説明

基板とコネクタとの接続構造

【課題】基板上に実装部品や導体をレイアウトする際の自由度を向上させつつ、コストの低減を図ることができる基板とコネクタとの接続構造を提供することを目的とする。
【解決手段】基板1A,1Bを、該基板1A,1Bの平面方向と直交する並設方向に所定間隔を隔てて重ねるように並設するとともに、基板1Aに、2つの雌端子41a,41bを有する雄型コネクタ40と接続可能な雌型コネクタ20を実装しており、該雌型コネクタ20は、雄型コネクタ40と接続可能な2本の雄端子21a,21bと、該雄端子21a,21bの一端を共通に収容するハウジング22とを有し、雄端子21a,21bは、それぞれ異なる長さを有して前記並設方向に延びるとともに、他端を対応する基板1A,1Bにそれぞれ個別に接続しており、基板1Aには、基板1Bと接続する雄端子21bを非接触状態で貫通させる切欠き部11を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、平面方向と直交する並設方向に所定間隔を隔てて重ねるように並設した複数の基板とコネクタとの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車等に搭載する電気接続箱には、複数の回路素子を実装した基板を収容しているが、車載用の電装部品の増大等に伴い回路が複雑化しているという実情から、基板上の回路素子や導体が増大しており、その結果、基板が平面方向に大型化するという問題が生じていた。
【0003】
そこで、従来、回路を複数に分割し、それに対応して、複数の基板を、該基板の平面方向と直交する並設方向に所定間隔を隔てて重ねるように並設することが提案されている(下記特許文献1〜3参照)。
【0004】
ところで、上述したように複数の基板を並設した場合において、これら複数の基板を複数の外部端子を有する外部コネクタと接続する時、複数の外部端子を、対応する基板にそれぞれ個別に接続することがある。
【0005】
そこで、前記複数の基板のいずれかに、外部コネクタと接続可能な基板側コネクタを実装するとともに、下記特許文献1,2に開示されているように、複数の基板同士を接続する基板間接続端子を備え、前記基板側コネクタの端子(これを基板側端子という)から基板上の導体及び前記基板間接続端子を経由して他の基板に接続することが考えられる。
【0006】
しかしながら、この場合、基板間接続端子が新たに必要となるため、接続端子の増大を招くとともに、基板側コネクタと基板間接続端子とを接続するための導体を基板上に設けなければならなくなる。こうなると、コストの増大を招く他、要求される回路の仕様によっては、他の実装部品(回路素子やコネクタ等を含む)や導体との関係上、前記基板間接続端子や前記導体を基板上に設けること自体が困難になって回路を構成できなくなることも考えられ、基板上に実装部品や導体をレイアウトする際の自由度が著しく制限されることになってしまう。
【0007】
また、複数の外部端子を有する1つの外部コネクタを複数の基板と接続する場合には、複数の外部端子、基板に対応して、基板側コネクタも複数の基板側端子を備える必要がある。
【0008】
ところで、下記特許文献3では、互いに独立した2つのリレーを2枚の基板に個別に接続すべく、前記並設方向の長さが異なる2本の(基板側)端子を備え、そのうち一方の端子が、電気的に接続されていない上側の基板を接触状態で貫通している構造が開示されている。
【0009】
しかしながら、下記特許文献3は、あくまでも互いに独立した2つのリレーを対応する基板とそれぞれ個別に接続する構造であり、1つの外部コネクタを複数の基板と接続するようにはなっていない。
【0010】
また、下記特許文献3では、基板側端子を貫通させる貫通孔が公差等によってずれてしまうと、この貫通孔を貫通する基板側端子が基板との接触で傾いてしまい、その一端が所定の位置からずれる虞がある。
【0011】
ここで、1つの外部コネクタを複数の基板と接続する構造において、下記特許文献3に開示された構成を適用した場合について考えてみる。この場合、前記貫通孔がずれてしまうと、前記貫通孔を貫通する基板側端子が傾いてその一端が所定の位置からずれる虞がある。こうなると、複数の外部端子を対応する基板側端子と適切に嵌合させることができなくなるため、両コネクタ同士を接続することができず、結局は1つの外部コネクタを複数の基板と接続することができなくなってしまう。
【0012】
従って、貫通孔の位置を決定する設計段階、及び貫通孔を基板に形成する加工段階において、極めて高い精度が要求されることになり、その結果、製造コストの増大を招くという問題が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−312132号公報
【特許文献2】特開2006−33941号公報
【特許文献3】特開2007−227304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この発明は、基板上に実装部品や導体をレイアウトする際の自由度を向上させつつ、コストの低減を図ることができる基板とコネクタとの接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、複数の基板を、該基板の平面方向と直交する並設方向に所定間隔を隔てて重ねるように並設するとともに、前記複数の基板のいずれかに、複数の外部端子を有する外部コネクタと接続可能な基板側コネクタを実装しており、該基板側コネクタは、前記外部端子と接続可能な複数の基板側端子と、該複数の基板側端子の一端を共通に収容するハウジングとを有し、前記複数の基板側端子は、それぞれ異なる長さを有して前記並設方向に延びるとともに、前記一端と反対側の他端を、対応する前記基板にそれぞれ個別に接続しており、前記基板には、他の基板と接続する前記基板側端子を非接触状態で貫通させる接触回避部を形成した基板とコネクタとの接続構造であることを特徴とする。
【0016】
前記基板側コネクタは、基板側端子として複数本の棒状または平板状の端子を有する雌型コネクタであることを含む。
前記ハウジングは、断面形状が矩形状をなす箱型のものや、断面形状が円形をなす円筒状のものであることを含む。
前記外部コネクタは、外部端子として複数の雌端子を有する雄型コネクタであることを含む。
前記接触回避部は、基板の縁部の一部を切り欠いて形成した切欠き部や、基板の縁部近傍において、前記基板側端子より大きな幅を有する貫通孔であることを含む。
この発明により、外部コネクタを基板側コネクタと接続した時には、1つの外部コネクタを複数の基板に接続することができ、具体的には、外部コネクタの外部端子を、対応する複数の基板にそれぞれ個別に接続することができる。
【0017】
そして、複数の基板同士を接続するための基板間接続端子、及び基板側コネクタと基板間接続端子とを接続するための導体を省略できる。このため、接続構造のコスト低減を図りつつ、複数の基板上に実装部品や導体をレイアウトする際の自由度を向上させることができる。
【0018】
さらに、基板において、他の基板と接続する基板側端子を非接触状態で貫通させる接触回避部を形成したことで、該接触回避部の設計、加工に際して高い精度を有していなくても、基板と、他の基板に接続する基板側端子とが接触することを確実に回避でき、両者の接触に起因する基板側端子のずれを確実に防止できる。この場合、接続構造のコスト低減を図りつつ、ハウジングに収容された基板側端子の一端が所定の位置からずれることを確実に防止でき、外部コネクタを、基板側コネクタを介して確実に複数の基板に接続することができる。
【0019】
この発明の態様として、前記所定間隔を保持する間隔保持手段を備えることができる。
【0020】
この態様により、複数の基板同士が前記並設方向において相対的にずれることを確実に防止でき、その結果、基板側端子の一端が前記並設方向にずれることを防止できる。これにより、基板側端子と外部端子との間の嵌合状態が不適切になるいわゆる接触不良を確実に防止でき、外部コネクタを基板側コネクタにより確実に接続することができる。
【0021】
また、この発明の態様として、前記複数の基板の前記平面方向における相対位置を保持する平面方向位置保持手段を備えることができる。
【0022】
この態様により、複数の基板同士が前記平面方向において相対的にずれることを確実に防止でき、その結果、基板側端子の一端が前記平面方向にずれることを防止できる。これにより、基板側端子と外部端子とを嵌合させることができなくなるという不都合をより確実に防止でき、外部コネクタを基板側コネクタにより確実に接続することができる。
【0023】
また、この発明の態様として、前記複数の基板側端子の前記平面方向における相対位置を保持する端子位置保持部を前記ハウジングに設けることができる。
【0024】
この態様により、前記並設方向における長さが長い基板側端子が前記平面方向にふらつくことを確実に防止でき、その結果、前記基板側端子の一端が前記平面方向にずれることをより確実に防止できる。これにより、基板側端子と外部端子とを嵌合させることができなくなるという不都合をより確実に防止でき、外部コネクタを基板側コネクタにより確実に接続することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、基板上に実装部品や導体をレイアウトする際の自由度を向上させつつ、コストの低減を図ることができる基板とコネクタとの接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る基板とコネクタとの接続構造を示す部分断面図。
【図2】雌型コネクタ周辺の要部を示す要部拡大平面図。
【図3】本発明の他の実施形態に係る基板とコネクタとの接続構造を示す部分断面図。
【図4】本発明のさらに他の実施形態に係る基板とコネクタとの接続構造を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態に係る基板とコネクタとの接続構造は、図1、図2に示すように、複数(ここでは2枚)の基板1A,1Bを、該基板1A,1Bの平面方向と直交する並設方向に所定間隔を隔てて重ねるように並設するとともに、一方の基板1Aに、2つの雌端子41a,41bを有する雄型コネクタ40と接続可能な雌型コネクタ20を実装しており、該雌型コネクタ20は、雌端子41a,41bと接続可能な2本の雄端子21a,21bと、該雄端子21a,21bの一端を共通に収容するハウジング22とを有し、雄端子21a,21bは、それぞれ異なる長さを有して前記並設方向に延びるとともに、前記一端と反対側の他端を、対応する基板1A,1Bにそれぞれ個別に接続しており、基板1Aには、他の基板1Bと接続する雄端子21bを非接触状態で貫通させる切欠き部11を形成している。
【0028】
また、基板1A,1B間の前記所定間隔を保持するとともに、基板1A,1Bの前記平面方向における相対位置を保持する保持手段30を備えている。
さらに、雄端子21a,21bの前記平面方向における相対位置を保持する底部22aをハウジング22に設けている。
【0029】
上述する基板とコネクタとの接続構造(以下、単に「接続構造」とする)の構成について、図1、図2とともに詳述する。
なお、図1は、接続構造を示す部分断面図であり、図2は、雌型コネクタ周辺の要部を示す要部拡大平面図である。
【0030】
本実施形態に係る接続構造は、例えば、自動車等に搭載する電気接続箱(図示省略)に適用することができ、主に、電気接続箱内部の回路を構成する回路素子2,…を実装した第1の基板1Aと、回路素子3,4,…を実装した第2の基板1Bと、雌型コネクタ20と、保持部材30とで構成している。
【0031】
本実施形態では、図1に示すように、2枚の基板1A,1Bを、該基板1A,1Bの平面方向と直交する並設方向に所定間隔を隔てて重ねるように並設しており、これにより、電気接続箱内部の回路を2層に分割して構成している。
【0032】
このうち、基板1Aには、回路素子2,…の他、縁部近傍に雌型コネクタ20を実装している。雌型コネクタ20は、基板1A,1Bの数に対応して2本の雄端子21a,21bを有するとともに、これら各雄端子21a,21bの一端を共通に収容する断面形状が矩形状をなす箱型のハウジング22を有している。但し、ハウジング22としては、例えば、断面形状が円形をなす円筒状のものであってもよい。
【0033】
雄端子21a,21bは、いずれも前記並設方向に延びるように配設した棒状のピンであり、その一端が端子長手方向(前記並設方向)において同じ位置に配置されている。そして、雄端子21a,21bは、前記一端からハウジング22の底部22aを貫通して後述するようにそれぞれ基板1A,1Bに向かって延びるとともに、前記平面方向における位置が底部22aによって所定位置に保持されている。
【0034】
ところで、図1において二点鎖線で示す部材40は、外部の雄型コネクタであり、上述した雌型コネクタ20の雄端子21a,21bに対応して2つの雌端子41a,41bを有している。上述したように、雄端子21a,21bがハウジング22の底部22aによって所定位置に保持されることで、雄型コネクタ40をハウジング22の内部に差し込んだ時には、雄端子21a,21b、雌端子41a,41bを適切に対向させ、両者を確実に嵌合させることができるようになっている。両コネクタ20,40は、それぞれ対向する雄端子21aと雌端子41a、雄端子21bと雌端子41bとが嵌合することで、接続状態となる。
【0035】
また、雄端子21a,21bは、互いに異なる長さを有しており、ハウジング22の内部に配置した一端から、それぞれ異なる基板1A,1Bに向かって前記並設方向に延びている。
【0036】
そして、2本の雄端子21a,21bのうち、短いほうの雄端子21aを、ハウジング22の内部から基板1Aまで延ばしてこれに接続する一方、長いほうの雄端子21bを、ハウジング22の内部から基板1Bまで延ばしてこれに接続している。つまり、雄端子21a,21bの一端と反対側の他端を、対応する基板1A,1Bにそれぞれ個別に接続している。
【0037】
そして、基板1A上には、雄端子21aを接続した接続点と各回路素子2,…とを接続する導体(図示省略)を設ける一方、基板1B上には、雄端子21bを接続した接続点と各回路素子3,4,…とを接続する導体(図示省略)を設けている。これにより、外部の雄型コネクタ40を雌型コネクタ20と接続した時には、1つの雄型コネクタ40を2枚の基板1A,1Bに接続することができ、具体的には、雄型コネクタ40の雌端子41a,41bを、対応する基板1Aの回路素子2,…、基板1Bの回路素子3,4,…にそれぞれ個別に接続することができるようになっている。
【0038】
また、本実施形態では、図1、図2に示すように、基板1Aの縁部において、雌型コネクタ20と対応する位置に、平面方向内側へ凹む切欠き部11を形成している。基板1Aでは、雌型コネクタ20(ハウジング22)を、切欠き部11の周縁部に固定、支持しており、雄端子21bは、この切欠き部11を通過することにより、基板1Aを非接触状態で貫通している。
【0039】
また、基板1A,1Bの縁部近傍には、2枚の基板1A,1Bに跨るようにして前記延設方向に延びる柱状の保持部材30を設けている。この保持部材30は、例えば、樹脂等の絶縁体からなり、その両端部を基板1A,1Bに連結している。これにより、基板1A,1Bの前記並設方向における相対位置を保持して前記所定間隔を保持するとともに、基板1A,1Bの前記平面方向における相対位置も保持している。
【0040】
本実施形態では、上述したように、雄端子21aを、ハウジング22の内部から基板1Aまで延ばしてこれに接続する一方、雄端子21bを、ハウジング22の内部から基板1Bまで延ばして直接これに接続することで、基板1A,1B同士を接続するための基板間接続端子、及び基板1Aで雌型コネクタ20と基板間接続端子とを接続するための導体を省略できる。このため、接続構造のコスト低減を図りつつ、基板1A,1B上に実装部品(回路素子2,3,4,…、雌型コネクタ20)や導体をレイアウトする際の自由度を向上させることができる。
【0041】
さらに、基板1Aにおいて、雄端子21bを非接触状態で貫通させる切欠き部11を形成したことで、該切欠き部11の設計、加工に際して高い精度を有していなくても、基板1Aと、他の基板1Bに接続する雄端子21bとが接触することを確実に回避でき、両者の接触に起因する雄端子21bのずれを確実に防止できる。この場合、接続構造のコスト低減を図りつつ、ハウジング22に収容された雄端子21bの一端が所定の位置からずれることを確実に防止でき、外部の雄型コネクタ40を、雌型コネクタ20を介して確実に基板1A,1Bに接続することができる。
【0042】
また、前記所定間隔を保持部材30によって保持することで、基板1A,1Bの前記並設方向において相対的にずれることを確実に防止でき、その結果、各基板1A,1B同士が接続された雄端子21a,21bの一端が前記並設方向にずれることを防止できる。これにより、雄端子21a,21bと雌端子41a,41bとの間の嵌合状態が不適切になるいわゆる接触不良を確実に防止でき、両コネクタ20,40をより確実に接続することができる。
【0043】
また、基板1A,1B間の前記平面方向における相対位置を保持部材30によって保持することで、基板1A,1B同士が前記平面方向において相対的にずれることを確実に防止でき、その結果、雄端子21a,21bの一端が前記平面方向にずれることを防止できる。これにより、雄端子21a,21bと雌端子41a,41bとを嵌合させることができなくなるという不都合をより確実に防止でき、両コネクタ10,40をより確実に接続することができる。
【0044】
また、雄端子21a,21b間の前記平面方向における相対位置をハウジング22の底部22aによって保持することで、前記並設方向における長さが長い雄端子21bが前記平面方向にふらつくことを確実に防止でき、その結果、雄端子21bの一端が前記平面方向にずれることをより確実に防止できる。これにより、雄端子21a,21bと雌端子41a,41bとを嵌合させることができなくなるという不都合をより確実に防止でき、両コネクタ20,40をより確実に接続することができる。
【0045】
なお、図1は、保持部材30を1つだけ設けた構成であるが、基板1A,1Bの保持状態の安定化を考慮した場合、保持部材30を基板1A,1Bの縁部近傍に複数本設けるのが好ましい。
【0046】
以下に、図3を参照して本発明の他の実施形態に係る接続構造について詳細に説明する。なお、図3は、本実施形態に係る接続構造を示す部分断面図であり、図3において、図1、図2に示す最初の実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0047】
図3に示す実施形態では、基板1A′において、雄端子21bと対応する位置に、該雄端子21bよりも大きな幅を有する非接触貫通孔12を形成しており、雄端子21bは、この非接触貫通孔12を通過することにより、基板1A′を非接触状態で貫通している。
【0048】
このように、基板1A′において、雄端子21bを非接触状態で貫通させる非接触貫通孔12を形成した場合には、該非接触貫通孔12の設計、加工に際して高い精度を有していなくても、基板1A′と雄端子21bとが接触することを確実に回避でき、両者の接触に起因する雄端子21bのずれを確実に防止できる。
【0049】
従って、本実施形態においても、上述した最初の実施形態と同様、接続構造のコスト低減を図りつつ、ハウジング22に収容された雄端子21bの一端が所定の位置からずれることを確実に防止でき、外部の雄型コネクタ40を、雌型コネクタ20を介して確実に基板1A,1Bに接続することができる。
【0050】
以下に、図4を参照して本発明のさらに他の実施形態に係る接続構造について詳細に説明する。なお、図4は、本実施形態に係る接続構造を示す部分断面図であり、図4において、図1、図2に示す最初の実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0051】
本実施形態に係る接続構造は、最初の実施形態の第1,第2の基板1A,1Bに対応する基板50A,50Bとともに、第3の基板50Cを備えている。そして、図4に示すように、3枚の基板50A〜50Cを、該基板50A〜50Cの平面方向と直交する並設方向に所定間隔を隔てて重ねるように並設し、電気接続箱内部の回路を3層に分割して構成している。
【0052】
また、基板50Aには、回路素子2,…の他、縁部近傍に雌型コネクタ60を実装する一方、基板50B,50Cには、回路素子3,4,…、回路素子5,6,…をそれぞれ実装している。
【0053】
雌型コネクタ60は、基板50A〜50Cの数に対応して前記延設方向に延び、かつ長さがそれぞれ異なる3本の雄端子61a〜61cを有するとともに、これら各雄端子61a〜61cの一端を共通に収容するハウジング62を有している。そして、雄端子61a〜61cは、その一端が端子長手方向(前記並設方向)において同じ位置に配置されるとともに、前記一端からハウジング62の底部62aを貫通してそれぞれ基板50A〜50Cに向かって延びており、前記平面方向における位置が底部62aによって所定位置に保持されている。
【0054】
このように、雄端子61a〜61cがハウジング62の底部62aによって所定位置に保持されることで、図4において二点鎖線で示す雄型コネクタ80をハウジング62の内部に差し込んだ時には、雄端子61a〜61c、雌端子81a〜81cを適切に対向させ、両者を確実に嵌合させることができるようになっている。両コネクタ60,80は、それぞれ対向する雄端子61a〜61cと雌端子81a〜81cとが嵌合することで、接続状態となる。
【0055】
また、雄端子61a〜61cは、雄端子61a〜61cの一端と反対側の他端を、対応する基板50A〜50Cにそれぞれ個別に接続している。
【0056】
そして、基板50A〜50C上には、それぞれ雄端子61a〜61cを接続した接続点と、回路素子2,…、回路素子3,4,…、回路素子5,6,…、とを接続する導体(図示省略)を設けている。これにより、雄型コネクタ80を雌型コネクタ60と接続した時には、1つの雄型コネクタ80を3枚の基板50A〜50Cに接続することができ、具体的には、雄型コネクタ80の雌端子81a〜81cを、対応する基板50Aの回路素子2,…、基板50Bの回路素子3,4,…、基板50Cの回路素子5,6,…にそれぞれ個別に接続することができるようになっている。
【0057】
また、本実施形態では、図4に示すように、基板50Aの縁部において、雌型コネクタ60と対応する位置に、平面方向内側へ凹む切欠き部51を形成している。雄端子61b,61cは、この切欠き部51を通過することにより、基板50Aを非接触状態で貫通している。
【0058】
そして、基板50Bの縁部には、雄端子61cと対応する位置に、平面方向内側へ凹む切欠き部52を形成している。雄端子61cは、この切欠き部52を通過することにより、基板50Bを非接触状態で貫通している。
【0059】
このように、本実施形態では、基板50Aにおいて、雄端子61b,61cを非接触状態で貫通させる切欠き部51、及び基板50Bにおいて、雄端子61cを非接触状態で貫通させる切欠き部52を形成したことで、各切欠き部51,52の設計、加工に際して高い精度を有していなくても、基板50Aと雄端子61b,61cとが接触すること、及び基板50Bと雄端子61cとが接触することを確実に回避でき、両者の接触に起因する雄端子61b,61cのずれを確実に防止できる。
【0060】
従って、本実施形態においても、上述した最初の実施形態と同様、接続構造のコスト低減を図りつつ、ハウジング62に収容された雄端子61b,61cの一端が所定の位置からずれることを確実に防止でき、雄型コネクタ80を、雌型コネクタ60を介して確実に基板50A〜50Cに接続することができる。
【0061】
また、本実施形態では、図4に示すように、基板50A〜50Cの縁部近傍において、3枚の基板50A〜50Cに跨るようにして前記延設方向に延びる保持部材70を設け、基板50A〜50Cを連結している。
【0062】
これにより、基板50A〜50Cの前記並設方向における相対位置を保持して前記所定間隔を保持するとともに、基板50A〜50C同士の前記平面方向における相対位置も保持できる。このため、両コネクタ60,80をより確実に接続することができる。
【0063】
なお、図3に示すように非接触貫通孔を形成する実施形態を、基板を前記並設方向に3枚並設した構造に適用してもよい。
また、上述した各実施形態では、基板を前記並設方向に2,3枚並設した場合について説明したが、4枚以上の基板を並設した構造に本発明を適用してもよい。
また、雌型コネクタの雄端子を棒状としているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、平板状であってもよい。
【0064】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、基板側コネクタは、雌型コネクタ20,60に対応し、
以下同様に、
外部端子は、雌端子41a,41b、81a〜81cに対応し、
外部コネクタは、雄型コネクタ40,80に対応し、
基板側端子は、雄端子21a,21b、61a〜61cに対応し、
接触回避部は、切欠き部11,51,52、及び非接触貫通孔12に対応し、
間隔保持手段及び平面方向位置保持手段は、保持部材30,70に対応し、
端子位置保持部は、底部22a,62aに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0065】
1A,1A′、1B,50A〜50C…基板
11,51,52…切欠き部
12…非接触貫通孔
20,60…雌型コネクタ
21a,21b,61a〜61c…雄端子
22,62…ハウジング
22a,62a…底部
30,70…保持部材
40,80…雄型コネクタ
41a,41b,81a〜81c…雌端子
11c,21c,31c…接続部
12,22,32…金属被覆層
40…樹脂被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を、該基板の平面方向と直交する並設方向に所定間隔を隔てて重ねるように並設するとともに、
前記複数の基板のいずれかに、複数の外部端子を有する外部コネクタと接続可能な基板側コネクタを実装しており、
該基板側コネクタは、前記外部端子と接続可能な複数の基板側端子と、
該複数の基板側端子の一端を共通に収容するハウジングとを有し、
前記複数の基板側端子は、それぞれ異なる長さを有して前記並設方向に延びるとともに、
前記一端と反対側の他端を、対応する前記基板にそれぞれ個別に接続しており、
前記基板には、他の基板と接続する前記基板側端子を非接触状態で貫通させる接触回避部を形成した
基板とコネクタとの接続構造。
【請求項2】
前記所定間隔を保持する間隔保持手段を備えた
請求項1に記載の基板とコネクタとの接続構造。
【請求項3】
前記複数の基板の前記平面方向における相対位置を保持する平面方向位置保持手段を備えた
請求項1または2に記載の基板とコネクタとの接続構造。
【請求項4】
前記複数の基板側端子の前記平面方向における相対位置を保持する端子位置保持部を前記ハウジングに設けた
請求項1から3のうちいずれかに記載の基板とコネクタとの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−204113(P2012−204113A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66929(P2011−66929)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】