説明

基板用コネクタ

【課題】基板に向けての端子の先端の出代寸法を精度よく管理できるようにした基板用コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタハウジング1と、後端側3bがコネクタハウジングの後壁2から突き出た後にL字形に曲がっており、曲がった後に基板に向けて延びる直線部3cの先端3dが基板に半田付けされる端子3と、端子の先端をX−Y平面上にて位置決めするアライメントプレート4とを備え、コネクタハウジングの後壁より外に突き出た端子の後端側を基板に向かうようにL字形に曲げる際に、直線部の先端が正規の出代寸法の位置Lよりも多く突き出るようにL字形に曲げると共に、曲がった後に基板に向けて延びる直線部の先端より手前の位置にストッパ3eを設け、アライメントプレートの端子挿通孔に直線部の先端を挿通させ、ストッパをアライメントプレートに弾性反発力Pにより押圧させて位置決めすることで、端子の先端の出代寸法を管理した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングの後方に延びるL字形に曲がった端子の先端を基板に半田付けする基板用コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板用コネクタの一例として、特許文献1に記載されたものが知られている。図2は特許文献1に記載された基板用コネクタで、図2(a)は斜視図、図2(b)は側断面図である。
【0003】
この基板用コネクタは、図2(a)、図2(b)に示すように、基板100の上面に底面11bを向けて固定されるコネクタハウジング11と、コネクタハウジング11の前後方向に沿って配設され、前端側13aがコネクタハウジング11の相手側コネクタ嵌合凹部11a内に突出し、後端側13bが、コネクタハウジング11の後壁12の圧入孔12aから直線状に外に突き出た後、基板100に向かうようにL字形に曲がっており、曲がった後に基板100に向けて延びる直線部13cの先端13dが基板100のスルーホール100aに半田付けされる端子13と、コネクタハウジング11の後部に延出する左右ブラケット壁16に係止手段18を介して固定され、基板100に向けて延びる端子13の直線部13cの先端13dが自身の端子挿通孔14aに挿通されることで、端子13の直線部13cの先端13dを基板100の上面に沿った平面上にて位置決めするアライメントプレート14と、を備えている。
【0004】
ここで、コネクタハウジング11の前後方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向とするとき、各端子13はX方向に延びるようにコネクタハウジング11に配設され、各端子13の後端側13bの直線部13cが基板100に向かってZ方向に延びている。そして、各端子13の直線部13cの先端13dが、アライメントプレート14の端子挿通孔14aをそれぞれ挿通することで、基板100の上面に平行な平面であるX−Y平面上において位置決めされている。
【0005】
この基板用コネクタを製作する場合は、まず、コネクタハウジング11の後壁12の圧入孔12aに各端子13を圧入し、圧入後に、コネクタハウジング11の後壁12から後方に突き出した各端子13の後端側13bを基板100に向かうようにL字形に曲げる。そして、曲がった後に基板100に向けて延びる直線部13cの先端13dをそれぞれアライメントプレート14の端子挿通孔14aに挿通させながら、アライメントプレート14をコネクタハウジング11の後部の左右ブラケット16に係止手段18を介して組み付ける。こうすることで、各端子13の直線部13cの先端13dを、基板100の上面に沿った平面上、つまりX−Y平面上において適正に位置決めすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−123120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の基板用コネクタにおいては、アライメントプレート14によって、端子13の直線部13cの先端13dをX−Y平面上において位置決めすることはできるが、Z方向の位置は管理していなかった。従って、たとえ組立時にZ方向の出代寸法を満足させていても、その後の基板100に半田付けを行うまでの間に、外力が加わったりして端子13が変形した場合に、出代寸法が適正範囲から外れてしまう可能性があった。その結果として、例えば、出代寸法が適正範囲より大きくなった場合は、基板100に半田付けした後に端子13の先端13dが基板100の下面側の他部品に接触する可能性が出てきたり、出代寸法が適正範囲より小さくなった場合は、基板100と端子13の先端13dの半田接合面の面積が確保できなくなり、半田接続部の信頼性に影響を与える可能性が出てきたりするおそれがあった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板に向けての端子の先端の出代寸法を精度よく管理できるようにした基板用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 基板の上面に底面を向けて固定されるコネクタハウジングと、
該コネクタハウジングの前後方向に沿って配設され、後端側が、該コネクタハウジングの後壁から直線状に外に突き出た後、前記基板に向かうようにL字形に曲がっており、曲がった後に前記基板に向けて延びる直線部の先端が前記基板に半田付けされる端子と、
前記コネクタハウジングの後部に固定され、前記基板に向けて延びる前記端子の直線部の先端が自身の端子挿通孔に挿通されることで、前記端子の直線部の先端を前記基板の上面に沿った平面上にて位置決めするアライメントプレートと、を備えた基板用コネクタにおいて、
前記コネクタハウジングの後壁より外に突き出た前記端子の後端側を前記基板に向かうようにL字形に曲げる際に、前記直線部の先端が正規の出代寸法の位置よりも多く突き出るようにL字形に曲げると共に、曲がった後に前記基板に向けて延びる前記直線部の先端より手前の位置に、前記アライメントプレートの端子挿入孔の周縁に突き当たるストッパを設け、該アライメントプレートの端子挿通孔に前記直線部の先端を挿通させ、前記ストッパをアライメントプレートの端子挿入孔の周縁に自身の弾性反発力により押圧させて位置決めすることを特徴とする基板用コネクタ。
【0010】
上記(1)の構成の基板用コネクタによれば、アライメントプレートの端子挿通孔に端子の後端側の直線部の先端を挿通させ、直線部の途中に設けたストッパをアライメントプレートの端子挿入孔の周縁に弾性反発力によって押圧させているので、端子の直線部の先端の出代寸法を精度よく管理することができる。つまり、ストッパがアライメントプレートに突き当たっているので、基板に向けての端子の先端の出代寸法が増えることはないし、また、ストッパがアライメントプレートに弾性反発力をもって押圧しているので、基板に向けての端子の先端の出代寸法が減ることもなく、出代寸法が適正公差内に精度よく管理される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板に向けての端子の先端の出代寸法を精度よく管理することができる。従って、例えば、基板に向けての端子の先端の出代寸法が適正範囲より大きくなることにより、基板に半田付けした後に端子の先端が基板の下面側の他部品に接触する可能性や、出代寸法が適正範囲より小さくなることにより、基板と端子の先端の半田接合面の面積が確保できなくなって、半田接続部の信頼性に影響を与える可能性などを排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の基板用コネクタの要部構成を示す側断面図であり、図1(a)はアライメントプレートをコネクタハウジングに組み付ける前の状態を示す図、図1(b)はアライメントプレートをコネクタハウジングに組み付けた後の状態を示す図である。
【図2】従来の基板用コネクタの構成図で、図2(a)は斜視図、図2(b)は側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態の基板用コネクタの要部構成を示す側断面図であり、図1(a)はアライメントプレートをコネクタハウジングに組み付ける前の状態を示す図、図1(b)はアライメントプレートをコネクタハウジングに組み付けた後の状態を示す図である。なお、図1(a)、図1(b)は要部構成のみを示しているが、図面に表れていない構成要素は図2(a)、図2(b)のものと類似であるので、必要に応じて図2(a)、図2(b)を流用して説明する。
【0014】
図1に示すように、この基板用コネクタは、基板(図1(a)、図1(b)では図示しないが、図2(a)、図2(b)の基板100と同様のもの)に固定されるコネクタハウジング1と、複数の端子3と、アライメントプレート4と、から構成されている。ここでは、図2(a)、図2(b)の場合と同様に、基板の上面に平行な平面内のコネクタハウジング11の前後方向をX方向、左右方向をY方向、基板に垂直なコネクタハウジング1の上下方向をZ方向とする。
【0015】
コネクタハウジング1は、基板の上面に底面1bを向けて固定されるもので、端子3は、コネクタハウジング11の前後方向(X方向)に沿って配設されている。端子3の前端側3aは、コネクタハウジング1の前側を向いた相手側コネクタ嵌合凹部1a内に突出している。また、端子3の後端側3bは、コネクタハウジング1の後壁2の圧入孔2aから直線状に外に突き出た後、基板に向かうようにL字形に曲がっており、曲がった後に基板に向けて延びる直線部3cの先端3dが、基板のスルーホールに通されて半田付けされるようになっている。
【0016】
また、アライメントプレート4は、コネクタハウジング1の後部に延出する左右ブラケット壁(図1(a)、図1(b)では図示しないが、図2(a)、図2(b)の左右ブラケット壁16と同様のもの)に係止手段(図1(a)、図1(b)では図示しないが、図2(a)、図2(b)の係止手段18と同様のもの)を介して一定位置に固定されるもので、基板に向けて延びる端子3の直線部3cの先端3dがそれぞれ挿通される複数の端子挿通孔4aを有している。端子3の直線部3cの先端3dをそれぞれアライメントプレート4の端子挿通孔4aに挿通させることで、端子3の直線部3cの先端3dを、基板の上面に沿った平面つまりX−Y平面上において位置決めすることができる。
【0017】
また、端子3は、コネクタハウジング1の後壁2より外に突き出た後端側3bが基板に向かうようにL字形に曲げられる際に、図1(a)に示すように、直線部3cの先端3dが正規の出代寸法の位置Lよりも多く突き出るようにL字形に曲げられている。また、曲がった後に基板に向けて延びる直線部3cの先端3dより手前の位置には、アライメントプレート4の端子挿入孔4aの周縁に突き当たるストッパ3eが設けられている。
【0018】
そして、図1(a)の矢印Sのようにアライメントプレート4を持ち上げて、アライメントプレート4の端子挿通孔4aに端子3の直線部3cの先端dを挿通させ、ストッパ3eを、図1(b)に示すように、アライメントプレート4の端子挿入孔4aの周縁に端子3の弾性反発力Pによって押圧させて位置決めすることにより、端子3の直線部3cの先端3dの基板に向けての出代寸法が管理されている。
【0019】
この基板用コネクタを製作する場合は、まず、コネクタハウジング1の後壁2の圧入孔2aに各端子3を圧入し、圧入後に、図1(a)に示すようにコネクタハウジング1の後壁2から後方に突き出した各端子3の後端側3bを基板に向かうようにL字形に曲げる。その際、直線部3cの先端3dが正規の出代寸法の位置Lよりも多く突き出るようにL字形に曲げる。次いで、アライメントプレート4の端子挿通孔4aに端子3の直線部3cの先端3dを挿通させながら、アライメントプレート4を矢印Sのように移動してコネクタハウジング1に組み付ける。
【0020】
組み付けるに従って、アライメントプレート4の端子挿通孔4aの周縁上面がストッパ3eに当たり、更に持ち上げてアライメントプレート4を適正位置に係止すると、ストッパ3eを介して端子13の後端側3bが弾性変形しながら押し戻されて、図1(b)に示すように、端子3の直線部3cの先端3dが正規の出代寸法の位置Lに保持される。このとき、端子3の弾性反発力Pにより、ストッパ3eはアライメントプレート4の端子挿入孔4aの周縁に押圧した状態で位置決めされる。それにより、端子3の直線部3cの先端3dの基板に向けての出代寸法(Z方向における端子3の先端3dの位置)が管理される。
【0021】
本実施形態の基板用コネクタによれば、アライメントプレート4の端子挿通孔4aに端子3の後端側3bの直線部3cの先端3dを挿通させ、直線部3cの途中に設けたストッパ3eをアライメントプレート4の端子挿入孔4aの周縁に弾性反発力Pによって押圧させているので、端子3の直線部3cの先端3dの出代寸法を精度よく管理することができる。
【0022】
つまり、ストッパ3eがアライメントプレート4に突き当たっているので、基板に向けての端子3の先端3dの出代寸法が増えることはないし、また、ストッパ3eがアライメントプレート4に弾性反発力Pをもって押圧しているので、基板に向けての端子3の先端3dの出代寸法が減ることもなく、出代寸法が適正公差内に精度よく管理される。従って、例えば、基板に向けての端子3の先端3dの出代寸法が適正範囲より大きくなることにより、基板に半田付けした後に端子3の先端3dが基板の下面側の他部品に接触する可能性や、出代寸法が適正範囲より小さくなることにより、基板と端子3の先端3dの半田接合面の面積が確保できなくなって、半田接続部の信頼性に影響を与える可能性などを排除することができる。
【0023】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0024】
1 コネクタハウジング
1b 底面
2 コネクタハウジングの後壁
3 端子
3b 後端側
3c 直線部
3d 先端
3e ストッパ
4 アライメントプレート
4a 端子挿通孔
100 基板
X コネクタハウジングの前後方向
Y コネクタハウジングの左右方向
Z コネクタハウジングの上下方向(基板に垂直な方向)
L 正規の出代寸法の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面に底面を向けて固定されるコネクタハウジングと、
該コネクタハウジングの前後方向に沿って配設され、後端側が、該コネクタハウジングの後壁から直線状に外に突き出た後、前記基板に向かうようにL字形に曲がっており、曲がった後に前記基板に向けて延びる直線部の先端が前記基板に半田付けされる端子と、
前記コネクタハウジングの後部に固定され、前記基板に向けて延びる前記端子の直線部の先端が自身の端子挿通孔に挿通されることで、前記端子の直線部の先端を前記基板の上面に沿った平面上にて位置決めするアライメントプレートと、を備えた基板用コネクタにおいて、
前記コネクタハウジングの後壁より外に突き出た前記端子の後端側を前記基板に向かうようにL字形に曲げる際に、前記直線部の先端が正規の出代寸法の位置よりも多く突き出るようにL字形に曲げると共に、曲がった後に前記基板に向けて延びる前記直線部の先端より手前の位置に、前記アライメントプレートの端子挿入孔の周縁に突き当たるストッパを設け、該アライメントプレートの端子挿通孔に前記直線部の先端を挿通させ、前記ストッパをアライメントプレートの端子挿入孔の周縁に自身の弾性反発力により押圧させて位置決めすることを特徴とする基板用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−89386(P2013−89386A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227293(P2011−227293)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】