説明

地図情報処理システム及び地図情報処理方法

【課題】地図全体を回転させることなく、地図上の任意の範囲を指定し、出力媒体に対して、任意の方向を水平として出力できる地図情報処理システム及び地図情報処理方法を提供する。
【解決手段】地図上に任意の閉じた出力範囲5を指定する出力範囲指定手段31と、地図上に基準直線6を設定する基準直線設定手段32と、出力範囲5と基準直線6を、お互いの相対的位置関係を保ったまま基準直線6が水平になるように仮想回転する、仮想回転手段33と、仮想回転した出力範囲5を、基準直線6が出力媒体の任意の1辺と平行になるように出力する地図出力手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モニタ上で地理情報を閲覧、操作する地図システムにおいて、任意の地図上の閉じた範囲を、出力媒体に対して水平となるように直接出力して利用できる地図情報処理システム及び地図情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地図表示装置のモニタ上で斜めに表示される線状の設備等オブジェクトを、用紙に対して平行(水平)に印刷しようとする場合は、予め地図をモニタ上で回転させる操作を行い、次に、印刷範囲を指定して印刷する方法が一般的である。
地図表示の回転操作に関する先行技術としては、方位記号をマウスで回転する技術(特許文献1)や、マウスの第一ボタンを押し続けると連続的に時計回りに回転する技術(特許文献2)が開示されている。
また、地図上の道路等のオブジェクトを選択して地図を回転させる技術(特許文献3)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−208606号公報
【特許文献2】特開平10−198268号公報
【特許文献3】特開2001−215871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図21は、地図の横軸に対して傾きを有する範囲を印刷する際の従来の地図印刷方法を示す図である。
利用者が表示したい地図を選択すると、クライアントからサーバに対し、地図表示要求を出し、当該地図をサーバから受け取って表示する(図21(a))。
次に、利用者は印刷対象が平行になるようマウスドラッグで地図を回転して印刷したい部分を水平にし(図21(b)(c))、マウスで印刷範囲の対角線となる始点及び終点をクリックして印刷範囲を指定する(図21(d))。
最後に、印刷範囲確認画面をプレビュー表示して(図21(e))、印刷装置に印刷する。
【0005】
ここで、図21(b)のマウスドラッグの際に、印刷対象が画面の横軸に対して平行になるよう地図全体を回転するには、微妙な操作が要求される。
マウス操作と地図の再描画にタイムラグがあるため、回り過ぎたり、戻し過ぎたりして、印刷対象物を画面上で正確に回転させることは非常に困難であった。
また、表示している地図情報から基準となるオブジェクトを指定して、これを基準に地図を回転させるとしても、適当なオブジェクトが付近に表示されていない場合も多い。
また何よりも、一旦地図全体を回転させなければ印刷範囲の指定ができず、必ず先に微妙な回転操作をしなければ所望の印刷結果を得られないという煩わしさがあった。
【0006】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、モニタ上に表示されている地図の閉じた一定の領域を出力媒体に出力する際に、地図表示全体を画面上で回転することなく、簡易なマウス操作で出力媒体に対して所望の方向に出力する地図情報処理システム及び地図情報処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る地図情報処理システムは、
モニタに表示したXY軸を有する地図上に、閉じた一定の出力範囲を指定する出力範囲指定手段と、
地図上に任意の基準直線を設定する基準直線設定手段と、
基準直線と出力範囲の相対的位置関係を保持したまま、基準直線と出力範囲を、基準直線がX軸と平行となるように仮想回転させる仮想回転手段と、
仮想回転手段によって仮想回転させた出力範囲を、基準直線と出力媒体の任意の一辺とが平行になる位置関係で出力する地図出力手段とを備えたものである。
【0008】
この発明に係る地図情報処理方法は、
モニタに表示したXY軸を有する地図上に、閉じた一定の出力範囲を指定し、
地図上に任意の基準直線を設定し、
基準直線と出力範囲の相対的位置関係を保持したまま、基準直線と出力範囲を、基準直線がX軸と平行となるように仮想回転させ、
仮想回転させた出力範囲を、基準直線と出力媒体の任意の一辺とが平行になる位置関係で出力するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る地図情報処理システムは、
モニタに表示したXY軸を有する地図上に、閉じた一定の出力範囲を指定する出力範囲指定手段と、
地図上に任意の基準直線を設定する基準直線設定手段と、
基準直線と出力範囲の相対的位置関係を保持したまま、基準直線と出力範囲を、基準直線がX軸と平行となるように仮想回転させる仮想回転手段と、
仮想回転手段によって仮想回転させた出力範囲を、基準直線と出力媒体の任意の一辺とが平行になる位置関係で出力する地図出力手段とを備えたものなので、
地図全体を画面上で回転させてから出力領域を指定する必要がなく、基準直線と出力範囲を指定するだけで、地図上の所望の出力範囲だけを、基準直線との相対位置関係を保った状態で、出力媒体の一辺に対して基準直線が平行となるように回転させて出力できる。
【0010】
この発明に係る地図情報処理方法は、
モニタに表示したXY軸を有する地図上に、閉じた一定の出力範囲を指定し、
地図上に任意の基準直線を設定し、
基準直線と出力範囲の相対的位置関係を保持したまま、基準直線と出力範囲を、基準直線がX軸と平行となるように仮想回転させ、
仮想回転させた出力範囲を、基準直線と出力媒体の任意の一辺とが平行になる位置関係で出力するものなので、地図全体を画面上で回転させてから出力領域を指定する必要がなく、基準直線と出力範囲を指定するだけで、地図上の所望の出力範囲だけを、基準直線との相対位置関係を保った状態で、出力媒体の一辺に対して基準直線が平行となるように回転させて出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る地図情報処理システムの実施の形態1のシステム構成図である。
【図2】システム100による印刷実施工程を示す図である。
【図3】本発明に係る地図情報処理システムの実施の形態2のシステム構成図である。
【図4】システム200における印刷例を示す図である。
【図5】システム200における他の印刷例を示す図である。
【図6】実施の形態2における仮想回転のルールを示す図である。
【図7】本発明に係る地図情報処理システムの実施の形態3のシステム構成図である。
【図8】システム300における印刷例を示す図である。
【図9】本発明に係る地図情報処理システムの実施の形態4のシステム構成図である。
【図10】システム400による印刷実施工程を示す図である。
【図11】実施の形態4における仮想回転ルールを示す図である。
【図12】本発明に係る地図情報処理システムの実施の形態5のシステム構成図である。
【図13】システム500による印刷実施工程を示す図である。
【図14】実施の形態5における仮想回転ルールを示す図である。
【図15】本発明に係る地図情報処理システムの実施の形態6のシステム構成図である。
【図16】システム600における基準直線と出力範囲の指定状態を示す図である。
【図17】本発明に係る地図情報処理システムの実施の形態7のシステム構成図である。
【図18】システム700による印刷実施工程を示す図である。
【図19】実施の形態8に係る地図情報処理システムによる印刷実施工程を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態9に係る印刷プレビュー画面を示す図である。
【図21】従来の地図印刷システムにおける印刷手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、この発明に係る地図情報処理システム及び地図情報処理方法の実施の形態1を、図を用いて説明する。
図1は、本発明に係る地図情報処理システム100(以下、システム100という)のシステム構成図である。
システム100は、サーバ2と、クライアント3と、クライアント3からの印刷要求をうけて印刷を行うプリンタ4とをネットワーク等で接続したWebシステムで構成される。
サーバ2には、クライアント3からの要求を受けて、地図を選択して当該クライアントに転送する地図転送手段21を備え、外部又は内部の補助記憶装置に地図データベース22を備えている。
【0013】
クライアント3は、地図を画面に表示する地図表示部30と、地図表示部30を利用して利用者が指定した任意の出力範囲をプリンタ4の用紙(出力媒体)に印刷する地図出力手段としての地図印刷手段38とを備えている。
また、地図表示部30には、これから印刷しようとする地図上の任意の範囲を指定する、出力範囲指定手段31と、指定出力範囲を印刷するときに、用紙上での水平レベル(後述)を定義する基準直線を地図上に設定する基準直線設定手段32と、指定出力範囲及び基準直線の相対位置関係を保持したまま、基準直線が水平になるように基準直線と指定出力範囲を仮想回転させる仮想回転手段33を備える。
【0014】
また、クライアント3には、地図表示部30の仮想回転手段33が仮想回転させた出力範囲のプレビュー画面をモニタ(出力媒体)に表示する地図出力手段としての地図表示手段36を備えている。
【0015】
次に、出力範囲の指定から印刷するまでのシステム100の動作について図2を用いて説明する。
図2は、システム100による印刷実施工程を示す図である。
図2(a)は、地図上に楕円形の出力範囲5を指定した状態を示す図である。
まず、図示しないメニューから「出力範囲設定」を選択する。
出力範囲5の指定は、図1で示した出力範囲指定手段31が担当する。図2(a)のように楕円でも良いし、矩形を用いても良い。
また、閉じた範囲を指定できれば、マウスを利用した自由曲線を用いても良い。
線で囲まれた部分の内側が出力範囲5として指定される。
【0016】
次に、図示しないメニューから「基準直線の設定」を選択する。
基準直線6の設定は、図1で示した基準直線設定手段32が担当する。
図2(b)は、基準直線6を地図上に書き込んだ状態を示す図である。
基準直線6の設定は、始点と終点の2点を指定して、これら2点を結ぶ直線を基準直線6としてもよいし、始点を指定してマウスをドラッグして終点を指定することによって基準直線6を指定しても良い。
【0017】
基準直線6の設定を終えると、仮想回転手段33は、図2(b)の基準直線6と出力範囲5との相対的位置関係を保持したまま、基準直線6がプリンタ4の印刷用紙(例えばA4縦)の下辺と平行になるように出力範囲5を仮想回転させる。
この時、クライアント3のモニタ上に表示されている地図全体を、現実に回転させてモニタ上に再表示する必要は無いので、ここでの回転を仮想回転と言う。
仮想回転作業を終了すると、仮想回転手段33は、出力(印刷)イメージを生成する地図表示手段36を呼び出す。
【0018】
図2(c)は、仮想回転した出力範囲5をモニタにプレビューした状態を示す図である。
破線で描いた基準直線6は印刷しない。
出力範囲5を指定するときに用いた境界線(ここでは楕円形)については、印刷する、しないを選択できる。
【0019】
図示しないメニューから「印刷の実行」を指示すると、地図印刷手段38は、元の基準直線6と出力範囲5との相対的位置関係を保った状態で、仮想回転した出力範囲5に該当する部分の地図を印刷する。
【0020】
仮想回転させた出力範囲5の、印刷用紙上での天地関係については、基準直線6側が印刷用紙の上側となるように設定しても良いし、下側になるように設定しても良い。
【0021】
また、実際に印刷用紙の中で印刷する位置については別途任意の手段で設定すればよい。
なお、この実施の形態では、仮想回転後の基準直線6が、単に用紙の下辺(短辺)と平行になる場合を示したが、長辺を指定できる設定を設けても良い。
【0022】
この発明の実施の形態1に係る地図情報処理システム100及び地図情報処理方法によれば、地図全体を画面上で回転させてから印刷領域を指定する必要がなく、基準直線6と出力範囲5を指定するだけで、地図上の所望の出力範囲5だけを、基準直線6との相対位置関係を保った状態で、印刷用紙の底辺に対して基準直線6が平行となるように回転させて印刷できる。
【0023】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2について、図を用いて実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
図3は、本発明に係る地図情報処理システム200(以下、システム200という)のシステム構成図である。
実施の形態1におけるシステム100と、本実施の形態におけるシステム200との違いは、仮想回転手段233の仮想回転ルールにある。
実施の形態1では、出力範囲5の、印刷用紙上での天地関係については詳細に取り決めず、出力範囲5が任意の1辺と平行に印刷されれば良い構成を示した。
この実施の形態では、印刷用紙に対する天地関係のルールを定める。
【0024】
実施の形態2における仮想回転ルールについて図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)を用いて説明する。
図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)は、それぞれ本実施の形態における出力範囲5と基準直線6との位置関係を示す一例である。
図4(a)の状態に出力範囲5があるとき、基準直線6の延長線をY=aX+bとし、この直線がX軸と成す角度をX軸から反時計回りにθとする。
図4(a)の出力範囲5を、基準直線6側が用紙の上側になるように印刷する場合は、θ=0となるように出力範囲5を仮想回転して印刷する(図4(b))。
【0025】
反対に、出力範囲5を、基準直線6側が用紙の下側になるように印刷する場合は、θ=πとなるように出力範囲5を仮想回転して印刷する(図4(c))。
【0026】
ところで、同じ出力範囲5に対してであっても、図5(a)に示す位置に基準直線6を設定した場合には、基準直線6が用紙の上側になるように印刷するためには、図5(b)に示すようにθ=πとなるように出力範囲5を仮想回転させる必要がある。
同様に、基準直線6が用紙の下側になるように印刷するためには、図5(c)に示すようにθ=0となるように出力範囲5を仮想回転させる必要がある。
次に、これらの場合の仮想回転角度θの判定基準を説明する。
【0027】
図6(a)、(b)は、この実施の形態にける仮想回転手段233が、基準直線6と出力範囲5を仮想回転させるときの判定基準を示す図である。
図6(a)はa>0の場合のルールである。
図4に示すXY座標上において、出力範囲5の外周を表す楕円の方程式を満足し得る任意のx1の値に対して、a>0のとき、常にax1+b>y1を満たせば、即ち、図4(a)のような場合、基準直線6側を上に印刷するにはθ=0となるように出力範囲5を仮想回転し、基準直線6側を下に印刷するにはθ=πとなるようにするように出力範囲5を仮想回転すれば良い。
反対に、ax1+b<y1であれば(図5(a))、基準直線6側を上に印刷するにはθ=πとなるように仮想回転し、基準直線6側を下に印刷するにはθ=0となるようにするように出力範囲5を仮想回転すれば良い。
【0028】
図6(b)は、a<0の場合のルールである。この場合は、表の角度が全て図6(a)と反対になるだけである。
なお、a=0の場合は仮想回転する必要はない。
【0029】
この発明の実施の形態2に係る地図情報処理システム200及び地図情報処理方法によれば、実施の形態1で述べた効果の他、簡単に天地を指定して印刷できる。
【0030】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3に係る地図情報処理システム300(以下、システム300という)及び地図情報処理方法を、実施の形態1、2と異なる部分を中心に、図を用いて説明する。
実施の形態1、2では用紙の一辺に対して、基準直線6が平行となるように印刷する例を示した。
本実施の形態では、出力範囲の長手方向を判別して印刷する方法を示す。
図7は、システム300のシステム構成図である。
図8(a)〜(c)は、本実施の形態における印刷例を示す図である。
もし、実施の形態2のシステム200を使用して、図8のような出力範囲5と基準直線6を設定したとすると、仮想回転ルールは、図6(b)による。この場合、印刷結果は図8(b)又は図8(c)のようになる。
【0031】
地図を印刷する場合、水平方向を長手方向としたい場合が多い。
そこで、システム300では、仮想回転結果、出力範囲の長手方向が印刷用紙の縦方向と平行となる場合は、出力範囲5を更に−π/2または+π/2だけ回転させて、図8(d)又は図8(e)となるように印刷する。
【0032】
出力範囲5の長手方向の判断は、地図表示部330に設けた縦横判定手段34が担当する。
仮想回転手段333が出力範囲5を仮想回転させる前に、縦横判定手段34は、出力範囲5の、基準直線6に平行な方向についての最大長と、基準直線6に垂直な方向についての最大長とを比較する。
出力範囲5の、基準直線6に垂直な方向についての最大長が、基準直線6に平行な最大長より大きい場合は、仮想回転手段333は、図6に示したルールからそれぞれ−π/2又は+π/2補正した値を仮想回転角度として、出力範囲5を仮想回転させる。
【0033】
この発明の実施の形態3に係る地図情報処理システム300及び地図情報処理方法によれば、自動的に、必ず出力範囲の長手方向を印刷用紙の指定する一辺に平行に印刷することができるので、印刷前に印刷結果を画面上でプレビューしてから更に回転する等の手間を省略することができる。
【0034】
なお、実施の形態2と組み合わせた場合は、印刷時に指定した天地方向を優先するか、自動判別した長手方向を優先するかを設定できるようにすれば良い。
【0035】
実施の形態4.
以下、この発明の実施の形態4に係る地図情報処理システム400(以下、システム400という)及び地図情報処理方法を、実施の形態1〜3と異なる部分を中心に図を用いて説明する。
図9は、システム400のシステム構成図である。
図10は、システム400における印刷例を示す図である。
実施の形態2及び実施の形態3では出力範囲5を仮想回転させるときのルールについて述べた。
実施の形態2及び実施の形態3では、出力範囲5に基準直線6が包含される場合や一部が含まれる場合は正しく判定できない。
そこで、この実施の形態4では、基準直線は仮想回転時の水平基準にのみ使用し、別途、上マーク7を設定することによって、基準直線6の位置に拘わらず、印刷時の天地を簡単に指定できる方法を採用する。
【0036】
システム400の地図表示部430には、出力範囲5を印刷するときに、用紙の上側となる側を指定するために用いる上マーク7を地図上にポイントする、天地指定手段35を備えている。
【0037】
次に、システム400を使用して、印刷時の天地方向を指定して出力範囲5を印刷する手順を説明する。
出力範囲5の指定は、これまで説明した各実施の形態と同様である。
基準直線6の設定は、出力範囲と重複しても構わない。
次に、基準直線6に対して、印刷時に用紙の上側にしたい領域側に上マーク7を設定する。この時の上マーク7の位置を(x2,y2)とする。
上マーク7が設定されると、仮想回転手段433は、基準直線6と出力範囲5の仮想回転角度を決定する。
【0038】
仮想回転ルールを図11に示す。
基準直線6をY=aX+bとするとき、上マーク7の座標(x2,y2)をX、Yに
代入し、基準直線6の傾きaが正の場合と、負の場合それぞれについて、y2とax2+bの大小によって4パターンに分かれる。
図10の場合は、a>0でありy2>ax2+bとなるので、θ=0となるように出力範囲5を仮想回転すればよい。
【0039】
この発明の実施の形態4に係る地図情報処理システム400及び地図情報処理方法によれば、実施の形態1の効果に加えて、地図上のどこにでも基準直線6を簡単に設定し、天地を指定した印刷ができる。
なお、この実施の形態4では、上マークとして説明したが、下マークとして、これが下側になるように仮想回転しても良い。
また、天地マークとして上下を別途指定しても良い。
更に、実施の形態3で説明した、回転角度の補正をしても良い。
【0040】
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5を、実施の形態1〜4と異なる部分を中心に図を用いて説明する。
図12は、この発明に係る地図情報処理システム500(以下、システム500という)のシステム構成図である。
これまで説明した各実施の形態では、出力範囲の領域指定方法について限定はしなかった。
本実施の形態では、出力範囲を平行四辺形(主に矩形で説明する)とし、更に基準直線を出力範囲の一辺とする構成とする。
【0041】
次に、システム500の具体的印刷工程を図を用いて説明する。
図13は、印刷時のシステム500の画面変遷と印刷イメージを示す図である。
まず、図13(a)に示すように、基準直線設定手段532によって基準直線506の始点を指定する。
次に、図13(b)に示すように、基準直線506の終点を指定する。ここで設定した基準直線506が、これから指定する出力範囲505の一辺にもなる。
【0042】
次に、図13(c)に示すように、出力範囲指定手段531により、基準直線506をマウスでドラッグし、図13(d)に示す出力範囲の終端を指定する。これによって、出力範囲505が確定する。
ここで、基準直線506自体は、ドラッグによって移動するのではなく、あくまで最初に設定した位置にあるものとする。
【0043】
次に、システム500の仮想回転手段533による仮想回転ルールについて説明する。
図14は実施の形態5における仮想回転ルールを示す図である。XY座標軸上で基準直線506を表す関数をY=aX+bとするとき、aが正である場合、aが負である場合について、それぞれ基準直線506を印刷用紙上側に表示するか、下側に表示するかで、条件設定は4通りに分かれる。
【0044】
図13に示す例では、a>0であり、基準直線506を上に印刷しているのでθ=0となるように、出力範囲505を右にθだけ仮想回転して印刷する。
【0045】
この発明の実施の形態5に係る地図情報処理システム500及び地図情報処理方法によれば、平行四辺形によって指定できる出力範囲であれば、基準直線506と、出力範囲505の指定を連続して簡単におこなえるという効果がある。
また、実施の形態4の天地指定手段35とは若干異なるが、基準直線506の印刷時における用紙上での上下関係を設定できる天地指定手段を備えれば、自動的に基準直線506側が印刷用紙の上側、又は下側となるように出力範囲505を印刷できるので、容易に天地も指定できる。
その他の実施の形態で説明した機能についても本実施の形態と矛盾しない限り組み合せ得ることは言うまでもない。
【0046】
実施の形態6.
以下、この発明の実施の形態6を、実施の形態1と異なる部分を中心に図を用いて説明する。
図15は、本実施の形態に係る地図情報処理システム600(以下、システム600という)のシステム構成図である。
図16(a)、(b)は、システム600における基準直線と出力範囲の指定状態を示す図である。
実施の形態5と同様に、基準直線606の指定が出力範囲605の境界線の指定を兼ねる場合の別形態を説明する。
【0047】
基準直線606の設定に引き続いて、基準直線606の終点から順に指定した点を結んで、出力範囲605を指定する。範囲の指定の終了ボタン(例えばESCキー等、図示せず)が押下されると、基準直線606の始点と最後にポイントした点とを結ぶ。
このようにして指定した範囲が出力範囲605である。
【0048】
出力範囲605の仮想回転方法及び、上下の指定、長手方向の判定についてはこれまで説明した実施の形態における指定方法、判定方法と組み合わせれば良い。
【0049】
なお、本実施の形態では、連続してポイントする点を結んだ多角形の最初の辺が基準直線606となる構成を示したが、必ずしも多角形である必要はなく、図16(b)に示すような、連続して指定する点(P1〜P4)を結ぶベジエ曲線であっても構わない。
この場合は、最初に指定する点P1と、2つ目に指定する点P2を結ぶ直線が基準直線606となり、出力範囲605の境界は、この2点を結ぶベジエ曲線となる。
この発明の実施の形態6に係る地図情報処理システム600及び地図情報処理方法によれば、地図上の出力範囲605を更に自由に設定できる。
【0050】
実施の形態7.
以下、この発明の実施の形態7を、実施の形態1〜実施の形態6と異なる部分を中心に図を用いて説明する。
図17は、本実施の形態に係る地図情報処理システム700(以下、システム700という)のシステム構成図である。
図18は、システム700における基準直線706と出力範囲705の指定手順を示す図である。
【0051】
これまで説明した実施の形態では、画面上の地図データにオーバーレイして基準直線及び出力範囲を設定していた。
本実施の形態では、地図上で直線状に描かれたオブジェクトを指定して当該オブジェクトを基準直線706として設定する。
【0052】
基準直線706と出力範囲705の指定手順について説明する。
まず、図18(a)に示すように、基準直線設定手段732を用いて、地図上の直線状のオブジェクトをマウスで指定する。
指定されたオブジェクトが太線で表示されて(図18(b))、当該オブジェクトが基準直線706であることが表示される。
次に、図18(c)に」示すように、出力範囲指定手段731を用いて、基準直線706で仕切られる領域の一方側に始点Q1を設定し、引き続き、他方の領域に終点Q2を設定する(図18(d))。
始点Q1から、基準直線706に平行な直線と垂直な直線を引き、終点Q2から、基準直線706に平行な直線と垂直な直線を引き、これら4辺で囲まれる部分が出力範囲705となる(図18(e))。
【0053】
出力範囲705の用紙上での天地の指定は、始点側を上側又は、下側に初期設定できるようにすれば良い。
また、これまでの各実施の形態で説明した機能は、この実施の形態で説明した機能と矛盾しない限り組み合わせ使用できる。
【0054】
この実施の形態に係る地図情報処理システム700及び地図情報処理方法によれば、地図上の既存の直線データを利用して簡単に基準直線706を設定することができる。
【0055】
実施の形態8.
以下、この発明の実施の形態8に係る地図情報処理システム及び地図情報処理方法を、図を用いて説明する。
図19(a)〜(d)は、本実施の形態に係る地図情報処理システムを用いて複数の出力範囲を指定し、印刷する過程を示す図である。
この実施の形態では、複数の出力範囲を纏めて1枚の用紙に印刷する。
この地図情報処理システムでは、実施の形態1〜実施の形態7で説明した方法によって、基準直線の設定及び出力範囲の指定を繰り返し実行し、最後にまとめて出力を実行する機能を地図表示手段及び地図印刷手段に備えている。
【0056】
図19(a)は、偶数の出力範囲を指定した場合、図19(b)は、奇数の出力範囲を指定した場合の、それぞれの画面上での基準直線と出力範囲の配置状態の一例を示している。
出力範囲の数が偶数の場合は、用紙を縦又は横に等分に分割する。
出力範囲の数が奇数の場合は、当該数に1を足して用紙の領域を分割すれば良い。
【0057】
また、図示しないが、用紙の領域と、その領域に印刷する出力範囲の大きさとがバランスを欠く場合には、用紙の領域に最適な大きさで印刷ができるよう、印刷時の大きさを自動調整する機能を地図表示手段に設けても良い。
【0058】
本実施の形態の地図情報処理システム及び地図情報処理方法によれば、複数の出力範囲を指定した場合でも、すべての出力範囲を自動的に用紙の一辺に対して水平になるように位置調整をして印刷できるので、従来のように、地図全体を回転して水平にしてからある出力範囲を切り取り、更に地図を回転して別の出力範囲を水平にして切り取り、これを繰り返して最後に全部の画像を組み合わせて印刷するというような煩わしい手間を省略することができる。
また、用紙にバランス良く複数の地図を印刷することができる。
【0059】
実施の形態9.
以下、この発明の実施の形態9について、図を用いて説明する。
図20は、本発明に係る地図情報処理システムでの印刷プレビュー画面を示す図である。
これまで説明した他の実施の形態でもプレビュー画面について一部言及したが、プレビュー画面では、用紙の向きやプレビュー画面に表示した出力範囲の更なる回転操作を行うことができる。また、マウス操作によって、出力範囲の拡大縮小を行うことができる。
【0060】
この発明の実施の形態9に係る地図情報処理システム及び地図情報処理方法によれば、更に簡単に所望の印刷結果が得られるよう印刷前に各出力範囲の大きさ等を変更することができる。
【0061】
なお、各実施の形態で説明した機能は、相互に矛盾しない限りにおいて組に合せて使用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
100,200,300,400,500,600,700 地図情報処理システム、
31,531,731 出力範囲指定手段、32,532,732 基準直線設定手段、
33,233,333,433,533 仮想回転手段、34 縦横判定手段、
35,735 天地指定手段、36 地図表示手段、38 地図印刷手段、
5,505,605,705 出力範囲、6,506,606,706 基準直線、
7 上マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニタに表示したXY軸を有する地図上に、閉じた一定の出力範囲を指定する出力範囲指定手段と、
前記地図上に任意の基準直線を設定する基準直線設定手段と、
前記基準直線と前記出力範囲の相対的位置関係を保持したまま、前記基準直線と前記出力範囲を、前記基準直線が前記X軸と平行となるように仮想回転させる仮想回転手段と、
前記仮想回転手段によって仮想回転させた前記出力範囲を、前記基準直線と出力媒体の任意の一辺とが平行になる位置関係で出力する地図出力手段とを備える地図情報処理システム。
【請求項2】
前記仮想回転手段は、前記基準直線と前記出力範囲の位置関係及び、
前記基準直線のXY座標上での傾きの正負の判定から、前記出力範囲を前記出力媒体に出力するときの天地関係を自動判別する請求項1に記載の地図情報処理システム。
【請求項3】
前記仮想回転手段は、前記出力範囲の長手方向を自動判別する請求項1又は請求項2に記載の地図情報処理システム。
【請求項4】
前記仮想回転手段は、前記地図上にポイントされた天地識別マークも前記基準直線及び前記出力範囲と共に仮想回転させ、前記天地識別マークが上マークの場合は、前記上マークが前記基準直線より上側になるように仮想回転させ、前記天地識別マークが下マークの場合は、前記下マークが前記基準直線より下側になるように仮想回転させる請求項1に記載の地図情報処理システム。
【請求項5】
前記基準直線は、連続して指定する最初の点と2番目の点を結ぶ直線であり、
前記出力範囲は、前記最初の点から連続して指定する3以上の点を順に直線又は曲線で結んだ範囲である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地図情報処理システム。
【請求項6】
前記出力範囲は多角形で囲まれる範囲であり、
前記基準直線は前記多角形の一辺である請求項5に記載の地図情報処理システム。
【請求項7】
前記出力範囲は四辺形で囲まれる範囲であり、
前記出力範囲指定手段は、前記基準直線設定手段が前記基準直線を設定した後に、前記基準直線をドラッグした軌跡によって前記出力範囲を指定する請求項1に記載の地図情報処理システム。
【請求項8】
前記仮想回転手段は、前記基準直線のある側を上として前記出力範囲を仮想回転させる請求項7に記載の地図情報処理システム。
【請求項9】
前記基準直線は、直線状の任意の地図オブジェクトであり、
前記出力範囲は、前記基準直線を挟んで存在する2点を対角線とし、前記出力範囲の長辺又は短辺が前記基準直線に平行な矩形である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地図情報処理システム。
【請求項10】
前記地図出力手段は地図印刷手段であって、前記出力媒体は印刷装置の用紙である請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の地図情報処理システム。
【請求項11】
前記地図出力手段は地図表示手段であって、前記出力媒体はモニタである請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の地図情報処理システム。
【請求項12】
前記地図表示手段は、
前記用紙の向きの指定と、
印刷前における前記出力範囲のπ/2単位での回転の指定と、
前記出力範囲の拡大縮小の指定の内
少なくとも1以上を制御する請求項11に記載の地図情報処理システム。
【請求項13】
前記地図表示手段は、複数の前記出力範囲を1枚の用紙に割り付ける請求項12に記載の地図情報処理システム。
【請求項14】
前記地図表示手段は、複数の前記出力範囲のそれぞれの大きさを、各前記出力範囲が割り付けられた印刷領域の大きさに合わせて自動拡大、又は自動縮小する請求項12又は請求項13に記載の地図情報処理システム。
【請求項15】
モニタに表示したXY軸を有する地図上に、閉じた一定の出力範囲を指定し、
前記地図上に任意の基準直線を設定し、
前記基準直線と前記出力範囲の相対的位置関係を保持したまま、前記基準直線と前記出力範囲を、前記基準直線が前記X軸と平行となるように仮想回転させ、
仮想回転させた前記出力範囲を、前記基準直線と出力媒体の任意の一辺とが平行になる位置関係で出力する地図情報処理方法。
【請求項16】
前記基準直線と前記出力範囲の位置関係及び、前記基準直線のXY座標上での傾きの正負を判定して前記出力範囲を前記出力媒体に出力するときの天地関係を自動判別する請求項15に記載の地図情報処理方法。
【請求項17】
前記出力範囲の長手方向を自動判別する請求項15又は請求項16に記載の地図情報処理方法。
【請求項18】
前記地図上にポイントされた天地識別マークも前記基準直線及び前記出力範囲と共に仮想回転させ、前記天地識別マークが上マークの場合は、前記上マークが前記基準直線より上側になるように仮想回転させ、前記天地識別マークが下マークの場合は、前記下マークが前記基準直線より下側になるように仮想回転させる請求項15に記載の地図情報処理方法。
【請求項19】
連続して指定する最初の点と2番目の点を結ぶ直線を前記基準直線とし、
前記最初の点から連続して指定する3以上の点を順に直線又は曲線で結んだ範囲を前記出力範囲とする請求項15乃至請求項18のいずれか1項に記載の地図情報処理方法。
【請求項20】
前記出力範囲は多角形で囲まれる範囲であり、
前記基準直線は前記多角形の一辺である請求項19に記載の地図情報処理方法。
【請求項21】
前記出力範囲は四辺形で囲まれる範囲であり、
前記基準直線を設定して、前記基準直線をドラッグした軌跡によって前記出力範囲を指定する請求項15に記載の地図情報処理方法。
【請求項22】
前記基準直線のある側を上として前記出力範囲を仮想回転させる請求項21に記載の地図情報処理方法。
【請求項23】
前記基準直線として、直線状の任意の地図オブジェクトを選択し、
前記基準直線を挟んで存在する2点を前記出力範囲の対角線として指定し、
前記出力範囲の長辺又は短辺が、前記基準直線に平行となるよう、矩形の前記出力範囲を指定する請求項15乃至請求項18のいずれか1項に記載の地図情報処理方法。
【請求項24】
前記出力媒体は、印刷装置の用紙である請求項15乃至請求項23のいずれか1項に記載の地図情報処理方法。
【請求項25】
前記出力媒体は、モニタである請求項15乃至請求項23のいずれか1項に記載の地図情報処理方法。
【請求項26】
前記用紙の向きの指定と、
印刷前における前記出力範囲のπ/2単位での回転の指定と、
前記出力範囲の拡大縮小の指定の内、
少なくとも1以上を制御してモニタにプレビューする請求項24に記載の地図情報処理方法。
【請求項27】
複数の前記出力範囲を1枚の用紙に割り付けて出力する請求項26に記載の地図情報処理方法。
【請求項28】
複数の前記出力範囲のそれぞれの大きさを、各前記出力範囲が割り付けられた印刷領域の大きさに合わせて自動拡大、又は自動縮小する請求項26又は請求項27に記載の地図情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−252027(P2012−252027A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122055(P2011−122055)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】