオフ時刻の平均の方が遅い場合には、人が注目検知領域から周辺検知領域に移動したものと考えて存在確率及び減衰時間を設定する。ただし、平均を算定する際、1次周辺センサのオフ時刻と3次周辺センサのオフ時刻の中で、注目センサのオフ時刻より所定時間(例えば5秒)以前のオフ時刻は算定対象から除外し、注目センサのオフ時刻に近い所定個数のオフ時刻のみを算定対象に含める。ただし、このように平均に基づいて判定を行う場合には、在不在管理システム1の計算量が増大すると共に、注目センサのオフ時刻よりどの程度の時間以前のオフ時刻を算定対象から除外するのかによって判定結果が大きく変わり得るため、上述の実施の形態3の設定処理の方がより好ましい。
【符号の説明】
【0122】
1 在不在管理システム
2 環境制御用機器
10 人感センサ
11 制御部
11a 算定部
11b 機器制御部
12 データ記録部
12a センサデータテーブル
12b 存在確率マップ
20 照明
21 エアコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象領域における人の在不在を管理するシステムであって、
前記管理対象領域の所定の複数の検知領域の各々における人の在不在を検知する検知手段と、
前記検知手段による前記複数の検知領域の各々における検知結果に基づいて、前記管理対象領域に設定された算定領域であって、前記複数の検知領域とは異なる領域として設定された複数の算定領域の各々における人の存在確率を算定する算定手段と、
を備える在不在管理システム。
【請求項2】
前記複数の検知領域の各々は、隣接する検知領域が相互に重複するように設定され、
前記複数の算定領域の各々は、前記複数の検知領域の各々より小さい領域として設定された、
請求項1に記載の在不在管理システム。
【請求項3】
前記複数の検知領域の各々の中で、隣接する複数の検知領域の各々に人が存在することが、前記検知手段により検知された場合、前記算定手段は、当該隣接する複数の検知領域の重心位置からの各算定領域までの距離に基づいて、当該各算定領域における人の存在確率を算定する、
請求項2に記載の在不在管理システム。
【請求項4】
前記算定手段は、
前記複数の検知領域の各々の中で、所定方法で特定された一つの検知領域において、前記検知手段の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった場合、
当該一つの検知領域の周囲の検知領域である周囲検知領域における前記検知手段の検知結果に基づいて、当該一つの検知領域に対応する前記算定領域における人の存在確率を設定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の在不在管理システム。
【請求項5】
前記算定手段は、前記周囲検知領域の少なくとも一つにおける前記検知手段の検知結果が存在検知状態であった場合、前記周囲検知領域の全てにおける前記検知手段の検知結果が存在非検知状態であった場合に比べて、当該一つの検知領域に対応する前記算定領域における人の存在確率を、小さく設定する、
請求項4に記載の在不在管理システム。
【請求項6】
前記算定手段は、前記周囲検知領域における前記検知手段の検知結果に基づいて、前記一つの検知領域に対応する前記算定領域に設定した人の存在確率をゼロに減衰させるまでの時間である減衰時間を設定する、
請求項4又は5に記載の在不在管理システム。
【請求項7】
前記算定手段は、前記周囲検知領域の少なくとも一つにおける前記検知手段の検知結果が存在検知状態であった場合には、前記周囲検知領域の全てにおける前記検知手段の検知結果が存在非検知状態であった場合に比べて、当該一つの検知領域に対応する前記算定領域における減衰時間を短く設定する、
請求項6に記載の在不在管理システム。
【請求項8】
前記算定手段は、前記複数の検知領域の各々の中で、所定方法で特定された一つの検知領域において、前記検知手段の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった場合、前記周囲検知領域における前記検知手段の検知結果が存在検知状態から存在非検知状態なった時間の当該各検知手段相互間の時間差に基づいて、当該一つの検知領域に対応する前記算定領域における人の滞留の有無を判定する、
請求項4から7のいずれか一項に記載の在不在管理システム。
【請求項9】
前記算定手段にて算定された存在確率に基づいて、前記管理対象領域の環境制御を行うための環境制御用機器を制御する制御手段、
を備える請求項1から8のいずれか一項に記載の在不在管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−233890(P2012−233890A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97088(P2012−97088)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)