地ベラ及び地ベラセット
【課題】通常の地ベラとして使用でき、且つ、目透かし部や目地部等の溝状の箇所に壁紙を施工する際に、一方の入隅部の壁紙を押さえると同時に、挿通口から他方の入隅部を押さえることを可能とする地ベラ及び地ベラセットを提供する。
【解決手段】地ベラ1は、把握部11、及び、ヘラ板12を備え、上記ヘラ板12に、小ベラ2のヘラ板22を挿通可能な挿通口13が設けられてなる。
【解決手段】地ベラ1は、把握部11、及び、ヘラ板12を備え、上記ヘラ板12に、小ベラ2のヘラ板22を挿通可能な挿通口13が設けられてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の地ベラとして使用でき、且つ、目地の入隅部に壁紙を容易に施工することができる地ベラ及び地ベラセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅やビル、マンション等の建築物の壁面に、壁紙が施工されている。これらの建築物の壁面では、下地材間に隙間を空けて施工することにより目地(溝)を形成する、いわゆる目地取り施工により下地材が施工され、その上から壁紙が施工される場合がある。
【0003】
壁面に壁紙を施工するための道具として、例えば、壁紙カット用地ベラが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この壁紙カット用地ベラは、ヘラ板3に複数の穴4が設けられており、これにより軽量化を図っている。また、ヘラ板を壁紙に押し当ててカットする際に、本来ヘラ板で死角となる部分の壁紙を穴4から見ることができ、施工中に生じるしわを発見できる。
【0005】
しかし、上述した壁紙カット用地ベラを用いると、平面に壁紙を施工することは可能であるが、図13に示すように、目地部104に壁紙103を施工する場合、ヘラ板102で目地部104の一方の入隅部104aに施工される壁紙103aを押さえると、他方の入隅部104bに施工される壁紙103bが浮いてしまう。この浮き上がりを納めるためには、一方の入隅部104aに施工される壁紙103aを壁紙カット用地ベラ101で押さえながら、他方の入隅部104bに施工される壁紙103bも他の地ベラで同時に押さえる必要がある。
しかし、このとき、壁紙カット用地ベラ101のヘラ板102が障害となるため、他方の入隅部104bに施工される壁紙103bを同時に押さえることができない。このため、目地部104の壁紙103を施工するために、多大な労力と時間とを要していた。
【0006】
上述した問題を解消するために、例えば、クロス貼り用目透かしベラが提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
この目透かしベラは、T字形に成形した2枚のアルミ板A、Bからなり、これらの板が重ねられ、折曲部が蝶着されて形成されているので、2枚のコテ部を天井と壁の接合部に設ける目透かし部(溝)に挿入し、コテ部を開くことにより、クロスを目地部に貼着できる。
【0008】
しかし、上述した目透かしベラは、2つのコテ部が接合部で連動する構成となっている。このため、目透かし部に壁紙を施工する際に、両方のコテ部を連動して壁紙を同時に押し当てる必要があり、操作が難しい上、目地の広さや深さによっては適切な施工が困難な場合が有り得る。さらに、目透かし部に特化した道具を使用する場合、目透かし部や目地部等の溝状の箇所に壁紙を施工することには適しているものの、それ以外の箇所の壁紙施工に用いることはできない。このため、施工者は、目透かし部等の溝状の部分に壁紙を施工するために上記目透かしベラを用い、それ以外の平面等の箇所に壁紙を施工するために、通常の地ベラを用いる必要がある。2つのヘラを用いると作業が煩雑となり作業効率が低下する上、これらのヘラは重量が重く大きさも大きいため、施工者にとっては搬送や作業の負担となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】登録実用新案第3122234号公報
【特許文献2】実開平4−24942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、通常の地ベラとして使用でき、且つ、目透かし部や目地部等の溝状の箇所に壁紙を施工する際に、一方の入隅部に施工される壁紙を押さえると同時に、挿通口から他方の入隅部に施工される壁紙を押さえることを可能とする地ベラ及び地ベラセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る地ベラは、上記の事情に鑑みてなされたものであって、把握部、及び、ヘラ板を備える地ベラであって、上記ヘラ板に、小ベラのヘラ板を挿通可能な挿通口が設けられてなることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、通常の地ベラとして使用でき、且つ、目透かし部や目地部等の溝状の箇所に壁紙を施工する際に、一方の入隅部に施工される壁紙を押さえると同時に、挿通口から他方の入隅部に施工される壁紙を操作自在に押さえることを可能とし、目地部の壁紙の施工を容易に行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る地ベラは、上記挿通口が、ヘラ板の長手方向に、矩形状に設けられてなることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、小ベラを、挿通口に沿って、ヘラ板の長手方向に移動させることにより、地ベラで一方の入隅部に施工される壁紙を押さえつつ、他方の入隅部に施工される壁紙を地ベラとの位置を保った状態で独立的に操作することにより効率良く押さえることにより、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の壁紙の浮き上がりを容易に納めることができる。
【0015】
また、本発明は、上記地ベラと、小ベラとを有し、上記小ベラは、地ベラの挿通口に挿通可能なヘラ板を備える地ベラセットであることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、平面等の箇所に壁紙を施工する場合には、地ベラのみを通常の地ベラとして使用でき、且つ、目透かし部や目地部等の溝状の箇所を施工する場合には、地ベラを用いて一方の入隅部に施工される壁紙を押さえると同時に、小ベラのヘラ板を、地ベラの挿通口から挿入し、他方の入隅部に施工される壁紙を押さえることが可能となるので、目地部の壁紙の施工を効率良く行うことができる。このことにより、平面等の箇所も目透かし部や目地部も本発明の地ベラセットを用いることで全て施工できるので、部屋全体の施工効率も向上することができる。
【0017】
また、本発明に係る地ベラセットは、小ベラのヘラ板の側部に、上記地ベラのヘラ板の側部を係入させる切り欠き溝が形成されてなることが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、上記小ベラの切り欠き溝に地ベラのヘラ板の側部を係入させることにより、部屋の壁際等の角隅部であっても、溝状の箇所の入隅部に施工される壁紙を押さえることが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る地ベラセットは、上記小ベラのヘラ板が、上端部から下端部に向かって幅が広がるように形成されてなることが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、上記小ベラの下端部が側方に突出した形状となるので、部屋の壁際等の角隅部であっても、溝状の箇所の入隅部に施工される壁紙を押さえることが可能となる。
また、ヘラ板に比して、厚みが厚い把握部の幅を狭くすることができ、小ベラの取り回しが容易となる。
【0021】
また、本発明に係る地ベラセットは、小ベラの把握部の厚みが、上記挿通口の高さより厚いことが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、地ベラの挿通口に小ベラのヘラ板を挿入している状態で、小ベラから手を離しても、小ベラの把握部が挿通口に引っ掛かるので、小ベラが、地ベラの挿通口を通過して落下することを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、通常の地ベラとして使用でき、且つ、目透かし部や目地部等の溝状の箇所に壁紙を施工する際に、一方の入隅部に施工される壁紙を押さえると同時に、挿通口から他方の入隅部に施工される壁紙を押さえることを可能とする地ベラ及び地ベラセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は、本発明の地ベラの平面図であり、(b)は、本発明の地ベラセットを構成する小ベラの平面図である。
【図2】本発明の地ベラセットを用いて目地部の壁紙を施工する状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の地ベラの縦断面図である。
【図4】本発明の地ベラの寸法を表す平面図である。
【図5】本発明の地ベラの寸法を表す平面図である。
【図6】(a)は、本発明の地ベラセットを構成する小ベラの寸法を表す平面図であり、(b)は、縦断面図である。
【図7】(a)は、切り欠き部を設けた小ベラを用いた施工状態を示す図であり、(b)は、切り欠き部の無い小ベラを用いた施工状態を示す図である。
【図8】本発明の地ベラセットを構成する小ベラの寸法を表す平面図である。
【図9】本発明の地ベラセットを構成する小ベラの他の例を示す平面図である。
【図10】本発明の地ベラセットを構成する小ベラの他の例を示す平面図である。
【図11】本発明の地ベラセットを構成する小ベラの他の例を示す平面図である。
【図12】本発明の地ベラセットを構成する小ベラの他の例を示す平面図である。
【図13】従来の地ベラを用いた壁紙の施工状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、各部材又は各部の長さ、厚み、及び大きさは、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0026】
図1は、本実施形態の地ベラセットの平面図であり、図2は、本実施形態の地ベラセットを用いて目地部の壁紙を施工する状態を示す縦断面図である。
図1に示すように、本実施形態の地ベラセットは、図1(a)に示される地ベラ1と、図1(b)に示される小ベラ2とから構成される。
図2のように、上記地ベラセットを用いて、下地3に形成された目地部4上に壁紙5を施工する場合、まず、地ベラ1のヘラ板12により、一方の入隅部4aに施工される壁紙5aを押さえる。
ここで、図1及び図2に示すように、地ベラ1には挿通口13が設けられている。このため、挿通口13から小ベラ2のヘラ板22を挿入することにより、地ベラ1により一方の入隅部4aを覆う壁紙5aを押さえながら、同時に、小ベラ2により他方の入隅部4bを覆う壁紙5bを押さえることが可能となる。
このため、小ベラ2は、挿通口13によって地ベラ1に対して適切な位置を保った状態で一方の入隅部4aを覆う壁紙5aを押さえることができる。また、地ベラ1と小ベラ2は、挿通口13を支点として操作することもできるので、目地部4の広さや深さなどに応じて多様な操作を行うことができる。加えて、小ベラ2は、地ベラ1とは、独立的に操作することも出来るので、容易に他方の入隅部4bを覆う壁紙5bが浮き上がることを防止することができる。また、地ベラ1と小ベラ2とを独立的に操作することによって、地ベラ1と小ベラ2の位置関係や各々に掛かる力の配分を自在に行うことができ、様々な形状の目地部4に対して壁紙5を容易にかつムラ無く施工することができる。
【0027】
また、地ベラ1は、通常の地ベラとしての形状を備えており、平面等の形状の下地に壁紙を施工する際にも使用することができるので、施工者は、平面部と目地部とで道具を換える必要が無くなり、部屋全体の施工作業の効率が高くなる。加えて、目地部等の溝状の部分に用いる道具と、平面等の部分に用いる道具とを両方持つ必要がなくなり、施工者の道具の搬送や作業時の体の負担を軽減することができる。
【0028】
[地ベラ]
図1(a)は、本発明の地ベラ1の平面図である。地ベラ1は、把握部11及び、ヘラ板12を備えている。
【0029】
把握部11は、その下部11aでヘラ板12を挟持し、且つ、施工者が上部11bを把握して扱うことにより、施工作業を行う部材である。
【0030】
図1(a)に示されるように、本実施形態において、把握部11は、上部11bが細長い板状に形成されており、下部11aが横長の板状に形成されている。上部11bには、引っ掛け穴11cが形成されており、地ベラ1を使用しない場合は、この引っ掛け穴11cを壁面から突出した釘などに引っ掛けることにより収納することができる。
【0031】
図3は、地ベラ1の縦断面図である。図3に示すように、本実施形態の地ベラ1は、下部11aにヘラ板12を挿入して挟持するための溝11dが設けられている。ヘラ板12は、溝11dに挿入され、下部11aとヘラ板12とを貫通するように設けられた留め具14で固定されている。
【0032】
図4に、本実施形態の地ベラの把握部11の寸法を示す。上部11bの長さL111は、上部11bの頂点11eと、付根11fとの距離である。
上記長さL111は、50〜160mmであることが好ましい。70〜150mmがより好ましく、90〜130mmがさらに好ましい。
上記長さL111が余りに長いと、扱い難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL111が余りに短いと、施工者が握り難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。
【0033】
上部11bの幅L112は、20〜70mmであることが好ましい。25〜60mmがより好ましく、30〜50mmがさらに好ましい。
上記幅L112が余りに広いと、施工者が握り難くなるおそれがある。L112が余りに狭いと、地ベラ1を固定するために強い握力が要求され、施工者の手が疲労するおそれがあり、且つ、上部11bの強度が弱くなり、耐久性に劣るおそれがある。
【0034】
把握部下部11aの長さL113は、把握部下部11aの裾の両端部11g,11gの距離である。上記長さL113は、150〜450mmが好ましい。200〜400mmがより好ましく、230〜320mmがさらに好ましい。
上記長さL113が余りに長いと、取り回し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL113が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0035】
上記把握部11を形成する材質としては、施工作業に必要な強度を備え、軽量であれば特に限定されないが、例えば、木材、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。
【0036】
[ヘラ板]
ヘラ板12は、地ベラ1の下方に設けられ、壁紙を押さえて施工する部材である。図1(a)に示すように、本実施形態の地ベラ1では、ヘラ板12は、平面視台形状に設けられている。また、ヘラ板12には、小ベラ2のヘラ板22を挿入するための挿通口13が設けられている。
【0037】
図1(a)に示すように、本実施形態において、上記挿通口13は、ヘラ板12の長手方向に、矩形状に設けられている。このような構成とすることで、小ベラ2を、挿通口13に沿って、ヘラ板12の長手方向に移動させることができ、地ベラ1で押さえている一方の入隅部と異なる、他方の入隅部に施工される壁紙を効率良く押さえることにより、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の壁紙の浮き上がりを納めて施工することが容易となる。
【0038】
図5に、本実施形態の地ベラのヘラ板12の寸法を示す。ヘラ板12の上端部12aの長さL121は、上記把握部下部11aの長さL113と同一であることが好ましい。具体的には、L121は、150〜450mmであることが好ましい。200〜400mmがより好ましく、230〜320mmがさらに好ましい。
上記長さL121が余りに長いと、取り回し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL121が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0039】
ヘラ板12の下端部12bの長さL122は、ヘラ板12の下端部12bの両端部12c,12cの距離である。上記L122は、160〜470mmであることが好ましい。210〜420mmがより好ましく、240〜330mmがさらに好ましい。
上記長さL122が余りに長いと、取り回し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL121が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0040】
ヘラ板12の高さL123は、ヘラ板12の上端部12aと、下端部12bとの距離である。上記高さL123は、10〜100mmであることが好ましい。25〜80mmがより好ましく、40〜60mmがさらに好ましい。
上記高さL123が余りに高いと、ヘラ板の強度を低下させるおそれがある。また、上記高さL123が余りに低いと、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の入隅部に届かず、壁紙を押さえることができないおそれがある。
【0041】
ヘラ板12の厚みは、壁紙5を施工することができれば特に限定されないが、0.4〜1mmが好ましく、0.4〜0.5mmがより好ましい。
上記ヘラ板12の厚みが厚すぎると、図2の入隅部4aに施工される壁紙5aを押さえ難くなるおそれがある。薄すぎると、ヘラ板12の強度が弱くなり、壁紙5を押さえるとヘラ板12が曲がったり、折れたりするおそれがある。
【0042】
挿通口13の高さL131は、挿通口13の上端部13aと、下端部13bとの距離である。上記高さL131は、3〜30mmであることが好ましい。5〜25mmがより好ましく、7〜20mmがさらに好ましい。
上記高さL131が余りに高いと、ヘラ板の強度を低下させるおそれがある。また、上記高さL131が余りに低いと、挿入した小ベラのヘラ板の動きの自由度を制限し、施工作業が行い難くなるおそれがある。
【0043】
挿通口13の幅L132は、挿通口13の下端部13bの両端部13c,13cの距離である。上記幅L132は、100〜400mmであることが好ましい。150〜350mmがより好ましく、180〜270mmがさらに好ましい。
上記幅L132が余りに広いと、ヘラ板の強度を低下させるおそれがある。また、上記幅L132が余りに狭いと、挿入した小ベラ2のヘラ板22の可動範囲が狭くなり、壁紙を十分に押さえられないおそれがある。
【0044】
挿通口13の下端部13bと、ヘラ板12の下端部12bとの距離L125は、挿通口13の高さL131や、幅L132に応じて適宜設定されるが、3〜25mmであることが好ましい。4〜15mmがより好ましく、5〜10mmがさらに好ましい。
【0045】
ヘラ板12を形成する材質としては、施工作業に必要な強度を備え、軽量であれば特に限定されないが、例えば、ステンレス等が挙げられる。
【0046】
[小ベラ]
小ベラ2は、そのヘラ板22が地ベラ1の挿通口13に挿入され、図2のように、地ベラ1により一方の入隅部14aに施工される壁紙13aを押さえながら、同時に、小ベラ2により他方の入隅部14bに施工される壁紙13bを押さえることを可能とするものである。
【0047】
図1(b)は、本実施形態の地ベラセットを構成する小ベラ2の平面図である。小ベラ2は、把握部21及び、ヘラ板22を備えている。
【0048】
小ベラ2の把握部21の材質としては特に限定されず、上記地ベラ1の把握部11と同様のものを用いることができる。
【0049】
図6に、本実施形態の地ベラセットを構成する小ベラ2の把握部21の寸法を示す。図6(a)は、本実施形態における小ベラの平面図である。
上部21bの長さL211は、上部21bの頂点21eと、付根21fとの距離である。
上記長さL211は、50〜160mmであることが好ましい。70〜150mmがより好ましく、90〜130mmがさらに好ましい。
上記長さL211が余りに長いと、扱い難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL211が余りに短いと、施工者が握り難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。
【0050】
上部21bの幅L212は、20〜70mmであることが好ましい。25〜60mmがより好ましく、30〜50mmがさらに好ましい。
上記幅L212が余りに広いと、施工者が握り難くなるおそれがある。L212が余りに狭いと、小ベラ2を固定するために強い握力が要求され、施工者の手が疲労するおそれがあり、且つ、上部21bの強度が弱くなり、耐久性に劣るおそれがある。
【0051】
把握部下部21aの長さL213は、把握部下部21aの裾の両端部21g,21gの距離である。上記長さL213は、50〜200mmが好ましい。80〜180mmがより好ましく、100〜150mmがさらに好ましい。
上記長さL213が余りに長いと、地ベラ1の挿通口13に挿入し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL213が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0052】
図6(b)は、本実施形態における小ベラの縦断面図である。小ベラ2の把握部21の厚みT21は、引っ掛け穴21cを形成する部材を除いた、把握部21の最も厚い部分の厚みである。上記T21は、把握部21が地ベラ1の挿通口13の高さL131より厚いことが好ましい。上記構成であると、作業中に施工者が小ベラ2の把握部21から手を放しても、小ベラ2の把握部21が、地ベラ1の挿通口13を通過しないので、小ベラ2が挿通口13を通って落下するのを防止することができる。
具体的には、上記厚みT21は、5〜32mmであることが好ましい。7〜27mmがより好ましく、9〜22mmがさらに好ましい。
上記厚みT21が余りに厚いと、握り難くなり、施工者が施工し難くなるおそれがある。また、上記厚みT21が余りに薄いと、小ベラ2の把握部21が、地ベラ1の挿通口13を通過し、小ベラ2が落下するおそれがある。
【0053】
小ベラ2のヘラ板22は、小ベラ2の下方に設けられ、地ベラ1の挿通口13に挿入して壁紙5を押さえる部材である。本実施形態の小ベラ2のヘラ板22は、図1(b)に示すように、平面視台形状に設けられている。また、ヘラ板22には、側部22aに地ベラ1のヘラ板12の側部12dを係入させる切り欠き溝23が形成されている。
【0054】
図7は、地ベラ1の挿通口13に小ベラ2のヘラ板22を挿入し、部屋の下地材3の壁際の角隅部3a付近の壁紙5を施工する状態を表す図である。図7(a)に示すように、小ベラ2の側部22aに切り欠き溝23が形成されているので、地ベラ1のヘラ板12の側部12dを係入させることができる。これにより、地ベラ1のヘラ板12の角端部12eで下地材3の角隅部3a付近に施工される壁紙5を押さえると同時に、小ベラ2のヘラ板22の角端部22bでも、当該入隅部3a付近に施工される壁紙5を押さえることが可能となる。
このため、上記構成によれば、部屋の下地材3の壁際の角隅部3a付近であっても、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の両側の入隅部に施工される壁紙5を同時に押さえることが可能となる。
一方、図7(b)のように、切り欠き溝23が形成されていない場合、地ベラ1のヘラ板12の角端部12eで下地材3の入隅部3a付近の壁紙5を押さえると、地ベラ1の側部12dが障害となって小ベラ2のヘラ板22で、同時に当該入隅部3a付近の壁紙5を押さえることができない。
【0055】
小ベラ2のヘラ板22の材質は特に限定されず、上記地ベラ1のヘラ板12と同様のものを用いることができる。
【0056】
図8に、本実施形態の小ベラ2のヘラ板22の寸法を示す。ヘラ板22の上端部22dの長さL221は、上記小ベラの把握部下部21aの長さL213と、同一であることが好ましい。具体的には、L221は、50〜200mmであることが好ましい。80〜180mmがより好ましく、100〜150mmがさらに好ましい。
上記長さL221が余りに長いと、取り回し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL121が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0057】
小ベラ2のヘラ板22の下部22cの長さL222は、小ベラ2のヘラ板22の下部22cの両端部22b,22bの距離である。上記L222は、60〜210mmであることが好ましい。90〜200mmがより好ましく、110〜160mmがさらに好ましい。
上記長さL222が余りに長いと、取り回し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL222が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0058】
小ベラ2のヘラ板22の高さL223は、ヘラ板22の上端部22dと、下端部22cとの距離である。上記高さL223は、10〜100mmであることが好ましい。25〜80mmがより好ましく、40〜60mmがさらに好ましい。
上記高さL223が余りに高いと、ヘラ板22の強度を低下させるおそれがある。また、上記高さL223が余りに低いと、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の入隅部に届かず、壁紙を押さえることができないおそれがある。
【0059】
小ベラのヘラ板22の厚みは、壁紙5を施工することができれば特に限定されないが、0.4〜1mmが好ましく、0.4〜0.5mmがより好ましい。
上記小ベラのヘラ板22の厚みが厚すぎると、図2の入隅部4bに施工される壁紙5bを押さえ難くなるおそれがある。薄すぎると、小ベラのヘラ板22の強度が弱くなり、壁紙5を押さえると小ベラのヘラ板22が曲がったり、折れたりするおそれがある。
【0060】
切り欠き溝23の高さL231は、1〜10mmであることが好ましい。2〜7mmがより好ましく、2〜4mmがさらに好ましい。
上記高さL231が余りに高いと、小ベラ2のヘラ板22の強度を低下させるおそれがある。また、上記高さL231が余りに低いと、地ベラ1のヘラ板12の側部12dを係入し難くなるおそれがある。
【0061】
図8に示される切り欠き溝23の幅L232は、図5に示される地ベラ1のヘラ板12の側部12dの幅L124より長いことが好ましい。ここで、上記幅L124は、図5に示すように、挿通口13の下端部13bの端部13cから、ヘラ板12の下端部12bへ引いた垂線が12bと交わる点を12fとした場合に、上記12fと、12bの端部12cとの距離で表される。
上記幅L124は、具体的には、15〜50mmがより好ましく、25〜40mmがさらに好ましい。
上記幅L232が余りに広いと、小ベラ2のヘラ板12の強度を低下させるおそれがある。また、上記幅L232が余りに狭いと、地ベラ1のヘラ板12の側部12dへ十分に係入することができず、部屋の下地材3の壁際の角隅部3a付近において、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の両側の入隅部に施工される壁紙5を同時に押さえることができないおそれがある。
【0062】
切り欠き溝23の下端部23aと、小ベラ2のヘラ板22の下部22cとの距離L224は、切り欠き溝23の高さL231や、幅L232に応じて適宜設定されるが、3〜25mmであることが好ましい。4〜15mmがより好ましく、5〜10mmがさらに好ましい。
【0063】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変更・変形が可能である。
【0064】
例えば、上記の実施形態では、小ベラ2の切り欠き溝23が、ヘラ板22の片側の側部にのみ設けられている例を示したが、これに限らず、図9に示すように、両側に設けられている構成としてもよい。このような構成とすることで、小ベラ2を180度反転させずとも地ベラ1の両側の側部12dに切り欠き溝23を係入させることができる。
【0065】
また、上記の実施形態では、小ベラ2のヘラ板22の形状が、図8のように平面視台形状である例を示したが、これに限らず、図10(a)に示すように、ヘラ板22の下部22cが、一方の側方に突出した形状であってもよい。このような構成のヘラ板22を地ベラ1の挿通口13に挿入することで、小ベラ2のヘラ板22の強度を損なわずに、部屋の角隅部3a付近の溝状の箇所の、両側の入隅部に施工される壁紙5を同時に押さえることが可能となる。
また、図10(b)に示すように、ヘラ板22の下部22cが、左右両側の側方に突出した形状とすることもでき、図11に示すように、ヘラ板22の下部22cが、一方の側方に突出し、他方に切り欠き溝23を設けた形状とすることも可能である。
【0066】
また、上記の実施形態では、図6(a)のように、小ベラ2の把握部21の上部21bが細長い板状に形成されており、下部21aが横長の板状に形成されている例を示したが、図12に示すように、上部21bと下部21aとの幅が同一であり、小ベラのヘラ板22の上端部22dから、下端部22cに向かって幅が広がるように形成されていてもよい。上記構成とすることで、ヘラ板22に比して厚みが厚い把握部21の幅を狭くすることができ、小ベラ2の取り回しが容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の地ベラ及び地ベラセットは、住宅やビル、マンション等の建築物の壁面の施工に使用される。
【符号の説明】
【0068】
1…地ベラ、11…把握部、11a…把握部下部、11b…把握部上部、11c…引っ掛け穴、11d…溝、11e…把握部上部の頂点、11f…把握部上部の付根、11g…把握部下部の裾の両端部、12…地ベラのヘラ板、12d…地ベラのヘラ板の側部、13…挿通口、13a…挿通口の上端部、13b…挿通口の下端部、13c…挿通口の下端部の両端部、14…留め具、2…小ベラ、21…小ベラの把握部、21a…小ベラの把握部下部、21b…小ベラの把握部上部、21e…小ベラの把握部上部の頂点、21f…小ベラの把握部上部の頂点付根、21g…小ベラの把握部下部の裾の両端部、22…小ベラのヘラ板、22a…小ベラのヘラ板の側部、22b…小ベラのヘラ板の角端部、22c…小ベラのヘラ板の下端部、22d…小ベラのヘラ板の上端部、23…切り欠き部、3…下地、4…目地部、4a…目地部の一方の入隅部、4b…目地部の他方の入隅部、5…壁紙、5a…目地部の一方の入隅部を覆う壁紙、5b…目地部の他方の入隅部を覆う壁紙、T21…小ベラの把握部の厚み、101…従来の地ベラ、102…従来の地ベラのヘラ板、103…壁紙、103a…目地部の一方の入隅部を覆う壁紙、103b…目地部の他方の入隅部を覆う壁紙、104…目地部、104a…目地部の一方の入隅部、104b…目地部の他方の入隅部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の地ベラとして使用でき、且つ、目地の入隅部に壁紙を容易に施工することができる地ベラ及び地ベラセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅やビル、マンション等の建築物の壁面に、壁紙が施工されている。これらの建築物の壁面では、下地材間に隙間を空けて施工することにより目地(溝)を形成する、いわゆる目地取り施工により下地材が施工され、その上から壁紙が施工される場合がある。
【0003】
壁面に壁紙を施工するための道具として、例えば、壁紙カット用地ベラが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この壁紙カット用地ベラは、ヘラ板3に複数の穴4が設けられており、これにより軽量化を図っている。また、ヘラ板を壁紙に押し当ててカットする際に、本来ヘラ板で死角となる部分の壁紙を穴4から見ることができ、施工中に生じるしわを発見できる。
【0005】
しかし、上述した壁紙カット用地ベラを用いると、平面に壁紙を施工することは可能であるが、図13に示すように、目地部104に壁紙103を施工する場合、ヘラ板102で目地部104の一方の入隅部104aに施工される壁紙103aを押さえると、他方の入隅部104bに施工される壁紙103bが浮いてしまう。この浮き上がりを納めるためには、一方の入隅部104aに施工される壁紙103aを壁紙カット用地ベラ101で押さえながら、他方の入隅部104bに施工される壁紙103bも他の地ベラで同時に押さえる必要がある。
しかし、このとき、壁紙カット用地ベラ101のヘラ板102が障害となるため、他方の入隅部104bに施工される壁紙103bを同時に押さえることができない。このため、目地部104の壁紙103を施工するために、多大な労力と時間とを要していた。
【0006】
上述した問題を解消するために、例えば、クロス貼り用目透かしベラが提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
この目透かしベラは、T字形に成形した2枚のアルミ板A、Bからなり、これらの板が重ねられ、折曲部が蝶着されて形成されているので、2枚のコテ部を天井と壁の接合部に設ける目透かし部(溝)に挿入し、コテ部を開くことにより、クロスを目地部に貼着できる。
【0008】
しかし、上述した目透かしベラは、2つのコテ部が接合部で連動する構成となっている。このため、目透かし部に壁紙を施工する際に、両方のコテ部を連動して壁紙を同時に押し当てる必要があり、操作が難しい上、目地の広さや深さによっては適切な施工が困難な場合が有り得る。さらに、目透かし部に特化した道具を使用する場合、目透かし部や目地部等の溝状の箇所に壁紙を施工することには適しているものの、それ以外の箇所の壁紙施工に用いることはできない。このため、施工者は、目透かし部等の溝状の部分に壁紙を施工するために上記目透かしベラを用い、それ以外の平面等の箇所に壁紙を施工するために、通常の地ベラを用いる必要がある。2つのヘラを用いると作業が煩雑となり作業効率が低下する上、これらのヘラは重量が重く大きさも大きいため、施工者にとっては搬送や作業の負担となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】登録実用新案第3122234号公報
【特許文献2】実開平4−24942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、通常の地ベラとして使用でき、且つ、目透かし部や目地部等の溝状の箇所に壁紙を施工する際に、一方の入隅部に施工される壁紙を押さえると同時に、挿通口から他方の入隅部に施工される壁紙を押さえることを可能とする地ベラ及び地ベラセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る地ベラは、上記の事情に鑑みてなされたものであって、把握部、及び、ヘラ板を備える地ベラであって、上記ヘラ板に、小ベラのヘラ板を挿通可能な挿通口が設けられてなることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、通常の地ベラとして使用でき、且つ、目透かし部や目地部等の溝状の箇所に壁紙を施工する際に、一方の入隅部に施工される壁紙を押さえると同時に、挿通口から他方の入隅部に施工される壁紙を操作自在に押さえることを可能とし、目地部の壁紙の施工を容易に行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る地ベラは、上記挿通口が、ヘラ板の長手方向に、矩形状に設けられてなることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、小ベラを、挿通口に沿って、ヘラ板の長手方向に移動させることにより、地ベラで一方の入隅部に施工される壁紙を押さえつつ、他方の入隅部に施工される壁紙を地ベラとの位置を保った状態で独立的に操作することにより効率良く押さえることにより、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の壁紙の浮き上がりを容易に納めることができる。
【0015】
また、本発明は、上記地ベラと、小ベラとを有し、上記小ベラは、地ベラの挿通口に挿通可能なヘラ板を備える地ベラセットであることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、平面等の箇所に壁紙を施工する場合には、地ベラのみを通常の地ベラとして使用でき、且つ、目透かし部や目地部等の溝状の箇所を施工する場合には、地ベラを用いて一方の入隅部に施工される壁紙を押さえると同時に、小ベラのヘラ板を、地ベラの挿通口から挿入し、他方の入隅部に施工される壁紙を押さえることが可能となるので、目地部の壁紙の施工を効率良く行うことができる。このことにより、平面等の箇所も目透かし部や目地部も本発明の地ベラセットを用いることで全て施工できるので、部屋全体の施工効率も向上することができる。
【0017】
また、本発明に係る地ベラセットは、小ベラのヘラ板の側部に、上記地ベラのヘラ板の側部を係入させる切り欠き溝が形成されてなることが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、上記小ベラの切り欠き溝に地ベラのヘラ板の側部を係入させることにより、部屋の壁際等の角隅部であっても、溝状の箇所の入隅部に施工される壁紙を押さえることが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る地ベラセットは、上記小ベラのヘラ板が、上端部から下端部に向かって幅が広がるように形成されてなることが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、上記小ベラの下端部が側方に突出した形状となるので、部屋の壁際等の角隅部であっても、溝状の箇所の入隅部に施工される壁紙を押さえることが可能となる。
また、ヘラ板に比して、厚みが厚い把握部の幅を狭くすることができ、小ベラの取り回しが容易となる。
【0021】
また、本発明に係る地ベラセットは、小ベラの把握部の厚みが、上記挿通口の高さより厚いことが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、地ベラの挿通口に小ベラのヘラ板を挿入している状態で、小ベラから手を離しても、小ベラの把握部が挿通口に引っ掛かるので、小ベラが、地ベラの挿通口を通過して落下することを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、通常の地ベラとして使用でき、且つ、目透かし部や目地部等の溝状の箇所に壁紙を施工する際に、一方の入隅部に施工される壁紙を押さえると同時に、挿通口から他方の入隅部に施工される壁紙を押さえることを可能とする地ベラ及び地ベラセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は、本発明の地ベラの平面図であり、(b)は、本発明の地ベラセットを構成する小ベラの平面図である。
【図2】本発明の地ベラセットを用いて目地部の壁紙を施工する状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の地ベラの縦断面図である。
【図4】本発明の地ベラの寸法を表す平面図である。
【図5】本発明の地ベラの寸法を表す平面図である。
【図6】(a)は、本発明の地ベラセットを構成する小ベラの寸法を表す平面図であり、(b)は、縦断面図である。
【図7】(a)は、切り欠き部を設けた小ベラを用いた施工状態を示す図であり、(b)は、切り欠き部の無い小ベラを用いた施工状態を示す図である。
【図8】本発明の地ベラセットを構成する小ベラの寸法を表す平面図である。
【図9】本発明の地ベラセットを構成する小ベラの他の例を示す平面図である。
【図10】本発明の地ベラセットを構成する小ベラの他の例を示す平面図である。
【図11】本発明の地ベラセットを構成する小ベラの他の例を示す平面図である。
【図12】本発明の地ベラセットを構成する小ベラの他の例を示す平面図である。
【図13】従来の地ベラを用いた壁紙の施工状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、各部材又は各部の長さ、厚み、及び大きさは、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0026】
図1は、本実施形態の地ベラセットの平面図であり、図2は、本実施形態の地ベラセットを用いて目地部の壁紙を施工する状態を示す縦断面図である。
図1に示すように、本実施形態の地ベラセットは、図1(a)に示される地ベラ1と、図1(b)に示される小ベラ2とから構成される。
図2のように、上記地ベラセットを用いて、下地3に形成された目地部4上に壁紙5を施工する場合、まず、地ベラ1のヘラ板12により、一方の入隅部4aに施工される壁紙5aを押さえる。
ここで、図1及び図2に示すように、地ベラ1には挿通口13が設けられている。このため、挿通口13から小ベラ2のヘラ板22を挿入することにより、地ベラ1により一方の入隅部4aを覆う壁紙5aを押さえながら、同時に、小ベラ2により他方の入隅部4bを覆う壁紙5bを押さえることが可能となる。
このため、小ベラ2は、挿通口13によって地ベラ1に対して適切な位置を保った状態で一方の入隅部4aを覆う壁紙5aを押さえることができる。また、地ベラ1と小ベラ2は、挿通口13を支点として操作することもできるので、目地部4の広さや深さなどに応じて多様な操作を行うことができる。加えて、小ベラ2は、地ベラ1とは、独立的に操作することも出来るので、容易に他方の入隅部4bを覆う壁紙5bが浮き上がることを防止することができる。また、地ベラ1と小ベラ2とを独立的に操作することによって、地ベラ1と小ベラ2の位置関係や各々に掛かる力の配分を自在に行うことができ、様々な形状の目地部4に対して壁紙5を容易にかつムラ無く施工することができる。
【0027】
また、地ベラ1は、通常の地ベラとしての形状を備えており、平面等の形状の下地に壁紙を施工する際にも使用することができるので、施工者は、平面部と目地部とで道具を換える必要が無くなり、部屋全体の施工作業の効率が高くなる。加えて、目地部等の溝状の部分に用いる道具と、平面等の部分に用いる道具とを両方持つ必要がなくなり、施工者の道具の搬送や作業時の体の負担を軽減することができる。
【0028】
[地ベラ]
図1(a)は、本発明の地ベラ1の平面図である。地ベラ1は、把握部11及び、ヘラ板12を備えている。
【0029】
把握部11は、その下部11aでヘラ板12を挟持し、且つ、施工者が上部11bを把握して扱うことにより、施工作業を行う部材である。
【0030】
図1(a)に示されるように、本実施形態において、把握部11は、上部11bが細長い板状に形成されており、下部11aが横長の板状に形成されている。上部11bには、引っ掛け穴11cが形成されており、地ベラ1を使用しない場合は、この引っ掛け穴11cを壁面から突出した釘などに引っ掛けることにより収納することができる。
【0031】
図3は、地ベラ1の縦断面図である。図3に示すように、本実施形態の地ベラ1は、下部11aにヘラ板12を挿入して挟持するための溝11dが設けられている。ヘラ板12は、溝11dに挿入され、下部11aとヘラ板12とを貫通するように設けられた留め具14で固定されている。
【0032】
図4に、本実施形態の地ベラの把握部11の寸法を示す。上部11bの長さL111は、上部11bの頂点11eと、付根11fとの距離である。
上記長さL111は、50〜160mmであることが好ましい。70〜150mmがより好ましく、90〜130mmがさらに好ましい。
上記長さL111が余りに長いと、扱い難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL111が余りに短いと、施工者が握り難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。
【0033】
上部11bの幅L112は、20〜70mmであることが好ましい。25〜60mmがより好ましく、30〜50mmがさらに好ましい。
上記幅L112が余りに広いと、施工者が握り難くなるおそれがある。L112が余りに狭いと、地ベラ1を固定するために強い握力が要求され、施工者の手が疲労するおそれがあり、且つ、上部11bの強度が弱くなり、耐久性に劣るおそれがある。
【0034】
把握部下部11aの長さL113は、把握部下部11aの裾の両端部11g,11gの距離である。上記長さL113は、150〜450mmが好ましい。200〜400mmがより好ましく、230〜320mmがさらに好ましい。
上記長さL113が余りに長いと、取り回し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL113が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0035】
上記把握部11を形成する材質としては、施工作業に必要な強度を備え、軽量であれば特に限定されないが、例えば、木材、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。
【0036】
[ヘラ板]
ヘラ板12は、地ベラ1の下方に設けられ、壁紙を押さえて施工する部材である。図1(a)に示すように、本実施形態の地ベラ1では、ヘラ板12は、平面視台形状に設けられている。また、ヘラ板12には、小ベラ2のヘラ板22を挿入するための挿通口13が設けられている。
【0037】
図1(a)に示すように、本実施形態において、上記挿通口13は、ヘラ板12の長手方向に、矩形状に設けられている。このような構成とすることで、小ベラ2を、挿通口13に沿って、ヘラ板12の長手方向に移動させることができ、地ベラ1で押さえている一方の入隅部と異なる、他方の入隅部に施工される壁紙を効率良く押さえることにより、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の壁紙の浮き上がりを納めて施工することが容易となる。
【0038】
図5に、本実施形態の地ベラのヘラ板12の寸法を示す。ヘラ板12の上端部12aの長さL121は、上記把握部下部11aの長さL113と同一であることが好ましい。具体的には、L121は、150〜450mmであることが好ましい。200〜400mmがより好ましく、230〜320mmがさらに好ましい。
上記長さL121が余りに長いと、取り回し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL121が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0039】
ヘラ板12の下端部12bの長さL122は、ヘラ板12の下端部12bの両端部12c,12cの距離である。上記L122は、160〜470mmであることが好ましい。210〜420mmがより好ましく、240〜330mmがさらに好ましい。
上記長さL122が余りに長いと、取り回し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL121が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0040】
ヘラ板12の高さL123は、ヘラ板12の上端部12aと、下端部12bとの距離である。上記高さL123は、10〜100mmであることが好ましい。25〜80mmがより好ましく、40〜60mmがさらに好ましい。
上記高さL123が余りに高いと、ヘラ板の強度を低下させるおそれがある。また、上記高さL123が余りに低いと、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の入隅部に届かず、壁紙を押さえることができないおそれがある。
【0041】
ヘラ板12の厚みは、壁紙5を施工することができれば特に限定されないが、0.4〜1mmが好ましく、0.4〜0.5mmがより好ましい。
上記ヘラ板12の厚みが厚すぎると、図2の入隅部4aに施工される壁紙5aを押さえ難くなるおそれがある。薄すぎると、ヘラ板12の強度が弱くなり、壁紙5を押さえるとヘラ板12が曲がったり、折れたりするおそれがある。
【0042】
挿通口13の高さL131は、挿通口13の上端部13aと、下端部13bとの距離である。上記高さL131は、3〜30mmであることが好ましい。5〜25mmがより好ましく、7〜20mmがさらに好ましい。
上記高さL131が余りに高いと、ヘラ板の強度を低下させるおそれがある。また、上記高さL131が余りに低いと、挿入した小ベラのヘラ板の動きの自由度を制限し、施工作業が行い難くなるおそれがある。
【0043】
挿通口13の幅L132は、挿通口13の下端部13bの両端部13c,13cの距離である。上記幅L132は、100〜400mmであることが好ましい。150〜350mmがより好ましく、180〜270mmがさらに好ましい。
上記幅L132が余りに広いと、ヘラ板の強度を低下させるおそれがある。また、上記幅L132が余りに狭いと、挿入した小ベラ2のヘラ板22の可動範囲が狭くなり、壁紙を十分に押さえられないおそれがある。
【0044】
挿通口13の下端部13bと、ヘラ板12の下端部12bとの距離L125は、挿通口13の高さL131や、幅L132に応じて適宜設定されるが、3〜25mmであることが好ましい。4〜15mmがより好ましく、5〜10mmがさらに好ましい。
【0045】
ヘラ板12を形成する材質としては、施工作業に必要な強度を備え、軽量であれば特に限定されないが、例えば、ステンレス等が挙げられる。
【0046】
[小ベラ]
小ベラ2は、そのヘラ板22が地ベラ1の挿通口13に挿入され、図2のように、地ベラ1により一方の入隅部14aに施工される壁紙13aを押さえながら、同時に、小ベラ2により他方の入隅部14bに施工される壁紙13bを押さえることを可能とするものである。
【0047】
図1(b)は、本実施形態の地ベラセットを構成する小ベラ2の平面図である。小ベラ2は、把握部21及び、ヘラ板22を備えている。
【0048】
小ベラ2の把握部21の材質としては特に限定されず、上記地ベラ1の把握部11と同様のものを用いることができる。
【0049】
図6に、本実施形態の地ベラセットを構成する小ベラ2の把握部21の寸法を示す。図6(a)は、本実施形態における小ベラの平面図である。
上部21bの長さL211は、上部21bの頂点21eと、付根21fとの距離である。
上記長さL211は、50〜160mmであることが好ましい。70〜150mmがより好ましく、90〜130mmがさらに好ましい。
上記長さL211が余りに長いと、扱い難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL211が余りに短いと、施工者が握り難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。
【0050】
上部21bの幅L212は、20〜70mmであることが好ましい。25〜60mmがより好ましく、30〜50mmがさらに好ましい。
上記幅L212が余りに広いと、施工者が握り難くなるおそれがある。L212が余りに狭いと、小ベラ2を固定するために強い握力が要求され、施工者の手が疲労するおそれがあり、且つ、上部21bの強度が弱くなり、耐久性に劣るおそれがある。
【0051】
把握部下部21aの長さL213は、把握部下部21aの裾の両端部21g,21gの距離である。上記長さL213は、50〜200mmが好ましい。80〜180mmがより好ましく、100〜150mmがさらに好ましい。
上記長さL213が余りに長いと、地ベラ1の挿通口13に挿入し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL213が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0052】
図6(b)は、本実施形態における小ベラの縦断面図である。小ベラ2の把握部21の厚みT21は、引っ掛け穴21cを形成する部材を除いた、把握部21の最も厚い部分の厚みである。上記T21は、把握部21が地ベラ1の挿通口13の高さL131より厚いことが好ましい。上記構成であると、作業中に施工者が小ベラ2の把握部21から手を放しても、小ベラ2の把握部21が、地ベラ1の挿通口13を通過しないので、小ベラ2が挿通口13を通って落下するのを防止することができる。
具体的には、上記厚みT21は、5〜32mmであることが好ましい。7〜27mmがより好ましく、9〜22mmがさらに好ましい。
上記厚みT21が余りに厚いと、握り難くなり、施工者が施工し難くなるおそれがある。また、上記厚みT21が余りに薄いと、小ベラ2の把握部21が、地ベラ1の挿通口13を通過し、小ベラ2が落下するおそれがある。
【0053】
小ベラ2のヘラ板22は、小ベラ2の下方に設けられ、地ベラ1の挿通口13に挿入して壁紙5を押さえる部材である。本実施形態の小ベラ2のヘラ板22は、図1(b)に示すように、平面視台形状に設けられている。また、ヘラ板22には、側部22aに地ベラ1のヘラ板12の側部12dを係入させる切り欠き溝23が形成されている。
【0054】
図7は、地ベラ1の挿通口13に小ベラ2のヘラ板22を挿入し、部屋の下地材3の壁際の角隅部3a付近の壁紙5を施工する状態を表す図である。図7(a)に示すように、小ベラ2の側部22aに切り欠き溝23が形成されているので、地ベラ1のヘラ板12の側部12dを係入させることができる。これにより、地ベラ1のヘラ板12の角端部12eで下地材3の角隅部3a付近に施工される壁紙5を押さえると同時に、小ベラ2のヘラ板22の角端部22bでも、当該入隅部3a付近に施工される壁紙5を押さえることが可能となる。
このため、上記構成によれば、部屋の下地材3の壁際の角隅部3a付近であっても、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の両側の入隅部に施工される壁紙5を同時に押さえることが可能となる。
一方、図7(b)のように、切り欠き溝23が形成されていない場合、地ベラ1のヘラ板12の角端部12eで下地材3の入隅部3a付近の壁紙5を押さえると、地ベラ1の側部12dが障害となって小ベラ2のヘラ板22で、同時に当該入隅部3a付近の壁紙5を押さえることができない。
【0055】
小ベラ2のヘラ板22の材質は特に限定されず、上記地ベラ1のヘラ板12と同様のものを用いることができる。
【0056】
図8に、本実施形態の小ベラ2のヘラ板22の寸法を示す。ヘラ板22の上端部22dの長さL221は、上記小ベラの把握部下部21aの長さL213と、同一であることが好ましい。具体的には、L221は、50〜200mmであることが好ましい。80〜180mmがより好ましく、100〜150mmがさらに好ましい。
上記長さL221が余りに長いと、取り回し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL121が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0057】
小ベラ2のヘラ板22の下部22cの長さL222は、小ベラ2のヘラ板22の下部22cの両端部22b,22bの距離である。上記L222は、60〜210mmであることが好ましい。90〜200mmがより好ましく、110〜160mmがさらに好ましい。
上記長さL222が余りに長いと、取り回し難くなり、施工作業が困難になるおそれがある。また、上記長さL222が余りに短いと、一度に押さえることが可能な壁紙の長さが短くなるため、押さえる回数が増加し、施工作業が煩雑になるおそれがある。
【0058】
小ベラ2のヘラ板22の高さL223は、ヘラ板22の上端部22dと、下端部22cとの距離である。上記高さL223は、10〜100mmであることが好ましい。25〜80mmがより好ましく、40〜60mmがさらに好ましい。
上記高さL223が余りに高いと、ヘラ板22の強度を低下させるおそれがある。また、上記高さL223が余りに低いと、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の入隅部に届かず、壁紙を押さえることができないおそれがある。
【0059】
小ベラのヘラ板22の厚みは、壁紙5を施工することができれば特に限定されないが、0.4〜1mmが好ましく、0.4〜0.5mmがより好ましい。
上記小ベラのヘラ板22の厚みが厚すぎると、図2の入隅部4bに施工される壁紙5bを押さえ難くなるおそれがある。薄すぎると、小ベラのヘラ板22の強度が弱くなり、壁紙5を押さえると小ベラのヘラ板22が曲がったり、折れたりするおそれがある。
【0060】
切り欠き溝23の高さL231は、1〜10mmであることが好ましい。2〜7mmがより好ましく、2〜4mmがさらに好ましい。
上記高さL231が余りに高いと、小ベラ2のヘラ板22の強度を低下させるおそれがある。また、上記高さL231が余りに低いと、地ベラ1のヘラ板12の側部12dを係入し難くなるおそれがある。
【0061】
図8に示される切り欠き溝23の幅L232は、図5に示される地ベラ1のヘラ板12の側部12dの幅L124より長いことが好ましい。ここで、上記幅L124は、図5に示すように、挿通口13の下端部13bの端部13cから、ヘラ板12の下端部12bへ引いた垂線が12bと交わる点を12fとした場合に、上記12fと、12bの端部12cとの距離で表される。
上記幅L124は、具体的には、15〜50mmがより好ましく、25〜40mmがさらに好ましい。
上記幅L232が余りに広いと、小ベラ2のヘラ板12の強度を低下させるおそれがある。また、上記幅L232が余りに狭いと、地ベラ1のヘラ板12の側部12dへ十分に係入することができず、部屋の下地材3の壁際の角隅部3a付近において、目透かし部や目地部等の溝状の箇所の両側の入隅部に施工される壁紙5を同時に押さえることができないおそれがある。
【0062】
切り欠き溝23の下端部23aと、小ベラ2のヘラ板22の下部22cとの距離L224は、切り欠き溝23の高さL231や、幅L232に応じて適宜設定されるが、3〜25mmであることが好ましい。4〜15mmがより好ましく、5〜10mmがさらに好ましい。
【0063】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変更・変形が可能である。
【0064】
例えば、上記の実施形態では、小ベラ2の切り欠き溝23が、ヘラ板22の片側の側部にのみ設けられている例を示したが、これに限らず、図9に示すように、両側に設けられている構成としてもよい。このような構成とすることで、小ベラ2を180度反転させずとも地ベラ1の両側の側部12dに切り欠き溝23を係入させることができる。
【0065】
また、上記の実施形態では、小ベラ2のヘラ板22の形状が、図8のように平面視台形状である例を示したが、これに限らず、図10(a)に示すように、ヘラ板22の下部22cが、一方の側方に突出した形状であってもよい。このような構成のヘラ板22を地ベラ1の挿通口13に挿入することで、小ベラ2のヘラ板22の強度を損なわずに、部屋の角隅部3a付近の溝状の箇所の、両側の入隅部に施工される壁紙5を同時に押さえることが可能となる。
また、図10(b)に示すように、ヘラ板22の下部22cが、左右両側の側方に突出した形状とすることもでき、図11に示すように、ヘラ板22の下部22cが、一方の側方に突出し、他方に切り欠き溝23を設けた形状とすることも可能である。
【0066】
また、上記の実施形態では、図6(a)のように、小ベラ2の把握部21の上部21bが細長い板状に形成されており、下部21aが横長の板状に形成されている例を示したが、図12に示すように、上部21bと下部21aとの幅が同一であり、小ベラのヘラ板22の上端部22dから、下端部22cに向かって幅が広がるように形成されていてもよい。上記構成とすることで、ヘラ板22に比して厚みが厚い把握部21の幅を狭くすることができ、小ベラ2の取り回しが容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の地ベラ及び地ベラセットは、住宅やビル、マンション等の建築物の壁面の施工に使用される。
【符号の説明】
【0068】
1…地ベラ、11…把握部、11a…把握部下部、11b…把握部上部、11c…引っ掛け穴、11d…溝、11e…把握部上部の頂点、11f…把握部上部の付根、11g…把握部下部の裾の両端部、12…地ベラのヘラ板、12d…地ベラのヘラ板の側部、13…挿通口、13a…挿通口の上端部、13b…挿通口の下端部、13c…挿通口の下端部の両端部、14…留め具、2…小ベラ、21…小ベラの把握部、21a…小ベラの把握部下部、21b…小ベラの把握部上部、21e…小ベラの把握部上部の頂点、21f…小ベラの把握部上部の頂点付根、21g…小ベラの把握部下部の裾の両端部、22…小ベラのヘラ板、22a…小ベラのヘラ板の側部、22b…小ベラのヘラ板の角端部、22c…小ベラのヘラ板の下端部、22d…小ベラのヘラ板の上端部、23…切り欠き部、3…下地、4…目地部、4a…目地部の一方の入隅部、4b…目地部の他方の入隅部、5…壁紙、5a…目地部の一方の入隅部を覆う壁紙、5b…目地部の他方の入隅部を覆う壁紙、T21…小ベラの把握部の厚み、101…従来の地ベラ、102…従来の地ベラのヘラ板、103…壁紙、103a…目地部の一方の入隅部を覆う壁紙、103b…目地部の他方の入隅部を覆う壁紙、104…目地部、104a…目地部の一方の入隅部、104b…目地部の他方の入隅部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把握部、及び、ヘラ板を備える地ベラであって、
前記ヘラ板に、小ベラのヘラ板を挿通可能な挿通口が設けられてなる
ことを特徴とする地ベラ。
【請求項2】
前記挿通口は、ヘラ板の長手方向に、矩形状に設けられてなる請求項1に記載の地ベラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の地ベラと、小ベラとを有し、
前記小ベラは、前記地ベラの挿通口に挿通可能なヘラ板を備える
ことを特徴とする地ベラセット。
【請求項4】
前記小ベラのヘラ板の側部に、前記地ベラのヘラ板の側部を係入させる切り欠き溝が形成されてなる請求項3に記載の地ベラセット。
【請求項5】
前記小ベラのヘラ板は、上端部から下端部に向かって幅が広がるように形成されてなる請求項3に記載の地ベラセット。
【請求項6】
小ベラの把握部の厚みが、前記挿通口の高さより厚いことを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の地ベラセット。
【請求項1】
把握部、及び、ヘラ板を備える地ベラであって、
前記ヘラ板に、小ベラのヘラ板を挿通可能な挿通口が設けられてなる
ことを特徴とする地ベラ。
【請求項2】
前記挿通口は、ヘラ板の長手方向に、矩形状に設けられてなる請求項1に記載の地ベラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の地ベラと、小ベラとを有し、
前記小ベラは、前記地ベラの挿通口に挿通可能なヘラ板を備える
ことを特徴とする地ベラセット。
【請求項4】
前記小ベラのヘラ板の側部に、前記地ベラのヘラ板の側部を係入させる切り欠き溝が形成されてなる請求項3に記載の地ベラセット。
【請求項5】
前記小ベラのヘラ板は、上端部から下端部に向かって幅が広がるように形成されてなる請求項3に記載の地ベラセット。
【請求項6】
小ベラの把握部の厚みが、前記挿通口の高さより厚いことを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の地ベラセット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−237120(P2012−237120A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106032(P2011−106032)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000222495)東リ株式会社 (94)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000222495)東リ株式会社 (94)
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