説明

地震および台風に対する保護モジュール

【課題】 本発明は、地震、台風またはテロ攻撃および建物の倒壊の際に人命を救済するための、地震、台風および他の自然災害や犯罪による災害に対して保護を供する個人用モジュールに関する。本発明による保護モジュールは、極めて丈夫な材料で構築された変形しない構造を有する平行六面体のフレームで構成され、外側に抵抗力のある空気力学的なカバーを備えている。前述した構造の5つの面は閉鎖されていて、第6の面には摺動式の保護装置が供される。さらに本発明は、酸素、水の備蓄、電子的な照明、通信、警報、ガイド(位置確認)システム、およびバッテリーを備えている。その変形しない、または変形しにくい構造により、本モジュールは、地震、台風および他の自然災害または犯罪による災害の最中に、人の生命および身体の完全性を保護するために定点に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「地震および台風に対する保護モジュール」は、建物の倒壊および傷害の恐れのある種々の物体の危険な移動、または強い突風により人命を危機にさらすことを保護する、地震、台風、または他の自然災害または犯罪行為の際に、人命を救済するために考え出された、個人用の装置である。
【0002】
本モジュールは、任意の材料で建設された個人住宅または集合住宅においても、また社会文化的または工業的な建物においても用いることができる。主要な使用分野は、既存の建物、特に、地震および台風に対する保護が全くなされていないか、不充分であり、したがって、建物の強度が低い、最も古い建物から構成される。
【背景技術】
【0003】
現時点において、建物の倒壊に際した個人用の保護モジュールは存在せず、建物全体、または建物の一部について、種々の方法で対策がとられている:
−現行の技術規定に従った建物の強度構造計算によるもの、
−骨組み、または建物の強度を与える他の要素を必要以上に大きくすることによるもの、
−建物の破壊をもたらす力を分散または変換させる役割を有するゴム製の弾性支持体に建物を押し付けることによるもの、
−隣接する2つの建物の間隙にゴム製の膜を流し込み、これらが共振することを防ぐことによるもの。
【0004】
これらの対策は、これらが新築の建築物にのみ適用することができ、最近のものでも古いものでも既存の建築物には適用できないという不都合を有する。
【0005】
古い建物に関しては、強度構造を強化することができるが、これは高価で、多くの時間を要し、すべてのケースについて適用できるものではなく、そして、この間に賃借人に極めて大きな不便または引越をもたらすという不都合を有する、極めて複雑な作業である。
【0006】
細かいことではあるが、新築の建物の場合、その小さな寸法のためにより変形しにくく、したがって破壊されにくい、小部屋の補強を行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの対策は建物の倒壊を遅延または回避することしかできず、破壊力がこれらの対策の保護能力を上回った場合に、人々の生命を直接保護しないという不都合を示す。
【0008】
地球上の地震が多い地域では、外出禁止令を流し、特に、転倒し得る物体および家具を離し、机、デスク、およびドア枠などの下に退避することを含む保護対策を行う。台風の際には、建物の地下、またはより強固な小部屋に退避することが推奨されるが、すべての建物が、地下室や補強された部屋を有するわけではない。
【0009】
これらの対策のいずれも、建物が破壊された際において、人々の生命の救済を保証しない。
【0010】
強化された建物も、一時的な保護策も、建物の倒壊または傷害の恐れのある物体の制御されない移動の際に身体が潰される危険を回避することができず、また、台風の際に安定性および人の保護を保証しない。
【0011】
さらに、自然災害および犯罪による災害に関して取られる対策および製造された機器の多くは、生存者の位置確認および救助を目的としたものであり、災害が発生した後における人の救出および保護の技術である。
【0012】
これらすべての技術は、事象に巻き込まれた人への災害の影響を防ぐことができず、事象の最中の生命および身体の完全性を保護せず、災害が発生した後にのみ生存者にかかわるに過ぎず、そして、その身体の完全性を保証できないという不都合を示す。
【0013】
テロ攻撃の場合、影響は不意に生じ、ある場合には、攻撃が迫っていることに関する情報は、それが発生する直前に受け取られ、そして、一般的に、意に反してこれらの事象に巻き込まれた人にとって、逃げ道はわずかしかない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
「地震および台風に対する保護モジュール」は、個人用の保護装置であって、建物の倒壊および/もしくは居住者をその直接の作用にさらすことをもたらす、地震、台風などの自然災害または犯罪行為が生じている最中にその目的を達成し、これにより使用者が負傷しまたは命を失うことを回避するものである。
【0015】
提供される保護は、複数のレベルに及ぶ。
【0016】
・警報−地震が切迫していることをリアルタイム警報システムにより通知し、そして使用者がモジュール内部の保護された領域に配置することを可能にする。
【0017】
・機械的保護−制御されずに移動している傷害の恐れのある物体との接触、または災害中に激しく移動する大量の空気の作用に直接さらされることを回避し、そうすることにより、現在まで知られた類似の状況に比べて生存者数の大幅な増加をもたらし、また、その身体の完全性を確保する
・安定性−地面の定点に対するモジュールの強固な固定、およびそのカバーの空気力学的形態により本モジュールは不動となり、これによって、それが保護する者の安定性を確保する。
【0018】
・生存のための環境−地震および台風に対する保護モジュール内に備えられた酸素および水の備蓄の利用により、孤立した場所、および劣化した大気中での生存期間を顕著に増加させる。
【0019】
・心理的サポート−必要に応じて利用できる電気ランプ、および生存のための指示を流し、防災組織の発表の受信、および、親しい者、警察および救助隊との恒常的な連絡を保証する通信モジュールによるサポート。
【0020】
・迅速な位置確認−瓦礫の下にいる人の救出の際、救助隊は、その作業の最初から、地震および台風に対する保護モジュール内に備えられた電子標識により、生存者の数および位置に関する情報を得、この情報は、非常用電話の利用により確認することができる。この方法により、救助隊は目標地点に迷わず到達することができ、これにより掘削の時間を短縮し、闇雲に掘削することを防ぐことができるが、これは2重の利益をもたらす。各地点に費やす時間を節約すること、および救助者の力を温存することである。
【0021】
・救助作業中の保護−救出作業自体の間に生存者が負傷することを防ぐ。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以下の利点を示す:
・自然災害または犯罪による災害の際に各人の生命を個々に保護し、瓦礫の下に閉じ込められた人々の救助までの生存を可能にする。
【0023】
・生存者の存在、その識別情報および生存者の正確な居場所を知らせることにより、救助隊による生存者の迅速な救助が可能となり、救出の時間、労力および手段が節約される。
【0024】
・生存者の身体的な完全性を保護し、これにより、生存者は、重大な外傷を受けることなく、かつ、正常に近い代謝機能を有した状態で救出されることができる。
【0025】
・救助者および親しい者との恒常的な通信を確保することにより、閉じ込められている間、救助者の気力を維持する。
【0026】
・生存者との直接的な通信により、救助者は、目標とする区域についての補足的な情報を得る。
【0027】
・生存者を救助の最中に保護することにより、この作業がより容易に、したがって、より迅速になる。
【0028】
・本モジュールが与える安心感により、保護されているという感覚が得られ、あらゆる事象を前にしてもパニックが防がれる。
【0029】
・簡単に設置、使用することができ、すべての希望者が入手可能な、安全のための主要な要素である。
【0030】
・強化されておらず、地震および台風に対して高い危険性を示す古い建物においても、多少良好な保護措置がなされた新しい建物においても、個人レベルで利用する追加の安全要素として使用することができる。
【0031】
・建物の他の区域、例えば、エレベーター、クローゼットなどを保護するために、拡張し、適合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
「地震および台風に対する保護モジュール」は、極めて丈夫な材料を用いて変形しない構造に作製された平行六面体フレーム(1)で構成され、内部には寝椅子(2)と、生存のための設備とが備えられ、外部は5つの面が閉じられており、第6の面に摺動可能な開閉装置(3)が備えられている。台風に対する保護を達成する目的で、外部カバーは、モジュールの安定性を確保するために、空気力学的断面を有する。また、この目的のために、本モジュールは定点に固定される。
【0033】
極めて丈夫な材料で構築された平行六面体フレーム(1)は、成人1人にとって十分な生存空間を保護する。該フレームは、5つの面が閉じられているが、第6の面は人が内部にアクセスすることを可能にするものであり、その者は、フレームに接続された寝椅子(2)に快適に腰掛け、保護された空間内に安全ベルトで自らを固定することができ、その後、その面は、摺動式の保護装置(3)を移動させることによって閉じることができる。生存空間内に存在する者が、建物の倒壊の最中にモジュールの内壁に偶然衝突した場合にこの者を保護するため、内壁および平行六面体フレームは、内側がマットレス状になっている。
【0034】
生存のための設備は、内部にいる者の邪魔にならないように、または、衝撃の最中に移動しないように保護空間内に強固に固定されており、起こり得る重大な埃および煙の放出にもかかわらず正常な呼吸を確保する医療用酸素チューブに接続された酸素マスク(4’)、救出作業の完了まで脱水を回避することを可能にする、備蓄水に接続された給水器(5’)、暗中におけるモジュールの修理を可能にし、パニックを回避する役割の電気ランプ(6)、通信モジュール(7)および、使用者に事象の開始の切迫、およびこの事象が終わったことを知らせる、建物の電気設備に常時接続している蓄電池(9)により給電されるリアルタイム警報システム(8)から構成される。
【0035】
通信モジュール(6)は、電気が停止した時点から発信を開始する電子標識、事前に録音された生存のための指示および防災機関の指示を流す電子装置、ならびに、外部との連絡を維持し、情報の不足によるパニックを回避するための非常電話から構成される。
【0036】
地震および台風に対する保護モジュールはまた、耐火層により保護されていてもよく、そして、他の生存のための設備または備蓄食料を備えていてもよい。
【0037】
自然災害または犯罪による災害の切迫を、リアルタイム警報装置により通知され、または、個人的に察知すると、使用者は、平行六面体フレーム(1)により保護された空間内に身を置き、寝椅子(2)に快適に腰掛け、安全ベルトを締め、進入口(3)を摺動させて閉鎖し、顔に酸素マスク(4’)をつけ、危機的な状況の終わりと救助隊の到着とを待つ。脱水を回避するために、使用者は給水器(5’)を用いて水を飲む。
【0038】
事象発生時には、地域配電網からの給電の、偶発的な、または手動による停止が生じるが、これにより電気ランプ(6)および通信モジュール(7)が起動し、モジュールの位置および識別ポイントを電子標識を介して伝達し、モジュール内にいる者に生存のための指示を流し、そして救助者の到着まで外部との連絡を確保する。リアルタイム警報システム(8)を含む電気設備の自律性は、バッテリー(9)により確保される。救助者は、電子標識を利用し、これにより提供される補足的な情報(例えば強い匂いのするガスなど)に支援され、非常電話を用いて、最短の時間で生存者のもとへ到達する。生存者は、発見されると、無傷かつ健康な状態でそのモジュールを出る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【符号の説明】
【0040】
1 平行六面体フレーム
2 寝椅子
3 摺動式保護装置、 開閉装置
4 酸素チューブ
4´ 酸素マスク
5 備蓄水
5´ 給水器
6 電気ランプ
7 通信モジュール
8 リアルタイム警報装置
9 バッテリー、 蓄電池


【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震および台風に対する保護モジュールであって、
・地震、台風、もしくはその他の自然災害または犯罪による災害の際に、使用者の生命および身体の完全性の個別的保護、
・生存者の位置確認および迅速な救助、
・救助者の到着までの生存、
・外部および救助隊との通信、
・救助作業中の個々人の保護
を確保する目的で、空気力学的な層により被覆され、極めて丈夫な材料で構築され、一人用の生存空間を保護し、寝椅子(2)を備え、その面のうち5つが閉鎖され、第6の面に、一人の人間の、内部の保護区域への侵入と滞在とを可能にする摺動式保護装置(3)を有する、機械的保護のための平行六面体フレーム(1)から構成され、該保護空間は、生存のための設備、すなわち酸素チューブ(4)および酸素マスク(4’)、備蓄水(5)および給水器(5’)、バッテリー(9)により給電される、電気ランプ(6)、通信モジュール(7)およびリアルタイム警報システム(8)を備えていることを特徴とする、保護モジュール。


【公表番号】特表2007−537982(P2007−537982A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532164(P2006−532164)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/RO2004/000009
【国際公開番号】WO2005/003475
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(505425281)
【出願人】(505425292)
【Fターム(参考)】