説明

地中の水分回収装置

【課題】地熱や太陽エネルギーを利用し地中にある水分を回収する装置を提供する。
【解決手段】地表面の下に底のない箱を埋設する。箱の中は空洞とする。この箱の天面に円筒状で、先端部の閉じられた結露キャップ1を接続する。地熱により地表部分まで上昇した地中の水分は、底のない箱の中で湿度として存在する。この湿度は、結露キャップ外壁温度より箱内温度が高ければ、箱内対流により結露キャップ天面に向けて上昇し、外壁と接触したところで結露する。結露した水は、外壁面で自重にたえられなくなると、下部にある箱内の結露水案内板2の上に落下し、案内板2に沿って側面の土に吸収される。太陽光を通す結露キャップ1を使用した場合は太陽の輝く日中でも、太陽光により地中にある空間部分が温められ地表の結露キャップ1内面温度より上昇する、この結果により結露キャップ1内では温度差に見合った結露が発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は地中にある水分を灌漑用水の一部として利用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来乾燥地等での灌漑用水については井戸水や、タンクに貯めた水を少量ずつ必要箇所に側溝やパイプラインで流すものであったり、器に入れて必要箇所まで運搬し、必要箇所には手作業で灌漑を行っています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7―292727
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乾燥地等では灌漑用水を必要箇所まで運ぶのが困難であったり、灌漑用水を得ることじたいが困難な場合が多々あります。この発明は灌漑に必要とされる水又はその一部でも必要箇所で確保し、灌漑用水確保に要する費用や労力を軽減することを課題としています。
【課題を解決するための手段】
【0005】
灌漑用水を必要とする必要箇所に、地熱により地表面に向け上昇する地中の水分や太陽により温められて蒸発する地中の水分を、地表面で昼夜を問わず結露させることが可能な本発明装置を設置し、灌漑用水の一部として利用する。
【0006】
本発明は底のない箱の天面に結露キャップを取り付けた物で、箱は地中に埋設し結露キャップは地上に露出させる。地中の水分が地熱により地表面へと上昇するにあたり埋設された箱の空間部分には湿度のある空気が溜る。内部気流については、地熱が外気温度より高い場合、温度の低い結露キャップ天面へ上昇し、外気に冷やされ結露キャップ内で結露し結露水の粒は大きく成長すると結露キャップ壁面を伝い落下する。逆に外気温度のほうが地熱より高い場合は、透明な結露キャップを通して太陽の熱と光が埋設された箱内部に吸収され箱の内部温度を上昇させることになり、箱内部の温度は外気より上昇する。この現象により太陽が輝く日中でも結露キャップ内では結露が発生する。箱のそばに植えられた植物が水分を吸収すれば、箱内部の水分量は減少し、新たな水分が地中より供給される。この繰り返しにより必要灌漑用水の一部又は全量が供給されます。
【発明の効果】
【0007】
灌漑用水を必要とする植物の根っこの近くへ本発明装置を設置し、植物の根っこの周辺の土に結露水及び湿度を与えることにより、必要灌漑用水の一部又は全量を供給しなくても良くなり灌漑用水確保に要する費用や労力を軽減することが可能です。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、正面図である。
【図2】図2は、分解図である。
【図3】図3は、実施形態図である。
【図4】図4は、実施形態図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明のー実施形態を「図3」に示す。
本発明装置を植樹や苗の植え付け前に設置する、箱を埋設する深さは地表部分より下に、結露キャップは地表に露出させる。設置場所の環境により、風が強い場所等では結露キャップの支えを行う、又獣等が徘徊する場所では装置保護柵が必要。設置後は少なくとも2日間、朝昼晩結露キャップの結露状況を確認し、結露キャップに結露が確認された後、装置の近くに植樹や苗の植え付けを行う。
【0010】
この発明のー実施形態を「図4」に示す。
植樹や苗の植え付け方法が一列で長く、更に植え付けの間隔が狭い場合。 この場合は本発明装置の左右の側板をとり外して必要とされる長さになるよう繋いで使用することが対応策として可能である。
【実施例】
【0011】
本発明装置を設置しての実施例を示す。休耕田に底辺80cm四方、高さ25cmの盛土を2箇所行い一方には本発明装置を埋設した、埋設した箱のサイズは縦25.5cm、横18.5cm、高さ15.5cmの発泡スチロール製の箱で底面は切り取り削除した、天面には円錐状で底辺直径8cm高さ10.2cmの透明塩ビ製結露キャップ2個を取り付け箱の上には1cmの覆い土を被せた。この状態で2日間結露キャップの結露状況を確認した。結果は朝昼晩いずれも全面結露が認められ良好であった。この結果をふまえて双方に芋の苗約20cm1本を盛り土の上部へ6月29日に植え付けた。8月18日まで降雨は無く、又灌漑用水も与えなかった。芋の苗の生育状況については本発明品設置した方としない方の差は歴然とし本発明装置設置の方については蔓の伸び具合張り具合とも設置していない方を圧倒した。設置した方の蔓の長さ約60cmが4本、設置無しの方は蔓の長さ約40cmが2本であった。
【0012】
結露キャップに昼でも結露するかの実証実験を試みた。
8月31日朝6時天候は晴れ、結露キャップの地表面高さ23cm直径9cm結露状況は良好あった。朝9時18分に再度結露状況良好なのを確認後結露キャップに振動を与え結露キャップ内面の結露粒を落とした。12時18分に結露キャップの結露状況を確認した、結果は結露キャップ天面に十分な結露粒が確認できた。この時の外気温度は35.6℃であった。当日の日の出は5時36分、日の入りは18時33分でした。 時系列による各部分の温度測定結果は以下のとおりであった。
単位は℃
結露キャップ 結露キャップ 結露水 埋設箱底面の
天面温度 下面温度 案内板温度 地表温度
9時25分 32.0 34.0 33.4 31.6
12時20分 31.4 34.2 36.6 34.4
18時03分 29.0 29.6 32.2 32.4
結露キャップは1.5Lペットボトルの底面部より上へ24cmの所でカットし逆さまにして埋設箱の天面に取り付け使用した」
【産業上の利用可能性】
【0013】
水確保が困難な場所であり水確保に大きな費用や労力をかけたくない場合の植樹や苗の植え付け、乾燥地での植樹や苗の植え付け、山火事等で禿山になった所の植樹等に利用可能です。
【符号の説明】
【0014】
1 結露キャップ
2 結露水案内板
3 穴
4 植物の苗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に底面のない箱を埋め、該箱の上面には結露キャップを取り付けてこの結露キャップが地表面に突出するよう構成し、内面に結露ができ、該結露した水滴を箱の中にある結露案内板に落下させて水分回収できることを特徴とする地中の水分回収装置。
【請求項2】
地中に埋め込まれた箱の下部側面に湿気の出し入れ用の穴を複数設けたことを特徴とする請求項1記載の地中の水分回収装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−55915(P2013−55915A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196763(P2011−196763)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(711010127)