説明

塗布具付き容器

【課題】容器本体内の内容物が減少しても塗布部に内容物を保持させ易くして、残量を低減させること。
【解決手段】内容物が収容される有底筒状の容器本体11と、該容器本体11の口部12に着脱自在に装着されるキャップ体13と、該キャップ体13に装着されるとともに該キャップ体13から容器本体11の底部17側に向けて突出する本体部14、および該本体部14の先端に配設された塗布部15を有する塗布具16と、を備え、キャップ体13は、口部12に対して容器軸O1回りに回転させられることにより該口部12から離脱され、塗布具16は、キャップ体13に前記底部17側に向けて前進移動可能に装着されるとともに付勢部材29により前記底部17側に向けて付勢され、本体部14が容器本体11に圧接されることにより前進移動が規制されている塗布具付き容器10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示すような塗布具付き容器が知られているが、この種の塗布具付容器として一般に、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、該容器本体の口部に着脱自在に装着されるキャップ体と、該キャップ体に装着されるとともに該キャップ体から容器本体の底部側に向けて突出し、先端に塗布部が配設された塗布具と、を備える構成が知られている。前記塗布部は、容器本体内の内容物内に挿入されており、塗布部は、例えば含浸または付着などにより内容物を保持している。
前記塗布具付き容器を使用するときには、まず、キャップ体を塗布具とともに容器本体から離脱させる。すると塗布部が、内容物を保持した状態で容器本体内から引き出されることとなり、その後、塗布部に保持された内容物を被塗布部に塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−1411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の塗布具付き容器では、容器本体内の内容物が減少すると、塗布部が内容物を保持し難くなることから、容器本体内の内容物を使い切ることが困難であった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、容器本体内の内容物が減少しても塗布部に内容物を保持させ易くして、残量を低減させることができる塗布具付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る塗布具付き容器は、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、該容器本体の口部に着脱自在に装着されるキャップ体と、該キャップ体に装着されるとともに該キャップ体から前記容器本体の底部側に向けて突出する本体部、および該本体部の先端に配設された塗布部を有する塗布具と、を備える塗布具付き容器であって、前記キャップ体は、前記口部に対して容器軸回りに回転させられることにより該口部から離脱され、前記塗布具は、前記キャップ体に前記底部側に向けて前進移動可能に装着されるとともに付勢部材により前記底部側に向けて付勢され、前記本体部が前記容器本体に圧接されることにより前進移動が規制されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、内容物を塗布するため、容器本体からキャップ体を離脱させるときに、キャップ体を容器本体の口部に対して容器軸回りに回転させるとともに、キャップ体を容器本体に対して、前記底部側とは反対の反底部側に移動させると、塗布具も前記反底部側に移動しようとする。すると、容器本体による塗布具の前進移動の規制が解除され、塗布具が、付勢部材の付勢力によりキャップ体に対して前記底部側に前進移動させられる。
そして、塗布具が前進端位置まで前進移動させられた後には、塗布具も、キャップ体と一体に前記反底部側へ移動させられ、これらのキャップ体および塗布具が容器本体から離脱される。
【0008】
以上のように、キャップ体を容器本体から離脱させるときに、塗布具が、付勢部材の付勢力によりキャップ体に対して前記底部側に前進移動させられるので、塗布部の容器軸方向の位置を同等に維持し塗布部を前記底部側に継続して位置させ易くすることができる。
これにより、容器本体内の内容物が減少したときであっても、塗布部に内容物を保持させ易くすることが可能になり、残量を低減させることができる。
【0009】
なお塗布部が、基端側から先端側に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延在している場合には、キャップ体を容器本体から離脱させるときに、キャップ体とともに塗布具の塗布部を容器本体に対して容器軸回りに回転させることで、塗布部を、容器本体内で径方向の広い範囲にわたって移動させることが可能になり、容器本体内に残留する内容物を塗布部に保持させ易くすることができる。
【0010】
また、キャップ体が容器本体に装着された状態で、塗布具の本体部が容器本体に圧接されることにより塗布具の前進移動が規制されていることから、塗布具の前進移動を規制するために、塗布部を容器本体の底部に圧接させない構成を採用することも可能である。
この場合、塗布部に容器本体の底部から負荷がかかるのを抑えることが可能になり、塗布部の耐久性を確保し易くすることができる。
【0011】
また、前記キャップ体および前記塗布具には、前記塗布具が前記キャップ体に対して前進端位置に位置するときに、容器軸方向に互いに係合し合うことで前記塗布具の更なる前進移動を規制する係合部が配設され、前記塗布具は、前記係合部により更なる前進移動が規制された状態で、前記付勢部材により前記底部側に向けて付勢されていてもよい。
【0012】
この場合、塗布具が、係合部により更なる前進移動が規制された状態で、付勢部材により前記底部側に向けて付勢されるので、塗布部を被塗布部に押し当てて内容物を塗布する際に、塗布具が後退させられるのを抑制することが可能になり、内容物を容易に塗布することができる。
【0013】
また、前記キャップ体は、前記口部に外装される有頂筒状に形成され、該キャップ体の内周面には、前記口部の外周面に設けられた雄ねじ部に螺合される雌ねじ部が設けられ、前記口部の外周面において前記雄ねじ部よりも前記底部側に位置する部分には、前記容器軸回りに沿う周方向の全周にわたって延在する環状溝が形成され、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合が解除され、かつこれらの両ねじ部が互いに近接または当接させられた状態で、前記キャップ体は、その開放端を前記環状溝内に進入させながら、キャップ軸が容器軸に対して傾くように揺動自在になってもよい。
【0014】
この場合、まず、雄ねじ部と雌ねじ部との螺合を解除し、これらの両ねじ部を互い近接または当接させる。このとき塗布具は、容器本体による前進移動の規制が解除されて前進端位置に位置しており、塗布具の塗布部は前記底部側に位置している。
その後、キャップ体において径方向の一方側に位置する部分を、前記反底部側に移動させながら、キャップ体の開放端のうち、前記一方側とは反対の他方側に位置する部分を、環状溝内に進入させ、キャップ体を、キャップ軸が容器軸に対して傾くように揺動させる。すると、塗布具の塗布部が前記一方側に移動して、容器本体の胴部における底部との接続部分の内周面に押し当てられる。
そして、両軸の傾斜を維持した状態で容器本体を容器軸回りに回転させ、塗布部を、容器本体の前記接続部分の内周面に押し当てながら該内周面の全周にわたって移動させる。
【0015】
以上のように、塗布部を、容器本体の前記接続部分の内周面に塗布部を押し当てながら該内周面の全周にわたって移動させることができるので、容器本体の前記接続部分の内周面側に残留する内容物を、塗布部に保持させ易くすることができる。
なお、キャップ体が揺動させられてキャップ体の開放端が環状溝内に進入させられたときに、キャップ体の開放端が環状溝に係合する場合には、キャップ体の揺動姿勢を安定に維持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る塗布具付き容器によれば、容器本体内の内容物が減少しても塗布部に内容物を保持させ易くして、残量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る塗布具付き容器の縦断面図である。
【図2】図1に示す塗布具付き容器の作用を説明する縦断面図である。
【図3】図1に示す塗布具付き容器の作用を説明する縦断面図である。
【図4】図1に示す塗布具付き容器の作用を説明する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る塗布具付き容器を説明する。
図1に示すように、塗布具付き容器10は、例えば液状体や粉状体などの内容物が収容される有底筒状の容器本体11と、該容器本体11の口部12に着脱自在に装着されるキャップ体13と、該キャップ体13に装着されるとともに該キャップ体13から下方(底部側)に向けて突出する本体部14、および該本体部14の先端に配設された塗布部15を有する塗布具16と、を備えている。
なお以下では、容器本体11の容器軸O1に沿ってキャップ体13側を上側(反底部側)といい、容器本体11の底部17側を下側といい、容器軸O1に直交する方向を径方向といい、容器軸O1回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
容器本体11は、前記口部12および前記底部17と、これらの口部12と底部17とを連結する胴部18と、を備えている。
なお容器本体11の外面には、例えば蒸着などにより遮光膜が形成されていてもよい。この場合、例えば遮光膜を、胴部18の外周面に全面にわたって形成する一方で底部17に形成しないことで、容器本体11の内部を、底部17を通して視認可能にすること等が可能になる。
【0020】
口部12および胴部18の内径は同等とされ、これらの口部12および胴部18の内周面は、互いに面一に連なっている。なお、口部12の内径が胴部18の内径より小さくなるように形成しても、口部12の内径が胴部18の内径より大きくなるように形成してもよい。
また口部12の外径は、胴部18の外径よりも小さくなっており、口部12の外周面と胴部18の外周面とは段部19を介して連結されている。さらに口部12の上端部の外径は、口部12においてこの上端部よりも下方に位置する部分の外径よりも小さくなっている。
【0021】
口部12の外周面には、キャップ体13に設けられた雌ねじ部20に螺合する雄ねじ部21が設けられている。これらの雄ねじ部21および雌ねじ部20は、例えば多条ねじとなっており、図示の例では2条ねじとされている。
また、口部12の外周面において雄ねじ部21よりも下方に位置する部分には、周方向の全周にわたって延在する環状溝22が形成されている。
【0022】
また口部12内には、塗布具16に付着した余分な内容物をしごき落とすしごき部材23が配設されている。しごき部材23は、外周縁が前記口部12の開口端縁上に固定されるとともに容器軸O1と同軸に配置された環状に形成されている。しごき部材23の下面には、周方向の全周にわたって延在するリブ部24が設けられており、しごき部材23においてリブ部24よりも径方向の内側に位置する内側部分23aは、径方向の内側に向かうに従い漸次、薄肉になるとともに下方に向けて延在している。この内側部分23aは、前記リブ部24を起点として弾性変形容易になっている。
【0023】
キャップ体13のキャップ軸O2は、容器軸O1と同軸とされ、キャップ体13は、容器本体11の口部12に対して容器軸O1回りに回転させられることにより該口部12から離脱されるとともに、該口部12に対する回転に伴って塗布具16を容器軸O1回りに回転させる。本実施形態では、キャップ体13は、前記口部12に外装される有頂筒状に形成されており、キャップ体13のうちの下方に位置する下側部分13aが、前記口部12を径方向の外側から囲繞している。そして、この下側部分13aの内周面に前記雌ねじ部20が配設されている。雌ねじ部20は、キャップ体13の開放端13bよりも上側に配置されている。
【0024】
キャップ体13の開放端13bは、容器本体11の口部12のうち、前記環状溝22よりも下方に位置する口部12の下端部と、容器軸O1方向の位置が同等となっており、このキャップ体13の開放端13bは、容器本体11の前記段部19に、該段部19の上方から近接または当接している。
【0025】
キャップ体13の頂壁部には、下方に向けて延在する垂下筒部25が、容器軸O1と同軸に配設されている。垂下筒部25の下端は、容器本体11の口部12の上端よりも上方に位置し、後述する基部26の底壁部に、該底壁部の上方から近接または当接している。垂下筒部25の外周面には、上下方向に延在する縦リブ25aが、周方向の全周にわたって間隔をあけて複数配設されている。縦リブ25aは、垂下筒部25の全長にわたって延在しており、縦リブ25aの上端は、キャップ体13の頂壁部に連結されている。
【0026】
そして本実施形態では、塗布具16は、キャップ体13に下方に向けて前進移動可能に装着されるとともに付勢部材29により下方に向けて付勢され、塗布具16の本体部14が容器本体11に圧接されることにより前進移動が規制されている。
塗布具16の本体部14は、キャップ体13の内周面に容器軸O1方向に移動可能に装着された基部26と、基部26から下方に向けて延設された棒部27と、を備えている。
【0027】
基部26は、容器軸O1と同軸に配置され外周縁がしごき部材23の外周縁上に位置する有底筒状に形成されるとともに、キャップ体13において前記下側部分13aよりも上側に位置する上側部分13c内に配設されている。
基部26の外周面には、キャップ体13の前記上側部分13cの内周面に設けられた係合凹部(係合部)30内に、容器軸O1方向に移動可能に配置された係合凸部(係合部)31が突設されている。係合凸部31の容器軸O1方向に沿った大きさは、係合凹部30の容器軸O1方向に沿った大きさよりも小さく、係合凸部31は、係合凹部30内における上端部に配置されている。
【0028】
基部26の底壁部には、上方に向けて延在する立ち上がり筒部28が、容器軸O1と同軸に配設されている。立ち上がり筒部28の上端は、キャップ体13の頂壁部に近接または当接している。また立ち上がり筒部28は、キャップ体13の垂下筒部25を径方向の外側から囲繞しており、立ち上がり筒部28の内周面には、上下方向に延在するとともに内部に前記縦リブ25aが配置された縦溝28aが、周方向の全周にわたって間隔をあけて複数配設されている。縦溝28aは、立ち上がり筒部28の全長にわたって延在し、上方に向けて開口している。
【0029】
棒部27は、容器軸O1と同軸に配置されるとともにしごき部材23内に容器軸O1方向に摺動可能に挿通されており、棒部27の外周面は、しごき部材23の内周縁に液密に当接している。
塗布部15は、棒部27と一体成形されるとともに、弾性変形可能なスパチュラ状に形成され、塗布部15のうち、棒部27と連結される基端15aは、容器軸O1上に位置し、塗布部15は、基端15a側から先端15b側に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延在している。また塗布部15は、基端15a側から先端15b側に向かうに従い漸次、下方に向けても延在しており、塗布部15の先端15bは、容器本体11の底部17に近接または当接している。さらに塗布部15は、径方向の内側に向けて窪む曲線状をなすように湾曲している。
【0030】
付勢部材29は、容器軸O1方向に弾性変形された状態で、キャップ体13と塗布具16との間に配設されている。本実施形態では、付勢部材29は、容器軸O1と同軸に配置された筒状に形成されるとともに塗布部15の前記立ち上がり筒部28に外装され、付勢部材29の上下両端は、キャップ体13の頂壁部、および塗布具16の基部26の底壁部それぞれに当接している。なお付勢部材29は、例えば樹脂ばね、金属ばね(コイルスプリング等)、ゴム製部材、エラストマー樹脂製部材等により構成することが可能であるとともに、例えばキャップ体13または基部26などと一体に成形することも可能である。
そして付勢部材29が、塗布具16を下方に向けて付勢することで、塗布具16の基部26の外周縁が、容器本体11の口部12の前記開口端縁上に、しごき部材23の外周縁を介して圧接されている。
【0031】
次に、前記塗布具付き容器10の作用について説明する。
はじめに、内容物を塗布するため、容器本体11からキャップ体13を離脱させるときには、まず、キャップ体13を容器本体11の口部12に対して容器軸O1回りに回転させ、容器本体11の前記雄ねじ部21とキャップ体13の前記雌ねじ部20との螺合を解除する。このとき、キャップ体13の前記縦リブ25aと、塗布具16の前記縦溝28aと、が周方向に互いに係合し合うことで、キャップ体13と塗布具16とが容器軸O1回りに共回りする。
【0032】
またこのとき、キャップ体13が容器本体11に対して上方に移動することで、塗布具16も上方に移動しようとする。すると、容器本体11による塗布具16の前進移動の規制が解除され、塗布具16の前記係合凸部31が、キャップ体13の前記係合凹部30内を下方に向けて移動し、塗布具16が、付勢部材29の付勢力によりキャップ体13に対して下方に前進移動させられる。
そして図2に示すように、塗布具16が前進端位置まで前進移動させられた後には、塗布具16も、キャップ体13と一体に上方へ移動させられ、これらのキャップ体13および塗布具16が容器本体11から離脱される。その後、塗布部15に保持された内容物を被塗布部に塗布する。
【0033】
なお本実施形態では、塗布具16がキャップ体13に対して前進端位置に位置するときに、塗布具16の前記係合凸部31が、キャップ体13の前記係合凹部30内における下端部に位置して係合凹部30を画成する上方を向く壁面に当接しており、このように係合凸部31と係合凹部30とが、容器軸O1方向に互いに係合し合うことで塗布具16の更なる前進移動を規制している。そしてこのとき、塗布具16は、係合凸部31および係合凹部30により更なる前進移動が規制された状態で、付勢部材29により下方に向けて付勢されている。
【0034】
次に、容器本体11の胴部18における底部17との接続部分18aの内周面側に残留する内容物を、塗布部15に保持させたいときには、まず図3に示すように、雄ねじ部21と雌ねじ部20との螺合を解除し、これらの両ねじ部20、21を互いに近接または当接させる。
このとき雌ねじ部20は、雄ねじ部21に該雄ねじ部21の上方から近接または当接している。またキャップ体13は、容器本体11の口部12に外装され、キャップ体13の開放端13bは、容器本体11の口部12の前記環状溝22に径方向に対向している。さらに塗布具16は、容器本体11による前進移動の規制が解除されて前進端位置に位置しており、塗布具16の塗布部15は、容器本体11内の下方に位置している。
【0035】
その後図4に示すように、キャップ体13において、径方向のうち、容器軸O1に対して塗布部15の先端15bが位置する一方側に位置する部分を、上方に移動させながら、キャップ体13の開放端13bのうち、前記一方側とは反対の他方側に位置する部分を、前記環状溝22内に進入させ、キャップ体13を、キャップ軸O2が容器軸O1に対して傾くように揺動させる。なお図示の例では、近接または当接し合う両ねじ部20、21同士のうち、前記他方側に位置する部分を支点として、キャップ体13を揺動させる。
【0036】
すると、塗布具16の塗布部15が前記一方側に移動して、容器本体11の前記接続部分18aの内周面に押し当てられる。このとき本実施形態では、塗布部15の先端15bが前記接続部分18aに押し当てられ、塗布部15がなす曲線の曲率半径が大きくなるように、塗布部15が弾性変形させられる。
そして、両軸O1、O2の傾斜を維持した状態で容器本体11を容器軸O1回りに回転させ、塗布部15を、容器本体11の前記接続部分18aの内周面に押し当てながら該内周面の全周にわたって移動させる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る塗布具付き容器10によれば、キャップ体13を容器本体11から離脱させるときに、塗布具16が、付勢部材29の付勢力によりキャップ体13に対して下方に前進移動させられるので、塗布部15の容器軸O1方向の位置を同等に維持し、塗布部15を下方に継続して位置させ易くすることができる。
これにより、容器本体11内の内容物が減少したときであっても、塗布部15に内容物を保持させ易くすることが可能になり、残量を低減させることができる。
【0038】
また本実施形態のように、塗布部15が、基端15a側から先端15b側に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延在している場合には、キャップ体13を容器本体11から離脱させるときに、キャップ体13とともに塗布具16の塗布部15を容器本体11に対して容器軸O1回りに回転させることで、塗布部15を、容器本体11内で径方向の広い範囲にわたって移動させることが可能になり、容器本体11内に残留する内容物を塗布部15に保持させ易くすることができる。
【0039】
また、塗布部15を、容器本体11の前記接続部分18aの内周面に押し当てながら該内周面の全周にわたって移動させることができるので、容器本体11の前記接続部分18aの内周面側に残留する内容物を、塗布部15に保持させ易くすることができる。
なお、キャップ体13が揺動させられてキャップ体13の開放端13bが環状溝22内に進入させられたときに、例えば前記開放端13bが、環状溝22を画成する内壁面に当接して引っ掛かること等により、キャップ体13の開放端13bが、環状溝22に係合する場合には、キャップ体13の揺動姿勢を安定に維持することができる。
【0040】
また、キャップ体13が容器本体11に装着された状態で、塗布具16の本体部14が容器本体11に圧接されることにより塗布具16の前進移動が規制されていることから、塗布具16の前進移動を規制するために、塗布部15を容器本体11の底部17に圧接させない本実施形態のような構成を採用することも可能である。
この場合、塗布部15に容器本体11の底部17から負荷がかかるのを抑えることが可能になり、塗布部15の耐久性を確保し易くすることができる。
【0041】
また塗布具16が、係合凸部31および係合凹部30により更なる前進移動が規制された状態で、付勢部材29により前記底部17側に向けて付勢されるので、塗布部15を被塗布部に押し当てて内容物を塗布する際に、塗布具16が後退させられるのを抑制することが可能になり、内容物を容易に塗布することができる。
【0042】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、しごき部材23の前記リブ部24はなくてもよい。さらにしごき部材23がなくてもよい。
【0043】
また前記実施形態では、雄ねじ部21と雌ねじ部20との螺合を解除し、これらの両ねじ部20、21を互いに近接または当接させた状態で、キャップ体13の開放端13bが、容器本体11の口部12の前記環状溝22に径方向に対向しているものとしたが、これに限られない。つまり、雄ねじ部と雌ねじ部との螺合が解除された状態で、かつこれらの両ねじ部が互いに近接または当接させられた状態に限らず、キャップ体が、その開放端を環状溝内に進入させながら、キャップ軸が容器軸に対して傾くように揺動自在になる他の構成を、適宜採用することが可能である。例えば、キャップ体の開放端が、環状溝よりも下方に位置していても、キャップ体を揺動させるときに、前記開放端が、容器本体の口部における環状溝の開口周縁部を弾性変形しながら乗り越えて、環状溝内に進入する構成としてもよいし、前記両ねじ部が完全に離間した状態で、前記開放端が容器本体の口部における環状溝内に進入する構成としてもよい。
【0044】
また、環状溝22はなくてもよい。
さらに前記実施形態では、キャップ体13は、容器本体11の口部12に外装されるものとしたが、内装されていてもよい。
【0045】
また前記実施形態では、塗布部15の基端15aは、容器軸O1上に位置し、塗布部15は、基端15a側から先端15b側に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延在しているものとしたが、これに限られない。例えば、塗布部15の基端15aが、容器軸O1に対して径方向にずらされていたり、塗布部15が容器軸O1方向に延在していたりしてもよい。
【0046】
さらに、塗布部15は前記実施形態に示したものに限られず、例えば含浸または付着などにより内容物を保持する他の構成等を適宜採用することが可能である。例えば、塗布部15として、基部材にフロッキー加工を施すことにより、基部材の表面に植毛部が形成されてなる構成を採用してもよい。また塗布部15として、スポンジ状やヘラ状、ブラシ状の構成などを採用することも可能である。
【0047】
また前記実施形態では、キャップ体13を容器本体11の口部12に対して回転させるときに、キャップ体13の前記縦リブ25aと、塗布具16の前記縦溝28aと、が周方向に互いに係合し合うことで、キャップ体13と塗布具16とが容器軸O1回りに共回りするものとしたが、キャップ体および塗布具に、塗布具に対するキャップ体の容器軸回りの回転を規制する回転規制部を、縦リブ25aおよび縦溝28aとは異なる構成で設けることも可能である。
【0048】
また前記実施形態では、塗布具16に前記係合凸部31が設けられ、キャップ体13に前記係合凹部30が設けられているものとしたが、これに限られず、塗布具16に係合凹部30が設けられ、キャップ体13に係合凸部31が設けられていてもよい。つまり、キャップ体および塗布具に、塗布具がキャップ体に対して前進端位置に位置するときに、容器軸方向に互いに係合し合うことで塗布具の更なる前進移動を規制する係合部を配設すればよい。
【0049】
また前記実施形態では、雄ねじ部21と雌ねじ部20とを螺合させることにより、キャップ体13が容器本体11の口部12に装着されているものとしたが、これに限られるものではなく、キャップ体13として、容器本体の口部に対して容器軸回りに回転させられることにより該口部に離脱される他の構成を適宜採用することが可能である。
【0050】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 塗布具付き容器
11 容器本体
12 口部
13 キャップ体
13b 開放端
14 本体部
15 塗布部
16 塗布具
17 底部
20 雌ねじ部
21 雄ねじ部
22 環状溝
29 付勢部材
30 係合凹部(係合部)
31 係合凸部(係合部)
O1 容器軸
O2 キャップ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される有底筒状の容器本体と、
該容器本体の口部に着脱自在に装着されるキャップ体と、
該キャップ体に装着されるとともに該キャップ体から前記容器本体の底部側に向けて突出する本体部、および該本体部の先端に配設された塗布部を有する塗布具と、を備える塗布具付き容器であって、
前記キャップ体は、前記口部に対して容器軸回りに回転させられることにより該口部から離脱され、
前記塗布具は、前記キャップ体に前記底部側に向けて前進移動可能に装着されるとともに付勢部材により前記底部側に向けて付勢され、前記本体部が前記容器本体に圧接されることにより前進移動が規制されていることを特徴とする塗布具付き容器。
【請求項2】
請求項1記載の塗布具付き容器であって、
前記キャップ体および前記塗布具には、前記塗布具が前記キャップ体に対して前進端位置に位置するときに、容器軸方向に互いに係合し合うことで前記塗布具の更なる前進移動を規制する係合部が配設され、
前記塗布具は、前記係合部により更なる前進移動が規制された状態で、前記付勢部材により前記底部側に向けて付勢されていることを特徴とする塗布具付き容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の塗布具付き容器であって、
前記キャップ体は、前記口部に外装される有頂筒状に形成され、
該キャップ体の内周面には、前記口部の外周面に設けられた雄ねじ部に螺合される雌ねじ部が設けられ、
前記口部の外周面において前記雄ねじ部よりも前記底部側に位置する部分には、前記容器軸回りに沿う周方向の全周にわたって延在する環状溝が形成され、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合が解除され、かつこれらの両ねじ部が互いに近接または当接させられた状態で、前記キャップ体は、その開放端を前記環状溝内に進入させながら、キャップ軸が容器軸に対して傾くように揺動自在になることを特徴とする塗布具付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−231913(P2012−231913A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101981(P2011−101981)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)