説明

塗布具付き容器

【課題】塗布部にかかる負荷の増大を抑えつつ、残り少ない容器本体内の内容物を塗布部に保持させ易くする。
【解決手段】内容物が収容される有底筒状の容器本体11と、容器本体の口部11bに着脱自在に装着されるキャップ体13と、キャップ体に装着されるとともに容器本体の底部11d側に向けて延設されその先端に塗布部21が配設された棒状の塗布具14と、を備える塗布具付き容器1であって、塗布具は、キャップ体に、前記底部側に向けて前進移動可能に装着され、塗布具およびキャップ体には、キャップ体に対して後退端位置に位置する塗布具の容器軸方向に沿う両方向の移動を規制する第1規制手段13c、17a、20、26と、キャップ体に対して前進端位置に位置する塗布具の容器軸方向に沿う両方向の移動を規制する第2規制手段17b、19、25、26と、が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、該容器本体の口部に着脱自在に装着されるキャップ体と、該キャップ体に装着されるとともに容器本体の底部側に向けて延設されその先端に塗布部が配設された棒状の塗布具と、を備える塗布具付き容器が知られている。
この塗布具付き容器においては、まず、キャップ体を塗布具とともに容器本体から離脱し、内容物中に埋没していた塗布具の塗布部を容器本体内から引き出し、その後、この塗布部に例えば含浸若しくは付着等して保持されている内容物を被塗布部に塗布するようにして用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−1411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の塗布具付き容器では、容器本体内の内容物が残り少なくなったときに、内容物を塗布部に保持させ難くなり、容器本体内の内容物を使い切ることが困難であるという問題があった。
なお、このような問題を解決するための手段として、例えば、塗布具の容器軸方向の大きさを大きくし、塗布部を容器本体の底部に当接若しくは圧接させることが考えられる。
しかしながらこの場合、キャップ体を容器本体に着脱するたびに、塗布部が容器本体の底部に当接若しくは圧接するため、この塗布部にかかる負荷が大きく該塗布部が損傷し易くなるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、塗布部にかかる負荷の増大を抑えつつ、残り少ない容器本体内の内容物を塗布部に保持させ易くすることができる塗布具付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の塗布具付き容器は、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、該容器本体の口部に着脱自在に装着されるキャップ体と、該キャップ体に装着されるとともに前記容器本体の底部側に向けて延設されその先端に塗布部が配設された棒状の塗布具と、を備える塗布具付き容器であって、前記塗布具は、前記キャップ体に、前記容器本体の底部側に向けて前進移動可能に装着され、前記塗布具およびキャップ体には、該キャップ体に対して後退端位置に位置する前記塗布具の容器軸方向に沿う両方向の移動を規制する第1規制手段と、前記キャップ体に対して前進端位置に位置する前記塗布具の容器軸方向に沿う両方向の移動を規制する第2規制手段と、が配設されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、塗布具が、キャップ体に前進移動可能に装着されているので、容器本体内の内容物が残り少なくなったときに、塗布具をキャップ体に対して容器本体の底部側に向けて前進移動させることにより、塗布部を容器本体の底部に当接させ容器本体内の内容物に届かせる、または塗布部を容器本体の底部に圧接させて弾性変形させることで塗布部を底部に広範囲にわたって当接させることが可能になる。
また、塗布具およびキャップ体に前記第2規制手段が配設されているので、塗布具をキャップ体に対して前進端位置に位置させた状態で、塗布具のキャップ体に対する容器軸方向に沿う両方向の移動が規制され、該塗布具の容器軸方向の位置を安定させることが可能になる。
以上より、残り少ない容器本体内の内容物を塗布部に保持させ易くすることが可能になるとともに、この塗布部から内容物を被塗布部に容易に塗布することができる。
さらに、塗布具およびキャップ体に前記第1規制手段が配設されているので、容器本体内に十分な量の内容物が収容されているときには、塗布具をキャップ体に対して後退端位置に位置させ、塗布部を容器本体の底部に当接若しくは圧接させないままにしておくことが可能になる。
これにより、容器本体内に十分な量の内容物が収容されているときには、塗布部を容器本体の底部に当接若しくは圧接させず、容器本体内の内容物が残り少なくなったときに初めて、塗布具をキャップ体に対して前進移動させ容器本体の底部に当接若しくは圧接させることが可能になり、例えば、キャップ体を容器本体に着脱するたびに塗布部を容器本体の底部に当接若しくは圧接させる構成と比べて、塗布部にかかる負荷を抑えることができる。
【0008】
ここで、前記塗布部は軟材質により弾性変形可能に形成され、前記塗布具が前記キャップ体に対して前進端位置に位置したときに、前記塗布部が前記容器本体の底部に折り曲げられて弾性変形させられた状態で圧接してもよい。
【0009】
この場合、塗布具がキャップ体に対して前進端位置に位置したときに、塗布部が容器本体の底部に折り曲げられて弾性変形させられた状態で圧接するので、塗布部に、残り少ない容器本体内の内容物を確実に保持させることができる。
さらにこの塗布部が、軟材質により弾性変形可能に形成されているので、キャップ体に対して前進端位置に位置する塗布具の塗布部と、容器本体の底部と、の間に生ずる力を抑えることが可能になり、塗布部にかかる負荷を確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、塗布部にかかる負荷の増大を抑えつつ、残り少ない容器本体内の内容物を塗布部に保持させ易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した塗布具付き容器の半縦断面図である。
【図2】図1に示す塗布具付き容器において、容器本体から分離された塗布具およびキャップ体の半縦断面図である。
【図3】図1および図2に示す塗布具付き容器において、塗布具をキャップ体に対して前進端位置に位置させた状態を示す半縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る塗布具付き容器1は、図1、図2および図3に示されるように、内容物が収容される有底筒状の容器本体11と、該容器本体11の口部11bに着脱自在に装着されるキャップ体13と、該キャップ体13に装着された棒状の塗布具14と、を備えている。
ここで、キャップ体13は有頂筒状に形成されており、このキャップ体13、容器本体11および塗布具14は、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させて配設されている。
以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿ってキャップ体13の頂壁部13a側を上側、容器本体11の底部11d側を下側といい、また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0013】
容器本体11は、筒状の胴部11aと、胴部11aより小径に形成されるとともに該胴部11aの上方に位置する口部11bと、胴部11aの上端と口部11bの下端とを連結する環状の段部11cと、胴部11aの下端開口を閉塞する板状の底部11dと、を備え、これら11a〜11dが容器軸Oと同軸に配置されている。なお本実施形態では、容器本体11の横断面視形状は円形状となっている。
【0014】
口部11bには、キャップ体13の内周面に径方向の内方に向けて突設された被係合突部13bが着脱自在に係合される係合部11eが配設されている。
係合部11eは、周方向の一方側から他方側に向かうに従い漸次下方に向けて延びる傾斜突条と、該傾斜突条における周方向の他方側の端部から下方に向けて延びる主縦突条と、前記傾斜突条における周方向の中間部分から下方に向けて延在し、かつキャップ体13の被係合突部13bが周方向に乗り越え可能な副縦突条と、を備えている。
なお、キャップ体13が口部11bに着脱自在に装着できれば、例えば螺合、若しくはアンダーカット嵌合等、種々の手段を採用することができる。
【0015】
胴部11aにはその全域にわたって遮光性を有する膜体が配設されている。この膜体は、例えば蒸着等により胴部11aに形成してもよいし、フィルム材を胴部11aに貼着してもよい。底部11dには、遮光性を有する膜体が配設されておらず、底部11dを通して容器本体11の外部から内部を視認可能となっている。
【0016】
容器本体11内には、しごき筒部材12が配設されている。
しごき筒部材12は、口部11b内に嵌合されて固定された嵌合筒部12aと、嵌合筒部12aの容器軸O方向の中間部から径方向の内側に向けて突設されたしごき突片12bと、を備えている。しごき筒部材12は、例えばニトリルゴム(NBR)、低密度ポリエチレン(LDPE)、若しくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の弾性変形可能な軟材質で形成されている。
【0017】
嵌合筒部12aは、口部11bよりも容器軸O方向の大きさが大きく、上端部が容器本体11の口部11bよりも上方に位置し、かつ下端部が容器本体11の口部11bよりも下方に位置するように配設されている。嵌合筒部12aの上端部には、容器本体11の口部11bの上端開口縁上に配置されるフランジ状のシール部12cが径方向の外側に向けて突設されている。嵌合筒部12aの下端部には、容器本体11における口部11bと段部11cとの連結部分に、該連結部分の下方から近接若しくは当接する被係止部12dが径方向の外側に向けて全周にわたって突設されている。なお、被係止部12dは、全周にわたって連続して、あるいは間欠状態で延在している。また、被係止部12dが、容器本体11の前記連結部分に該連結部分の下方から当接することにより、しごき筒部材12が容器本体11から上方に抜けることが規制される。
【0018】
しごき突片12bは、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次下方に向けて延びる筒状に形成されている。しごき突片12bの厚さは、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次薄くなっている。しごき突片12bの先端部は、塗布具14の外周面に近接若しくは当接している。なお、しごき突片12bの先端部は、嵌合筒部12aの下端部よりも上方に位置している。
【0019】
キャップ体13の頂壁部13aには、柱状のストッパ突部13cが下方に向けて延設されている。ストッパ突部13cは容器軸Oと同軸に配設されている。
キャップ体13内には、内筒15と、内筒15に装着されたシール筒16と、が配設されている。
内筒15は、キャップ体13の周壁部13d内に嵌合される被嵌合筒17と、被嵌合筒17より小径に形成されるとともに塗布具14の後述する本体部20の上側部分が下方に向けて前進移動可能に嵌合されシール筒16が装着される被装着筒18と、これらの両筒17、18同士を連結する環状の連結板19と、を備えている。
【0020】
被嵌合筒17は、キャップ体13の周壁部13dにおける上側部分内に嵌合されて固定されている。なお、周壁部13dのうち、前記上側部分よりも下方に位置する下端部に前記被係合突部13bが配設されている。被嵌合筒17の内周面には、容器軸O方向に間隔をあけて2つの係合突部17a、17bが径方向の内方に向けて全周にわたって突設されている。なお、各係合突起17a、17bは、全周にわたって連続して延在している。また、各係合突起17a、17bは互いに同形同大となっている。
被装着筒18は、被嵌合筒17よりも容器軸O方向の大きさが小さくなっている。被装着筒18は、しごき筒部材12の嵌合筒部12aの径方向の内側に位置している。被装着筒18の上端および被嵌合筒17の下端それぞれの容器軸O方向の位置は互いに同等になっている。
連結板19は、これらの被装着筒18の上端および被嵌合筒17の下端を互いに連結していて、径方向および周方向の双方向に沿って延在している。この連結板19は、しごき筒部材12のシール部12cを介して容器本体11の口部11bの上端開口縁上に配置されている。
【0021】
シール筒16は、内筒15の被装着筒18に外嵌されている。図示の例では、シール筒16のうち、上部が被装着筒18に外嵌され、これより下方に位置する下部がしごき筒部材12におけるしごき突片12bの径方向の内側に位置している。シール筒16の下部の外径は、この外周面がしごき突片12bの内周面に沿うように、上方から下方に向かうに従い漸次縮径されている。シール筒16の下端は、しごき突片12bの下端よりわずかに上方に位置している。シール筒16内に、塗布具14の後述する本体部20の上側部分が前進摺動可能に嵌合されている。シール筒16は、塗布具14の本体部20との間を通した容器本体11内と内筒15内との連通を遮断している。
【0022】
塗布具14は、容器軸O方向に沿って延設された棒状の本体部20と、本体部20の下端部に配設された塗布部21と、本体部20の上端部に配設された基筒部22と、を備えている。
【0023】
本体部20の上端は、キャップ体13のストッパ突部13cの下端に該突部13cの下方から近接若しくは当接している。本体部20は、上側部分がキャップ体13内に位置し、下側部分がキャップ体13内から下方に突出するように配設されている。本体部20の下側部分は、上側部分よりも外径が大きくなっている。この本体部20における上側部分と下側部分との接続部分に、該接続部分の上方からシール筒16の下端が近接若しくは当接している。
【0024】
塗布部21の下端は、容器本体11の底部11dよりも上方に位置し、塗布部21の下端と、容器本体11の底部11dと、の間に容器軸O方向の隙間が設けられている。この塗布部21としては、例えばヘラ(匙)体、筆体、ブラシ体若しくはスポンジ体等が挙げられる。図示の例では、塗布部21は、前述の軟材質で弾性変形可能に形成されるとともに、上方から下方に向かうに従い漸次幅が狭くなるヘラ体となっている。なお、塗布部21は本体部20と別体となっている。塗布部21の表面に、例えばフロッキー加工等を施して植毛してもよい。
【0025】
基筒部22は、本体部20の上端部に外嵌されて固定された外嵌筒23と、外嵌筒23より大径に形成されるとともに、内筒15の被嵌合筒17内に下方に向けて前進移動可能に嵌合された摺動筒24と、これらの両筒23、24を互いに連結する環状のストッパ板25と、を備えている。なお、外嵌筒23を、周方向に分割した複数の側壁からなる筒状に形成することで、本体部20に容易に装着できるようにしてもよい。
【0026】
外嵌筒23は、摺動筒24よりも容器軸O方向の大きさが小さくなっている。外嵌筒23および摺動筒24の各下端の容器軸O方向に沿う位置は、互いに同等となっている。
ストッパ板25は、外嵌筒23および摺動筒24それぞれの下端同士を連結していて、径方向および周方向の双方向に沿って延在している。ストッパ板25は、内筒15の連結板19よりも上方に位置していて、両板25、19間に容器軸O方向の隙間が設けられている。この隙間の大きさは、塗布部21の下端と、容器本体11の底部11dと、の間の容器軸O方向の隙間より大きくなっている。
【0027】
摺動筒24の上端部には、内筒15の被嵌合筒17に形成された2つの係合突部17a、17bのうち、上方に位置する上側係合突部17aに、該突部17aの上方から係合する被係合部26が径方向の外側に向けて突設されている。被係合部26は、上側係合突部17aを上方から下方に乗り越え可能に配設されている。被係合部26は、全周にわたって連続して延在している。被係合部26は、容器軸O方向に沿って延在し、内筒15の被嵌合筒17の内周面を上下摺動する摺動面26aと、摺動面26aの上端から上方に向かうに従い漸次径方向の内側に向けて延びる上向き面26bと、摺動面26aの下端から下方に向かうに従い漸次径方向の内側に向けて延びる下向き面26cと、を備えている。摺動面26a、上向き面26b、および下向き面26cは、摺動筒24が2つの係合突部17a、17bに対して乗り越え可能に係止される角度や大きさ等で形成されている。
【0028】
以上より、塗布具14が、キャップ体13に、下方に向けて前進移動可能で、かつ塗布部21と容器本体11の底部11dとの間に容器軸O方向の隙間をあけた状態で装着されている。
また、塗布具14の本体部20の上端と、キャップ体13のストッパ突部13cの下端と、が互いに当接することにより、塗布具14のキャップ体13に対する上方に向けた移動が規制され、本体部20に固定された摺動筒24の被係合部26の下向き面26cが、内筒15の上側係合突部17aに該突部17aの上方から係合することにより、塗布具14のキャップ体13に対する下方に向けた移動が規制される。
すなわち、塗布具14の本体部20、キャップ体13のストッパ突部13c、摺動筒24の被係合部26、および内筒15の上側係合突部17aが、キャップ体13に対して後退端位置に位置する塗布具14の容器軸O方向に沿う両方向の移動を規制する第1規制手段を構成している。
【0029】
そして、キャップ体13を容器本体11に対して周方向の一方側に向けて回転させ、キャップ体13の被係合突部13bを、容器本体11の口部11bの副縦突条を周方向の一方側に乗り越えさせて、キャップ体13を、塗布具14、内筒15、およびシール筒16とともに引き上げると、本体部20の下側部分が、しごき筒部材12のしごき突片12bにしごかれ、本体部20の下側部分の外周面に付着していた余分な内容物がしごき落とされながら、内容物中に埋没していた塗布部21が容器本体11内から引き出され、内容物が保持されている塗布部21が容器本体11の外側に露出され、この塗布部21から被塗布部に内容物を塗布する。
【0030】
その後、容器本体11内の内容物の残量が少なくなったときに、前述と同様にキャップ体13および塗布具14を容器本体11から離脱した状態で、塗布具14の本体部20を、基筒部22のストッパ板25と、内筒15の連結板19と、が互いに当接するまで、キャップ体13に対して下方に向けて引き出す。
この際、基筒部22の摺動筒24が、内筒15の被嵌合筒17の内周面上を下方に向けて摺動し、かつ塗布具14の本体部20の上側部分が、シール筒16の下部の内周面上を下方に向けて摺動することで、塗布具14が、キャップ体13、内筒15およびシール筒16に対して下方に向けて前進移動する。
さらにこの際、図3に示されるように、摺動筒24の被係合部26が、内筒15の被嵌合筒17に形成された2つの係合突部17a、17bを双方ともに下方に乗り越え、これら2つの係合突部17a、17bのうち下側に位置する下側係合突部17bに、被係合部26の上向き面26bが下側係合突部17bの下方から近接若しくは当接する。
【0031】
以上より、基筒部22のストッパ板25と、内筒15の連結板19と、が互いに当接することにより、塗布具14のキャップ体13に対する下方に向けた移動が規制され、本体部20に固定された摺動筒24の被係合部26の上向き面26bが、内筒15の下側係合突部17bに該下側係合突部17bの下方から係合することにより、塗布具14のキャップ体13に対する上方に向けた移動が規制される。
すなわち、基筒部22のストッパ板25、内筒15の連結板19、摺動筒24の被係合部26、および内筒15の下側係合突部17bが、キャップ体13に対して前進端位置に位置する塗布具14の容器軸O方向に沿う両方向の移動を規制する第2規制手段を構成している。
このように塗布具14を、キャップ体13に対して前進端位置に位置させた状態で、キャップ体13の被係合突部13bを容器本体11における口部11bの係合部11eに係合させ、キャップ体13を容器本体11に装着すると、塗布部21が容器本体11の底部11dに折り曲げられて弾性変形させられた状態で圧接する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態による塗布具付き容器1によれば、塗布具14が、キャップ体13に前進移動可能に装着されているので、容器本体11内の内容物が残り少なくなったときに、塗布具14をキャップ体13に対して下方に向けて前進移動させることにより、塗布部21を容器本体11の底部11dに当接させ容器本体11内の内容物に届かせる、または塗布部21を容器本体11の底部11dに圧接させて弾性変形させることで塗布部21を底部11dに広範囲にわたって当接させることが可能になる。
また、塗布具14およびキャップ体13に、前述の第2規制手段17b、19、25、26が配設されているので、塗布具14をキャップ体13に対して前進端位置に位置させた状態で、塗布具14のキャップ体13に対する容器軸O方向に沿う両方向の移動が規制され、該塗布具14の容器軸O方向の位置を安定させることが可能になる。
以上より、残り少ない容器本体11内の内容物を塗布部21に保持させ易くすることが可能になるとともに、この塗布部21から内容物を被塗布部に容易に塗布することができる。
【0033】
さらに、塗布具14およびキャップ体13に前述の第1規制手段13c、17a、20、26が配設されているので、容器本体11内に十分な量の内容物が収容されているときには、塗布具14をキャップ体13に対して後退端位置に位置させ、塗布部21を容器本体11の底部11dに当接若しくは圧接させないままにしておくことが可能になる。
これにより、容器本体11内に十分な量の内容物が収容されているときには、塗布部21を容器本体11の底部11dに当接若しくは圧接させず、容器本体11内の内容物が残り少なくなったときに初めて、塗布具14をキャップ体13に対して前進移動させ容器本体11の底部11dに当接若しくは圧接させることが可能になり、例えば、キャップ体13を容器本体11に着脱するたびに塗布部21を容器本体11の底部11dに当接若しくは圧接させる構成と比べて、塗布部21にかかる負荷を抑えることができる。
【0034】
また、塗布具14がキャップ体13に対して前進端位置に位置したときに、塗布部21が容器本体11の底部11dに折り曲げられて弾性変形させられた状態で圧接するので、塗布部21に、残り少ない容器本体11内の内容物を確実に保持させることができる。
さらにこの塗布部21が、軟材質により弾性変形可能に形成されているので、キャップ体13に対して前進端位置に位置する塗布具14の塗布部21と、容器本体11の底部11dと、の間に生ずる力を抑えることが可能になり、塗布部21にかかる負荷を確実に抑制することができる。
【0035】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0036】
例えば前記実施形態では、胴部11aに遮光性を有する膜体を配設したが、配設しなくてもよく、また底部11dにこの膜体を配設してもよい。
さらに、内筒15およびシール筒16はキャップ体13と一体に形成してもよい。
また、塗布部21の下端と、容器本体11の底部11dと、の間に容器軸O方向の隙間を設けず、両者を互いに当接させてもよい。
さらに、塗布部21および基筒部22は本体部20と一体に形成してもよい。
また、基筒部22のストッパ板25と、内筒15の連結板19と、の間の容器軸O方向の隙間を、塗布部21の下端と、容器本体11の底部11dと、の間の容器軸O方向の隙間と同等にしてもよい。
さらに、第1規制手段13c、17a、20、26、および第2規制手段17b、19、25、26の形態は前記実施形態に限らず適宜変更してもよい。
【0037】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
塗布部にかかる負荷の増大を抑えつつ、残り少ない容器本体内の内容物を塗布部に保持させ易くすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 塗布具付き容器
11 容器本体
11b 口部
11d 底部
13 キャップ体
13c ストッパ突部(第1規制手段)
14 塗布具
17a 上側係合突部(第1規制手段)
17b 下側係合突部(第2規制手段)
19 連結板(第2規制手段)
20 本体部(第1規制手段)
21 塗布部
25 ストッパ板(第2規制手段)
26 被係合部(第1規制手段、第2規制手段)
O 容器軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される有底筒状の容器本体と、
該容器本体の口部に着脱自在に装着されるキャップ体と、
該キャップ体に装着されるとともに前記容器本体の底部側に向けて延設されその先端に塗布部が配設された棒状の塗布具と、
を備える塗布具付き容器であって、
前記塗布具は、前記キャップ体に、前記容器本体の底部側に向けて前進移動可能に装着され、
前記塗布具およびキャップ体には、
該キャップ体に対して後退端位置に位置する前記塗布具の容器軸方向に沿う両方向の移動を規制する第1規制手段と、
前記キャップ体に対して前進端位置に位置する前記塗布具の容器軸方向に沿う両方向の移動を規制する第2規制手段と、
が配設されていることを特徴とする塗布具付き容器。
【請求項2】
請求項1記載の塗布具付き容器であって、
前記塗布部は軟材質により弾性変形可能に形成され、
前記塗布具が前記キャップ体に対して前進端位置に位置したときに、前記塗布部が前記容器本体の底部に折り曲げられて弾性変形させられた状態で圧接することを特徴とする塗布具付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−205679(P2012−205679A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72325(P2011−72325)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)