塗布具
【課題】
塗布液を塗布部内の流路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させ、美麗な塗布ラインなどを描くことができる塗布具を提供する。
【解決手段】
液押圧機構により、液押圧機構の前方に内蔵された塗布液を吐出させる塗布液内蔵容器の前方に具備された、熱可塑性ゴム又は熱可塑性エラストマーで形成した塗布体を有する塗布具であって、前記塗布体30は、先細りの形状を有し、塗布体内部に液流通路31を形成し、塗布体30は一つの塗布液流出開口部32を有し、塗布体内部の液流通路31と連通すると共に、前記開口部32の面は略平面又は傾斜面で、該開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面34を備え、前記開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面34を除いた部分は、外径形状と略相似形の液流通路を有すること特徴とする塗布具。
塗布液を塗布部内の流路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させ、美麗な塗布ラインなどを描くことができる塗布具を提供する。
【解決手段】
液押圧機構により、液押圧機構の前方に内蔵された塗布液を吐出させる塗布液内蔵容器の前方に具備された、熱可塑性ゴム又は熱可塑性エラストマーで形成した塗布体を有する塗布具であって、前記塗布体30は、先細りの形状を有し、塗布体内部に液流通路31を形成し、塗布体30は一つの塗布液流出開口部32を有し、塗布体内部の液流通路31と連通すると共に、前記開口部32の面は略平面又は傾斜面で、該開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面34を備え、前記開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面34を除いた部分は、外径形状と略相似形の液流通路を有すること特徴とする塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクや液体化粧料などの塗布液、特に巨大粒子を含有する塗布液を塗布部内の流路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させ、美麗な塗布ラインを描くことができる塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体化粧料などの塗布液を内蔵する塗布具を用いて、目元に使用すると上手くラインが描けないことがある。この解決策として、単純に各部寸法を小さくすることでラインを描くことは可能であるが、使い勝手等が悪くなるものである。
【0003】
従来における塗布具の代表的な技術としては、例えば、1)本体内部の塗布液を加圧する液押圧手段を具備し、該液押圧手段の押圧により塗布液を先端の塗布体へと供給するようにした皮膚や、口腔など広範囲に塗り広げることを特徴とした塗布具において、前記塗布体は、弾性材からなり、本体内部と外部に通じる連通路が形成されていて、常態において該連通路を弾性によって閉止し、且つ塗布液が液押圧手段によって加圧された際に、該連通路が弾性変形して開放しうる弁機構を有し、該塗布体の塗布部分には、弁機構の連通路のスリット状の吐出口が臨んでいることを特徴とする塗布具(例えば、特許文献1参照)、2)粘性化粧料を中味戻し可能な押出し容器内に収納した粘性化粧品において、塗布部は弾性材からなり、塗布面は、容器本体の縦軸に対して傾斜している平らな傾斜面であり、容器の筒状の粘性化粧料供給パイプは直径1.7乃至2.2mmであり、そこから連通して粘性化粧料を外方に吐出すための吐出口が開口状態で塗布面に設けられ、粘性化粧料は、ずり速度が0乃至5sec−1において19000mPa・s以上の粘度を有し、ずり速度が40sec−1で11000mPa・s以下の粘度を有し、さらにジプロピレングリコールを0.2wt%以上で含有する粘性化粧品(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0004】
また、3)高粘度の塗布液であっても、皮膚や、口腔などの広範囲に簡便に塗布しうる液体塗布具を提供するために、液体塗布具は、本体内部の塗布液を加圧する液押圧機構(液押圧手段)を具備し、液押圧機構の押圧により塗布液を塗布体へと供給すると共に、前記塗布体は、ゴム、エラストマー、または復元性を有する独立気泡体からなる弾性材からなり、本体内部と外部に通じる貫通孔からなる連通路が形成され、前記塗布体の塗布部分は、連通路のスリット状の吐出口から更に先端へ突出して設けられていることを特徴とする塗布具(例えば、特許文献3参照)、4)塗布体の硬度および曲がり弾性力が適正で塗りむらムラ無く塗布性が良好な液体塗布具を提供するために、液体塗布具は、本体内部の塗布液を加圧する液体加圧機構(液押圧手段)を具備し、該液体加圧機構の押圧により塗布液を本体先端の塗布体へと供給するようにした液体塗布具において、塗布体は、弾性材からなり、本体内部と外部に通じる連通路が形成され、塗布部分が、該連通路の吐出口から更に先端へ突出して設けられており、前記塗布部分は、その先端より3(mm)の部分の垂直方向反発力が0.01〜1.40(N)である液体塗布具(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜4の塗布具等において、これに大きな粒子径、例えば、大粒径光輝材などを含んだ化粧料等を内蔵すると、塗布部内部に詰まり、また繰り返し使用しているとその傾向がさらに多くなることがある。また、塗布部が筆の場合、繰り返し使用時において、大きな粒子が筆繊維間でろ過され、筆内部の液流通路に粒子が堆積し、不具合が生じることがある。
上記特許文献3及び4は、本願発明と近似する技術となるものであるが、該特許文献3及び4に記載される塗布面の形状や構造では、未だ目元に使用すると上手くラインが描けないことがあるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2006/049283号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開2007−319392号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開2007−130157号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】特開2007−236529号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、大粒径の光輝材などを含むインクや液体化粧料などの塗布液であっても塗布部内の流路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させ、目元等の細い塗布部分であっても美麗な塗布ラインを描くことができる従来にない塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、液押圧機構により、液押圧機構の前方に内蔵された塗布液を吐出させる塗布液内蔵容器の前方に具備された、特定材質の塗布体を有する塗布具であって、前記塗布体の形状を特定形状とし、塗布体開口部の面を特定形状の面とすると共に、開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を備え、開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を除いた部分を、特定形状となる液流通路を有することなどにより、上記目的の塗布具が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0009】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)に存する。
(1) 液押圧機構により、液押圧機構の前方に内蔵された塗布液を吐出させる塗布液内蔵容器の前方に具備された、熱可塑性ゴム又は熱可塑性エラストマーで形成した塗布体を有する塗布具であって、前記塗布体は、先細りの形状を有し、塗布体内部に液流通路を形成し、塗布体は一つの塗布液流出開口部を有し、塗布体内部の液流通路と連通すると共に、前記開口部の面は略平面又は傾斜面で、該開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を備え、前記開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を除いた部分は、外径形状と略相似形の液流通路を有すること特徴とする塗布具。
(2) 前記開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面の先端を始点に2mm撓ませた際に、開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離をaとし、撓ませる前の開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離をbとしたときに、下記式(I)を満たすことを特徴とする上記(1)記載の塗布具。
a/b<0.9 ………(I)
(3) 前記塗布体内部の液流通路の断面積をBとし、開口部Aに接合する液流通路断面積をCとし、開口部Aの面積をSとしたときに、下記式(II)〜(IV)の全てを満たすことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の塗布具。
1.5mm2<B<3.0mm2 ………(II)
0.5mm2<C<B ………(III)
0.6mm2<S<2.0mm2 ………(IV)
(4) 前記液流通路の断面積Bと液流通路断面積Cの和を液流通路B−C間の距離Dで除したときの比において、下記式(V)を満たすことを特徴とする上記(3)に記載の塗布具。
(B+C)/D>0.5 ………(V)
であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の塗布具。
(5) 前記開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面を除いた部分の、塗布体の外径体積Yと、略相似形の液流通路の体積Xの比が下記式(VI)を満たすことを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の塗布具。
X/Y>0.4 ………(VI)
(6) 前記塗布液は、顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、分子量200〜4300のグリセリン誘導体3〜15質量%と、水とを含有し、かつ、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が20〜250mPa・sの範囲であることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の塗布具。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、塗布体内の液流通路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させて塗布液流出開口部に少量の化粧料等の塗布液を保持して、先細りの塗布面、外径寸法であっても塗布体の大きさが小さく、前記開口部の先に配置された塗布面の幅を細くできるので、細い塗布ラインを容易に描くことができる塗布具が提供される。
請求項2の発明では、巨大粒子を含有する塗布液であっても、塗布体内の流通路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させて細い塗布ラインを容易に描くことができる塗布具が提供される。
請求項3〜5の発明の塗布具では、塗布体の外形の大きさと比較して、内部の空間が大きく、この範囲で塗布体を形成することで、更に流路の確保、変形性を保つことができるので、塗布体内の液流通路で詰まらせることなく、更にスムーズに吐出させて、細い塗布ラインを容易に描くことができる塗布具が提供される。
請求項6の発明の塗布具では、塗布体内部での顔料を含む塗布液の詰まりをより防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る塗布具の全体断面の説明図である。
【図2】図1の塗布具における塗布体の説明図であって、(a)は塗布体の平面図、(b)は塗布体の断面図である。
【図3】(a)は塗布体における塗布面の先端を始点に2mm撓ませた際の塗布体の部分断面態様の説明図、(b)及び(c)は塗布体の形状、構造を詳述するための平面態様、並びに、断面態様で示す各説明図である。
【図4】本発明の塗布具の液押圧機構を他の実施形態とした場合の塗布具の全体断面の説明図である。
【図5】本発明の塗布具のシール部を他の実施形態とした場合のシール部の全体断面の説明図である。
【図6】実施例1の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【図7】実施例2の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【図8】実施例3の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【図9】比較例1の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【図10】比較例2の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【図11】比較例3の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る塗布具の全体断面の説明図であり、図2は図1の塗布具の塗布体の説明図であって、(a)は塗布体の平面図、(b)は塗布体の断面図である。
本発明の第1の実施形態に係る塗布具は、液押圧機構が回転式繰出タイプとなる塗布具であり、図1に示すように、液押圧機構10により、液押圧機構10の前方に内蔵された塗布液(本実施形態では、「液体化粧料」、以下同様)を吐出させる貯留部となる塗布液内蔵容器11の前方に具備された、熱可塑性ゴム又は熱可塑性エラストマーで形成した塗布体30を有するものである。
液押圧機構10は、軸本体12後端部に配設された繰り出し部材13を軸本体12に対して周方向に相対回転させることにより容器(貯留部)11内の塗布液を繰り出すことにより塗布体30に供給される構成となっている。
【0013】
この塗布具Aの液押圧機構10は、軸本体12の後端に回転可能に嵌合された繰り出し部材13と、使用者による繰り出し部材13の回転の力をネジ棒14に伝える駆動筒15と、軸本体12に固定してネジ棒14が螺合するネジ体16と、先端にピストン体17が回転可能に係合したネジ棒14と、軸本体12の貯留部11内を摺動するピストン体17とを有する。前記駆動筒15を介して繰り出し部材13の回転をネジ棒14に伝え、該ネジ棒14の回転によってナット状のネジ体16の雌ネジを介して該ネジ棒14及びピストン体17が前進して貯留部11内から前記塗布液を塗布体30へ繰出す構造になっている。
【0014】
繰り出し部材13は、図1に示すように、後端に天冠13aが嵌入することによって閉じられた筒状を呈する操作部が軸本体12後端部に回動可能に嵌め込まれかつ露出しているものである。駆動筒15が繰り出し部材13内に嵌入して回転方向に固定されており、この駆動筒15内に回転方向固定かつ軸方向への相対移動可能(ネジ体は動かない)にネジ体16が装着されている。13bは、スプリング部材であり、回転体となる繰り出し部材13を後方に付勢するものである(図1の矢印10の下にあるカム体と呼ばれるものを前方付勢するものである)。
この塗布具Aにおいて、軸本体12の前端部12aには、シール部18、継手部材19、先軸20、塗布体30が嵌入により取り付けられる。軸本体12の貯留部11には、塗布液が収容され、その貯留部11から繰出された塗布液は継手部材19内の流路を通り塗布体30に吐出されて塗布可能になる。また、使用後にキャップ40を塗布体30及び先軸20を覆うように先軸20に装着(嵌着)できるよう形成されている。
【0015】
また、図1において、図示符号21は、貯留部11内の塗布液を往復動によって攪拌する攪拌ボール、22はシールボールである。また、41はキャップ40内のインナーキャップ、42はインナーキャップ後方付勢用のスプリングである。
更に、図示符号23は、未使用時における塗布体30に向かう塗布液の流通路を閉鎖する位置にシール部18、継手部材19、先軸20、塗布体30を位置させるため、前記先軸20後端と軸本体12前端部12aの段状箇所前面との間にリング状部が装着されたストッパーである。このストッパー23は、リング状部の一部が切り離され、その切り離された箇所の反対側に摘み片が一体形成され、摘み片を引くことによって、リング状部が切り離し箇所から拡径して前記先軸20後端と軸本体12の前端部12aとの間から取り外せるものになっている。
【0016】
図1に示すように、未使用時ではシールボール22がシールボール受け部となるシール部18の内径部に嵌入して密封しており塗布体30側に塗布液が流れ込まないようになっている。一方、使用時は、ユーザーがストッパー23を軸本体12から引き抜き、先軸20を後端側に押し込むことにより、継手部材19の後端細径部がシールボール22に突き当たってシールボール22がシール部18の内径部から外されて前記貯留部11内に入り込み、当該貯留部11内の塗布液が継手部材19の内径部から塗布体30の液流路内に流入して、塗布体30にその内部から供給されて、対象部に塗布可能になる。
【0017】
本発明となる塗布体30は、図2(a)及び(b)に示すように、先細りの形状を有し、塗布体30内部に液流通路31を形成し、塗布体30は一つの塗布液流出開口部32(本実施形態では、平面視楕円状の開口部)を有し、塗布体30内部の液流通路31と連通すると共に、開口部32の面は略平面又は傾斜面(本実施形態では略平面)33で、開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面34を備え、開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面34を除いた部分は、外径形状と略相似形の液流通路31aを有するものである。この塗布体30は、先軸20内に嵌入され、後方のフランジ部35が先軸20の後方段部20aと継手部材19の先端部19aに挟まれて固着されるものである。
【0018】
この塗布体30において、好ましくは、開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面34の先端を始点に、図3(a)及び(b)に示すように、2mm撓ませた際に、開口部A(図示符合では32、以下同様)と、開口部A下部の液流通路底面31bとの距離をaとし、撓ませる前の開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離をbとしたときに、下記式(I)を満たすことが望ましい。
a/b<0.9 ………(I)
上記式(I)は、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面34の先端を始点に撓ませとき、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近する長さの関係を示す式であり、更に好ましくは、0.5≦a/b<0.9とすることが望ましい。
【0019】
上記式(I)を満たすことにより、塗布液の塗布体内部の流路31aでの目詰まりを防止することができる。特に、長期間の未使用において効果を発揮できるものとなる。
上記式(I)の技術的意義を更に詳述すると、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面34の先端を支点にたわませると〔図3(a)参照〕、開口部Aの下部付近で、屈曲点が発生して、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部へ接近する。さらに詳しくは、開口部Aの下部の液流通路31cは、塗布液内蔵側の開口部A下部から、先細りの略塗布面I方向に斜面が形成され、その角度(α)は160°〜175°となることが好ましい。
この塗布具を用いると塗布時には、前記斜面の始まり付近で屈曲点が発生しやすくなり、この作用で、開口部Aの下部付近で、屈曲点が発生して、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近することにより、液流路31cに保持された塗布液が、開口部Aから流出して、最初の半球状の塗布液に追加して、次の塗布液を供給できることで、塗布ラインがより長く描けることとなる。
また、塗布液に、特に、150μm〜300μmの大きな粒子、例えば、光輝性顔料粒子等を含む場合には、開口部Aの下部の底面が変形しやすく、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近するので、大きな粒子の堆積が少なくなるといった効果が得られる。更に、大きな粒子を含む塗布液を塗布した部位に再度塗布を繰り返したときも、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近しているので、大きな粒子を、開口部Aへ巻き込むことを防止することができる。
【0020】
更に、上記式(I)を満たすと共に、図3(b)に示すように、塗布体30内部の液流通路の断面積をBとし、開口部Aに接合する液流通路断面積をCとし、開口部Aの面積をSとしたときに、下記式(II)〜(IV)の全てを満たすことが好ましい。
1.5mm2<B<3.0mm2 ………(II)
0.5mm2<C<B ………(III)
0.6mm2<S<2.0mm2 ………(IV)
更に、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことにより、美麗な細い塗布ラインを描くことができ、また、塗布体の外形の大きさと比較して、内部の空間が大きく、これらの範囲で塗布体30を形成することで、流路の確保、変形性を効果的に保つことができ、本発明の効果を更に発揮することができるものとなる。
【0021】
更に詳述すれば、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことにより、開口部Aから吐出した塗布液は略半球状に流出し、半球状の塗布液が、開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を持った塗布面の先端を始点にして、開口部側方向に移動させると、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面34に必要十分な状態で移動する。その結果美麗な細い塗布ラインが描けることとなる。また、塗布ラインを描く始点が略開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iの先端と一致し、始まりの塗布ラインが描きやすくなる。開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iに溝等をつけることで、より好ましい状態となる。
更に、前述の開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近させる効果を発生させる作用もあり、広い面を塗布する、従来技術のように、開口部Aの面より先方に配置される塗布面の長さHと開口部長径Gの比率が、0.7<(H/G)<1.6の好ましい範囲から外れると、例えば、開口部Aの面より先方に配置される塗布面だけが、撓み、前述の開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近させる効果を失うことになる。この場合、塗布ラインを形成する、塗布液がなくなり再度塗布液を開口部Aから流出させる操作が必要となり煩雑である。また、塗布液に大きな粒子を含む場合、前述の開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近させる効果を失っているので、開口部Aへの大きな粒子の堆積がしやすくなり、繰り返し使用の場合、不具合が発生する場合があるが、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことなどにより、これらの問題も解消するものとなる。
また、単純に吐出させるには、液量を多く設定し開口部Aを大きく設計すれば塗布液の供給量および塗布液の大きな粒子を含む場合の大きな粒子の堆積の課題は回避される場合も得られる可能性はあるが、塗布ライン等が引けない、多量に付着する、塗布ライン開始点がわからない、鏡を見て化粧動作等をするとき塗布具に隠れて、不具合が発生するなどの問題が発生するものとなるが、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことなどにより、これらの問題も解消するものとなる。更にまた、塗布面の長さHを薄肉(塗布面の厚さFを例えば、0.5〜1.2mm)にすることで、開口部Aより先の塗布面の長さが短く、開口部の下部付近で、屈曲点が発生しやすい構造とすることで、断面C付近の液流路下部が変形しやすく、液が塗出しやすくなる。
【0022】
本発明では、更に、塗布体30の液流通路断面積Bと液流通路断面積Cの和を液流通路B−C間の距離Dで除したときの比において、下記式(V)を満たすことが好ましい〔図3(b)参照〕。
(B+C)/D>0.5 ………(V)
更にまた、先軸20から吐出部分において開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面34を除いた部分の、外径体積Yと、略相似形の液流通路の体積Xの比が下記式(VI)を満たすことが好ましい〔図3(b)参照〕。
X/Y>0.4 ………(VI)
上記式(V)及び/又は式(VI)を満たすことにより、塗布体の外形の大きさと比較して、内部の空間を更に大きくでき、これらの範囲〔上記式(V)及び/又は式(VI)、更に上記式(II)〜(IV)を含めた上記式(V)及び/又は式(VI)〕で塗布体30を形成することで、流路の更なる確保、変形性が相乗的にかつ効果的に保つことができ、本発明の効果を更に発揮することができるものとなる。
【0023】
以上のような構造特性を有する塗布体30は、スチレン系、エステル系、ウレタン系などの熱可塑性ゴム、熱可塑性エラストマーなどの材料を用いることにより、一体成形することができる。
好ましくは、成形性、塗布性、使用性等の点から、スチレン系エラストマーの使用が望ましく、さらに、塗布性、操作性を向上させるために、塗布体の硬度が柔らかすぎる場合は、上記熱可塑性エラストマーなどに、デュロメータA硬度を70以上となるように樹脂、例えば、PP、PE、TPU、PBTをブレンドしたものを用いても良いものである。
【0024】
本発明の塗布具に用いる塗布液としては、塗布具の形態により各種の塗布液を用いることができ、例えば、筆記具用インク、液体化粧料などを用いることができる。
本実施形態の塗布液は、上述の如く、液体化粧料として用いるものである。本発明の塗布具に好適な液体化粧料の配合組成としては、顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、分子量200〜4300のグリセリン誘導体と、水とを含有し、かつ、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が20〜250mPa・sの範囲となる組成から構成されるものが好ましい。
この化粧料は、耐水性、耐摩擦性に優れ、更にはノンドライ性に優れ、また塗布部が乾燥した場合の復帰性に優れた水系アイメイクアップ化粧料などに好適な液体化粧料となるものである。
【0025】
用いる顔料は、色材として用いるものであり、液体化粧料の顔料として通常使用されているものであれば、特に限定されず、無機顔料、有機顔料などを用いることができる。例えば、黒酸化鉄、黄酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化クロム、炭酸カルシウム、チタンイエロー、ベンガラや、二酸化チタン被覆燐片状チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、魚鱗箔、Nε−ラウロイル−L−リジン被膜タルクなどのパール顔料(高輝性粒子)、積層フィルム末や、青色1号Alレーキ、赤色205号、青色青226号、228号、青色404号などの有機顔料から選ばれる少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。本発明の塗布具では、上記顔料として、粒子径が150μm〜300μmとなるパール顔料(高輝性粒子)などの大きな粒子を含む場合にも、本発明の効果を発揮できるものとなる。なお、本発明(実施例等を含む)における「粒子径」は、顕微鏡により観察し、n=20以上の任意の部分の測定結果の平均粒子径に基づく値である。
これらの顔料の含有量は、発色性、好適な粘性、塗布部を具備する液体化粧料塗布具でのスムーズな吐出性の点などから、液体化粧料全量に対して、1〜20質量%(以下、単に「%」という)が好ましく、更に好ましくは、1〜10%が望ましい。
【0026】
用いる皮膜形成性樹脂からなる分散剤は、顔料の分散性を向上させると共に、皮膜形成の樹脂としても機能するものである。
用いることができる皮膜形成性樹脂からなる分散剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの(炭素数1〜4および炭素数8)アルキルエステルのうちから選択される1種又は2種以上の化合物を原料モノマーとする単独重合体若しくは共重合体が用いられる。好ましくは、その単独重合体もしくは共重合体は、その繰り返し構造中、側鎖として酸性残基を有するものであって、中和によって水に溶解し得るアクリル樹脂、アクリル酸アルキル共重合体が望ましい。
特に好ましいアクリル酸アルキル共重合体としては、tert−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、及びメタクリル酸からなる混合物の共重合体が例示され、市販品では、Luvimer 100P(BASF社製)などが挙げられる。
これらの皮膜形成性樹脂からなる分散剤の含有量は、顔料の分散安定性の向上の点から化粧料全量に対して、0.5〜5%が好ましく、更に好ましくは、2〜4%である。
【0027】
用いる被膜形成剤としては、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの(炭素数1〜4,炭素数6,8,10,12)アルキルエステル、並びに、スチレン,ジアセトンアクリルアミドの2種以上から選択される化合物を原料モノマーとする共重合体、あるいは共重合体のエマルジョン(モノマーを重合溶媒としての水の中で乳化重合させて得られた水懸濁液)が例示され、市販品では、アクリル樹脂アルカノールアミン液であるプラスサイズL−53P(応科学工業社製)などが挙げられる。
これらの被膜形成剤の含有量は、耐水性、耐摩擦性の効果の向上の点から、固形分換算で化粧料全量に対して、2〜15%が好ましい。
【0028】
用いる分子量200〜4300のグリセリン誘導体は、乾燥した皮膜形成樹脂を軟化(可塑化)させることにより、耐水性、耐摩擦性を維持しつつも、ノンドライ性を向上させ、かつ塗布部が乾燥した場合の復帰性に優れた機能を発揮せしめるために含有せしめるものであり、例えば、ポリグリセリン、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル等を用いることができる。
ポリグリセリンとしては、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等を用いることができ、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルとしては、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等を用いることができる。特に好ましいのは、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルである。
これらのグリセリン誘導体の含有量は、潤滑性の効果を十分に発揮させ、塗布具に充填した場合に、本発明の塗布体の開口部や塗布具内の流路で顔料粒子の流通性を更に向上させると共に、べたつき感がなく、乾燥性の向上の点から、化粧料全量に対して、3〜15%、4〜10%が好ましい。
また、他に用いることができる成分としては、液体化粧料に通常使用されるキレート剤、保湿剤、増粘剤(キサンタンガムなどの天然多糖類等)、水溶性高分子、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、香料などを含有することができ、残部は精製水、イオン交換水などの水で調製される。
更に、この液体化粧料では、顔料の沈降制御や再分散性、及び塗布性能の点から、EMD型粘度計、25℃、標準コーンローター20rpm、ずり速度76.8s−1のときの粘度範囲として、20〜250mPa・sとなる液体化粧料とするものであり、好ましくは、20〜200mPa・sとすることが望ましい。なお、本発明に用いる塗布液となる液体化粧料の粘度測定方法は、得られた液体化粧料を用いて、EMD型粘度計(東機産業社製)、25℃、標準コーンローター20rpm、ずり速度76.8s−1のときの粘度を測定したものである。
【0029】
このように構成される塗布具では、塗布部内の流路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させて塗布液流出開口部に少量の化粧料等の塗布液を保持して、先細りの塗布面、外径寸法であっても塗布体の大きさが小さく、塗布液流出開口部の先に配置された塗布面の幅を細くできるので、細い塗布ラインを容易に描くことができるものとなる。
特に、塗布体30において、開口部32の面より先方の先細り略平面部Iを有する塗布面34の先端を始点に、2mm撓ませた際に、上記式(I)を満たす塗布体を用いたものでは、開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を持った塗布面の先端を支点にたわませると、開口部の下部付近で、屈曲点が発生して、開口部下部の液流通路底面が開口部へ接近し、塗布時には、前期斜面の始まり付近で屈曲点が発生しやすくなり、この作用で、開口部Aの下部付近で、屈曲点が発生して、開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近することにより、液流路に保持された化粧料が、開口部Aから流出して、最初の半球状の化粧料に追加して、化粧料を供給できることで、ラインがより長く描けることができ、大きな粒子を含む場合にも、開口部Aの下部の底面が変形しやすく、開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近するので、大きな粒子の堆積が少なくなるといった効果が得られ、また、大きな粒子を含む化粧料を塗布した部位に再度塗布を繰り返したときも、開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近しているので、大きな粒子を、開口部Aへ巻き込むことを防止できるものとなる。
【0030】
本発明の塗布具は、上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明の塗布具は、塗布体30の形状、構造等に特徴を有するものであるので、これ以外の構成については適宜他の形態を採用することができるものである。
例えば、上記実施形態では、塗布具としてリキッドアイライナーおよびリキッドアイシャドの塗布具を例にして説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、眉毛にラインを描くアイブロー塗布具、肌にラインを描くことにも適用することができ他、塗布液を筆記具洋インクとし、細いラインを描くことができる筆記具としてもよいものである。
また、塗布体30の開口部32、塗布面34の周囲面の面取り処理をそれぞれ施してもよいものである。
更に、上記実施形態の塗布具の液押圧機構として、図1に示す、回転式繰出タイプとなる塗布具を用いたが、例えば、図4に示す、ノック式繰出タイプとなる塗布具を用いても良いものである。
【0031】
図4は、ノック式繰出タイプの塗布具の説明図である。なお、図4中、上記第1の実施形態と同様の箇所には、同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施形態に係るノック式繰出タイプの塗布具は、図4に示すように、軸本体12後端部に配設されたノック部材50を軸方向前方に押圧することにより貯留部11内の塗布液を繰り出すことができるものであって、使用者のノック操作によるノック部材50の押圧の力をカム機構により回転の力に変換するノック機構部60と、軸本体12に固定したネジ体61と、ネジ体61に螺合させたネジ棒62とを有し、そのノック機構部60が変換した回転の力でネジ棒62を回転させることによってネジ体61を介して該ネジ棒62を前進させて前記塗布液を繰出すものである。また、ノック部材50の押圧による力を回転の力に変換するノック機構部60は、第1及び第2のカム面を有する回転体63と、第1の固定カム面を有するネジ体61、第2の固定カム面を有するカム体65とを主な構成要素とするものである。
【0032】
このノック式繰出タイプの塗布具は、ノック部材50を軸線方向に押圧してノックを開始すると、ノック部材50と回転体63はバネ部材64を圧縮させながら一体的に前方へ移動を開始し、さらにノックを続けると、回転体63が所定方向に回転しながら前方へ移動する。この時、回転体63はノック部材50に対して回転可能に取り付けられているためノック部材50自体は回転しない。このノック時の回転体63の回転に伴い、回転体63と回転方向に規制され軸線方向に移動自由に設けたネジ棒62が回転体63と一体的に回転する。ネジ棒62はネジ体61と螺合していることによりピストン体66と共に前進し貯留部11の塗布液を繰り出すものとなる。この状態からノックを解除する。ネジ体61内部に配設されたバネ部材64が回転体63を押上げることでノックを解除して行くが、この時、回転体63は所定回転方向に回転及び後方へ移動を開始する。さらにノック解除を続けると、バネ部材64の押上げ力で回転体63も回転しながら後退する。この回転時も上記の通りネジ棒62を回転させピストン体66と共に前進し、塗布液を繰り出すものとなる。上記のノック動作を繰り返すことにより、軸線方向のノック動作及び解除動作が回転の力に変換され、ネジ棒62を回転させ、ピストン体66を押し出すことで塗布液を定量的に繰出すことが可能となる。
【0033】
更に、図1及び図4の各実施形態の塗布具において、継手部材19を密封するのに、シールボール受け部となるシール18にシールボール22を使用して行ったが、シールボール22の使用に限定されない。例えば、図5に示すように、内部に密封部材となる環状薄膜18aをシール部18に一体的に設けてシールボール22の代わりにすることができる。
この形態では、未使用時では環状薄膜18aがシール部18の内部に液流路を密封しており、塗布体30側に塗布液が流れ込まないようになっている。一方、使用時は、上記第1実施形態と同様に、ユーザーがストッパー23を軸本体12から引き抜き、先軸20を後端側に押し込むことにより、継手部材19の後端細径部が環状薄膜18aに突き当たって環状薄膜18aの外周状に形成した切り欠き溝(断面V字溝)18bにより環状薄膜18aがシールボール受け部18の内径部から一部外れて、当該貯留部11内の塗布液が継手部材19の内径部から塗布体30の液流路内に流入して、塗布体30にその内部から供給されて、対象部に塗布可能になるものである。
【0034】
また、上記式(I)、(II)〜(IV)及び(V)の少なくとも1つを満たす塗布体30において、更に、本発明の効果を発揮せしめる点から、図3(b)に示すように、塗布体内部の液流通路Bから開口部Aに接合する液流通路Cまでの距離Dが0mm<D<5mmとすることが好ましく、また、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面の先端は、開口部面視で先端の幅Eは0.8mm<E<1.6mmとすることが望ましい。
【実施例】
【0035】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0036】
(実施例1〜3及び比較例1〜3)
下記表1に示す式(I)、式(II)〜(IV)、式(V)並びに、図6〜図11に示す形状、寸法となる実施例1〜3及び比較例1〜3の塗布体、下記表2に示す組成の塗布液(組成例1、充填量:1.4ml)を用いて、図1に準拠する各塗布具(製品)を作製して、下記評価方法により、アイラインの書き易さ、塗布体の目詰まりの各評価を行った。これらの結果を下記表3に示す。なお、上記各塗布体は、スチレン系エラストマー(リケンテクノス社製、商品名「アクティマー」)を用いて成形法で一体成形したものである。
【0037】
(アイラインの書き易さの評価方法)
任意のモニター20名より、試験液となる塗布液を充填した製品にて、官能による3段階評価で、塗布性を評価した。
(目詰まりの評価方法)
得られた塗布液を恒温層にて温度50℃、0%内に保存し、7日間保存の後、塗布可能かを3段階評価で、評価した。(n=20)
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
上記表1〜3の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜3(図6〜図8)の塗布体を用いた塗布具は、本発明範囲外となる比較例1〜3(図9〜図11)の塗布体を用いた塗布具に較べ、塗布体の目詰まりもなく、簡単に細いアイラインを描くことができることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0042】
リキッドアイライナー、リキッドアイシャドなどの塗布具に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 液押圧機構
12 軸本体
13 繰り出し部材
17 ピストン体
18 シール部
19 継手部材
20 先軸
30 塗布体
31 液流通路
32 開口部
34 塗布面
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクや液体化粧料などの塗布液、特に巨大粒子を含有する塗布液を塗布部内の流路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させ、美麗な塗布ラインを描くことができる塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体化粧料などの塗布液を内蔵する塗布具を用いて、目元に使用すると上手くラインが描けないことがある。この解決策として、単純に各部寸法を小さくすることでラインを描くことは可能であるが、使い勝手等が悪くなるものである。
【0003】
従来における塗布具の代表的な技術としては、例えば、1)本体内部の塗布液を加圧する液押圧手段を具備し、該液押圧手段の押圧により塗布液を先端の塗布体へと供給するようにした皮膚や、口腔など広範囲に塗り広げることを特徴とした塗布具において、前記塗布体は、弾性材からなり、本体内部と外部に通じる連通路が形成されていて、常態において該連通路を弾性によって閉止し、且つ塗布液が液押圧手段によって加圧された際に、該連通路が弾性変形して開放しうる弁機構を有し、該塗布体の塗布部分には、弁機構の連通路のスリット状の吐出口が臨んでいることを特徴とする塗布具(例えば、特許文献1参照)、2)粘性化粧料を中味戻し可能な押出し容器内に収納した粘性化粧品において、塗布部は弾性材からなり、塗布面は、容器本体の縦軸に対して傾斜している平らな傾斜面であり、容器の筒状の粘性化粧料供給パイプは直径1.7乃至2.2mmであり、そこから連通して粘性化粧料を外方に吐出すための吐出口が開口状態で塗布面に設けられ、粘性化粧料は、ずり速度が0乃至5sec−1において19000mPa・s以上の粘度を有し、ずり速度が40sec−1で11000mPa・s以下の粘度を有し、さらにジプロピレングリコールを0.2wt%以上で含有する粘性化粧品(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0004】
また、3)高粘度の塗布液であっても、皮膚や、口腔などの広範囲に簡便に塗布しうる液体塗布具を提供するために、液体塗布具は、本体内部の塗布液を加圧する液押圧機構(液押圧手段)を具備し、液押圧機構の押圧により塗布液を塗布体へと供給すると共に、前記塗布体は、ゴム、エラストマー、または復元性を有する独立気泡体からなる弾性材からなり、本体内部と外部に通じる貫通孔からなる連通路が形成され、前記塗布体の塗布部分は、連通路のスリット状の吐出口から更に先端へ突出して設けられていることを特徴とする塗布具(例えば、特許文献3参照)、4)塗布体の硬度および曲がり弾性力が適正で塗りむらムラ無く塗布性が良好な液体塗布具を提供するために、液体塗布具は、本体内部の塗布液を加圧する液体加圧機構(液押圧手段)を具備し、該液体加圧機構の押圧により塗布液を本体先端の塗布体へと供給するようにした液体塗布具において、塗布体は、弾性材からなり、本体内部と外部に通じる連通路が形成され、塗布部分が、該連通路の吐出口から更に先端へ突出して設けられており、前記塗布部分は、その先端より3(mm)の部分の垂直方向反発力が0.01〜1.40(N)である液体塗布具(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜4の塗布具等において、これに大きな粒子径、例えば、大粒径光輝材などを含んだ化粧料等を内蔵すると、塗布部内部に詰まり、また繰り返し使用しているとその傾向がさらに多くなることがある。また、塗布部が筆の場合、繰り返し使用時において、大きな粒子が筆繊維間でろ過され、筆内部の液流通路に粒子が堆積し、不具合が生じることがある。
上記特許文献3及び4は、本願発明と近似する技術となるものであるが、該特許文献3及び4に記載される塗布面の形状や構造では、未だ目元に使用すると上手くラインが描けないことがあるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2006/049283号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開2007−319392号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開2007−130157号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】特開2007−236529号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、大粒径の光輝材などを含むインクや液体化粧料などの塗布液であっても塗布部内の流路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させ、目元等の細い塗布部分であっても美麗な塗布ラインを描くことができる従来にない塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、液押圧機構により、液押圧機構の前方に内蔵された塗布液を吐出させる塗布液内蔵容器の前方に具備された、特定材質の塗布体を有する塗布具であって、前記塗布体の形状を特定形状とし、塗布体開口部の面を特定形状の面とすると共に、開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を備え、開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を除いた部分を、特定形状となる液流通路を有することなどにより、上記目的の塗布具が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0009】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)に存する。
(1) 液押圧機構により、液押圧機構の前方に内蔵された塗布液を吐出させる塗布液内蔵容器の前方に具備された、熱可塑性ゴム又は熱可塑性エラストマーで形成した塗布体を有する塗布具であって、前記塗布体は、先細りの形状を有し、塗布体内部に液流通路を形成し、塗布体は一つの塗布液流出開口部を有し、塗布体内部の液流通路と連通すると共に、前記開口部の面は略平面又は傾斜面で、該開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を備え、前記開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を除いた部分は、外径形状と略相似形の液流通路を有すること特徴とする塗布具。
(2) 前記開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面の先端を始点に2mm撓ませた際に、開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離をaとし、撓ませる前の開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離をbとしたときに、下記式(I)を満たすことを特徴とする上記(1)記載の塗布具。
a/b<0.9 ………(I)
(3) 前記塗布体内部の液流通路の断面積をBとし、開口部Aに接合する液流通路断面積をCとし、開口部Aの面積をSとしたときに、下記式(II)〜(IV)の全てを満たすことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の塗布具。
1.5mm2<B<3.0mm2 ………(II)
0.5mm2<C<B ………(III)
0.6mm2<S<2.0mm2 ………(IV)
(4) 前記液流通路の断面積Bと液流通路断面積Cの和を液流通路B−C間の距離Dで除したときの比において、下記式(V)を満たすことを特徴とする上記(3)に記載の塗布具。
(B+C)/D>0.5 ………(V)
であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の塗布具。
(5) 前記開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面を除いた部分の、塗布体の外径体積Yと、略相似形の液流通路の体積Xの比が下記式(VI)を満たすことを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の塗布具。
X/Y>0.4 ………(VI)
(6) 前記塗布液は、顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、分子量200〜4300のグリセリン誘導体3〜15質量%と、水とを含有し、かつ、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が20〜250mPa・sの範囲であることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の塗布具。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、塗布体内の液流通路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させて塗布液流出開口部に少量の化粧料等の塗布液を保持して、先細りの塗布面、外径寸法であっても塗布体の大きさが小さく、前記開口部の先に配置された塗布面の幅を細くできるので、細い塗布ラインを容易に描くことができる塗布具が提供される。
請求項2の発明では、巨大粒子を含有する塗布液であっても、塗布体内の流通路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させて細い塗布ラインを容易に描くことができる塗布具が提供される。
請求項3〜5の発明の塗布具では、塗布体の外形の大きさと比較して、内部の空間が大きく、この範囲で塗布体を形成することで、更に流路の確保、変形性を保つことができるので、塗布体内の液流通路で詰まらせることなく、更にスムーズに吐出させて、細い塗布ラインを容易に描くことができる塗布具が提供される。
請求項6の発明の塗布具では、塗布体内部での顔料を含む塗布液の詰まりをより防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る塗布具の全体断面の説明図である。
【図2】図1の塗布具における塗布体の説明図であって、(a)は塗布体の平面図、(b)は塗布体の断面図である。
【図3】(a)は塗布体における塗布面の先端を始点に2mm撓ませた際の塗布体の部分断面態様の説明図、(b)及び(c)は塗布体の形状、構造を詳述するための平面態様、並びに、断面態様で示す各説明図である。
【図4】本発明の塗布具の液押圧機構を他の実施形態とした場合の塗布具の全体断面の説明図である。
【図5】本発明の塗布具のシール部を他の実施形態とした場合のシール部の全体断面の説明図である。
【図6】実施例1の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【図7】実施例2の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【図8】実施例3の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【図9】比較例1の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【図10】比較例2の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【図11】比較例3の塗布体の部品図であり、平面図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る塗布具の全体断面の説明図であり、図2は図1の塗布具の塗布体の説明図であって、(a)は塗布体の平面図、(b)は塗布体の断面図である。
本発明の第1の実施形態に係る塗布具は、液押圧機構が回転式繰出タイプとなる塗布具であり、図1に示すように、液押圧機構10により、液押圧機構10の前方に内蔵された塗布液(本実施形態では、「液体化粧料」、以下同様)を吐出させる貯留部となる塗布液内蔵容器11の前方に具備された、熱可塑性ゴム又は熱可塑性エラストマーで形成した塗布体30を有するものである。
液押圧機構10は、軸本体12後端部に配設された繰り出し部材13を軸本体12に対して周方向に相対回転させることにより容器(貯留部)11内の塗布液を繰り出すことにより塗布体30に供給される構成となっている。
【0013】
この塗布具Aの液押圧機構10は、軸本体12の後端に回転可能に嵌合された繰り出し部材13と、使用者による繰り出し部材13の回転の力をネジ棒14に伝える駆動筒15と、軸本体12に固定してネジ棒14が螺合するネジ体16と、先端にピストン体17が回転可能に係合したネジ棒14と、軸本体12の貯留部11内を摺動するピストン体17とを有する。前記駆動筒15を介して繰り出し部材13の回転をネジ棒14に伝え、該ネジ棒14の回転によってナット状のネジ体16の雌ネジを介して該ネジ棒14及びピストン体17が前進して貯留部11内から前記塗布液を塗布体30へ繰出す構造になっている。
【0014】
繰り出し部材13は、図1に示すように、後端に天冠13aが嵌入することによって閉じられた筒状を呈する操作部が軸本体12後端部に回動可能に嵌め込まれかつ露出しているものである。駆動筒15が繰り出し部材13内に嵌入して回転方向に固定されており、この駆動筒15内に回転方向固定かつ軸方向への相対移動可能(ネジ体は動かない)にネジ体16が装着されている。13bは、スプリング部材であり、回転体となる繰り出し部材13を後方に付勢するものである(図1の矢印10の下にあるカム体と呼ばれるものを前方付勢するものである)。
この塗布具Aにおいて、軸本体12の前端部12aには、シール部18、継手部材19、先軸20、塗布体30が嵌入により取り付けられる。軸本体12の貯留部11には、塗布液が収容され、その貯留部11から繰出された塗布液は継手部材19内の流路を通り塗布体30に吐出されて塗布可能になる。また、使用後にキャップ40を塗布体30及び先軸20を覆うように先軸20に装着(嵌着)できるよう形成されている。
【0015】
また、図1において、図示符号21は、貯留部11内の塗布液を往復動によって攪拌する攪拌ボール、22はシールボールである。また、41はキャップ40内のインナーキャップ、42はインナーキャップ後方付勢用のスプリングである。
更に、図示符号23は、未使用時における塗布体30に向かう塗布液の流通路を閉鎖する位置にシール部18、継手部材19、先軸20、塗布体30を位置させるため、前記先軸20後端と軸本体12前端部12aの段状箇所前面との間にリング状部が装着されたストッパーである。このストッパー23は、リング状部の一部が切り離され、その切り離された箇所の反対側に摘み片が一体形成され、摘み片を引くことによって、リング状部が切り離し箇所から拡径して前記先軸20後端と軸本体12の前端部12aとの間から取り外せるものになっている。
【0016】
図1に示すように、未使用時ではシールボール22がシールボール受け部となるシール部18の内径部に嵌入して密封しており塗布体30側に塗布液が流れ込まないようになっている。一方、使用時は、ユーザーがストッパー23を軸本体12から引き抜き、先軸20を後端側に押し込むことにより、継手部材19の後端細径部がシールボール22に突き当たってシールボール22がシール部18の内径部から外されて前記貯留部11内に入り込み、当該貯留部11内の塗布液が継手部材19の内径部から塗布体30の液流路内に流入して、塗布体30にその内部から供給されて、対象部に塗布可能になる。
【0017】
本発明となる塗布体30は、図2(a)及び(b)に示すように、先細りの形状を有し、塗布体30内部に液流通路31を形成し、塗布体30は一つの塗布液流出開口部32(本実施形態では、平面視楕円状の開口部)を有し、塗布体30内部の液流通路31と連通すると共に、開口部32の面は略平面又は傾斜面(本実施形態では略平面)33で、開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面34を備え、開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面34を除いた部分は、外径形状と略相似形の液流通路31aを有するものである。この塗布体30は、先軸20内に嵌入され、後方のフランジ部35が先軸20の後方段部20aと継手部材19の先端部19aに挟まれて固着されるものである。
【0018】
この塗布体30において、好ましくは、開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面34の先端を始点に、図3(a)及び(b)に示すように、2mm撓ませた際に、開口部A(図示符合では32、以下同様)と、開口部A下部の液流通路底面31bとの距離をaとし、撓ませる前の開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離をbとしたときに、下記式(I)を満たすことが望ましい。
a/b<0.9 ………(I)
上記式(I)は、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面34の先端を始点に撓ませとき、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近する長さの関係を示す式であり、更に好ましくは、0.5≦a/b<0.9とすることが望ましい。
【0019】
上記式(I)を満たすことにより、塗布液の塗布体内部の流路31aでの目詰まりを防止することができる。特に、長期間の未使用において効果を発揮できるものとなる。
上記式(I)の技術的意義を更に詳述すると、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面34の先端を支点にたわませると〔図3(a)参照〕、開口部Aの下部付近で、屈曲点が発生して、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部へ接近する。さらに詳しくは、開口部Aの下部の液流通路31cは、塗布液内蔵側の開口部A下部から、先細りの略塗布面I方向に斜面が形成され、その角度(α)は160°〜175°となることが好ましい。
この塗布具を用いると塗布時には、前記斜面の始まり付近で屈曲点が発生しやすくなり、この作用で、開口部Aの下部付近で、屈曲点が発生して、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近することにより、液流路31cに保持された塗布液が、開口部Aから流出して、最初の半球状の塗布液に追加して、次の塗布液を供給できることで、塗布ラインがより長く描けることとなる。
また、塗布液に、特に、150μm〜300μmの大きな粒子、例えば、光輝性顔料粒子等を含む場合には、開口部Aの下部の底面が変形しやすく、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近するので、大きな粒子の堆積が少なくなるといった効果が得られる。更に、大きな粒子を含む塗布液を塗布した部位に再度塗布を繰り返したときも、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近しているので、大きな粒子を、開口部Aへ巻き込むことを防止することができる。
【0020】
更に、上記式(I)を満たすと共に、図3(b)に示すように、塗布体30内部の液流通路の断面積をBとし、開口部Aに接合する液流通路断面積をCとし、開口部Aの面積をSとしたときに、下記式(II)〜(IV)の全てを満たすことが好ましい。
1.5mm2<B<3.0mm2 ………(II)
0.5mm2<C<B ………(III)
0.6mm2<S<2.0mm2 ………(IV)
更に、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことにより、美麗な細い塗布ラインを描くことができ、また、塗布体の外形の大きさと比較して、内部の空間が大きく、これらの範囲で塗布体30を形成することで、流路の確保、変形性を効果的に保つことができ、本発明の効果を更に発揮することができるものとなる。
【0021】
更に詳述すれば、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことにより、開口部Aから吐出した塗布液は略半球状に流出し、半球状の塗布液が、開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を持った塗布面の先端を始点にして、開口部側方向に移動させると、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面34に必要十分な状態で移動する。その結果美麗な細い塗布ラインが描けることとなる。また、塗布ラインを描く始点が略開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iの先端と一致し、始まりの塗布ラインが描きやすくなる。開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iに溝等をつけることで、より好ましい状態となる。
更に、前述の開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近させる効果を発生させる作用もあり、広い面を塗布する、従来技術のように、開口部Aの面より先方に配置される塗布面の長さHと開口部長径Gの比率が、0.7<(H/G)<1.6の好ましい範囲から外れると、例えば、開口部Aの面より先方に配置される塗布面だけが、撓み、前述の開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近させる効果を失うことになる。この場合、塗布ラインを形成する、塗布液がなくなり再度塗布液を開口部Aから流出させる操作が必要となり煩雑である。また、塗布液に大きな粒子を含む場合、前述の開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近させる効果を失っているので、開口部Aへの大きな粒子の堆積がしやすくなり、繰り返し使用の場合、不具合が発生する場合があるが、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことなどにより、これらの問題も解消するものとなる。
また、単純に吐出させるには、液量を多く設定し開口部Aを大きく設計すれば塗布液の供給量および塗布液の大きな粒子を含む場合の大きな粒子の堆積の課題は回避される場合も得られる可能性はあるが、塗布ライン等が引けない、多量に付着する、塗布ライン開始点がわからない、鏡を見て化粧動作等をするとき塗布具に隠れて、不具合が発生するなどの問題が発生するものとなるが、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことなどにより、これらの問題も解消するものとなる。更にまた、塗布面の長さHを薄肉(塗布面の厚さFを例えば、0.5〜1.2mm)にすることで、開口部Aより先の塗布面の長さが短く、開口部の下部付近で、屈曲点が発生しやすい構造とすることで、断面C付近の液流路下部が変形しやすく、液が塗出しやすくなる。
【0022】
本発明では、更に、塗布体30の液流通路断面積Bと液流通路断面積Cの和を液流通路B−C間の距離Dで除したときの比において、下記式(V)を満たすことが好ましい〔図3(b)参照〕。
(B+C)/D>0.5 ………(V)
更にまた、先軸20から吐出部分において開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面34を除いた部分の、外径体積Yと、略相似形の液流通路の体積Xの比が下記式(VI)を満たすことが好ましい〔図3(b)参照〕。
X/Y>0.4 ………(VI)
上記式(V)及び/又は式(VI)を満たすことにより、塗布体の外形の大きさと比較して、内部の空間を更に大きくでき、これらの範囲〔上記式(V)及び/又は式(VI)、更に上記式(II)〜(IV)を含めた上記式(V)及び/又は式(VI)〕で塗布体30を形成することで、流路の更なる確保、変形性が相乗的にかつ効果的に保つことができ、本発明の効果を更に発揮することができるものとなる。
【0023】
以上のような構造特性を有する塗布体30は、スチレン系、エステル系、ウレタン系などの熱可塑性ゴム、熱可塑性エラストマーなどの材料を用いることにより、一体成形することができる。
好ましくは、成形性、塗布性、使用性等の点から、スチレン系エラストマーの使用が望ましく、さらに、塗布性、操作性を向上させるために、塗布体の硬度が柔らかすぎる場合は、上記熱可塑性エラストマーなどに、デュロメータA硬度を70以上となるように樹脂、例えば、PP、PE、TPU、PBTをブレンドしたものを用いても良いものである。
【0024】
本発明の塗布具に用いる塗布液としては、塗布具の形態により各種の塗布液を用いることができ、例えば、筆記具用インク、液体化粧料などを用いることができる。
本実施形態の塗布液は、上述の如く、液体化粧料として用いるものである。本発明の塗布具に好適な液体化粧料の配合組成としては、顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、分子量200〜4300のグリセリン誘導体と、水とを含有し、かつ、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が20〜250mPa・sの範囲となる組成から構成されるものが好ましい。
この化粧料は、耐水性、耐摩擦性に優れ、更にはノンドライ性に優れ、また塗布部が乾燥した場合の復帰性に優れた水系アイメイクアップ化粧料などに好適な液体化粧料となるものである。
【0025】
用いる顔料は、色材として用いるものであり、液体化粧料の顔料として通常使用されているものであれば、特に限定されず、無機顔料、有機顔料などを用いることができる。例えば、黒酸化鉄、黄酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化クロム、炭酸カルシウム、チタンイエロー、ベンガラや、二酸化チタン被覆燐片状チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、魚鱗箔、Nε−ラウロイル−L−リジン被膜タルクなどのパール顔料(高輝性粒子)、積層フィルム末や、青色1号Alレーキ、赤色205号、青色青226号、228号、青色404号などの有機顔料から選ばれる少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。本発明の塗布具では、上記顔料として、粒子径が150μm〜300μmとなるパール顔料(高輝性粒子)などの大きな粒子を含む場合にも、本発明の効果を発揮できるものとなる。なお、本発明(実施例等を含む)における「粒子径」は、顕微鏡により観察し、n=20以上の任意の部分の測定結果の平均粒子径に基づく値である。
これらの顔料の含有量は、発色性、好適な粘性、塗布部を具備する液体化粧料塗布具でのスムーズな吐出性の点などから、液体化粧料全量に対して、1〜20質量%(以下、単に「%」という)が好ましく、更に好ましくは、1〜10%が望ましい。
【0026】
用いる皮膜形成性樹脂からなる分散剤は、顔料の分散性を向上させると共に、皮膜形成の樹脂としても機能するものである。
用いることができる皮膜形成性樹脂からなる分散剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの(炭素数1〜4および炭素数8)アルキルエステルのうちから選択される1種又は2種以上の化合物を原料モノマーとする単独重合体若しくは共重合体が用いられる。好ましくは、その単独重合体もしくは共重合体は、その繰り返し構造中、側鎖として酸性残基を有するものであって、中和によって水に溶解し得るアクリル樹脂、アクリル酸アルキル共重合体が望ましい。
特に好ましいアクリル酸アルキル共重合体としては、tert−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、及びメタクリル酸からなる混合物の共重合体が例示され、市販品では、Luvimer 100P(BASF社製)などが挙げられる。
これらの皮膜形成性樹脂からなる分散剤の含有量は、顔料の分散安定性の向上の点から化粧料全量に対して、0.5〜5%が好ましく、更に好ましくは、2〜4%である。
【0027】
用いる被膜形成剤としては、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの(炭素数1〜4,炭素数6,8,10,12)アルキルエステル、並びに、スチレン,ジアセトンアクリルアミドの2種以上から選択される化合物を原料モノマーとする共重合体、あるいは共重合体のエマルジョン(モノマーを重合溶媒としての水の中で乳化重合させて得られた水懸濁液)が例示され、市販品では、アクリル樹脂アルカノールアミン液であるプラスサイズL−53P(応科学工業社製)などが挙げられる。
これらの被膜形成剤の含有量は、耐水性、耐摩擦性の効果の向上の点から、固形分換算で化粧料全量に対して、2〜15%が好ましい。
【0028】
用いる分子量200〜4300のグリセリン誘導体は、乾燥した皮膜形成樹脂を軟化(可塑化)させることにより、耐水性、耐摩擦性を維持しつつも、ノンドライ性を向上させ、かつ塗布部が乾燥した場合の復帰性に優れた機能を発揮せしめるために含有せしめるものであり、例えば、ポリグリセリン、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル等を用いることができる。
ポリグリセリンとしては、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等を用いることができ、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルとしては、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等を用いることができる。特に好ましいのは、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルである。
これらのグリセリン誘導体の含有量は、潤滑性の効果を十分に発揮させ、塗布具に充填した場合に、本発明の塗布体の開口部や塗布具内の流路で顔料粒子の流通性を更に向上させると共に、べたつき感がなく、乾燥性の向上の点から、化粧料全量に対して、3〜15%、4〜10%が好ましい。
また、他に用いることができる成分としては、液体化粧料に通常使用されるキレート剤、保湿剤、増粘剤(キサンタンガムなどの天然多糖類等)、水溶性高分子、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、香料などを含有することができ、残部は精製水、イオン交換水などの水で調製される。
更に、この液体化粧料では、顔料の沈降制御や再分散性、及び塗布性能の点から、EMD型粘度計、25℃、標準コーンローター20rpm、ずり速度76.8s−1のときの粘度範囲として、20〜250mPa・sとなる液体化粧料とするものであり、好ましくは、20〜200mPa・sとすることが望ましい。なお、本発明に用いる塗布液となる液体化粧料の粘度測定方法は、得られた液体化粧料を用いて、EMD型粘度計(東機産業社製)、25℃、標準コーンローター20rpm、ずり速度76.8s−1のときの粘度を測定したものである。
【0029】
このように構成される塗布具では、塗布部内の流路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させて塗布液流出開口部に少量の化粧料等の塗布液を保持して、先細りの塗布面、外径寸法であっても塗布体の大きさが小さく、塗布液流出開口部の先に配置された塗布面の幅を細くできるので、細い塗布ラインを容易に描くことができるものとなる。
特に、塗布体30において、開口部32の面より先方の先細り略平面部Iを有する塗布面34の先端を始点に、2mm撓ませた際に、上記式(I)を満たす塗布体を用いたものでは、開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を持った塗布面の先端を支点にたわませると、開口部の下部付近で、屈曲点が発生して、開口部下部の液流通路底面が開口部へ接近し、塗布時には、前期斜面の始まり付近で屈曲点が発生しやすくなり、この作用で、開口部Aの下部付近で、屈曲点が発生して、開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近することにより、液流路に保持された化粧料が、開口部Aから流出して、最初の半球状の化粧料に追加して、化粧料を供給できることで、ラインがより長く描けることができ、大きな粒子を含む場合にも、開口部Aの下部の底面が変形しやすく、開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近するので、大きな粒子の堆積が少なくなるといった効果が得られ、また、大きな粒子を含む化粧料を塗布した部位に再度塗布を繰り返したときも、開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近しているので、大きな粒子を、開口部Aへ巻き込むことを防止できるものとなる。
【0030】
本発明の塗布具は、上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明の塗布具は、塗布体30の形状、構造等に特徴を有するものであるので、これ以外の構成については適宜他の形態を採用することができるものである。
例えば、上記実施形態では、塗布具としてリキッドアイライナーおよびリキッドアイシャドの塗布具を例にして説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、眉毛にラインを描くアイブロー塗布具、肌にラインを描くことにも適用することができ他、塗布液を筆記具洋インクとし、細いラインを描くことができる筆記具としてもよいものである。
また、塗布体30の開口部32、塗布面34の周囲面の面取り処理をそれぞれ施してもよいものである。
更に、上記実施形態の塗布具の液押圧機構として、図1に示す、回転式繰出タイプとなる塗布具を用いたが、例えば、図4に示す、ノック式繰出タイプとなる塗布具を用いても良いものである。
【0031】
図4は、ノック式繰出タイプの塗布具の説明図である。なお、図4中、上記第1の実施形態と同様の箇所には、同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施形態に係るノック式繰出タイプの塗布具は、図4に示すように、軸本体12後端部に配設されたノック部材50を軸方向前方に押圧することにより貯留部11内の塗布液を繰り出すことができるものであって、使用者のノック操作によるノック部材50の押圧の力をカム機構により回転の力に変換するノック機構部60と、軸本体12に固定したネジ体61と、ネジ体61に螺合させたネジ棒62とを有し、そのノック機構部60が変換した回転の力でネジ棒62を回転させることによってネジ体61を介して該ネジ棒62を前進させて前記塗布液を繰出すものである。また、ノック部材50の押圧による力を回転の力に変換するノック機構部60は、第1及び第2のカム面を有する回転体63と、第1の固定カム面を有するネジ体61、第2の固定カム面を有するカム体65とを主な構成要素とするものである。
【0032】
このノック式繰出タイプの塗布具は、ノック部材50を軸線方向に押圧してノックを開始すると、ノック部材50と回転体63はバネ部材64を圧縮させながら一体的に前方へ移動を開始し、さらにノックを続けると、回転体63が所定方向に回転しながら前方へ移動する。この時、回転体63はノック部材50に対して回転可能に取り付けられているためノック部材50自体は回転しない。このノック時の回転体63の回転に伴い、回転体63と回転方向に規制され軸線方向に移動自由に設けたネジ棒62が回転体63と一体的に回転する。ネジ棒62はネジ体61と螺合していることによりピストン体66と共に前進し貯留部11の塗布液を繰り出すものとなる。この状態からノックを解除する。ネジ体61内部に配設されたバネ部材64が回転体63を押上げることでノックを解除して行くが、この時、回転体63は所定回転方向に回転及び後方へ移動を開始する。さらにノック解除を続けると、バネ部材64の押上げ力で回転体63も回転しながら後退する。この回転時も上記の通りネジ棒62を回転させピストン体66と共に前進し、塗布液を繰り出すものとなる。上記のノック動作を繰り返すことにより、軸線方向のノック動作及び解除動作が回転の力に変換され、ネジ棒62を回転させ、ピストン体66を押し出すことで塗布液を定量的に繰出すことが可能となる。
【0033】
更に、図1及び図4の各実施形態の塗布具において、継手部材19を密封するのに、シールボール受け部となるシール18にシールボール22を使用して行ったが、シールボール22の使用に限定されない。例えば、図5に示すように、内部に密封部材となる環状薄膜18aをシール部18に一体的に設けてシールボール22の代わりにすることができる。
この形態では、未使用時では環状薄膜18aがシール部18の内部に液流路を密封しており、塗布体30側に塗布液が流れ込まないようになっている。一方、使用時は、上記第1実施形態と同様に、ユーザーがストッパー23を軸本体12から引き抜き、先軸20を後端側に押し込むことにより、継手部材19の後端細径部が環状薄膜18aに突き当たって環状薄膜18aの外周状に形成した切り欠き溝(断面V字溝)18bにより環状薄膜18aがシールボール受け部18の内径部から一部外れて、当該貯留部11内の塗布液が継手部材19の内径部から塗布体30の液流路内に流入して、塗布体30にその内部から供給されて、対象部に塗布可能になるものである。
【0034】
また、上記式(I)、(II)〜(IV)及び(V)の少なくとも1つを満たす塗布体30において、更に、本発明の効果を発揮せしめる点から、図3(b)に示すように、塗布体内部の液流通路Bから開口部Aに接合する液流通路Cまでの距離Dが0mm<D<5mmとすることが好ましく、また、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面の先端は、開口部面視で先端の幅Eは0.8mm<E<1.6mmとすることが望ましい。
【実施例】
【0035】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0036】
(実施例1〜3及び比較例1〜3)
下記表1に示す式(I)、式(II)〜(IV)、式(V)並びに、図6〜図11に示す形状、寸法となる実施例1〜3及び比較例1〜3の塗布体、下記表2に示す組成の塗布液(組成例1、充填量:1.4ml)を用いて、図1に準拠する各塗布具(製品)を作製して、下記評価方法により、アイラインの書き易さ、塗布体の目詰まりの各評価を行った。これらの結果を下記表3に示す。なお、上記各塗布体は、スチレン系エラストマー(リケンテクノス社製、商品名「アクティマー」)を用いて成形法で一体成形したものである。
【0037】
(アイラインの書き易さの評価方法)
任意のモニター20名より、試験液となる塗布液を充填した製品にて、官能による3段階評価で、塗布性を評価した。
(目詰まりの評価方法)
得られた塗布液を恒温層にて温度50℃、0%内に保存し、7日間保存の後、塗布可能かを3段階評価で、評価した。(n=20)
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
上記表1〜3の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜3(図6〜図8)の塗布体を用いた塗布具は、本発明範囲外となる比較例1〜3(図9〜図11)の塗布体を用いた塗布具に較べ、塗布体の目詰まりもなく、簡単に細いアイラインを描くことができることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0042】
リキッドアイライナー、リキッドアイシャドなどの塗布具に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 液押圧機構
12 軸本体
13 繰り出し部材
17 ピストン体
18 シール部
19 継手部材
20 先軸
30 塗布体
31 液流通路
32 開口部
34 塗布面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液押圧機構により、液押圧機構の前方に内蔵された塗布液を吐出させる塗布液内蔵容器の前方に具備された、熱可塑性ゴム又は熱可塑性エラストマーで形成した塗布体を有する塗布具であって、前記塗布体は、先細りの形状を有し、塗布体内部に液流通路を形成し、塗布体は一つの塗布液流出開口部を有し、塗布体内部の液流通路と連通すると共に、前記開口部の面は略平面又は傾斜面で、該開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を備え、前記開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を除いた部分は、外径形状と略相似形の液流通路を有すること特徴とする塗布具。
【請求項2】
前記開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面の先端を始点に2mm撓ませた際に、開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離をaとし、撓ませる前の開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離をbとしたときに、下記式(I)を満たすことを特徴とする請求項1記載の塗布具。
a/b<0.9 ………(I)
【請求項3】
前記塗布体内部の液流通路の断面積をBとし、開口部Aに接合する液流通路断面積をCとし、開口部Aの面積をSとしたときに、下記式(II)〜(IV)の全てを満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布具。
1.5mm2<B<3.0mm2 ………(II)
0.5mm2<C<B ………(III)
0.6mm2<S<2.0mm2 ………(IV)
【請求項4】
前記液流通路の断面積Bと液流通路断面積Cの和を液流通路B−C間の距離Dで除したときの比において、下記式(V)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布具。
(B+C)/D>0.5 ………(V)
であることを特徴とする請求項3に記載の塗布具。
【請求項5】
前記開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面を除いた部分の、外径体積Yと、略相似形の液流通路の体積Xの比が下記式(VI)を満たすことを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の塗布具。
X/Y>0.4 ………(VI)
【請求項6】
前記塗布液は、顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、分子量200〜4300のグリセリン誘導体3〜15質量%と、水とを含有し、かつ、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が20〜250mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の塗布具。
【請求項1】
液押圧機構により、液押圧機構の前方に内蔵された塗布液を吐出させる塗布液内蔵容器の前方に具備された、熱可塑性ゴム又は熱可塑性エラストマーで形成した塗布体を有する塗布具であって、前記塗布体は、先細りの形状を有し、塗布体内部に液流通路を形成し、塗布体は一つの塗布液流出開口部を有し、塗布体内部の液流通路と連通すると共に、前記開口部の面は略平面又は傾斜面で、該開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を備え、前記開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面を除いた部分は、外径形状と略相似形の液流通路を有すること特徴とする塗布具。
【請求項2】
前記開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面の先端を始点に2mm撓ませた際に、開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離をaとし、撓ませる前の開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離をbとしたときに、下記式(I)を満たすことを特徴とする請求項1記載の塗布具。
a/b<0.9 ………(I)
【請求項3】
前記塗布体内部の液流通路の断面積をBとし、開口部Aに接合する液流通路断面積をCとし、開口部Aの面積をSとしたときに、下記式(II)〜(IV)の全てを満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布具。
1.5mm2<B<3.0mm2 ………(II)
0.5mm2<C<B ………(III)
0.6mm2<S<2.0mm2 ………(IV)
【請求項4】
前記液流通路の断面積Bと液流通路断面積Cの和を液流通路B−C間の距離Dで除したときの比において、下記式(V)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布具。
(B+C)/D>0.5 ………(V)
であることを特徴とする請求項3に記載の塗布具。
【請求項5】
前記開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面を除いた部分の、外径体積Yと、略相似形の液流通路の体積Xの比が下記式(VI)を満たすことを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の塗布具。
X/Y>0.4 ………(VI)
【請求項6】
前記塗布液は、顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、分子量200〜4300のグリセリン誘導体3〜15質量%と、水とを含有し、かつ、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が20〜250mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の塗布具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−231941(P2012−231941A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102289(P2011−102289)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
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