塗装方法
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用の分野)
本発明は、被塗物の外表面に塗装を施す塗装方法に関するものである。
(従来技術)
被塗物の外表面に塗装を施すものとして、例えば自動車ボディの外表面を塗装する場合がある。
ところで、被塗物に塗装を施す場合に、いわゆるエッジ溜りの問題がある。この問題について第27図乃至第29図を参照しつつその現象を説明すると、第27図、第28図に示すように、塗布直後の塗料は、その表面に作用する表面張力(図中、矢印でその作用方向を示す)によって流動し、塗装表面の凹凸を平滑化する。しかしながら一旦塗装表面を平滑化した後にあっては、第29図に示すように、表面張力が被塗物Wの端部Tに向けて一方向(図示、矢印E方向)に作用するため、被塗物Wの端部Tに向けて塗料が集中し、塗料の盛り上り100が生じる。この盛り上り100がエッジ溜りと呼ばれるものである。
このエッジ溜りは塗布された塗料の流動性が大きい程大きなものとなることが知られており、塗布された塗料の流動性は、塗膜厚が大きい程あるいは吹付け粘度が小さい程大きなものとなる。
したがって、従来被塗物に塗料を塗布する場合、その塗布条件はエッジ溜りの面からの制約を受け、エッジ溜りによる塗装面の部分的な盛り上りが外観上目立たない程度に押えることができる範囲内で、塗膜厚、吹付け粘度等が設定されていた。
(発明が解決しようとする問題点)
しかしながら、塗布された塗料の流動性は塗装面の平滑度に大きな影響を及ぼすものである。すなわち、塗装面の品質を評価する1つの基準に平滑度(平担度)があり、この平滑度が大きい程、塗装面の凹凸度合が小さくて、良好な塗装面となる。そして、この平滑度を向上させるには、塗料の流動性が大きい方が望ましい。
したがって、前述のように、従来にあってはエッジ溜りの面から塗布条件が制約を受けるため、発現し得る塗装面の平滑度を低く抑えざるを得ないものとなっていた。
そこで本発明の目的は、エッジ溜りによる塗料のダレ発生から制約を受ける塗布条件を緩和できるようにした塗装方法を提供することにある。
(問題点を解決するための手段、作用)
前述の目的を達成するため、本発明にあっては、被塗物の面から解決するようにしてある。
すなわち、被塗物の外表面に塗装を施す塗装方法を前提として、 前記被塗物には、該被塗物のエッジ部に塗料を被塗物の裏面側へ逃がす切欠きが設けられている、ような構成としてある。
この構成によれば、エッジ溜り現象によって被塗物の端部に集中する塗料の一部が上記切欠きを通って被塗物の裏面側へ逃がされ、この分エッジ溜りによる部分的な盛り上りを低く抑えることが可能となる。換言すれば塗料の流動性が大きい程切欠きを通って裏面へ流出する量が多くなることから、例え大きな流動性によってエッジ溜り現象が大きく現れるにしても、この結果生ずる塗装面の部分的な盛り上りは低く抑えられることとなる。したがって、塗膜厚あるいは吹付け粘度等の塗布条件の設定の際に、エッジ溜りの問題を除外することが可能となり、平滑度の高い塗装面を得ることができる。
(実施例)
以下、本発明の実施例を添付した図面に基づいて説明する。
本実施例は吹付けにより塗装を行なう場合に問題となるダレ限界というものを克服して、同じ塗膜の厚さであればより平滑度の優れた塗装面が得られるようにした塗装方法を提示するものである。先ず、塗料の“ダレ”について説明すると、このダレは、重力を受けることによって塗布された塗料が下方に流動することにより生じ、塗布された塗料の流動性が大きい程、例えば、1回に塗布する塗料の膜厚が大きい程、“ダレ”を生じ易くなる。この“ダレ”の原因は、つまるところ重力の影響であるため、被塗物のうち上下方向に伸びる面、すなわちいわゆる縦面において生じ易いものとなる。そして、この塗料の“ダレ”は塗装面の品質を阻害する要因とされる。
したがって、塗料の“ダレ”がさ程問題とならない被塗物の水平方向に伸びる面すなわちいわゆる横面は、塗布する塗料の厚さを縦面よりも大きくすることが可能である。また、横面に対する塗膜の厚さと縦面に対する塗膜の厚さをたとえ同じにしても、横面ではダレには至らない程度の塗料の若干の流動によって凹凸が小さくなり、縦面における平滑度よりも良好な平滑度が得られることになる。
上述のような観点から、従来は塗料の“ダレ”を防止しつつ極力平滑度の大きい塗装面を得るため、極力流動性の小さい(粘性の小さい)塗料を用いて塗装を行なうようにしていた。そして、縦面において塗料の“ダレ”が生じる、いわゆる“ダレ限界”は、従来汎用されている熱硬化型塗料では塗膜の厚さで40μm程度が最大であった。より具体的には、塗料の“ダレ”は、セッティング工程初期と焼付工程初期、特に焼付工程初期に生じ易く、この時期に“ダレ”が生じないように、塗装工程で塗布される塗料の厚さが決定され、この決定された厚さの最大値すなわちダレ限界値が40μm程度となる。したがって、絶対的により一層平滑度の大きい塗装面を得ようとすれば、従来の塗装方向では、例えば2回塗り等、塗装工程から焼付工程に至るまでの一連の工程を複数繰り返して行なうようにされていた。
本実施例は、ダレの根本的な原因である重力の作用を逆に積極的に活用し、被塗物に塗布された塗料に対して作用する重力の方向を適宜変更することにより、塗料の流動性というものを積極的に活かして、平滑度の大きい塗装面を得るようにしたものである。より具体的には、従来とは逆に流動性の大きな塗料をダレ限界以上に吹付け塗装を施すと共に、塗装面にダレが生じなくなるまでの間被塗物を略水平軸線回りに回転させるようにしてある。
以上のことを前提として、以下に実施例を説明する。
第1図は、被塗物としての自動車用ボディWを塗装する場合の全体工程を示してあり、各工程をP1〜P4で示してある。
先ず、電着塗装によって既知のように下塗りが完了されたボディWが、台車Dに保持されつつ準備工程P1に送り込まれる。この準備工程P1では、ボディW内外のゴミが例えばエアブローあるいは真空吸引によって除去される。この後、工程P2において、ボディWに対して塗料が吹き付けられる。そして、塗料の乾燥がセッティング工程P3および焼付工程P4においてなされる。
工程P1〜P4が中塗用である場合は、工程P4の後はボディWが上塗り用の工程へと送られる。また、工程P1〜P4が上塗り用である場合は、ボディWが、既知のように組立ラインへと搬送される。
ゴミの除去 工程P1でのゴミ除去は、第2図に示すように、ボディWを水平軸線lの回りに回転させつつ行われる。すなわち、例えば先ず第2図(a)で示す状態でボディWの回転を停止させてゴミの除去が行われた後、第2図(b)上の状態へとボディWの姿勢を変換してこの位置で停止させ、再びゴミ除去がなされる。このようにして、第2図R>図の(c)、(d)・・・(i)というように、ボディWを間欠回転させつつ、ゴミの除去が行われる。
このように、ボディWを回転させつつゴミの除去を行うことにより、例えばボディWのルーフパネル内面角部やサイドシル等の閉断面内に付着しているゴミ、すなわち、ボディWを回転させなければ落下してこないようなゴミをも完全に除去することが可能になる。
塗料の吹き付け、乾燥 先ず、P2での塗料の吹付けは、実施例では、乾燥工程P3あるいはP4の少なくとも一方でダレを生じかつ塗装完了をした塗装面は少なくとも2分間はダレを生じないような塗料を用いて行なわれる(このような塗料の例は後述する)。この2分間という数値は、1つのボディWに対する塗装開始からその全体に渡って塗装が完了するまで(セッティング工程P3への移行を含む)が2分弱ということに対応したものである。より具体的には、1つのボディWに対して全体的に塗装が完了するまでは、最も早く塗装が完了する部分でダレを生じないようにして、塗装工程P2でのだれ発生を確実に防止するためのものとされる。
塗膜の厚さは、乾燥工程P3あるいはP4でダレを生じてもよい関係上、従来限界とされていた厚さよりも厚くすることもできる。勿論、従来と同じ厚さあるいはそれよりも薄い厚さとすることは任意である。
P2の後、P3のセッティング工程へ移行される。このセッティング工程P3では第2図(a)〜(i)で示すように、ボディWが水平方向にに回転される。すなわち、ボディWが水平方向に伸びる回転軸心lを中心として回転され、実施例では、この回転軸線lが、ボディWの前後方向に伸びるものとされている。なお、このセッティング工程WP3での温度雰囲気は、実施例では常温としてあるが、40゜〜60℃等次の焼付工程P4での温度雰囲気よりも低い温度の範囲で適宜の温度に設定し得る。勿論、このセッティング工程P3は、あらかじめ塗料中の低沸点分を揮発させるためであり、これにより、次の焼付工程P4で低沸点分が急減に揮発されることによる塗装面でのピンホール発生が防止される。
焼付工程P4においては、例えば、140℃の温度雰囲気で、塗料の焼付けが行なわれる。このP4でも、P3のセッティング工程と同様に、第2図(a)〜(i)に示すようにボディWが水平方向に回転される。
上述したP3、P4でのボディWの水平方向の回転により、ダレが生じることなく塗料が乾燥される。これにより、従来の塗装方法では得られなかった平滑度の極めて高い高品質の塗装面が得られる。
塗膜厚さとダレ限界と平滑度と水平回転との関係第3図は、塗膜厚さがダレ限界に与える影響について示すものである。この第3図では、塗膜厚さとして、40μm、53μm、65μmの3通りの場合を示してある。このいずれの厚さの場合も、セッティング工程初期と焼付工程初期との両方の時期に、“ダレ”のピークがじることが理解される。また、ダレ限界は、通常1分間に1〜2mmのダレを生じるときの値をいうが(目視して2mm/分以上のダレを生じると塗装面が不良とされる)、このダレ限界以下の範囲で得られる最大の塗膜厚さは、従来の塗膜で40μm程度である。
一方、第4図は、ボディWを水平方向に回転させるときとそうでないときとの、平滑度に与える影響を示してある。その第4図中Aは、ボディWを回転させない状態を示してある(従来の塗装方法)。第4図Bは、ボディWを90゜回転させた後逆転させる場合を示してある(第2図2図(a)と(c)との間で正逆回転)。第4図Cは、ボディWを135゜回転させた後逆転させる場合を示してある。(第2図(a)と(d)との間で正逆回転)。第4図4図Dは、ボディWを180゜回転させた後逆転させる場合を示してある(第2図(a)と(e)との間で正逆回転)。第4図Eは、ボディWを連続して同一方向に回転させる場合を示してある(第2図(a)、(b)、(c)・・・(i)の順の姿勢をとり、再び(a)へと戻る)。
この第4図から明らかなように、同じ塗膜の厚さであれば、ボディWを回転させた方が(第4図B、C、D、E)、回転させない場合(第4図A)よりも、平滑度の大きものが得られる。また、同じ回転でも、360゜同一方向に回転させるのが平滑度を高める上では好ましいことが理解される。勿論、ボディWの回転無しの場合は、塗膜の厚さに限界をきたすため、平滑度を大きくするには限度がある。
ちなみに、塗膜の厚さを65μmとしてボディWを360゜回転させる場合には、得られる平滑度は、写像鮮映度I.Gで「87」(PGD値で1.0の下限値)である。また、塗膜の厚さを40μmとした場合には、ボディWの回転無しの場合はI.Gで「58」(PGD値で0.7の下限値)であるのに対し、ボディWを360゜回転させた場合はI.Gで「68」(PGD値で0.8の下限値)である。
なお、既知のように、写像鮮明度におけるIG(イメージグロス)は、鏡面(黒ガラス)を100とし、これに対する鮮明度の比率を示すものであり、PGDは反射映像の識別度を1.0から低下するに従って塗装面の平滑度が低下する値である。
第3図、第4図に示したデータの試験条件は、次の通りであるが、この試験条件は、P2で上塗りを行なう場合の条件を示してある。
a.塗料:メラミンアルキッド(ブラック)
粘度:フォードカップ#4で22秒/20℃b.塗膜機:ミニベル(16,000rpm)
シェーピングエア・・2.0kg/cm2c.吐出量:2回に分けての吹付けで、 第1回目・・・100cc/min 第2回目..150〜200cc/mind.セッティング時間:10分×常温e.焼付条件:140℃×25分f.下地平滑度:0.6(PGD値)(中塗、PEテープ上)
g.回転または反転作動域:セッティング(10分)〜焼付け(10分)
h.被塗物:一辺30cmの角筒体の側面に塗装、中心で回転可能に支持i.被塗物の回転速度:6rpm、30rpm、60rpmの3通りで行なったが、回転速度の相違による差異は事実上生じなかったエッジ溜りに起因するダレ 前述したように、本実施例ではダレ限界以上の膜圧となるようにボディWに対して吹付け塗装を行なう関係上、吹付け塗装完了からボディWの回転を開始(セッティング工程P3)までの間に、特に縦面においてダレを生ずる傾向が大きくなる。そして、このダレを生ずる傾向はエッジ溜りによって増長されることとなる。このため、本実施例では、ドアのエッジ溜りによるダレが発生し易い部位、つまり第16図に示すように、ドアのアウタパネル101に開口されたアウタハンドル取付部102とキーシリンダ取付部103とに、以下のような処理を施して塗料吹付け完了からセッティング工程P3へ移行するまでの間にダレが生じないようにしてある。
すなわち、第17図、第18図はアウタハンドル取付部102の詳細を示すもので、アウタハンドル取付部102は、その取付孔102aの周りが凹所102bとされ、この凹所102bの下端角隅部に切欠き104が形成されている。他方、第19図、第20図はキーシリンダ取付部103の詳細を示すもので、該キーシリンダ取付部103は、その取付孔103aの周りがやはり凹所103bとされている。そして、上記取付孔103aの上下、左右に設けられている4つの回り止め用切欠き105のうち、最も下位に位置する回り止め用切欠き105aは、第20図に示すように折り返し片106の長さが大きくされて、上記切欠き105aの深さ寸法が大きなものとされている。
以上の構成により、吹付け塗装完了後、このアウタハンドル取付部102あるいはキーシリンダ取付部103に集中する塗料は、その一部が上記切欠き104あるいは105aを通ってアウタパネル101の裏面へ流出され、したがってアウタパネル101の塗布面でのダレの発生が防止されることとなる。尚、第17図、第19図において仮想線Iは、アウタハンドルあるいはキーシリンダのキャップの外形線を示すもので、ここでは、上記凹所102b,103bがアウタハンドルあるいはキーシリンダのキャップよりも小さなものとされて、これら部材が凹所102b、103bの外側に着座するようにされている。すなわち、上記両取付孔102a、103aの周りは、エッジ溜りにより塗膜厚が周回り方向に不均一であるため、凹所102b、103bに着座させたのでは、密着性が悪いということを考慮したものである。勿論、凹所102b、103bを十分に深くして、この凹所102b、103bのアウタハンドル等を嵌合させるようにしてもよいものである。
上記の対策による効果を実験により確認した結果を下記表1に示す。
尚、本実験の条件は以下のとおりである。
下地塗装工程(1)カチオン電着 20μm 175℃×30分焼付け(2)中塗 熱硬化オイルフリーポリエステル塗料(グレー)
35μm 140℃×35分焼付け中塗水研 #800耐水ペーパー(3)上塗塗料熱硬化メラミンアルキッド塗料(ブラック)
吹付粘度 22秒/フォードカップ#4、20℃(4)上塗塗装条件■塗装機ミニベル(ベル径60mm)
日本ランズバーグ製回転数 22.000rpm、電圧−90KVシェーピングエヤ圧 3.0kg/cm2ガン距離 30cm■吹付け位置 ドア垂直セット■ステージ数 2ステージ(インターバル3分)
■ブース環境 温度20℃ 風速0.2m/秒(5)焼付条件 セッティング10分後140℃×25分(昇温速度20℃→140℃/8分)
(6)膜厚水準(μm)
40,50,60,70,80(焼付乾燥後)
回転用治具 次に、ボディWを台車Dに対して水平方向に回転可能に支持させるために用いる治具の具体例について説明する。
第5図は、ボディWの前部に取付けられる前側の治具1Fを示す。この治具1Fは、左右一対の取付用ブラケット2と、この左右の各ブラケット2に溶接された左右一対のステー3と、左右一対のステー3同士を連結する連結バー4と、連結バー4に一体化された回転軸5と、を有する。このような治具1Fは、そのブラケット2部分を、ボディWの前部強度部材、例えばフロントサイドフレーム11の前端部に固定される。すなわち、フロントサイドフレーム11には、通常バンパ(図示略)取付用のブラケット12が溶接されているので、このボディW側のブラケット12に対して、上記ブラケット2をボルト(図示略)を利用して固定する。
一方、ボディWの後部に取付けられる後側の治具1Rを、第6図に示してある。この後側の治具1Rも前側の治具1Fと同じような構成とされ、この前側治具1Fに対応した構成要素には同一符号を付してある。この後側の治具1RのボディWに対する取付けは、そのブラケット2をボディW後端部にある強度部材としてフロアフレーム13に対してボルトによって固定することにより行なわれる。勿論、上記フロアフレーム13後端部には、一般にバンパが取付けられる関係上該バンパ取付用のブラケットがあらかじめ溶接されているので、このバンパ取付用ブラケットを利用して後側治具1Rの取付を行なうこともできる。
上記、前後の治具1Fと1Rとは、ボディWに対する取付状態において、その回転軸5同士がボディWの前後方向に伸びる同一直線上に位置するようにされる。この同一直線がボディWの回転軸線lとなるもので、好ましくは、この回転軸線lがボディWの重心G(第7図参照)を通るようにされている。なお、回転軸線lが重心Gを通ることにより、ボディWの回転の際に、回転速度の大きな変動が防止される。これにより、ボディWには、回転変動に伴なう衝撃が発生するのが防止され、ダレ防止上より好ましいものとなる。
なお、前後の治具1F、1Rは、車種(ボディWの種類)に応じて専用のものがあらかじめ用意される。
台車 少くともP3、P4で使用されて、ボディWを回転させる機能を備えた台車である。
第7図において、台車Dは基台21を有し、この基台21に取付けられた車輪22が、路面23上を走行される。この基台21は、走行方向前側から後側(第7図右側から左側)へ順次、それぞれ上方へ向けて伸びる1本の前支柱24、2本の中間支柱25、26、および1本の後支柱27を有し、中間支柱25、26と後支柱27との間が、前後方向に大きく間隔のあいた支持空間28とされている。
ボディWは、上記支持空間28に配設され、その前部が、前治具1Fを利用して中間支柱26に対して回転自在に支持される一方、その後部が、後治具1Rを利用して後支柱27に回転自在に支持される。
前後の治具1F、1R(の回転軸5)は、上下方向から支柱26、27に対して係脱自在とされると共に、後側の治具1Rが回転軸線l方向に不動として係合される。このため、中間支柱26にはその上端面に開口する切欠き26aが形成される一方(第10図〜第12図参照)、後支柱27にはその上端面に開口する切欠き27aが形成されている(第10図、第14図、第15図参照)。この両切欠き26a、27aは、治具1F、1Rの回転軸5が勘合し得る大きさとされている。そして、後側治具1Rの回転軸5にはフランジ部5aが形成される一方、後支柱27には前記切欠き27aに連通するフランジ部5aに対応した形状の切欠き27bが形成されている。これにより、後治具1Rは、後支柱27の切欠き27a、27bに対して、上下方向から係脱されると共に、フランジ部5aのストッパ作用によって後支柱27に対して前後方向に不動とされる。なお、ボディWに対する回転力の付与は、前側治具1Fの回転軸5を介して行われ、このため前治具1Fの回転軸5先端部には、後述する接続部5b(第5図をも参照)が形成されている。
基台21からは、下方へ向けてステー29が突設され、このステー29の下端部に、牽引用ワイヤ30が連結されている。このワイヤ30は、エンドレス式とされて、図示を略すモータにより一方向に駆動され、これにより台車Dが所定の搬送方向に駆動される。勿論、上記モータは、防爆の観点上安全な箇所に設置されている。
ボディWの回転は、台車Dの移動を利用して、すなわち台車Dの走行路面23に対する変位を利用して行われる。この台車Dの変位を回転として取出すための回転取出機構31が、次のようにして構成されている。すなわち、回転取出機構31は、基台21に上下方向に伸ばして回転自在に支持された回転軸32と、回転軸32の下端部に固定されたスプロケット33と、スプロケット33に噛合されたチェーン34と、から構成されている。このチェーン34は、前記ワイヤ30と並列に、走行路面23に対して不動状態で配設されている。これにより、台車Dがワイヤ30を介して牽引されると、チェーン34が不動であるため、このチェーン34に噛合うスプロケット33したがって回転軸32が回転される。
上記回転軸32の回転を、前側治具1F(の回転軸5)に伝達するための伝動機構35が、次のようにして構成されている。すなわち、伝動機構35は、前記前支柱24の後面に固定されたケーシング36と、ケーシング36に横方向(前後方向)に伸ばして回転自在に支持された回転軸37と、この回転軸37と前記上回転軸32とを連動させる一対のベベルギア38、39と、前記中間支柱25に対して回転自在かつ前後方向に摺動自在に保持された連結軸40と、を有する。この連結軸40は、回転軸37に対してスプライン結合され(この係合部を第7図中符号41で示す)、これにより回転軸32が回転されると、連結軸40も回転されることになる。勿論、回転軸37と連結軸40とは、回転軸線l上に位置するように設置されている。
前記連結軸40は、前側治具1Fの回転軸5に対して、係脱される。すなわち、第10図〜第12図に示すように、前治具1F用回転軸5の先端部には、十字形の接続部5bが形成される一方、連結軸40の端部には、第10図、第13図に示すようにこの接続部5bががたつきなく嵌合される係合凹所40cを有するボックス部40aが形成されている。したがって、例えば空気圧式のシリンダ42によってロッド43を介して連結軸40を摺動させることによって、上記ボックス部40a(係合凹所40c)と接続部5bとが係脱され、その係合時に連結軸40と回転軸5とが一体回転可能とされる。なお、上記ロッド43は、第10図に示すように、連結軸40の回転を阻害しないように、ボックス部40aの外周に形成された環状溝40b内に嵌入されている。
以上のような構成によって、連結軸40を第7図右側へ変位させた状態で、ボディWを台車Dに対して下降させることにより、前後の治具1F、1Rの各回転軸5が、中間支柱26、27によって回転自在かつ前後方向に不動状態で支持される。この後、連結軸40(係止凹所40c)が、前治具1Fにおける回転軸5(の接続部5b)に係合される。これにより、台車Dをワイヤ30を介して牽引すれば、ボディWが所定の水平軸線lを中心にして回転されることになる。なお、ボディWの台車Dからの取外しは、上記した手順とは逆の手順で行えばよい。
第21図乃至第26図は、本発明の他の実施例を示すもので、これら実施例の説明において、前記第1実施例と同一の要素には同一の参照記号を付してその説明を省略し、以下に各実施例の特徴部分についてのみ説明を加える。
第2実施例(第21図)
本実施例は、アウタパネル101の裏面への塗料の流出を多段階で行なうようにした例を示すものである。
すなわち、アウタハンドル取付部102の前記凹所102bにおいて、最も塗料が盛り上りによるダレを生じ易い下端角隅部の他に、その上方にもいくつかの切欠き104を設け、上記下端角隅部に塗料が集中する前段階でアウタパネル101の裏面へ塗料を流出するようにしてある。
第3実施例(第22図、第23図)
本実施例は、エッジ溜りの生じ易い部位にマスキングを施して、エッジ溜りの生じ易い部位に対する塗料の吹付けを基本的に禁止すると共に、このマスキング部材の下端部に切欠き孔を設けて、この切欠き孔を通して余分な塗料をアウタパネル101の裏面へ逃がすようにしてある。
すなわち、アウタハンドル取付部102を例に説明すれば、該アウタハンドル取付部102には、塗料(上塗)の吹付けの際に、その外表面を覆うようにしてマスキング部材120が当てがわれ、このマスキング部材120の下端部には、アウタハンドル取付孔102aの下端縁に沿って伸びる長い切欠き孔120aが設けられている。尚、本実施例により、請求項における被塗物はマスキング部材120を含むものとなる。
第4実施例(第24図乃至第26図)
本実施例はアウタパネル101の裏面側から当て板122を当てがって、この当て板122の下端部に切欠き孔122aを設けた例を示すものである。すなわち、キーシリンダ取付孔103を例に説明すれば、当該キーシリンダ取付部103の裏面側には、塗料(上塗)の吹付けの際に、当て板122が当てがわれ、この当て板122には、最も下端に位置する回り止め用切欠き105に対応する部位に切欠き孔122aが形成されて、この切欠き孔122aを通して余分な塗料をアウタパネル101の裏面へ逃がすようにされている。尚、上記当て板122は、第6図に示すように、キーシリンダ取付部103の下部に当てがうものであってもよく、また、各回り止め用切欠き105の全てに対応して上記切欠き122aを設けるようにしてもよい。尚、本実施例により、請求項における被塗物は上記当て板122を含むものとなる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は被塗物を回転させない状態で塗装する場合にも適用し得るものである。例えば2ステージ吹きあるいは2度塗りにおいて、この2ステージあるいは2度目の塗料に表面張力降下剤(シリコン)の含有割合を多くして、塗料のぬれ性をよくする場合等に効果的である。
(発明の効果)
以上の説明から明らかなように、一部の塗料が被塗物の裏面側へ逃がされるため、エッジ溜りによる塗料の盛り上りに起因する塗料のダレ発生が抑えられ、したがって従来に比べて流動性の大きな塗料を用いることができ、これにより塗装面の平滑性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す全体工程図。
第2図は被塗物としての自動車用ボディが回転することに伴う姿勢変化の状態を示す図。
第3図、第4図は塗料の厚さとダレと塗装面の平滑度と回転との関係を示すグラフ。
第5図、第6図はボディを回転させるために、用いる治具の例を示す斜視図。
第7図はボディを回転させるようにしたボディ搬送用の台車の一例を示す側面図。
第8図は台車の走行路下方の状態を示す一部切欠き平面図。
第9図は第8図のX9−X9線断面図。
第10図は回転用治具と台車との結合部分を示す側面断面図。
第11図は第10図X11−X11線断面図。
第12図は第11図の平面図。
第13図は第10図のX13−X13線断面図。
第14図は第10図のX14−X14線断面図。
第15図は第14図の平面図。
第16図は自動車用ドアの正面図。
第17図は第16図の矢印X17の部位、つまりアウタハンドル取付部の詳細を示す部分正面図。
第18図は第17図の矢印X18の部位を示す部分斜視図。
第19図は第16図の矢印19の部位、つまりキーシリンダ取付部の詳細を示す部分正面図。
第20図は第19図のX20−X20線断面図。
第21図は第2実施例を示すアウタハンドル取付部の正面図。
第22図は第3実施例を示すアウタハンドル取付部の正面図。
第23図は第22図のX23−X23線断面図。
第24図は第4実施例を示すキーシリンダ取付部の正面図。
第25図は第24図のX25−X25線断面図。
第26図は第4実施例の変形例を示す正面図。
第27図乃至第29図はエッジ溜り現象を時間の経過と共に表わした概念的説明図。
P1〜P4:工程
W:ボディ(被塗物)
101:ドアのアウタパネル
102:アウタハンドル取付部
102a:アウトハンドル取付孔
102b:凹所
103:キーシリンダ取付部
103a:キーシリンダ取付孔
103b:凹所
104:切欠き
105:キーシリンダ回り止め用切欠き
120:マスキング部材
120a:切欠き孔
122:当て板
122a:切欠き孔
(産業上の利用の分野)
本発明は、被塗物の外表面に塗装を施す塗装方法に関するものである。
(従来技術)
被塗物の外表面に塗装を施すものとして、例えば自動車ボディの外表面を塗装する場合がある。
ところで、被塗物に塗装を施す場合に、いわゆるエッジ溜りの問題がある。この問題について第27図乃至第29図を参照しつつその現象を説明すると、第27図、第28図に示すように、塗布直後の塗料は、その表面に作用する表面張力(図中、矢印でその作用方向を示す)によって流動し、塗装表面の凹凸を平滑化する。しかしながら一旦塗装表面を平滑化した後にあっては、第29図に示すように、表面張力が被塗物Wの端部Tに向けて一方向(図示、矢印E方向)に作用するため、被塗物Wの端部Tに向けて塗料が集中し、塗料の盛り上り100が生じる。この盛り上り100がエッジ溜りと呼ばれるものである。
このエッジ溜りは塗布された塗料の流動性が大きい程大きなものとなることが知られており、塗布された塗料の流動性は、塗膜厚が大きい程あるいは吹付け粘度が小さい程大きなものとなる。
したがって、従来被塗物に塗料を塗布する場合、その塗布条件はエッジ溜りの面からの制約を受け、エッジ溜りによる塗装面の部分的な盛り上りが外観上目立たない程度に押えることができる範囲内で、塗膜厚、吹付け粘度等が設定されていた。
(発明が解決しようとする問題点)
しかしながら、塗布された塗料の流動性は塗装面の平滑度に大きな影響を及ぼすものである。すなわち、塗装面の品質を評価する1つの基準に平滑度(平担度)があり、この平滑度が大きい程、塗装面の凹凸度合が小さくて、良好な塗装面となる。そして、この平滑度を向上させるには、塗料の流動性が大きい方が望ましい。
したがって、前述のように、従来にあってはエッジ溜りの面から塗布条件が制約を受けるため、発現し得る塗装面の平滑度を低く抑えざるを得ないものとなっていた。
そこで本発明の目的は、エッジ溜りによる塗料のダレ発生から制約を受ける塗布条件を緩和できるようにした塗装方法を提供することにある。
(問題点を解決するための手段、作用)
前述の目的を達成するため、本発明にあっては、被塗物の面から解決するようにしてある。
すなわち、被塗物の外表面に塗装を施す塗装方法を前提として、 前記被塗物には、該被塗物のエッジ部に塗料を被塗物の裏面側へ逃がす切欠きが設けられている、ような構成としてある。
この構成によれば、エッジ溜り現象によって被塗物の端部に集中する塗料の一部が上記切欠きを通って被塗物の裏面側へ逃がされ、この分エッジ溜りによる部分的な盛り上りを低く抑えることが可能となる。換言すれば塗料の流動性が大きい程切欠きを通って裏面へ流出する量が多くなることから、例え大きな流動性によってエッジ溜り現象が大きく現れるにしても、この結果生ずる塗装面の部分的な盛り上りは低く抑えられることとなる。したがって、塗膜厚あるいは吹付け粘度等の塗布条件の設定の際に、エッジ溜りの問題を除外することが可能となり、平滑度の高い塗装面を得ることができる。
(実施例)
以下、本発明の実施例を添付した図面に基づいて説明する。
本実施例は吹付けにより塗装を行なう場合に問題となるダレ限界というものを克服して、同じ塗膜の厚さであればより平滑度の優れた塗装面が得られるようにした塗装方法を提示するものである。先ず、塗料の“ダレ”について説明すると、このダレは、重力を受けることによって塗布された塗料が下方に流動することにより生じ、塗布された塗料の流動性が大きい程、例えば、1回に塗布する塗料の膜厚が大きい程、“ダレ”を生じ易くなる。この“ダレ”の原因は、つまるところ重力の影響であるため、被塗物のうち上下方向に伸びる面、すなわちいわゆる縦面において生じ易いものとなる。そして、この塗料の“ダレ”は塗装面の品質を阻害する要因とされる。
したがって、塗料の“ダレ”がさ程問題とならない被塗物の水平方向に伸びる面すなわちいわゆる横面は、塗布する塗料の厚さを縦面よりも大きくすることが可能である。また、横面に対する塗膜の厚さと縦面に対する塗膜の厚さをたとえ同じにしても、横面ではダレには至らない程度の塗料の若干の流動によって凹凸が小さくなり、縦面における平滑度よりも良好な平滑度が得られることになる。
上述のような観点から、従来は塗料の“ダレ”を防止しつつ極力平滑度の大きい塗装面を得るため、極力流動性の小さい(粘性の小さい)塗料を用いて塗装を行なうようにしていた。そして、縦面において塗料の“ダレ”が生じる、いわゆる“ダレ限界”は、従来汎用されている熱硬化型塗料では塗膜の厚さで40μm程度が最大であった。より具体的には、塗料の“ダレ”は、セッティング工程初期と焼付工程初期、特に焼付工程初期に生じ易く、この時期に“ダレ”が生じないように、塗装工程で塗布される塗料の厚さが決定され、この決定された厚さの最大値すなわちダレ限界値が40μm程度となる。したがって、絶対的により一層平滑度の大きい塗装面を得ようとすれば、従来の塗装方向では、例えば2回塗り等、塗装工程から焼付工程に至るまでの一連の工程を複数繰り返して行なうようにされていた。
本実施例は、ダレの根本的な原因である重力の作用を逆に積極的に活用し、被塗物に塗布された塗料に対して作用する重力の方向を適宜変更することにより、塗料の流動性というものを積極的に活かして、平滑度の大きい塗装面を得るようにしたものである。より具体的には、従来とは逆に流動性の大きな塗料をダレ限界以上に吹付け塗装を施すと共に、塗装面にダレが生じなくなるまでの間被塗物を略水平軸線回りに回転させるようにしてある。
以上のことを前提として、以下に実施例を説明する。
第1図は、被塗物としての自動車用ボディWを塗装する場合の全体工程を示してあり、各工程をP1〜P4で示してある。
先ず、電着塗装によって既知のように下塗りが完了されたボディWが、台車Dに保持されつつ準備工程P1に送り込まれる。この準備工程P1では、ボディW内外のゴミが例えばエアブローあるいは真空吸引によって除去される。この後、工程P2において、ボディWに対して塗料が吹き付けられる。そして、塗料の乾燥がセッティング工程P3および焼付工程P4においてなされる。
工程P1〜P4が中塗用である場合は、工程P4の後はボディWが上塗り用の工程へと送られる。また、工程P1〜P4が上塗り用である場合は、ボディWが、既知のように組立ラインへと搬送される。
ゴミの除去 工程P1でのゴミ除去は、第2図に示すように、ボディWを水平軸線lの回りに回転させつつ行われる。すなわち、例えば先ず第2図(a)で示す状態でボディWの回転を停止させてゴミの除去が行われた後、第2図(b)上の状態へとボディWの姿勢を変換してこの位置で停止させ、再びゴミ除去がなされる。このようにして、第2図R>図の(c)、(d)・・・(i)というように、ボディWを間欠回転させつつ、ゴミの除去が行われる。
このように、ボディWを回転させつつゴミの除去を行うことにより、例えばボディWのルーフパネル内面角部やサイドシル等の閉断面内に付着しているゴミ、すなわち、ボディWを回転させなければ落下してこないようなゴミをも完全に除去することが可能になる。
塗料の吹き付け、乾燥 先ず、P2での塗料の吹付けは、実施例では、乾燥工程P3あるいはP4の少なくとも一方でダレを生じかつ塗装完了をした塗装面は少なくとも2分間はダレを生じないような塗料を用いて行なわれる(このような塗料の例は後述する)。この2分間という数値は、1つのボディWに対する塗装開始からその全体に渡って塗装が完了するまで(セッティング工程P3への移行を含む)が2分弱ということに対応したものである。より具体的には、1つのボディWに対して全体的に塗装が完了するまでは、最も早く塗装が完了する部分でダレを生じないようにして、塗装工程P2でのだれ発生を確実に防止するためのものとされる。
塗膜の厚さは、乾燥工程P3あるいはP4でダレを生じてもよい関係上、従来限界とされていた厚さよりも厚くすることもできる。勿論、従来と同じ厚さあるいはそれよりも薄い厚さとすることは任意である。
P2の後、P3のセッティング工程へ移行される。このセッティング工程P3では第2図(a)〜(i)で示すように、ボディWが水平方向にに回転される。すなわち、ボディWが水平方向に伸びる回転軸心lを中心として回転され、実施例では、この回転軸線lが、ボディWの前後方向に伸びるものとされている。なお、このセッティング工程WP3での温度雰囲気は、実施例では常温としてあるが、40゜〜60℃等次の焼付工程P4での温度雰囲気よりも低い温度の範囲で適宜の温度に設定し得る。勿論、このセッティング工程P3は、あらかじめ塗料中の低沸点分を揮発させるためであり、これにより、次の焼付工程P4で低沸点分が急減に揮発されることによる塗装面でのピンホール発生が防止される。
焼付工程P4においては、例えば、140℃の温度雰囲気で、塗料の焼付けが行なわれる。このP4でも、P3のセッティング工程と同様に、第2図(a)〜(i)に示すようにボディWが水平方向に回転される。
上述したP3、P4でのボディWの水平方向の回転により、ダレが生じることなく塗料が乾燥される。これにより、従来の塗装方法では得られなかった平滑度の極めて高い高品質の塗装面が得られる。
塗膜厚さとダレ限界と平滑度と水平回転との関係第3図は、塗膜厚さがダレ限界に与える影響について示すものである。この第3図では、塗膜厚さとして、40μm、53μm、65μmの3通りの場合を示してある。このいずれの厚さの場合も、セッティング工程初期と焼付工程初期との両方の時期に、“ダレ”のピークがじることが理解される。また、ダレ限界は、通常1分間に1〜2mmのダレを生じるときの値をいうが(目視して2mm/分以上のダレを生じると塗装面が不良とされる)、このダレ限界以下の範囲で得られる最大の塗膜厚さは、従来の塗膜で40μm程度である。
一方、第4図は、ボディWを水平方向に回転させるときとそうでないときとの、平滑度に与える影響を示してある。その第4図中Aは、ボディWを回転させない状態を示してある(従来の塗装方法)。第4図Bは、ボディWを90゜回転させた後逆転させる場合を示してある(第2図2図(a)と(c)との間で正逆回転)。第4図Cは、ボディWを135゜回転させた後逆転させる場合を示してある。(第2図(a)と(d)との間で正逆回転)。第4図4図Dは、ボディWを180゜回転させた後逆転させる場合を示してある(第2図(a)と(e)との間で正逆回転)。第4図Eは、ボディWを連続して同一方向に回転させる場合を示してある(第2図(a)、(b)、(c)・・・(i)の順の姿勢をとり、再び(a)へと戻る)。
この第4図から明らかなように、同じ塗膜の厚さであれば、ボディWを回転させた方が(第4図B、C、D、E)、回転させない場合(第4図A)よりも、平滑度の大きものが得られる。また、同じ回転でも、360゜同一方向に回転させるのが平滑度を高める上では好ましいことが理解される。勿論、ボディWの回転無しの場合は、塗膜の厚さに限界をきたすため、平滑度を大きくするには限度がある。
ちなみに、塗膜の厚さを65μmとしてボディWを360゜回転させる場合には、得られる平滑度は、写像鮮映度I.Gで「87」(PGD値で1.0の下限値)である。また、塗膜の厚さを40μmとした場合には、ボディWの回転無しの場合はI.Gで「58」(PGD値で0.7の下限値)であるのに対し、ボディWを360゜回転させた場合はI.Gで「68」(PGD値で0.8の下限値)である。
なお、既知のように、写像鮮明度におけるIG(イメージグロス)は、鏡面(黒ガラス)を100とし、これに対する鮮明度の比率を示すものであり、PGDは反射映像の識別度を1.0から低下するに従って塗装面の平滑度が低下する値である。
第3図、第4図に示したデータの試験条件は、次の通りであるが、この試験条件は、P2で上塗りを行なう場合の条件を示してある。
a.塗料:メラミンアルキッド(ブラック)
粘度:フォードカップ#4で22秒/20℃b.塗膜機:ミニベル(16,000rpm)
シェーピングエア・・2.0kg/cm2c.吐出量:2回に分けての吹付けで、 第1回目・・・100cc/min 第2回目..150〜200cc/mind.セッティング時間:10分×常温e.焼付条件:140℃×25分f.下地平滑度:0.6(PGD値)(中塗、PEテープ上)
g.回転または反転作動域:セッティング(10分)〜焼付け(10分)
h.被塗物:一辺30cmの角筒体の側面に塗装、中心で回転可能に支持i.被塗物の回転速度:6rpm、30rpm、60rpmの3通りで行なったが、回転速度の相違による差異は事実上生じなかったエッジ溜りに起因するダレ 前述したように、本実施例ではダレ限界以上の膜圧となるようにボディWに対して吹付け塗装を行なう関係上、吹付け塗装完了からボディWの回転を開始(セッティング工程P3)までの間に、特に縦面においてダレを生ずる傾向が大きくなる。そして、このダレを生ずる傾向はエッジ溜りによって増長されることとなる。このため、本実施例では、ドアのエッジ溜りによるダレが発生し易い部位、つまり第16図に示すように、ドアのアウタパネル101に開口されたアウタハンドル取付部102とキーシリンダ取付部103とに、以下のような処理を施して塗料吹付け完了からセッティング工程P3へ移行するまでの間にダレが生じないようにしてある。
すなわち、第17図、第18図はアウタハンドル取付部102の詳細を示すもので、アウタハンドル取付部102は、その取付孔102aの周りが凹所102bとされ、この凹所102bの下端角隅部に切欠き104が形成されている。他方、第19図、第20図はキーシリンダ取付部103の詳細を示すもので、該キーシリンダ取付部103は、その取付孔103aの周りがやはり凹所103bとされている。そして、上記取付孔103aの上下、左右に設けられている4つの回り止め用切欠き105のうち、最も下位に位置する回り止め用切欠き105aは、第20図に示すように折り返し片106の長さが大きくされて、上記切欠き105aの深さ寸法が大きなものとされている。
以上の構成により、吹付け塗装完了後、このアウタハンドル取付部102あるいはキーシリンダ取付部103に集中する塗料は、その一部が上記切欠き104あるいは105aを通ってアウタパネル101の裏面へ流出され、したがってアウタパネル101の塗布面でのダレの発生が防止されることとなる。尚、第17図、第19図において仮想線Iは、アウタハンドルあるいはキーシリンダのキャップの外形線を示すもので、ここでは、上記凹所102b,103bがアウタハンドルあるいはキーシリンダのキャップよりも小さなものとされて、これら部材が凹所102b、103bの外側に着座するようにされている。すなわち、上記両取付孔102a、103aの周りは、エッジ溜りにより塗膜厚が周回り方向に不均一であるため、凹所102b、103bに着座させたのでは、密着性が悪いということを考慮したものである。勿論、凹所102b、103bを十分に深くして、この凹所102b、103bのアウタハンドル等を嵌合させるようにしてもよいものである。
上記の対策による効果を実験により確認した結果を下記表1に示す。
尚、本実験の条件は以下のとおりである。
下地塗装工程(1)カチオン電着 20μm 175℃×30分焼付け(2)中塗 熱硬化オイルフリーポリエステル塗料(グレー)
35μm 140℃×35分焼付け中塗水研 #800耐水ペーパー(3)上塗塗料熱硬化メラミンアルキッド塗料(ブラック)
吹付粘度 22秒/フォードカップ#4、20℃(4)上塗塗装条件
日本ランズバーグ製回転数 22.000rpm、電圧−90KVシェーピングエヤ圧 3.0kg/cm2ガン距離 30cm
(6)膜厚水準(μm)
40,50,60,70,80(焼付乾燥後)
回転用治具 次に、ボディWを台車Dに対して水平方向に回転可能に支持させるために用いる治具の具体例について説明する。
第5図は、ボディWの前部に取付けられる前側の治具1Fを示す。この治具1Fは、左右一対の取付用ブラケット2と、この左右の各ブラケット2に溶接された左右一対のステー3と、左右一対のステー3同士を連結する連結バー4と、連結バー4に一体化された回転軸5と、を有する。このような治具1Fは、そのブラケット2部分を、ボディWの前部強度部材、例えばフロントサイドフレーム11の前端部に固定される。すなわち、フロントサイドフレーム11には、通常バンパ(図示略)取付用のブラケット12が溶接されているので、このボディW側のブラケット12に対して、上記ブラケット2をボルト(図示略)を利用して固定する。
一方、ボディWの後部に取付けられる後側の治具1Rを、第6図に示してある。この後側の治具1Rも前側の治具1Fと同じような構成とされ、この前側治具1Fに対応した構成要素には同一符号を付してある。この後側の治具1RのボディWに対する取付けは、そのブラケット2をボディW後端部にある強度部材としてフロアフレーム13に対してボルトによって固定することにより行なわれる。勿論、上記フロアフレーム13後端部には、一般にバンパが取付けられる関係上該バンパ取付用のブラケットがあらかじめ溶接されているので、このバンパ取付用ブラケットを利用して後側治具1Rの取付を行なうこともできる。
上記、前後の治具1Fと1Rとは、ボディWに対する取付状態において、その回転軸5同士がボディWの前後方向に伸びる同一直線上に位置するようにされる。この同一直線がボディWの回転軸線lとなるもので、好ましくは、この回転軸線lがボディWの重心G(第7図参照)を通るようにされている。なお、回転軸線lが重心Gを通ることにより、ボディWの回転の際に、回転速度の大きな変動が防止される。これにより、ボディWには、回転変動に伴なう衝撃が発生するのが防止され、ダレ防止上より好ましいものとなる。
なお、前後の治具1F、1Rは、車種(ボディWの種類)に応じて専用のものがあらかじめ用意される。
台車 少くともP3、P4で使用されて、ボディWを回転させる機能を備えた台車である。
第7図において、台車Dは基台21を有し、この基台21に取付けられた車輪22が、路面23上を走行される。この基台21は、走行方向前側から後側(第7図右側から左側)へ順次、それぞれ上方へ向けて伸びる1本の前支柱24、2本の中間支柱25、26、および1本の後支柱27を有し、中間支柱25、26と後支柱27との間が、前後方向に大きく間隔のあいた支持空間28とされている。
ボディWは、上記支持空間28に配設され、その前部が、前治具1Fを利用して中間支柱26に対して回転自在に支持される一方、その後部が、後治具1Rを利用して後支柱27に回転自在に支持される。
前後の治具1F、1R(の回転軸5)は、上下方向から支柱26、27に対して係脱自在とされると共に、後側の治具1Rが回転軸線l方向に不動として係合される。このため、中間支柱26にはその上端面に開口する切欠き26aが形成される一方(第10図〜第12図参照)、後支柱27にはその上端面に開口する切欠き27aが形成されている(第10図、第14図、第15図参照)。この両切欠き26a、27aは、治具1F、1Rの回転軸5が勘合し得る大きさとされている。そして、後側治具1Rの回転軸5にはフランジ部5aが形成される一方、後支柱27には前記切欠き27aに連通するフランジ部5aに対応した形状の切欠き27bが形成されている。これにより、後治具1Rは、後支柱27の切欠き27a、27bに対して、上下方向から係脱されると共に、フランジ部5aのストッパ作用によって後支柱27に対して前後方向に不動とされる。なお、ボディWに対する回転力の付与は、前側治具1Fの回転軸5を介して行われ、このため前治具1Fの回転軸5先端部には、後述する接続部5b(第5図をも参照)が形成されている。
基台21からは、下方へ向けてステー29が突設され、このステー29の下端部に、牽引用ワイヤ30が連結されている。このワイヤ30は、エンドレス式とされて、図示を略すモータにより一方向に駆動され、これにより台車Dが所定の搬送方向に駆動される。勿論、上記モータは、防爆の観点上安全な箇所に設置されている。
ボディWの回転は、台車Dの移動を利用して、すなわち台車Dの走行路面23に対する変位を利用して行われる。この台車Dの変位を回転として取出すための回転取出機構31が、次のようにして構成されている。すなわち、回転取出機構31は、基台21に上下方向に伸ばして回転自在に支持された回転軸32と、回転軸32の下端部に固定されたスプロケット33と、スプロケット33に噛合されたチェーン34と、から構成されている。このチェーン34は、前記ワイヤ30と並列に、走行路面23に対して不動状態で配設されている。これにより、台車Dがワイヤ30を介して牽引されると、チェーン34が不動であるため、このチェーン34に噛合うスプロケット33したがって回転軸32が回転される。
上記回転軸32の回転を、前側治具1F(の回転軸5)に伝達するための伝動機構35が、次のようにして構成されている。すなわち、伝動機構35は、前記前支柱24の後面に固定されたケーシング36と、ケーシング36に横方向(前後方向)に伸ばして回転自在に支持された回転軸37と、この回転軸37と前記上回転軸32とを連動させる一対のベベルギア38、39と、前記中間支柱25に対して回転自在かつ前後方向に摺動自在に保持された連結軸40と、を有する。この連結軸40は、回転軸37に対してスプライン結合され(この係合部を第7図中符号41で示す)、これにより回転軸32が回転されると、連結軸40も回転されることになる。勿論、回転軸37と連結軸40とは、回転軸線l上に位置するように設置されている。
前記連結軸40は、前側治具1Fの回転軸5に対して、係脱される。すなわち、第10図〜第12図に示すように、前治具1F用回転軸5の先端部には、十字形の接続部5bが形成される一方、連結軸40の端部には、第10図、第13図に示すようにこの接続部5bががたつきなく嵌合される係合凹所40cを有するボックス部40aが形成されている。したがって、例えば空気圧式のシリンダ42によってロッド43を介して連結軸40を摺動させることによって、上記ボックス部40a(係合凹所40c)と接続部5bとが係脱され、その係合時に連結軸40と回転軸5とが一体回転可能とされる。なお、上記ロッド43は、第10図に示すように、連結軸40の回転を阻害しないように、ボックス部40aの外周に形成された環状溝40b内に嵌入されている。
以上のような構成によって、連結軸40を第7図右側へ変位させた状態で、ボディWを台車Dに対して下降させることにより、前後の治具1F、1Rの各回転軸5が、中間支柱26、27によって回転自在かつ前後方向に不動状態で支持される。この後、連結軸40(係止凹所40c)が、前治具1Fにおける回転軸5(の接続部5b)に係合される。これにより、台車Dをワイヤ30を介して牽引すれば、ボディWが所定の水平軸線lを中心にして回転されることになる。なお、ボディWの台車Dからの取外しは、上記した手順とは逆の手順で行えばよい。
第21図乃至第26図は、本発明の他の実施例を示すもので、これら実施例の説明において、前記第1実施例と同一の要素には同一の参照記号を付してその説明を省略し、以下に各実施例の特徴部分についてのみ説明を加える。
第2実施例(第21図)
本実施例は、アウタパネル101の裏面への塗料の流出を多段階で行なうようにした例を示すものである。
すなわち、アウタハンドル取付部102の前記凹所102bにおいて、最も塗料が盛り上りによるダレを生じ易い下端角隅部の他に、その上方にもいくつかの切欠き104を設け、上記下端角隅部に塗料が集中する前段階でアウタパネル101の裏面へ塗料を流出するようにしてある。
第3実施例(第22図、第23図)
本実施例は、エッジ溜りの生じ易い部位にマスキングを施して、エッジ溜りの生じ易い部位に対する塗料の吹付けを基本的に禁止すると共に、このマスキング部材の下端部に切欠き孔を設けて、この切欠き孔を通して余分な塗料をアウタパネル101の裏面へ逃がすようにしてある。
すなわち、アウタハンドル取付部102を例に説明すれば、該アウタハンドル取付部102には、塗料(上塗)の吹付けの際に、その外表面を覆うようにしてマスキング部材120が当てがわれ、このマスキング部材120の下端部には、アウタハンドル取付孔102aの下端縁に沿って伸びる長い切欠き孔120aが設けられている。尚、本実施例により、請求項における被塗物はマスキング部材120を含むものとなる。
第4実施例(第24図乃至第26図)
本実施例はアウタパネル101の裏面側から当て板122を当てがって、この当て板122の下端部に切欠き孔122aを設けた例を示すものである。すなわち、キーシリンダ取付孔103を例に説明すれば、当該キーシリンダ取付部103の裏面側には、塗料(上塗)の吹付けの際に、当て板122が当てがわれ、この当て板122には、最も下端に位置する回り止め用切欠き105に対応する部位に切欠き孔122aが形成されて、この切欠き孔122aを通して余分な塗料をアウタパネル101の裏面へ逃がすようにされている。尚、上記当て板122は、第6図に示すように、キーシリンダ取付部103の下部に当てがうものであってもよく、また、各回り止め用切欠き105の全てに対応して上記切欠き122aを設けるようにしてもよい。尚、本実施例により、請求項における被塗物は上記当て板122を含むものとなる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は被塗物を回転させない状態で塗装する場合にも適用し得るものである。例えば2ステージ吹きあるいは2度塗りにおいて、この2ステージあるいは2度目の塗料に表面張力降下剤(シリコン)の含有割合を多くして、塗料のぬれ性をよくする場合等に効果的である。
(発明の効果)
以上の説明から明らかなように、一部の塗料が被塗物の裏面側へ逃がされるため、エッジ溜りによる塗料の盛り上りに起因する塗料のダレ発生が抑えられ、したがって従来に比べて流動性の大きな塗料を用いることができ、これにより塗装面の平滑性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す全体工程図。
第2図は被塗物としての自動車用ボディが回転することに伴う姿勢変化の状態を示す図。
第3図、第4図は塗料の厚さとダレと塗装面の平滑度と回転との関係を示すグラフ。
第5図、第6図はボディを回転させるために、用いる治具の例を示す斜視図。
第7図はボディを回転させるようにしたボディ搬送用の台車の一例を示す側面図。
第8図は台車の走行路下方の状態を示す一部切欠き平面図。
第9図は第8図のX9−X9線断面図。
第10図は回転用治具と台車との結合部分を示す側面断面図。
第11図は第10図X11−X11線断面図。
第12図は第11図の平面図。
第13図は第10図のX13−X13線断面図。
第14図は第10図のX14−X14線断面図。
第15図は第14図の平面図。
第16図は自動車用ドアの正面図。
第17図は第16図の矢印X17の部位、つまりアウタハンドル取付部の詳細を示す部分正面図。
第18図は第17図の矢印X18の部位を示す部分斜視図。
第19図は第16図の矢印19の部位、つまりキーシリンダ取付部の詳細を示す部分正面図。
第20図は第19図のX20−X20線断面図。
第21図は第2実施例を示すアウタハンドル取付部の正面図。
第22図は第3実施例を示すアウタハンドル取付部の正面図。
第23図は第22図のX23−X23線断面図。
第24図は第4実施例を示すキーシリンダ取付部の正面図。
第25図は第24図のX25−X25線断面図。
第26図は第4実施例の変形例を示す正面図。
第27図乃至第29図はエッジ溜り現象を時間の経過と共に表わした概念的説明図。
P1〜P4:工程
W:ボディ(被塗物)
101:ドアのアウタパネル
102:アウタハンドル取付部
102a:アウトハンドル取付孔
102b:凹所
103:キーシリンダ取付部
103a:キーシリンダ取付孔
103b:凹所
104:切欠き
105:キーシリンダ回り止め用切欠き
120:マスキング部材
120a:切欠き孔
122:当て板
122a:切欠き孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】被塗物の外表面に塗装を施す塗装方法において、前記被塗物には、該被塗物のエッジ部に塗料を被塗物の裏面側へ逃がす切欠きが設けられている、ことを特徴とする塗装方法。
【請求項1】被塗物の外表面に塗装を施す塗装方法において、前記被塗物には、該被塗物のエッジ部に塗料を被塗物の裏面側へ逃がす切欠きが設けられている、ことを特徴とする塗装方法。
【第8図】
【第9図】
【第11図】
【第12図】
【第13図】
【第14図】
【第1図】
【第2図】
【第3図】
【第4図】
【第5図】
【第15図】
【第16図】
【第18図】
【第19図】
【第6図】
【第7図】
【第10図】
【第20図】
【第23図】
【第25図】
【第17図】
【第21図】
【第22図】
【第24図】
【第26図】
【第27図】
【第28図】
【第29図】
【第9図】
【第11図】
【第12図】
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【第14図】
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【第2図】
【第3図】
【第4図】
【第5図】
【第15図】
【第16図】
【第18図】
【第19図】
【第6図】
【第7図】
【第10図】
【第20図】
【第23図】
【第25図】
【第17図】
【第21図】
【第22図】
【第24図】
【第26図】
【第27図】
【第28図】
【第29図】
【特許番号】第2637790号
【登録日】平成9年(1997)4月25日
【発行日】平成9年(1997)8月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−233434
【出願日】昭和63年(1988)9月20日
【公開番号】特開平2−83065
【公開日】平成2年(1990)3月23日
【出願人】(999999999)マツダ株式会社
【登録日】平成9年(1997)4月25日
【発行日】平成9年(1997)8月6日
【国際特許分類】
【出願日】昭和63年(1988)9月20日
【公開番号】特開平2−83065
【公開日】平成2年(1990)3月23日
【出願人】(999999999)マツダ株式会社
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