埋め込み微粒子でオーバコーティングされた被覆されたマルチフィラメントデンタルデバイス
バイオフィルム反応性の埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされた、コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスを開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2002年12月30日に出願された共通に所有される同時係続米国特許出願第10/331795号の優先権を主張するものである。
【0002】
Webster’s New World Dictionaryの1983年版では、デンタルフロス(dental floss)とは「歯間の食べかすを取り除くための糸」であると定義されている。
【背景技術】
【0003】
歯間腔を洗浄するためにデンタルフロスを使用するという概念は、1819年ペンシルバニア州フィラデルフィアのCullins & Croft、ParmlyによるPractical Guide to the Management of Teethによって紹介されたと思われる。歯間および歯肉縁下の表面を洗浄するために非常に多くの種類のフロスが開発されかつ使用されたが、1948年になってようやくBassが、Dental Items of Interest、70、921−34(1948年)においてデンタルフロスの最適な特徴を確立した。
【0004】
Bassは、サイズ剤、結合剤、および/またはワックスで処理されたデンタルフロスは、所望の「広がった繊維効果(spread filament effect)」とは異なるような「コード(cord)」効果を生じると警告した。このコード効果は、フロッシングの効果を著しく低減させ、必要となる歯間および歯肉縁下の機械的洗浄を達成するのに必要な広がり(すなわち、繊維からの平坦化および拡大化)を視覚的に除去する。次に、この洗浄の後に、「広がった」フロスによる、歯間腔の屑、プラーク、および微小な物質の捕獲および除去が、歯間からそれが除去されるのにしたがって必要となる。
【0005】
歯間表面のかなり広い表面領域を清潔にするには、デンタルフロスを適切に使用することが必要であり、これは、通常、歯ブラシの毛、すすぎの振り動作などの他の洗浄方法および洗浄剤によって、あるいは口腔洗浄器からの脈動のストリームによっては達成することができない。
【0006】
歴史的にはデンタルフロスの目的は、次のようなものである。
(1)歯間表面に蓄積し、かつ他の口腔衛生手段によっては除去することのできない、分解した食物物質、屑等を排除および除去すること。
(2)以前の洗浄以後に歯間表面に蓄積した、細菌性の物質(プラーク、歯石、結石)の成長をできる限り多く排除および除去すること。
【0007】
効果的な口腔衛生は、以下の3つの管理要素を各自維持することを必要としている。
(1)ステイン、プラーク、および歯石の物理的除去。これは、最も強い意味では歯科医院での剥離および研磨によって達成される。自己管理による処置が、来院間に必要となることが多く、適した研磨剤入り歯磨剤を用いて歯ブラシで歯磨きして、フロッシングおよびウォータージェットで落とすことから、特定の研磨性剤入りの食物を使用すること、さらには歯の表面に対して舌を押し付ける動作にまで及ぶ。
(2)界面活性剤による洗浄。これは、歯表面に付着する前の食べかすおよびステイン物質、口腔の表面から継続的に剥がれ落ちる通常の死滅した(上皮性)細胞物質、および上記すべての物から派生する微生物分解産物を除去するのに必要となる。界面活性剤によって提供される単純な清潔性に関連する衛生上および健康上の効果に加え、界面活性剤洗浄によって重要な美容上および健康上の効果が提供される。研究から、口臭の主な原因は、正常な健康な口によって連続的に剥がれ落ちる死滅した細胞物質の保持およびその後の分解であることが明らかとなっている。
(3)洗浄の頻度。これは、今日のペースの速い労働環境および社会環境では提供するのは恐らく最も困難である。大半の人は、最低1日3回歯を磨き、少なくとも1日1回は歯をフロッシングすべきであると認識している。単純な事実であるが、大半の人は1日1回歯を磨いており、朝および夜に歯を磨く人もいるが、最適な口腔衛生のために、その他の1日3回または4回に使用するのに歯ブラシおよび歯磨剤を携行する人は極めて少数である。消費者調査では、人々は1日平均1.3回歯を磨くことが示唆されている。最も驚くべきことであるが、定期的にフロッシングしている成人は15%未満である。フロッシングしない理由は実行が難しいこと、痛みがあること、効果的でないこと、効果がないように思われること、および後味が悪いことである。
【0008】
マルチフィラメントデンタルフロスは、「使用者に優しい」製品ではない、すなわち使用が難しいということが一般に認められている。マルチフィラメントデンタルフロスは、痛みおよび出血を生じさせ、その結果口中の後味を悪くさせる。大半の市場分析者は、フロッシングをより肯定的なものにするためになされ得ることが、より頻繁なフロッシングおよびより幅広いフロスの使用を奨励するために実施されるべきであるということを認めている。種々のフレーバーオイル、本発明によって教示されるような「作用する(working)」と知覚される洗浄剤および研磨剤と共に使用するシリコーンなどのマウスコンディショニング物質をフロスに加えることは、奨励かつ支持されるであろうデンタルフロス使用者にとって肯定的なフィードバックのすべての源である。これらを達成するためには、現行のフロス製造の基本的変更が必要となる。
【0009】
マルチフィラメントデンタルフロスを医療装置として分類した米国食品医薬品局(FDA)によって、これまでにナイロンファイバー束の3つの基本的な構成が認可されている。この3つの基本的構成は、140デニール(68本のフィラメント)、100デニール(34本のフィラメント)、および70デニール(34本のフィラメント)である。従来、種々の市販のマルチフィラメントデンタルフロスを製造するために、これら3つのタイプの6〜10個の束が、結合剤を用いて撚り合わされていた。
【0010】
現在市販されている市販用マルチフィラメント歯間デバイスの多くは、(1)摩損を最小化するための種々のマルチフィラメントフロスの結合剤、(2)潤滑剤、(3)香味剤の担体、および/または、(4)フッ化物の担体として機能する、種々のワックスまたはワックス状物質のコーティングを含んでいる。
【0011】
大半のワックスを塗布したマルチフィラメントデンタルフロスに共通する一般的な欠点は、デンタルフロスは「作用しない」および/または「クリーニングしない」等のフロッシング中の使用者の知覚である。
【0012】
実際、これらデバイスの多くは、バイオフィルム(プラーク)の除去に対してほんの僅かの有効性しか有していない。バイオフィルムは、効果的に除去されるためには一般に物理的な研磨型の動作を必要とする。バイオフィルムの形成を効果的に管理するには、定期的な専門家のクリーニングが推奨される手段である。
【0013】
1960年〜1982年まで、多数の臨床試験では、歯垢除去、およびワックス塗布マルチフィラメントデンタルフロスとワックス未塗布マルチフィラメントデンタルフロスとの間の歯肉炎スコアに関する臨床的な差がないことが報告されている。これは両者とも「コード」フロスであり、サイズ剤および結合剤等を含んでいることに留意されたい。このような臨床試験でも、歯垢除去および歯肉炎スコアに関して、ワックス塗布フロスとワックス未塗布フロスは、約50%の効果があることが確認された。したがって、「コード」効果は、フロスおよび特にBassが記載したような広がったマルチフィラメントデンタルフロスに関連する物理的研磨型の動作の効果を著しく制限する。
【0014】
1970年にO’Learyおよび1973年にHillらは、ワックス塗布デンタルフロスおよびワックス未塗布デンタルフロスの歯間洗浄性に差がないことを認めた。このことは、歯垢および歯肉炎スコアに有意な臨床的な差がないことを示したLobeneらによって、1982年に再確認された。同様の結果、すなわち歯肉炎の低減に関して、ワックス塗布マルチフィラメントデンタルフロスとワックス未塗布マルチフィラメントデンタルフロスとの間に臨床的な差がないことが、1981年にWunderlichによって明らかにされた。1981年、Schmidtらは種々のマルチフィラメントデンタルフロスを用いて、歯垢除去に差がないことを報告した。1980年、Stevensは、種々の径のマルチフィラメントデンタルフロスを試験して、歯垢および歯肉の衛生に差がないことを示した。1975年、Carterらは、専門家および自己管理によるワックス塗布マルチフィラメントデンタルフロスとワックス未塗布マルチフィラメントデンタルフロスを試験したところ、両者ともに、歯間溝および歯肉溝の歯肉出血を有意に低減した。ワックス未塗布マルチフィラメントデンタルフロスは、僅かに低減させたが、有意により効果的でないように思われた。
【0015】
この臨床試験を考慮すると、今日販売されているマルチフィラメントデンタルフロスの大半は、Bassの教示とは対照的であり、結合されたかつ/またはワックスが塗布されたものであることは驚くことではない。今日の紡績糸産業における「結合剤の使用」は、「フロス」のためというよりも、マルチフィラメントデンタルフロス製造およびパッケージング中の加工および生産を容易にするためにより使用される。臨床試験では(残念ながら共に「結合剤が使用された」)ワックス塗布マルチフィラメントデンタルフロスとワックス未塗布マルチフィラメントデンタルフロスとの間に差が見られないので、マルチフィラメントデンタルフロス産業は、マルチフィラメントデンタルフロスにおいて結合剤を使用する紡績糸産業の傾向に満足しており、このために広がった、物理的研磨型のクリーニングが犠牲になっている。
【0016】
上記のように、FDAによってマルチフィラメントデンタルフロスとして承認されたナイロン製ストランドの3つの基本的な構成がある。これらは、140デニール(68本のフィラメント)、100デニール(34本のフィラメント)、および70デニール(34本のフィラメント)である。世界的に販売されている市販のマルチフィラメントデンタルフロスを分析したところ、市販のマルチフィラメントデンタルフロスのほぼすべてが、概ね同じ様式で撚られており、結合剤を含み、かつこれら3つのストランドタイプのうちの1つから選択されたいくつか(6〜10個)のストランドを撚ることによって構成されていることがわかっている。
【0017】
Hillらに付与された米国特許第4911927号、第5098771号、第5165913号、および第5711935号に記載されかつ権利が主張されている、革新的なマルチフィラメントデンタルフロスの商品化によって、歯間および歯肉縁下の両方においてマルチフィラメントデンタルフロスからの化学療法薬の放出を含むということに、マルチフィラメントデンタルフロスの目的が拡大された。このような新しいマルチフィラメントデンタルフロスの効果は、1990年9月19日付の55Fed.Reg.38560のFDAcall−for−dataに応じたファイリングに報告された臨床試験に記載されている。ドケット番号81N−0033、OTC210246〜210262を参照されたい。Hillらの特許および参照した臨床試験を、参照により本願明細書に組み入れた。
【0018】
Hillらの特許は、十分なマルチフィラメントデンタルフロスは、最高で基体の100%の装填量を有して製造され得ることを示している。Hillらに付与されたこのような特許は、マルチフィラメントデンタルフロスの装填重量は、マルチフィラメントデンタルフロスの内側全体に洗浄剤を置くことによって、これまでの限界を超えて増大され得ることを示している。さらに特に、Hillらに付与された特許は、圧縮装填と呼ばれる方法によって、いくつかのストランド間および各ストランドを含んだ個々のフィラメント間の隙間に、洗浄剤を付着させることについて示している。この洗浄剤は、フロスが歯間で引っ張られたときに広がるにつれて活性化し、それによって、口腔、特に歯の表面に洗浄剤を届ける。
【0019】
プラークをバイオフィルムとして分類することは、効果的な「自己治療型」口腔ケア製品の開発において大きな進歩であると考えられる。以下のバイオフィルムの参照文献を参照されたい。
【0020】
GreensteinとPolsonによる「J.periodontol」、1998年3月、69:5:507−520、van Winkelhoffらによる「J.Clin.Periodontol」、1989年、16:128−131、およびWilsonによる「J.Med.Microbiol」、1996年、44:79−87。
【0021】
バイオフィルムとは、「相互にかつ表面または表面間に付着した、基質で囲まれた微生物集団」であると定義される。これらの塊は、保護のためにエキソポリサッカライド基質を分泌する。バイオフィルム中のバクテリアを殺すには、水性懸濁液中の有機体に比べて非常に高い濃度の薬剤が必要となる。
【0022】
Costerton,J.W.、Lewandowski,Z.、DeBeer,D.、Caldwell,D.、Korber,D.、James,G.による、J.Bacterio、「Biofilm,the customized microniche」1994年、176:2137−2142。
【0023】
バイオフィルムの特異性は、1990年代にはいっそう重要なものとして認識されている。バイオフィルムの成長のモードに関する今後の試験では、細菌の分布の操作が可能となろう。
【0024】
Douglass,C.W.、Fox,C.H.によるCurrent status and implications for dental practice.Adv.Dent.Res.、「Cross−sectional studies in periodontal disease」、1993年、7:26−31。
【0025】
歯周治療を必要とする55歳を超える成人の数は、増加するであろう。治療の種類は、その需要を満たすために調整が必要となろう。
【0026】
Greenstein,G.J.によるA review.Periodontol.、「Periodontal response to mechanical non−surgical therapy」、1992年、63:118−130。
【0027】
機械的療法は、療法の遵守および技能に注意すれば依然として有効である。
【0028】
Marsh,P.D.、Bradshaw,D.J.による、Adv.Dent.Res.、「Physiological approaches to the control of oral biofilms」、1997年、11:176−185。
【0029】
大半の研究所および臨床所見は、生理学的管理の概念を支持している。今後の試験でバイオフィルムの多様性の詳細が明らかとなろう。
【0030】
Page,R.C.、Offenbacher,S.、Shroerder,H.、Seymour,G.J.、Komman,K.S.による、Summary of developments,clinical implications and future directions.Periodont.2000、「Advances in the pathogenesis of periodontitis」、1997年、14:216−248。
【0031】
3つの口腔好気性細菌に対する遺伝的感受性は、歯周炎の進行において重要な役割を果たす。後天的および環境リスク因子が、この問題に悪影響を及ぼす。機械的破壊は依然として有効であり、歯周治療の不可欠な部分となろう。
【0032】
Papapanou,P.N.、Engebretson,S.P.、Lamster,L.B.による、NY State Dent.J.、「Current and future approaches for diagnosis of periodontal disease」、1999年、32−39。
【0033】
新規なポケット深さ測定デバイス、顕微技術、免疫学的検定、DNAプローブ、BANA加水試験などの新しい技術が利用可能である。これらは、歯周炎の性質をより明確に定める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明は、歯磨きまたはすすぎによっては到達不可能な歯間および/または歯肉縁下の歯の表面に形成されるバイオフィルムの物理的研磨型の除去、破壊、および/または管理に適した、バイオフィルム反応性の被覆されたマルチフィラメントデンタルフロスに向けられたものである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明の被覆されたマルチフィラメントデンタルフロスは、埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされている。この埋め込まれた微粒子研磨剤は、フロッシング中に埋め込まれた微粒子研磨剤が埋め込まれているベースコーティングが、最終的にマルチフィラメントから放出あるいは部分的に分離されるまで、マルチフィラメントフロスコーティングに実質的に残っているか、あるいはフロス上のベースコーティングが不溶性であるマルチフィラメントデンタルフロスの寿命の間有効な研磨剤として残り、かつフロッシング中にフィラメントに実質的に残っている。
【0036】
フロッシング中、最初に、埋め込まれた微粒子研磨剤オーバコーティングは、バイオフィルムを除去、破壊、および/または管理する、経口型のサンドペーパーの「軟らかい」研磨剤の形態として機能する。基本的に、埋め込まれた微粒子でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスが、歯間腔を最初に通過すると、存在するバイオフィルムには穏やかな「サンドペーパー」研磨剤効果がもたらされ、最終的にこの効果は、マルチフィラメントストランドに存在する微粒子研磨剤を含んだワックスが塗布されたコーティングを溶解かつ/または破壊することになる。本発明の別の実施形態では、不溶性ベースコーティング材料が使用される。これらは、フロッシング中にマルチフィラメントからすぐには放出されず、微粒子研磨剤が浸透したときに、バイオフィルムを穏やかに除去、破壊、かつ/または管理する際に、デンタルフロスの寿命を通して非常に効果的な、軟らかい研磨剤型のデンタルフロスサンドペーパーを形成する。
【0037】
可溶性ベースコーティングが使用されるとき、放出されたワックス/研磨剤および/または微粒子研磨剤は、フロスのフィラメントと協働して、微粒子研磨剤が唾液によって洗い流されるまでおよび/または溶解されるまで、バイオフィルムを除去、破壊、かつ/または管理し続ける。すなわち、放出された微粒子研磨剤は、フロスが歯間および歯肉縁下で働くときに、マルチフィラメントデンタルフロスフィラメントと協働して、歯間および歯肉縁下の歯表面に形成されたバイオフィルムの物理的研磨型のクリーニング、破壊、かつ/または管理を提供し続ける。
【0038】
本発明の種々の埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを用いて達成される、バイオフィルムの物理的研磨型のクリーニング、破壊、および/または管理は、マルチフィラメントデンタルフロスが隙間から除去されかつその領域のフロッシングが中止されるまで、微粒子研磨剤が溶解かつ/または洗い流されるまで、かつ/またはバイオフィルムが物理的に除去、破壊、かつ/または管理されるまで継続する。
【0039】
本発明の埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを用いた、物理的研磨型のクリーニング、破壊、および/または管理は、(1)ベースコーティング、(2)微粒子研磨剤、および/または(3)風味、口中での感覚等の特質を、本発明の微粒子オーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに導入するために使用される他の微粒子オーバコーティング物質に含まれる、種々の化学療法用物質による化学療法を併用することにより、さらに同時に改善され得る。好ましい後者のバージョンにおいては、化学療法用物質は、ベースコーティングから放出される唾液溶解性微粒子と共にフロッシング中に歯表面に放出される。
【0040】
驚くことに、本発明のマルチフィラメントデンタルフロスのベースコーティング中に埋め込まれた微粒子研磨剤オーバコーティングは、本発明のために、より多くの研磨微粒子を軽石、アルミナ、シリカ等のオーバコーティングに使用できるようにする、予期した研磨性よりも低い研磨性とともに予期しない穏やかさを示す。この「軟らかい研磨」効果は、一部にはベースコーティングが埋め込まれた微粒子研磨剤にもたらすクッション効果に起因するものである。すなわち、部分的に埋め込まれた微粒子研磨剤を含有するベースコーティングは、フロッシング中の歯表面上への研磨微粒子の露出した部分の衝撃を和らげ易い。図7を参照されたい。この「軟らかい研磨」効果は、不溶性ベースコーティングが使用され、かつフロスの特定のセグメントの寿命にわたって「サンドペーパー」効果が継続する場合に特に重要である。フロッシング中に研磨剤/コーティング混合物がマルチフィラメントストランドから自由に離れる場合、ベースコーティングは、歯表面上の微粒子研磨剤の研磨性を一層低減させる、とともに微粒子研磨剤/マルチフィラメントの組合せを円滑にするのを促進し易い。
【0041】
したがって、本発明の一実施形態は、バイオフィルム反応性のマルチフィラメントデンタルフロスデバイスを含む。
【0042】
本発明のさらなる実施形態は、コーティングに埋め込まれた微粒子研磨剤をコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスデバイスに含み、これによりフロッシング中にフロスがバイオフィルム反応性になる。
【0043】
本発明の別の実施形態は、歯間および/または歯肉縁下の歯の表面に形成されたバイオフィルムの定期的な除去、破壊、および/または管理のための自己治療手段を含む。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態は、バイオフィルムをより効果的に除去、破壊、および/または管理するために、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスデバイスを、種々の粒径および粒径分布の埋め込み微粒子研磨剤でオーバコーティングする方法を含む。
【0045】
本発明のまた別の実施形態は、歯間および/または歯肉縁下の歯の表面に形成されるバイオフィルムを、定期的に除去、破壊、および/または管理する患者の自己治療方法を含む。
【0046】
本発明のさらなる実施形態は、埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされ、かつ抗菌物質を含有する放出可能なワックスタイプのベースコーティングを含有するバイオフィルム反応性のマルチフィラメントデンタルデバイスを含む。
【0047】
本発明の別の実施形態は、ホワイトニング用研磨剤および歯石コントロール研磨剤などの活性な埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされた、バイオフィルム反応性マルチフィラメントデンタルデバイスを含む。
【0048】
本発明のさらに別の実施形態は、シリカ、軽石、アルミナ、炭酸カルシウム、およびリン酸二カルシウム二水和物を含む歯科用の埋め込まれた微粒子でオーバコーティングされた、バイオフィルム反応性のマルチフィラメントデンタルデバイスを含む。
【0049】
本発明のまた別の実施形態は、埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされた、バイオフィルム反応性のマルチフィラメントデンタルデバイスを含み、この場合、研磨剤は、香味剤、抗菌物質、および洗浄剤から、マウスコンディショナーおよび種々の薬用物質までの他の物質を含む。
【0050】
本発明のさらなる実施形態は、埋め込まれた微粒子研磨剤のオーバコーティングを有する、改良された市販のワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0051】
本発明のまた別の実施形態は、埋め込まれた微粒子研磨剤、および香味剤ならびに口腔調整物質を含有する唾液溶解性微粒子物質のオーバコーティングを有する、改良された市販のワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0052】
本発明の別の実施形態は、香味剤およびマウスコンディショナーを含有する唾液溶解性物質を含んだ埋め込まれた微粒子研磨剤のオーバコーティングを有する、改良された市販のワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0053】
本発明のさらに別の実施形態は、密度が実質的に異なる2つ以上の微粒子でワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスを連続的にオーバコーティングする工程を含む、市販のワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスを改善する方法を含み、この場合種々の微粒子は、ベースコーティングを冷却かつ固化する前に、ベースコーティングに埋め込まれている。
【0054】
本発明のまた別の実施形態は、埋め込み微粒子研磨剤のオーバコーティングを有する、改良された市販のエマルジョンが装填された組織化されたマルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0055】
本発明の別の実施形態は、埋め込まれた微粒子研磨剤のオーバコーティングを有する、改良された市販のワックスが塗布された超薄マルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0056】
本発明のさらなる実施形態は、ワックスが塗布されたマルチフィラメントフロスの「コード」効果を克服するとともに、ワックスが塗布されたフロスに物理的研磨性を与える方法を含む。
【0057】
本発明を説明するために、次の用語を以下に記載のように定める。
【0058】
ファイバーおよびフィラメントという用語は、J.G.Ferguson Publishing社の1992年版New Illustrated Webster’s Dictionaryに記載されたような、「ファイバー」の最初の3つの定義および「フィラメント」の最初の定義と一致するように、本明細書を通して同義的に用いており、その関連する開示を参照により本願明細書に組み入れている。
【0059】
フィラメントの強度は、引張強さの観点で表されてよく、フィラメントを引き裂くのに要する力、すなわち破断荷重(グラム単位)をフィラメント秤量(デニール単位)で割ったものとして定義され得る。使用中にフロスフィラメントが破断するのを防ぐために、フィラメントは、一般に少なくとも約3グラム/デニール、好適には少なくとも約5グラム/デニール、より好適には少なくとも約7グラム/デニールの引張強さを有する。この引張強さ要件を満たし、かつ本発明のマルチフィラメントフロスに使用されてよいフィラメントには、ポリアミド、例えばナイロン−6およびナイロン−6,6、ポリオレフィン、例えばポリプロピレンおよびポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、および木綿および絹を含む種々の天然物がある。
【0060】
「マルチフィラメントデンタルデバイス」とは、ナイロン、ポリプロピレン、絹等のファイバーの束から構成されたマルチフィラメントデンタルフロスなどの歯間デンタルデバイスであると定義される。本発明の微粒子でオーバコーティングされたフロスは、しなやかであり、このことは本発明のフロスが、軟らかく、柔軟性があり、かつ曲げ易いことを意味している。しなやかなマルチフィラメントフロスは、歯間の狭い表面の間にはまり込むために歯表面の湾曲に従うので、歯茎および手に優しく、保持が容易であり、歯間を容易に滑動する。しなやかさに影響を及ぼす要因には、フィラメント秤量(フィラメントの径に関連する)、よじれの程度、もつれの程度、および撚り糸が製造される材料の弾性率がある。本願明細書で用いられるように、フィラメント、撚り糸、およびフロスを説明するために用いられるような「秤量」という用語は、商品の9000mの商品の重量(グラム単位)を意味する。9000mのグラム重量は、「デニール」と呼ばれることもある。所与のマルチフィラメントの撚り糸に関し、所与の秤量のマルチフィラメントフィラメント撚り糸について、フィラメント径が小さくなれば、個々のフィラメントが互いを越えて滑動するので、フロスは狭い隙間をより容易に通過することができる。例えば、第1のフロスは630デニールから成り、各フィラメントは、6デニールの秤量を有してよい。この撚り糸は、105本のフィラメントを含む。第2のマルチフィラメントのフロスは、630デニール秤量をまた有する第2の撚り糸から成り、各フィラメントは3デニールの秤量を有してよい。この第2の撚り糸は、210本のフィラメントを含む。両撚り糸は全体として同じ秤量を有する一方で、径が小さくなるほどフィラメントはより容易に互いを越えて滑動するので、第2の撚り糸から作られたマルチフィラメントフロスは、歯間をより容易に通過するであろう。また、フィラメント径が小さくなるほど、フィラメント当たりの屈曲率および撚り糸の屈曲率は全体として低くなり、これによりマルチフィラメントフロスは、より軟らかくかつより柔軟性のあるものになる。撚り糸のよじれおよび/またはもつれの程度が大きくなるにしたがって、フィラメントは、フロスが狭い歯間腔に入り込むにつれて滑動することができないので、結果として得られるマルチフィラメントフロスのしなやかさは低くなる。
【0061】
本発明のマルチフィラメントフロスを含んだ撚り糸の「細かさ」の測度は、撚り糸秤量である。撚り糸秤量(デニール単位)は、歯間を通過する容易性、歯間のクリーニングの知覚、強度、および歯茎上へのマルチフィラメントフロスの優しさなどの特性に影響を及ぼす。撚り糸の全体的秤量が小さくなるにしたがって、マルチフィラメントフロスは、歯間をより容易に通過するであろう。しかしながら秤量を許容値以下に下げると、フロス強度は小さくなり、歯間のクリーニングの知覚は低減され、歯茎では不快なものになろう。これらの特性を釣り合せるには、本発明のマルチフィラメントフロスは、約500〜約1200デニールの秤量を有する撚り糸を含んでいることが好ましい。より好適には、撚り糸は、約550〜850デニール、最も好適には約550〜約700デニールの秤量を有するべきである。
【0062】
本発明の目的に適したマルチフィラメントデンタルフロスの例は、以下の米国特許に記載されており、参照により本願明細書に組み入れている。
第4911927号、第4029113号、第4610872号、第4034771号、第5908039号、第2667443号、第3830246号、第1149376号、第1069874号、第5830495号、第2748781号、第1138479号、第1839486号、第1943856号、第6080481号、第2700636号、第3699979号、第3744499号、第3837351号、第4414990号、第3330732号、第5967155号、第5937874号、第5505216号、第5503842号、第5032387号、第4950479号、第5098711号、第1989895号、第5033488号、第2542518号、第2554464号、第1285988号、第1839483号、第4151851号、第2224489号、第2464755号、第02381142号、第3800812号、第3830246号、第3897795号、第3897796号、第4215478号、第4033365号、第3771536号、第3943949号、第6016816号、第6026829号、第5353820号、第5557900号、第5226435号、第5573850号、第5560377号、第5526831号、第5423337号、第5220932号、第4548219号、第3838702号、第5904152号、第4911927号、第5711935号、第5165913号、および第5098711号。
【0063】
好適なマルチフィラメントデンタルデバイスは、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等のフロスを含み、撚られた、もつれた、撚られていない、もつれていない、組織化された、および種々の形態を含む。特に好適なマルチフィラメントデンタルデバイスは、以下の表3〜表5に記載したもののほか、米国特許第4911927号、第5098711号、第5165913号、および第5711935号に記載されかつ権利が主張されるような種々のコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0064】
マルチフィラメントデンタルデバイス用の「コーティング」とは、以下の表3〜表4に記載されるような、デバイスが指等の回りに巻上げられるように「手」を提供しながら、潤滑のためおよび風味物質および他の添加物を運ぶためにフロスの挿入を容易にする目的で、マルチフィラメントデンタルデバイスを被覆するコーティング物質であると定義される。これらのコーティングは、一般にフロスの重量の約25〜約100%からなる。
【0065】
好適なベースコーティングは、
(1)不溶性、部分的に可溶性、および可溶性のワックスコーティング、
(2)参照により本願明細書に組み入れた、米国特許第4950479号、第5032387号、第5538667号、第5561959号、および第5665374号に記載されたエマルジョンコーティング、
(3)米国特許第5908039号、第6080495号、第4029113号、第2667443号、第3943949号、第6026829号、第5967155号、および第5967153号に記載されたような種々のデンタルフロスコーティング、および
(4)参照により本願明細書に組み入れ、すべて2001年8月23日に出願された同時係属米国特許出願第09/935922号、第09/935920号、第09/935921号、および09/935710号に記載されかつ権利が主張されている、唾液溶解性のコーティングを含む。
【0066】
「微粒子研磨剤」とは、幅広い範囲の粒径および粒径分布を有する唾液溶解性、半溶解性、および不溶性の研磨物質であると定義される。
【0067】
好適な微粒子研磨剤には、ガラスビーズなどの種々の不溶性無機物、およびポリエチレン、ポリプロピレン等の粒子などの種々の不溶性有機物を含む。
【0068】
特に好適な無機粒子研磨剤には、種々の(1)軽石、シリカ、アルミナ、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、珪藻土、ナトリウムカリウムケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、ヒュームドシリカ、ケイ酸などの不溶性歯用研磨剤、および(2)リン酸二カルシウム二水和物、無水リン酸二カルシウム、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の溶解性歯用研磨剤がある。以下の表1も参照されたい。
【0069】
特に好適な「活性」微粒子研磨剤には、過酸化カルバミド、過酸化カルシウム、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム等の過酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸三カルシウム等のリン酸塩、およびピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カルシウム等のピロリン酸塩を含む。以下の表2も参照されたい。
【0070】
本発明に適した種々の口腔ケア用研磨剤を記載し、かつ参照により本願明細書に組み入れた以下の関連の米国特許、第6221341号、第3491776号、第3330732号、第3699979号、第2700636号、第5220932号、第4776358号、第5718251号、第5848600号、第5787758号、および第5765576号も参照されたい。
【0071】
「放出可能な」微粒子研磨剤とは、マルチフィラメントデンタルフロスのベースコーティングに埋め込まれた微粒子研磨剤が、フロッシングが開始されるまでベースコーティングに実質的に残存し、この後、最終的にはベースコーティング中の埋め込まれた微粒子研磨剤が、最終的に溶解して微粒子研磨剤を唾液中に放出するベースコーティングと共にマルチフィラメントから分離するという特性であると定義される。したがって、物理的研磨型のクリーニングによって、歯肉縁下、歯間、および歯肉縁上の歯の表面上で遭遇するバイオフィルムに応じて、微粒子研磨剤は、使用可能な状態で歯間および歯肉縁下に残ってマルチフィラメントフロスと協働する。
【0072】
永久的かつ/または半永久的な微粒子研磨剤は、一般にフロッシング中にマルチフィラメントファイバーから放出されない不溶性コーティングに埋め込まれる微粒子研磨剤として定義される。
【0073】
「微粒子研磨剤装填」とは、デバイスの重量パーセントとしてコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス上に含まれる埋め込み微粒子研磨剤の重量パーセントとして定義される。以下の表1、表2、表3、および表5を参照されたい。
【0074】
「ベースコーティングマルチフィラメントデバイス装填」とは、コーティングされたマルチフィラメントデバイスの重量パーセントとして、マルチフィラメントデバイスに含まれるベースコーティングの重量パーセントとして定義される。
【0075】
「総コーティング装填」とは、ベースコーティングの重量パーセントに、デバイスの重量パーセントとしてマルチフィラメントデバイスのコーティングに埋め込まれた微粒子研磨剤オーバコーティングを加算したものであると定義される。
【0076】
「知覚研磨因子(PAF)」とは、(1)埋め込まれた微粒子研磨剤を有するコーティングされたマルチフィラメントデバイスを、指(すなわち、「手」)の回りに巻き取るとき、および(2)鋸を引く動作で歯の表面にわたってデバイスを作用させるときに、知覚される研磨度の主観的レベルであると定義される。
【0077】
PAF度の範囲は、0〜4、すなわち、知覚せず(0)、僅かに知覚できる(1)、知覚できる(2)、非常に知覚できる(3)、および非常に研磨されている(4)である。以下の表1、表2および表9を参照されたい。約2以上のPAF値が好ましい。3を超えるPAF値は特に好ましい。永久的な研磨剤は、一般に、放出され得る研磨剤よりもより高いPAFを示す。
【0078】
付随的放出因子(IRF)とは、45.7cm(18インチ)のデバイス片が、ディスペンサから取り出され、フロッシングの前に2本の指に巻き取られたときに、コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスに保持された微粒子研磨剤の重量パーセントとして定義される(表1、表2、および表9を参照すること)。90%を超えるIRF値は、微粒子研磨剤がベースコーティングに埋め込まれる程度のほか、固化されたベースコーティング中のこの埋め込まれた微粒子の引張強さも反映する。フィラメントの束の断面を顕微鏡で観察すると、各微粒子の全表面の約20%〜約90%が、マルチフィラメントのベースコーティングに埋め込まれていることは明白である。ベースコーティングに埋め込まれている微粒子表面のこの程度は、主として、フロッシング前のフロスの取り扱い中に保持された微粒子研磨剤とともに、フロッシング中に現れる「それが機能している」という知覚に関与している(IRF)。永久的な研磨剤は、一般に放出され得る研磨剤よりも高いIRF値を示す。
【0079】
「バイオフィルム反応性」とは、マルチフィラメントデンタルフロスおよびベースコーティング中の他のクリーニングおよび/または化学療法物質と協働して、フロッシング中にバイオフィルムを除去、破壊、および/または制御する、微粒子研磨剤および唾液溶解性微粒子の特性であると定義される。
【0080】
「流動床」とは、ある液体の多数の特性を有する、膨張し懸濁した無溶媒の塊へ固体の微粒子研磨剤を転換する手段であると定義される。この懸濁した微粒子の塊は、安息角がゼロであり、それを含んでいる容器の形状を取りながら然るべきレベルに落ち着く。
【0081】
「連続的流動床」とは、固体の微粒子研磨剤および固体の微粒子唾液溶解性物質を、液体の多数の性質を有する膨張し、懸濁し、かつ溶媒を含まない塊に別個に転換する手段であると定義される。懸濁した微粒子研磨剤および懸濁した固体の唾液溶解性物資のこのような別個に流動化された塊の各々は、安息角がゼロであり、それが入っている容器の形を取りながら然るべきレベルに落ち着く。
【発明を実施するための最良の形態】
【0082】
微粒子研磨剤オーバコーティングシステムの側面略図である図1Aを参照すると、流動床手段2を備える微粒子研磨剤コーティングシステム1は、流動微粒子研磨剤3、膜4、流動化エアー手段5、およびスタンドパイプ6を具備し、スタンドパイプ6は、ポンプ手段8を備える微粒子研磨ノズル手段7と通じ、ポンプ手段8は、ノズルエアー流入手段9およびポンプクリーニング手段10を含む。
【0083】
微粒子コーティングシステム1は、蝶番式のアクセス手段11および15、フィルタ手段12、微粒子装填手段13、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス微粒子コーティングゾーン14、およびコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15を備えている。フィルタ手段12は、未使用の微粒子3のすべてを取り込み、それをオーバスプレーし、かつ再利用する、真空サイクロン手段によって支援され得る。これを図1Bに詳細に示す。
【0084】
液体コーティングをその上に含んだコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15は、微粒子コーティングゾーン14を通過し、そこで微粒子3が、ノズル手段7からマルチフィラメントデンタルフロス15の液体コーティングに埋め込まれる。
【0085】
図1Aを参照すると、真空サイクロン手段60が、上記フィルタ手段12と置き代わっており、接合部61において配管手段62を介して微粒子コーティングシステム1の上部と接続されている。真空サイクロン手段60は、コーティングシステム1から空気およびいくつかの分散粒子を引き込み、かつこの空気/粒子混合物を真空サイクロン室63に導くことによって、微粒子コーティングシステム1内で僅かな負圧を維持し、真空サイクロン室63において、粒子3は保持手段64に導かれ、実質的に粒子3が存在しない残りの空気が、モータ67によって室63の上部を通って配管65を抜けてフィルタ手段66および66’に入る。別の場合には、粒子3は、空気調節器69とともに収集手段68によって取り込まれ、配管70を介して粒子コーティングシステム1に戻される。
【0086】
図2を参照すると、微粒子コーティングシステム1の拡大平面図を示している。液体ベースコーティング16が上に載ったマルチフィラメントデンタルフロス15は、微粒子研磨剤コーティングゾーン14を通過し、微粒子研磨剤コーティングゾーン14で、デンタルフロス15が微粒子コーティングゾーン14を通過するときに、微粒子研磨剤3が、ノズル手段7からマルチフィラメントデンタルフロス15に実質的に残っている液体ベースコーティング16に衝突することにより埋め込まれる。
【0087】
図3を参照すると、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の拡大側面図が示されており、フロス15が微粒子研磨剤コーティングゾーン14内を通過する前の、ベースのワックス型液体コーティング16がマルチフィラメントデンタルフロスの上にあるのが分かる。ベースのワックス型液体コーティング16は加熱されており、液体状態でありマルチフィラメントデンタルフロス15に実質的に残っている。
【0088】
図4を参照すると、ワックス型でコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の側面拡大図が示されており、液体コーティング16に埋め込まれた微粒研磨剤3を含んだベース液体コーティング16があるのがわかり、微粒子研磨剤の埋め込まれた部分を3’で示した点線で表している。
【0089】
図5を参照すると、ワックス型でコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の側面拡大図が示されており、ベースコーティング16を固化するのに十分に冷却ゾーン(図示せず)を通過したベースコーティング16を示しており、微粒子研磨剤3は、固化したコーティング16にしっかりと埋め込まれ、微粒子研磨剤の埋め込まれた部分を3’で示した点線で表している。
【0090】
図1Aおよび図5を参照すると、本発明の特に好適な実施形態では、実質的に異なる密度を有する2つの別個の微粒子研磨剤をマルチフィラメント15上の液体ベースコーティング16に連続的に埋め込むために、図1Aに記載の微粒子オーバコーティングシステムは、複製され、一列になっている。この連続的な微粒子コーティング工程では、第1の微粒子コーティングゾーン14から第2の同様の微粒子研磨剤コーティングゾーンに向かって直接進みながら、微粒子研磨剤3は、微粒子でフロス15がオーバコーティングされる前にコーティング16に埋め込まれ、第2の微粒子研磨剤コーティングゾーンでは、強い衝撃の微粒子もまた、フロス16が微粒子でオーバコーティングされる前にベースコーティング16に埋め込まれ、図示していない冷却ゾーンに向かう。この連続的配置では、前記ベースコーティングを固化させる前にこの連続的な流動床配置を用いて、実質的に異なる密度を有する2つの別個の微粒子が、液体ベースコーティング16に埋め込まれる。
【0091】
図6を参照すると、ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の拡大した長手方向略断面図が示され、固化されたベースコーティング16が示されており、微粒子研磨剤3が、固化されたワックス型ベースコーティング16に部分的に埋め込まれており、「クッション」17が、微粒子研磨剤3’の底部からマルチフィラメントデンタルフロス15の表面まで延びている。微粒子研磨剤の埋め込まれた部分を3’で示している。
【0092】
図7を参照すると、ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の拡大した長手方向略断面図が示され、微粒子研磨剤3、および唾液溶解性微粒子、口当たりのための物質、マウスコンディショニング物質18が混ざり合った状態が示されており、これら各々が、固化されたベースコーティング16に確実に部分的に埋め込まれている。
【0093】
図8を参照すると、歯車駆動手段23を用いて、容器または流動床手段30から薬剤搬送手段22に微粒子21を送り届けるための、別の微粒子オーバコーティングシステム20の略側面図が示されている。搬送オーガー22の速度は、マルチフィラメントフロス24のための図示していない表面速度コントローラに連動されたモータ駆動歯車手段23によって制御される。マルチフィラメントフロス24の動きが早くなるにつれて、オーガー手段22は、速度を上げ、かつ溶融コーティングされたマルチフィラメントフロス24の表面により多くの微粒子21を送り届ける。したがって、このシステムは、マルチフィラメントフロス24のmm2当たり、一定の密度の微粒子21を送り届けることが可能となる。この別の微粒子オーバコーティングシステムは、必要とする空気の体積は実質的に小さくなり、相応して微粒子の過度のスプレーが低減される。このシステムは、未使用の微粒子の回収および/または未使用の微粒子の再利用の必要性は最小となる。
【0094】
上記システムでは、微粒子21は、厚さ1.27cm(0.5インチ)の焼結ポリエチレンパウダーの多孔板を用いて流動化される、平均粒径が37μの軽石などの研磨剤であってよい。この板は、20μの平均細孔寸法を有する。流動化した軽石がオーガー手段23に提供されると、軽石はシャフトの下方に引き降ろされ、ベンチュリ手段25に提供される。速度に比例して風量を制御すれば、ベンチュリ手段25の出口の下を通過するマルチフィラメントフロス24の表面に、軽石を均一に供給することが可能となる。この構成により、フロスの横断の極小さな乱れと調和して、非常に遅い空気の速度で均一な粒子密度を供給することが可能となる。
【0095】
図9および図10を参照すると、流動床手段42からマルチフィラメントフロス43および43’まで微粒子41を運ぶ、別の代替的な微粒子オーバコーティングシステム40の2つの別個の側面略図が示されている。
【0096】
空気室手段44が、低圧下で分配板手段45を介して空気を導き、次に流動床手段46において微粒子41を流動化する。微粒子41は、微粒子計量手段48によって流動床46から微粒子コーティング室47に導かれる。微粒子コーティング室47は、ベンチュリ手段49を備えている。微粒子調整分配手段50は、微粒子41をそれぞれマルチフィラメントフロスフィラメント43および43’のコーティング51および51’を埋め込む前に、流動化された微粒子41に乱流を与える高速低容量空気手段(図示せず)を備えている。微粒子分配手段50は、コーティング51および51’に埋め込まれる微粒子41のオーバコーティング52および52’の均一性をそれぞれ高める。
【0097】
図9を参照すると、空気室44の圧力は、概ね4psi〜8psiである。分配板45は、微粒子41を流動化するのに必要な気泡を流動床42において発生する、多孔性ポリエチレン手段であることが好ましい。流動床42の気圧は、0.2psi〜0.5psiの範囲にあることが好ましい。微粒子計量手段48は、図示したネジ様手段の形状以外に多くの形状を取り得る。例えば、計量手段は、流動床42から微粒子コーティング室47への微粒子41の流れを制御する、ネジ山のない栓またはラムであり得る。点線52で示すように、計量手段48を微粒子コーティング室47に下降させれば、流動化された微粒子41の流れが距離53にわたってさらに制限される。したがって、微粒子計量手段48は、微粒子計量領域47に入る流動化された微粒子41の量を決定する。微粒子分配手段50を介して調整された風量と組み合わされるこの制御は、埋め込まれた微粒子52が、コーティング51にわたって実質的に均一に分散された状態で、実質的に均一な密度の微粒子をコーティング51上に形成する。
【0098】
並んで走る最大32本のマルチフィラメントラインを含む製造システムでは、微粒子オーバコーティングシステム40は、8つのグループとして再現され、そのような2つのグループが、並んで走る計32本のラインをカバーするであろう。
【0099】
図11を参照すると、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを微粒子オーバコーティングするための略フローチャートが示されており、マルチフィラメントフロスは、ベースコーティングが塗布される液体ベースコーティングゾーンを通過する。微粒子オーバコーティングは、コーティングされたマルチフィラメントを1ヵ所または2ヵ所の微粒子オーバコーティングゾーンに導くことによって塗布され、その後、微粒子でオーバコーティングされたマルチフィラメントフロスは、冷却ゾーンを通過し、次にテイクアップワインダ手段へ導かれる前に、オーバコーティングされたマルチフィラメントは微粒子圧縮手段に通される。好適な実施形態では、微粒子オーバコーティングシステムは、図1Bに詳細に示したような微粒子回収手段を備える。
【0100】
本発明に用いられるマルチフィラメントデンタルフロスは、好適には次のものを含む。
【0101】
マルチファイバーデンタルフロスの束:該マルチファイバーデンタルフロスは、2本〜12の束を含み、約300〜約1200デニールであり、約100本〜800本のフィラメントを含んでいる。このファイバーは、天然および/または人工のファイバー、およびタッキングが全体にわたって付けられたフィラメント束、撚られた連続的なフィラメント束、および組織化されたマルチフィラメント束を含むファイバーの混合物を含み、その各々は、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、木綿、絹、等およびそれらの混合物から構成され得る。
【0102】
吸着などの特定機能を有する上記のようなマルチファイバーデンタルフロスの束:該マルチファイバー多組成デンタルフロスは、特定機能を有するファイバーの1〜6個の束を含み、50〜500デニールの特定機能を有するファイバーを有し、20本〜400本のフィラメントを含んでいる。
【0103】
好適には、マルチファイバーデンタルフロスの多組成部分は、使い捨ておむつに使用されるような膨潤可能なファイバー、付加的な化学療法物質を含んだ唾液溶解性または水溶性ファイバー、透析システムに使用されるような中空膜輸送ファイバー、ポリエチレンまたはポリプロピレンから製造されたAKZO Chemie社によるAccurel(登録商標)ファイバーなどの微小孔性ファイバー、炭酸カルシウム、タルク、等のμサイズの粒子を組み込むことによって本質的に微小孔性にされたファイバー、および塩化カルシウム、シリカゲル、活性炭等の薬剤のμサイズの粒子を組み込むことによって水または特定の流体を引き出すことのできるファイバーを含む。
【0104】
本発明の好適な実施形態では、使用されるマルチフィラメントデンタルフロスは、組織化されているかまたは組織化されていない、約500〜約1000デニールの4個〜8個の束を含み、かつ約200本〜600本のフィラメントを含んだナイロンである。本発明の特に好適な実施形態では、使用されるデンタルフロスは、6つの束を含んだナイロンであり、かつ約408本のフィラメントを有する約840デニールである。
【0105】
本発明の微粒子研磨剤および他の唾液溶解性微粒子物質は、全体的に溶媒を含まない固体材料として、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスベースコーティングに埋め込まれる。
【0106】
コーティングされたマルチフィラメントデバイスに、微粒子研磨剤オーバコーティングおよび唾液溶解性微粒子オーバコーティングを埋め込む好適な方法は、図1Aに示したシステムなどの画期的な一連の流動床システムを用いることである。
【0107】
微粒子研磨剤3または唾液溶解性微粒子18を、継続的な流動化状態、すなわち流動床2の状態に維持するために膜手段4が使用される。微粒子研磨剤3または唾液溶解性微粒子18は、流動床2を用いて流動化状態で各々維持され得る。このような流動化された微粒子は、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の横断に対して実質的に90°の角度で、ノズル手段7および7’を用いて、ポンプ手段8を用いてスタンドパイプ手段6を介して導かれる。
【0108】
図2を参照すると、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15は、微粒子コーティングゾーン14を通過し、図4〜図6に示すような微粒子研磨剤3または図7に示すような唾液溶解性微粒子18を埋め込まれる。微粒子研磨剤3および唾液溶解性微粒子18は、微粒子でオーバコーティングされたマルチフィラメントフロスが図示していない冷却ゾーンに入る直前に、ノズル手段7および7’を介し、かつ一連の連続して位置決めされた別個の微粒子オーバコーティングシステムを介して、強い衝撃条件下で各々別個にマルチフィラメントフロス15上の液体ベースコーティング16まで導かれる。
【0109】
マルチフィラメント15上のコーティング全体にわたるワックス型コーティング16への微粒子研磨剤3の埋め込みは、微粒子研磨剤3がコーティング16に衝突するときに、マルチフィラメントデバイスの外面全体上に存在する高温の液体ワックス型ベースコーティングに微粒子を衝突させることによって達成される。図4〜図6を参照されたい。
【0110】
すなわち、微粒子研磨剤3は、デバイスが微粒子コーティングゾーン14を通過するときに、フィラメント15に実質的に残っている液体コーティング16に衝突し、微粒子研磨剤3は、図5に示したようなコーティング16および図6および図7に示したような固化したコーティング16に埋め込まれる。
【0111】
すなわち、微粒子研磨剤3は、10cs〜10000csの粘度を有する一般に約48℃〜110℃の温度の粘性液である高温の粘性のあるベースコーティング16に衝突して入り込む。これを、図4および図5に示しており、微粒子研磨剤の露出部分を3で示し、微粒子研磨剤の埋め込まれた部分を点線で3’として示している。
【0112】
図5から図7に示したように、次に、埋め込み微粒子でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスは、冷却手段(図示せず)を通り、冷却手段で、ベースコーティング16は冷却され、かつベースコーティングに埋め込まれた微粒子研磨剤3とともに固化する。
【0113】
図7は、マルチフィラメントデンタルフロスベースコーティングへの、微粒子研磨剤オーバコーティングの強い衝撃の実施形態である。すなわち、微粒子研磨剤3、およびマウスコンディショナー、風味物質、活性成分等を含んだ微粒子唾液溶解性物質である。この「強い衝撃」の微粒子オーバコーティングは、微粒子研磨剤、およびマウスコンディショナーおよび/または風味物質を含んだ微粒子唾液溶解性物質の両方を含んでおり、両方とも、図7に示したようなベースコーティングに埋め込まれる。図7を参照すると、微粒子研磨剤3および3’と唾液溶解性微粒子物質18との混合物は、ベースコーティング16が固化する前に、別個の流動床源からマルチフィラメントフロス15上のベースコーティング16に連続的に埋め込まれる。
【0114】
微粒子研磨剤、および風味物質および/またはマウスコンディショナーおよび/または化学療法物質を含んだ種々の唾液溶解性微粒子物質のオーバコーティングは、幅広いこれらの物質を含み得る。例えば、このような強い衝撃の微粒子オーバコーティング中の微粒子研磨剤と非イオン性界面活性剤(PLURONICS)などの唾液溶解性物質、MICRODENT(登録商標)および/またはULTRAMULSIONS(登録商標)および/またはPEGなどの多価アルコールなどのエマルジョンなどの唾液溶解性物質との粒子比は、10:90〜90:10の範囲になり得る。
【0115】
本発明の画期的な流動床コーティング方法は、次のものを埋め込むのに最も効果的である。
(1)コーティングされたデバイスへの約2重量%〜約45重量%の微粒子研磨剤の装填、
(2)コーティングされたデバイスへの約2重量%〜約45重量%の微粒子唾液溶解性研磨剤の装填、
(3)知覚研磨因子(PAF)が約2〜4のコーティングされたマルチフィラメントデバイスへの微粒子研磨剤オーバコーティング、および
(4)付随的放出因子(IRF)の値が約80%をかなり上回り、好適には90%を超え、最も好適には95%を超える、コーティングされたマルチフィラメントデバイスへの微粒子研磨剤オーバコーティング。
【0116】
PAF値が3〜4の被覆されたマルチフィラメントデンタルデバイスを製造するためには、(1)デバイスの約10重量%〜34重量%の微粒子研磨剤装填物を埋め込むこと、(2)埋め込み微粒子研磨剤の平均粒径を約7μ〜約200μに制限すること、(3)埋め込み微粒子研磨剤の粒径分布を約5μ〜約300μに制限すること、および(4)微粒子コーティング室を通るコーティングされたマルチフィラメントフロスの横断に対して90°に位置決めされたいくつかのノズル手段から、高速の装填下で液体ベースコーティングに微粒子研磨剤を埋め込み、これによりベースコーティングへの微粒子研磨剤の衝突を最大化すること、が必要であることが明らかとなっている。
【0117】
コーティングされたマルチフィラメントフロスを唾液溶解性微粒子でオーバコーティングすることは、ノズル手段から放出される前に、唾液溶解性微粒子に静電荷を与えることによって実行され得る。帯電した唾液溶解性微粒子を受け取るために、液体でベースコーティングされたマルチフィラメントを接地する手段が提供される。別の場合には、唾液溶解性微粒子は、種々のスプレー手段によってマルチフィラメントデンタルフロス上の液体ベースコーティングに埋め込まれ得る。
【0118】
種々のタイプの流動床/ノズル配置に加えて、微粒子研磨剤オーバコーティングは、液体コーティングされたマルチフィラメント上に微粒子研磨剤を衝突させる他のいくつかの手段によって、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに埋め込まれ得る。これらには、流動床、可塑フレームスプレー、静電スプレー、およびソニックスプレーを含む種々の紛体スプレープロセスがある。ソニックスプレーでは、流動化された微粒子研磨剤をノズル手段に導く前に、微粒子研磨剤を懸濁させるのに音波が使用される。他の微粒子研磨剤オーバコーティングプロセスは、米国特許第6037019号、第3848363号、第3892908号、第4024295号、第4612242号、第5163975号、第5232775号、第5273782号、第55389434号、第5658510号、第2640002号、第3093501号、第2689808号、第2640001号、および第5194297号に記載されている。これらは、本発明により教示されるように、コーティングされたマルチフィラメント上に微粒子研磨剤を衝突させる工程に適合され得、参照により本明細書に組み入れる。
【0119】
特に好適な微粒子オーバコーティング手段には、種々のNordson(登録商標)の紛体ポンプを備えたNordson(登録商標)のTribomatic II紛体コーティングシステムなどの、種々のNordson(登録商標)自動紛体コーティングシステムのほか、ITW Gema社のEasysystem(商標)を備えたITW Gema Powderコーティングシステム、およびElectrostatic Equipment社の7R FLEXICOAT(登録商標)システムがある。
【0120】
本発明の微粒子オーバコーティングは、液体ベースコーティングに微粒子を送り届ける他の種々の手段に影響され得る。例えば、微粒子が、スクリーニング手段から液体ベースコーティングされたマルチフィラメント上の液体手段上に落下する、単純なスクリーニング技術によって、微粒子は導かれ得る。
【0121】
オーバコーティングのための本発明の好適な手段には、ノズル手段と組み合わせた流動床を含む。この組合せによって、液体ベースコーティングに埋め込まれる微粒子の範囲が制御され、かつPAFおよびIRFの値が最適化されるとともに、最も均一なオーバコーティングが得られる。
【0122】
本発明のために適した平均デニールが840で、約25mg/ydのベースコーティングを有する、標準的なコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに埋め込まれる種々の歯用微粒子研磨剤を、以下の表1に詳細に示したように、例1〜7に示す。
【表1】
【0123】
本発明のために適した、840デニールで約30mg/ydのベースコーティングを有する、標準的なコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに埋め込まれる種々の「活性」微粒子研磨剤を、以下の表2に詳細に示すように、例8〜12に示す。
【表2】
【0124】
本発明に適した微粒子研磨剤は、その上に「まぶされた(dusted)」活性成分も含み得る。例えば、コーティングされたマルチフィラメントフロスをオーバコーティングする前に、塩化セチルピリジニウム、トリクロサン、クロルヘキシジン等の抗菌薬が、微粒子研磨剤の上にまぶされ得る。フロッシング中、微粒子研磨剤上のこれらの抗菌性コーティングは、微粒子研磨剤から放出され、歯間および歯肉縁下で使用可能な状態で留まって、バイオフィルムが除去され、破壊され、かつ/または制御されるときに、フロッシング中に微粒子研磨剤が埋め込まれたマルチフィラメントデンタルフロスと協働する。
【0125】
ワックスは、好適なベースコーティングである。ワックスという用語は、天然または合成のいずれかである多数の材料の一般的分類として使用され、一般にこのような材料は、その機能的特性および物理的性質のためにワックス状であると考えられる。このような材料は、周囲温度において固体であり、比較的融点が低く、加熱されると軟らかくなり、冷却されると硬くなることができる。一般に、ワックスの分子量が大きくなるほど、融点は高くなる。
【0126】
通常ワックスは、天然または合成ワックスとしてその原料によって分類される。天然原料から得られるワックスには、蜜ろうなどの動物ろう、カンデリラおよびカルナウバなどの植物ろう、鉱ろう、およびパラフィンおよびミクロクリスタリンワックスなどの石油ろうがある。合成ワックスには、フィッシャー・トロプシュ(Fischer−Tropsch)ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックス、およびアミドワックスがある。
【0127】
本発明の好適な一実施形態は、マルチフィラメントフロス上にコーティングされるある不溶性ワックスを用いる。このような不溶性ワックスは、フロッシング中にファイバーから簡単には放出されずかつ/または離れない。このような不溶性ワックスは、微粒子研磨剤が浸透すると、フロシング中にわたって「軟らかい研磨性」のサンドペーパー効果を与え続ける。
【0128】
天然ワックス
石油ろうは、自然に発生するワックスの圧倒的に最大の市場である。石油ろうは、パラフィンろうおよびミクロクリスタリンワックスにさらに分類される。
【0129】
パラフィンろうは、原油の蒸留から得られ、主に直鎖飽和炭化水素から成る。この分子量は、280〜560(C20〜C40)であり、融点は約68℃である。
【0130】
ミクロクリスタリンワックスは、アスファルト製造後の残留分を脱ろうするか、または原油貯蔵中に沈殿するアスファルト製造後のタンクの残油を脱脂することによって、得られたペトロラタムまたはグリースを脱脂することによって製造される。このようなワックスは、その結晶がパラフィンろうの結晶よりも著しく小さいために、ミクロクリスタリンワックスと呼ばれる。ミクロクリスタリンワックスは、主にいくつかのn−アルカンと共にイソパラフィン酸およびナフテン酸の飽和炭化水素から構成される。この分子量は、450〜800(C35〜C60)であり、低い融点(65℃)および高い融点(80℃)を有する2つのグレードで製造される。
【0131】
動物ろうは、一般に昆虫または哺乳類由来である。
【0132】
蜜ろうは、最も重要な市販の動物ろうの一種であり、沸騰水中で蜂の巣を溶解し、かつ粗ろうを掬い取ることによって蜂の巣から得られる。蜜ろうは、いくつかの遊離カルボキシル酸、炭化水素、およびワックスアルコールとともに、カルボキシル酸およびヒドロキシ酸の非グリセリドエステルから構成される。このワックスの融点は約62℃〜65℃であり、引火点は242℃である。
【0133】
植物ろうは、葉および茎または果実および種子のいずれかから得られる。カンデリラろうおよびカルナウバろうは、最も重要な市販の植物ろうである。
【0134】
カンデリラろうは、炭化水素(50%)、非グリセリドエステル、アルコール、および遊離酸から構成される。カンデリラろうは、相変化の際に体膨張または収縮が小さく、約68℃〜72℃で溶ける。
【0135】
カルナウバろうは、植物ろうの中で最も硬く、融点が最も高い。カルナウバろうは、主として、少量の遊離酸、樹脂、および炭化水素と共に非グリセリドエステルから構成される。カルナバろうは、約83℃〜86℃で溶ける。
【0136】
合成ワックス
フィッシャー・トロプシュワックスは、ガソリンおよびディーゼル油などの液体燃料の合成中の副産物であり、高温および高圧での一酸化炭素の接触水素化によって得られる。フィッシャー・トロプシュワックスは、分子量が600〜950の範囲にあり、融点が95℃〜120℃のn−アルカンから構成される。
【0137】
ポリエチレンワックスは、分子量が2000〜10000であり、高分子量の炭化水素ワックスの性質を有する。このような低密度低分子量のポリエチレンは、高分子量のポリエチレンの、高圧重合、Zieglerタイプの触媒を用いた低圧重合によって、または熱劣化によって製造される。このポリエチレンの融点は、90℃〜120℃である。
【0138】
天然のグレードと同様の性質を有する、蜜ろう、カンデリラろう、およびカルナバろうの合成のグレードも利用可能である。
【0139】
水溶性ワックス
比較的低分子量の液体ワックスの形態である、ポリエチレングリコール、酸化エチレンのポリマーは、一般にポリポリエチレングリコール(PEG)と呼ばれる。典型的には、分子量が20000より小さいポリマーが、PEGと定義され、分子量が20000を超えるポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)である。PEGは、分子量1000〜20000で利用可能であり、すべて水溶性である。分子量が大きくなると溶解度は低くなる。PEGの融点は、分子量に応じて45℃〜60℃である。
【0140】
以下の表3および表4は、マルチフィラメントフロスをコーティングするのに適した、かつ本発明の微粒子研磨剤と共に埋め込むのに適した種々のコーティングを詳細に記載している。このようなオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスの穏やかさ、強い衝撃の風味、および口当たりなどの重要な遵守要因は、一部には、表4の例25〜39に記載したような種々のベースコーティング、および該ベースコーティングに埋め込まれる種々の唾液溶解性微粒子物質に関係する。このようなコーティングされたマルチフィラメントフロスに埋め込まれる微粒子研磨剤オーバコーティングは、フロスが「機能している」という予想外の知覚、すなわち重要な遵守要因を与える。
【表3】
【0141】
種々のマルチフィラメントデンタルフロス用の適したエマルジョン、唾液溶解性およびフレークを生じないベースコーティングを、以下の表4の例25〜39に記載する。
【表4】
【0142】
例40
以下の処方を有するマルチフィラメントデンタルフロス用の唾液溶解性ベースコーティングを調整した。
成分 グラム
Pluronic F−127 530
PEG 1450 350
PG 1
不溶性サッカリン 23
ペパーミント香料 76
L−メントール 20
計 1000
【0143】
以下の表5に示した種々の割合で、上記をマルチフィラメントデンタルフロスに添加した。このコーティングされたマルチフィラメントも、以下の表5に示したような種々の割合で種々の微粒子研磨剤でオーバコーティングした。
【表5】
【0144】
本発明の好適な一実施形態では、J&J社のワックスが塗布された風味付きマルチフィラメントデンタルフロスおよびその自家商標の代替物を含む、「ワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロス」の市販版は、微粒子研磨剤が種々のワックスコーティングに埋め込まれるように、このようなマルチフィラメントフロス上の不溶性ワックスコーティングを微粒子研磨剤の衝突を受け入れるようにすることによって、劇的に改善され得る。これらを表5の例41〜53に詳細に記載する。
【0145】
このようなワックス塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスの微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものと、これに相当する微粒子研磨剤でオーバコーティングされていない市販のワックスが塗布されたフロスとを比較したところ、微粒子オーバコーティングフロスの「手」が劇的に改善されただけでなく、PAF値によって示される微粒子研磨剤でオーバコーティングされたフロスは「機能する」という知覚も劇的に改善されたことがわかる。このような改善は、実質的かつ関連があると考えられ、このような微粒子研磨剤でオーバコーティングされたワックスフロスの知覚される値の全体的な増強に寄与する。これらのオーバコーティングなしの市販のワックスで塗布されたフロスと比較されたい。
【0146】
本発明の好適な第2の実施形態では、J&J社のREACH(登録商標)Gentle Gum Careの種々の風味が付いたものなど、コーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルフロスは、微粒子研磨剤が唾液溶解性コーティングに埋め込まれるように、このような組織化されたマルチフィラメントフロスの外側の唾液溶解性「装填物」を、微粒子研磨剤の衝突を受け入れるようなものにすることによって劇的に改善され得る。これらを、表5の例47〜49に詳細に記載する。
【0147】
例47〜49に記載したようなこれらのコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルフロスの微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものと、これに相当する微粒子研磨剤でオーバコーティングされていないコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントフロスとを比較すると、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものの「手」が劇的に改善されただけでなく、微粒子研磨剤でオーバコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルフロスが、「機能する」という知覚も劇的に改善されたことがわかる。PAF値を参照されたい。このような改善は、実質的かつ関連があると考えられ、このようなオーバコーティングのない市販のマルチフィラメントデンタルフロスに比して、組織化されたマルチフィラメントデンタルフロスのこのような微粒子研磨剤でオーバコーティングされたもので知覚される値の全体的な増強に寄与する。
【0148】
本発明の好適な第3の実施形態では、RanirによってHi−Tech(商標)Dental Flossとして上市されたコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスの市販のものは、微粒子研磨剤がこの市販の製品のコーティングに埋め込まれるように、その上のコーティングを微粒子研磨剤の衝突を受け入れるようにすることによって、劇的に改善され得る。表5の例52を参照されたい。
【0149】
例52の微粒子研磨剤でオーバコーティングされたもののコーティングされたHi−Techマルチフィラメントデンタルフロスと、これに相当する微粒子研磨剤でオーバコーティングされていないコーティングされたフロスとを比較すると、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたHi−Techフロスの「手」が劇的に改善されただけでなく、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたHi−Techフロスは、「機能する」というこの知覚も劇的に改善されたことがわかる。PAF値を参照されたい。このような改善は、実質的かつ関連があると考えられ、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたHi−Techフロスの知覚される値の全体的な増強に寄与する。
【0150】
(表5の例47〜50に記載したような)J&J社のREACH(登録商標)Gentle Gum CareおよびJ&J社のWaxed Mintマルチフィラメントデンタルフロスの微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものと、J&J社のWhitening Dental Tape(例53を参照)とを比較すると、これら2つの市販のマルチフィラメントデンタルフロスの微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものは、J&J社のWhitening Dental Flossよりも好ましいことがわかる。この優位性は、一部には、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものは、PAF値によってさらに示されるような「機能する」という知覚と共に、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスについて示された使用の容易さおよび挿入の容易さに起因するものである。
【0151】
本発明の特に好適な実施形態は、製品原価の上昇が非常に穏やかな、幅広い市販のワックスが塗布されたおよび/またはコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに提供された知覚された値の増大である。この知覚された値の増大は、現行のワックス塗布および/またはコーティング工程と共に実施され得るオーバコーティング工程を用いて、適度な価格の微粒子研磨剤オーバコーティングを加えることによって達成され得る。
【0152】
表5の例41〜53に記載されたような市販のコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスは、「それが機能している」という知覚を超えて改善され得、これは記録されたPAF値によって示される。すなわち、風味物質、口当たり物質などを含有する唾液溶解性微粒子を用いた第2のオーバコーティングは、マルチフィラメントフロスがコーティングゾーンに入る前に、この微粒子を液体ベースコーティングに埋め込むために、第2の別個の流動床およびノズル手段を用いてワックスベースのコーティングに埋め込まれ得る。
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1A】埋め込まれた微粒子研磨剤、および風味物質、マウスコンディショナー、栄養補助食品、および/または活性治療薬を含んだ埋め込み唾液溶解性固体物質で、ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデバイスをオーバコーティングするのに適した、本発明の微粒子オーバコーティングシステムを示す略側面図である。
【図1B】図1Aに示した微粒子オーバコーティングシステムを示す略側面図であり、フィルタ手段に代わって、オーバコーティング工程中にマルチフィラメントと接触しない微粒子の過剰なスプレーを回収する手段を備えている。
【図2】図1Aに示したシステムの拡大平面図であり、微粒子コーティング室を通過するワックス型コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを示している。
【図3】コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスを示す拡大略断面図であり、コーティングされたフロスが微粒子コーティング室に入る前の、マルチフィラメントデンタルフロスへの液体ワックス型コーティングを示す。
【図4】ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを示す拡大略断面図であり、マルチフィラメントデンタルフロスが微粒子研磨剤コーティング室を通過後の、液体ワックス型コーティングに埋め込まれる微粒子研磨剤を示す。
【図5】ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを示す拡大略断面図であり、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスが、ワックス型コーティングを固化させる冷却ゾーンを通過した後の、固化したワックス型コーティングに部分的に埋め込まれた微粒子研磨剤を示す(冷却ゾーンは示さず)。
【図6】コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを示す引き延ばした略断面図であり、研磨剤のためのクッションとして機能する固化されたワックス型コーティングに部分的に埋め込まれた微粒子研磨剤を示す。
【図7】コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを示す引き延ばした略断面図であり、微粒子研磨剤、および固化されたワックス型ベースコーティングに部分的に埋め込まれた微粒子を含む唾液溶解性風味物質/口当たり物質の混合物を示す。
【図8】ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデバイスをオーバコーティングするのに適した、本発明の別の微粒子オーバコーティングシステムを示す略側面図である。
【図9】ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデバイスをオーバコーティングするのに適した、本発明の別の微粒子オーバコーティングシステムを示す略側面図であり、オーバコーティングに用いられる微粒子は詳細に示していない。
【図10】図9と同様の略側面図であり、オーバコーティングに使用される微粒子を詳細に示している。
【図11】コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスの微粒子オーバコーティングを示す略フローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本願は、2002年12月30日に出願された共通に所有される同時係続米国特許出願第10/331795号の優先権を主張するものである。
【0002】
Webster’s New World Dictionaryの1983年版では、デンタルフロス(dental floss)とは「歯間の食べかすを取り除くための糸」であると定義されている。
【背景技術】
【0003】
歯間腔を洗浄するためにデンタルフロスを使用するという概念は、1819年ペンシルバニア州フィラデルフィアのCullins & Croft、ParmlyによるPractical Guide to the Management of Teethによって紹介されたと思われる。歯間および歯肉縁下の表面を洗浄するために非常に多くの種類のフロスが開発されかつ使用されたが、1948年になってようやくBassが、Dental Items of Interest、70、921−34(1948年)においてデンタルフロスの最適な特徴を確立した。
【0004】
Bassは、サイズ剤、結合剤、および/またはワックスで処理されたデンタルフロスは、所望の「広がった繊維効果(spread filament effect)」とは異なるような「コード(cord)」効果を生じると警告した。このコード効果は、フロッシングの効果を著しく低減させ、必要となる歯間および歯肉縁下の機械的洗浄を達成するのに必要な広がり(すなわち、繊維からの平坦化および拡大化)を視覚的に除去する。次に、この洗浄の後に、「広がった」フロスによる、歯間腔の屑、プラーク、および微小な物質の捕獲および除去が、歯間からそれが除去されるのにしたがって必要となる。
【0005】
歯間表面のかなり広い表面領域を清潔にするには、デンタルフロスを適切に使用することが必要であり、これは、通常、歯ブラシの毛、すすぎの振り動作などの他の洗浄方法および洗浄剤によって、あるいは口腔洗浄器からの脈動のストリームによっては達成することができない。
【0006】
歴史的にはデンタルフロスの目的は、次のようなものである。
(1)歯間表面に蓄積し、かつ他の口腔衛生手段によっては除去することのできない、分解した食物物質、屑等を排除および除去すること。
(2)以前の洗浄以後に歯間表面に蓄積した、細菌性の物質(プラーク、歯石、結石)の成長をできる限り多く排除および除去すること。
【0007】
効果的な口腔衛生は、以下の3つの管理要素を各自維持することを必要としている。
(1)ステイン、プラーク、および歯石の物理的除去。これは、最も強い意味では歯科医院での剥離および研磨によって達成される。自己管理による処置が、来院間に必要となることが多く、適した研磨剤入り歯磨剤を用いて歯ブラシで歯磨きして、フロッシングおよびウォータージェットで落とすことから、特定の研磨性剤入りの食物を使用すること、さらには歯の表面に対して舌を押し付ける動作にまで及ぶ。
(2)界面活性剤による洗浄。これは、歯表面に付着する前の食べかすおよびステイン物質、口腔の表面から継続的に剥がれ落ちる通常の死滅した(上皮性)細胞物質、および上記すべての物から派生する微生物分解産物を除去するのに必要となる。界面活性剤によって提供される単純な清潔性に関連する衛生上および健康上の効果に加え、界面活性剤洗浄によって重要な美容上および健康上の効果が提供される。研究から、口臭の主な原因は、正常な健康な口によって連続的に剥がれ落ちる死滅した細胞物質の保持およびその後の分解であることが明らかとなっている。
(3)洗浄の頻度。これは、今日のペースの速い労働環境および社会環境では提供するのは恐らく最も困難である。大半の人は、最低1日3回歯を磨き、少なくとも1日1回は歯をフロッシングすべきであると認識している。単純な事実であるが、大半の人は1日1回歯を磨いており、朝および夜に歯を磨く人もいるが、最適な口腔衛生のために、その他の1日3回または4回に使用するのに歯ブラシおよび歯磨剤を携行する人は極めて少数である。消費者調査では、人々は1日平均1.3回歯を磨くことが示唆されている。最も驚くべきことであるが、定期的にフロッシングしている成人は15%未満である。フロッシングしない理由は実行が難しいこと、痛みがあること、効果的でないこと、効果がないように思われること、および後味が悪いことである。
【0008】
マルチフィラメントデンタルフロスは、「使用者に優しい」製品ではない、すなわち使用が難しいということが一般に認められている。マルチフィラメントデンタルフロスは、痛みおよび出血を生じさせ、その結果口中の後味を悪くさせる。大半の市場分析者は、フロッシングをより肯定的なものにするためになされ得ることが、より頻繁なフロッシングおよびより幅広いフロスの使用を奨励するために実施されるべきであるということを認めている。種々のフレーバーオイル、本発明によって教示されるような「作用する(working)」と知覚される洗浄剤および研磨剤と共に使用するシリコーンなどのマウスコンディショニング物質をフロスに加えることは、奨励かつ支持されるであろうデンタルフロス使用者にとって肯定的なフィードバックのすべての源である。これらを達成するためには、現行のフロス製造の基本的変更が必要となる。
【0009】
マルチフィラメントデンタルフロスを医療装置として分類した米国食品医薬品局(FDA)によって、これまでにナイロンファイバー束の3つの基本的な構成が認可されている。この3つの基本的構成は、140デニール(68本のフィラメント)、100デニール(34本のフィラメント)、および70デニール(34本のフィラメント)である。従来、種々の市販のマルチフィラメントデンタルフロスを製造するために、これら3つのタイプの6〜10個の束が、結合剤を用いて撚り合わされていた。
【0010】
現在市販されている市販用マルチフィラメント歯間デバイスの多くは、(1)摩損を最小化するための種々のマルチフィラメントフロスの結合剤、(2)潤滑剤、(3)香味剤の担体、および/または、(4)フッ化物の担体として機能する、種々のワックスまたはワックス状物質のコーティングを含んでいる。
【0011】
大半のワックスを塗布したマルチフィラメントデンタルフロスに共通する一般的な欠点は、デンタルフロスは「作用しない」および/または「クリーニングしない」等のフロッシング中の使用者の知覚である。
【0012】
実際、これらデバイスの多くは、バイオフィルム(プラーク)の除去に対してほんの僅かの有効性しか有していない。バイオフィルムは、効果的に除去されるためには一般に物理的な研磨型の動作を必要とする。バイオフィルムの形成を効果的に管理するには、定期的な専門家のクリーニングが推奨される手段である。
【0013】
1960年〜1982年まで、多数の臨床試験では、歯垢除去、およびワックス塗布マルチフィラメントデンタルフロスとワックス未塗布マルチフィラメントデンタルフロスとの間の歯肉炎スコアに関する臨床的な差がないことが報告されている。これは両者とも「コード」フロスであり、サイズ剤および結合剤等を含んでいることに留意されたい。このような臨床試験でも、歯垢除去および歯肉炎スコアに関して、ワックス塗布フロスとワックス未塗布フロスは、約50%の効果があることが確認された。したがって、「コード」効果は、フロスおよび特にBassが記載したような広がったマルチフィラメントデンタルフロスに関連する物理的研磨型の動作の効果を著しく制限する。
【0014】
1970年にO’Learyおよび1973年にHillらは、ワックス塗布デンタルフロスおよびワックス未塗布デンタルフロスの歯間洗浄性に差がないことを認めた。このことは、歯垢および歯肉炎スコアに有意な臨床的な差がないことを示したLobeneらによって、1982年に再確認された。同様の結果、すなわち歯肉炎の低減に関して、ワックス塗布マルチフィラメントデンタルフロスとワックス未塗布マルチフィラメントデンタルフロスとの間に臨床的な差がないことが、1981年にWunderlichによって明らかにされた。1981年、Schmidtらは種々のマルチフィラメントデンタルフロスを用いて、歯垢除去に差がないことを報告した。1980年、Stevensは、種々の径のマルチフィラメントデンタルフロスを試験して、歯垢および歯肉の衛生に差がないことを示した。1975年、Carterらは、専門家および自己管理によるワックス塗布マルチフィラメントデンタルフロスとワックス未塗布マルチフィラメントデンタルフロスを試験したところ、両者ともに、歯間溝および歯肉溝の歯肉出血を有意に低減した。ワックス未塗布マルチフィラメントデンタルフロスは、僅かに低減させたが、有意により効果的でないように思われた。
【0015】
この臨床試験を考慮すると、今日販売されているマルチフィラメントデンタルフロスの大半は、Bassの教示とは対照的であり、結合されたかつ/またはワックスが塗布されたものであることは驚くことではない。今日の紡績糸産業における「結合剤の使用」は、「フロス」のためというよりも、マルチフィラメントデンタルフロス製造およびパッケージング中の加工および生産を容易にするためにより使用される。臨床試験では(残念ながら共に「結合剤が使用された」)ワックス塗布マルチフィラメントデンタルフロスとワックス未塗布マルチフィラメントデンタルフロスとの間に差が見られないので、マルチフィラメントデンタルフロス産業は、マルチフィラメントデンタルフロスにおいて結合剤を使用する紡績糸産業の傾向に満足しており、このために広がった、物理的研磨型のクリーニングが犠牲になっている。
【0016】
上記のように、FDAによってマルチフィラメントデンタルフロスとして承認されたナイロン製ストランドの3つの基本的な構成がある。これらは、140デニール(68本のフィラメント)、100デニール(34本のフィラメント)、および70デニール(34本のフィラメント)である。世界的に販売されている市販のマルチフィラメントデンタルフロスを分析したところ、市販のマルチフィラメントデンタルフロスのほぼすべてが、概ね同じ様式で撚られており、結合剤を含み、かつこれら3つのストランドタイプのうちの1つから選択されたいくつか(6〜10個)のストランドを撚ることによって構成されていることがわかっている。
【0017】
Hillらに付与された米国特許第4911927号、第5098771号、第5165913号、および第5711935号に記載されかつ権利が主張されている、革新的なマルチフィラメントデンタルフロスの商品化によって、歯間および歯肉縁下の両方においてマルチフィラメントデンタルフロスからの化学療法薬の放出を含むということに、マルチフィラメントデンタルフロスの目的が拡大された。このような新しいマルチフィラメントデンタルフロスの効果は、1990年9月19日付の55Fed.Reg.38560のFDAcall−for−dataに応じたファイリングに報告された臨床試験に記載されている。ドケット番号81N−0033、OTC210246〜210262を参照されたい。Hillらの特許および参照した臨床試験を、参照により本願明細書に組み入れた。
【0018】
Hillらの特許は、十分なマルチフィラメントデンタルフロスは、最高で基体の100%の装填量を有して製造され得ることを示している。Hillらに付与されたこのような特許は、マルチフィラメントデンタルフロスの装填重量は、マルチフィラメントデンタルフロスの内側全体に洗浄剤を置くことによって、これまでの限界を超えて増大され得ることを示している。さらに特に、Hillらに付与された特許は、圧縮装填と呼ばれる方法によって、いくつかのストランド間および各ストランドを含んだ個々のフィラメント間の隙間に、洗浄剤を付着させることについて示している。この洗浄剤は、フロスが歯間で引っ張られたときに広がるにつれて活性化し、それによって、口腔、特に歯の表面に洗浄剤を届ける。
【0019】
プラークをバイオフィルムとして分類することは、効果的な「自己治療型」口腔ケア製品の開発において大きな進歩であると考えられる。以下のバイオフィルムの参照文献を参照されたい。
【0020】
GreensteinとPolsonによる「J.periodontol」、1998年3月、69:5:507−520、van Winkelhoffらによる「J.Clin.Periodontol」、1989年、16:128−131、およびWilsonによる「J.Med.Microbiol」、1996年、44:79−87。
【0021】
バイオフィルムとは、「相互にかつ表面または表面間に付着した、基質で囲まれた微生物集団」であると定義される。これらの塊は、保護のためにエキソポリサッカライド基質を分泌する。バイオフィルム中のバクテリアを殺すには、水性懸濁液中の有機体に比べて非常に高い濃度の薬剤が必要となる。
【0022】
Costerton,J.W.、Lewandowski,Z.、DeBeer,D.、Caldwell,D.、Korber,D.、James,G.による、J.Bacterio、「Biofilm,the customized microniche」1994年、176:2137−2142。
【0023】
バイオフィルムの特異性は、1990年代にはいっそう重要なものとして認識されている。バイオフィルムの成長のモードに関する今後の試験では、細菌の分布の操作が可能となろう。
【0024】
Douglass,C.W.、Fox,C.H.によるCurrent status and implications for dental practice.Adv.Dent.Res.、「Cross−sectional studies in periodontal disease」、1993年、7:26−31。
【0025】
歯周治療を必要とする55歳を超える成人の数は、増加するであろう。治療の種類は、その需要を満たすために調整が必要となろう。
【0026】
Greenstein,G.J.によるA review.Periodontol.、「Periodontal response to mechanical non−surgical therapy」、1992年、63:118−130。
【0027】
機械的療法は、療法の遵守および技能に注意すれば依然として有効である。
【0028】
Marsh,P.D.、Bradshaw,D.J.による、Adv.Dent.Res.、「Physiological approaches to the control of oral biofilms」、1997年、11:176−185。
【0029】
大半の研究所および臨床所見は、生理学的管理の概念を支持している。今後の試験でバイオフィルムの多様性の詳細が明らかとなろう。
【0030】
Page,R.C.、Offenbacher,S.、Shroerder,H.、Seymour,G.J.、Komman,K.S.による、Summary of developments,clinical implications and future directions.Periodont.2000、「Advances in the pathogenesis of periodontitis」、1997年、14:216−248。
【0031】
3つの口腔好気性細菌に対する遺伝的感受性は、歯周炎の進行において重要な役割を果たす。後天的および環境リスク因子が、この問題に悪影響を及ぼす。機械的破壊は依然として有効であり、歯周治療の不可欠な部分となろう。
【0032】
Papapanou,P.N.、Engebretson,S.P.、Lamster,L.B.による、NY State Dent.J.、「Current and future approaches for diagnosis of periodontal disease」、1999年、32−39。
【0033】
新規なポケット深さ測定デバイス、顕微技術、免疫学的検定、DNAプローブ、BANA加水試験などの新しい技術が利用可能である。これらは、歯周炎の性質をより明確に定める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明は、歯磨きまたはすすぎによっては到達不可能な歯間および/または歯肉縁下の歯の表面に形成されるバイオフィルムの物理的研磨型の除去、破壊、および/または管理に適した、バイオフィルム反応性の被覆されたマルチフィラメントデンタルフロスに向けられたものである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明の被覆されたマルチフィラメントデンタルフロスは、埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされている。この埋め込まれた微粒子研磨剤は、フロッシング中に埋め込まれた微粒子研磨剤が埋め込まれているベースコーティングが、最終的にマルチフィラメントから放出あるいは部分的に分離されるまで、マルチフィラメントフロスコーティングに実質的に残っているか、あるいはフロス上のベースコーティングが不溶性であるマルチフィラメントデンタルフロスの寿命の間有効な研磨剤として残り、かつフロッシング中にフィラメントに実質的に残っている。
【0036】
フロッシング中、最初に、埋め込まれた微粒子研磨剤オーバコーティングは、バイオフィルムを除去、破壊、および/または管理する、経口型のサンドペーパーの「軟らかい」研磨剤の形態として機能する。基本的に、埋め込まれた微粒子でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスが、歯間腔を最初に通過すると、存在するバイオフィルムには穏やかな「サンドペーパー」研磨剤効果がもたらされ、最終的にこの効果は、マルチフィラメントストランドに存在する微粒子研磨剤を含んだワックスが塗布されたコーティングを溶解かつ/または破壊することになる。本発明の別の実施形態では、不溶性ベースコーティング材料が使用される。これらは、フロッシング中にマルチフィラメントからすぐには放出されず、微粒子研磨剤が浸透したときに、バイオフィルムを穏やかに除去、破壊、かつ/または管理する際に、デンタルフロスの寿命を通して非常に効果的な、軟らかい研磨剤型のデンタルフロスサンドペーパーを形成する。
【0037】
可溶性ベースコーティングが使用されるとき、放出されたワックス/研磨剤および/または微粒子研磨剤は、フロスのフィラメントと協働して、微粒子研磨剤が唾液によって洗い流されるまでおよび/または溶解されるまで、バイオフィルムを除去、破壊、かつ/または管理し続ける。すなわち、放出された微粒子研磨剤は、フロスが歯間および歯肉縁下で働くときに、マルチフィラメントデンタルフロスフィラメントと協働して、歯間および歯肉縁下の歯表面に形成されたバイオフィルムの物理的研磨型のクリーニング、破壊、かつ/または管理を提供し続ける。
【0038】
本発明の種々の埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを用いて達成される、バイオフィルムの物理的研磨型のクリーニング、破壊、および/または管理は、マルチフィラメントデンタルフロスが隙間から除去されかつその領域のフロッシングが中止されるまで、微粒子研磨剤が溶解かつ/または洗い流されるまで、かつ/またはバイオフィルムが物理的に除去、破壊、かつ/または管理されるまで継続する。
【0039】
本発明の埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを用いた、物理的研磨型のクリーニング、破壊、および/または管理は、(1)ベースコーティング、(2)微粒子研磨剤、および/または(3)風味、口中での感覚等の特質を、本発明の微粒子オーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに導入するために使用される他の微粒子オーバコーティング物質に含まれる、種々の化学療法用物質による化学療法を併用することにより、さらに同時に改善され得る。好ましい後者のバージョンにおいては、化学療法用物質は、ベースコーティングから放出される唾液溶解性微粒子と共にフロッシング中に歯表面に放出される。
【0040】
驚くことに、本発明のマルチフィラメントデンタルフロスのベースコーティング中に埋め込まれた微粒子研磨剤オーバコーティングは、本発明のために、より多くの研磨微粒子を軽石、アルミナ、シリカ等のオーバコーティングに使用できるようにする、予期した研磨性よりも低い研磨性とともに予期しない穏やかさを示す。この「軟らかい研磨」効果は、一部にはベースコーティングが埋め込まれた微粒子研磨剤にもたらすクッション効果に起因するものである。すなわち、部分的に埋め込まれた微粒子研磨剤を含有するベースコーティングは、フロッシング中の歯表面上への研磨微粒子の露出した部分の衝撃を和らげ易い。図7を参照されたい。この「軟らかい研磨」効果は、不溶性ベースコーティングが使用され、かつフロスの特定のセグメントの寿命にわたって「サンドペーパー」効果が継続する場合に特に重要である。フロッシング中に研磨剤/コーティング混合物がマルチフィラメントストランドから自由に離れる場合、ベースコーティングは、歯表面上の微粒子研磨剤の研磨性を一層低減させる、とともに微粒子研磨剤/マルチフィラメントの組合せを円滑にするのを促進し易い。
【0041】
したがって、本発明の一実施形態は、バイオフィルム反応性のマルチフィラメントデンタルフロスデバイスを含む。
【0042】
本発明のさらなる実施形態は、コーティングに埋め込まれた微粒子研磨剤をコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスデバイスに含み、これによりフロッシング中にフロスがバイオフィルム反応性になる。
【0043】
本発明の別の実施形態は、歯間および/または歯肉縁下の歯の表面に形成されたバイオフィルムの定期的な除去、破壊、および/または管理のための自己治療手段を含む。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態は、バイオフィルムをより効果的に除去、破壊、および/または管理するために、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスデバイスを、種々の粒径および粒径分布の埋め込み微粒子研磨剤でオーバコーティングする方法を含む。
【0045】
本発明のまた別の実施形態は、歯間および/または歯肉縁下の歯の表面に形成されるバイオフィルムを、定期的に除去、破壊、および/または管理する患者の自己治療方法を含む。
【0046】
本発明のさらなる実施形態は、埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされ、かつ抗菌物質を含有する放出可能なワックスタイプのベースコーティングを含有するバイオフィルム反応性のマルチフィラメントデンタルデバイスを含む。
【0047】
本発明の別の実施形態は、ホワイトニング用研磨剤および歯石コントロール研磨剤などの活性な埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされた、バイオフィルム反応性マルチフィラメントデンタルデバイスを含む。
【0048】
本発明のさらに別の実施形態は、シリカ、軽石、アルミナ、炭酸カルシウム、およびリン酸二カルシウム二水和物を含む歯科用の埋め込まれた微粒子でオーバコーティングされた、バイオフィルム反応性のマルチフィラメントデンタルデバイスを含む。
【0049】
本発明のまた別の実施形態は、埋め込まれた微粒子研磨剤でオーバコーティングされた、バイオフィルム反応性のマルチフィラメントデンタルデバイスを含み、この場合、研磨剤は、香味剤、抗菌物質、および洗浄剤から、マウスコンディショナーおよび種々の薬用物質までの他の物質を含む。
【0050】
本発明のさらなる実施形態は、埋め込まれた微粒子研磨剤のオーバコーティングを有する、改良された市販のワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0051】
本発明のまた別の実施形態は、埋め込まれた微粒子研磨剤、および香味剤ならびに口腔調整物質を含有する唾液溶解性微粒子物質のオーバコーティングを有する、改良された市販のワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0052】
本発明の別の実施形態は、香味剤およびマウスコンディショナーを含有する唾液溶解性物質を含んだ埋め込まれた微粒子研磨剤のオーバコーティングを有する、改良された市販のワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0053】
本発明のさらに別の実施形態は、密度が実質的に異なる2つ以上の微粒子でワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスを連続的にオーバコーティングする工程を含む、市販のワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスを改善する方法を含み、この場合種々の微粒子は、ベースコーティングを冷却かつ固化する前に、ベースコーティングに埋め込まれている。
【0054】
本発明のまた別の実施形態は、埋め込み微粒子研磨剤のオーバコーティングを有する、改良された市販のエマルジョンが装填された組織化されたマルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0055】
本発明の別の実施形態は、埋め込まれた微粒子研磨剤のオーバコーティングを有する、改良された市販のワックスが塗布された超薄マルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0056】
本発明のさらなる実施形態は、ワックスが塗布されたマルチフィラメントフロスの「コード」効果を克服するとともに、ワックスが塗布されたフロスに物理的研磨性を与える方法を含む。
【0057】
本発明を説明するために、次の用語を以下に記載のように定める。
【0058】
ファイバーおよびフィラメントという用語は、J.G.Ferguson Publishing社の1992年版New Illustrated Webster’s Dictionaryに記載されたような、「ファイバー」の最初の3つの定義および「フィラメント」の最初の定義と一致するように、本明細書を通して同義的に用いており、その関連する開示を参照により本願明細書に組み入れている。
【0059】
フィラメントの強度は、引張強さの観点で表されてよく、フィラメントを引き裂くのに要する力、すなわち破断荷重(グラム単位)をフィラメント秤量(デニール単位)で割ったものとして定義され得る。使用中にフロスフィラメントが破断するのを防ぐために、フィラメントは、一般に少なくとも約3グラム/デニール、好適には少なくとも約5グラム/デニール、より好適には少なくとも約7グラム/デニールの引張強さを有する。この引張強さ要件を満たし、かつ本発明のマルチフィラメントフロスに使用されてよいフィラメントには、ポリアミド、例えばナイロン−6およびナイロン−6,6、ポリオレフィン、例えばポリプロピレンおよびポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、および木綿および絹を含む種々の天然物がある。
【0060】
「マルチフィラメントデンタルデバイス」とは、ナイロン、ポリプロピレン、絹等のファイバーの束から構成されたマルチフィラメントデンタルフロスなどの歯間デンタルデバイスであると定義される。本発明の微粒子でオーバコーティングされたフロスは、しなやかであり、このことは本発明のフロスが、軟らかく、柔軟性があり、かつ曲げ易いことを意味している。しなやかなマルチフィラメントフロスは、歯間の狭い表面の間にはまり込むために歯表面の湾曲に従うので、歯茎および手に優しく、保持が容易であり、歯間を容易に滑動する。しなやかさに影響を及ぼす要因には、フィラメント秤量(フィラメントの径に関連する)、よじれの程度、もつれの程度、および撚り糸が製造される材料の弾性率がある。本願明細書で用いられるように、フィラメント、撚り糸、およびフロスを説明するために用いられるような「秤量」という用語は、商品の9000mの商品の重量(グラム単位)を意味する。9000mのグラム重量は、「デニール」と呼ばれることもある。所与のマルチフィラメントの撚り糸に関し、所与の秤量のマルチフィラメントフィラメント撚り糸について、フィラメント径が小さくなれば、個々のフィラメントが互いを越えて滑動するので、フロスは狭い隙間をより容易に通過することができる。例えば、第1のフロスは630デニールから成り、各フィラメントは、6デニールの秤量を有してよい。この撚り糸は、105本のフィラメントを含む。第2のマルチフィラメントのフロスは、630デニール秤量をまた有する第2の撚り糸から成り、各フィラメントは3デニールの秤量を有してよい。この第2の撚り糸は、210本のフィラメントを含む。両撚り糸は全体として同じ秤量を有する一方で、径が小さくなるほどフィラメントはより容易に互いを越えて滑動するので、第2の撚り糸から作られたマルチフィラメントフロスは、歯間をより容易に通過するであろう。また、フィラメント径が小さくなるほど、フィラメント当たりの屈曲率および撚り糸の屈曲率は全体として低くなり、これによりマルチフィラメントフロスは、より軟らかくかつより柔軟性のあるものになる。撚り糸のよじれおよび/またはもつれの程度が大きくなるにしたがって、フィラメントは、フロスが狭い歯間腔に入り込むにつれて滑動することができないので、結果として得られるマルチフィラメントフロスのしなやかさは低くなる。
【0061】
本発明のマルチフィラメントフロスを含んだ撚り糸の「細かさ」の測度は、撚り糸秤量である。撚り糸秤量(デニール単位)は、歯間を通過する容易性、歯間のクリーニングの知覚、強度、および歯茎上へのマルチフィラメントフロスの優しさなどの特性に影響を及ぼす。撚り糸の全体的秤量が小さくなるにしたがって、マルチフィラメントフロスは、歯間をより容易に通過するであろう。しかしながら秤量を許容値以下に下げると、フロス強度は小さくなり、歯間のクリーニングの知覚は低減され、歯茎では不快なものになろう。これらの特性を釣り合せるには、本発明のマルチフィラメントフロスは、約500〜約1200デニールの秤量を有する撚り糸を含んでいることが好ましい。より好適には、撚り糸は、約550〜850デニール、最も好適には約550〜約700デニールの秤量を有するべきである。
【0062】
本発明の目的に適したマルチフィラメントデンタルフロスの例は、以下の米国特許に記載されており、参照により本願明細書に組み入れている。
第4911927号、第4029113号、第4610872号、第4034771号、第5908039号、第2667443号、第3830246号、第1149376号、第1069874号、第5830495号、第2748781号、第1138479号、第1839486号、第1943856号、第6080481号、第2700636号、第3699979号、第3744499号、第3837351号、第4414990号、第3330732号、第5967155号、第5937874号、第5505216号、第5503842号、第5032387号、第4950479号、第5098711号、第1989895号、第5033488号、第2542518号、第2554464号、第1285988号、第1839483号、第4151851号、第2224489号、第2464755号、第02381142号、第3800812号、第3830246号、第3897795号、第3897796号、第4215478号、第4033365号、第3771536号、第3943949号、第6016816号、第6026829号、第5353820号、第5557900号、第5226435号、第5573850号、第5560377号、第5526831号、第5423337号、第5220932号、第4548219号、第3838702号、第5904152号、第4911927号、第5711935号、第5165913号、および第5098711号。
【0063】
好適なマルチフィラメントデンタルデバイスは、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等のフロスを含み、撚られた、もつれた、撚られていない、もつれていない、組織化された、および種々の形態を含む。特に好適なマルチフィラメントデンタルデバイスは、以下の表3〜表5に記載したもののほか、米国特許第4911927号、第5098711号、第5165913号、および第5711935号に記載されかつ権利が主張されるような種々のコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを含む。
【0064】
マルチフィラメントデンタルデバイス用の「コーティング」とは、以下の表3〜表4に記載されるような、デバイスが指等の回りに巻上げられるように「手」を提供しながら、潤滑のためおよび風味物質および他の添加物を運ぶためにフロスの挿入を容易にする目的で、マルチフィラメントデンタルデバイスを被覆するコーティング物質であると定義される。これらのコーティングは、一般にフロスの重量の約25〜約100%からなる。
【0065】
好適なベースコーティングは、
(1)不溶性、部分的に可溶性、および可溶性のワックスコーティング、
(2)参照により本願明細書に組み入れた、米国特許第4950479号、第5032387号、第5538667号、第5561959号、および第5665374号に記載されたエマルジョンコーティング、
(3)米国特許第5908039号、第6080495号、第4029113号、第2667443号、第3943949号、第6026829号、第5967155号、および第5967153号に記載されたような種々のデンタルフロスコーティング、および
(4)参照により本願明細書に組み入れ、すべて2001年8月23日に出願された同時係属米国特許出願第09/935922号、第09/935920号、第09/935921号、および09/935710号に記載されかつ権利が主張されている、唾液溶解性のコーティングを含む。
【0066】
「微粒子研磨剤」とは、幅広い範囲の粒径および粒径分布を有する唾液溶解性、半溶解性、および不溶性の研磨物質であると定義される。
【0067】
好適な微粒子研磨剤には、ガラスビーズなどの種々の不溶性無機物、およびポリエチレン、ポリプロピレン等の粒子などの種々の不溶性有機物を含む。
【0068】
特に好適な無機粒子研磨剤には、種々の(1)軽石、シリカ、アルミナ、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、珪藻土、ナトリウムカリウムケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、ヒュームドシリカ、ケイ酸などの不溶性歯用研磨剤、および(2)リン酸二カルシウム二水和物、無水リン酸二カルシウム、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の溶解性歯用研磨剤がある。以下の表1も参照されたい。
【0069】
特に好適な「活性」微粒子研磨剤には、過酸化カルバミド、過酸化カルシウム、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム等の過酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸三カルシウム等のリン酸塩、およびピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カルシウム等のピロリン酸塩を含む。以下の表2も参照されたい。
【0070】
本発明に適した種々の口腔ケア用研磨剤を記載し、かつ参照により本願明細書に組み入れた以下の関連の米国特許、第6221341号、第3491776号、第3330732号、第3699979号、第2700636号、第5220932号、第4776358号、第5718251号、第5848600号、第5787758号、および第5765576号も参照されたい。
【0071】
「放出可能な」微粒子研磨剤とは、マルチフィラメントデンタルフロスのベースコーティングに埋め込まれた微粒子研磨剤が、フロッシングが開始されるまでベースコーティングに実質的に残存し、この後、最終的にはベースコーティング中の埋め込まれた微粒子研磨剤が、最終的に溶解して微粒子研磨剤を唾液中に放出するベースコーティングと共にマルチフィラメントから分離するという特性であると定義される。したがって、物理的研磨型のクリーニングによって、歯肉縁下、歯間、および歯肉縁上の歯の表面上で遭遇するバイオフィルムに応じて、微粒子研磨剤は、使用可能な状態で歯間および歯肉縁下に残ってマルチフィラメントフロスと協働する。
【0072】
永久的かつ/または半永久的な微粒子研磨剤は、一般にフロッシング中にマルチフィラメントファイバーから放出されない不溶性コーティングに埋め込まれる微粒子研磨剤として定義される。
【0073】
「微粒子研磨剤装填」とは、デバイスの重量パーセントとしてコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス上に含まれる埋め込み微粒子研磨剤の重量パーセントとして定義される。以下の表1、表2、表3、および表5を参照されたい。
【0074】
「ベースコーティングマルチフィラメントデバイス装填」とは、コーティングされたマルチフィラメントデバイスの重量パーセントとして、マルチフィラメントデバイスに含まれるベースコーティングの重量パーセントとして定義される。
【0075】
「総コーティング装填」とは、ベースコーティングの重量パーセントに、デバイスの重量パーセントとしてマルチフィラメントデバイスのコーティングに埋め込まれた微粒子研磨剤オーバコーティングを加算したものであると定義される。
【0076】
「知覚研磨因子(PAF)」とは、(1)埋め込まれた微粒子研磨剤を有するコーティングされたマルチフィラメントデバイスを、指(すなわち、「手」)の回りに巻き取るとき、および(2)鋸を引く動作で歯の表面にわたってデバイスを作用させるときに、知覚される研磨度の主観的レベルであると定義される。
【0077】
PAF度の範囲は、0〜4、すなわち、知覚せず(0)、僅かに知覚できる(1)、知覚できる(2)、非常に知覚できる(3)、および非常に研磨されている(4)である。以下の表1、表2および表9を参照されたい。約2以上のPAF値が好ましい。3を超えるPAF値は特に好ましい。永久的な研磨剤は、一般に、放出され得る研磨剤よりもより高いPAFを示す。
【0078】
付随的放出因子(IRF)とは、45.7cm(18インチ)のデバイス片が、ディスペンサから取り出され、フロッシングの前に2本の指に巻き取られたときに、コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスに保持された微粒子研磨剤の重量パーセントとして定義される(表1、表2、および表9を参照すること)。90%を超えるIRF値は、微粒子研磨剤がベースコーティングに埋め込まれる程度のほか、固化されたベースコーティング中のこの埋め込まれた微粒子の引張強さも反映する。フィラメントの束の断面を顕微鏡で観察すると、各微粒子の全表面の約20%〜約90%が、マルチフィラメントのベースコーティングに埋め込まれていることは明白である。ベースコーティングに埋め込まれている微粒子表面のこの程度は、主として、フロッシング前のフロスの取り扱い中に保持された微粒子研磨剤とともに、フロッシング中に現れる「それが機能している」という知覚に関与している(IRF)。永久的な研磨剤は、一般に放出され得る研磨剤よりも高いIRF値を示す。
【0079】
「バイオフィルム反応性」とは、マルチフィラメントデンタルフロスおよびベースコーティング中の他のクリーニングおよび/または化学療法物質と協働して、フロッシング中にバイオフィルムを除去、破壊、および/または制御する、微粒子研磨剤および唾液溶解性微粒子の特性であると定義される。
【0080】
「流動床」とは、ある液体の多数の特性を有する、膨張し懸濁した無溶媒の塊へ固体の微粒子研磨剤を転換する手段であると定義される。この懸濁した微粒子の塊は、安息角がゼロであり、それを含んでいる容器の形状を取りながら然るべきレベルに落ち着く。
【0081】
「連続的流動床」とは、固体の微粒子研磨剤および固体の微粒子唾液溶解性物質を、液体の多数の性質を有する膨張し、懸濁し、かつ溶媒を含まない塊に別個に転換する手段であると定義される。懸濁した微粒子研磨剤および懸濁した固体の唾液溶解性物資のこのような別個に流動化された塊の各々は、安息角がゼロであり、それが入っている容器の形を取りながら然るべきレベルに落ち着く。
【発明を実施するための最良の形態】
【0082】
微粒子研磨剤オーバコーティングシステムの側面略図である図1Aを参照すると、流動床手段2を備える微粒子研磨剤コーティングシステム1は、流動微粒子研磨剤3、膜4、流動化エアー手段5、およびスタンドパイプ6を具備し、スタンドパイプ6は、ポンプ手段8を備える微粒子研磨ノズル手段7と通じ、ポンプ手段8は、ノズルエアー流入手段9およびポンプクリーニング手段10を含む。
【0083】
微粒子コーティングシステム1は、蝶番式のアクセス手段11および15、フィルタ手段12、微粒子装填手段13、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス微粒子コーティングゾーン14、およびコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15を備えている。フィルタ手段12は、未使用の微粒子3のすべてを取り込み、それをオーバスプレーし、かつ再利用する、真空サイクロン手段によって支援され得る。これを図1Bに詳細に示す。
【0084】
液体コーティングをその上に含んだコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15は、微粒子コーティングゾーン14を通過し、そこで微粒子3が、ノズル手段7からマルチフィラメントデンタルフロス15の液体コーティングに埋め込まれる。
【0085】
図1Aを参照すると、真空サイクロン手段60が、上記フィルタ手段12と置き代わっており、接合部61において配管手段62を介して微粒子コーティングシステム1の上部と接続されている。真空サイクロン手段60は、コーティングシステム1から空気およびいくつかの分散粒子を引き込み、かつこの空気/粒子混合物を真空サイクロン室63に導くことによって、微粒子コーティングシステム1内で僅かな負圧を維持し、真空サイクロン室63において、粒子3は保持手段64に導かれ、実質的に粒子3が存在しない残りの空気が、モータ67によって室63の上部を通って配管65を抜けてフィルタ手段66および66’に入る。別の場合には、粒子3は、空気調節器69とともに収集手段68によって取り込まれ、配管70を介して粒子コーティングシステム1に戻される。
【0086】
図2を参照すると、微粒子コーティングシステム1の拡大平面図を示している。液体ベースコーティング16が上に載ったマルチフィラメントデンタルフロス15は、微粒子研磨剤コーティングゾーン14を通過し、微粒子研磨剤コーティングゾーン14で、デンタルフロス15が微粒子コーティングゾーン14を通過するときに、微粒子研磨剤3が、ノズル手段7からマルチフィラメントデンタルフロス15に実質的に残っている液体ベースコーティング16に衝突することにより埋め込まれる。
【0087】
図3を参照すると、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の拡大側面図が示されており、フロス15が微粒子研磨剤コーティングゾーン14内を通過する前の、ベースのワックス型液体コーティング16がマルチフィラメントデンタルフロスの上にあるのが分かる。ベースのワックス型液体コーティング16は加熱されており、液体状態でありマルチフィラメントデンタルフロス15に実質的に残っている。
【0088】
図4を参照すると、ワックス型でコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の側面拡大図が示されており、液体コーティング16に埋め込まれた微粒研磨剤3を含んだベース液体コーティング16があるのがわかり、微粒子研磨剤の埋め込まれた部分を3’で示した点線で表している。
【0089】
図5を参照すると、ワックス型でコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の側面拡大図が示されており、ベースコーティング16を固化するのに十分に冷却ゾーン(図示せず)を通過したベースコーティング16を示しており、微粒子研磨剤3は、固化したコーティング16にしっかりと埋め込まれ、微粒子研磨剤の埋め込まれた部分を3’で示した点線で表している。
【0090】
図1Aおよび図5を参照すると、本発明の特に好適な実施形態では、実質的に異なる密度を有する2つの別個の微粒子研磨剤をマルチフィラメント15上の液体ベースコーティング16に連続的に埋め込むために、図1Aに記載の微粒子オーバコーティングシステムは、複製され、一列になっている。この連続的な微粒子コーティング工程では、第1の微粒子コーティングゾーン14から第2の同様の微粒子研磨剤コーティングゾーンに向かって直接進みながら、微粒子研磨剤3は、微粒子でフロス15がオーバコーティングされる前にコーティング16に埋め込まれ、第2の微粒子研磨剤コーティングゾーンでは、強い衝撃の微粒子もまた、フロス16が微粒子でオーバコーティングされる前にベースコーティング16に埋め込まれ、図示していない冷却ゾーンに向かう。この連続的配置では、前記ベースコーティングを固化させる前にこの連続的な流動床配置を用いて、実質的に異なる密度を有する2つの別個の微粒子が、液体ベースコーティング16に埋め込まれる。
【0091】
図6を参照すると、ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の拡大した長手方向略断面図が示され、固化されたベースコーティング16が示されており、微粒子研磨剤3が、固化されたワックス型ベースコーティング16に部分的に埋め込まれており、「クッション」17が、微粒子研磨剤3’の底部からマルチフィラメントデンタルフロス15の表面まで延びている。微粒子研磨剤の埋め込まれた部分を3’で示している。
【0092】
図7を参照すると、ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の拡大した長手方向略断面図が示され、微粒子研磨剤3、および唾液溶解性微粒子、口当たりのための物質、マウスコンディショニング物質18が混ざり合った状態が示されており、これら各々が、固化されたベースコーティング16に確実に部分的に埋め込まれている。
【0093】
図8を参照すると、歯車駆動手段23を用いて、容器または流動床手段30から薬剤搬送手段22に微粒子21を送り届けるための、別の微粒子オーバコーティングシステム20の略側面図が示されている。搬送オーガー22の速度は、マルチフィラメントフロス24のための図示していない表面速度コントローラに連動されたモータ駆動歯車手段23によって制御される。マルチフィラメントフロス24の動きが早くなるにつれて、オーガー手段22は、速度を上げ、かつ溶融コーティングされたマルチフィラメントフロス24の表面により多くの微粒子21を送り届ける。したがって、このシステムは、マルチフィラメントフロス24のmm2当たり、一定の密度の微粒子21を送り届けることが可能となる。この別の微粒子オーバコーティングシステムは、必要とする空気の体積は実質的に小さくなり、相応して微粒子の過度のスプレーが低減される。このシステムは、未使用の微粒子の回収および/または未使用の微粒子の再利用の必要性は最小となる。
【0094】
上記システムでは、微粒子21は、厚さ1.27cm(0.5インチ)の焼結ポリエチレンパウダーの多孔板を用いて流動化される、平均粒径が37μの軽石などの研磨剤であってよい。この板は、20μの平均細孔寸法を有する。流動化した軽石がオーガー手段23に提供されると、軽石はシャフトの下方に引き降ろされ、ベンチュリ手段25に提供される。速度に比例して風量を制御すれば、ベンチュリ手段25の出口の下を通過するマルチフィラメントフロス24の表面に、軽石を均一に供給することが可能となる。この構成により、フロスの横断の極小さな乱れと調和して、非常に遅い空気の速度で均一な粒子密度を供給することが可能となる。
【0095】
図9および図10を参照すると、流動床手段42からマルチフィラメントフロス43および43’まで微粒子41を運ぶ、別の代替的な微粒子オーバコーティングシステム40の2つの別個の側面略図が示されている。
【0096】
空気室手段44が、低圧下で分配板手段45を介して空気を導き、次に流動床手段46において微粒子41を流動化する。微粒子41は、微粒子計量手段48によって流動床46から微粒子コーティング室47に導かれる。微粒子コーティング室47は、ベンチュリ手段49を備えている。微粒子調整分配手段50は、微粒子41をそれぞれマルチフィラメントフロスフィラメント43および43’のコーティング51および51’を埋め込む前に、流動化された微粒子41に乱流を与える高速低容量空気手段(図示せず)を備えている。微粒子分配手段50は、コーティング51および51’に埋め込まれる微粒子41のオーバコーティング52および52’の均一性をそれぞれ高める。
【0097】
図9を参照すると、空気室44の圧力は、概ね4psi〜8psiである。分配板45は、微粒子41を流動化するのに必要な気泡を流動床42において発生する、多孔性ポリエチレン手段であることが好ましい。流動床42の気圧は、0.2psi〜0.5psiの範囲にあることが好ましい。微粒子計量手段48は、図示したネジ様手段の形状以外に多くの形状を取り得る。例えば、計量手段は、流動床42から微粒子コーティング室47への微粒子41の流れを制御する、ネジ山のない栓またはラムであり得る。点線52で示すように、計量手段48を微粒子コーティング室47に下降させれば、流動化された微粒子41の流れが距離53にわたってさらに制限される。したがって、微粒子計量手段48は、微粒子計量領域47に入る流動化された微粒子41の量を決定する。微粒子分配手段50を介して調整された風量と組み合わされるこの制御は、埋め込まれた微粒子52が、コーティング51にわたって実質的に均一に分散された状態で、実質的に均一な密度の微粒子をコーティング51上に形成する。
【0098】
並んで走る最大32本のマルチフィラメントラインを含む製造システムでは、微粒子オーバコーティングシステム40は、8つのグループとして再現され、そのような2つのグループが、並んで走る計32本のラインをカバーするであろう。
【0099】
図11を参照すると、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを微粒子オーバコーティングするための略フローチャートが示されており、マルチフィラメントフロスは、ベースコーティングが塗布される液体ベースコーティングゾーンを通過する。微粒子オーバコーティングは、コーティングされたマルチフィラメントを1ヵ所または2ヵ所の微粒子オーバコーティングゾーンに導くことによって塗布され、その後、微粒子でオーバコーティングされたマルチフィラメントフロスは、冷却ゾーンを通過し、次にテイクアップワインダ手段へ導かれる前に、オーバコーティングされたマルチフィラメントは微粒子圧縮手段に通される。好適な実施形態では、微粒子オーバコーティングシステムは、図1Bに詳細に示したような微粒子回収手段を備える。
【0100】
本発明に用いられるマルチフィラメントデンタルフロスは、好適には次のものを含む。
【0101】
マルチファイバーデンタルフロスの束:該マルチファイバーデンタルフロスは、2本〜12の束を含み、約300〜約1200デニールであり、約100本〜800本のフィラメントを含んでいる。このファイバーは、天然および/または人工のファイバー、およびタッキングが全体にわたって付けられたフィラメント束、撚られた連続的なフィラメント束、および組織化されたマルチフィラメント束を含むファイバーの混合物を含み、その各々は、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、木綿、絹、等およびそれらの混合物から構成され得る。
【0102】
吸着などの特定機能を有する上記のようなマルチファイバーデンタルフロスの束:該マルチファイバー多組成デンタルフロスは、特定機能を有するファイバーの1〜6個の束を含み、50〜500デニールの特定機能を有するファイバーを有し、20本〜400本のフィラメントを含んでいる。
【0103】
好適には、マルチファイバーデンタルフロスの多組成部分は、使い捨ておむつに使用されるような膨潤可能なファイバー、付加的な化学療法物質を含んだ唾液溶解性または水溶性ファイバー、透析システムに使用されるような中空膜輸送ファイバー、ポリエチレンまたはポリプロピレンから製造されたAKZO Chemie社によるAccurel(登録商標)ファイバーなどの微小孔性ファイバー、炭酸カルシウム、タルク、等のμサイズの粒子を組み込むことによって本質的に微小孔性にされたファイバー、および塩化カルシウム、シリカゲル、活性炭等の薬剤のμサイズの粒子を組み込むことによって水または特定の流体を引き出すことのできるファイバーを含む。
【0104】
本発明の好適な実施形態では、使用されるマルチフィラメントデンタルフロスは、組織化されているかまたは組織化されていない、約500〜約1000デニールの4個〜8個の束を含み、かつ約200本〜600本のフィラメントを含んだナイロンである。本発明の特に好適な実施形態では、使用されるデンタルフロスは、6つの束を含んだナイロンであり、かつ約408本のフィラメントを有する約840デニールである。
【0105】
本発明の微粒子研磨剤および他の唾液溶解性微粒子物質は、全体的に溶媒を含まない固体材料として、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスベースコーティングに埋め込まれる。
【0106】
コーティングされたマルチフィラメントデバイスに、微粒子研磨剤オーバコーティングおよび唾液溶解性微粒子オーバコーティングを埋め込む好適な方法は、図1Aに示したシステムなどの画期的な一連の流動床システムを用いることである。
【0107】
微粒子研磨剤3または唾液溶解性微粒子18を、継続的な流動化状態、すなわち流動床2の状態に維持するために膜手段4が使用される。微粒子研磨剤3または唾液溶解性微粒子18は、流動床2を用いて流動化状態で各々維持され得る。このような流動化された微粒子は、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15の横断に対して実質的に90°の角度で、ノズル手段7および7’を用いて、ポンプ手段8を用いてスタンドパイプ手段6を介して導かれる。
【0108】
図2を参照すると、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス15は、微粒子コーティングゾーン14を通過し、図4〜図6に示すような微粒子研磨剤3または図7に示すような唾液溶解性微粒子18を埋め込まれる。微粒子研磨剤3および唾液溶解性微粒子18は、微粒子でオーバコーティングされたマルチフィラメントフロスが図示していない冷却ゾーンに入る直前に、ノズル手段7および7’を介し、かつ一連の連続して位置決めされた別個の微粒子オーバコーティングシステムを介して、強い衝撃条件下で各々別個にマルチフィラメントフロス15上の液体ベースコーティング16まで導かれる。
【0109】
マルチフィラメント15上のコーティング全体にわたるワックス型コーティング16への微粒子研磨剤3の埋め込みは、微粒子研磨剤3がコーティング16に衝突するときに、マルチフィラメントデバイスの外面全体上に存在する高温の液体ワックス型ベースコーティングに微粒子を衝突させることによって達成される。図4〜図6を参照されたい。
【0110】
すなわち、微粒子研磨剤3は、デバイスが微粒子コーティングゾーン14を通過するときに、フィラメント15に実質的に残っている液体コーティング16に衝突し、微粒子研磨剤3は、図5に示したようなコーティング16および図6および図7に示したような固化したコーティング16に埋め込まれる。
【0111】
すなわち、微粒子研磨剤3は、10cs〜10000csの粘度を有する一般に約48℃〜110℃の温度の粘性液である高温の粘性のあるベースコーティング16に衝突して入り込む。これを、図4および図5に示しており、微粒子研磨剤の露出部分を3で示し、微粒子研磨剤の埋め込まれた部分を点線で3’として示している。
【0112】
図5から図7に示したように、次に、埋め込み微粒子でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスは、冷却手段(図示せず)を通り、冷却手段で、ベースコーティング16は冷却され、かつベースコーティングに埋め込まれた微粒子研磨剤3とともに固化する。
【0113】
図7は、マルチフィラメントデンタルフロスベースコーティングへの、微粒子研磨剤オーバコーティングの強い衝撃の実施形態である。すなわち、微粒子研磨剤3、およびマウスコンディショナー、風味物質、活性成分等を含んだ微粒子唾液溶解性物質である。この「強い衝撃」の微粒子オーバコーティングは、微粒子研磨剤、およびマウスコンディショナーおよび/または風味物質を含んだ微粒子唾液溶解性物質の両方を含んでおり、両方とも、図7に示したようなベースコーティングに埋め込まれる。図7を参照すると、微粒子研磨剤3および3’と唾液溶解性微粒子物質18との混合物は、ベースコーティング16が固化する前に、別個の流動床源からマルチフィラメントフロス15上のベースコーティング16に連続的に埋め込まれる。
【0114】
微粒子研磨剤、および風味物質および/またはマウスコンディショナーおよび/または化学療法物質を含んだ種々の唾液溶解性微粒子物質のオーバコーティングは、幅広いこれらの物質を含み得る。例えば、このような強い衝撃の微粒子オーバコーティング中の微粒子研磨剤と非イオン性界面活性剤(PLURONICS)などの唾液溶解性物質、MICRODENT(登録商標)および/またはULTRAMULSIONS(登録商標)および/またはPEGなどの多価アルコールなどのエマルジョンなどの唾液溶解性物質との粒子比は、10:90〜90:10の範囲になり得る。
【0115】
本発明の画期的な流動床コーティング方法は、次のものを埋め込むのに最も効果的である。
(1)コーティングされたデバイスへの約2重量%〜約45重量%の微粒子研磨剤の装填、
(2)コーティングされたデバイスへの約2重量%〜約45重量%の微粒子唾液溶解性研磨剤の装填、
(3)知覚研磨因子(PAF)が約2〜4のコーティングされたマルチフィラメントデバイスへの微粒子研磨剤オーバコーティング、および
(4)付随的放出因子(IRF)の値が約80%をかなり上回り、好適には90%を超え、最も好適には95%を超える、コーティングされたマルチフィラメントデバイスへの微粒子研磨剤オーバコーティング。
【0116】
PAF値が3〜4の被覆されたマルチフィラメントデンタルデバイスを製造するためには、(1)デバイスの約10重量%〜34重量%の微粒子研磨剤装填物を埋め込むこと、(2)埋め込み微粒子研磨剤の平均粒径を約7μ〜約200μに制限すること、(3)埋め込み微粒子研磨剤の粒径分布を約5μ〜約300μに制限すること、および(4)微粒子コーティング室を通るコーティングされたマルチフィラメントフロスの横断に対して90°に位置決めされたいくつかのノズル手段から、高速の装填下で液体ベースコーティングに微粒子研磨剤を埋め込み、これによりベースコーティングへの微粒子研磨剤の衝突を最大化すること、が必要であることが明らかとなっている。
【0117】
コーティングされたマルチフィラメントフロスを唾液溶解性微粒子でオーバコーティングすることは、ノズル手段から放出される前に、唾液溶解性微粒子に静電荷を与えることによって実行され得る。帯電した唾液溶解性微粒子を受け取るために、液体でベースコーティングされたマルチフィラメントを接地する手段が提供される。別の場合には、唾液溶解性微粒子は、種々のスプレー手段によってマルチフィラメントデンタルフロス上の液体ベースコーティングに埋め込まれ得る。
【0118】
種々のタイプの流動床/ノズル配置に加えて、微粒子研磨剤オーバコーティングは、液体コーティングされたマルチフィラメント上に微粒子研磨剤を衝突させる他のいくつかの手段によって、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに埋め込まれ得る。これらには、流動床、可塑フレームスプレー、静電スプレー、およびソニックスプレーを含む種々の紛体スプレープロセスがある。ソニックスプレーでは、流動化された微粒子研磨剤をノズル手段に導く前に、微粒子研磨剤を懸濁させるのに音波が使用される。他の微粒子研磨剤オーバコーティングプロセスは、米国特許第6037019号、第3848363号、第3892908号、第4024295号、第4612242号、第5163975号、第5232775号、第5273782号、第55389434号、第5658510号、第2640002号、第3093501号、第2689808号、第2640001号、および第5194297号に記載されている。これらは、本発明により教示されるように、コーティングされたマルチフィラメント上に微粒子研磨剤を衝突させる工程に適合され得、参照により本明細書に組み入れる。
【0119】
特に好適な微粒子オーバコーティング手段には、種々のNordson(登録商標)の紛体ポンプを備えたNordson(登録商標)のTribomatic II紛体コーティングシステムなどの、種々のNordson(登録商標)自動紛体コーティングシステムのほか、ITW Gema社のEasysystem(商標)を備えたITW Gema Powderコーティングシステム、およびElectrostatic Equipment社の7R FLEXICOAT(登録商標)システムがある。
【0120】
本発明の微粒子オーバコーティングは、液体ベースコーティングに微粒子を送り届ける他の種々の手段に影響され得る。例えば、微粒子が、スクリーニング手段から液体ベースコーティングされたマルチフィラメント上の液体手段上に落下する、単純なスクリーニング技術によって、微粒子は導かれ得る。
【0121】
オーバコーティングのための本発明の好適な手段には、ノズル手段と組み合わせた流動床を含む。この組合せによって、液体ベースコーティングに埋め込まれる微粒子の範囲が制御され、かつPAFおよびIRFの値が最適化されるとともに、最も均一なオーバコーティングが得られる。
【0122】
本発明のために適した平均デニールが840で、約25mg/ydのベースコーティングを有する、標準的なコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに埋め込まれる種々の歯用微粒子研磨剤を、以下の表1に詳細に示したように、例1〜7に示す。
【表1】
【0123】
本発明のために適した、840デニールで約30mg/ydのベースコーティングを有する、標準的なコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに埋め込まれる種々の「活性」微粒子研磨剤を、以下の表2に詳細に示すように、例8〜12に示す。
【表2】
【0124】
本発明に適した微粒子研磨剤は、その上に「まぶされた(dusted)」活性成分も含み得る。例えば、コーティングされたマルチフィラメントフロスをオーバコーティングする前に、塩化セチルピリジニウム、トリクロサン、クロルヘキシジン等の抗菌薬が、微粒子研磨剤の上にまぶされ得る。フロッシング中、微粒子研磨剤上のこれらの抗菌性コーティングは、微粒子研磨剤から放出され、歯間および歯肉縁下で使用可能な状態で留まって、バイオフィルムが除去され、破壊され、かつ/または制御されるときに、フロッシング中に微粒子研磨剤が埋め込まれたマルチフィラメントデンタルフロスと協働する。
【0125】
ワックスは、好適なベースコーティングである。ワックスという用語は、天然または合成のいずれかである多数の材料の一般的分類として使用され、一般にこのような材料は、その機能的特性および物理的性質のためにワックス状であると考えられる。このような材料は、周囲温度において固体であり、比較的融点が低く、加熱されると軟らかくなり、冷却されると硬くなることができる。一般に、ワックスの分子量が大きくなるほど、融点は高くなる。
【0126】
通常ワックスは、天然または合成ワックスとしてその原料によって分類される。天然原料から得られるワックスには、蜜ろうなどの動物ろう、カンデリラおよびカルナウバなどの植物ろう、鉱ろう、およびパラフィンおよびミクロクリスタリンワックスなどの石油ろうがある。合成ワックスには、フィッシャー・トロプシュ(Fischer−Tropsch)ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックス、およびアミドワックスがある。
【0127】
本発明の好適な一実施形態は、マルチフィラメントフロス上にコーティングされるある不溶性ワックスを用いる。このような不溶性ワックスは、フロッシング中にファイバーから簡単には放出されずかつ/または離れない。このような不溶性ワックスは、微粒子研磨剤が浸透すると、フロシング中にわたって「軟らかい研磨性」のサンドペーパー効果を与え続ける。
【0128】
天然ワックス
石油ろうは、自然に発生するワックスの圧倒的に最大の市場である。石油ろうは、パラフィンろうおよびミクロクリスタリンワックスにさらに分類される。
【0129】
パラフィンろうは、原油の蒸留から得られ、主に直鎖飽和炭化水素から成る。この分子量は、280〜560(C20〜C40)であり、融点は約68℃である。
【0130】
ミクロクリスタリンワックスは、アスファルト製造後の残留分を脱ろうするか、または原油貯蔵中に沈殿するアスファルト製造後のタンクの残油を脱脂することによって、得られたペトロラタムまたはグリースを脱脂することによって製造される。このようなワックスは、その結晶がパラフィンろうの結晶よりも著しく小さいために、ミクロクリスタリンワックスと呼ばれる。ミクロクリスタリンワックスは、主にいくつかのn−アルカンと共にイソパラフィン酸およびナフテン酸の飽和炭化水素から構成される。この分子量は、450〜800(C35〜C60)であり、低い融点(65℃)および高い融点(80℃)を有する2つのグレードで製造される。
【0131】
動物ろうは、一般に昆虫または哺乳類由来である。
【0132】
蜜ろうは、最も重要な市販の動物ろうの一種であり、沸騰水中で蜂の巣を溶解し、かつ粗ろうを掬い取ることによって蜂の巣から得られる。蜜ろうは、いくつかの遊離カルボキシル酸、炭化水素、およびワックスアルコールとともに、カルボキシル酸およびヒドロキシ酸の非グリセリドエステルから構成される。このワックスの融点は約62℃〜65℃であり、引火点は242℃である。
【0133】
植物ろうは、葉および茎または果実および種子のいずれかから得られる。カンデリラろうおよびカルナウバろうは、最も重要な市販の植物ろうである。
【0134】
カンデリラろうは、炭化水素(50%)、非グリセリドエステル、アルコール、および遊離酸から構成される。カンデリラろうは、相変化の際に体膨張または収縮が小さく、約68℃〜72℃で溶ける。
【0135】
カルナウバろうは、植物ろうの中で最も硬く、融点が最も高い。カルナウバろうは、主として、少量の遊離酸、樹脂、および炭化水素と共に非グリセリドエステルから構成される。カルナバろうは、約83℃〜86℃で溶ける。
【0136】
合成ワックス
フィッシャー・トロプシュワックスは、ガソリンおよびディーゼル油などの液体燃料の合成中の副産物であり、高温および高圧での一酸化炭素の接触水素化によって得られる。フィッシャー・トロプシュワックスは、分子量が600〜950の範囲にあり、融点が95℃〜120℃のn−アルカンから構成される。
【0137】
ポリエチレンワックスは、分子量が2000〜10000であり、高分子量の炭化水素ワックスの性質を有する。このような低密度低分子量のポリエチレンは、高分子量のポリエチレンの、高圧重合、Zieglerタイプの触媒を用いた低圧重合によって、または熱劣化によって製造される。このポリエチレンの融点は、90℃〜120℃である。
【0138】
天然のグレードと同様の性質を有する、蜜ろう、カンデリラろう、およびカルナバろうの合成のグレードも利用可能である。
【0139】
水溶性ワックス
比較的低分子量の液体ワックスの形態である、ポリエチレングリコール、酸化エチレンのポリマーは、一般にポリポリエチレングリコール(PEG)と呼ばれる。典型的には、分子量が20000より小さいポリマーが、PEGと定義され、分子量が20000を超えるポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)である。PEGは、分子量1000〜20000で利用可能であり、すべて水溶性である。分子量が大きくなると溶解度は低くなる。PEGの融点は、分子量に応じて45℃〜60℃である。
【0140】
以下の表3および表4は、マルチフィラメントフロスをコーティングするのに適した、かつ本発明の微粒子研磨剤と共に埋め込むのに適した種々のコーティングを詳細に記載している。このようなオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスの穏やかさ、強い衝撃の風味、および口当たりなどの重要な遵守要因は、一部には、表4の例25〜39に記載したような種々のベースコーティング、および該ベースコーティングに埋め込まれる種々の唾液溶解性微粒子物質に関係する。このようなコーティングされたマルチフィラメントフロスに埋め込まれる微粒子研磨剤オーバコーティングは、フロスが「機能している」という予想外の知覚、すなわち重要な遵守要因を与える。
【表3】
【0141】
種々のマルチフィラメントデンタルフロス用の適したエマルジョン、唾液溶解性およびフレークを生じないベースコーティングを、以下の表4の例25〜39に記載する。
【表4】
【0142】
例40
以下の処方を有するマルチフィラメントデンタルフロス用の唾液溶解性ベースコーティングを調整した。
成分 グラム
Pluronic F−127 530
PEG 1450 350
PG 1
不溶性サッカリン 23
ペパーミント香料 76
L−メントール 20
計 1000
【0143】
以下の表5に示した種々の割合で、上記をマルチフィラメントデンタルフロスに添加した。このコーティングされたマルチフィラメントも、以下の表5に示したような種々の割合で種々の微粒子研磨剤でオーバコーティングした。
【表5】
【0144】
本発明の好適な一実施形態では、J&J社のワックスが塗布された風味付きマルチフィラメントデンタルフロスおよびその自家商標の代替物を含む、「ワックスが塗布されたマルチフィラメントデンタルフロス」の市販版は、微粒子研磨剤が種々のワックスコーティングに埋め込まれるように、このようなマルチフィラメントフロス上の不溶性ワックスコーティングを微粒子研磨剤の衝突を受け入れるようにすることによって、劇的に改善され得る。これらを表5の例41〜53に詳細に記載する。
【0145】
このようなワックス塗布されたマルチフィラメントデンタルフロスの微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものと、これに相当する微粒子研磨剤でオーバコーティングされていない市販のワックスが塗布されたフロスとを比較したところ、微粒子オーバコーティングフロスの「手」が劇的に改善されただけでなく、PAF値によって示される微粒子研磨剤でオーバコーティングされたフロスは「機能する」という知覚も劇的に改善されたことがわかる。このような改善は、実質的かつ関連があると考えられ、このような微粒子研磨剤でオーバコーティングされたワックスフロスの知覚される値の全体的な増強に寄与する。これらのオーバコーティングなしの市販のワックスで塗布されたフロスと比較されたい。
【0146】
本発明の好適な第2の実施形態では、J&J社のREACH(登録商標)Gentle Gum Careの種々の風味が付いたものなど、コーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルフロスは、微粒子研磨剤が唾液溶解性コーティングに埋め込まれるように、このような組織化されたマルチフィラメントフロスの外側の唾液溶解性「装填物」を、微粒子研磨剤の衝突を受け入れるようなものにすることによって劇的に改善され得る。これらを、表5の例47〜49に詳細に記載する。
【0147】
例47〜49に記載したようなこれらのコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルフロスの微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものと、これに相当する微粒子研磨剤でオーバコーティングされていないコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントフロスとを比較すると、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものの「手」が劇的に改善されただけでなく、微粒子研磨剤でオーバコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルフロスが、「機能する」という知覚も劇的に改善されたことがわかる。PAF値を参照されたい。このような改善は、実質的かつ関連があると考えられ、このようなオーバコーティングのない市販のマルチフィラメントデンタルフロスに比して、組織化されたマルチフィラメントデンタルフロスのこのような微粒子研磨剤でオーバコーティングされたもので知覚される値の全体的な増強に寄与する。
【0148】
本発明の好適な第3の実施形態では、RanirによってHi−Tech(商標)Dental Flossとして上市されたコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスの市販のものは、微粒子研磨剤がこの市販の製品のコーティングに埋め込まれるように、その上のコーティングを微粒子研磨剤の衝突を受け入れるようにすることによって、劇的に改善され得る。表5の例52を参照されたい。
【0149】
例52の微粒子研磨剤でオーバコーティングされたもののコーティングされたHi−Techマルチフィラメントデンタルフロスと、これに相当する微粒子研磨剤でオーバコーティングされていないコーティングされたフロスとを比較すると、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたHi−Techフロスの「手」が劇的に改善されただけでなく、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたHi−Techフロスは、「機能する」というこの知覚も劇的に改善されたことがわかる。PAF値を参照されたい。このような改善は、実質的かつ関連があると考えられ、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたHi−Techフロスの知覚される値の全体的な増強に寄与する。
【0150】
(表5の例47〜50に記載したような)J&J社のREACH(登録商標)Gentle Gum CareおよびJ&J社のWaxed Mintマルチフィラメントデンタルフロスの微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものと、J&J社のWhitening Dental Tape(例53を参照)とを比較すると、これら2つの市販のマルチフィラメントデンタルフロスの微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものは、J&J社のWhitening Dental Flossよりも好ましいことがわかる。この優位性は、一部には、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたものは、PAF値によってさらに示されるような「機能する」という知覚と共に、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスについて示された使用の容易さおよび挿入の容易さに起因するものである。
【0151】
本発明の特に好適な実施形態は、製品原価の上昇が非常に穏やかな、幅広い市販のワックスが塗布されたおよび/またはコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに提供された知覚された値の増大である。この知覚された値の増大は、現行のワックス塗布および/またはコーティング工程と共に実施され得るオーバコーティング工程を用いて、適度な価格の微粒子研磨剤オーバコーティングを加えることによって達成され得る。
【0152】
表5の例41〜53に記載されたような市販のコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスは、「それが機能している」という知覚を超えて改善され得、これは記録されたPAF値によって示される。すなわち、風味物質、口当たり物質などを含有する唾液溶解性微粒子を用いた第2のオーバコーティングは、マルチフィラメントフロスがコーティングゾーンに入る前に、この微粒子を液体ベースコーティングに埋め込むために、第2の別個の流動床およびノズル手段を用いてワックスベースのコーティングに埋め込まれ得る。
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1A】埋め込まれた微粒子研磨剤、および風味物質、マウスコンディショナー、栄養補助食品、および/または活性治療薬を含んだ埋め込み唾液溶解性固体物質で、ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデバイスをオーバコーティングするのに適した、本発明の微粒子オーバコーティングシステムを示す略側面図である。
【図1B】図1Aに示した微粒子オーバコーティングシステムを示す略側面図であり、フィルタ手段に代わって、オーバコーティング工程中にマルチフィラメントと接触しない微粒子の過剰なスプレーを回収する手段を備えている。
【図2】図1Aに示したシステムの拡大平面図であり、微粒子コーティング室を通過するワックス型コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを示している。
【図3】コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスを示す拡大略断面図であり、コーティングされたフロスが微粒子コーティング室に入る前の、マルチフィラメントデンタルフロスへの液体ワックス型コーティングを示す。
【図4】ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを示す拡大略断面図であり、マルチフィラメントデンタルフロスが微粒子研磨剤コーティング室を通過後の、液体ワックス型コーティングに埋め込まれる微粒子研磨剤を示す。
【図5】ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを示す拡大略断面図であり、微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスが、ワックス型コーティングを固化させる冷却ゾーンを通過した後の、固化したワックス型コーティングに部分的に埋め込まれた微粒子研磨剤を示す(冷却ゾーンは示さず)。
【図6】コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを示す引き延ばした略断面図であり、研磨剤のためのクッションとして機能する固化されたワックス型コーティングに部分的に埋め込まれた微粒子研磨剤を示す。
【図7】コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを示す引き延ばした略断面図であり、微粒子研磨剤、および固化されたワックス型ベースコーティングに部分的に埋め込まれた微粒子を含む唾液溶解性風味物質/口当たり物質の混合物を示す。
【図8】ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデバイスをオーバコーティングするのに適した、本発明の別の微粒子オーバコーティングシステムを示す略側面図である。
【図9】ワックス型コーティングされたマルチフィラメントデバイスをオーバコーティングするのに適した、本発明の別の微粒子オーバコーティングシステムを示す略側面図であり、オーバコーティングに用いられる微粒子は詳細に示していない。
【図10】図9と同様の略側面図であり、オーバコーティングに使用される微粒子を詳細に示している。
【図11】コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスの微粒子オーバコーティングを示す略フローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスであって、約300〜約1000デニールであり、約10mg/yd〜約100mg/ydのベースコーティングを含み、かつベースコーティングに埋め込まれるバイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングを有し、
前記微粒子研磨剤コーティングが、前記デバイスの約2重量%〜約45重量%からなり、
前記微粒子研磨剤コーティングが、少なくとも約85重量%の付随的放出因子(IRF)を有し、かつ
前記デバイスの知覚研磨因子(PAF)が、少なくとも約1.5〜約4.0であるコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項2】
唾液溶解性のベースコーティングを含んだ微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを用いて、歯間および歯肉縁下の領域をフロッシングする工程を含む、バイオフィルムを除去、破壊、および制御する方法であって、前記ベースコーティングおよび埋め込まれた微粒子研磨剤オーバコーティングが、フロッシング中に放出され、前記マルチフィラメントデンタルフロスと協働して、バイオフィルムを除去、破壊、および制御する方法。
【請求項3】
コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスを微粒子研磨剤でオーバコーティングする方法であって、前記マルチフィラメントデンタルデバイスに含まれる加熱された液体ベースの実質的なコーティングに微粒子研磨剤を衝突させる工程と、前記埋め込まれた微粒子でオーバコーティングされた、コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスに冷却ゾーンを通過させ、これにより前記ベースコーティングが、前記微粒子研磨剤を前記ベースコーティングに取り込みながら固化する工程とを含む方法。
【請求項4】
埋め込まれるバイオフィルム反応性の放出可能な微粒子研磨剤でオーバコーティングされた、コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスであって、
(1)前記マルチフィラメントデンタルデバイスが、マルチフィラメントデバイスのナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、およびこれらの混合物から成る群から選択され、
(2)前記マルチフィラメントデンタルデバイスのコーティングが、唾液溶解性コーティング、唾液不溶性エマルジョンコーティング、結晶の無いコーティング、およびこれらの混合物から選択され、かつ
(3)前記埋め込まれた微粒子研磨剤が、有機研磨剤、無機研磨剤、歯用研磨剤、活性研磨剤、およびこれらの混合物から成る群から選択される、マルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項5】
前記埋め込まれたバイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングが、約7μ〜約200μの平均粒径を有する、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項6】
前記埋め込まれたバイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングが、約5μ〜約300μの粒径分布を有する、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項7】
前記オーバコーティングが、水溶性ワックス、水溶性非イオン性界面活性剤、MICRODENT(登録商標)エマルジョン、ULTRAMULSIONS(登録商標)エマルジョン、およびこれらの混合物から成る群から選択された付加的な固体微粒子も含む、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項8】
前記マルチフィラメントデンタルフロスが、組織化されたマルチフィラメント、撚られていないマルチフィラメント、タッキングされたマルチフィラメント、撚られたマルチフィラメント、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項9】
前記コーティングが、放出可能な抗菌薬を含む、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項10】
前記バイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングが、シリカ、軽石、アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、およびこれらの混合物から成る群から選択される歯用研磨剤である、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項11】
前記バイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングが、ホワイトニング研磨剤、歯石制御研磨剤、ステイン抵抗性研磨剤、知覚過敏治療用の研磨剤、およびこれらの混合物から成る群から選択される活性研磨剤である、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項12】
前記マルチフィラメントデンタルデバイスが、約2〜12個のマルチフィラメントの束を含む、請求項10に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項13】
前記マルチフィラメント構成が、140デニールおよび68本のフィラメント、100デニールおよび34本のフィラメント、70デニールおよび34本のフィラメント、およびこれらの組合せから成るストランドタイプから選択される、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデバイス。
【請求項14】
唾液不溶解性ベースコーティングを含んだ微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを用いて、歯間および歯肉縁下の領域をフロッシングする工程を含む、バイオフィルムを除去、破壊、および制御する方法であって、微粒子研磨剤オーバコーティングが埋め込まれた前記ベースコーティングが、フロッシング中に軟らかい研磨性の口腔サンドペーパーとして機能して、バイオフィルムを除去、破壊、および制御する方法。
【請求項15】
前記ベースコーティングが、唾液不溶解性であり、かつ前記バイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングが、不溶性である、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス。
【請求項16】
コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを微粒子でオーバコーティングする方法であって、前記マルチフィラメントに対する実質的な加熱された液体ベースコーティングに微粒子研磨剤を衝突させた後に、前記加熱された液体ベースコーティングに唾液溶解性微粒子研磨剤を衝突させる工程と、続いて前記埋め込まれた微粒子でオーバコーティングされた、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに冷却ゾーンを通過させ、これにより、前記ベースコーティングに前記微粒子を取り込みながら前記ベースコーティングが固化され、かつ前記微粒子でオーバコーティングされた、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを、埋め込み微粒子オーバコーティング圧縮手段を通過させる工程を含む方法。
【請求項17】
コーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイスであって、約300デニール〜約1000デニールであり、約10mg/yd〜約100mg/ydのエマルジョンベースコーティングを含み、かつベースコーティングに埋め込まれるバイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングを有し、
前記微粒子研磨剤コーティングが、前記デバイスの約2重量%〜約45重量%からなり、
前記微粒子研磨剤コーティングが、少なくとも約85重量%の付随的放出因子(IRF)を有し、かつ
前記デバイスの知覚研磨因子(PAF)が、少なくとも約1.5〜約4.0である、コーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項18】
前記エマルジョンベースコーティングが、MICRODENT(登録商標)である、請求項17に記載のコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項19】
前記バイオフィルム反応性の微粒子オーバコーティングが、ホワイトニング物質を含む、請求項18に記載のコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項20】
前記ベースコーティングおよび前記微粒子オーバコーティングが、各々歯石制御物質を含む、請求項17に記載のコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項21】
コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを微粒子でオーバコーティングする方法であって、前記微粒子研磨剤の過剰なスプレーが、真空サイクロン回収手段を用いて集められかつ再利用される方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
唾液溶解性ベースコーティングで圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス基体であって、前記ベースコーティングが、ベースコーティングに埋め込まれたバイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングを有し、フロッシング中に、前記ベースコーティングされた、歯用の研磨剤微粒子でオーバコーティングされたデンタルデバイスのマルチフィラメント基体が、前記ベースコーティングおよびオーバコーティングを放出する、マルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項2】
前記ベースコーティングがエマルジョンを含む、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項3】
前記歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、溶媒を含まない固体である、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項4】
前記歯用研磨剤微粒子が活性微粒子を含む、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項5】
前記歯用研磨剤微粒子が、まぶされた活性成分を含む、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項6】
前記基体が、PTFE、高密度ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラストマー性基体、およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項7】
前記歯用研磨剤微粒子が、有機研磨剤、無機研磨剤、歯用研磨剤、活性研磨剤、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項8】
前記歯用研磨剤微粒子が、唾液溶解性であり、エマルジョン微粒子、結晶の無い微粒子、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項9】
前記歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、前記コーティングされた基体の約2重量%〜約45重量%である、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項10】
前記歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、少なくとも約85重量%の付随的放出因子(IRF)を有する、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項11】
前記歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、約1.5〜約4.0μの知覚研磨因子(PAF)を有する、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項12】
前記バイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、約7μ〜200μの平均粒径を有する、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項13】
前記バイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、約5μ〜300μの粒径分布を有する、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項14】
前記歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、水溶性ワックス、水溶性非イオン性界面活性剤、MICRODENT(登録商標)エマルジョン、ULTRAMULSION(登録商標)エマルジョン、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項15】
前記ベースコーティングが放出可能な抗菌薬を含む、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項16】
前記バイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、シリカ、軽石、アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項17】
前記バイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、ホワイトニング研磨剤、歯石制御研磨剤、ステイン抵抗性研磨剤、知覚過敏治療用の研磨剤、およびこれらの混合物から成る群から選択される活性研磨剤である、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項18】
唾液溶解性の圧縮コーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイスであって、約300〜約1000デニールであり、約10mg/yd〜約100mg/ydの唾液溶解性エマルジョンベースコーティングを含み、かつエマルジョンベースコーティングに埋め込まれたバイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングを有し、
前記歯用研磨剤微粒子コーティングが、前記デバイスの約2重量%〜約45重量%からなり、
前記歯用研磨剤微粒子が、少なくとも約85重量%の付随的放出因子(IRF)を有し、
前記デバイスの知覚研磨因子(PAF)が、少なくとも約1.5〜約4.0である、コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項19】
前記エマルジョンベースコーティングが、MICRODENT(登録商標)である、請求項18に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項20】
前記バイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングがホワイトニング物質を含む、請求項19に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項21】
前記唾液溶解性圧縮ベースコーティングおよび前記微粒子オーバコーティングが、各々歯石制御物質を含む、請求項18に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項22】
唾液溶解性の圧縮コーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイス基体であって、該基体に衝突されたバイオフィルム反応性のオーバコーティングを有し、該オーバコーティングが、シリカ、軽石、アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、およびこれらの混合物から成る群から選択される歯用微粒子研磨剤を含み、
前記歯用研磨剤微粒子が、
(a)前記デバイスの約2重量%〜約45重量%の範囲で存在し、
(b)約7μ〜約200μの粒径を有し、かつ
(c)約5μ〜約300μの粒径分布を有し、
前記唾液溶解性の圧縮コーティングされた、歯用研磨剤微粒子でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス基体が、デンタルデバイスとして使用される場合、
(a)バイオフィルムを除去し、
(b)少なくとも約85重量%の付随的放出因子(IRF)を示し、かつ
(c)少なくとも約1.5〜約4.0の知覚研磨因子(PAF)を示す、マルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項1】
コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスであって、約300〜約1000デニールであり、約10mg/yd〜約100mg/ydのベースコーティングを含み、かつベースコーティングに埋め込まれるバイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングを有し、
前記微粒子研磨剤コーティングが、前記デバイスの約2重量%〜約45重量%からなり、
前記微粒子研磨剤コーティングが、少なくとも約85重量%の付随的放出因子(IRF)を有し、かつ
前記デバイスの知覚研磨因子(PAF)が、少なくとも約1.5〜約4.0であるコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項2】
唾液溶解性のベースコーティングを含んだ微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを用いて、歯間および歯肉縁下の領域をフロッシングする工程を含む、バイオフィルムを除去、破壊、および制御する方法であって、前記ベースコーティングおよび埋め込まれた微粒子研磨剤オーバコーティングが、フロッシング中に放出され、前記マルチフィラメントデンタルフロスと協働して、バイオフィルムを除去、破壊、および制御する方法。
【請求項3】
コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスを微粒子研磨剤でオーバコーティングする方法であって、前記マルチフィラメントデンタルデバイスに含まれる加熱された液体ベースの実質的なコーティングに微粒子研磨剤を衝突させる工程と、前記埋め込まれた微粒子でオーバコーティングされた、コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスに冷却ゾーンを通過させ、これにより前記ベースコーティングが、前記微粒子研磨剤を前記ベースコーティングに取り込みながら固化する工程とを含む方法。
【請求項4】
埋め込まれるバイオフィルム反応性の放出可能な微粒子研磨剤でオーバコーティングされた、コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイスであって、
(1)前記マルチフィラメントデンタルデバイスが、マルチフィラメントデバイスのナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、およびこれらの混合物から成る群から選択され、
(2)前記マルチフィラメントデンタルデバイスのコーティングが、唾液溶解性コーティング、唾液不溶性エマルジョンコーティング、結晶の無いコーティング、およびこれらの混合物から選択され、かつ
(3)前記埋め込まれた微粒子研磨剤が、有機研磨剤、無機研磨剤、歯用研磨剤、活性研磨剤、およびこれらの混合物から成る群から選択される、マルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項5】
前記埋め込まれたバイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングが、約7μ〜約200μの平均粒径を有する、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項6】
前記埋め込まれたバイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングが、約5μ〜約300μの粒径分布を有する、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項7】
前記オーバコーティングが、水溶性ワックス、水溶性非イオン性界面活性剤、MICRODENT(登録商標)エマルジョン、ULTRAMULSIONS(登録商標)エマルジョン、およびこれらの混合物から成る群から選択された付加的な固体微粒子も含む、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項8】
前記マルチフィラメントデンタルフロスが、組織化されたマルチフィラメント、撚られていないマルチフィラメント、タッキングされたマルチフィラメント、撚られたマルチフィラメント、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項9】
前記コーティングが、放出可能な抗菌薬を含む、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項10】
前記バイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングが、シリカ、軽石、アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、およびこれらの混合物から成る群から選択される歯用研磨剤である、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項11】
前記バイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングが、ホワイトニング研磨剤、歯石制御研磨剤、ステイン抵抗性研磨剤、知覚過敏治療用の研磨剤、およびこれらの混合物から成る群から選択される活性研磨剤である、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項12】
前記マルチフィラメントデンタルデバイスが、約2〜12個のマルチフィラメントの束を含む、請求項10に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項13】
前記マルチフィラメント構成が、140デニールおよび68本のフィラメント、100デニールおよび34本のフィラメント、70デニールおよび34本のフィラメント、およびこれらの組合せから成るストランドタイプから選択される、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデバイス。
【請求項14】
唾液不溶解性ベースコーティングを含んだ微粒子研磨剤でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを用いて、歯間および歯肉縁下の領域をフロッシングする工程を含む、バイオフィルムを除去、破壊、および制御する方法であって、微粒子研磨剤オーバコーティングが埋め込まれた前記ベースコーティングが、フロッシング中に軟らかい研磨性の口腔サンドペーパーとして機能して、バイオフィルムを除去、破壊、および制御する方法。
【請求項15】
前記ベースコーティングが、唾液不溶解性であり、かつ前記バイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングが、不溶性である、請求項1に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルフロス。
【請求項16】
コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを微粒子でオーバコーティングする方法であって、前記マルチフィラメントに対する実質的な加熱された液体ベースコーティングに微粒子研磨剤を衝突させた後に、前記加熱された液体ベースコーティングに唾液溶解性微粒子研磨剤を衝突させる工程と、続いて前記埋め込まれた微粒子でオーバコーティングされた、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスに冷却ゾーンを通過させ、これにより、前記ベースコーティングに前記微粒子を取り込みながら前記ベースコーティングが固化され、かつ前記微粒子でオーバコーティングされた、コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを、埋め込み微粒子オーバコーティング圧縮手段を通過させる工程を含む方法。
【請求項17】
コーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイスであって、約300デニール〜約1000デニールであり、約10mg/yd〜約100mg/ydのエマルジョンベースコーティングを含み、かつベースコーティングに埋め込まれるバイオフィルム反応性の微粒子研磨剤オーバコーティングを有し、
前記微粒子研磨剤コーティングが、前記デバイスの約2重量%〜約45重量%からなり、
前記微粒子研磨剤コーティングが、少なくとも約85重量%の付随的放出因子(IRF)を有し、かつ
前記デバイスの知覚研磨因子(PAF)が、少なくとも約1.5〜約4.0である、コーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項18】
前記エマルジョンベースコーティングが、MICRODENT(登録商標)である、請求項17に記載のコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項19】
前記バイオフィルム反応性の微粒子オーバコーティングが、ホワイトニング物質を含む、請求項18に記載のコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項20】
前記ベースコーティングおよび前記微粒子オーバコーティングが、各々歯石制御物質を含む、請求項17に記載のコーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項21】
コーティングされたマルチフィラメントデンタルフロスを微粒子でオーバコーティングする方法であって、前記微粒子研磨剤の過剰なスプレーが、真空サイクロン回収手段を用いて集められかつ再利用される方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
唾液溶解性ベースコーティングで圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス基体であって、前記ベースコーティングが、ベースコーティングに埋め込まれたバイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングを有し、フロッシング中に、前記ベースコーティングされた、歯用の研磨剤微粒子でオーバコーティングされたデンタルデバイスのマルチフィラメント基体が、前記ベースコーティングおよびオーバコーティングを放出する、マルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項2】
前記ベースコーティングがエマルジョンを含む、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項3】
前記歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、溶媒を含まない固体である、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項4】
前記歯用研磨剤微粒子が活性微粒子を含む、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項5】
前記歯用研磨剤微粒子が、まぶされた活性成分を含む、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項6】
前記基体が、PTFE、高密度ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラストマー性基体、およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項7】
前記歯用研磨剤微粒子が、有機研磨剤、無機研磨剤、歯用研磨剤、活性研磨剤、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項8】
前記歯用研磨剤微粒子が、唾液溶解性であり、エマルジョン微粒子、結晶の無い微粒子、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項9】
前記歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、前記コーティングされた基体の約2重量%〜約45重量%である、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項10】
前記歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、少なくとも約85重量%の付随的放出因子(IRF)を有する、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項11】
前記歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、約1.5〜約4.0μの知覚研磨因子(PAF)を有する、請求項1に記載のマルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【請求項12】
前記バイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、約7μ〜200μの平均粒径を有する、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項13】
前記バイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、約5μ〜300μの粒径分布を有する、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項14】
前記歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、水溶性ワックス、水溶性非イオン性界面活性剤、MICRODENT(登録商標)エマルジョン、ULTRAMULSION(登録商標)エマルジョン、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項15】
前記ベースコーティングが放出可能な抗菌薬を含む、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項16】
前記バイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、シリカ、軽石、アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項17】
前記バイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングが、ホワイトニング研磨剤、歯石制御研磨剤、ステイン抵抗性研磨剤、知覚過敏治療用の研磨剤、およびこれらの混合物から成る群から選択される活性研磨剤である、請求項1に記載の圧縮コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項18】
唾液溶解性の圧縮コーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイスであって、約300〜約1000デニールであり、約10mg/yd〜約100mg/ydの唾液溶解性エマルジョンベースコーティングを含み、かつエマルジョンベースコーティングに埋め込まれたバイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングを有し、
前記歯用研磨剤微粒子コーティングが、前記デバイスの約2重量%〜約45重量%からなり、
前記歯用研磨剤微粒子が、少なくとも約85重量%の付随的放出因子(IRF)を有し、
前記デバイスの知覚研磨因子(PAF)が、少なくとも約1.5〜約4.0である、コーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項19】
前記エマルジョンベースコーティングが、MICRODENT(登録商標)である、請求項18に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項20】
前記バイオフィルム反応性の歯用研磨剤微粒子オーバコーティングがホワイトニング物質を含む、請求項19に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項21】
前記唾液溶解性圧縮ベースコーティングおよび前記微粒子オーバコーティングが、各々歯石制御物質を含む、請求項18に記載のコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス。
【請求項22】
唾液溶解性の圧縮コーティングされかつ組織化されたマルチフィラメントデンタルデバイス基体であって、該基体に衝突されたバイオフィルム反応性のオーバコーティングを有し、該オーバコーティングが、シリカ、軽石、アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、およびこれらの混合物から成る群から選択される歯用微粒子研磨剤を含み、
前記歯用研磨剤微粒子が、
(a)前記デバイスの約2重量%〜約45重量%の範囲で存在し、
(b)約7μ〜約200μの粒径を有し、かつ
(c)約5μ〜約300μの粒径分布を有し、
前記唾液溶解性の圧縮コーティングされた、歯用研磨剤微粒子でオーバコーティングされたマルチフィラメントデンタルデバイス基体が、デンタルデバイスとして使用される場合、
(a)バイオフィルムを除去し、
(b)少なくとも約85重量%の付随的放出因子(IRF)を示し、かつ
(c)少なくとも約1.5〜約4.0の知覚研磨因子(PAF)を示す、マルチフィラメントデンタルデバイス基体。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−512140(P2006−512140A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564833(P2004−564833)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/034466
【国際公開番号】WO2004/060185
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(503205850)インターナシヨナル・テープ・パートナーズ・エル・エル・シー (3)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/034466
【国際公開番号】WO2004/060185
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(503205850)インターナシヨナル・テープ・パートナーズ・エル・エル・シー (3)
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