説明

埋め込み部材取り外し工具

【課題】コンクリート柱から接地測定用端子を、安全、かつ作業効率よく抜き取る。
【解決手段】四角筒状のパイプ部材で形成された握持部110と、2枚の板状部材122a,122bで形成された作用部120とが、L字状に接続される。作用部120の先端側には、接地測定用端子210に取り付けられる足場ボルト310に係止する係止部121が形成される。握持部110と作用部120との接続部分を支点として、当該握持部110が傾動されると、梃子の原理で作用部120は接地測定用端子210の抜き取り方向に移動していく。この際、接地測定用端子210は足場ボルト310を通じて抜き取り方向に引っ張られるため、コンクリート柱201から接地測定用端子210が抜き取られる。作用部120には逃げ凹部123が形成されており、抜き取られていく接地測定用端子210の作用部120との接触が防止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、コンクリート柱の接地測定用端子等の埋め込み部材を取り外す埋め込み部材取り外し工具に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、コンクリート柱201を用いた配電柱部分の構成例を示している。コンクリート柱201は、内部が空洞となった、筒状の構造となっている。また、このコンクリート柱201は、上端の径が下端の径より小さくされ、下端から上端に向かって細くなるように、1/75,1/110等のテーパが付けられている。このように、コンクリート柱201にテーパを付けることで、軽量化が可能となり、また上端側における風の影響を軽減することが可能となる。
【0003】
コンクリート柱201の上部には、腕金202a,202bが、腕金取り付けバンド203a,203bを用いて、取り付けられている。腕金202aには、碍子を介して、例えば、6600Vの高圧線204が支持されている。また、腕金202bには、碍子を介して、例えば、100V,200Vの低圧線205が支持されている。
【0004】
また、コンクリート柱201の上部には、ボルト、取り付けバンド等を用いて、変圧器支持台206が固定されている。変圧器207は、変圧器支持台206に載置されている共に、変圧器取り付けバンドを用いて、コンクリート柱201に固定されている。高圧線204の高圧は変圧器207により下げられて低圧とされた後に低圧線205に与えられる。
【0005】
このコンクリート柱201には、接地測定用端子210が埋め込まれている。図8は、コンクリート柱201の接地測定用端子210が埋め込まれた部分を拡大して示している。接地測定用端子210は、その筐体211の表面がコンクリート柱210の表面と面一となるように、埋め込まれている。
【0006】
図9は、接地測定用端子210の構成例を示している。この接地測定用端子210は、プラスチック製の筐体211の表側の中央部に、雌ねじが切られているねじ穴212が形成されている。このねじ穴212の中央部に、接地電極としての芯線213が露出している。筐体211の裏側には、芯線213に電気的に接続されている2本の電線214,215が存在する。電線214は、コンクリート柱201の上部に設けた変圧器207の接地端子に接続される。電線215は、接地極に接続されている。このように、変圧器207の接地端子を電線214および電線215を介して接地することで、安全の確保が行われている。
【0007】
特許文献1に記載されるように、電力会社においては、定期的に、例えば3〜4年毎に、各電柱の接地抵抗を測定し、抵抗値が規格値以内に入っているか否かを検査している。このような接地抵抗の測定は、図示しない測定器の端子を、上述の接地測定用端子210の芯線213に接触させることで、行うことができる。
【0008】
上述した接地測定用端子210は、芯線213に電線214,215が接続された構成となっているが、場合によっては、これらの電線214,215を切り離して測定しなければならないこともある。しかし、電線214,215は、筐体211の裏側で芯線213に接続されており、これら電線214,215を切り離すことができない。また、上述した接地測定用端子210は、充電部ではないが、芯線213が露出した状態にある。
【0009】
そこで、従来、上述したようにコンクリート柱201に埋め込まれている接地測定用端子210を、両電線の切り離しが可能であると共に、接地電極としての芯線をカバーで隠すことができる、新たな接地測定用端子に切り替えることが行われている。
【0010】
従来、コンクリート柱201に埋め込まれている接地測定用端子210の取り外しは、図10に示すような足場ボルト310を用いて行われている。この足場ボルト310においては、先端側の雄ねじ部311にナット312が螺合されている。この足場ボルト310は、通常、電柱の足場位置に取り付けられて、足場として使用される。その場合、電柱の足場位置に設けられている雌ねじ部に雄ねじ部311が螺合され、その後にナット312が電柱の雌ねじ部に圧接するように回転され、当該足場ボルト310が電柱に緩まないように取り付けられる。
【0011】
なお、この足場ボルト310にあっては、コンクリート柱201に埋め込まれている接地測定用端子210の取り外しに用いられるものであることから、先端に芯線212(図9参照)との接触を避けるための、特に加工されて中空部313が形成されている。上述したように電柱の足場位置に取り付けられて足場として使用される足場ボルト310には、当該中空部313は存在しない。
【0012】
この足場ボルト310を用いてコンクリート柱201に埋め込まれている接地測定用端子210を取り外す際、まず、作業者は、図11に示すように、足場ボルト310の雄ねじ部311を接地測定用端子210の筐体211のねじ穴212にねじ込み、当該足場ボルト310を接地測定用端子210に取り付ける。次に、作業者は、足場ボルト310を矢印で示すように揺らしながら腕力でコンクリート柱201から接地測定用端子210を抜き取る。
【特許文献1】特開平9−5370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図7に示すように、コンクリート柱201における接地測定用端子210の取り付け位置は、作業者の目線より上である。そのため、コンクリート柱201から接地測定用端子210を抜き取る場合、作業位置が高いことから、作業者は脚立等を利用している。そのため、上述したように足場ボルト310を揺らしながら腕力でコンクリート柱201から接地測定用端子210を抜きとる場合、コンクリート柱201の根元が平地でないときは、抜けたときの反動で作業員の姿勢が不安定となり、作業員が思わぬけがをするおそれがある。
【0014】
また、腕力で抜けないときは、足場ボルト310の頭部をハンマーで打撃することで、コンクリート柱201から接地測定用端子210を抜き取ることが行われるが、ハンマー打撃時に発生する金属片で眼球を負傷するおそれがある。
【0015】
この発明の目的は、被取り付け体に埋め込まれた埋め込み部材の抜き取りを安全、かつ作業効率よく、行い得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明の概念は、
被取り付け体に埋め込まれた埋め込み部材を、該埋め込み部材に取り付けられたボルト状部材を利用して抜き取る埋め込み部材取り外し工具であって、
握持部と、
上記握持部の一端側に、一端側が接続され、他端側に上記ボルト状部材に係止する係止部が形成された作用部とを備え、
上記握持部と上記作用部との接続部分を支点として上記握持部を傾動させるとき、上記作用部は、上記埋め込み部材に取り付けられた上記ボルト状部材を上記埋め込み部材の抜き取り方向に移動させ、
上記作用部の上記他端側に、上記被取り付け体から抜き取られる上記埋め込み部材との接触を防止する逃げ凹部が形成されている
ことを特徴とする埋め込み部材取り外し工具にある。
【0017】
この発明においては、握持部と作用部とを備える構成とされる。この場合、握持部の一端側に作用部の一端側が接続され、この作用部の他端側に、埋め込み部材に取り付けられたボルト状部材に係止する係止部が形成されている。被取り付け体(例えば、コンクリート柱)に埋め込まれた埋め込み部材(例えば、接地測定用端子)の抜き取りを行う場合、この埋め込み部材にボルト状部材が取り付けられ、このボルト状部材に作用部に形成された係止部が係止される。
【0018】
この状態で、握持部と作用部との接続部分を支点として握持部が傾動されると、梃子の原理で作用部は埋め込み部材の抜き取り方向に移動していく。この際、被取り付け体に埋め込まれている埋め込み部材はボルト状部材を通じて抜き取り方向に引っ張られるため、埋め込み部材が被取り付け体から抜き取られていく。この場合、係止部は支点を中心に円弧を描いて移動していくが、作用部には逃げ凹部が形成されているので、被取り付け体から抜き取られていく埋め込み部材が作用部に接触することが防止され、埋め込み部材の抜き取りがスムーズに行われる。
【0019】
このように、この発明においては、従来のように足場ボルトを揺らしながら作業者が腕力で抜き取りを行うものではなく、梃子の原理を利用して取り付け体から埋め込み部材をスムーズに抜き取るようにしたものであり、安全、かつ作業効率よく、被取り付け体から埋め込み部材は抜き取ることができる。
【0020】
また、この発明において、例えば、作用部は、握持部の一端側に、この一端側を挟持した状態で接続された、第1の板状部材および第2の板状部材により構成されてもよい。この場合、作用部は、2枚の板状部材で構成されるので、取り外し工具の軽量化が可能となる。そして、この場合、2つの板状部材の間に、係止部のボルト状部材に対する係止位置を規制し、かつ2枚の板状部材の間隔を一定値に保持するためのスペーサが配されていてもよい。スペーサが配されることで、2つの板状部材の間隔が広がり過ぎて、ボルト状部材への係止が不可能となることが防止される。また、スペーサの配置位置により、板状部材に過度のストレスを与えず、しかも、作業者ができるだけ弱い力で抜き取りが可能となるように、係止部のボルト状部材に対する係止位置の目安を与えることができる。
【0021】
また、この発明において、例えば、支点となる握持部と作用部との接続部分に、この接続部分を2個所で被取り付け体に接触させるための逃げ凹部が形成されてもよい。このように支点となる握持部と作用部との接続部分を2個所で被取り付け体に接触させる場合、例えば被取り付け体の表面が曲面であっても、安定した接触が可能となる。
【0022】
また、この発明において、例えば、握持部は、四角筒状のパイプ部材により形成されてもよい。この場合、握持部の内部は空洞であるので、握持部にある程度の強度を持たせた状態で、取り外し工具の軽量化が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、安全、かつ作業効率よく、被取り付け体に埋め込まれた埋め込み部材の抜き取りを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、実施の形態としての、接地測定用端子の取り外し工具100の構成例を示す斜視図である。また、図2(a)は取り外し工具100の正面図、図2(b)は取り外し工具100の左側面図、図2(c)は取り外し工具100の背面図を示している。また、図3(a)は取り外し工具100の平面図、図3(b)は取り外し工具100の左側面図、図3(c)は取り外し工具100の底面図を示している。
【0025】
この取り外し工具100は、コンクリート柱に埋め込まれた接地測定用端子を、この接地測定用端子に取り付けられたボルト状部材、例えば足場ボルト(ボルト状部材)を利用して抜き取るものである。この取り外し工具100は、作業者が握って操作する握持部110と、作用部120とを備えている。
【0026】
握持部110の一端側に、作用部120の一端側が接続されている。この作用部120の他端側に、上述の足場ボルトに係止する係止部121が形成されている。このような握持部110と作用部120とが接続された状態では、図示のように、握持部110の長手方向と作用部120の長手方向とは、ほぼ直交した状態となっている。つまり、取り外し工具100は、全体として、L字状の外形を持っている。
【0027】
握持部110は、四角筒状のパイプ部材により形成されている。このパイプ部材は、例えば、軽量で、ある程度の強度を持っているアルミニウム製とされるが、これに限定されるものではない。
【0028】
また、作用部120は、2枚の板状部材122a,122bにより構成されている。この板状部材122a,122bは、例えば、軽量で、ある程度の強度を持っているアルミニウム製とされるが、これに限定されるものではない。2枚の板状部材122a,122bの一端側は、握持部110の一端側を挟持した状態で、当該握持部110の一端側に、ボルト131およびナット132を用いて固定されている。なお、この実施の形態においては、ボルト131およびナット132を2組だけ用いたものであるが、3組以上用いてもよい。因みに、ボルト131およびナット132は、例えば、ステンレス製である。
【0029】
ここで、図3(a)〜(c)に示すように2枚の板状部材122a,122bの一端側が接続される、握持部110の一端側の内部には、補強用部材133が挿入されている。この実施の形態において、補強用部材133としては、例えば、アルミニウム部材が使用されている。この実施の形態においては、図示のように、3枚の板状部材が使用されたものであるが、1本の柱状部材であってもよい。このように補強用部材133を挿入するのは、接続部分の強度を増すためである。
【0030】
例えば、握持部110として長さLaが380mmで、断面が25mm×15mmのアルミ角パイプが使用されるとき、補強用部材133の挿入長さLcは50mmとされる。因みに、この場合、作用部120の長さLbは95mmとされる。なお、これらの長さは一例であって、これに限定されるものではない。
【0031】
取り外し工具100においては、後述するように、握持部110と作用部120との接続部分を支点として握持部110を傾動させることで、作用部120により、接地測定用端子210に取り付けられた足場ボルト310を当該接地測定用端子210の抜き取り方向に移動させ、当該接地測定用端子210をコンクリート柱201から抜き取る。
【0032】
そのため、作用部120の、握持部110に接続されている側とは反対側(他端側)に、コンクリート柱201から抜き取られる接地測定用端子210との接触を防止する逃げ凹部123が形成されている。すなわち、2枚の板状部材122a,122bの、握持部110に接続されている側とは反対側に、逃げ凹部123が形成されている。
【0033】
また、作用部120を構成する2枚の板状部材122a,122bの間に、合成樹脂製のスペーサ124が配される。このスペーサ124は円筒状に形成されたもので、ビス134およびナット135を用いて、板状部材122a,122bの間に固定される。このスペーサ124は、2枚の板状部材122a,122bの間隔を一定値に保持し、さらに、係止部121の足場ボルト310に対する係止位置を規制するためのものである。
【0034】
スペーサ124の配置位置は、例えば、足場ボルト310に対して当該スペーサ124が接した状態で係止部121が係止されるとき、板状部材122a,122bに過度のストレスを与えず、しかも、作業者ができるだけ弱い力で抜き取りが可能となるように、設定されている。
【0035】
また、作用部120を構成する2枚の板状部材122a,122bの、握持部110に接続されている側とは反対側(他端側)の先端にある、矢印Pで示す角部は、面取りされている。上述したように、コンクリート柱201から接地測定用端子210を抜き取る場合、足場ボルト310に係止される係止部121は支点を中心に円弧を描いて移動していくが、その過程で上述した矢印Pで示す角部が足場ボルト310の雄ねじ部311に螺合されているナット312に当接した状態に移っていく。当該角部が上述したように面取りされていることで、当該角部がナット312に当接した状態に滑らかに移行できるようになる。
【0036】
上述したように、取り外し工具100においては、握持部110と作用部120との接続部分を支点として握持部110を傾動させることで、作用部120により、接地測定用端子210に取り付けられた足場ボルト310を当該接地測定用端子210の抜き取り方向に移動させ、当該接地測定用端子210をコンクリート柱201から抜き取るようにされる。この実施の形態においては、図2(c)に示すように、支点となる握持部110と作用部120との接続部分に、この接続部分を2個所でコンクリート柱201の外面に接触させて、接触の安定化を図るために、逃げ凹部111が形成されている。この実施の形態においては、握持部111の背面側の下端が、コンクリート柱201の曲率より大きな曲率で円弧状に切り取られることで、逃げ凹部111が形成されている。
【0037】
次に、上述した取り外し工具100を用いてコンクリート柱201に埋め込まれた接地測定用端子210を抜き取る場合の手順を、図4、図5を参照して説明する。
【0038】
まず、作業者は、図4(a)に示すように、コンクリート柱201に埋め込まれている接地測定用端子210(図9参照)に足場ボルト310(図10参照)を取り付ける。この場合、接地測定用端子210のねじ穴212に足場ボルト310の先端側の雄ねじ部311がねじ込まれることで、接地測定用端子210に対する足場ボルト310の取り付けが行われる。
【0039】
次に、作業者は、図4(b)に示すように、取り外し工具100を設置する。この場合、取り外し工具100の作用部120の先端側に形成された係止部121は、接地測定用端子210に取り付けられた足場ボルト310に係止される。つまり、作用部120を構成する2枚の板状部材122a,122bの先端側が、足場ボルト310の雄ねじ部311を挟んだ状態で、当該足場ボルト310のナット312とコンクリート柱201の外面との間に位置する状態とされる。この場合、足場ボルト310の位置は、その雄ねじ部311がスペーサ124に接触する程度の位置とされる。
【0040】
次に、作業者は、図5に示すように、握持部110と作用部120との接続部分を支点として、当該握持部110を、矢印Qで示す方向に傾動させる。この場合、足場ボルト310に係止される係止部121は支点を中心に円弧を描いて移動していく。この係止部121の移動に伴って、接地測定用端子210に取り付けられた足場ボルト310が当該接地測定用端子210の抜き取り方向に移動していくため、図示のように、コンクリート柱201から接地測定用端子210が抜き取られる。
【0041】
ここで、作用部120(122a,122b)には、上述したように逃げ凹部123が形成されているので、上述したように接地測定用端子210が抜き取られる途中で、当該接地測定用端子210が作用部120に接触することが防止され、接地測定用端子210の抜き取り作業を支障なく行うことができる。
【0042】
上述したように、図1に示す接地測定用端子の取り外し工具100においては、握持部110と作用部120との接続部分を支点として握持部110を傾動させ、梃子の原理で作用部120を接地測定用端子210の抜き取り方向に移動させることで当該接地測定用端子210をコンクリート柱201から抜き取るものであって、作用部120にはコンクリート柱201から抜き取られていく接地測定用端子210が当該作用部120に接触することを防止するための逃げ凹部123が形成されており、コンクリート柱201に埋め込まれている接地測定用端子210の抜き取りをスムーズ、かつ良好に行うことができる。すなわち、図1に示す接地測定用端子の取り外し工具100を用いることで、従来のように足場ボルト310を揺らしながら作業者が腕力で抜き取りを行う必要はなく、安全、かつ作業効率よく、コンクリート柱201から接地測定用端子210を抜き取ることができる。
【0043】
また、図1に示す接地測定用端子の取り外し工具100においては、作用部120が2枚の板状部材122a,122bで構成されていると共に、接地測定用端子210をコンクリート柱201から抜き取る際には当該板状部材122a,122bの側端部が足場ボルト310のナット312に当接されるものであり、作用部120として十分な強度を保持したまま、取り外し工具100の軽量化を図ることができる。
【0044】
また、図1に示す接地測定用端子の取り外し工具100においては、作用部120を構成する2枚の板状部材122a,122bの間に、係止部121の足場ボルト310に対する係止位置を規制し、かつ2枚の板状部材122a,122bの間隔を一定値に保持するためのスペーサ124が配されている。したがって、スペーサ124により、2枚の板状部材122a,122bの間隔が広がり過ぎて足場ボルト310への係止が不可能となることを防止でき、また、このスペーサ124の配置位置により、板状部材122a,122bに過度のストレスを与えず、しかも、作業者ができるだけ弱い力で抜き取りが可能となるように、係止部121の足場ボルト310に対する係止位置の目安を与えることができる。
【0045】
また、図1に示す接地測定用端子の取り外し工具100においては、握持部110が四角筒状のパイプ部材により形成されているので、当該握持部110にある程度の強度を持たせた状態で、取り外し工具100の軽量化を図ることができる。
【0046】
また、図1に示す接地測定用端子の取り外し工具100においては、支点となる握持部110と作用部120との接続部分に逃げ凹部111が形成されているので、当該接続部分を2個所でコンクリート柱201に接触させることができ、コンクリート柱201から接地測定用端子201を抜き取る際に、支点となる握持部110と作用部120との接続部分をコンクリート柱201の外面に安定して接触させることができ、作業性を高めることができる。
【0047】
なお、上述の実施の形態においては、コンクリート柱201に埋め込まれている接地測定用端子210に取り付けるボルト状部材として足場ボルト310を使用するものを示したが、従来のように足場ボルト310を揺らしながら腕力で接地測定用端子210を抜き取るものでなく、取り外し工具100を用いて抜き取るものであり、従って、図6に示すように、足場ボルト310に代えて、持ち運びが容易な通常のボルト350を用いることもできる。
【0048】
また、上述実施の形態においては、握持部110と作用部120とが別体として形成され、ボルト131およびナット132を用いて接続するものを示したが、これら握持部110と作用部120とが一体的に形成されていてもよい。
【0049】
また、上述実施の形態においては、この発明を、コンクリート柱201から接地測定用端子210を抜き取る取り外し工具100に適用したものであるが、この発明は、被取り付け体に埋め込まれた埋め込み部材を抜き取る取り外し工具にも同様に適用できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明は、例えばコンクリート柱に埋め込まれた接地測定用端子を抜き取る場合に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施の形態としての接地測定用端子の取り外し工具の構成例を示す斜視図である。
【図2】実施の形態としての接地測定用端子の取り外し工具の構成例を示す正面図、左側面図および背面図である。
【図3】実施の形態としての接地測定用端子の取り外し工具の構成例を示す平面図、左側面図および底面図である。
【図4】取り外し工具を用いてコンクリート柱に埋め込まれた接地測定用端子を抜き取る場合の手順(1/2)を示す図である。
【図5】取り外し工具を用いてコンクリート柱に埋め込まれた接地測定用端子を抜き取る場合の手順(2/2)を示す図である。
【図6】コンクリート柱に埋め込まれた接地測定用端子に取り付けられるボルト状部材の他の例を示す図である。
【図7】配電柱の構成例を示す図である。
【図8】コンクリート柱の接地測定用端子が埋め込まれた部分を拡大して示す図である。
【図9】接地測定用端子の構成例を示す図である。
【図10】足場ボルトの構成例を示す図である。
【図11】足場ボルトを用いてコンクリート柱に埋め込まれている接地測定用端子を取り外す様子を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
100・・・接地測定用端子の取り外し工具、110・・・握持部、111・・・逃げ凹部、120・・・作用部、121・・・係止部、122a,122b・・・板状部材、123・・・逃げ凹部、124・・・スペーサ、133・・・補強用部材、201・・・コンクリート柱、210・・・接地測定用端子、212・・・ねじ穴、310・・・足場ボルト、311・・・雄ねじ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取り付け体に埋め込まれた埋め込み部材を、該埋め込み部材に取り付けられたボルト状部材を利用して抜き取る埋め込み部材取り外し工具であって、
握持部と、
上記握持部の一端側に、一端側が接続され、他端側に上記ボルト状部材に係止する係止部が形成された作用部とを備え、
上記握持部と上記作用部との接続部分を支点として上記握持部を傾動させるとき、上記作用部は、上記埋め込み部材に取り付けられた上記ボルト状部材を上記埋め込み部材の抜き取り方向に移動させ、
上記作用部の上記他端側に、上記被取り付け体から抜き取られる上記埋め込み部材との接触を防止する逃げ凹部が形成されている
ことを特徴とする埋め込み部材取り外し工具。
【請求項2】
上記作用部は、上記握持部の一端側に、該一端側を挟持した状態で接続された、第1の板状部材および第2の板状部材により構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の埋め込み部材取り外し工具。
【請求項3】
上記第1の板状部材および上記第2の板状部材の間に、上記係止部の上記ボルト状部材に対する係止位置を規制し、かつ上記第1の板状部材および上記第2の板状部材の間隔を一定値に保持するためのスペーサが配されている
ことを特徴とする請求項2に記載の埋め込み部材取り外し工具。
【請求項4】
上記支点となる上記握持部と上記作用部との接続部分に、該接続部分を2個所で上記被取り付け体に接触させるための逃げ凹部が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の埋め込み部材取り外し工具。
【請求項5】
上記握持部は、四角筒状のパイプ部材により形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の埋め込み部材取り外し工具。
【請求項6】
上記被取り付け体はコンクリート柱であり、
上記埋め込み部材は、上記ボルト状部材を取り付けるためのネジ穴を有する接地測定用端子である
ことを特徴とする請求項1に記載の埋め込み部材取り外し工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−39795(P2009−39795A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204855(P2007−204855)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】