説明

地下茎作物の収穫機

【課題】フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物を引き抜き搬送コンベアにより挟持して引き抜くとともに搬送する収穫機において、フイルムシートが搬送コンベア部に巻き付く不具合を解消する。
【解決手段】引抜き搬送コンベア挟持始端部6d左右にフイルムシート押さえローラー30aを略左右対称に配設して、左右それぞれ前後に複数の押さえローラー30aを備え、少なくとも隣り合う前後一組の押さえローラー30aは、引抜き搬送コンベアフレーム6e側に固着されたフレーム側回動軸30cを中心に上下に回動する一つの上下回動アーム30bの回動端側に回転自在に設けられている地下茎作物の収穫機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物や根菜類の茎葉部を挟持し引抜いて収穫する引抜き搬送コンベアを設けた収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の引抜き搬送コンベアを備えた地下茎作物等の収穫機の従来技術として特開平9−233925号公報(従来技術1)の「根菜収穫機」が開示されている。これには、「挟持搬送装置(11)の前端部近傍に、圃場に被覆されたフイルムシート(S)の栽培孔列の横側脇上に作用して、フイルムシート(S)が浮上して挟持搬送装置(11)の始端部に巻込まれるのを阻止するシート巻込み防止ガイド(30)を配備してある」根菜収穫機の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−233925号公報(従来技術1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フイルムシートで被服された圃場に複数条に植えられた地下茎作物等の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部を設けた収穫機において収穫作業を行う場合、フイルムシートに開けられた孔から伸びた茎葉部を挟持して抜き上げる時に球根部が孔と干渉しフイルムシートが持ち上げられ、引き抜き搬送コンベア部に引き込まれ巻き付く等の不具合が発生する場合があった。このため、従来技術1のように引き抜き搬送コンベアの挟持始端側方にフイルムシートの押さえ部材等が設けてある。しかし、植え付け圃場面の凸凹や収穫機の走行箇所の凸凹により作業中に押さえ部が追従しきれなくなり、フイルムシートが持ち上げられ引き抜き搬送コンベア部に引き込まれて巻き付く等の不具合が発生していた。
【0005】
このため本考案の目的は、フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物を引き抜き搬送コンベアにより挟持して引き抜くとともに搬送する収穫機において、フイルムシートが搬送コンベア部に巻き付く不具合の解消を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物の収穫装置において、収穫装置は、前方から後方に亘って後上がりに斜設された左右一対のベルトコンベアにより収穫作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、該引抜き搬送コンベア挟持始端部左右に設けたフイルムシート押さえローラーを備え、該フイルムシート押さえローラーは、引抜き搬送コンベア挟持中心部左右に略左右対称に配設され、左右それぞれ前後に複数の押さえローラーを備え、少なくとも隣り合う前後一組の押さえローラーは、引抜き搬送コンベアのフレーム側に固着された水平方向のフレーム側回動軸を中心に上下に回動する一つの上下回動アームの回動端側に回転自在に設けられていることを特徴とする地下茎作物の収穫機を提案する。
【0007】
また、フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物の収穫装置において、収穫装置は、前方から後方に亘って後上がりに斜設された左右一対のベルトコンベアにより収穫作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、該引抜き搬送コンベア挟持始端部左右に設けたフイルムシート押さえローラーを備え、該フイルムシート押さえローラーは、引抜き搬送コンベア挟持中心部左右に略左右対称に配設され、左右それぞれ前後に複数の押さえローラーを備え、少なくとも隣り合う前後一組の押さえローラーは、前方側押さえローラーが引抜き搬送コンベアのフレーム側に固着された水平方向のフレーム側回動軸を中心に上下に回動する上下回動アームに回転自在に設けられ、後方側押さえローラーは前方側押さえローラー側に設けた水平方向のローラー側回動軸を中心に上下に回動するローラー側上下回動アームに回転自在に設けられていることを特徴とする地下茎作物の収穫機を提案する。
【0008】
さらに、フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物の収穫装置において、収穫装置は、前方から後方に亘って後上がりに斜設された左右一対のベルトコンベアにより収穫作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、該引抜き搬送コンベア挟持始端部左右に設けたフイルムシート押さえローラーを備え、該フイルムシート押さえローラーは、引抜き搬送コンベア挟持中心部左右に略左右対称に配設され、引抜き搬送コンベア挟持始端部近傍に位置する第1押さえローラーと引抜き搬送コンベア挟持始端部より後方箇所に位置する第2押さえローラーと、第2押さえローラーの後方に位置する第3押さえローラーを有し、第1押さえローラーと第2押さえローラーは引抜き搬送コンベアのフレーム側に固着された水平方向のフレーム側回動軸を中心に上下に回動する上下回動アームに回転自在に設けられ、第3押さえローラーは第2押さえローラー側に設けた水平方向のローラー側回動軸を中心に上下に回動するローラー側上下回動アームに回転自在に設けられていることを特徴とする地下茎作物の収穫機を提案する。
【0009】
さらにまた、引抜き搬送コンベア挟持中心左右に位置する押さえローラーの左右方向の配置幅は、引抜き搬送コンベア挟持始端部近傍に位置する押さえローラーの左右配置幅よりその後方に位置する押さえローラーの左右配置幅が狭いことを特徴とする0006乃至0008欄のいずれかに記載の地下茎作物の収穫機を提案する。
【発明の効果】
【0010】
この考案によれば、隣り合う前後一組の押さえローラーは、引抜き搬送コンベアのフレーム側に固着された水平方向の回動軸を中心に上下に回動する一つの上下回動アームの回動端側に回転自在に設けられていることで、回動端側の二つの押さえローラーにより圃場の面の凸凹に確実に追従するとともに、収穫機の走行箇所の凸凹により引抜き搬送コンベア挟持始端部が上下動しても柔軟に追従してフイルムシートを押さえ、引抜き搬送コンベア部への巻き込みが防止される。また、引抜き搬送コンベア挟持始端部左右に配置されていることで、作物の引抜き時に根部がフイルムシートに引っかかっても確実に四方を押さえてフイルムシートが持ち上げられることを防止する。さらに、一つの上下回動アームに一組の押さえローラーが設けられた構成により狭いスペースにコンパクトに設置可能であり構造が簡単でコスト高にならず安価に構成ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施した地下茎作物収穫機の側面図
【図2】本発明を実施した地下茎作物収穫機の平面図
【図3】本発明を実施した地下茎作物収穫機の後面図
【図4】地下茎作物の収穫状況を示した収穫機の側面図
【図5】フイルムシートの押さえローラー部の要部側面図
【図6】フイルムシートの押さえローラー部の要部平面断面図
【図7】本発明の別実施例の押さえローラー部の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明を実施した地下茎作物収穫機の側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく後面図、図4は地下茎作物の収穫状況を示した収穫機の側面図、図5はフイルムシートの押さえローラー部の要部側面図、図6はフイルムシートの押さえローラー部の要部平面断面図、図7は本発明の別実施例の押さえローラー部の説明図を示したものである。
【0013】
この発明の一つの実施形態である地下茎作物の収穫機は、自走可能な車体1と、操縦席2と、操作装置3と、地下茎作物の収穫装置4と、作業者の乗車部5を設けている。自走可能な車体1は、クローラ装置1aにより自走し、操縦席2に座る操縦者の操縦によって走行する。操縦者は、操作装置3を操作して収穫装置4を走行させる。
【0014】
収穫装置4は、後上がりに斜設される引抜き搬送コンベア部6と、引抜き搬送コンベア部6の始端部近傍に設けられる根切刃7と、引抜き搬送コンベア部6に設けられ地下茎作物Cを搬送途中に地下茎作物Cの茎葉部Lと地下茎部Uとを切断分離する茎葉部切断部8と、茎葉部切断部8の下方に設けられる地下茎受け部9と、地下茎部Uを載置可能に移動させる球根移動体10a及び地下茎部Uから毛根部Rと茎Sを切断する毛根茎切断刃10bを有する毛根切断部10と、貯留コンテナを載置する載置板16を設ける。
【0015】
作業者の乗車部5は座席からなる。この実施例では走行方向と直交する方向に並んだ2つの座席からなり、毛根切断部10の球根移動体10aに隣接して走行方向を向いて設けられる。
【0016】
引抜き搬送コンベア部6は、左右一対の弾性エンドレスベルト6a、6aを前部上流側を下部、後部下流側を上部に位置させ斜めに配設され、左右それぞれの弾性エンドレスベルト6a、6aは後方上部に位置する駆動プーリ6bと、前方下部に位置する従動プーリ6c間に掛け渡され、対向面は互いに左右から対向して接し前部下方から後部上方に移動しエンドレス回転する。引抜き搬送コンベア部6の先端には、引抜き搬送コンベア挟持始端部6dに向け平面視ハの字状に前方を開放した形状の茎葉ガイド13を設けている。
【0017】
引抜き搬送コンベア部6の始端部近傍に根切刃7を設ける。根切刃7は、引抜き搬送コンベア部6のフレームに前後方向回動自在に軸支される根切りフレーム7aの先端に走行方向とは直交する方向に掛け渡されてなり正面視L字状となっていて、土中の地下茎作物Cの下方部を通過させ、前後に揺動させて地下茎周辺の土を膨軟化するとともに根の一部を切断する。
【0018】
引抜き搬送コンベア部6に設けられる茎葉部切断部8は、引抜き搬送コンベア部6の弾性エンドレスベルト6a下部に設けられる対向する2つの円形の回転カッター8a、8aからなり、互いに逆回転して、搬送されてくる地下茎作物Cを搬送途中に地下茎作物Cの茎葉部Lと地下茎部Uとに切断分離する。
【0019】
引抜き搬送コンベア部6の上端部で下流側端部となる位置にエンドレスチェーンコンベアからなる排葉体11を設ける。排葉体11は、エンドレスチェーンコンベアの上流側端部を引抜き搬送コンベア部6の下流側端部と隣接して設け、茎葉部切断部8で切断された茎葉部Lのみを引っ掛けて排葉体11の下流側端部に連設される排葉シュート12から排出する。
【0020】
引抜き搬送コンベア部6始端部より進行方向後方且つ茎葉部の挟持部より未収穫作物側に位置し、作物植付け畝Gを被覆してあるフイルムシートFを機体進行とともに進行方向に切断していくシートカッター20が引抜き搬送コンベア部6の引抜き搬送コンベアフレーム6e下方部に設けられている。
【0021】
シートカッター20は、進行方向と直交する水平方向のカッター回転軸により回転自在な外周を鋭利に形成された垂直方向の円板で構成されていて、本実施例においては駆動モータ20bにより機体前進速度より速い速度で前進側に強制回転駆動させて、先端外周を土中に貫入させフイルムシートFを切断していく。強制駆動させずに自転させることでも切断は可能である。フイルムシートFを切断していくことにより、収穫後の圃場からのフイルムシートFの回収を容易にする。
【0022】
地下茎受け部9は、この実施形態ではベルトコンベアからなり、走行方向とは直交する方向へ移動する。毛根切断部10の球根移動体10aは、ベルトコンベアからなる地下茎受け部9に隣接して平行である横長のフレームの略中央に設けられたチェーンコンベア101にチェーンコンベア101の進行方向に整列して多数のバケット102を取り付けてなる。
【0023】
茎葉部切断部8で切断されて地下茎受け部9に落下した地下茎部Uを作業者の乗車部5の作業者が各バケット102に一つずつ乗せていくことにより、毛根切断部10によって毛根部Rと余分な長さの茎Sが切断される。
【0024】
毛根切断部10の毛根茎切断刃10bは、チェーンコンベア101の下流側の左右に設けられる回転円形刃からなる毛根カッター106と茎カッター107からなる。各カッターはチェーンコンベア101の進行方向と直交する方向の回転軸により回転されていて、各バケット102に載置されて移動してくる地下茎部Uの毛根部Rと余分な長さの茎S部を切断する。
【0025】
貯留コンテナを毛根切断部10の球根移動体10aの最下流側の下方の載置板16上に載置しておくことにより、根部と茎部が切断された地下茎部を収納できる。また、貯留コンテナをベルトコンベアからなる地下茎受け部9の最下流側の下方の載置板16上に載置しておくことで、地下茎受け部9で移送される地下茎部を収納できる。載置板16は、走行方向の横方向外側半分が内側に折畳み可能となっていて、移動時には載置板16の幅を狭くすることが可能である。
【0026】
引抜き搬送コンベア部6前方端部の引抜き搬送コンベア挟持始端部6d左右部にはフイルムシート押さえ部30が設けられていて、引抜き搬送コンベア部6で挟持され上方に引抜かれた地下茎作物により持ち上げられようとするフイルムシートFを押さえ込む。
【0027】
フイルムシート押さえ部30は、引抜き搬送コンベア部6の引抜き搬送コンベア挟持始端部6d近傍左右両側にそれぞれ前後3個設けられた押さえローラー30aを備え、最前方の第1押さえローラー321とその後方の第2押さえローラー322は、それぞれ引抜き搬送コンベアフレーム6eに固着された水平方向のフレーム側回動軸30cを中心に上下に回動する上下回動アーム30bの回動端側に回転自在に設けられ、第2押さえローラー322後方に位置する第3押さえローラー323は第2押さえローラー322の上下回動アーム30bに設けた水平方向のローラー側回動軸30dを中心に上下に回動するローラー側上下回動アーム30eの回動端側に回転自在に設けられている。ローラー側上下回動アーム30eの回動端側から引抜き搬送コンベアフレーム6e側にチェーンが架け渡されていて、引抜き搬送コンベア部6の前方部を上昇させたときの第3押さえローラー323の下方への回動を規制する。
【0028】
押さえローラー30aが上下動することで引抜き搬送コンベアフレーム6eが上下した場合や畝Gの凹凸に対応追従しフイルムシートFを押さえ込む。第3押さえローラー323が第2押さえローラー322の上下回動アーム30bに設けた水平方向のローラー側回動軸30dを中心に上下に回動するローラー側上下回動アーム30eの回動端側に回転自在に設けられている構成により、第2押さえローラー322の上下回動アーム30bによる回動半径で追従する押さえローラー30a(第2押さえローラー)とさらにその半径より大きく回動する位置で追従する押さえローラー30a(第3押さえローラー)とで柔軟に上下変動に追従できるため押さえ込み性能が優れている。本例の第1押さえローラー30aは自重により下方に垂れ下がりフイルムシートFを押さえ付けているが、第2押さえローラー322のようにスプリング30gで下方に付勢した構造としても良い。
【0029】
図7は、フイルムシート押さえ部の別実施例を示したもので、(a)は後方の隣り合う前後一組の押さえローラー30a,30aは、前方側押さえローラー30aが引抜き搬送コンベアフレーム6e側に固着された水平方向のフレーム側回動軸30cを中心に上下に回動する上下回動アーム30bに回転自在に設けられ、後方側押さえローラー30aは前方側押さえローラー30aのローラー回転軸30fと同軸に設けた水平方向のローラー側回動軸30dを中心に上下に回動するローラー側回動アーム30eに回転自在に設けられている。
【0030】
(b)は、後方の隣り合う前後一組の押さえローラー30a,30aは、一つのローラー側回動アーム30eで連結されていて、そのローラー側回動アーム30eの中間部のローラー側回動軸30dと引抜き搬送コンベアフレーム6e側に固着された水平方向のフレーム側回動軸30cと回動自在に連結された上下回動アーム30bにより押さえローラー30a,30aはそれぞれ上下に回動する。
【0031】
図6はフイルムシート押さえ部30の平面視の状態を示したもので、引抜き搬送コンベア挟持始端部6d左右両側に前後3個設けられた押さえローラー30aは、本例においては最前方の押さえローラーが引抜き搬送コンベア挟持始端部6dと前後位置において略同位置に設けられているとともに、後方側の二つの押さえローラー30a,30aが左右方向において最前方側より引抜き搬送コンベア挟持中心側であるフイルムシート孔H側に位置して左右方向の配置幅が狭くなっている。これにより、地下茎作物が引抜かれた後のフイルムシート孔Hの近くを押さえて引抜かれる地下茎作物の左右と後方側を囲むように押さえることができるため、フイルムシートの持ち上げが確実に防止される。
【0032】
引抜き搬送コンベア部6の前方には、茎葉挟持高さ位置を安定させるためのゲージ輪31が設けてあり、畝G上面を転動しながら高さを安定させるとともに、フイルムシートFの浮き上がりをフイルムシート押さえ部30より離れた前方位置でさらに押さえる。ゲージ輪31はゲージ輪回動アーム31bの一端に回転自在に設けられていて、他端側は引抜き搬送コンベアフレーム6eに上下回動自在及び固定可能に設けられていて、上下位置を調整できる。また、操縦席2から目視可能である位置にあるため、ゲージ輪31の沈み込みや浮き上がりを容易に確認できる。
【0033】
次にこの考案の1つの実施形態である地下茎作物の収穫機の作動について説明する。操縦席2に座った操縦者の操縦によって走行可能な車体1はクローラ装置1aを駆動させ走行し、操縦者は操作装置3を操作して収穫装置4を作動させる。収穫物を車上で処理する作業者は、座席5に走行方向に向かって座る。この実施例では左右2つの座席5を設けており2人での作業が可能である。
【0034】
車体1を矢印A方向に走行させ収穫装置4を作動させ前端部のゲージ輪31を畝上面に位置させると、引抜き搬送コンベア部6の前部に設けられ土中に位置する根切刃7が前後に揺動しながら地下茎作物Cの地下茎部U近傍の土を膨軟化させるとともに毛根部Rの下方を切る。地下茎作物Cの茎葉部Lは茎葉ガイド13によってガイドされ、回転する引抜き搬送コンベア部6の左右一対の弾性エンドレスベルト6a、6aの対向面間に挟まれて引き抜かれ、挟まれたまま斜め上後方へ搬送される。この際、ゲージ輪31,フイルムシート押さえ部30によってフイルムシートFが確実に押さえられるため、引抜き搬送コンベア部6に引き上げられて巻き込まれることが無い。
【0035】
斜め上後方へ搬送される地下茎作物Cは、途中に設けられた互いに逆回転する茎葉部切断部8のカッター8a間に入り茎葉部Lと地下茎部Uに切断される。切断された地下茎部Uは、そのまま下に落下して地下茎受け部9であるベルトコンベア上に落ちる。地下茎部Uを切り離した茎葉部Lは、そのまま斜め上方へ搬送され、排葉体11であるエンドレス回転チェーン11に引っ掛かり、その下流側の排葉シュート12上に落下して圃場に排出される。
【0036】
地下茎受け部9に落下した地下茎部Uは、ベルトコンベアの移動によってゆっくり移動するため同じ場所に次々落ちてくる地下茎部Uが溜まることはない。ゆっくり移動する地下茎部Uは、乗車部である座席5に座る2人の作業者によって毛根切断部10のバケット102上に供給、載置される。
【0037】
それぞれの地下茎部Uは、チェーンコンベア101の移動により毛根切断刃10bに至ると、茎SとバルブBは、茎カッター107によって切断され、毛根部RとバルブBとの間は毛根カッター106によって切断される。茎Sと毛根部Rを切断されたバルブBは、バケット102に載ったまま搬送され下流側に置いた貯留コンテナに落下して貯留される。
【0038】
地下茎受け部9に落下した地下茎部Uのうちベルトコンベアの移動中に作業者に取られなかった地下茎部Uは、ベルトコンベアの下流側下方に置いた貯留コンテナに落下して貯留される。貯留コンテナに落下した未処理の地下茎部Uは、掘り上げ作業終了後、再度毛根処理部10のみを作動させて処理してもよく、また別の時期、別の場所という別工程で毛根等の除去の処理をすることができる。
【0039】
クローラ装置1aの未収穫側の側方に位置するシートカッター20により、収穫作業と同時に収穫された後のフイルムシートFを未収穫側から切断分離する。これにより、収穫した条のフイルムシートを車体走行部で必要以上に踏み潰さないように隣接する次の未収穫条を作業する前に取り除きながら作業が可能で、隣の条を収穫するときに引抜き搬送コンベアフレーム6eから延設され土中に位置する根切刃7を通過させる際に、フイルムシートが引っかかるのを防止でき効率よく作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この考案は、フイルムシートで被服された圃場の畝に植えられたニンニク等の地下茎作物を、走行車体により走行しつつ畑より抜き取り収穫する地下茎作物の収穫機に利用するとよい。走行可能な車体1は、操縦席2を設けていない歩行型の収穫機であっても本考案を利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 走行可能な車体
1a クローラ装置
2 操縦席
3 操作装置
4 収穫装置
5 作業者の乗車部(座席)
6 引抜き搬送コンベア部
6a 弾性エンドレスベルト
6b 駆動プーリ
6c 従動プーリ
6d 引抜き搬送コンベア挟持始端部
6e 引抜き搬送コンベアフレーム
7 根切刃
7a 根切フレーム
8 茎葉部切断部
8a カッター
9 地下茎受け部
10 毛根切断部
10a 球根移動体(エンドレスチェーンコンベア)
101 チェーンコンベア
102 バケット
10b 毛根茎切断刃
106 毛根カッター
107 茎カッター
11 排葉体(エンドレスチェーンコンベア)
12 排葉シュート
13 茎葉ガイド
16 載置板
20 シートカッター
20b 駆動モータ
30 フイルムシート押さえ部
30a 押さえローラー
30b 上下回動アーム
30c フレーム側回動軸
30d ローラー側回動軸
30e ローラー側回動アーム
30f ローラー回転軸
30g スプリング
31 ゲージ輪
31b ゲージ輪回動アーム
321 第1押さえローラー
322 第2押さえローラー
323 第3押さえローラー
C 地下茎作物
U 地下茎部
R 毛根部
B バルブ
S 茎
L 茎葉部
F フイルムシート
G 畝
H フイルムシート孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物の収穫装置において、収穫装置は、前方から後方に亘って後上がりに斜設された左右一対のベルトコンベアにより収穫作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、該引抜き搬送コンベア挟持始端部左右に設けたフイルムシート押さえローラーを備え、
該フイルムシート押さえローラーは、引抜き搬送コンベア挟持中心部左右に略左右対称に配設され、左右それぞれ前後に複数の押さえローラーを備え、少なくとも隣り合う前後一組の押さえローラーは、引抜き搬送コンベアのフレーム側に固着された水平方向のフレーム側回動軸を中心に上下に回動する一つの上下回動アームの回動端側に回転自在に設けられていることを特徴とする地下茎作物の収穫機。
【請求項2】
フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物の収穫装置において、収穫装置は、前方から後方に亘って後上がりに斜設された左右一対のベルトコンベアにより収穫作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、該引抜き搬送コンベア挟持始端部左右に設けたフイルムシート押さえローラーを備え、
該フイルムシート押さえローラーは、引抜き搬送コンベア挟持中心部左右に略左右対称に配設され、左右それぞれ前後に複数の押さえローラーを備え、少なくとも隣り合う前後一組の押さえローラーは、前方側押さえローラーが引抜き搬送コンベアのフレーム側に固着された水平方向のフレーム側回動軸を中心に上下に回動する上下回動アームに回転自在に設けられ、後方側押さえローラーは前方側押さえローラー側に設けた水平方向のローラー側回動軸を中心に上下に回動するローラー側上下回動アームに回転自在に設けられていることを特徴とする地下茎作物の収穫機。
【請求項3】
フイルムシートで被服された圃場に植えられた地下茎作物の収穫装置において、収穫装置は、前方から後方に亘って後上がりに斜設された左右一対のベルトコンベアにより収穫作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、該引抜き搬送コンベア挟持始端部左右に設けたフイルムシート押さえローラーを備え、
該フイルムシート押さえローラーは、引抜き搬送コンベア挟持中心部左右に略左右対称に配設され、引抜き搬送コンベア挟持始端部近傍に位置する第1押さえローラーと引抜き搬送コンベア挟持始端部より後方箇所に位置する第2押さえローラーと、第2押さえローラーの後方に位置する第3押さえローラーを有し、第1押さえローラーと第2押さえローラーは引抜き搬送コンベアのフレーム側に固着された水平方向のフレーム側回動軸を中心に上下に回動する上下回動アームに回転自在に設けられ、第3押さえローラーは第2押さえローラー側に設けた水平方向のローラー側回動軸を中心に上下に回動するローラー側上下回動アームに回転自在に設けられていることを特徴とする地下茎作物の収穫機。
【請求項4】
引抜き搬送コンベア挟持中心左右に位置する押さえローラーの左右方向の配置幅は、引抜き搬送コンベア挟持始端部近傍に位置する押さえローラーの左右配置幅よりその後方に位置する押さえローラーの左右配置幅が狭いことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地下茎作物の収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−155956(P2011−155956A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22760(P2010−22760)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】