説明

埋込型取っ手及びシステムキッチン

【課題】使用者が良い操作感を得ることを可能にする。
【解決手段】使用者が、挿入領域2に指を挿入して持ち手部本体4cを握り、持ち手部本体4cを枠体部3の埋込方向と逆方向に引っ張った際、持ち手部4がバネ6の復元力に抗してガイド穴5に沿って枠体部3の埋込方向と逆方向に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチンの棚や引き出し等の商品の前面に適用して好適な埋込型取っ手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商品の前面に埋め込まれ、使用者の指の挿入領域を規定する枠体部と、枠体部の挿入領域に設けられ、挿入領域を分割する持ち手部とを備える埋込型取っ手が知られている(特許文献1を参照)。このような埋込型取っ手が設けられている商品では、使用者は、挿入領域に指を挿入して持ち手部を握り、枠体部の埋込方向と逆方向に持ち手部を引っ張ることにより、商品の前面を引っ張り方向に移動させることができる。
【特許文献1】特開2000−18803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の埋込型取っ手をシステムキッチンの棚や引き出し,冷蔵庫等の収納庫の前面に適用しようとする場合には、収納庫の収納容量を確保するために、挿入領域の奥行方向の長さに制約が生じる。このため、従来の埋込型取っ手を収納庫の前面に適用した場合には、使用者の指の挿入領域を十分に確保することができないために、持ち手部を引っ張る際に使用者の指の1点に圧力が集中し、使用者が良い操作感を得られないことがある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、使用者が良い操作感を得ることが可能な埋込型取っ手及びシステムキッチンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る埋込型取っ手は、商品の前面に埋め込まれ、使用者の指の挿入領域を規定する枠体部と、挿入領域に設けられ、挿入領域を分割する柱状の持ち手部とを備える埋込型取っ手であって、使用者が、挿入領域に指を挿入して持ち手部を握り、枠体部の埋込方向と逆方向に持ち手部を引っ張った際、持ち手部を枠体部の埋込方向と逆方向に移動させることにより挿入領域を広げるスライド機構を備える。
【0006】
また、本発明に係るシステムキッチンは、収納庫の前面に埋め込まれ、使用者の指の挿入領域を規定する枠体部と、挿入領域に設けられ、挿入領域を分割する柱状の持ち手部とを備える埋込型取っ手を有するシステムキッチンであって、埋込型取っ手は、使用者が、挿入領域に指を挿入して持ち手部を握り、枠体部の埋込方向と逆方向に持ち手部を引っ張った際、持ち手部を枠体部の埋込方向と逆方向に移動させることにより挿入領域を広げるスライド機構を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る埋込型取っ手及びシステムキッチンによれば、使用者が枠体部の埋込方向と逆方向に持ち手部を引っ張った際、挿入領域が広がり、使用者の指と持ち手部の接触面積が大きくなるので、使用者の指の1点に圧力が集中することがなく、指あたりが良くなり、使用者は良い操作感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る埋込型取っ手は、例えば図1に示すようなシステムキッチンの上方に設けられた棚や下方に設けられた引き出しの前面に適用することができる。以下、図面を参照して、本発明に係る埋込型取っ手をシステムキッチンの上方に設けられた棚や下方に設けられた引き出しの前面に適用した、本発明の実施形態となる埋込型取っ手1の構成について詳しく説明する。
【0009】
本発明の実施形態となる埋込型取っ手1は、図2に示すように、収納庫の前面に埋め込まれ、使用者の指の挿入領域2を規定する枠体部3と、挿入領域2に設けられ、挿入領域2を上下方向に分割する柱状の持ち手部4とを備える。上記持ち手部4は、枠体部3の埋込方向に伸び、奥行き方向の端部に突起部4aを有する一対の支持部材4bと、一対の支持部材4bに接合され、水平方向に伸びる柱状の持ち手部本体4cとを有する。上記持ち手部本体4cの断面形状は、半楕円形状となっており、枠体部3の埋込方向側が曲面形状、使用者に対向する埋込方向と逆方向側が平面形状となっている。上記枠体部3の側面には埋込方向に伸びるガイド穴5が形成され、枠体部3と突起部4aはガイド穴5の奥行き方向側の側面においてバネ6により連結されている。なお、持ち手部本体4cの断面形状は、半楕円形状に限られることはなく、その他の形状であってもよい。
【0010】
このような構成を有する埋込型取っ手1では、使用者が、挿入領域2に指を挿入して持ち手部本体4cを握り、持ち手部本体4cを枠体部3の埋込方向と逆方向に引っ張った際、図3(a),(b)に示すように、持ち手部4がバネ6の復元力に抗してガイド穴5に沿って枠体部3の埋込方向と逆方向に移動する。すなわち、使用者が持ち手部本体4cを枠体部3の埋込方向と逆方向に引っ張った際、持ち手部4と枠体部3の相対位置関係が変化し、持ち手部4のスライド量分だけ挿入領域2が広がる。このため、本発明の実施形態となる埋込型取っ手1によれば、使用者が持ち手部本体4cを枠体部3の埋込方向と逆方向に引っ張った際、使用者の指と持ち手部本体4cの接触面積が大きくなるので、使用者の指の1点に圧力が集中することがなく、指あたりが良くなり、使用者は良い操作感を得ることができる。
【0011】
なお、本実施形態では、ガイド穴5は、埋込方向(水平方向)にのみ伸びる形状であったが、埋込方向と逆方向の端部側を図4に示すように上下方向に分岐させることにより、使用者が持ち手部本体4cを枠体部3の埋込方向と逆方向に引っ張った際、持ち手部4が、枠体部3の埋込方向と逆方向と合わせて上下方向にも移動するように構成してもよい。このような構成によれば、使用者は、上方向と下方向のどちらの方向からでも指を挿入領域2に挿入して持ち手部本体4cを移動させることができる。また、持ち手部本体4cを握った際に使用者の爪が枠体部3内部の上面や下面に接触することがなく、使用者は持ち手部本体4cをしっかりと握ることができるので、操作性を向上させることができる。
【0012】
また、図5に示すように、持ち手部本体4cを持ち手部本体4cの軸中心4dを中心として回転可能なように構成してもよい。このような構成によれば、システムキッチンの棚等の上方に配置される商品や、引き出しの取っ手等の下方に配置される商品に対し本発明の実施形態となる埋込型取っ手1を適用した場合であっても、持ち手部本体4cが軸中心4dを中心として回転し、使用者の指と持ち手部本体4cの接触面積が大きくなるので、使用者は持ち手部本体4cをしっかりと握ることができる。
【0013】
また、ガイド穴5は、収納庫の収納容量を考慮して、使用者が持ち手部本体4cを枠体部3の埋込方向と逆方向に引っ張った際、持ち手部4が埋込型取っ手1の奥行き方向長さの略半分程度スライド可能な長さに設計することが望ましい。また、持ち手部4は、必ずしも枠体部3の中央に配置する必要はなく、不均等な位置に配置するようにしてもよい。また、図4に示すガイド穴5において、埋込方向と逆方向の端部側を上方向又は下方向のみに分岐させ、持ち手部4を上方向又は下方向のみに移動可能なように構成することにより、使用者の下側又は上側に配置される収納庫の前面のみに適用可能なように埋込型取っ手1を構成してもよい。また、持ち手部4を枠体部3の中央位置に対称に配置すると共に、ガイド穴5を持ち手部4の引き出し方向に対して斜めに形成し、持ち手部4を引っ張る際に持ち手部4を反転可能にすることにより、上方向及び下方向の双方で使用者が好ましく持ち手部4を使用できるようにしてもよい。
【0014】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る埋込型取っ手が適用されるシステムキッチンの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態となる埋込型取っ手の構成を示す斜視図である。
【図3】使用者が持ち手部本体を枠体部の埋込方向と逆方向に引っ張った際に持ち手部が移動する様子を説明するための、図2に示す埋込型取っ手の構成を示す側面図である。
【図4】本発明の他の実施形態となる埋込型取っ手の構成を示す側面図である。
【図5】本発明の他の実施形態となる埋込型取っ手の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0016】
1:埋込型取っ手
2:挿入領域
3:枠体部
4:持ち手部
4a:突起部
4b:支持部材
4c:持ち手部本体
4d:軸中心
5:ガイド穴
6:バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の前面に埋め込まれ、使用者の指の挿入領域を規定する枠体部と、前記挿入領域に設けられ、挿入領域を分割する柱状の持ち手部とを備える埋込型取っ手であって、
使用者が、前記挿入領域に指を挿入して持ち手部を握り、枠体部の埋込方向と逆方向に持ち手部を引っ張った際、当該持ち手部を枠体部の埋込方向と逆方向に移動させることにより前記挿入領域を広げるスライド機構を備えることを特徴とする埋込型取っ手。
【請求項2】
請求項1に記載の埋込型取っ手であって、
前記スライド機構は前記枠体部の埋込方向と逆方向に加えて上下方向に持ち手部を移動可能なように構成されていることを特徴とする埋込型取っ手。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の埋込型取っ手であって、
前記持ち手部は本体部分の軸中心を中心として回転運動可能なように構成されていることを特徴とする埋込型取っ手。
【請求項4】
収納庫の前面に埋め込まれ、使用者の指の挿入領域を規定する枠体部と、前記挿入領域に設けられ、挿入領域を分割する柱状の持ち手部とを備える埋込型取っ手を有するシステムキッチンであって、
前記埋込型取っ手は、使用者が、前記挿入領域に指を挿入して持ち手部を握り、枠体部の埋込方向と逆方向に持ち手部を引っ張った際、当該持ち手部を枠体部の埋込方向と逆方向に移動させることにより前記挿入領域を広げるスライド機構を備えることを特徴とするシステムキッチン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−195670(P2007−195670A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16337(P2006−16337)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)