説明

型枠接続装置

【課題】合成樹脂の発泡体を用いた型枠と解体可能な従来の型枠とを接続できる技術を提供する。
【解決手段】コンクリート打設後において構造物の壁の一部として機能する発泡体からなる発泡体成形型枠と、該発泡体成形型枠と対向するように配置されコンクリート打設後に解体される板状型枠とを接続する型枠接続装置であって、前記発泡体成形型枠と前記板状型枠との距離を一定に保つセパレータ部材であって、棒状の軸部と、前記軸部の一端側に設けられ前記発泡体成形型枠と接続される第一接続部と、前記軸部の他端側に設けられ前記板状型枠を貫通し前記板状型枠と接続される第二接続部と、を有するセパレータ部材と、前記第二接続部と接続され、該板状型枠を該板状型枠の外側から押さえ付ける固定部材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物を構築する際に用いる型枠として合成樹脂の発泡体を用いたものが知られている(例えば特許文献1参照。)。この合成樹脂の発泡体を用いた型枠は、コンクリート打設時において型枠として機能し、コンクリート打設後においては構造物の壁の一部として機能することができる。なお、合成樹脂の発泡体を用いた型枠は断熱性能も優れていることから、コンクリート打設後にそのまま打設されたコンクリート(躯体)の表面に残すことで、構造物の断熱材として優れた機能を発揮することができる。
【特許文献1】特許第3721649号公報
【特許文献2】特許第3721666号公報
【特許文献3】特許第3845346号公報
【特許文献4】特開平11−315601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
構造物を構築する際に用いる型枠として合成樹脂の発泡体を用いた発泡体成形型枠が知られている。この発泡体成形型枠は、コンクリート打設後においては構造物の断熱壁として機能する。従って、発泡体成形型枠を構造物を構成する鉄筋を挟み込むように配置し、所定の接続部材を用いて固定し、発泡体成形型枠同士の間にコンクリートを打設することで、いわゆる両断熱の構造物を構築することができる。
【0004】
このように発泡体成形型枠を構造物の内側と外側の双方に用いることで、断熱性能や気密性能に優れた構造物を構築することができる。例えば、冬季の気温が非常に低い地域では、発泡体成形型枠を構造物の内側と外側の双方に用いることで、断熱性能に優れた構造物とすることができる。また、夏季の気温が非常に高い地域では、発泡体成形型枠を構造物の内側と外側の双方に用いることで、外気温を遮断し、かつ、冷却した室内温度を保つことができる。一方、例えば冬季の気温がそれほど低くならない地域などでは、内断熱若しくは外断熱だけで十分な断熱性能を確保できる場合もある。従って、このような場合には、構造物を構築する際に用いる型枠として、構造物の内側と外側とのうちいずれか一方に発泡体成形型枠を用い、他方には従来からの合板等からなるコンクリートパネルのようにコンクリート打設後に解体される従来の一般的な板状型枠を用いることができればよいことから、発泡体成形型枠と従来の一般的な型枠とを接続可能な技術の開発が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、合成樹脂の発泡体を用いた型枠と解体可能な従来の型枠とを接続できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記の課題を解決するため、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、コンクリート打設後において構造物の壁の一部として機能する発泡体からなる発泡体成形型枠と、該発泡体成形型枠と対向するように配置されコンクリート打設後に解体される板状型枠とを接続する型枠接続装置であって、前記発泡体成形型枠と前記板状型枠との距離を一定に保つセパレータ部材であって、棒状の軸部と、前記軸部の一端側に設けられ前記発泡体成形型枠と接続される第一接続部と、前記軸部の他端側に設けられ前記板状型枠を貫通し該板状型枠と接続される第二接続部と、を有するセパレータ部材と、前記セパレ
ータ部材の第二接続部と接続され、該板状型枠を該板状型枠の外側から押さえ付ける固定部材と、を備える。
【0007】
本発明によれば、発泡体成形型枠と板状型枠といった種類が異なる型枠同士を接続することができる。その結果、発泡体成形型枠を用いた構造物について、外断熱若しくは内断熱といったように、地域の温度条件等に適した施工が可能となる。すなわち、発泡体成形型枠を用いた構造物の設計の自由度をより高めることが可能となる。
【0008】
発泡体成形型枠は、合成樹脂の発泡体によって構成することができ、コンクリートの打設時においては型枠として機能し、コンクリート打設後においては、構造物の壁の一部として機能することができる。なお、発泡体成形型枠の表面は、仕上材等によって外観を変化させてもよい。つまり、発泡体成形型枠は、構造物の壁の下地とすることもできる。一方、板状型枠は、合板等からなるいわゆるコンクリートパネルによって構成することができる。なお、板状型枠は、コンクリートの打設時において型枠として機能するが、コンクリート打設後は、解体することが好ましい。
【0009】
本発明の型枠接続装置は、前記発泡体成形型枠と前記板状型枠との距離を一定に保つセパレータ部材と該板状型枠を該板状型枠の外側から押さえ付ける固定部材とによって構成することができる。セパレータ部材は、軸部と第一接続部と第二接続部とによって構成することができる。
【0010】
第一接続部は、発泡体成形型枠と接続され、例えば、前記軸部の一端側の外周の少なくとも一部が該軸部の外郭よりも突出するように形成することができる。外周の少なくとも一部が該軸部の外郭よりも突出する形状には、外周の一部のみが外郭よりも突出した形状として、前記軸部の一端側が該軸部と略直交するように折り曲げられた形状が例示される。この場合、セパレータ部材は、側面視において略L字状となる。なお、第一接続部は、軸部の一端側の外周の全部が外郭よりも突出していてもよい。この場合、セパレータ部材は、側面視において略T字状となる。
【0011】
なお、第一接続部は、発泡体成形型枠と接続されることから、発泡体成形型枠には、このような第一接続部が挿入される被第一接続部を設けることが好ましい。そこで、前記発泡体成形型枠の前記板状型枠との対向面側には、対向する方向に突出する被第一接続部であって、該対向面と略平行な方向から前記第一接続部が挿入される開口部を有する被第一接続部を設けることが好ましい。対向面と略平行な方向とは、対抗面に沿った方向であり、垂直方向、水平方向、又は斜め方向のうちいずれでもよい。但し、対向面と略直交する方向を垂直方向とすることで鉛直方向下向きに挿入、すなわち自重を利用して挿入することができ作業性を向上することができる。また、挿入された第一接続部が被第一接続部から抜け難い構成とすることができる。
【0012】
また、第一接続部を軸部と略直交するように折り曲げるように形成した場合、前記発泡体成形型枠の前記板状型枠との対向面側には、このような第一接続部が挿入可能な被第一接続部を設ければよい。
【0013】
固定部材は、セパレータ部材の第二接続部と接続され、該板状型枠を該板状型枠の外側から押さえ付ける。セパレータ部材の一端側は、第一接続部によって発泡体成形型枠と接続されているので、固定部材を他端側に設けられている第二接続部と接続することで、互いに対向する発泡体成形型枠と板状型枠とを固定することができる。
【0014】
ここで、本発明において、前記第一接続部は、前記被第一接続部に挿入された際、該第一接続部が非挿入方向に移動することで該被第一接続部が抜けるのを抑制する抜け抑制部
を有する構成とすることができる。これにより、例えばコンクリート打設時の衝撃等により第一接続部が被第一接続部から抜け落ちるといった事態を低減することができる。
【0015】
また、本発明において、前記第一接続部は、前記被第一接続部に挿入された際、該被第一接続部の内部で挿入軸周りに回転するのを抑制する回転抑制部を有する構成とすることができる。これにより、型枠を組み立てる際の作業性をより向上することができる。
【0016】
また、本発明において、前記第二接続部第二接続部は、螺子状であり、前記固定部材は、前記第二接続部と接続される側の端部に、前記螺子状の第二接続部が挿入される、内壁に螺子溝が形成された筒部を有する構成としてもよい。これにより、容易かつ強固にセパレータ部材と固定部材とを接続することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、合成樹脂の発泡体を用いた型枠と解体可能な従来の型枠とを接続できる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の型枠接続装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0019】
<第一実施形態>
(構成)
図1は、第一実施形態の型枠接続装置1の側面図を示す。また、図2は、第一実施形態の型枠接続装置1によって発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5とを接続している状態を示す。図1、図2に示すように、第一実施形態の型枠接続装置1は、セパレータ部材2と、固定部材3とによって構成されている。本実施形態の型枠接続装置1によれば、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5といった種類の異なる型枠を接続することができる。
【0020】
セパレータ部材2は、側面視においてL字形状を有し、棒状の軸部21と、この軸部21の一端側に設けられ、軸部21に対して直角に折り曲げられた第一接続部22と、軸部21の他端側に設けられ、螺子溝が形成されている第二接続部23と、によって構成されている。また、本実施形態のセパレータ部材2は、軸部21と、第一接続部22と、第二接続部23とが一体的に成形されている。第一接続部22は、発泡体成形パネル4と接続され、第二接続部23は、コンクリートパネル5を貫通し、かつ、固定部材3と接続される。なお、本実施形態では、セパレータ部材2が、金属部材によって構成されているが、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5とを十分に支持できる強度を有していればよく、その材質は特に限定されない。
【0021】
本実施形態の軸部21は、断面形状が円形となっているが、四角形、多角形等、その形状は特に限定されない。また、軸部21の長さを変えることで、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5との間の距離を調節することができる。従って、軸部21の長さは、鉄筋やコンクリートの厚さを考慮して設計すればよい。なお、本実施形態では、軸部21に合わせて第一接続部22及び第二接続部23も断面形状が円形となっている。
【0022】
第一接続部22は、発泡体成形パネル4に設けられている孔部41に挿入されることで発泡体成形パネル4と接続される。本実施形態の第一接続部22は、軸部21の一端側が直角に折り曲げられることで形成されている。ここで、発泡体成形パネル4について説明する。図3は、発泡体成形パネル4の対向面側正面図を示す。また、図4は、発泡体成形パネル4の上面図を示す。本実施形態の発泡体成形パネル4は、所定の厚さを有する横長の長方形からなる合成樹脂製の発泡体42によって構成されている。発泡体成形パネル4
は、コンクリート打設時において型枠として機能し、コンクリート打設後においては構造物の壁の一部として機能する。そして発泡体成形パネル4は、優れた断熱性能を有することから、構造物の外側若しくは内側に配置することで、外断熱若しくは内断熱の構造物を構築することができる。発泡体の材質は、発泡ポリスレチン、発泡ポリエチレン等とすることができる。
【0023】
発泡体42には、セパレータ部材2を取り付けるための縦長の取付部材43が埋め込まれている。本実施形態では、発泡体成形パネル4の横方向に6つの取付部材43が所定の間隔をあけて埋め込まれている。ここで、図5は、取付部材43の斜視図であり、図6は、取付部材43の横断面図を示す。本実施形態の取付部材43は、断面が凡そH型であり、対向するフランジのうちの一方のフランジ44には、対向面側に突出した突出部45が縦方向に4段設けられている。更に、突出部45の夫々には、垂直方向に貫通する孔部41が四つ設けられている。この孔部41は、垂直方向に貫通し、第一接続部22が挿入できるよう、第一接続部22と同じく円形であって、その内径が第一接続部22よりもわずかに大きく形成されている。なお、取付部材43は、プラスチックといった樹脂系素材を用いることができる。但し、これに限定されるものではない。取付部材43は、コンクリート打設時における型枠としての機能を果たすのに十分な強度を有していればよい。
【0024】
なお、発泡体成形パネル4の寸法や形状は、構造物の形状等に応じて適宜設計すればよい。従って、発泡体成形パネル4の寸法は、特に限定されないが、本実施形態においては、高さが410mm、厚さが55mmに設計されている。なお、高さや厚さは全ての発泡体成形パネル4を同じ寸法にすることが好ましいが、幅については構造物の壁の大きさに合わせて適宜設計すればよい。なお、一枚の発泡体成形パネル4に埋め込まれる取付部材43の数や、取付部材43そのものの寸法や取付部材43に設けられる孔部41の数も構造物の形状若しくは構造物の形状に応じて設計される発泡体成形パネル4の形状や寸法に合わせて適宜設計すればよい。
【0025】
次に第二接続部23及び固定部材3、更に第二接続部及び固定部材3が接続されるコンクリートパネル5について説明する。第二接続部23は、軸部21の他端側の端部に螺子溝が形成されることで構成されている(図1参照)。固定部材3は、第二接続部23に接続される本体部31と、コンクリートパネル5の外側から単管等の支持部材を押さえつける座金33と、本体部31と螺合し、座金33を固定するナット34によって構成されている。本体部31の端部には、第二接続部23の螺子溝と螺合可能な螺子溝が内側に形成された筒部32が設けられている。なお、固定部材3には、コンクリートパネル5を固定する際に用いる既存のフォームタイを用いることができる。
【0026】
コンクリートパネル5には、合板等からなる既存の型枠部材を用いることができる。大きさや寸法は特に限定されないが、対向する発泡体成形パネル4の寸法と同形状及び同寸法とすることが好ましい。なお、第二接続部23を通す孔部(図示せず)は、発泡体成形パネル4の孔部41と対向する位置に予め設けておけばよい。
【0027】
(使用方法)
次に、上述した第一実施形態の型枠接続装置1の使用方法について説明する。なお、以下の説明では、型枠接続装置1を用いて外断熱の構造物を構築する場合を例に説明する。すなわち、発泡体成形パネル4を構造物の外側に用いる場合を例に説明する。
【0028】
ここで、図7は、型枠接続装置1を用いて構造物を構築する場合の作業状態を示す。まず初めに、図7(a)に示すように、構造物の設計に従って鉄筋を組み立てる。すなわち、構造物の設計に従って墨出しを行った後、墨出しに合わせて構造物の設計に従って鉄筋を組み立てる。
【0029】
鉄筋の組立てが完了したら鉄筋と所定の間隔をあけて発泡体成形パネル4を建て込む(図7(b)参照。)。より具体的には、構造物の設計に従って、一段目の発泡体成形パネル4を建て込む。一段目の発泡体成形パネル4の建て込みが完了したら、構造物の設計に従って、すなわち、発泡体成形パネル4及び鉄筋と所定の間隔をあけてコンクリートパネル5を建て込む(図7(c)参照。)。この際、コンクリートパネル5と対向する発泡体成形パネル4とを型枠接続装置1(セパレータ部材2、固定部材3)を用いて固定していく。
【0030】
ここで、図8は、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5とを型枠接続装置1を用いて固定する順序を示す。まず、セパレータ部材2の第二接続部23をコンクリートパネル5の孔部に通しておき、第一接続部22を発泡体成形パネル4の孔部41に挿入する(図8(a)参照。)。その際、コンクリートパネル5には、Pコン24を取り付けておく。次に、第二接続部23に固定部材3の本体部31の筒部32を接続し、単管の外側から座金33とナット34を取り付ける(図8(b)参照。)。その後、座金33とナット34とを徐々に締め付けることで、コンクリートパネル5と発泡体成形パネル4との接続が完了する(図8(c)参照。)。
【0031】
一段目のコンクリートパネル5と対向する発泡体成形パネル4との接続が完了したら、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5とを複数段、すなわち、所定の高さまで積み上げ、その後コンクリートの打設を行う(図8(d)参照。)。例えば、発泡体成形パネル4の高さを410mmとした場合には、これを3段乃至4段積み重ねた後、コンクリートを打設する。コンクリートの打設が完了したら、一定期間養生後、上記手順を繰り返し、構造物として必要な高さまで更にコンクリートパネル5及び発泡体成形パネル4を建て込み、その後コンクリート打設を行う。なお、コンクリートパネル5に関しては、コンクリートの養生を十分に行った後、ナット34を緩めて座金33を取り外して単管を撤去することで解体する。以上の作業を行うことで、外断熱の構造物を容易に構築することができる。なお、上述した手順はあくまで一例にすぎず、現場の状況に応じて順序等は適宜入れ替えて行うことができる。
【0032】
(効果)
以上説明した第一実施形態の型枠接続装置1によれば、発泡体成形パネル4とコンクリートパネル5といった種類が異なる型枠同士を接続することができる。その結果、発泡体成形パネル4を用いた構造物について、外断熱若しくは内断熱といったように、地域の温度条件等に適した施工が可能となる。すなわち、発泡体成形パネル4を用いた構造物の設計の自由度をより高めることが可能となる。なお、発泡体成形パネル4を用いることで、型枠解体の手間を省略することができ、また、躯体の表面に断熱材等を改めて形成する必要がないので、構造物を構築する手間を大幅に削減することができる。
【0033】
<第二実施形態>
次に第二実施形態の型枠接続装置1aについて説明する。なお、上述した第一実施形態の型枠接続装置1と同様の構成については、同一符号を付すことでその詳細な説明は省略するものとする。
【0034】
図9は、第二実施形態の型枠接続装置1aの側面図を示す。第二実施形態の型枠接続装置1aは、基本的には第一実施形態の型枠接続装置1と同様の構成を有しているが、第一接続部22aの形態が異なっている。すなわち、第二実施形態の型枠接続装置1aは、セパレータ部材2aの第一接続部22aが円盤状であり、円盤の中心に軸部21が接続されている。従って、第一実施形態のセパレータ部材2の外形が側面視においてL字状であったのに対し、第二実施形態のセパレータ部材2aの外形は、側面視においてT字状となっ
ている。本実施形態のセパレータ部材2aは、いずれの向きでも発泡体成形パネル4の孔部に挿入可能であることから、作業効率をより向上させることができる。
【0035】
なお、セパレータ部材2aの外形が異なることから、発泡体成形パネル4の孔部の形状も異なっている。ここで、図10は、第二実施形態の発泡体成形パネル4の取付部材43aの斜視図を示す。また、図11は、第二実施形態の発泡体成形パネル4の取付部材43aの横断面図を示す。これらの図に示すように、第二実施形態の発泡体成形パネル4に埋め込まれる取付部材43aは、正面に軸部21が挿入される開口部48が設けられており、この開口部48よりも奥の空間49が開口部48よりも広く形成されている。空間49には、セパレータ部材2の円盤状の第一接続部22aが挿入される。挿入された円盤状の第一接続部22aは、取付部材43aの開口部48付近で引っ掛かるので、第二実施形態の取付部材43aとセパレータ部材2aとの接続が可能となる。
【0036】
なお、第二実施形態の型枠接続装置1aは、上述した第一実施形態の型枠接続装置1と同様に使用することができる。また、第二実施形態の型枠接続装置1aを用いた構造物の構築手順も基本的には第一実施形態の構築手順と同様とすることができる。
【0037】
<変形例>
次に、本発明の型枠接続装置の変形例について説明する。図12は、抜け抑制部を備える型枠接続装置1の側面図を示す。同図に示すように、図12に示す型枠接続装置1は、第一実施形態のセパレータ部材2の第一接続部の先端が折り返されることで形成される抜け抑制部25が設けられている。図12に示す変形例の型枠接続装置1は抜け抑制部25を有することから、コンクリート打設時の衝撃等によってセパレータ部材2が抜け落ちるのを抑制することができる。
【0038】
次に、回転抑制部を備える型枠接続装置1について説明する。図13は、回転抑制部を備えるセパレータ部材2の第一接続部22cと取付部材43cを示す。この変形例のセパレータ部材2では、第一接続部22cが六角形状によって形成されている。一方、発泡体成形パネル4の取付部材43cの孔部41cの形状もこれに合わせて六角形状によって形成されている(図示せず)。これにより、本変形例の型枠接続装置1によれば、セパレータ部材2の回転を抑制することができ、作業性を向上させることができる。なお、本変形例では、第一接続部22c自身が本発明の回転制御部に相当することになる。
【0039】
次に、固定部材の変形例について説明する。第一実施形態及び第二実施形態では、固定部としていわゆる座金33とナット34とによって単管を締め付けるものを用いた。但し、これに限定されるものではなく、固定部材は、いわゆるくさび式としてもよい。ここで、図14は、変形例の固定部材を示す。同図に示すいわゆるくさび式の固定部材3aは、本体部31の長手方向に細長状の孔36が二つ設けられている。この孔には、くさび型の当板(図示せず)が挿入可能であり、その結果セパレータ部材2とコンクリートパネル5との固定が実現される。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の型枠接続装置はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。なお、本発明の型枠接続装置は、住宅などの建築構造物だけでなく、例えば擁壁などの土木構造物を構築する際に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第一実施形態の型枠接続装置の側面図を示す。
【図2】第一実施形態の型枠接続装置によって発泡体成形パネルとコンクリートパネルとを接続している状態を示す。
【図3】第一実施形態の発泡体成形パネルの対向面側正面図を示す。
【図4】第一実施形態の発泡体成形パネルの上面図を示す。
【図5】第一実施形態の取付部材の斜視図を示す。
【図6】第一実施形態の取付部材の横断面図を示す。
【図7】型枠接続装置を用いて構造物を構築する場合の作業状態を示す。
【図8】発泡体成形パネルとコンクリートパネルとを型枠接続装置を用いて固定する順序を示す。
【図9】第二実施形態の型枠接続装置の側面図を示す。
【図10】第二実施形態の取付部材の斜視図を示す。
【図11】第二実施形態の取付部材の横断面図を示す。
【図12】抜け抑制部を備える型枠接続装置の側面図を示す。
【図13】回転抑制部を備えるセパレータ部材の第一接続部と取付部材を示す。
【図14】変形例の固定部材を示す。
【符号の説明】
【0042】
1・・・型枠接続装置
2・・・セパレータ部材
3・・・固定部材
4・・・発泡体成形パネル
5・・・コンクリートパネル
21・・・軸部
22・・・第一接続部
23・・・第二接続部
31・・・本体部
32・・・筒部
33・・・座金
34・・・ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート打設後において構造物の壁の一部として機能する発泡体からなる発泡体成形型枠と、該発泡体成形型枠と対向するように配置されコンクリート打設後に解体される板状型枠とを接続する型枠接続装置であって、
前記発泡体成形型枠と前記板状型枠との距離を一定に保つセパレータ部材であって、棒状の軸部と、前記軸部の一端側に設けられ前記発泡体成形型枠と接続される第一接続部と、前記軸部の他端側に設けられ前記板状型枠を貫通し該板状型枠と接続される第二接続部と、を有するセパレータ部材と、
前記セパレータ部材の第二接続部と接続され、該板状型枠を該板状型枠の外側から押さえ付ける固定部材と、を備える型枠接続装置。
【請求項2】
前記第一接続部は、前記軸部の一端側の外周の少なくとも一部が該軸部の外郭よりも突出することで形成され、
前記発泡体成形型枠の前記板状型枠との対向面側には、対向する方向に突出する被第一接続部であって、該対向面と略平行な方向から前記第一接続部が挿入される開口部を有する被第一接続部が設けられている、請求項1に記載の型枠接続装置。
【請求項3】
前記第一接続部は、前記軸部の一端側が該軸部と略直交するように折り曲げられることで形成され、
前記発泡体成形型枠の前記板状型枠との対向面側には、対向する方向に突出する被第一接続部であって、該対抗面と略平行な方向から前記第一接続部が挿入される開口部を有する被第一接続部が設けられている、請求項1に記載の型枠接続装置。
【請求項4】
前記第一接続部は、前記被第一接続部に挿入された際、該第一接続部が非挿入方向に移動することで該被第一接続部が抜けるのを抑制する抜け抑制部を有する、請求項2又は請求項3に記載の型枠接続装置。
【請求項5】
前記第一接続部は、前記被第一接続部に挿入された際、該被第一接続部の内部で挿入軸周りに回転するのを抑制する回転抑制部を有する、請求項2又は請求項3に記載の型枠接続装置。
【請求項6】
前記第二接続部は、螺子状であり、
前記固定部材は、前記第二接続部と接続される側の端部に、前記螺子状の第二接続部が挿入され、内壁に螺子溝が形成された筒部を有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の型枠接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−133089(P2009−133089A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309152(P2007−309152)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フォームタイ
【出願人】(507394075)株式会社ヴェリタ (2)