説明

地図表示処理装置、地図表示処理方法、コンピュータプログラム

【課題】地図情報として街区のレベルまで細分化した対応する背景表示用データを保持していなくても、地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画する。
【解決手段】本装置10では、地図における背景の描画に用いる各種背景種別ごとの背景表示用データと、地図上での所定位置における住所を求めるのに用いる住所算出用データと、に加え、住所算出用データに、背景表示用データが具備する描画対象情報を設定した街区表示用データをさらに記憶する手段を備える。ゆえに、地図の表示要求の受け付けに応じ、背景表示用データと街区表示用データを抽出し、最初に街区表示用データを用いて街区の描画を行なった後、引き続き前記背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なう。また、住所の算出要求の受け付けに応じ、住所算出用データを抽出し、この住所算出用データを用いて前記所定位置における住所の算出を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画する技術に係り、詳しくは、前記地図上での所定位置における住所を求めるのに用いる住所算出用データを利用して地図の見栄え向上のための街区を描画するようにした地図表示処理装置、地図表示処理方法、及び地図表示処理用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図表示処理装置として、GPS(Global Positioning System)装置と地図情報記憶部及び表示部とを備え、GPS装置によって測位した現在位置情報に基づいて地図情報記憶部より該当する地図情報を取得し、この地図情報に基づいた地図を表示部に表示するものがある。このような地図表示処理装置では、地図情報として背景表示用データを備え、この背景表示用データに基づいて、建物や公園、河川といった背景を描画し地図の表示を行なうと共に、現在位置情報に基づいて地図上に現在位置の表示を行なっている。たとえば、地図表示処理装置としてカーナビゲーション装置(以下、「カーナビ」という。)が搭載された車両では、地図情報と車両の現在位置情報とを表示装置(モニタ)上に表示する。
【0003】
このような地図表示処理装置においては、近年、地図の詳細化が求められ、街区のレベルまで細分化した背景を見栄え良く表示するようにしたものが知られている。
たとえば、地図データとして、住所の街区毎に1つの形状にして、街区と街区の間に道路がある場合は必ず道路の縁取り線と同一線で形状を表すことを特徴とした街区形状データと、街区と街区の間に存在する道路につながっている街区内の道路を、街区形状の線を街区の外側に向かってはみ出した形状とすることを特徴とした路地形状データと、を有し、街区と街区の間に存在する道路も、街区内に存在する道路も、視覚的に分かりやすく判別できるようにした技術がある。(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平9−305104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、地図上に街区を見栄え良く表示するためには、背景表示用データとして街区のレベルまで細分化した対応する背景表示用データを最初から保持していなければならない。したがって、地図情報として街区のレベルまで細分化した対応するデータを保持していないと、地図上に街区を表示することができない。
このように、地図情報として街区のレベルまで細分化した対応する背景表示用データを保持していなくても、地図上に街区を表示するようにした手段は、現在のところ提案されていない。
【0005】
また、地図表示処理装置においては、地図情報として住所算出用データを備え、地図上に現在位置に基づく住所を表示するようにもなっている。すなわち、住所算出用データは、所定の領域を特定する住所算出用のポリゴン形状データと、このポリゴン形状データに関連付けられた住所コード及び住所情報とによって構成されている。したがって、地図表示処理装置では、現在位置情報がポリゴン形状データによって特定される領域の内か外かによる内外判定によって、現在位置に基づく住所を求めている。なお、この住所算出用データは、地図上での背景表示とは全く関係の無い住所算出機能においてのみ用いられるものである。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、地図情報として街区のレベルまで細分化した対応する背景表示用データを保持していなくても、地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画するようにした仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の地図表示処理装置は、地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画するようにした地図表示処理装置であって、前記地図における背景の描画に用いる各種背景種別ごとの背景表示用データと、前記地図上での所定位置における住所を求めるのに用いる住所算出用データと、を記憶すると共に、前記背景表示用データと前記住所算出用データに加え、前記住所算出用データに、前記背景表示用データが具備する描画対象情報を設定した街区表示用データをさらに記憶する地図情報記憶手段と、前記地図の表示要求を受け付ける地図表示要求受付手段と、前記地図表示要求受付手段での表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して背景表示用データと街区表示用データを抽出し、最初に前記街区表示用データを用いて街区の描画を行なった後、引き続き前記背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なう背景描画手段と、前記背景描画手段で描画した街区描画情報及びその他の背景描画情報を、背景地図情報として出力する背景地図情報出力手段と、前記住所の算出要求(以下、「住所算出要求」という。)を受け付ける住所算出要求受付手段と、前記住所算出要求受付手段での住所算出要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して住所算出用データを抽出し、この住所算出用データを用いて前記所定位置における住所の算出を行なう住所算出手段と、前記住所算出手段で算出した住所情報を出力する住所情報出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の地図表示処理装置は、前記地図情報記憶手段が、前記街区表示用データに設定した描画対象情報として、同一階層のデータで複数の縮尺に応じた描画要否を指定可能な表示縮尺情報をさらに備え、前記背景描画手段は、前記地図表示要求受付手段での表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して前記街区表示用データに設定した表示縮尺情報を特定し、この表示縮尺情報における描画要否に基づいて縮尺に応じた描画を行なうものとしても良い。
【0009】
また、本発明の地図表示処理方法は、地図における背景の描画に用いる各種背景種別ごとの背景表示用データと、前記地図上での所定位置における住所を求めるのに用いる住所算出用データと、を記憶すると共に、前記背景表示用データと前記住所算出用データに加え、前記住所算出用データに、前記背景表示用データが具備する描画対象情報を設定した街区表示用データをさらに記憶する地図情報記憶手段を備え、地図表示処理装置において、前記地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画するようにした地図表示処理方法であって、前記地図表示処理装置が、前記地図の表示要求を受け付ける第1ステップと、前記地図表示処理装置において、前記第1ステップでの表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して背景表示用データと街区表示用データを抽出し、最初に前記街区表示用データを用いて街区の描画を行なった後、引き続き前記背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なう第2ステップと、前記第2ステップで描画した街区描画情報及びその他の背景描画情報を、背景地図情報として前記地図表示処理装置より出力する第3ステップと、前記地図表示処理装置が、前記住所の算出要求(以下、「住所算出要求」という。)を受け付ける第4ステップと、前記地図表示処理装置において、前記第4ステップでの住所算出要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して住所算出用データを抽出し、この住所算出用データを用いて前記所定位置における住所の算出を行なう第5ステップと、前記第5ステップで算出した住所情報を前記地図表示処理装置より出力する第6ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の地図表示処理方法は、前記地図情報記憶手段が、前記街区表示用データに設定した描画対象情報として、同一階層のデータで複数の縮尺に応じた描画要否を指定可能な表示縮尺情報をさらに備え、前記第2ステップが、前記第1ステップでの表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して前記街区表示用データに設定した表示縮尺情報を特定し、この表示縮尺情報における描画要否に基づいて縮尺に応じた描画を行なうものとしても良い。
【0011】
また、本発明のコンピュータプログラムは、地図における背景の描画に用いる各種背景種別ごとの背景表示用データと、前記地図上での所定位置における住所を求めるのに用いる住所算出用データと、を記憶すると共に、前記背景表示用データと前記住所算出用データに加え、前記住所算出用データに、前記背景表示用データが具備する描画対象情報を設定した街区表示用データをさらに記憶する地図情報記憶手段を備え、前記地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画することを実行させるためにコンピュータを、前記地図の表示要求を受け付ける手段、前記表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して背景表示用データと街区表示用データを抽出し、最初に前記街区表示用データを用いて街区の描画を行なった後、引き続き前記背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なう手段、前記描画した街区描画情報及びその他の背景描画情報を、背景地図情報として出力する手段、前記住所の算出要求(以下、「住所算出要求」という。)を受け付ける手段、前記住所算出要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して住所算出用データを抽出し、この住所算出用データを用いて前記所定位置における住所の算出を行なう手段、前記算出した住所情報を出力する手段、として機能させることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のコンピュータプログラムは、前記地図情報記憶手段が、前記街区表示用データに設定した描画対象情報として、同一階層のデータで複数の縮尺に応じた描画要否を指定可能な表示縮尺情報をさらに備えるとき、前記コンピュータを、前記表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して前記街区表示用データに設定した表示縮尺情報を特定し、この表示縮尺情報における描画要否に基づいて縮尺に応じた描画を行なう手段、としてさらに機能させるものとしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明の地図表示処理装置は、地図における背景の描画に用いる各種背景種別ごとの背景表示用データと、地図上での所定位置における住所を求めるのに用いる住所算出用データと、に加え、住所算出用データに、背景表示用データが具備する描画対象情報を設定した街区表示用データをさらに記憶する手段を備える。ゆえに、地図の表示要求の受け付けに応じ、背景表示用データと街区表示用データを抽出し、最初に街区表示用データを用いて街区の描画を行なった後、引き続き前記背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なうことができる。また、住所の算出要求の受け付けに応じ、住所算出用データを抽出し、この住所算出用データを用いて前記所定位置における住所の算出を行なうこともできる。
したがって、地図情報として街区のレベルまで細分化した対応する背景表示用データを保持していなくても、地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画するようにした仕組みを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る地図表示処理装置、地図表示処理方法、地図表示処理用のコンピュータプログラムの一例について説明する。
本発明に係る地図表示処理装置(以下、「本装置」という)10は、地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画することで地図の見栄えが向上するようにした装置である。
【0015】
<第1の実施の形態>
図1は、本装置を用いた地図表示処理システム(以下、「本システム」という)の一例を示す概略図である。
本システムは、図1に示すように、本装置10と、情報入力装置20と、表示装置30によって構成することができる。
情報入力装置20は、本装置10に対して地図の表示要求の入力を行なう装置であり、キーボードや、コマンド入力ボタンを選択するマウス等である。
また、本装置10は、出力した地図情報を表示する表示装置30を備える。この表示装置30は、いわゆるディスプレイ(モニタ)である。
【0016】
次に、本装置10の構成について説明する。
図2は、本装置10の一例を示すブロック構成図である。
本装置10は、図2に示すように、地図情報記憶部F1と、地図表示要求受付部11と、背景描画部12と、背景地図情報出力部13と、住所算出要求受付部14と、住所算出部15と、住所情報出力部16と、制御部Cと、を少なくとも有している。なお、図中の符号Bは、本装置10において制御信号、データ等を伝送するバスである。
【0017】
本装置10は、情報処理装置であればよく、たとえば、机上据え置きタイプのパーソナルコンピュータをはじめ、モバイルタイプのパーソナルコンピュータや、PND(Portable Navigation Device)や専用デバイス、携帯電話機などで実現される。また、本装置10は、図示しないが、CPU(中央処理装置)、プログラム記憶部、OS(オペレーティング・システム)、等を有する。また、本装置10は、図示しないが、CPU(中央処理装置)、プログラム記憶部、補助記憶装置、OS(オペレーティング・システム)、等を有する。
CPUは、プログラム記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに従い、本装置10の各構成要素を統制制御し、プログラム処理を実行する手段である。プログラム記憶部は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成され、本装置10が使用する各種コンピュータプログラムを記憶している手段である。
【0018】
地図情報記憶部F1は、地図における背景の描画に用いる各種背景種別ごとの背景表示用データと、この地図上での所定位置における住所を求めるのに用いる住所算出用データと、を記憶すると共に、背景表示用データと住所算出用データに加え、住所算出用データに、背景表示用データが具備する描画対象情報を設定した街区表示用データをさらに記憶する手段である。ここで、描画対象情報とは、描画順、描画色、塗り方といった背景表示用データが具備すべき全ての情報をいう。
【0019】
この際、背景表示用データは、線として描画される線形状データと、面として塗りつぶし表示されるポリゴン形状データとがあり、水域、緑地、鉄道、敷地界といった表示クラスごとにまとめられている。
また、住所算出用データは、所定の領域を示すポリゴン形状データと、住所コードとが関連付けられている。
【0020】
そして、街区表示用データは、地図上での背景表示とは全く関係の無い、住所算出機能においてのみ用いられる住所算出用データに描画対象情報を設定することで、所定の領域を特定する非表示の住所算出用のポリゴン形状データを、描画用のポリゴン形状データとして表示可能に利用するようにしたものである。すなわち、住所算出用データにおけるポリゴン形状データが、街区を表示する背景表示用データにおけるポリゴン形状データと近似していることに目を付け、住所算出用データが街区を表示する背景表示用データとして利用できるように、背景表示用データが具備する描画対象情報を住所算出用データに設定することで新たに生成した既存データの組合せからなる。
【0021】
図3は、地図情報記憶部F1に記憶されている情報の例を示す図である。
たとえば、図3に示す地図情報ファイルでは、背景表示用データと、住所算出用データと、街区表示用データと、が互いに関連付けてファイルを構成することを示している。背景表示用データには、線形状データ又はポリゴン形状データと、位置データ(緯度・経度情報)と、描画対象情報と、が互いに関連付けられている。また、住所算出用データには、ポリゴン形状データと、位置データ(緯度・経度情報)と、が関連付けられていると共に、このポリゴンの種別に合わせた都道府県コードや市区町村コードといった住所コード、及び住所情報が設定されている。さらに、街区表示用データには、ポリゴン形状データと、位置データ(緯度・経度情報)と、住所コードと、描画対象情報と、が互いに関連付けられている。
【0022】
したがって、地図の表示要求を受け付けると、その現在位置情報に基づいて地図情報記憶部F1を参照して位置データより該当する街区表示用データと背景表示用データを特定することができる。そして、この街区表示用データに基づくポリゴン形状データに応じた街区領域が描画対象情報にしたがって背景として描画すると共に、この背景表示用データに基づく線形状データ又はポリゴン形状データに応じた背景が描画対象情報にしたがって描画する。
また、現在位置情報に基づいて地図情報記憶部F1を参照して位置データより該当する住所算出用データを特定して取得することができる。そして、この住所算出用データに基づくポリゴン形状データの内外判定にしたがって、内側と判定されたポリゴン形状データに関連づけられた住所コードに基づき住所を求めることになる。
【0023】
なお、街区表示用データは、背景表示用データに、住所算出用データが具備する住所算出情報である住所コードを設定した(関連付けた)ものということもできる。
【0024】
地図表示要求受付部11は、地図の表示要求を受け付ける処理を行う。すなわち、情報入力装置20からの地図の表示要求の入力を受け付ける。
地図表示要求受付部11は、受け付けた表示要求を背景描画部12へ送信する。
【0025】
背景描画部12は、地図表示要求受付部11での表示要求の受け付けに応じ、地図情報記憶部F1を参照して背景表示用データと街区表示用データを抽出し、最初に街区表示用データを用いて街区の描画を行なった後、引き続き背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なう処理を行う。
背景描画部12は、描画を行なった街区描画情報、及びその他の背景描画情報を背景地図情報出力手段13へ送信する。
【0026】
背景地図情報出力部13は、背景描画部12で描画した街区描画情報、及びその他の背景描画情報を背景地図情報として出力する処理を行う。すなわち、背景地図情報出力手段13は、背景地図情報を本装置10より表示装置30へ出力する。
【0027】
住所算出要求受付部14は、住所の算出要求である住所算出要求を受け付ける処理を行う。すなわち、情報入力装置20からの住所算出要求を受け付ける。
住所算出要求受付部14は、受け付けた住所算出要求を住所算出部15へ送信する。
【0028】
住所算出部15は、住所算出要求受付部14での住所算出要求の受け付けに応じ、地図情報記憶部F1を参照して住所算出用データを抽出し、この住所算出用データを用いて所定位置における住所の算出を行なう処理を行う。
住所算出部15は、算出した住所情報を住所情報出力手段16へ送信する。
【0029】
住所情報出力部16は、住所算出部15で算出した住所情報を出力する処理を行う。すなわち、住所情報出力手段16は、住所情報を本装置10より表示装置30へ出力する。
【0030】
制御部Cは、CPU、ROM、RAM等を具備し、本装置10の各構成要素を統制制御し、その処理を実行する。
【0031】
次に、上述した地図表示処理方法を実施する本装置10の動作の一例を、図4を参照しながら説明する。図4は、本システムにおける地図表示処理の一例を示すフローチャートである。
【0032】
まず、地図表示要求受付部11が、情報入力装置20より入力した地図の表示要求を受け付ける(S10)。
次いで、背景描画部12が、地図表示要求受付部11での表示要求の受け付けに応じ、現在位置情報に基づいて地図情報記憶部F1を参照し、該当する背景表示用データと街区表示用データを抽出する(S20)。
引き続き、背景描画部12が、最初に、抽出した街区表示用データを用いて街区の描画を行なう(S30)。すなわち、背景描画部12が、街区表示用データが持つポリゴン形状データに基づき、設定した描画対象情報にしたがって所定の領域を街区として描画する。
さらに、背景描画部12が、抽出した背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なう(S40)。
そして、背景地図情報出力部13は、背景描画部12で描画した街区描画情報、及びその他の背景描画情報を、背景地図情報として表示装置30へ出力する(S50)。
【0033】
また、住所算出要求受付部14が、住所の算出要求である住所算出要求を受け付ける(S60)。
次いで、住所算出部15が、住所算出要求受付部14での住所算出要求の受け付けに応じ、地図情報記憶部F1を参照して住所算出用データを抽出する(S70)。
引き続き、住所算出部15が、抽出した住所算出用データを用いて所定位置における住所の算出を行なう(S80)。
そして、住所情報出力部16が、住所算出部15で算出した住所情報を表示装置30へ出力する(S90)。
これにより、本装置10での地図表示処理における一連の動作が終了する。
なお、これら一連の処理は、制御部Cでの統制制御により実行される。
【0034】
以上のように本実施の形態においては、背景表示用データと住所算出用データとを連続する同じ領域に配置すると共に、住所算出用データに、背景表示用データが具備する描画対象情報を設定した街区表示用データをさらに同じ領域に配置する。これにより、地図表示(背景描画)機能を使用する際は、全ての背景表示用データと街区表示用データを取得し、背景の描画順を特定して地図の表示を行い、また、住所算出機能を使用する際は、住所算出用データを取得して住所の表示を行うものとした。
したがって、地図情報として街区のレベルまで細分化した対応する背景表示用データを保持していなくても、住所算出用データのポリゴン形状データを表示可能として利用する街区表示用データのポリゴン形状データにより、地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画することができる。
【0035】
<第2の実施の形態>
また、本発明では、縮尺に応じた描画を行なうようにすることもできる。すなわち、上述した第1の実施の形態とは、縮尺に応じた描画要否を指定可能な表示縮尺情報を設定する機能を備える点で異なる。
なお、以下に述べる他の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第1の実施の形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
【0036】
本実施の形態において、地図情報記憶部は、街区表示用データに設定した描画対象情報として、同一階層のデータで複数の縮尺に応じた描画要否を指定可能な表示縮尺情報をさらに備える。この表示縮尺情報は、たとえば各縮尺に応じたスケールを表す表示縮尺フラグごとに、街区の描画対象とする描画要の場合は1を設定し、街区の描画対象としない描画不要の場合は0を設定する。
【0037】
背景描画部12は、地図表示要求受付部11での表示要求の受け付けに応じ、地図情報記憶部F1を参照して街区表示用データに設定した表示縮尺情報を特定し、この表示縮尺情報における描画要否に基づいて縮尺に応じた描画を行なう処理を行う。すなわち、同一階層のデータで各縮尺に応じた描画の可否を決定するために、各縮尺に応じて表示縮尺情報を設定し、この表示縮尺情報と指定されている縮尺を比較して、表示する対象のデータであるか否かを判定し、縮尺に応じた描画を行なうようにする。
【0038】
次に、上述した地図表示処理方法を実施する本装置10の動作の一例を、図5を参照しながら説明する。図5は、本システムにおける地図表示処理の他の一例を示すフローチャートである。
【0039】
まず、地図表示要求受付部11が、情報入力装置20より入力した地図の表示要求を受け付ける(S100)。
次いで、背景描画部12が、地図表示要求受付部11での表示要求の受け付けに応じ、現在位置情報に基づいて地図情報記憶部F1を参照し、該当する街区表示用データに設定した表示縮尺情報を特定する(S110)。
引き続き、背景描画部12が、特定した表示縮尺情報に基づいて、街区の描画要否を判定する(S120)。すなわち、同一階層のデータで各縮尺に応じた描画の可否を決定するために、各縮尺に応じて表示縮尺情報を設定し、この表示縮尺情報と指定されている縮尺を比較して、表示する対象のデータであるか否かを判定する。
【0040】
その結果、背景描画部12が、描画要と判定した場合(Y)、さらに、背景描画部12が、該当する背景表示用データと街区表示用データを抽出する(S130)。
一方、背景描画部12が、描画不要と判定した場合(N)、背景描画部12は、該当する背景表示用データを抽出する(S170)。
【0041】
また、背景描画部12が、背景表示用データと街区表示用データを抽出すると、背景描画部12は、最初に抽出した街区表示用データを用いて背景として縮尺に応じた街区の描画を行なう(S140)。
さらに、背景描画部12が、抽出した背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なう(S150)。
そして、背景地図情報出力部13は、背景描画部12で描画した街区描画情報、及びその他の背景描画情報を背景地図情報として表示装置30へ出力する(S160)。
【0042】
一方、背景描画部12が、背景表示用データだけを抽出すると、背景描画部12は、抽出した背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なう(S180)。
そして、背景地図情報出力部13は、背景描画部12で描画した背景描画情報を背景地図情報として出力する(S190)。
【0043】
また、住所算出要求受付部14が、住所の算出要求である住所算出要求を受け付ける(S200)。
次いで、住所算出部15が、住所算出要求受付部14での住所算出要求の受け付けに応じ、地図情報記憶部F1を参照して住所算出用データを抽出する(S210)。
引き続き、住所算出部15が、抽出した住所算出用データを用いて所定位置における住所の算出を行なう(S220)。
そして、住所情報出力部16が、住所算出部15で算出した住所情報を表示装置30へ出力する(S230)。
これにより、本装置10での地図表示処理における一連の動作が終了する。
なお、これら一連の処理は、制御部Cでの統制制御により実行される。
【0044】
以上のように本実施の形態においては、縮尺に応じた描画要否を指定可能な表示縮尺情報を設定することで、見栄えの良く地図の表示を行なうようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、地図表示機能を備えたデバイスを扱う業種において産業上有用であり、地図の見栄え向上のために街区を描画するようにしたカーナビゲーション装置等の電化製品市場においても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る地図表示処理装置を用いた地図表示処理システムの一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る地図表示処理装置の実施形態の一例を示すブロック構成図である。
【図3】本発明に係る地図表示処理装置が備える記憶部に記憶されている地図情報ファイルの構造を示す一例である。
【図4】本発明に係る地図表示処理装置での地図表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る地図表示処理装置での地図表示処理の他の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
C 制御部、F1 地図情報記憶部(第1記憶手段)、10 地図表示処理装置、11 地図表示要求受付部、12 背景描画部、13 背景地図情報出力部、14 住所算出要求受付部、15 住所算出部、16 住所情報出力部、20 情報入力装置、30 表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画するようにした地図表示処理装置であって、
前記地図における背景の描画に用いる各種背景種別ごとの背景表示用データと、前記地図上での所定位置における住所を求めるのに用いる住所算出用データと、を記憶すると共に、前記背景表示用データと前記住所算出用データに加え、前記住所算出用データに、前記背景表示用データが具備する描画対象情報を設定した街区表示用データをさらに記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図の表示要求を受け付ける地図表示要求受付手段と、
前記地図表示要求受付手段での表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して背景表示用データと街区表示用データを抽出し、最初に前記街区表示用データを用いて街区の描画を行なった後、引き続き前記背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なう背景描画手段と、
前記背景描画手段で描画した街区描画情報及びその他の背景描画情報を、背景地図情報として出力する背景地図情報出力手段と、
前記住所の算出要求(以下、「住所算出要求」という。)を受け付ける住所算出要求受付手段と、
前記住所算出要求受付手段での住所算出要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して住所算出用データを抽出し、この住所算出用データを用いて前記所定位置における住所の算出を行なう住所算出手段と、
前記住所算出手段で算出した住所情報を出力する住所情報出力手段と、
を備えることを特徴とする地図表示処理装置。
【請求項2】
前記地図情報記憶手段は、前記街区表示用データに設定した描画対象情報として、同一階層のデータで複数の縮尺に応じた描画要否を指定可能な表示縮尺情報をさらに備え、
前記背景描画手段は、前記地図表示要求受付手段での表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して前記街区表示用データに設定した表示縮尺情報を特定し、この表示縮尺情報における描画要否に基づいて縮尺に応じた描画を行なう、
ことを特徴とする請求項1に記載の地図表示処理装置。
【請求項3】
地図における背景の描画に用いる各種背景種別ごとの背景表示用データと、前記地図上での所定位置における住所を求めるのに用いる住所算出用データと、を記憶すると共に、前記背景表示用データと前記住所算出用データに加え、前記住所算出用データに、前記背景表示用データが具備する描画対象情報を設定した街区表示用データをさらに記憶する地図情報記憶手段を備え、地図表示処理装置において、前記地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画するようにした地図表示処理方法であって、
前記地図表示処理装置が、前記地図の表示要求を受け付ける第1ステップと、
前記地図表示処理装置において、前記第1ステップでの表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して背景表示用データと街区表示用データを抽出し、最初に前記街区表示用データを用いて街区の描画を行なった後、引き続き前記背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なう第2ステップと、
前記第2ステップで描画した街区描画情報及びその他の背景描画情報を、背景地図情報として前記地図表示処理装置より出力する第3ステップと、
前記地図表示処理装置が、前記住所の算出要求(以下、「住所算出要求」という。)を受け付ける第4ステップと、
前記地図表示処理装置において、前記第4ステップでの住所算出要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して住所算出用データを抽出し、この住所算出用データを用いて前記所定位置における住所の算出を行なう第5ステップと、
前記第5ステップで算出した住所情報を前記地図表示処理装置より出力する第6ステップと、
を含むことを特徴とする地図表示処理方法。
【請求項4】
前記地図情報記憶手段は、前記街区表示用データに設定した描画対象情報として、同一階層のデータで複数の縮尺に応じた描画要否を指定可能な表示縮尺情報をさらに備え、
前記第2ステップは、前記第1ステップでの表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して前記街区表示用データに設定した表示縮尺情報を特定し、この表示縮尺情報における描画要否に基づいて縮尺に応じた描画を行なう、
ことを特徴とする請求項3に記載の地図表示処理方法。
【請求項5】
地図における背景の描画に用いる各種背景種別ごとの背景表示用データと、前記地図上での所定位置における住所を求めるのに用いる住所算出用データと、を記憶すると共に、前記背景表示用データと前記住所算出用データに加え、前記住所算出用データに、前記背景表示用データが具備する描画対象情報を設定した街区表示用データをさらに記憶する地図情報記憶手段を備え、前記地図の表示における背景として街区領域を効率良く描画することを実行させるためにコンピュータを、
前記地図の表示要求を受け付ける手段、
前記表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して背景表示用データと街区表示用データを抽出し、最初に前記街区表示用データを用いて街区の描画を行なった後、引き続き前記背景表示用データを用いてその他の背景の描画を行なう手段、
前記描画した街区描画情報及びその他の背景描画情報を、背景地図情報として出力する手段、
前記住所の算出要求(以下、「住所算出要求」という。)を受け付ける手段、
前記住所算出要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して住所算出用データを抽出し、この住所算出用データを用いて前記所定位置における住所の算出を行なう手段、
前記算出した住所情報を出力する手段、
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記地図情報記憶手段が、前記街区表示用データに設定した描画対象情報として、同一階層のデータで複数の縮尺に応じた描画要否を指定可能な表示縮尺情報をさらに備えるとき、前記コンピュータを、
前記表示要求の受け付けに応じ、前記地図情報記憶手段を参照して前記街区表示用データに設定した表示縮尺情報を特定し、この表示縮尺情報における描画要否に基づいて縮尺に応じた描画を行なう手段、
としてさらに機能させることを特徴とする請求項5に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−276449(P2009−276449A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125988(P2008−125988)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(507052430)キャンバスマップル株式会社 (77)
【Fターム(参考)】