説明

地下空間拡幅装置及び地下空間拡幅方法

【課題】地下空間に所定の大きさの拡幅部を容易かつ確実に非開削にて形成可能とする地下空間拡幅装置を提供する。
【解決手段】カッター掘削部28は、スライドフレーム26とともに立坑14の側方に直進して拡幅部18の全断面を掘進可能にされるとともに、直進終了位置で中央部にわたる回転シャフト42を中心にスライドフレーム26に対して回転可能とされて半円形断面掘削可能とされ、カッター掘削部28の背面側には、背面側を覆ってカッター掘削部28と一体に取り付けられ、カッター掘削部28による半円形断面掘削時にカッター掘削部28と一体に回転して覆工を形成する覆工体30が設けられると共に、カッター掘削部28の背面には、直進掘削時のチャンバを形成する第1の隔壁46が設けられ、スライドフレーム26には、スライド方向後端部に半円形断面掘削時のチャンバを形成する第2の隔壁32が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下空間の側壁に側方に突出する拡幅部を形成する地下空間拡幅装置及び地下空間拡幅方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トンネル掘削機は、円筒形状をなす掘削機本体の前部に駆動回転可能な円盤形状をなすカッタヘッドが装着される一方、後部に掘削機本体を推進する推進ジャッキが装着されると共に、既設トンネルの内壁面にセグメントを組み付けるエレクタ装置が装着されて構成されている。
【0003】
したがって、カッタヘッドを回転しながら推進ジャッキを伸長すると、既設セグメントから掘削反力を得て掘削機本体が前進し、カッタヘッドが前方の地盤を掘削すると共に、エレクタ装置がセグメントをリング状に組み立ててトンネルを形成することができる。
【0004】
このようなトンネル掘削機を用いてトンネルを構築する場合、地下空間として利用される発進立坑と到達立坑を予め掘削しておき、発進立坑内にトンネル掘削機を搬入し、この発進立坑内で掘削反力を確保した状態で、発進口から地山に貫入して所定のルートに沿って掘削を行う。
【0005】
そして、トンネル掘削機が到達立坑まで掘進すると、予め形成された到達口より掘削機本体を到達立坑内に引き入れることで、発進立坑から到達立坑までの位置にトンネルを構築することができる。
【0006】
このような立坑の掘削方法として、例えば、特許文献1に示されるようなものがある。
【特許文献1】特開平11−61862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような立坑は、一般に、既存の道路を開削して形成するもので、幅の狭い道路の場合、トンネル掘削機を搬入するのに必要な面積の立坑を掘削することができない場合があり、この場合、幅の狭い道路に隣接した空き地などを確保して所定の大きさの立坑を掘削する必要があり、大きな作業スペースを必要とすると共に、立坑掘削工事が大がかりなものとなり、工事コストが増大してしまうという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、地下空間に所定の大きさの拡幅部を容易かつ確実に非開削にて形成可能として掘削工事の作業スペース及び作業コストの削減を図ることのできる地下空間拡幅装置及び地下空間拡幅方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明の地下空間拡幅装置は、地下空間の側壁に側方に突出する拡幅部を形成する地下空間拡幅装置であって、
前記拡幅部形成位置の地下空間内に拡幅方向にスライド可能に配設されるボックス状のスライドフレームと、
前記スライドフレームのスライド方向前端部に支持されたカッター掘削部とを有し、
前記カッター掘削部は、前記スライドフレームとともに前記地下空間の側方に直進して前記拡幅部の全断面を掘進可能にされるとともに、前記直進終了位置で中央部にわたる回転シャフトを中心に前記スライドフレームに対して回転可能とされて半円形断面掘削可能とされ、
前記カッター掘削部の背面側には、前記背面側を覆ってカッター掘削部と一体に取り付けられ、前記カッター掘削部による半円形断面掘削時に前記カッター掘削部と一体に回転して覆工を形成する覆工体が設けられると共に、前記カッター掘削部の背面には、直進掘削時のチャンバを形成する第1の隔壁が設けられ、
前記スライドフレームには、スライド方向後端部に半円形断面掘削時のチャンバを形成する第2の隔壁が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、スライドフレームのスライド方向前端部に支持されたカッター掘削部をスライドフレームとともに前記地下空間の側方に直進して、拡幅部の全断面を掘進することにより、直進部の掘削が簡単な構造で、しかも、直進部の押出し長に制限が加わることなく比較的長い直進部を容易に構築することができる。
【0011】
この場合、カッター掘削部の背面に設けた第1の隔壁にてチャンバを形成することにより、直進掘削時に十分に土水圧に対抗した掘進を容易、確実に行うことができる。
【0012】
また、直進終了位置で中央部にわたる回転シャフトを中心にカッター掘削部をスライドフレームに対して回転させて半円形断面掘削を行うことにより、カッター掘削部により円滑に全断面を掘削することができる。
【0013】
この場合、スライドフレームのスライド方向後端部に半円形断面掘削時のチャンバを形成する第2の隔壁が設けられることで、十分に土水圧に対抗した掘進を容易、確実に行うことができる。
【0014】
また、回転掘削時には、覆工体がカッター掘削部と一体に回転して、回転掘削完了時に同時に覆工を完成させることができる。
【0015】
本発明においては、前記覆工体は、略半円筒状とすることができる。
【0016】
このような構成とすることにより、掘削した半円形断面に適合した覆工を確実に形成することができる。
【0017】
本発明においては、前記カッター掘削部は、半円形断面掘削終了後に前記覆工体を残して取外し可能とすることができる。
【0018】
このような構成とすることにより、半円形断面掘削後にカッター掘削部を取外して他の掘削箇所に転用することができ、装置のコスト削減を図ることができる。
【0019】
本発明においては、前記カッター掘削部は、前記回転シャフト両側部を前記スライドフレームに設けた側部支持部材にて支持されるとともに、前記側部支持部材から前記回転シャフトに半円形断面掘削時の回転駆動力が伝達されるようにすることができる。
【0020】
このような構成とすることにより、複雑な構造を要することなく、側部支持部材から回転シャフトに対して確実に回転力を伝達することができる。
【0021】
本発明においては、前記カッター掘削部は、前記回転シャフト両側部を前記スライドフレームに設けた側部支持部材にて支持されるとともに、前記カッター掘削部による半円形断面掘削時には、前記側部支持部材から前記回転シャフトへと送泥管が接続されるようにすることができる。
【0022】
このような構成とすることにより、側部支持部材から回転シャフトへと接続した送泥管によりカッター掘削部の回転時にも確実にカッター掘削部の前面に泥水を供給することで、切羽安定保持を可能としている。
【0023】
本発明の地下空間拡幅方法は、地下空間より拡幅部を掘削形成する地下空間拡幅方法であって、
前記拡幅部形成位置の地下空間内に拡幅方向にスライド可能に配設されたボックス状のスライドフレームを元押し手段にて拡幅方向にスライドさせながら前記スライドフレームのスライド方向前端部に支持されたカッター掘削部にて前記地下空間の側方に直進して前記拡幅部の全断面を掘進する工程と、
前記直進終了位置で前記カッター掘削部の中央部にわたる回転シャフトを中心に前記スライドフレームに対して前記カッター掘削部を回転させて半円形断面掘削を行う工程と、
前記カッター掘削部の背面側に前記背面側を覆ってカッター掘削部と一体に取り付けられた覆工体を、前記カッター掘削部による半円形断面掘削時に前記カッター掘削部と一体に回転させて覆工を形成する工程と、
を含み、
前記直進掘削時には、前記カッター掘削部の背面に設けた第1の隔壁にてチャンバを形成すると共に、前記半円形断面掘削時には、スライドフレームのスライド方向後端部に設けられた第2の隔壁にてチャンバを形成することを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、スライドフレームを元押し手段にて拡幅方向にスライドさせながらスライドフレームのスライド方向前端部に支持されたカッター掘削部にて地下空間の側方に直進して拡幅部の全断面を掘進することにより、直進部の掘削が簡単な構造で、しかも、直進部の押出し長に制限が加わることなく比較的長い直進部を容易に構築することができる。
【0025】
直進終了位置で前記カッター掘削部の中央部にわたる回転シャフト両側部を前記スライドフレームに設けた側部支持部材にて支持し、前記側部支持部材から前記回転シャフトに半円形断面掘削時の回転駆動力を伝達して前記回転シャフトを中心に前記スライドフレームに対して前記カッター掘削部を回転させて半円形断面掘削を行うことで、回転掘削時の精度を確保することができ、カッター掘削部により円滑に全断面を掘削することができる。
【0026】
この場合、カッター掘削部の背面側に前記背面側を覆ってカッター掘削部と一体に取り付けられた覆工体を、カッター掘削部による半円形断面掘削時にカッター掘削部と一体に回転させて掘削完了時に同時に覆工を形成することができる。
【0027】
また、直進掘削時には、カッター掘削部背面に設けた第1の隔壁にてチャンバを形成し、半円形断面掘削時には、スライドフレームのスライド方向後端部に設けられた第2の隔壁にてチャンバを形成することで、直進及び回転掘削時においても、確実に土水圧に対抗した掘削を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1〜図5は、本発明の一実施の形態にかかる地下空間拡幅装置を用いた地下空間の拡幅状態を示す図である。
【0030】
この実施の形態では、図5に示すように、道路10などの限られた広さの地表面より、用地境界12ぎりぎりに大深度の立坑14を掘削し、この立坑14の下部の側壁16を掘削して拡幅部18を形成することで、シールド掘進機の発進領域を確保し、この立坑14の下部の発進領域にてシールド掘進機を組み立て、そこからシールド掘進機を発進して大深度領域にトンネルを構築可能にしている。
【0031】
拡幅部18は、地下空間拡幅装置を用いて、側壁16から突出する直進掘削部20と、この直進掘削部20の先端に位置する半円形断面掘削部22とから形成されている。
【0032】
地下空間掘削装置24は、図1〜図4に示すように、スライドフレーム26と、カッター掘削部28と、覆工体30とを有している。
【0033】
スライドフレーム26は、直進掘削部20の形成時に直進掘削部20の覆工となるもので、前端部が開放されたボックス状のものとされ、拡幅部18形成位置の地下空間内に拡幅方向にスライド可能に配設されるようになっている。
【0034】
スライドフレーム26のスライド方向後端部には、カッター掘削部28の半円形断面掘削時のチャンバ62(図2、図3参照)を形成する第2の隔壁32が設けられている。
【0035】
また、スライドフレーム26の両側部における高さ方向略中央位置に、カッター掘削部28の両側部を支持する側部支持部材34が設けられている。
【0036】
さらに、このスライドフレーム26は、元押し手段としての元押しジャッキ36により、側壁16に形成した開口部50より、地下空間の側方に直進して押し出し可能にされている。
【0037】
カッター掘削部28は、拡幅部18を掘削するためのもので、スライドフレーム26のスライド方向前端部に脱着可能に支持された状態となっている。
【0038】
このカッター掘削部28は、直進掘削部20の全断面に相応した面積を有する略方形状のもので、前面が開放したカッターフレーム38と、このカッターフレーム38の前面側に取り付けられた複数のカッター40とを有している。
【0039】
カッターフレーム38の背面、すなわちスライド方向後端部には、直進掘削部20の掘削時におけるチャンバ66(図2参照)を形成するための直進用の第1の隔壁46が設けられると共に、上下方向略中央位置には、回転シャフト42が一体に設けられ、この回転シャフト42の両端部がスライドフレーム26の側部支持部材34にそれぞれ回転可能に支持された状態となっている。
【0040】
また、側部支持部材34内に回転シャフト42を回転駆動するためのジャッキ等の回転駆動装置44が組み込まれ、半円形断面掘削部22の掘削時にはこの回転駆動装置44から回転シャフト42に回転力が伝達されるようになっている。
【0041】
カッター40は、カッターフレーム38の全面にわたって設けられ、直進掘削部20の全断面を掘削可能にされている。
【0042】
また、側部支持部材34の前方位置にはオーバーカッター48が設けられ、側部支持部材34の前進を容易にしている。
【0043】
覆工体30は、半円筒形状のものとされ、カッター掘削部28の背面側に、その背面側を覆ってカッター掘削部28と一体に設けられ、カッター掘削部28による半円形断面掘削部22の掘削時にはカッター掘削部28と一体に回転して掘削完了時には半円形断面掘削部22の覆工として完成するようになっている。
【0044】
さらに、カッター掘削部28による直進掘削部20の掘削時には、第2の隔壁32及び覆工体30を貫通して直進用の第1の隔壁46の上部まで直進掘削用の送泥管52が配設されると共に、直進用の第1の隔壁46の下部まで直進掘削用の排泥管54が配設され、切羽の泥水圧の制御や掘削土砂の排土を行うようになっている。
【0045】
また、カッター掘削部28による半円形断面掘削部22の掘削時には、スライドフレーム26の側部支持部材34をとおして回転シャフト42まで送泥管56が配設されて回転シャフト42からカッター掘削部28前方の切羽内に泥水を供給可能にされると共に、第2の隔壁32に排泥管58が接続されるようになっている。
【0046】
次に、このような地下空間拡幅装置24を用いた地下空間拡幅方法について図1〜図4を参照して説明する。
【0047】
まず、図1に示すように、予め形成した立坑14の下部に地下空間拡幅装置24を搬入して組み立て、スライドフレーム26の前端部を立坑14の側壁16に形成した開口部50に向けて設置する。
【0048】
また、第2の隔壁32及び覆工体30を貫通して直進用の第1の隔壁46の上部まで直進掘削用の送泥管52を配設すると共に、直進用の第1の隔壁46の下部まで直進掘削用の排泥管54を配設する。
【0049】
さらに、スライドフレーム26の後端部と、開口部50と反対側の側壁16内面との間に元押しジャッキ36を周方向に所定間隔で複数設置する。
【0050】
この状態で、元押しジャッキ36を駆動してスライドフレーム26及びカッター掘削部28を、図2に示すように、拡幅方向Aにスライドさせながら、カッター掘削部28のカッター40にて地下空間の側方に直進して拡幅部18の直進掘削部20の全断面を掘進する。
【0051】
この場合、送泥管52により泥水が直進用の第1の隔壁46より前方のチャンバ66に供給されると共に、チャンバ66内の掘削土砂は直進用の第1の隔壁46に接続された排泥管54によって外部に排出されつつ、十分に土水圧に対抗した掘削が行われることとなる。
【0052】
また、側部支持部材34の前方は、オーバーカッター48によって掘削が行われるため、側部支持部材34の突出にかかわらず掘進が容易に行われることとなる。
【0053】
さらに、直進掘削部20の掘削時には、スライドフレーム26が順次直進掘削部20の覆工を形成することとなり、直進掘削終了時には直進掘削部20の覆工も完成している状態となる。
【0054】
また、元押しジャッキ36による元押し時には、その距離に応じて逐次ストラッド60を追加していくようにしている。
【0055】
したがって、直進掘削部20の押出し長に構造的な制約がなく、比較的長い直進掘削部20を構築することができる。
【0056】
次に、直進掘削終了後、図3に示すように、覆工体30に接続されている送泥管52及び排泥管54を取り外し、送泥管56をスライドフレーム26の側部支持部材34をとおして回転シャフト42まで配設すると共に、排泥管58を第2の隔壁32に接続する。
【0057】
次いで、直進終了位置で、側部支持部材34に設けた回転駆動装置44から回転シャフト42に回転駆動力を伝達して、回転シャフト42を中心にスライドフレーム26に対してカッター掘削部28を回転させて半円形断面掘削部22の回転掘削を行う。
【0058】
この場合、側部支持部材34に設けた回転駆動装置44にて回転シャフト42の回転力を容易に得ることができる。
【0059】
さらに、側部支持部材34をとおして回転シャフト42まで配設した送泥管56により回転シャフト42をとおして回転時にもカッター40の前面に確実に泥水を供給することができ、しかも、第2の隔壁32に接続した排泥管58により第2の隔壁32の前方に形成されるチャンバ62内の掘削土砂を排出することができ、回転掘削時にも確実に土水圧に対抗した掘削を行うことができることとなる。
【0060】
また、カッター掘削部28の回転掘削時には、このカッター掘削部28と一体に設けられた覆工体30が一体に回転して覆工を形成することとなり、回転掘削完了時には、図4に示すように、覆工も同時に完了した状態とすることができる。
【0061】
そして、半円形断面掘削部22の掘削完了時には、図4に示すように、カッター掘削部28が直進掘削時の状態から反転した状態となり、この状態で覆工体30を残してカッター掘削部28を容易に取り外すことができ、取り外したカッター掘削部28を別の箇所に転用することが可能となり、効率的であり、工費も抑えることが可能となる。
【0062】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
【0063】
例えば、前記実施の形態では、スライドフレームをボックス状、カッター掘削部を方形状、覆工体を半円形筒状として、ボックス状の直進掘削部及び半円筒状の半円形断面掘削部からなる拡幅部を形成する場合について説明したが、この例に限らず、スライドフレームを円筒状、カッター掘削部を円形状、覆工体を半球状として、円筒状の直進掘削部及び半球状断面掘削部からなる拡幅部を形成することも可能である。
【0064】
また、前記実施の形態では、立坑の下部にシールド掘進機の発進領域を形成する場合について説明したが、この例に限らず、例えば、地下空間拡幅装置を横型に用いて既存地下構造物の壁からエレベータ新設用の接続基部の構築や、立坑の所定の深度位置から連続して下方に拡幅して雨水地下貯留施設、ロータリー式地下駐車場、既存地下施設の拡大などの用途に用いることも可能である。
【0065】
さらに、前記実施の形態では、方形状のカッター掘削部により半円形断面掘削部の掘削を行い、その半円形断面掘削部の内面を半円筒状の覆工体で覆うようにしているが、この例に限らず、覆工体の形状は、半円形断面掘削部内におさまる形状であれば、台形や楕円形その他種々の形状のものとすることができる。
【0066】
この場合、半円形断面掘削部の内面と覆工体との間に生じた隙間に適宜充填材を充填しておけば良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる地下空間拡幅装置を立坑下部に設置した状態を示すもので、(A)はその横断面図、(B)はその縦断面図である。
【図2】図1の状態から地下空間拡幅装置により直進掘削部を形成する状態を示すもので、(A)はその横断面図、(B)はその縦断面図である。
【図3】図2の状態から地下空間拡幅装置により半円形断面掘削部を形成する状態を示すもので、(A)はその横断面図、(B)はその縦断面図である。
【図4】図3の状態から地下空間拡幅装置により拡幅部の形成を完了した状態を示すもので、(A)はその横断面図、(B)はその縦断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態にかかる地下空間拡幅装置を用いて立坑下部に拡幅部を形成した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0068】
14 立坑
16 側壁
18 拡幅部
20 直進掘削部
22 半円形断面掘削部
24 地下空間拡幅装置
26 スライドフレーム
28 カッター掘削部
30 覆工体
32 第2の隔壁
34 側部支持部材
36 元押しジャッキ
38 カッターフレーム
42 回転シャフト
44 回転駆動装置
46 第1の隔壁
52、56 送泥管
54、58 排泥管
62、66 チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下空間の側壁に側方に突出する拡幅部を形成する地下空間拡幅装置であって、
前記拡幅部形成位置の地下空間内に拡幅方向にスライド可能に配設されるボックス状のスライドフレームと、
前記スライドフレームのスライド方向前端部に支持されたカッター掘削部とを有し、
前記カッター掘削部は、前記スライドフレームとともに前記地下空間の側方に直進して前記拡幅部の全断面を掘進可能にされるとともに、前記直進終了位置で中央部にわたる回転シャフトを中心に前記スライドフレームに対して回転可能とされて半円形断面掘削可能とされ、
前記カッター掘削部の背面側には、前記背面側を覆ってカッター掘削部と一体に取り付けられ、前記カッター掘削部による半円形断面掘削時に前記カッター掘削部と一体に回転して覆工を形成する覆工体が設けられると共に、前記カッター掘削部の背面には、直進掘削時のチャンバを形成する第1の隔壁が設けられ、
前記スライドフレームには、スライド方向後端部に半円形断面掘削時のチャンバを形成する第2の隔壁が設けられていることを特徴とする地下空間拡幅装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記覆工体は、略半円筒状とされていることを特徴とする地下空間拡幅装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記カッター掘削部は、半円形断面掘削終了後に前記覆工体を残して取外し可能にされていることを特徴とする地下空間拡幅装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記カッター掘削部は、前記回転シャフト両側部を前記スライドフレームに設けた側部支持部材にて支持されるとともに、前記側部支持部材から前記回転シャフトに半円形断面掘削時の回転駆動力が伝達されることを特徴とする地下空間拡幅装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記カッター掘削部は、前記回転シャフト両側部を前記スライドフレームに設けた側部支持部材にて支持されるとともに、前記カッター掘削部による半円形断面掘削時には、前記側部支持部材から前記回転シャフトへと送泥管が接続されることを特徴とする地下空間拡幅装置。
【請求項6】
地下空間より拡幅部を掘削形成する地下空間拡幅方法であって、
前記拡幅部形成位置の地下空間内に拡幅方向にスライド可能に配設されたボックス状のスライドフレームを元押し手段にて拡幅方向にスライドさせながら前記スライドフレームのスライド方向前端部に支持されたカッター掘削部にて前記地下空間の側方に直進して前記拡幅部の全断面を掘進する工程と、
前記直進終了位置で前記カッター掘削部の中央部にわたる回転シャフトを中心に前記スライドフレームに対して前記カッター掘削部を回転させて半円形断面掘削を行う工程と、
前記カッター掘削部の背面側に前記背面側を覆ってカッター掘削部と一体に取り付けられた覆工体を、前記カッター掘削部による半円形断面掘削時に前記カッター掘削部と一体に回転させて覆工を形成する工程と、
を含み、
前記直進掘削時には、前記カッター掘削部の背面に設けた第1の隔壁にてチャンバを形成すると共に、前記半円形断面掘削時には、スライドフレームのスライド方向後端部に設けられた第2の隔壁にてチャンバを形成することを特徴とする地下空間拡幅方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−231649(P2007−231649A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55856(P2006−55856)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)