説明

地下茎作物等の収穫機

【課題】収穫作業効率の良い地下茎作物収穫装置を提供する。
【解決手段】地下茎作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部6の終端側下方に設けられ、茎葉部切断部8により分離落下した地下茎部を受け止める移動コンベアからなる地下茎受け部9の移動コンベア終端側に櫛状の土落としシュート90が設けられ、土落としシュート90を介して地下茎部が載置板上に置かれた貯留コンテナに収容される地下茎作物の収穫機を提案する。また、載置板16には貯留コンテナを斜め前方に向けて載置するコンテナガイド161が設けてあるとともに、貯留コンテナが前後に複数載置可能で、載置板16上でコンテナガイド161に沿って前後にスライド可能である地下茎作物の収穫機を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車体を備え、搬送コンベアによって茎葉部を挟持しニンニク等の地下茎作物を畑より抜き取り収穫する地下茎作物の収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送コンベアを備えた地下茎作物の収穫機の従来技術として特開2009−022224号公報(従来技術1)が開示されている。
【0003】
特開2009−022224号公報(従来技術1)は、「自走可能な車体と、操縦席と、操作装置と、地下茎作物の収穫装置と、作業者の乗車部とを設けてなり、収穫装置は、後上がりに斜設され圃場に植えられた地下茎作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、引抜き搬送コンベア部の始端部近傍に設けられ土中の地下茎作物の下方部を通過させ地下茎周辺の土を膨軟化するとともに毛根部の一部を切断する根切刃と、引抜き搬送コンベア部に設けられ、引抜き搬送コンベア部によって掘り上げた地下茎作物を搬送途中に地下茎作物の茎葉部と地下茎部とに切断分離する茎葉部切断部と、茎葉部切断部の下方に設けられ分離落下した地下茎部を受け止める地下茎受け部と、各地下茎部を載置可能な球根移動体及び地下茎部から毛根と茎を切断する毛根茎切断刃とを有する毛根切断部とを設けるとともに、作業者の乗車部を毛根切断部の球根移動体に隣接して設けたことを特徴とする地下茎作物の収穫機」に関する記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−022224号公報(従来技術1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術1に開示される根菜収穫機により引抜き搬送された地下茎部は土等の付着もあり、茎葉部から分離されて移動コンベアである地下茎受け部に土や夾雑物と共に落下される。このため、地下茎受け部の移動コンベア終端部から地下茎部と共に土や夾雑物が排出されて貯留コンテナには不要な土や夾雑物が混在した状態となり、後工程で土や夾雑物を取り除く作業が必要となることや、収納率が悪くなり貯留コンテナの交換作業が増えて作業効率が悪い問題があった。
【0006】
また、平行に設けられた地下茎受け部と毛根切断部の各移動終端側の貯留コンテナは前後に略平行に置かれる。一方根が切断された地下茎部と切断されない地下茎部がそれぞれ収容されるため、貯留コンテナは分別する必要がある。このため満杯となった貯留コンテナの交換は、連続して排出される茎葉部が貯留コンテナ交換の際にこぼれ落ちるため、車体の走行や収穫装置を一旦停止して行う必要があり、車体の走行や収穫装置を停止せずに効率よい連続作業が行える収穫装置が望まれていた。
【0007】
このため本発明の目的は、収穫作業効率の良い地下茎作物収穫装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、自走可能な車体に、地下茎作物の収穫装置を設けてなり、収穫装置は、後上がりに斜設され圃場に植えられた地下茎作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、引抜き搬送コンベア部の始端部近傍に設けられ土中の地下茎作物の下方部を通過させ地下茎周辺の土を膨軟化する掘起こし刃と、引抜き搬送コンベア部によって掘り上げた地下茎作物を搬送途中に地下茎作物の茎葉部と地下茎部とに切断分離する茎葉部切断部と、茎葉部切断部の下方に設けられ分離落下した地下茎部を受け止める移動コンベアからなる地下茎受け部と、地下茎受け部移動下流下方側に貯留コンテナを配設可能な載置板とを設け、地下茎受け部の移動コンベア終端側に櫛状の土落としシュートが設けられ、櫛状の土落としシュートを介して地下茎部が前記載置板上に置かれた貯留コンテナに収容される地下茎作物の収穫機を提案する。
【0009】
また、自走可能な車体に、地下茎作物の収穫装置を設けてなり、収穫装置は、後上がりに斜設され圃場に植えられた地下茎作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、引抜き搬送コンベア部の始端部近傍に設けられ土中の地下茎作物の下方部を通過させ地下茎周辺の土を膨軟化する掘起こし刃と、引抜き搬送コンベア部によって掘り上げた地下茎作物を搬送途中に地下茎作物の茎葉部と地下茎部とに切断分離する茎葉部切断部と、茎葉部切断部の下方に設けられ分離落下した地下茎部を受け止める移動コンベアからなる地下茎受け部と、地下茎部を載置可能な球根移動体及び地下茎部から毛根と茎を切断する毛根茎切断刃とを有する毛根切断部とを設けるとともに、地下茎受け部と、毛根切断部の球根移動体との移動方向が車体進行方向に対し直交する水平方向であり互いに平行に設けられ、移動下流下方側にそれぞれ貯留コンテナを配設可能に載置板を設け、地下茎受け部の移動コンベア終端側には櫛状の土落としシュートが設けられ、櫛状の土落としシュートを介して地下茎部が前記載置板上に置かれた貯留コンテナに収容されるとともに、毛根切断部の球根移動体終端側から排出される地下茎部が前記載置板上に置かれた他の貯留コンテナに収容されるように構成されていて、載置板には貯留コンテナを斜め前方に向けて載置するコンテナガイドが設けてあるとともに、貯留コンテナが前後に複数載置可能で、載置板上でコンテナガイドに沿って前後にスライド可能である地下茎作物の収穫機を提案する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、地下茎受け部移動下流下方側に貯留コンテナを配設可能な載置板を設け、地下茎受け部の移動コンベア終端側の櫛状の土落としシュートを介して地下茎部が載置板上に置かれた貯留コンテナに収容されるように構成されていることにより、移動コンベアである地下茎受け部に土や夾雑物と共に落下されて移動された地下茎部が櫛状の土落としシュートにより貯留コンテナに誘導され収容される。一方、土や夾雑物は櫛状の土落としシュートの隙間から下方に落下して貯留コンテナには貯留されず地下茎部のみが収容される。このため、従来のように貯留コンテナには不要な土や夾雑物が混在した状態とならず、後工程で土や夾雑物を取り除く作業が不必要となり作業効率が改善される。また、収納率が良くなり貯留コンテナの交換作業が最小に抑えられて作業効率が向上する。
【0011】
請求項2の発明によれば、地下茎受け部と毛根切断部の球根移動体との移動方向が車体進行方向に対し直交する水平方向であり互いに平行に設けられ、移動下流下方側にそれぞれ貯留コンテナを配設可能に載置板を設け、地下茎部が載置板上に置かれた貯留コンテナにそれぞれ収容されるように構成されていることにより、引抜き搬送コンベア部から連続的に排出される茎葉部を作業者は、毛根切断部に地下茎部を球根移動体に供給することで地下茎部から毛根と一定長さに茎とを容易に連続切断して貯留コンテナに収容することができる。一方地下茎受け部に落下した茎葉部は移動コンベアにより移動されるため、毛根切断部に供給されなかった地下茎部は終端側から櫛状の土落としシュートを介して別の貯留コンテナに収納されるため、後工程で再度毛根切断部等により処理が可能である。このため、収穫作業を優先させる場合は掘り取り速度を上げることも可能であり、毛根切断部に供給しないですべてを貯留コンテナに排出することも可能であり、多様な作業工程を選択できる。
【0012】
また、載置板には貯留コンテナを斜め前方に向けて載置するコンテナガイドが設けてあるとともに、貯留コンテナが前後に複数載置可能で、載置板上でコンテナガイドに沿って前後にスライド可能であるため、貯留コンテナを交換する場合、満杯の貯留コンテナに連続して空の貯留コンテナをスライドさせることで、連続して排出される地下茎部をこぼすことなく交換可能であり、車体の走行や収穫装置を停止せずに効率よく連続作業が可能となる。
【0013】
さらに、載置板に貯留コンテナを斜め前方に向けて載置するコンテナガイドを設けたことにより、平行に配置された地下茎受け部と毛根切断部との排出部に置かれた貯留コンテナを空きスペースを有効利用して、それぞれ斜め前方向にスライド可能に配置可能であり、装置全体をコンパクトに構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を実施した地下茎作物収穫機の右側面図
【図2】本発明を実施した地下茎作物収穫機の平面図
【図3】本発明を実施した地下茎作物収穫機の後面図
【図4】本発明を実施した地下茎作物収穫機の左側面図
【図5】地下茎作物の収穫状況を示した収穫機の側面図
【図6】櫛状の土落としシュート部の要部正面図
【図7】地下茎受け部と毛根切断部の平面図
【図8】毛根切断部の要部側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明を実施した地下茎作物収穫機の右側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく後面図、図4は同じく載置板の折畳部を折畳んだ状態の左側面図、図5は地下茎作物の収穫状況を示した収穫機の側面図、図6は櫛状の土落としシュート部の要部正面図、図7は地下茎受け部と毛根切断部の平面図、図8は毛根切断部の要部側面図を示したものである。
【0016】
この発明の一つの実施形態である地下茎作物の収穫機は、自走可能な車体1と、操縦席2と、操作装置3と、地下茎作物の収穫装置4と、作業者の乗車部5を設けている。自走可能な車体1は、クローラ装置1aにより自走し、操縦席2に座る操縦者の操縦によって走行する。操縦者は、操作装置3を操作して収穫装置4を作動させる。
【0017】
収穫装置4は、後上がりに斜設される引抜き搬送コンベア部6と、引抜き搬送コンベア部6の始端部近傍に設けられる掘起こし刃7と、引抜き搬送コンベア部6に設けられ地下茎作物Cを搬送途中に地下茎作物Cの茎葉部と地下茎部とを切断分離する茎葉部切断部8と、茎葉部切断部8の下方に設けられる地下茎受け部9と、地下茎部を載置可能に移動させる球根移動体10a及び地下茎部から毛根部と茎を切断する毛根茎切断刃10bを有する毛根切断部10と、切断部貯留コンテナ14と、受け部貯留コンテナ15とを設ける。
【0018】
作業者の乗車部5は座席からなる。この実施例では走行方向と直交する方向に並んだ2つの座席からなり、毛根切断部10の球根移動体10aに隣接して走行方向を向いて設けられる。
【0019】
引抜き搬送コンベア部6は、左右一対の弾性エンドレスベルト6a、6aを前部上流側を下部、後部下流側を上部に位置させ斜めに配設され、左右それぞれの弾性エンドレスベルト6a、6aは後方上部に位置する駆動スプロケットと、前方下部に位置する従動スプロケット間に掛け渡され、対向面は互いに左右から対向して接し前部下方から後部上方に移動しエンドレス回転する。引抜き搬送コンベア部6の先端には、茎葉ガイド13を設けている。
【0020】
引抜き搬送コンベア部6の始端部近傍に掘起こし刃7を設ける。掘起こし刃7は、引抜き搬送コンベア部6のフレームに回動自在に軸支される根切りフレーム7aの先端に走行方向とは直交する方向に掛け渡されてなり、土中の地下茎作物Cの下方部を通過させるとともに前後に揺動させ地下茎周辺の土を膨軟化するとともに根の一部を切断する。
【0021】
引抜き搬送コンベア部6のフレームに設けられる茎葉部切断部8は、引抜き搬送コンベア部6のフレーム下部に設けられる対向する2つの円形の回転カッター8a、8aからなり、互いに逆回転して、搬送されてくる地下茎作物Cを搬送途中に地下茎作物Cの茎葉部Lと地下茎部Uとに切断分離する。
【0022】
引抜き搬送コンベア部6の上端部で下流側端部となる位置にエンドレスチェーンコンベアからなる排葉体11を設ける。排葉体11は、エンドレスチェーンコンベアの上流側端部を引抜き搬送コンベア部6の下流側端部と隣接して設け、茎葉部切断部8で切断された茎葉部Lのみを引っ掛けて排葉体11の下流側端部に連設される排葉シュート12から排出する。
【0023】
引抜き搬送コンベア部6前方端部の茎葉部挟持始端部にはフイルムシート押さえ部材30が設けられていて、引抜き搬送コンベア部6で挟持され上方に引抜かれた地下茎作物により持ち上げられようとする畝を被覆しているフイルムシートを押さえ込む。
【0024】
引抜き搬送コンベア部6の前方には、茎葉挟持高さ位置を安定させるためのゲージ輪31が設けてあり、畝G上面を転動しながら高さを安定させるとともに、フイルムシートの浮き上がりをフイルムシート押さえ部材30とともに防止する。
【0025】
地下茎受け部9は、この実施形態ではベルトコンベアからなり、走行方向とは直交する方向へ平行して隣接される球根移動体10aの速度より遅い速度で移動する。地下茎受け部9の移動終端側には、櫛状の土落としシュート90が設けられていて、櫛状の土落としシュート90に案内されて地下茎部が載置板16上に置かれた受け部貯留コンテナ15に収容される。櫛状の土落としシュート90は、地下茎受け部9であるベルトコンベアの終端側から下方の受け部貯留コンテナ15に向け、丸棒を等間隔に平行に櫛状に配置するとともに樋状に成形して配設されていて、地下茎受け部9から排出される地下茎部Uを受け部貯留コンテナ15に誘導するとともに、同時に排出される土や夾雑物を櫛状に構成されたシュートの隙間から下方に落下させて受け部貯留コンテナ15への貯留を防止する。櫛状の土落としシュート90の下方には、落下した土や夾雑物を機外に排出させるための排出孔がフレームに設けられている。
【0026】
一方、毛根接断部10が地下茎受け部9に隣接して平行に設けられていて、作業者が地下茎受け部9に落下して載置された地下茎部Uを取出して毛根切断部10に供給すると、毛根茎切断刃10bにより毛根部Rと茎S側を一定の長さに切断することが可能となっている。
【0027】
毛根切断部10の球根移動体10aは、ベルトコンベアからなる地下茎受け部9に隣接して平行である横長のフレーム100の略中央に設けられたチェーンコンベアにチェーンコンベアの進行方向に整列して多数のバケット102を取り付けてなる。
【0028】
毛根切断部10の毛根茎切断刃10bは、チェーンコンベア101の下流側の左右に設けられる回転円形刃からなる毛根カッター106と茎カッター107からなる。毛根カッター106は、バケット102の根置板103側で根置板103側の外側に隣接して設けられ、茎カッター107より下流側にずれて設けられる。茎カッター107は、バケット102の補助板104側で補助板104側の外側に設けられ、毛根カッター106より上流側にずれて設けられる。毛根カッター106の位置は、他の実施例ではチェーンコンベア101の進行方向の右側に設けてもよいがそのときは根置板103も同じ側に設けられる。
【0029】
切断部貯留コンテナ14は、毛根切断部10の球根移動体10aの最下流側の下方に載置される上面が開放された箱状体からなり、車体1に折畳自在に設けられ開いて水平状態で支持される載置板16に着脱自在に載置される。
【0030】
受け部貯留コンテナ15は、ベルトコンベアからなる地下茎受け部9の最下流側の下方に載置される上面が開放された箱状体からなり、車体1に折畳自在に設けられ開いて水平状態で支持される載置板16に着脱自在に載置される。載置板16は、走行方向の横方向へ開閉自在の折畳部16aを設けて載置板16の幅を拡張可能である。
【0031】
載置板16上には、切断部貯留コンテナ14及び受け部貯留コンテナ15を斜め前方に向けて載置するようにコンテナガイド161を設けてあり、コンテナガイド161は載置板16上に帯状の板を垂設して構成されていて、貯留コンテナを前後に複数載置可能で、載置板16上でコンテナガイド161に沿って前後にスライド可能に設けられている。貯留コンテナを交換する場合、満杯の貯留コンテナに連続して空の貯留コンテナをスライドさせることで、連続して排出される地下茎部をこぼすことなく交換可能であり、車体の走行や収穫装置を停止せずに効率よく連続作業が可能となる。
【0032】
次にこの発明の1つの実施形態である地下茎作物の収穫機の作動について説明する。操縦席2に座った操縦者の操縦によって走行可能な車体1はクローラ装置1aを駆動させ走行し、操縦者は操作装置3を操作して収穫装置4を作動させる。収穫物を車上で処理する作業者は、座席5に走行方向に向かって座る。この実施例では左右2つの座席5を設けており2人での作業が可能である。
【0033】
車体1を矢印A方向に走行させ収穫装置4を作動させると、引抜き搬送コンベア部6の前部に設けられ土中に位置する掘起こし刃7が前後に揺動しながら地下茎作物Cの地下茎部U近傍の土を膨軟化させるとともに毛根部Rの下方を切る。地下茎作物Cの茎葉部Lは茎葉ガイド13によってガイドされ、回転する引抜き搬送コンベア部6の左右一対の弾性エンドレスベルト6a、6aの対向面間に挟まれて引き抜かれ、挟まれたまま斜め上後方へ搬送される。
【0034】
斜め上後方へ搬送される地下茎作物Cは、途中に設けられた互いに逆回転する茎葉部切断部8のカッター8a間に入り茎葉部Lと地下茎部Uに切断される。切断された地下茎部Uは、そのまま下に落下して地下茎受け部9であるベルトコンベア上に落ちる。地下茎部Uを切り離した茎葉部Lは、そのまま斜め上方へ搬送され、排葉体11であるエンドレス回転チェーン11に引っ掛かり搬送され、その下流側の排葉シュート12上に落下して圃場に排出される。
【0035】
地下茎受け部9に落下した地下茎部Uは、ベルトコンベアの移動によってゆっくり移動するため同じ場所に次々落ちてくる地下茎部Uが溜まることはない。ゆっくり移動する地下茎部Uは、乗車部である座席5に座る2人の作業者によって毛根切断部10のバケット上に供給、載置される。載置されたそれぞれの地下茎部Uは、チェーンコンベア101の移動により毛根切断刃10bに至ると、毛根部Rと茎S部が一定の長さに揃えられて切断される。
【0036】
茎葉部Lと毛根部Rを切断された球根部Bは、バケット102に載ったまま搬送され下流側にある切断部貯留コンテナ14に落下して貯留される。切断部貯留コンテナ14は、載置板16に設けたコンテナガイド161により斜め前方外側向きに置かれていて、満杯になった場合は満杯の貯留コンテナに連続して空の貯留コンテナを載置板16上で前方にスライドさせることで、連続して排出される地下茎部をこぼすことなく交換可能である。
【0037】
地下茎受け部9に落下した地下茎部のうちベルトコンベアの移動中に作業者に取られなかった地下茎部は、ベルトコンベアの下流側下方に位置する受け部貯留コンテナ15に落下して貯留される。この時ベルトコンベア終端部から櫛状の土落としシュート90を介して落下するため、土や夾雑物が土落としシュート90から落下して受け部貯留コンテナ15には地下茎部のみ貯留される。受け部貯留コンテナ15に落下した未処理の地下茎部は、掘り上げ作業終了後、再度毛根処理部10のみを作動させて処理してもよく、また別の時期、別の場所という別工程で毛根等の除去の処理をすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、畝に植えられたにんじんや大根等の根菜類や、ニンニク、タマネギ、ユリ根等の地下茎作物、特にニンニクを走行車体により走行しつつ畑より抜き取り収穫する地下茎作物の収穫機に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 走行可能な車体
1a クローラ装置
2 操縦席
3 操作装置
4 収穫装置
5 作業者の乗車部(座席)
6 引抜き搬送コンベア部
6a 弾性エンドレスベルト
7 掘起こし刃
7a 根切フレーム
8 茎葉部切断部
8a カッター
9 地下茎受け部
90 櫛状の土落としシュート
10 毛根切断部
10a 球根移動体(エンドレスチェーンコンベア)
10b 毛根茎切断刃
106 毛根カッター
107 茎カッター
11 排葉体(エンドレスチェーンコンベア)
12 排葉シュート
13 茎葉ガイド
14 切断部貯留コンテナ
15 受け部貯留コンテナ
16 載置板
16a 載置板の折畳部
161 コンテナガイド
30 フイルムシート押さえ部材
31 ゲージ輪
C 地下茎作物
U 地下茎部
R 毛根部
B 球根部
S 茎
L 茎葉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体に、地下茎作物の収穫装置を設けてなり、収穫装置は、後上がりに斜設され圃場に植えられた地下茎作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、引抜き搬送コンベア部の始端部近傍に設けられ土中の地下茎作物の下方部を通過させ地下茎周辺の土を膨軟化する掘起こし刃と、引抜き搬送コンベア部によって掘り上げた地下茎作物を搬送途中に地下茎作物の茎葉部と地下茎部とに切断分離する茎葉部切断部と、茎葉部切断部の下方に設けられ分離落下した地下茎部を受け止める移動コンベアからなる地下茎受け部と、地下茎受け部移動下流下方側に貯留コンテナを配設可能な載置板とを設け、地下茎受け部の移動コンベア終端側に櫛状の土落としシュートが設けられ、櫛状の土落としシュートを介して地下茎部が前記載置板上に置かれた貯留コンテナに収容されることを特徴とする地下茎作物の収穫機。
【請求項2】
自走可能な車体に、地下茎作物の収穫装置を設けてなり、収穫装置は、後上がりに斜設され圃場に植えられた地下茎作物の茎葉部を挟持して抜き取る引抜き搬送コンベア部と、引抜き搬送コンベア部の始端部近傍に設けられ土中の地下茎作物の下方部を通過させ地下茎周辺の土を膨軟化する掘起こし刃と、引抜き搬送コンベア部によって掘り上げた地下茎作物を搬送途中に地下茎作物の茎葉部と地下茎部とに切断分離する茎葉部切断部と、茎葉部切断部の下方に設けられ分離落下した地下茎部を受け止める移動コンベアからなる地下茎受け部と、地下茎部を載置可能な球根移動体及び地下茎部から毛根と茎を切断する毛根茎切断刃とを有する毛根切断部とを設けるとともに、地下茎受け部と、毛根切断部の球根移動体との移動方向が車体進行方向に対し直交する水平方向であり互いに平行に設けられ、移動下流下方側にそれぞれ貯留コンテナを配設可能に載置板を設け、地下茎受け部の移動コンベア終端側には櫛状の土落としシュートが設けられ、櫛状の土落としシュートを介して地下茎部が前記載置板上に置かれた貯留コンテナに収容されるとともに、毛根切断部の球根移動体終端側から排出される地下茎部が前記載置板上に置かれた他の貯留コンテナに収容されるように構成されていて、
載置板には貯留コンテナを斜め前方に向けて載置するコンテナガイドが設けてあるとともに、貯留コンテナが前後に複数載置可能で、載置板上でコンテナガイドに沿って前後にスライド可能であることを特徴とする地下茎作物の収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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