説明

塗布具付き容器

【課題】容器本体内の内容物が減少しても塗布部に内容物を保持させ易くして残量を低減する。
【解決手段】キャップ体14は、口部12を径方向の外側から囲繞する装着筒部13と、装着筒部から容器軸O方向に沿って底部15側の反対側に向けて延設されると共に塗布具17が装着された基筒部31と、基筒部に容器軸回りに回転自在に外嵌されるとともに、基筒部に対する回転に伴って塗布具を容器軸方向に進退させる回転筒部32と、回転筒部及び装着筒部に、容器軸方向に跨って一体に、かつ容器軸方向に移動自在に装着された規制部33と、を備え、規制部には、装着筒部に形成された第1係合部、及び回転筒部に形成された第2係合部に容器軸回りに沿う周方向に係合することにより、基筒部に対する回転筒部の回転を規制する第3係合部が形成され、第3係合部は、規制部を底部側の反対側に移動させたときに、第1係合部との係合が解除されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示すような塗布具付き容器が知られているが、この種の塗布具付容器として一般に、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、該容器本体の口部に着脱自在に装着されるキャップ体と、該キャップ体に装着されるとともに該キャップ体から容器本体の底部側に向けて突出し、先端に塗布部が配設された塗布具と、を備える構成が知られている。前記塗布部の少なくとも一部は、容器本体内の内容物内に埋没しており、塗布部は、例えば含浸または付着などにより内容物を保持している。
前記塗布具付き容器を使用するときには、まず、キャップ体を塗布具とともに容器本体から離脱させる。すると塗布部が、内容物を保持した状態で容器本体内から引き出されることとなり、その後、塗布部に保持された内容物を被塗布部に塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−1411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の塗布具付き容器では、容器本体内の内容物が減少すると、容器本体にキャップ体を装着させた状態で、例えば塗布部が埋没されなくなる等し、塗布部が内容物を保持し難くなるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、容器本体内の内容物が減少しても塗布部に内容物を保持させ易くして残量を減少させ易くすることができる塗布具付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る塗布具付き容器は、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、該容器本体の口部に着脱自在に装着されるキャップ体と、該キャップ体に装着されるとともに該キャップ体から容器本体の底部側に向けて突出し、先端に塗布部が配設された塗布具と、を備える塗布具付き容器であって、前記キャップ体は、前記口部を径方向の外側から囲繞する装着筒部と、該装着筒部から容器軸方向に沿って前記底部側の反対側に向けて延設されるとともに前記塗布具が装着された基筒部と、該基筒部に容器軸回りに回転自在に外嵌されるとともに、前記基筒部に対する回転に伴って前記塗布具を容器軸方向に進退させる回転筒部と、該回転筒部および前記装着筒部に、容器軸方向に跨って一体に、かつ容器軸方向に移動自在に装着された規制部と、を備え、該規制部には、前記装着筒部に形成された第1係合部、および前記回転筒部に形成された第2係合部に容器軸回りに沿う周方向に係合することにより、前記基筒部に対する前記回転筒部の回転を規制する第3係合部が形成され、前記第3係合部は、前記規制部を前記反対側に移動させたときに、前記第1係合部との係合が解除されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、内容物を塗布する際には、基筒部に対する回転筒部の回転を規制した状態で、キャップ体を容器本体の口部から離脱させた後、塗布部に保持された内容物を被塗布部に塗布する。
そして、容器本体内の内容物が減少したときには、キャップ体の規制部を前記反対側に移動させ、第1係合部と第3係合部との係合を解除する。これにより、基筒部に対する回転筒部の回転の規制が解除される。その後、回転筒部を基筒部に対して回転させて塗布具を容器軸方向に前進させ、塗布具のキャップ体からの突出量を増やす。
その後、規制部を前記底部側に移動させ、第1係合部と第3係合部とを係合させる。これにより、基筒部に対する回転筒部の回転を規制し、塗布具の容器軸方向の位置を固定する。
【0008】
以上のように、当該塗布具付き容器によれば、容器本体内の内容物が減少したときに、塗布具のキャップ体からの突出量を増やすことができる。
したがって、容器本体内の内容物が減少することにより、塗布部が容器本体内の内容物に埋没しなくなった場合には、塗布部を内容物内に改めて進入させることができる。また、塗布部の内容物内の埋没量が小さくなった場合には、その埋没量を大きくすることができる。さらに、容器本体内の底部上に内容物が僅かに残留している場合には、底部上に塗布部を当接または圧接させて内容物を塗布部に保持させることができる。
以上により、容器本体内の内容物が減少しても塗布部に内容物を保持させ易くすることが可能になり、残量を減少させ易くすることができる。
【0009】
また、当該塗布具付き容器を開封した後に、キャップ体からの塗布具の突出量を増やすことができるので、当該塗布具付き容器の未開封状態では、塗布部を容器本体の底部から離間させておき、開封後、塗布部を容器本体の底部に当接させたり圧接させたりすることができる。このように、未開封状態で、塗布部を容器本体の底部から離間させておくことにより、容器本体の底部から塗布部に負荷がかかるのを抑えることが可能になり、塗布部の耐久性を確保し易くすることができる。
【0010】
また、前記規制部は、前記回転筒部および前記装着筒部に一体に外嵌された筒状に形成され、前記第1係合部は、前記装着筒部の外周面に周方向に複数形成され、前記第3係合部は、前記規制部の内周面に周方向に複数形成されていてもよい。
【0011】
この場合、第1係合部および第3係合部がそれぞれ、周方向に複数形成されているので、周方向の複数箇所において第1係合部と第3係合部とを係合させることが可能になり、基筒部に対する回転筒部の回転を確実に規制することができる。
【0012】
また、容器軸方向に沿って見た平面視において、前記装着筒部の外周面は、多数の凸角部を有する正多角形状に形成され、前記第1係合部は、前記凸角部により構成されていてもよい。
【0013】
この場合、第1係合部が、前記凸角部により構成されているので、装着筒部の外周面において、容器軸回りに一定間隔おきに第1係合部が配置されることとなる。したがって、規制部を前記反対側に移動させて前記回転の規制を解除した後、回転筒部を、基筒部に対して容器軸回りに前記一定間隔、回転させ、その後、規制部を前記底部側に移動させて前記回転の規制を再度、行うことができる。
したがって、装着筒部の外周面の平面視形状を、前記一定間隔が十分に短くなるような正多角形状に形成することにより、基筒部に対する回転筒部の微小な回転ごとに規制を行うことが可能になり、塗布具の突出量を高精度に調整することができる。
【0014】
また、前記塗布具には、前記基筒部に形成された径方向に貫通する内孔、および前記回転筒部に形成された径方向の内側に向けて開口する外孔に一体に挿通された装着突起が設けられ、前記内孔および前記外孔のうちのいずれか一方は、容器軸回りに沿う周方向に螺旋をなすように延在し、他方は容器軸方向に延在していてもよい。
【0015】
この場合、基筒部に対して回転筒部を回転させると、内孔および外孔の内面が装着突起に当接し、装着突起が内孔および外孔に沿ってガイドされることとなる。これにより、基筒部に対する回転筒部の回転に伴って塗布具を円滑に進退させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る塗布具付き容器によれば、容器本体内の内容物が減少しても塗布部に内容物を保持させ易くして残量を減少させ易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る塗布具付き容器の縦断面図である。
【図2】図1に示す塗布具付き容器の要部の正面図である。
【図3】図1に示す塗布具付き容器の平面図である。
【図4】図4に示す平面図の部分拡大図である。
【図5】図1に示す塗布具付き容器の作用を説明する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る塗布具付き容器を説明する。
図1に示すように、塗布具付き容器10は、内容物が収容される有底筒状の容器本体11と、該容器本体11の口部12に着脱自在に装着されるキャップ体14と、該キャップ体14に装着されるとともに該キャップ体14から下側(容器本体の底部側)に向けて突出し、先端に塗布部16が配設された塗布具17と、を備えている。
【0019】
なお前記内容物としては、例えば液状体や粉状体などを採用することが可能である。
また、容器本体11およびキャップ体14の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿ってキャップ体14側を上側といい、容器本体11の底部15側を下側といい、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0020】
容器本体11は、前記口部12および前記底部15と、口部12よりも大径とされ下端開口が底部15により閉塞された胴部18と、口部12の下端と胴部18の上端とを連結する肩部19と、を備えている。
容器本体11の外面には、例えば蒸着などにより遮光膜20が形成されている。遮光膜20は、前記胴部18の外周面に全面にわたって形成されている一方で、前記底部15には形成されておらず、容器本体11の内部は底部15を通して視認可能となっている。
【0021】
図2に示すように、容器本体11の口部12の外周面には、後述する装着筒部13の爪部34が配置される配置凹部21が、周方向に複数、間隔をあけて設けられている。配置凹部21は、前記口部12の外周面上に形成された凹部画成部22と、前記肩部19と、の間に画成されている。凹部画成部22は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0022】
凹部画成部22は、容器軸O方向に沿って延設されるとともに下端が前記肩部19に連結された第1突条部23と、第1突条部23の上端から周方向に延在する第2突条部24と、第2突条部24における周方向の中間部から下方に向けて延設され下端が前記肩部19に連結された第3突条部25と、を備えている。これらの第1突条部23、第2突条部24および第3突条部25と、肩部19と、の間に画成される空間が、前記配置凹部21となっている。
【0023】
なお、全ての凹部画成部22における各第2突条部24は、各第1突条部23から周方向のうちの同一方向に向けて螺旋をなすように延設されている。
また、第3突条部25における前記口部12の外周面からの突出量は、第1突条部23における前記口部12の外周面からの突出量よりも小さくなっている。
【0024】
図1に示すように、容器本体11の口部12内には、塗布具17に付着した余分な内容物をしごき落とすしごき部材26が配設されている。しごき部材26は、前記口部12内に嵌合された嵌合筒部27と、嵌合筒部27から径方向の内側に向けて突設されたしごき片28と、を備えている。これらの嵌合筒部27およびしごき片28は、一体に形成されるとともに、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0025】
嵌合筒部27の上端には、径方向の外側に向けて突出する外フランジ部29が設けられており、この外フランジ部29は、前記口部12の開口端縁上に配置されている。また嵌合筒部27の下端には、径方向の外側に向けて突出し、口部12の下端に当接もしくは近接する規制凸部30が形成されている。
しごき片28は、周方向の全周にわたって延在するとともに、径方向の内側に向かうに従い漸次、下方に向けて延在している。
【0026】
キャップ体14は、容器本体11の口部12を径方向の外側から囲繞する装着筒部13と、装着筒部13から容器軸O方向に沿って上側(底部側の反対側)に向けて延設されるとともに塗布具17が装着された基筒部31と、基筒部31に容器軸O回りに回転自在に外嵌されるとともに、基筒部31に対する回転に伴って塗布具17を容器軸O方向に進退させる回転筒部32と、該回転筒部32および装着筒部13に、容器軸O方向に跨って一体に、かつ容器軸O方向に移動自在に装着された規制部33と、を備えている。装着筒部13、基筒部31および回転筒部32は、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0027】
装着筒部13は、容器本体11の口部12の外周面に着脱自在に装着されている。
装着筒部13の下端には、径方向の内側に向けて突出する爪部34が設けられている。爪部34は、容器本体11の口部12における前記配置凹部21と対応して、周方向に複数、間隔をあけて配設されており、各爪部34は、当該爪部34に対応する配置凹部21内に各別に配置されている。
【0028】
また図3に示すように、容器軸O方向に沿って見た平面視において、装着筒部13の外周面13aは、多数の凸角部(第1係合部)13bを有する正多角形状に形成されている。本実施形態では、装着筒部13の外周面13aの平面視形状と、回転筒部32の外周面32aの平面視形状と、は同形同大とされ、図示の例では、いずれも正八角形状に形成されている。
【0029】
図1に示すように、基筒部31は、装着筒部13と一体に形成されるとともに、装着筒部13よりも小径に形成されている。基筒部31の下端には、径方向の内側に向けて突出する内フランジ部36が設けられている。内フランジ部36の内径は、後述する塗布具17の棒部43の上側部分43bの外径よりも大きくなっている。
【0030】
基筒部31の下端部の外周面には、周方向の全周にわたって延在する周条部37が形成されている。また、基筒部31において下端部よりも上側に位置する孔形成部分の外径は、下端部の外径よりも小さくなっている。前記孔形成部分には、径方向に貫通する内孔38が形成されている。内孔38は、容器軸Oを間に挟むように前記孔形成部分に一対、配設されており、これらの内孔38は、互いに同形同大となっている。図示の例では、内孔38は、周方向に螺旋をなすように延在している。
【0031】
回転筒部32の容器軸O方向に沿った大きさは、基筒部31の容器軸O方向に沿った大きさと同等とされ、回転筒部32の下端は、装着筒部13の上端上に位置している。回転筒部32の下端部は、基筒部31の下端部を径方向の外側から囲繞しており、この下端部の内周面には、基筒部31の前記周条部37が配置された周溝部39が形成されている。
【0032】
回転筒部32において下端部よりも上側に位置する孔形成部分の内径は、下端部の内径よりも小さくなっており、この孔形成部分は、装着筒部13の前記孔形成部分を径方向の外側から囲繞している。回転筒部32の前記孔形成部分には、径方向の内側に向けて開口する外孔40が形成されている。
【0033】
外孔40は、容器軸Oを間に挟むように回転筒部32の前記孔形成部分に一対、配設されており、これらの外孔40は、互いに同形同大となっている。図示の例では、外孔40は、回転筒部32の前記孔形成部分の内周面に溝状に形成されて径方向の外側に向けて非開口であるとともに、容器軸O方向に沿って延在している。
また本実施形態では、回転筒部32は、基筒部31を上方から覆う有頂筒状に形成されており、回転筒部32の頂壁部には、基筒部31の上端内に嵌合されるシール筒部41が、下方に向けて延設されている。
【0034】
塗布具17は、基筒部31に装着される基部42と、基部42から下方に向けて延設された棒部43と、前記塗布部16と、を備えている。
基部42は、外径が基筒部31の内径よりも若干小さい円盤状に形成され、容器軸Oと同軸に配置されている。そして基部42には、径方向の外側に向けて突出し、基筒部31の内孔38および回転筒部32の外孔40に一体に挿通された装着突起44が設けられている。装着突起44は、容器軸Oを間に挟むように一対、配設されている。
【0035】
棒部43は容器軸Oと同軸に配置されており、棒部43の下端は、容器本体11の胴部18内におけるしごき部材26の下端よりも下方に位置している。棒部43は、前記内フランジ部36内および前記しごき片28内に挿通されるとともに、棒部43において、しごき片28の内周縁よりも下側に位置する下側部分43aは、該内周縁よりも上側に位置する上側部分43bよりも外径が大きくなっている。さらに、棒部43の下側部分43aの外径は、しごき片28の内径よりも若干大きくなっている。
塗布部16は、棒部43の下端に装着されるとともに、弾性変形可能なブラシ状に形成されている。
【0036】
ここで、棒部43の上側部分43bには、下端部が前記しごき片28に上方から液密に当接する筒状のシール部材45が外挿されている。シール部材45の下端部は、上方から下方に向かうに従い漸次、縮径しており、この下端部の外周面が、しごき片28の上面に液密に当接している。またシール部材45の上端部は、前記内フランジ部36よりも上側に位置しており、シール部材45の上端部と下端部との間に位置する中間部は、前記内フランジ部36内に嵌合されている。これにより、シール部材45は、容器軸O方向に固定されている。なお、シール部材45の内周面は、棒部43の上側部分43bの外周面に摺接している。
【0037】
規制部33は、回転筒部32および装着筒部13に一体に外嵌された筒状に形成されている。本実施形態では、規制部33の容器軸O方向に沿った大きさは、装着筒部13の容器軸O方向に沿った大きさよりも大きく、かつ規制部33の下端と装着筒部13の下端とは、容器軸O方向における位置が互いに同等となっている。規制部33の下端部の内周面には、径方向の内側に向けて突出する係止突起46が設けられている。
【0038】
図3および図4に示すように、前記平面視において、規制部33の内周面33aは多角形状に形成されている。規制部33の内周面33aは、容器軸O方向に沿って延在する多数の平面部47、48が、凹角部49を介して周方向に互いに連結されることにより構成されている。
【0039】
なお本実施形態では、多数の平面部47、48としては、周方向の大きさが互いに異なる長平面部47と短平面部(第3係合部)48とが備えられており、これらの長平面部47と短平面部48とは、周方向に交互に配置されている。長平面部47および短平面部48はそれぞれ、装着筒部13の外周面13aの前記凸角部13bと同数である8個ずつ設けられている。
【0040】
そして図4に示すように、各短平面部48の周方向の中央部には、装着筒部13および回転筒部32の両凸角部(第1係合部、第2係合部)13b、32bが、周方向に係合されており、これにより、基筒部31に対する回転筒部32の回転が規制されている。なお図示の例では、短平面部48には、周方向に延在する補助リブ部50が、径方向の内側に向けて突設されており、両凸角部13b、32bは、この補助リブ部50を介して短平面部48に係合している。補助リブ部50は、容器軸O方向に延在していてもよく、容器軸O方向に間隔をあけて複数配置されていてもよい。この補助リブ部50により、両凸角部13b、32bの短平面部48に対する係合を確実なものにすることができる。
【0041】
ここで図1に示すように、回転筒部32および規制部33にはそれぞれ、互いに係合し合うことで規制部33の容器軸O方向に沿った移動を規制するストッパ部51、52、53が各別に設けられている。ストッパ部51、52、53としては、回転筒部32の下端部の外周面から径方向の外側に向けて突出するとともに、容器軸O方向に互いに間隔をあけて配置された上第1ストッパ部51および下第1ストッパ部52と、規制部33の上端部の内周面から径方向の内側に向けて突出し、両第1ストッパ部51、52の間に配置された第2ストッパ部53と、が備えられている。
下第1ストッパ部52は、規制部33の前記係止突起46と容器軸O方向に対向している。また図3および図4に示すように、第2ストッパ部53は、規制部33の上端部のうち、その内周面を構成する複数の前記長平面部47に各別に配設されている。
【0042】
そして前記規制部33は、容器軸O方向に沿って移動自在に配設されている。本実施形態では、図1に示すような、基筒部31に対する回転筒部32の回転が規制された状態で、規制部33に対して上側に向けて力を加えると、第2ストッパ部53が上第1ストッパ部51を下方から上方に乗り越え、規制部33の容器軸O方向に沿った移動の規制が解除される。
なお、下第1ストッパ部52の容器軸O方向に沿った大きさは、上第1ストッパ部51の容器軸O方向に沿った大きさよりも大きくなっており、第2ストッパ部53は、下第1ストッパ部52を乗り越え難くなっている。
【0043】
以上のように構成された塗布具付き容器10は、例えば搬送時や店舗における陳列時など、使用を開始する前の流通段階では、塗布具17の前記装着突起44が、基筒部31の前記内孔38における周端部38a、38bのうち、上側に位置する上周端部38aに位置し、塗布具17が最後退位置に位置している。このとき図示の例では、塗布具17の棒部43において上側部分43bと下側部分43aとを連結する段部と、シール部材45の下端とが当接するとともに、塗布部16の下端と、容器本体11の底部15との間には、容器軸O方向に隙間があいている。
【0044】
次に、前記塗布具付き容器10の作用について説明する。
はじめに、内容物を塗布する際には、基筒部31に対する回転筒部32の回転を規制した状態で、キャップ体14を容器本体11の口部12から離脱させた後、塗布部16に保持された内容物を被塗布部に塗布する。
【0045】
なお、キャップ体14を容器本体11の口部12から離脱させるときには、例えば規制部33を把持する等した後、キャップ体14を前記口部12に対して容器軸O回りに回転させることにより、図1および図2に示すように、装着筒部13の爪部34に、前記口部12の第3突条部25を乗り越えさせる。その後、キャップ体14と容器本体11とを容器軸O方向に相対的に離間移動させ、装着筒部13の爪部34に、前記口部12において周方向に互いに隣り合う凹部画成部22同士の間を通過させる。これにより、キャップ体14が前記口部12から離脱される。
【0046】
また、離脱されたキャップ体14を前記口部12に装着させるときには、キャップ体14に装着された塗布具17をその先端から前記口部12内に進入させ、キャップ体14と容器本体11とを径方向および周方向に位置合わせしながら、キャップ体14と容器本体11とを容器軸O方向に相対的に接近移動させる。そして、装着筒部13の爪部34に、前記口部12において周方向に互いに隣り合う凹部画成部22同士の間を通過させた後、キャップ体14を前記口部12に対して容器軸O回りに回転させることにより、装着筒部13の爪部34に、前記口部12の第3突条部25を乗り越えさせる。これにより、爪部34を配置凹部21内に配置する。
【0047】
そして、容器本体11内の内容物が減少したときには、まず図1に示すような、基筒部31に対する回転筒部32の回転が規制された状態で、キャップ体14の規制部33を上側に移動させる。このとき本実施形態では、図5に示すように、規制部33の下端を、装着筒部13の上端よりも上方に移動させることで、規制部33の前記短平面部48と、装着筒部13の前記凸角部13bと、の係合を解除することができる。これにより、基筒部31に対する回転筒部32の回転の規制が解除される。
なおこのとき、規制部33の前記係止突起46が、回転筒部32の下第1ストッパ部52に下方から当接することにより、規制部33のそれ以上の移動が規制される。また、規制部33の前記短平面部48と、回転筒部32の前記凸角部32bと、の係合は維持されている。
【0048】
その後、回転筒部32を基筒部31に対して容器軸O回りに回転させることにより、塗布具17を容器軸O方向に前進させる。このとき本実施形態では、基筒部31に対して回転筒部32を回転させると、内孔38および外孔40の内面が装着突起44に当接し、この装着突起44が内孔38および外孔40に沿ってガイドされることとなり、これにより、塗布具17が容器軸O方向に前進させられる。なお、塗布具17を前進させすぎた場合には、回転筒部32を基筒部31に対して容器軸O回りの反対側に回転させることにより、塗布具17を後退させてもよい。
【0049】
そして、以上のように塗布具17を容器軸O方向に前進させ、例えば容器本体11内の内容物の残量などに応じて、塗布具17のキャップ体14からの突出量を増やす。このとき、図3および図4に示すように、規制部33の前記短平面部48と、装着筒部13の前記凸角部13bと、の周方向の位置合わせも行う。
その後、図1に示すように、規制部33を下側に移動させ、装着筒部13の凸角部13bと、回転筒部32の短平面部48と、を係合させる。これにより、基筒部31に対する回転筒部32の回転を規制し、塗布具17の容器軸O方向の位置を固定する。
【0050】
なお本実施形態では、前述のように塗布具17を前進させて最前進位置に位置させたときに、図5に示すように、塗布部16の下端が容器本体11の底部15に当接または圧接する。このとき装着突起44は、基筒部31の前記内孔38のうち、上周端部38aとは反対側の周端部である下周端部38bに移動することとなる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る塗布具付き容器10によれば、容器本体11内の内容物が減少したときに、塗布具17のキャップ体14からの突出量を増やすことができる。
したがって、容器本体11内の内容物が減少することにより、塗布部16が容器本体11内の内容物に埋没しなくなった場合には、塗布部16を内容物内に改めて進入させることができる。また、塗布部16の内容物内の埋没量が小さくなった場合には、その埋没量を大きくすることができる。さらに、容器本体11内の底部15上に内容物が僅かに残留している場合には、底部15上に塗布部16を当接または圧接させて内容物を塗布部16に保持させることができる。
以上により、容器本体11内の内容物が減少しても塗布部16に内容物を保持させ易くすることが可能になり、残量を減少させ易くすることができる。
【0052】
また、当該塗布具付き容器10を開封した後に、キャップ体14からの塗布具17の突出量を増やすことができるので、当該塗布具付き容器10の未開封状態では、塗布部16を容器本体11の底部15から離間させておき、開封後、塗布部16を容器本体11の底部15に当接させたり圧接させたりすることができる。このように、未開封状態で、塗布部16を容器本体11の底部15から離間させておくことにより、容器本体11の底部15から塗布部16に負荷がかかるのを抑えることが可能になり、塗布部16の耐久性を確保し易くすることができる。
【0053】
また、規制部33の前記短平面部48と、装着筒部13の前記凸角部13bと、がそれぞれ、周方向に複数形成されているので、周方向の複数箇所において前記短平面部48と前記凸角部13bとを係合させることが可能になり、基筒部31に対する回転筒部32の回転を確実に規制することができる。
なお本実施形態のように、装着筒部13の前記凸角部13bが、容器軸Oを間に挟むように配置されている場合には、前述の作用効果が顕著に奏功されることとなる。
【0054】
また、装着筒部13の外周面13aの平面視形状が正多角形状なので、装着筒部13の前記凸角部13bが、周方向に一定間隔おきに配置されることとなる。したがって、規制部33を上方に移動させて前記回転の規制を解除した後、回転筒部32を、基筒部31に対して容器軸O回りに前記一定間隔、回転させ、その後、規制部33を下方に移動させて前記回転の規制を再度、行うことができる。
したがって本実施形態のように、装着筒部13の外周面13aの平面視形状を、前記一定間隔が十分に短くなるような正多角形状に形成することにより、基筒部31に対する回転筒部32の微小な回転ごとに規制を行うことが可能になり、塗布具17の突出量を高精度に調整することができる。
【0055】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、遮光膜20、しごき部材26、シール部材45、補助リブ部50およびストッパ部51、52、53はなくてもよい。
【0056】
また、塗布部16は前記実施形態に示したものに限られず、例えば含浸または付着などにより内容物を保持するように適宜構成を変更することが可能である。例えば、塗布部として、基部材にフロッキー加工を施すことにより、基部材の表面に植毛部が形成されてなる構成を採用してもよい。また塗布部として、スポンジ状や匙(スパチュラ)状の構成などを採用することも可能である。
【0057】
また、キャップ体14からの塗布具17の突出量の調整は、キャップ体14を容器本体11から離脱させた状態で行うことも可能である。
【0058】
また前記実施形態では、容器本体11の口部12の前記配置凹部21に、装着筒部13の前記爪部34が配置されることにより、装着筒部13が前記口部12に着脱自在に装着されているものとしたが、これに限られるものではなく、装着筒部13として、口部12に着脱自在な構成を適宜採用することが可能である。例えば、装着筒部13を口部12に螺着させてもよい。
【0059】
また前記実施形態では、回転筒部32の外孔40は、径方向の外側に向けて非開口であるものとしたが、開口していてもよい。
さらに前記実施形態では、内孔38が、周方向に螺旋をなすように延在し、外孔40が、容器軸O方向に沿って延在するものとしたが、これに限られず、内孔38が、容器軸O方向に沿って延在するものとし、外孔40が、周方向に螺旋をなすように延在していてもよい。つまり、内孔38および外孔40のうちのいずれか一方が、周方向に螺旋をなすように延在し、他方が容器軸O方向に延在していればよい。
【0060】
また前記実施形態では、基筒部31に内孔38が形成され、回転筒部32に外孔40が形成されているものとしたが、これに限られるものではなく、基筒部31に対する回転筒部32の回転に伴って塗布具17を容器軸O方向に進退させる構成を適宜採用することができる。
【0061】
また前記実施形態では、装着筒部13および回転筒部32の両凸角部13b、32bと、規制部33の前記短平面部48と、が互いに係合するものとしたが、これに限られない。すなわち、規制部に、装着筒部に形成された第1係合部、および回転筒部に形成された第2係合部に容器軸回りに沿う周方向に係合することにより、基筒部に対する回転筒部の回転を規制する第3係合部が形成され、第3係合部が、規制部を容器本体の底部側の反対側に移動させたときに、第1係合部との係合が解除される構成を適宜採用可能である。
例えば、規制部33の内周面33aが正多角形状に形成されていて、該正多角形状を構成する平面部により第3係合部が構成されていてもよい。さらに、装着筒部13および回転筒部32の外周面13a、32aにおける平面視形状は正多角形状に限らず、正多角形状ではない多角形状や楕円形状など、種々の形状を採用することができる。
また、前記第1係合部および前記第2係合部としての凸角部13b、32b、並びに前記第3係合部としての短平面部48に代えて、装着筒部13および回転筒部32の各外周面13a、32aに、容器軸O方向に延在する縦条部(第1係合部、第2係合部)を形成するとともに、規制部33の内周面33aに、該縦条部が配置される縦溝部(第3係合部)を形成してもよい。この場合、装着筒部13および回転筒部32の外周面13a、32aにおける平面視形状を真円形状にすることもできる。
さらに、前記第1係合部、前記第2係合部および前記第3係合部は、周方向に複数形成されていなくてもよい。
さらにまた、前記実施形態では、前記第1係合部および前記第2係合部(凸角部13b、32b)は、共通の前記第3係合部(短平面部48)に係合されているものとしたが、これに限られず、互いに異なる前記第3係合部に係合されていてもよい。
【0062】
また前記実施形態では、規制部33が筒状に形成されているものとしたが、例えば板状などに形成されていてもよい。
【0063】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 塗布具付き容器
11 容器本体
12 口部
13 装着筒部
13a 外周面
13b 凸角部(第1係合部)
14 キャップ体
15 底部
16 塗布部
17 塗布具
31 基筒部
32 回転筒部
32b 凸角部(第2係合部)
33 規制部
33a 内周面
48 短平面部(第3係合部)
O 容器軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される有底筒状の容器本体と、
該容器本体の口部に着脱自在に装着されるキャップ体と、
該キャップ体に装着されるとともに該キャップ体から容器本体の底部側に向けて突出し、先端に塗布部が配設された塗布具と、を備える塗布具付き容器であって、
前記キャップ体は、
前記口部を径方向の外側から囲繞する装着筒部と、
該装着筒部から容器軸方向に沿って前記底部側の反対側に向けて延設されるとともに前記塗布具が装着された基筒部と、
該基筒部に容器軸回りに回転自在に外嵌されるとともに、前記基筒部に対する回転に伴って前記塗布具を容器軸方向に進退させる回転筒部と、
該回転筒部および前記装着筒部に、容器軸方向に跨って一体に、かつ容器軸方向に移動自在に装着された規制部と、を備え、
該規制部には、前記装着筒部に形成された第1係合部、および前記回転筒部に形成された第2係合部に容器軸回りに沿う周方向に係合することにより、前記基筒部に対する前記回転筒部の回転を規制する第3係合部が形成され、
前記第3係合部は、前記規制部を前記反対側に移動させたときに、前記第1係合部との係合が解除されるように構成されていることを特徴とする塗布具付き容器。
【請求項2】
請求項1記載の塗布具付き容器であって、
前記規制部は、前記回転筒部および前記装着筒部に一体に外嵌された筒状に形成され、
前記第1係合部は、前記装着筒部の外周面に周方向に複数形成され、
前記第3係合部は、前記規制部の内周面に周方向に複数形成されていることを特徴とする塗布具付き容器。
【請求項3】
請求項2記載の塗布具付き容器であって、
容器軸方向に沿って見た平面視において、前記装着筒部の外周面は、多数の凸角部を有する正多角形状に形成され、
前記第1係合部は、前記凸角部により構成されていることを特徴とする塗布具付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−205698(P2012−205698A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72801(P2011−72801)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)