説明

垂直磁気記録媒体の検査方法及びその検査装置

【課題】垂直磁気記録媒体の媒体ノイズ成分を、分離して、垂直磁気記録媒体の性能を検査する装置において、媒体ノイズ成分を、正確に分離して、検出し、エラーレートの低減を図る。
【解決手段】磁気ヘッド(1)の再生波形から得た垂直磁気記録媒体(8)の媒体ノイズ成分から、磁化の転移点に依存するジッタノイズと、T50ノイズと、直流成分に乗るDC(直流)ノイズを、相関行列により、分離して、検出する。媒体ノイズ成分からノイズパワーを検出するための線形分離式に、DCノイズ成分の基底行列を付加することにより、最小二乗法で、DCノイズを、他の磁化遷移点変動に依存する媒体ノイズと分離して、検出する。このため、垂直磁気記録媒体の性能を正確に評価でき、垂直磁気記録媒体のエラーレートの低減に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直磁気記録媒体の再生特性に影響する媒体ノイズの検査を行うための垂直磁気記録媒体の検査方法及びその装置に関し、特に、媒体ノイズの成分を高精度に分離するための垂直磁気記録媒体の検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク等の磁気記憶媒体を用いた磁気記憶装置は、広く利用されている。この磁気記憶装置には、大型化せずに、大容量の装置が、要求されている。
【0003】
磁気記憶装置には、磁気記憶媒体に水平方向の磁区を記録する水平記録(又は面内記録)方式が、広く利用されている。
【0004】
一方、垂直記録方式は、磁気記憶媒体に、面と垂直方向に磁区を記録するものであり、記憶密度の向上が期待されている。この垂直記録を行うには、水平記録媒体とは異なる垂直記録媒体が使用される。このため、水平記録媒体と同様に、垂直記録媒体でも、再生信号のS/N比に影響する媒体ノイズを解析し、その媒体の評価又は検査を行う必要がある。
【0005】
図16は、面内記録方式の媒体ノイズの説明図である。面内記録では、再生波形は、データの「1」、「0」に応じた信号レベルを示す。この再生波形の媒体ノイズとして、ジッタノイズと、T50ノイズが、S/N比に影響するものとして知られている。ジッタノイズは、理想転移点からの再生波形の転移点の変動により、再生波形にジッタ状のノイズとして、現れるものである。
【0006】
又、T50ノイズは、再生波形の転移幅は、理想幅から変動することにより、ノイズとして現れるものである。いずれも、磁気記憶媒体の特性により、変動する。
【0007】
このような観点から、垂直磁気記録媒体において、媒体の評価又は検査のため、ジッタノイズとT50ノイズを検査し、エラーレートを評価する方法が、提案されている(例えば、非特許文献1)。
【0008】
図17は、従来の垂直記録媒体における媒体ノイズの説明図、図18は、図17の従来の媒体ノイズの測定処理の説明図である。
【0009】
図17に示すように、垂直記録においては、再生出力としての再生波形は、データの変化点に、レベル変化を示す。このため、水平記録と同様に、ジッタノイズと、T50ノイズが、S/N比に影響する。ジッタノイズは、理想転移点からの再生波形の転移点の変動であり、T50ノイズは、再生波形のレベルの±50%のレベルの再生波形の幅であり、転移幅の変動である。
【0010】
図18に示すように、このジッタノイズ及びT50ノイズを測定するため、相関行列を作成し、最小2乗法により、そのノイズパワーを測定することが、前述のように、提案されている。即ち、図15に示すように、垂直記録媒体のデータを読み取った実測波形から、媒体ノイズの相関行列Rを作成する(S100)。次に、ノイズモデルを、ジッタノイズ及びT50ノイズの相関行列Rj,Rwで規定し、線形分離式Rを仮定し、S100で得られた媒体ノイズの相関行列Rと線形分離式Rとから、最小二乗法により、各相関行列の各係数を算出する(S102)。更に、その係数を用いて、各ノイズのノイズパワーを算出する(S104)。
【0011】
このようにして、垂直記録媒体のジッタノイズ及びT50ノイズのノイズパワーを測定し、垂直記録媒体の磁気粒子や、層厚等の分析を行う。
【非特許文献1】論文「垂直磁気記録方式における媒体ノイズのモード解析」著者 中川健他3名、信学技法MR2002−61、2002年12月電子情報通信学会発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術では、垂直記録媒体の再生波形の変化点の位置や、傾きの測定により、媒体ノイズを評価し、垂直記録媒体の評価や検査を行っていた。
【0013】
しかしながら、垂直磁気記録方式では、再生信号に直流成分を持つことから、従来の垂直記録媒体の再生波形の変化点の位置や、傾きの測定による媒体ノイズを評価する方法では、垂直記録媒体の特性による直流成分の変動によるノイズを評価することが困難であった。
【0014】
即ち、垂直磁気記録方式では、再生信号の直流成分に、媒体ノイズが乗ることは知られていたが、その直流成分に載るDC(直流)ノイズが、どれだけ、エラーレートに影響するかの検討はなされていなかった。このことは、媒体ノイズの評価や検査のため、DCノイズを、高精度に分離することが、困難であった。
【0015】
従って、本発明の目的は、垂直磁気記録媒体の再生信号の直流成分に乗るノイズを高精度に分離して、検出するための垂直記録媒体の検査方法及びその装置を提供することにある。
【0016】
又、本発明の他の目的は、垂直磁気記録媒体の再生信号から遷移点ノイズと、直流成分に乗るノイズとを分離して、検出するため垂直記録媒体の検査方法及びその装置を提供することにある。
【0017】
更に、本発明の他の目的は、垂直磁気記録媒体の再生信号から遷移点ノイズと、直流成分に乗るノイズとを分離して、検出するとともに、非対称なノイズも検出するため垂直記録媒体の検査方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的の達成のため、本発明の垂直磁気記録媒体の媒体ノイズを検査する垂直磁気記録媒体の検査方法は、前記垂直磁気記録媒体から磁気ヘッドにより記録データを読み取り、再生波形を得るステップと、コンピュータにより、前記再生波形から媒体ノイズ成分を抽出し、前記媒体ノイズの相関行列を作成するステップと、コンピュータにより、磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の係数を計算するステップと、コンピュータにより、前記各係数を用いて、磁化遷移点ノイズ成分のパワーと、DCノイズ成分のパワーとの各々を計算するステップとを有する。
【0019】
又、本発明の検査装置は、垂直磁気記録媒体の媒体ノイズを検査する垂直磁気記録媒体の検査装置において、前記垂直磁気記録媒体から記録データを読み取り、再生波形を得るための磁気ヘッドと、前記再生波形から媒体ノイズ成分を抽出し、前記媒体ノイズの成分を計算するコンピュータとを有し、前記コンピュータは、前記抽出した媒体ノイズから、前記媒体ノイズの相関行列を作成し、磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の係数を計算し、前記各係数を用いて、磁化遷移点ノイズ成分のパワーと、DCノイズ成分のパワーとの各々を計算する。
【0020】
更に、本発明では、好ましくは、前記係数計算ステップは、前記垂直磁気記録の各極性の磁化遷移点ノイズに関する相関行列と前記各極性のDCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の各極性の係数を計算するステップからなる。
【0021】
更に、本発明では、好ましくは、前記係数計算ステップは、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列と前記DCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列との差の二乗式を、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と前記DCノイズに関する相関行列の係数との各々で、偏微分計算するステップと、前記偏微分計算で得られた方程式から、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と前記DCノイズに関する相関行列の係数を計算するステップとからなる。
【0022】
更に、本発明では、好ましくは、前記係数計算ステップは、前記磁化遷移点ノイズに関する基底行列と前記DCノイズに関する基底行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の係数を計算するステップからなる。
【0023】
更に、本発明では、好ましくは、前記パワー計算ステップは、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と、前記DCノイズに関する相関行列の係数と、前記基底行列の対角成分とを用いて、前記磁化遷移点ノイズ成分のパワーと、前記DCノイズ成分のパワーとの各々を計算するステップからなる。
【0024】
更に、本発明では、好ましくは、前記計算したノイズ成分のパワーを、前記基底行列の対角成分を直行座標として、視覚化装置に出力するステップを更に有する。
【0025】
更に、本発明では、好ましくは、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列は、前記磁化遷移点の変動に関するジッタノイズの相関行列と、前記磁化遷移点の傾きの変動に関するT50ノイズの相関行列とからなる。
【0026】
更に、本発明では、好ましくは、前記媒体ノイズの相関行列を作成するステップは、複数ブロックの前記再生波形の平均波形を計算するステップと、前記再生波形から前記平均波形を差し引き、前記媒体ノイズ成分を抽出し、前記媒体ノイズの相関行列を作成するステップとからなる。
【0027】
更に、本発明では、好ましくは、前記再生波形を得るステップは、前記垂直磁気記録媒体に前記磁気ヘッドにより複数ブロックの記録データを書き込むステップと、前記書込み後、前記垂直磁気記録媒体から磁気ヘッドにより記録データを読み取り、再生波形を得るステップからなる。
【0028】
更に、本発明では、好ましくは、前記再生波形を得るステップは、回転する前記垂直磁気記録媒体から前記磁気ヘッドにより記録データを読み取り、再生波形を得るステップからなる。
【発明の効果】
【0029】
垂直磁気記録媒体の媒体ノイズを、磁化の転移点に依存するジッタノイズと、T50ノイズの他に、垂直磁気記録方式の再生波形が、矩形波のため、直流成分に乗るDC(直流)ノイズを、相関行列により、分離して、ノイズパワーを検出でき、垂直磁気記録媒体の性能を正確に評価できる。このため、垂直磁気記録媒体のエラーレートの低減に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を、垂直記録媒体の媒体ノイズ検査装置、媒体ノイズ検査処理、媒体ノイズ基底行列の視覚化処理、他の実施の形態の順で説明するが、本発明は、この実施の形態に限られない。
【0031】
(垂直記録媒体の媒体ノイズ検査装置)
図1は、本発明の媒体ノイズ検査装置の実施の形態のブロック図、図2は、図1の垂直磁気記録媒体の断面図、図3は、図1の垂直磁気記録の記録状態の説明図、図4は、垂直磁気記録媒体の再生波形と媒体ノイズとの説明図であり、垂直磁気記録媒体として、垂直磁気ディスクを示す。
【0032】
図1に示すように、検査装置は、スピンスタンド10と、データ処理ユニット20からなる。スピンスタンド10は、磁気ヘッド(垂直磁気記録再生ヘッド)1と、垂直磁気記録媒体(垂直磁気記録ディスク)8と、垂直磁気記録媒体8を回転するスピンドルモータ4と、磁気ヘッド1を垂直記録媒体8の半径方向に移動するヘッドステージ5と、磁気ヘッド1の読み取り信号を増幅するアンプ2と、スピンドルモータ4とヘッドステージ5を制御する制御回路6とからなる。
【0033】
一方、データ処理ユニット20は、アンプ2を介する磁気ヘッド1の読み取り信号(アナログ信号)を、デジタル値に変換するアナログ/デジタル変換器(A/Dコンバータ)22と、磁気ヘッド1に、測定用ライトデータを送り、且つアンプ2、磁気ヘッド1の読み取り信号(アンプ2、A/Dコンバータ22を介する)を測定波形として、媒体ノイズ成分を解析処理するコンピュータ(CPU)26と、CPU26の解析結果を表示するための表示装置24とからなる。
【0034】
スピンドルモータ4に、評価、解析対象の垂直磁気記録媒体8を、セットする。図2に示すように、垂直磁気記録媒体8の断面構造は、ガラス又はアルミニュームで構成された基板80の上に、裏打層82、中間層84、記録層86、保護層88が、順次積層された構成である。裏打層82は、軟磁性層で構成され、中間層は、通常、非磁性層である。
【0035】
図3に示すように、垂直磁気記録方式は、記録層86に、垂直方向に、磁化を形成して、記録する。このため、記録層86を形成する個々の磁性粒子86−1が、個々に分離されていることが、記録密度の向上の点で、重要である。
【0036】
特に、前述の媒体ノイズの磁化転移点は、この磁性粒子86−1の分離程度に影響されると言われている。又、図4に示すように、垂直磁気記録方式では、膜厚方向の磁化の向きで、データ「1」、「0」を記録するため、再生波形は、磁化の向きが変化する磁化の転移点で、変化する、所謂、矩形波状となる。
【0037】
このため、媒体ノイズは、前述の磁化の転移点に依存するジッタノイズと、T50ノイズと、更に、DCノイズとがある。このDCノイズは、垂直磁気記録方式の再生波形が、矩形波であり、直流成分が多いため、この直流成分にノイズが乗る。これを、DC(直流)ノイズと称している。このDCノイズも、S/N比に影響し、エラーレートの劣化の原因となるから、DCノイズも分離して、解析する必要がある。このため、図1のCPU26が、図5以下で説明する解析処理により、測定波形から、ジッタノイズと、T50ノイズと、DCノイズとを個々に分離し、それぞれのノイズパワーを計算する。
【0038】
(媒体ノイズ検査処理)
図5は、図1のCPUが実行する媒体ノイズの解析処理フロー図、図6は、図5の解析処理の説明図、図7は、図5のノイズパワーの分離処理フロー図、図8は、孤立波における各媒体ノイズのビットエラーレートの特性図である。
【0039】
図6を用いて、図5の処理を説明する。
【0040】
(S10)CPU20は、測定データとして、図6に示すように、Pサンプル(P>1)の長さの任意のデータを、N個分(Nブロック分、N>1)だけ、磁気ヘッド1に与え、磁気ヘッド1は、磁気ディスク(垂直記録ディスク)8に、この測定パターンを記録する。
【0041】
(S12)CPU20は、磁気ヘッド1に、磁気ディスク2の記録された測定データ(P×N)の読み出しを複数回(例えば、3回)指示する。これにより、CPU20は、磁気ヘッド1からアンプ2、A/Dコンバータ22を介し、複数個(ここでは、3個)の測定波形R1,R2、R3を得る。
【0042】
(S14)CPU20は、複数個(ここでは、3個)の測定波形R1,R2、R3の振幅の平均をとり、1つの平均化リード波形(P×N)AvRを計算する。この平均化により、再生信号に含まれるホワイトノイズを除去する。
【0043】
(S16)次に、CPU20は、平均化されたリード波形AvRのN個のブロックの振幅の平均波形を計算する。尚、各ブロックは、同一の波形(データ)を記録するものとする。
【0044】
(S18)CPU20は、平均化されたリード波形AvRの各ブロックの再生波形から、ステップS16の各ブロックの平均波形を差し引く。これにより、媒体ノイズのみを含む信号波形Mws(P×Nブロック)が得られる。
【0045】
(S20)CPU20は、媒体ノイズのみを含むし信号波形Mwsを、データ列とし、このデータ列を、行列化する。即ち、信号波形MwsをP×N行列の行列Xに変換する。
【0046】
(S22)次に、CPU20は、ノイズ相関行列Rを導出する。即ち、測定したノイズの行列から、各ノイズ成分を分離するため、ノイズモデル(ジッタノイズ、T50ノイズ、DCノイズ)を規定し、各ノイズ成分を分離するための線形分離式Rを仮定する。ここで、Rは、前記測定波形から得た行列Xと以下の式(1)の対応関係がある。
【0047】
【数1】

ここで、式(1)のXは、Xの転置である。
【0048】
(S24)次に、ノイズ相関行列Rから、最小二乗法により、各ノイズ成分を分離する。この処理を、図7で詳細に説明する。
【0049】
(S30)図7に示すように、先ず、ノイズを分離するためのノイズ相関行列Rを、各ノイズ(ここでは、ジッタノイズ、T50ノイズ、DCノイズ及びサンプリングノイズ)の基底行列の線形和で、表す。ここでは、ジッタノイズの基底行列をRj1,Rj2とし、T50ノイズの基底行列をRw1,Rw2とし、DCノイズの基底行列をRD1,RD2とし、サンプリングノイズの基底行列をRpとする。従って、各基底行列の係数をaj1,aj2,aw1,aw2,aD1,aD2,apとすると、ノイズ相関行列Rは、下記式(2)で表される。
【0050】
【数2】

式(2)から明らかなように、この実施の形態では、1つのノイズ成分(例えば、ジッタノイズ)に、2つに基底行列(例えば、Rj1,Rj2)を規定している。後述するように、2つの基底行列は、転移点での転移の方向に対応している。又、T50ノイズ、DCノイズも同様である。従って、各転移方向や記録方向の各々のノイズを分離できる。
【0051】
(S32)次に、各基底行列の係数aj1,aj2,aw1,aw2,aD1,aD2,apを推定する。このため、最小二乗法を使用する。即ち、式(1)の行列R(測定値)の(i,j)成分を、Ri,jとすると、Ri,jから式(2)を差し引いた二乗の和を、エラーEとし、式(3)のエラー式を用いる。
【0052】
【数3】

この式(3)が、最小となる条件を計算する。具体的には、式(3)のEを、各係数aj1,aj2,aw1,aw2,aD1,aD2,apで、偏微分し、下記式(4)のように、偏微分値を「0」とする方程式を計算する。
【0053】
【数4】

即ち、係数aj1の偏微分方程式は、下記式(5)で表される。
【0054】
【数5】

係数aj2の偏微分方程式は、下記式(6)で表される。
【0055】
【数6】

係数aw1の偏微分方程式は、下記式(7)で表される。
【0056】
【数7】

係数aw2の偏微分方程式は、下記式(8)で表される。
【0057】
【数8】

係数aD1の偏微分方程式は、下記式(9)で表される。
【0058】
【数9】

係数aD2の偏微分方程式は、下記式(10)で表される。
【0059】
【数10】

係数apの偏微分方程式は、下記式(11)で表される。
【0060】
【数11】

この式(5)から式(11)の7つの方程式を、連立方程式として、係数aj1,aj2,aw1,aw2,aD1,aD2,apについて、解く。これにより、係数aj1,aj2,aw1,aw2,aD1,aD2,apが計算される。
【0061】
(S34)計算した係数aj1,aj2,aw1,aw2,aD1,aD2,apと、各ノイズ成分の基底行列の対角成分R(i,i)を用いて、各ノイズ成分のパワーをする。即ち、ジッタノイズ成分のパワーσj1、σj2は、下記式(12)により、計算する。
【0062】
【数12】

同様に、T50ノイズ成分のパワーσw1、σw2は、下記式(13)により、計算する。
【0063】
【数13】

DCノイズ成分のパワーσD1、σD2は、下記式(14)により、計算する。
【0064】
【数14】

サンプリングノイズ成分のパワーσpは、下記式(15)により、計算する。
【0065】
【数15】

このように、相関行列の線形和Rのノイズ成分に、DCノイズに対応する相関行列を加えたので、垂直記録の遷移点ノイズであるジッタノイズ(遷移点の変動)とT50変動ノイズ(遷移点の傾き変動)だけでなく、DCノイズを分離して、検出できる。しかも、線形分離式であるため、精度良く、他のノイズと分離して、検出できる。
【0066】
又、ノイズ毎の相関行列を、ジッタノイズ、T50ノイズについては、エッジの立ち上がりの極性毎に、DCノイズについては、極性NとSに独立した相関行列を用いる。このため、非対称なノイズも、検出できる。
【0067】
図8は、垂直記録における各ノイズ成分が、100%である場合のエラーレートのSNR(S/N比)依存性を説明するためのシミュレーション結果のグラフである。
【0068】
孤立波のSNRを変化し、そのSNRにおいて、各ノイズ成分である、ホワイトノイズ、ジッタノイズ、T50変動ノイズ、DCノイズを100%として、ビットエラーレートをシミュレーションにより、測定し、横軸に、SNR(dB)、縦軸に、ビットエラーレート(log表記)をとり、図8の結果を得た。
【0069】
図8から、SNRが同じであっても、ノイズ成分により、エラーレートが異なることが、判る。例えば、SNR=20dBについて、ジッタノイズ100%、T50変動ノイズ100%、DCノイズ100%を比較すると、エラーレートは、DCノイズも良く(最も低く)、以下、ジッタノイズ、T50変動ノイズの順となる。特に、DCノイズとT50ノイズの間には、約2.5桁の差がある。
【0070】
このことは、SNRの評価だけでは、エラーレートを最適化するのは、困難であり、本発明は、垂直記録において、従来分離できなかったDCノイズを分離したので、各ノイズ成分が、分離でき、そのノイズ成分のパワーで、エラーレートの評価ができる。即ち、ノイズ成分のパワーを測定することにより、エラーレートの改善の方向性(どのノイズ成分を抑圧するか)を判断できる。
【0071】
又、エラーレートを測定しなくても、垂直記録媒体の品質評価が可能となる。例えば、DCノイズパワーが大きく、T50ノイズが小さいものは、エラーレートが良く、逆なら、エラーレートが悪いという判断ができる。
【0072】
さらに、垂直記録媒体の開発において、ジッタノイズ、T50変動ノイズ及びDCノイズのパワー測定から、エラーレートの低減には、どのノイズ成分を低減すればよいかの指針を与えることができる。これにより、媒体の層厚や、材料選択、層構成の改善に寄与できる。
【0073】
(媒体ノイズ基底行列の視覚化処理)
次に、前述の測定した各媒体ノイズ成分の分析を容易にする方法を説明する。図9乃至図12は、各ノイズ成分の基底行列の視覚化の説明図である。CPU20は、前述のように、計算した各ノイズ成分のノイズパワーを、横軸、縦軸に基底行列をとった直交座標系に、時間軸を斜め方向として、表示装置24に、表示する。
【0074】
図9は、ジッタノイズの基底行列の視覚化画面図であり、斜めの時間軸方向にノイズパワーの強度(ジッタの大きさ)を表示する。実際には、強度はカラー表示であるが、簡単化のため、等高線表示とし、等高線の高い(図では、黒の部分)ほど、ノイズパワーが大きい。
【0075】
同様に、図10は、T50変動ノイズの基底行列の視覚化画面図であり、斜めの時間軸方向にノイズパワー(変動幅)の大きさを表示する。実際には、強度はカラー表示であるが、簡単化のため、斜線と黒色表示とし、黒の部分ほど、変動幅の絶対値が大きく、対角成分の方向は、正の極性であり、それと隣り合った部分は、負の極性となり、これらが交互に配置している。
【0076】
又、図11は、DCノイズの基底行列の視覚化画面図であり、斜めの時間軸方向にノイズパワーの強度を表示する。実際には、強度はカラー表示であるが、簡単化のため、等高線表示とし、等高線の高い(図では、黒の部分)ほど、ノイズパワー(DCノイズの強度)が大きい。
【0077】
更に、図12は、サンプリングノイズの基底行列の視覚化画面図であり、斜めの時間軸方向にノイズパワーの強度を表示する。実際には、強度はカラー表示であるが、簡単化のため、等高線表示とし、等高線の高い(図では、黒の部分)ほど、ノイズパワーの絶対値が大きく、対角成分の方向は、正の極性であり、それと直行した方向は、負の極性である。
【0078】
前述の相関行列で、測定した各ノイズパワーを、視覚化し、且つ表示装置24に並列に表示する。これにより、媒体ノイズの各ノイズ成分の強度を、容易に判別でき、前述の媒体評価や検査に有効である。
【0079】
図13乃至図15は、本発明の各ノイズ成分の基底行列の視覚化の他の実施の形態の説明図である。CPU20は、前述のように、計算した各ノイズ成分のノイズパワーを、横軸、縦軸に基底行列をとった直交座標系に、時間軸を斜め方向として、表示装置24に、表示する。
【0080】
この時、前述のように、ノイズ毎の相関行列を、ジッタノイズ、T50ノイズについては、エッジの立ち上がりの極性毎に、DCノイズについては、極性NとSに独立した相関行列を用いており、これを区別して、表示する。このため、非対称なノイズも、容易に判別できる。
【0081】
図13は、ジッタノイズの基底行列の視覚化画面図であり、各々ジッタノイズの基底行列Rj1(S極からN極への遷移),Rj2(S極からN極への遷移)に個別に、斜めの時間軸方向にノイズパワーの強度(ジッタの大きさ)を表示する。実際には、強度はカラー表示であるが、簡単化のため、等高線表示とし、等高線の高い(図では、黒の部分)ほど、ノイズパワーが大きい。
【0082】
同様に、図14は、T50変動ノイズの基底行列の視覚化画面図であり、各々T50ノイズの基底行列Rw1(S極からN極への遷移),Rw2(S極からN極への遷移)に個別に、斜めの時間軸方向にノイズパワー(変動幅)の大きさを表示する。実際には、強度はカラー表示であるが、簡単化のため、斜線と黒色表示とし、黒の部分ほど、変動幅の絶対値が大きく、対角成分の方向は、正の極性であり、それと直行した方向は、負の極性である。
【0083】
又、図15は、DCノイズの基底行列の視覚化画面図であり、各々DCノイズの基底行列RD1(N極),RD2(S極)に個別に、斜めの時間軸方向にノイズパワーの強度を表示する。実際には、強度はカラー表示であるが、簡単化のため、等高線表示とし、等高線の高い(図では、黒の部分)ほど、ノイズパワー(DCノイズの強度)が大きい。
【0084】
このように、垂直記録の記録方向に対応して、各ノイズパワーを表示することにより、媒体ノイズの各ノイズ成分の強度を、容易に判別でき、且つ非対称なノイズも視覚化により、容易に判別でき、媒体評価や検査に有効である。
【0085】
(他の実施の形態)
前述の実施の形態では、媒体ノイズの検査を、垂直記録媒体の性能評価、分析の使用例で説明したが、製造した垂直記録媒体の性能検査に使用することもできる。又、垂直記録媒体を、垂直磁気ディスクの例で説明したが、ディスク以外のテープ等の他の記憶媒体にも適用できる。
【0086】
以上、本発明を、実施の形態で説明したが、本発明は、その趣旨の範囲内で種々の変形が可能であり、これを本発明の範囲から排除するものではない。
【0087】
(付記1)垂直磁気記録媒体の媒体ノイズを検査する垂直磁気記録媒体の検査方法において、前記垂直磁気記録媒体から磁気ヘッドにより記録データを読み取り、再生波形を得るステップと、コンピュータにより、前記再生波形から媒体ノイズ成分を抽出し、前記媒体ノイズの相関行列を作成するステップと、コンピュータにより、磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の係数を計算するステップと、コンピュータにより、前記各係数を用いて、磁化遷移点ノイズ成分のパワーと、DCノイズ成分のパワーとの各々を計算するステップとを有することを特徴とする垂直磁気記録媒体の検査方法。
【0088】
(付記2)前記係数計算ステップは、前記垂直磁気記録の各極性の磁化遷移点ノイズに関する相関行列と前記各極性のDCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の各極性の係数を計算するステップからなることを特徴とする付記1の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【0089】
(付記3)前記係数計算ステップは、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列と前記DCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列との差の二乗式を、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と前記DCノイズに関する相関行列の係数との各々で、偏微分計算するステップと、前記偏微分計算で得られた方程式から、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と前記DCノイズに関する相関行列の係数を計算するステップとからなることを特徴とする付記1の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【0090】
(付記4)前記係数計算ステップは、前記磁化遷移点ノイズに関する基底行列と前記DCノイズに関する基底行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の係数を計算するステップからなることを特徴とする付記1の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【0091】
(付記5)前記パワー計算ステップは、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と、前記DCノイズに関する相関行列の係数と、前記基底行列の対角成分とを用いて、前記磁化遷移点ノイズ成分のパワーと、前記DCノイズ成分のパワーとの各々を計算するステップからなることを特徴とする付記4の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【0092】
(付記6)前記計算したノイズ成分のパワーを、前記基底行列の対角成分を直行座標として、視覚化装置に出力するステップを更に有することを特徴とする付記1の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【0093】
(付記7)前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列は、前記磁化遷移点の変動に関するジッタノイズの相関行列と、前記磁化遷移点の傾きの変動に関するT50ノイズの相関行列とからなることを特徴とする付記1の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【0094】
(付記8)前記媒体ノイズの相関行列を作成するステップは、複数ブロックの前記再生波形の平均波形を計算するステップと、前記再生波形から前記平均波形を差し引き、前記媒体ノイズ成分を抽出し、前記媒体ノイズの相関行列を作成するステップとからなることを特徴とする付記1の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【0095】
(付記9)前記再生波形を得るステップは、前記垂直磁気記録媒体に前記磁気ヘッドにより複数ブロックの記録データを書き込むステップと、前記書込み後、前記垂直磁気記録媒体から磁気ヘッドにより記録データを読み取り、再生波形を得るステップからなることを特徴とする付記1の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【0096】
(付記10)前記再生波形を得るステップは、回転する前記垂直磁気記録媒体から前記磁気ヘッドにより記録データを読み取り、再生波形を得るステップからなることを特徴とする付記1の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【0097】
(付記11)垂直磁気記録媒体の媒体ノイズを検査する垂直磁気記録媒体の検査装置において、前記垂直磁気記録媒体から記録データを読み取り、再生波形を得るための磁気ヘッドと、前記再生波形から媒体ノイズ成分を抽出し、前記媒体ノイズの成分を計算するコンピュータとを有し、前記コンピュータは、前記抽出した媒体ノイズから、前記媒体ノイズの相関行列を作成し、磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の係数を計算し、前記各係数を用いて、磁化遷移点ノイズ成分のパワーと、DCノイズ成分のパワーとの各々を計算することを特徴とする垂直磁気記録媒体の検査装置。
【0098】
(付記12)前記コンピュータは、前記垂直磁気記録の各極性の磁化遷移点ノイズに関する相関行列と前記各極性のDCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の各極性の係数を計算することを特徴とする付記11の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【0099】
(付記13)前記コンピュータは、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列と前記DCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列との差の二乗式を、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と前記DCノイズに関する相関行列の係数との各々で、偏微分計算し、前記偏微分計算で得られた方程式から、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と前記DCノイズに関する相関行列の係数を計算することを特徴とする付記11の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【0100】
(付記14)前記コンピュータは、前記磁化遷移点ノイズに関する基底行列と前記DCノイズに関する基底行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の係数を計算することを特徴とする付記11の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【0101】
(付記15)前記コンピュータは、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と、前記DCノイズに関する相関行列の係数と、前記基底行列の対角成分とを用いて、前記磁化遷移点ノイズ成分のパワーと、前記DCノイズ成分のパワーとの各々を計算することを特徴とする付記14の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【0102】
(付記16)前記計算したノイズ成分のパワーを、前記基底行列の対角成分を直行座標として、視覚化出力する出力装置を更に有することを特徴とする付記11の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【0103】
(付記17)前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列は、前記磁化遷移点の変動に関するジッタノイズの相関行列と、前記磁化遷移点の傾きの変動に関するT50ノイズの相関行列とからなることを特徴とする付記11の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【0104】
(付記18)前記コンピュータは、複数ブロックの前記再生波形の平均波形を計算し、前記再生波形から前記平均波形を差し引き、前記媒体ノイズ成分を抽出し、前記媒体ノイズの相関行列を作成することを特徴とする付記11の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【0105】
(付記19)前記コンピュータは、前記垂直磁気記録媒体に前記磁気ヘッドにより複数ブロックの記録データを書き込み、前記書込み後、前記垂直磁気記録媒体から磁気ヘッドにより記録データを読み取り、再生波形を得ることを特徴とする付記11の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【0106】
(付記20)前記磁気ヘッドは、回転する前記垂直磁気記録媒体から前記磁気ヘッドにより記録データを読み取り、再生波形を得ることを特徴とする付記11の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【産業上の利用可能性】
【0107】
垂直磁気記録媒体の媒体ノイズを、磁化の転移点に依存するジッタノイズと、T50ノイズの他に、垂直磁気記録方式の再生波形が、矩形波のため、直流成分に乗るDC(直流)ノイズを、相関行列により、分離して、ノイズパワーを検出でき、垂直磁気記録媒体の性能を正確に評価できる。このため、垂直磁気記録媒体のエラーレートの低減に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の垂直磁気記録媒体の検査装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1の垂直磁気記録媒体の断面図である。
【図3】図1の垂直磁気記録媒体の垂直記録状態の説明図である。
【図4】図1の垂直磁気記録媒体の垂直記録方式の説明図である。
【図5】図1の媒体ノイズ解析処理フロー図である。
【図6】図5の媒体ノイズ解析処理の説明図である。
【図7】図5の係数計算処理フロー図である。
【図8】本発明の磁化遷移点ノイズとDCノイズによるエラーレートのシミュレーション結果の説明図である。
【図9】本発明のジッタノイズの視覚化処理の説明図である。
【図10】本発明のT50ノイズの視覚化処理の説明図である。
【図11】本発明のDCノイズの視覚化処理の説明図である。
【図12】本発明のサンプリングノイズの視覚化処理の説明図である。
【図13】本発明のジッタノイズの他の視覚化処理の説明図である。
【図14】本発明のT50ノイズの他の視覚化処理の説明図である。
【図15】本発明のDCノイズの他の視覚化処理の説明図である。
【図16】従来の面内記録方式の説明図である。
【図17】従来の垂直磁気記録方式の媒体ノイズの説明図である。
【図18】従来の垂直磁気記録媒体の媒体ノイズの検出処理の説明図である。
【符号の説明】
【0109】
1 垂直磁気ヘッド
2 アンプ
4 スピンドルモータ
5 ヘッドステージ
8 垂直磁気ディスク
10 スピンスタンド
20 解析装置
22 A/Dコンバータ
24 表示装置(視覚化装置)
26 CPU(コンピュータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直磁気記録媒体の媒体ノイズを検査する垂直磁気記録媒体の検査方法において、
前記垂直磁気記録媒体から磁気ヘッドにより記録データを読み取り、再生波形を得るステップと、
コンピュータにより、前記再生波形から媒体ノイズ成分を抽出し、前記媒体ノイズの相関行列を作成するステップと、
コンピュータにより、磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の係数を計算するステップと、
コンピュータにより、前記各係数を用いて、磁化遷移点ノイズ成分のパワーと、DCノイズ成分のパワーとの各々を計算するステップとを有する
ことを特徴とする垂直磁気記録媒体の検査方法。
【請求項2】
前記係数計算ステップは、
前記垂直磁気記録の各極性の磁化遷移点ノイズに関する相関行列と前記各極性のDCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の各極性の係数を計算するステップからなる
ことを特徴とする請求項1の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【請求項3】
前記係数計算ステップは、
前記磁化遷移点ノイズに関する基底行列と前記DCノイズに関する基底行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の係数を計算するステップからなる
ことを特徴とする請求項1の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【請求項4】
前記パワー計算ステップは、
前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と、前記DCノイズに関する相関行列の係数と、前記基底行列の対角成分とを用いて、前記磁化遷移点ノイズ成分のパワーと、前記DCノイズ成分のパワーとの各々を計算するステップからなる
ことを特徴とする請求項3の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【請求項5】
前記計算したノイズ成分のパワーを、前記基底行列の対角成分を直行座標として、視覚化装置に出力するステップを更に有する
ことを特徴とする請求項1の垂直磁気記録媒体の検査方法。
【請求項6】
垂直磁気記録媒体の媒体ノイズを検査する垂直磁気記録媒体の検査装置において、
前記垂直磁気記録媒体から記録データを読み取り、再生波形を得るための磁気ヘッドと、
前記再生波形から媒体ノイズ成分を抽出し、前記媒体ノイズの成分を計算するコンピュータとを有し、
前記コンピュータは、前記抽出した媒体ノイズから、前記媒体ノイズの相関行列を作成し、磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の係数を計算し、前記各係数を用いて、磁化遷移点ノイズ成分のパワーと、DCノイズ成分のパワーとの各々を計算する
ことを特徴とする垂直磁気記録媒体の検査装置。
【請求項7】
前記コンピュータは、前記垂直磁気記録の各極性の磁化遷移点ノイズに関する相関行列と前記各極性のDCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の各極性の係数を計算する
ことを特徴とする請求項6の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【請求項8】
前記コンピュータは、
前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列と前記DCノイズに関する相関行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列との差の二乗式を、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と前記DCノイズに関する相関行列の係数との各々で、偏微分計算し、前記偏微分計算で得られた方程式から、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と前記DCノイズに関する相関行列の係数を計算する
ことを特徴とする請求項6の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【請求項9】
前記コンピュータは、
前記磁化遷移点ノイズに関する基底行列と前記DCノイズに関する基底行列との線形和により規定したノイズ相関行列と、前記抽出した媒体ノイズ相関行列とから最小二乗法を用いて、前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列とDCノイズに関する相関行列との各々の係数を計算する
ことを特徴とする請求項6の垂直磁気記録媒体の検査装置。
【請求項10】
前記コンピュータは、
前記磁化遷移点ノイズに関する相関行列の係数と、前記DCノイズに関する相関行列の係数と、前記基底行列の対角成分とを用いて、前記磁化遷移点ノイズ成分のパワーと、前記DCノイズ成分のパワーとの各々を計算する
ことを特徴とする請求項9の垂直磁気記録媒体の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−171507(P2008−171507A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4566(P2007−4566)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】