説明

塗布具

【課題】塗布材の試供品配布の手間を軽減することができる塗布具を提供する。
【解決手段】塗布具1は、成形された固形の塗布材からなる塗布材成形体3と、塗布材成形体3を収容する円筒状のケース5と、塗布材成形体3をケース5の筒軸線方向に駆動し塗布材成形体3の先端を容器の先端から出没させる駆動機構10と、を備える。塗布材成形体3は、塗布材本体部3aと、この塗布材本体部3aよりも後方に位置すると共に塗布材本体部3aとは異なる塗布材材料からなる試用塗布材部3bと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の容器の先端から塗布材成形体の先端を出没させて用いられる塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載の塗布具が知られている。この塗布具は、円筒形のハウジングに接着剤本体が収容されており、ハウジングにはスピンドル駆動機構が設けられている。そして、スピンドル駆動機構によって接着剤本体がハウジングの筒軸線方向に移動し、接着剤本体の先端がハウジングの先端から突出することで、対象物への接着剤の塗布が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−508232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような塗布具等の消耗品にあっては、ユーザは定期的に商品を買い換えることになるため、メーカにおいては、販促活動が重要視されている。この種の販促活動としては、例えば、マスメディアによる広告等も考えられるが、特に、新製品が開発された場合等には、ユーザに試供品を配布する方法が効果的である。例えば、ある商品を購入したユーザに対して、販売者が他の銘柄の商品の試供品を添付するといった手法が一般的であるが、このような手法では、販売者における試供品配布の手間が大きかった。
【0005】
そこで、本発明は、塗布材の試供品配布の手間を軽減する塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の塗布具は、成形された固形の塗布材からなる塗布材成形体と、塗布材成形体を収容する筒状の容器と、塗布材成形体を容器の筒軸線方向に駆動し塗布材成形体の先端を容器の先端から出没させる塗布材駆動機構と、を備えた塗布具であって、塗布材成形体は、第1の材料からなる第1の塗布材部と、第1の塗布材部よりも容器の後端側に位置すると共に、第1の塗布材部とは異なる第2の材料からなる第2の塗布材部と、を有することを特徴とする。
【0007】
このような塗布具によれば、当該塗布具における製品本来の塗布材を第1の塗布材部として設定し、塗布材の試供品を第2の塗布材部として設定することができる。従って、製品本来の塗布材を使用するために当該塗布具を入手したユーザに対して、自動的に他の塗布具の試供品が配布されることになる。その結果、塗布具の試供品の配布の手間を低減することができる。また、この場合、本来の塗布材の奥側に試供品の塗布材が位置しているので、本来の塗布材が、ある程度消耗されたときに、試供品が使用可能な位置に現れることになる。従って、ユーザにおける塗布具の買い換えのタイミングに合わせて試供品が提示され、高い販促効果を得ることができる。
【0008】
また、塗布材駆動機構は、先端側に塗布材成形体が固定され容器内で筒軸線方向に移動する台座部を有し、台座部の先端側の面には凹部が形成されており、第1の塗布材部の後端は、上記先端側の面に固定され、第2の塗布材部は、上記凹部に埋め込まれていることとしてもよい。この構成によれば、第1の塗布材部の使用終了間際において第2の塗布材部が邪魔になりにくい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の塗布具によれば、塗布材の試供品配布の手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る塗布具の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1の塗布具の断面図である。
【図3】本発明に係る塗布具の第2実施形態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る塗布具の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1及び図2に示す塗布具1は、棒状(ここでは、円柱形状)に成形された固形の塗布材からなる塗布材成形体3と、この塗布材成形体3の長手方向に延在し塗布材成形体3を収容する筒状(ここでは、円筒状)のケース5とを備えている。この塗布具1では、塗布材成形体3の前端をケース5前端の開口5aから突出させ、突出した塗布材成形体3の前端を対象物に直接接触させることで、対象物に塗布材を塗布することができる。また、塗布具1の保管時には、塗布材成形体3がケース5内に完全に格納され、ケース5の先端には、塗布材成形体3の乾燥を防止するため、開口5aを塞ぐキャップ7が取り付けられる。
【0013】
このように開口5aから塗布材成形体3を出没させる機構として、塗布具1は、塗布材成形体3をケース5の筒軸線A方向に前後移動するための駆動機構10を備えている。この駆動機構10は、中央に雌ネジが形成された円板状の台座部11と、筒軸線Aに沿って延在し台座部11の雌ネジに螺合するリードスクリュー12と、を有している。台座部11の前面11a側には塗布材成形体3が固定されている。
【0014】
リードスクリュー12は、台座部11を貫通し塗布材成形体3の中心に挿入されて、ケース5の後端から開口5aの直近まで延びている。更に駆動機構10は、リードスクリュー12の基端側に固定されケース3の後方に接続される円柱形状の操作部13を有している。台座部11の周面には、等間隔に配置され筒軸線A方向に延びる3本のガイド溝11cが形成されている。これに対応して、ケース5の内壁面には、筒軸線A方向に延びそれぞれ上記ガイド溝11cに係合する3本のガイドレール5cが形成されている。上記ガイド溝11c及びガイドレール5cにより、台座部11の移動が筒軸線A方向に規制される。また、この台座部11の中央には、前面11aから掘り下げられ形成された円形の凹部11dが設けられている。
【0015】
このような駆動機構10の構成に基づき、操作部13がケース3に対して筒軸線A周りに矢印B方向に回転すると、リードスクリュー12が操作部13と同じ角度でB方向に回転する。このリードスクリュー12の回転に伴い、台座部11は、ガイドレール5cに案内されながら前方に平行移動する。そして、塗布材成形体3は、後方の台座部11によって前方に押し出され、開口5aから先端を突出させる。
【0016】
ここで、上記塗布材成形体3は、同じ用途で材料が異なる2つの塗布材の部分を有している。すなわち、塗布材成形体3は、当該塗布具1における製品本来の塗布材の材料(第1の材料)からなる塗布材本体部(第1の塗布材部)3aと、この塗布材本体部3aとは異なる第2の塗布材の材料からなる試用塗布材部(第2の塗布材部)3bと、を有している。この試用塗布材部3bは、当該塗布具1を入手したユーザに試用させるための試供品としての機能を有する。塗布材本体部3aは台座部11の前面11aに固定されており、試用塗布材部3bは台座部11の凹部11dに埋め込まれている。なお、塗布材本体部3aと試用塗布材部3bとの材料の混合防止のために、塗布剤本体部3aと試用塗布材部3bとの間に、円板状又はフィルム状の仕切を挿入してもよい。
【0017】
このような塗布具1の構成によれば、ユーザの使用により塗布材本体部3aが消耗されていくと、塗布材本体部3aの使用終了間際に試用塗布材部3bが現れるので、ユーザは、この試用塗布材部3bの塗布材を試用することができる。このように、この塗布具1によれば、塗布材本体部3aの使用を目的として当該塗布具1を入手したユーザに対して、自動的に試供品(試用塗布材部3b)が配布されることになる。従って、塗布具の試供品の配布の手間を低減することができる。
【0018】
また、この場合、塗布材本体部3aよりも奥側に試用塗布材部3bが位置しているので、製品本来の塗布材(塗布材本体部3a)が、ある程度消耗されたときに、試供品(試用塗布材部3b)が使用可能な位置に現れることになる。従って、ユーザにおける塗布具の買い換えのタイミングに合わせて試供品が提示され、高い販促効果を得ることができる。
【0019】
また、塗布材本体部3aが台座部11の前面11aに固定され、試用塗布材部3bが台座部11の凹部11dに埋め込まれる構成により、塗布材本体部3aの使用終了間際において試用塗布材部3bが邪魔になりにくい。
【0020】
このような構成の塗布具1は、例えば、スティック状の固形の塗り薬を塗布するための塗布具に適用される。例えば、患者に処方する塗り薬を塗布材本体部3aに設定し、塗布剤本体部3aの塗り薬よりも強い効果を示す成分の塗り薬を試用塗布材部3bに設定することができる。この場合、処方された塗り薬の使用終了間際に、試用品が使用可能となるので、医薬品メーカにとっては広告効果が期待できる。また、患者にとっても、成分が異なる塗り薬の試用により医薬品選択の判断材料とすることができる。
【0021】
また、この塗布具1は、リップスティックにも適用が可能である。例えば、商品本来の口紅材を塗布材本体部3aに設定し、新製品の口紅材を試用塗布材部3bに設定することができる。この場合、製品本来の口紅の使用終了間際に新製品の口紅の試供品が使用可能となるので、ユーザにおける口紅の買い換えのタイミングに合わせて新製品の試供品が提示され、新製品の高い販促効果を得ることができる。
【0022】
また、同様に、この塗布具1は、スティック状の糊の塗布具にも適用が可能である。
【0023】
(第2実施形態)
図3に示す塗布具101は、前述の塗布具1における塗布材成形体3に代えて、塗布材成形体103を備えている。塗布材成形体103は、円柱形状の塗布材本体部103aと試用塗布材部103bとが、筒軸線A方向に二層に重ね合わされている。なお、塗布材成形体103が固定される台座部111には、前述の台座部11における凹部11dのような凹部が設けられてもよく、凹部は省略されてもよい。
【0024】
このような塗布具101も、塗布具1と同様の作用効果を得ることができ、スティック状の塗り薬を塗布するための塗布具、リップスティック、スティック状の糊の塗布具等に適用することができる。この塗布具101において、前述の塗布具1と同一又は同等な構成については図面に同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、駆動機構10は、塗布材3,103を前後移動させる機構の一例であり、例えば、リップスティックに用いられている公知の駆動機構など、他の駆動機構を採用してもよい。
【符号の説明】
【0026】
1,101…塗布具、3,103…塗布材成形体、3a,103a…塗布剤本体部(第1の塗布材部)、3b,103b…試用塗布材部(第2の塗布材部)、5…ケース(容器)、10…塗布材駆動機構、11,111…台座部、11d…凹部、A…筒軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形された固形の塗布材からなる塗布材成形体と、
前記塗布材成形体を収容する筒状の容器と、
前記塗布材成形体を前記容器の筒軸線方向に駆動し前記塗布材成形体の先端を前記容器の先端から出没させる塗布材駆動機構と、を備えた塗布具であって、
前記塗布材成形体は、
第1の材料からなる第1の塗布材部と、
前記第1の塗布材部よりも前記容器の後端側に位置すると共に、前記第1の塗布材部とは異なる第2の材料からなる第2の塗布材部と、
を有することを特徴とする塗布具。
【請求項2】
前記塗布材駆動機構は、
前記先端側に前記塗布材成形体が固定され前記容器内で前記筒軸線方向に移動する台座部を有し、
前記台座部の前記先端側の面には凹部が形成されており、
前記第1の塗布材部の後端は、前記先端側の面に固定され、
前記第2の塗布材部は、前記凹部に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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