塗装用マニホールド自動スプレーガン
【課題】 スプレーガン本体と、塗料、エアの配管を集合させたマニホールドを装着する場合に、ワンタッチで簡単に装着でき、接合面を確実に安定して接触させることができ構造とする。
【解決手段】
噴霧化装置を備え、それぞれの塗料およびエアの供給路につながる開口を設けたシート面を形成したスプレーガン本体と、前記シート面のそれぞれの開口に一致し前記シート面と接合する取付け面に供給出口を形成し、それぞれの供給出口に接続されたそれぞれの供給接続口を設けたマニホールドによって構成されるマニホールドスプレーガンにおいて、前記のシート面と取付け面は、それぞれ段差を有する２つの面で形成し、スプレーガン本体側の前記段差部にシート面と平行に嵌挿される係止片を突設し、この係止片をマニホールド側に挿入し、マニホールドに設けた固定手段により前記係止片に係合してスプレーガン本体とマニホールドが密着する位置で固定し、該固定手段の解除により分離可能とする。
【解決手段】
噴霧化装置を備え、それぞれの塗料およびエアの供給路につながる開口を設けたシート面を形成したスプレーガン本体と、前記シート面のそれぞれの開口に一致し前記シート面と接合する取付け面に供給出口を形成し、それぞれの供給出口に接続されたそれぞれの供給接続口を設けたマニホールドによって構成されるマニホールドスプレーガンにおいて、前記のシート面と取付け面は、それぞれ段差を有する２つの面で形成し、スプレーガン本体側の前記段差部にシート面と平行に嵌挿される係止片を突設し、この係止片をマニホールド側に挿入し、マニホールドに設けた固定手段により前記係止片に係合してスプレーガン本体とマニホールドが密着する位置で固定し、該固定手段の解除により分離可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、塗装用自動スプレーガンの塗料、噴霧エア供給路と接続されるマニホールド体を着脱し、スプレーガン交換時の煩雑性を改善したマニホールド自動ガンに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
塗装用スプレーガンは、作業者が直接操作する手持式のスプレーガンの他、自動塗装機や塗装ロボットに搭載して作動させる自動スプレーガンがある。この種の自動スプレーガンは、機械的に操作され長時間の作業が連続して行われるのが普通である。しかし塗料を使用することによる汚損や塗料の付着などを完全に防止することは困難で、定期的なメンテナンスが必要とされる。
【０００３】
また塗料の変更や、塗装条件の変更等によりスプレーガンの交換が必要なことも多くあり、スプレーガンの交換は日常的に行われるのが通常である。
このような場合、自動塗装ラインは停止され、その間の作業は非生産時間として大きな損失となり、極力短時間の作業で完了できることが望まれる。これらの要求に応えるため、スプレーガン本体に接続される塗料供給ホースや作動制御用エアや噴霧用エアの供給ホースの接続されたマニホールドを設け、このマニホールドに自動スプレーガン本体を着脱するだけで交換を可能にしたマニホールドスプレーガンが知られている。
【０００４】
これまでに示されたマニホールドスプレーガンの着脱手段は、ねじの締結による着脱に対し、すばやく着脱できるように改善された方法としてフックを利用した固定手段等が示されている。（特開平１０−１８０１６３号公報、特開２００３−６２４９８号公報）
しかしこれらに示されたマニホールドとスプレーガン本体の接続面は、いずれも一面で形成されており、これらの接続面の一方側を双方の面が圧接する関係位置に係合するよう保持させ、他方側を接続面が全面圧接されるように押し当てた状態で固定するものであった。このため接続面をスライドさせる必要があったり、一方側と他方側の密着度合いに差が生ずるなど、シート洩れの原因や装着の安定性に欠ける問題が残されている。
【０００５】
また着脱は簡便であるほど望ましく、その動作もワンタッチで出来ることが望まれるが、装着する際に仮に保持することで位置決めを確実容易にすることや、固定手段を解除した時にそのまま分離されると落下の危険性があり、簡単に外せる構造を有しながら、実用上は固定手段を外しても緩んだ状態で係合が維持されるように構成することも必要となる。
【特許文献１】特開平１０−１８０１６３号公報
【特許文献２】特開２００３−６２４９８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
塗料及びエア等の複数の供給路を統合配管するマニホールドと、塗料を噴霧する機能を備えたスプレーガン本体とを個別に設け、これらを組み合わせて自動スプレーガンを構成するマニホールドスプレーガンにおいて、スプレーガン本体とマニホールドが確実に接続でき、着脱の際にワンタッチ操作により短時間で作業が出来る構造とすることを課題とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
【０００８】
塗料ノズルから噴出する塗料を圧縮エアの噴射により噴霧化するエア霧化装置を備え、それぞれの塗料およびエアの供給路につながる開口を設けたシート面を形成したスプレーガン本体と、前記シート面のそれぞれの開口に一致し前記シート面と接合する取付け面に供給出口を形成し、それぞれの供給出口に接続されたそれぞれの供給接続口を設けたマニホールドによって構成されるマニホールドスプレーガンにおいて、前記のシート面と取付け面は、それぞれ互いに段差を有する２つの面で形成し、前スプレーガン本体側の前記段差部にシート面と平行に嵌挿される係止片を突設し、この係止片をマニホールドに挿入し、マニホールドに設けた固定手段により前記係止片に係合してスプレーガン本体とマニホールドを密着させた位置で固定し、該固定手段の解除により分離可能としたマニホールド自動スプレーガン。
【０００９】
マニホールドに設けた固定手段は、外部からの回転により、前記係止片と係合もしくは解除する。
シート面と取付け面の少なくとも1箇所に位置決め用ピンとこれに嵌合するピン孔を設け、正確な相対位置を確定する。また前記それぞれの開口と供給出口とはシート面と取付け面が密着した時に接続位置を一致させ、その接続部には漏洩を防止する手段が設けられる。この漏洩防止手段は、開口の周囲が緊密に接触し漏洩を防止するように配置される。
【発明の効果】
【００１０】
スプレーガン本体とマニホールドの接合面となるシート面と取付け面が平行な段差を設けた２つの面に分割され、中間の段差部に形成される立面を含めて階段状に組み合わされることにより、シート面が取付面と離れた状態で係止片を挿入して立面を合わせると装着位置が確実に設定され、この立面をガイドとしてスプレーガン本体もしくはマニホールドのいずれか一方を他方に押し付ければ、容易に正しい接合装着が可能となる。また装着した後も一面だけの接合ではなく二次元の面の接合となるため、安定した装着ができ、使用中の緩みやずれの懸念も無くなる。
【００１１】
更に装着の固定手段を解除した場合も分離する方向と係止片を外す方向が異なるために、直ちに外れて思わぬ外れ方や落下によって不測の事態を引き起こすことなく安全に作業を行うことができる。
シート面若しくは取付け面に位置決め用のピンを設けることによって更に確実な装着が可能になり、開口と供給口との接続に対しても確実なシール効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
マニホールドガンは、自動スプレーガンのスプレーガン本体部分と、塗料とエア等の接続口を設けスプレーガン本体部に接続する通路を設けたマニホールドを別々に設け、着脱によってスプレーガン本体の交換を可能にしたスプレーガンである。
【００１３】
マニホールドガンはスプレーガンの機能により供給制御される通路の数はいくつかに分けられるが、接続面となるスプレーガン側のシート面とマニホールド側の取付け面に設けられる供給口の数が異なるのみで、大きな違いにはならない。通常は塗料の供給口と作動用及び噴霧用の二つのエアの供給口が必要となるが、作動エアと噴霧エアを兼用する場合は一つでも可能であり、反対に噴霧のパターン調整を個別に行うなどの機能を増加させることでエアの制御通路が増加する場合や、多液塗料の場合もしくは塗料循環システムを採用した場合に塗料の通路が増加することもある。その他、特殊の場合に静電塗装等で使用される場合には塗料やエアの流体通路に加え、電気的な接続を必要とする場合も中継接続部品としてマニホールドに設けられることもある。
【００１４】
図の実施例は単純に塗料の通路とエアの通路を２つ設けた場合として基本的な例を示している。
スプレーガン本体１は塗装用スプレーガンの構造として良く知られている構成で、先端部には中心部に塗料ノズル２を備え、先端の噴出口３から塗料が噴出される。噴出口３内部にはニードル弁４が当接して噴出口３を遮断し、ニードル弁４後部に接続されたピストン５に作動エアが供給さればね６に抗して後方に引かれると噴出口３が開口して塗料が噴出する。
【００１５】
塗料ノズル２の外側には空気キャップ７が着脱自在に取り付けられ、中心口８内に前期噴出口３の先端部が位置し、形成された環状のスキマから噴出するエアによって塗料は噴霧化される。噴出させるエアは後方に設けた空気弁９が前記ピストン５によって作動した時に送り込まれ噴射される。
【００１６】
空気キャップ７には他にパターン調整エア口１０が中心口８の両側面に配置され、その噴出調整によって噴霧パターンが調整される構成となっている。したがって一般的には、この調整エアは中心からの噴霧化エアとは別の供給路を通し別個に調整されたエアが供給されることになる。図の例ではスプレーガン本体１に設けた手動の調整弁１２によって前記調整エア口１０から噴出するエアの量を調整する場合が示されている。自動でこの調整を行う場合はマニホールド３０からスプレーガン本体１を介して独立した別の供給路を設け、前記調整エア口１０に供給されるようにすれば良い。
【００１７】
前記塗料ノズル２に連通する塗料供給路１３は、その開口１４を第１のシート面１５に設け、作動エア供給路１６、噴霧エア供給路１８は、それぞれの開口１７，１９を第２のシート面２０に設けている。第１のシート面１５と第２のシート面２０は互いに平行に段差を設けて形成している。段差の部分はシート面と垂直な立面２１とし、その立面から垂直にすなわち２つのシート面とは平行に突出する係止片２２が突出している。またシート面には少なくとも１ヶ所以上に位置決め用ピン２３が埋め込まれ、その一部が突出されている。図の例ではバランスを配慮して２本が設けられている。
【００１８】
一方マニホールド３０は、前記スプレーガン本体１のシート面１５，２０と立面２１に合致する第１の取付け面３１と第２の取付け面３２と取付立面３３をそれぞれ有し、これらの取付け面に前記シート面の開口１４、１７、１９、と一致する供給出口３４、３７、３９、を形成し、それぞれの供給通路３５、３８、４０、を介して塗料供給口４１、作動エア供給口４２、噴霧エア供給口４３が設けられている。
【００１９】
また前記スプレーガン本体１の立面２１に突出する係止片２２に対応したマニホールドの位置には、挿入孔２４が設けられ、位置決めと着脱時の固定手段として用いられる。図の例では挿入孔２４の内部に固定部材としてロック本体４５が装着されており、このロック本体４５に挿入孔２４となる凹部４４が穿設され、前記係止片２２が挿入された状態で、前記立面２１が取付立面３３をガイドとして図の下方に移動し、互いのシート面と取付け面が密着させる。図４及び図５はこのロック本体４５と係止片２２のみを抜き出し、その位置関係を示している。
【００２０】
図４の状態で係止片２２はロック本体４５の凹部４４の上部に挿入された状態であり、このときに係止片２２を下方矢指の方向すなわちスプレーガン本体を下方に移動させマニホールド３０と接触させる。更にロック本体４５を回転させて図５に示すように、溝４８に係止片２２を合致させて下方に押しつける構成となっている。前記ロック本体４５の回転は、一体に設けた心棒４６と外部に配置されるつまみ４７により操作される。ロック本体４５はマニホールド内で軸方向の移動が抑えられており、回転により挿入された係止片２２を上下に異なる二つの位置で固定させる働きを持たせている。
【００２１】
本実施例では係止片に対し、確実に固定する手段としてロック本体を回転させて係合する構成としたが、係止片に対し確実に所定の位置で係止させる作動竿等を設け、押し込むだけで弾性に抗して係合させ、解除の際にはその作動竿を逆に操作して分離可能にするなどの着脱手段を利用することもできる。
【００２２】
立面２１と係止片２２により、スプレーガン本体１とマニホールド３０の取り付け位置は所定の位置に決まるが、正確に装着し、確実に保持させるため位置決め用ピン２３に対応する位置にピン孔４９が設けられている。ピン２３は、スプレーガン本体もしくはマニホールド３０のいずれに設けても良い。
【００２３】
前記スプレーガン本体１の開口１４，１７，１９と対応するマニホールド３０のそれぞれの供給出口３４，３７，３９は、装着された時に漏洩を防止する手段としてシール手段もしくはパッキンが介装されている。本実施例では開口１４の周囲にシールリング５１を装着し、第１取付け面３１が密着した時に接続される方法と、第２シート面２０と第２取付け面３２の間に接続通路部分に穴を開けたパッキン５２を介装し締め付けた時に通路の接続と漏洩防止を図った方法が採用されている。
【００２４】
一般にマニホールド３０は自動塗装装置等に取り付けられるための取付け孔５０が設けられ、前記塗料供給口４１、作動エア供給口４２、噴霧エア供給口４３にそれぞれの供給ホースが接続された状態で固定される。スプレーガン本体１は、必要に応じて要求される仕様のものがマニホールド３０に装着され、かつ使用状況に応じて交換が行われる。
【００２５】
装着の際は係止片２２を挿入孔２４に挿入し、その挿入方向とは直交する方向に移動させ、マニホールド３０の取付け面とスプレーガン本体１のシート面とを密着させ、外部よりつまみを回転させることにより前記スプレーガン本体１の係止片２２とマニホールド３０のロック本体４５により固定することが出来る。シート面を分割し中間に段差を設けた構成のため位置合わせの時と締め付けの段階で異なる方向の移動による二次元の組み合わせを行うことで、簡単に且つ確実な装着が可能となる。また取り外す時には締め付けを解除しても、係止片２２による係止が緩む方向と異なるため、不用意に外れたり落下することの危険性も排除できる。
【００２６】
実施例の固定手段は係止片に係合させて固定する方法として、マニホールドに設けた固定装置を示したが、密着させるシート面とは直交する立面をガイドとして移動させ所定の位置で固定させるため、固定手段はこれに限定されること無く、各種のロック装置で使用される、所定の位置で緊締され、容易に解除できる技術を用いて所期の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明の実施例で、マニホールドスプレーガンとして組み合わされた状態を示す断面図である。
【図２】本発明の実施例でスプレーガン本体とマニホールドを分離した状態で示す外観図である。
【図３】本発明の実施例でスプレーガン本体とマニホールドを装着する途中の状態を示す外観図である。
【図４】図３の状態の時、固定手段の実施例として示したロック本体が、係止片に係合する状態を示す、３方向から見た説明図。
【図５】図４の固定手段が図１に示す組み合わされた状態に固定された時の状態を示す、３方向から見た説明図。
【符号の説明】
【００２８】
１、スプレーガン本体
２、塗料ノズル
７、空気キャップ
１２、調整弁
１４、１７、１９、開口
１５、第１のシート面
２０、第２のシート面
２１、立面
２２、係止片
２３、ピン
２４、挿入孔
３０、マニホールド
３１、第１の取付け面
３２、第２の取付け面
３３、取付立面
３４，３７，３９、供給出口
３５，３８，４０、供給通路
４４、凹部
４５、ロック本体
４７、つまみ
５１、シールリング
５２、パッキン
【技術分野】
【０００１】
本発明は、塗装用自動スプレーガンの塗料、噴霧エア供給路と接続されるマニホールド体を着脱し、スプレーガン交換時の煩雑性を改善したマニホールド自動ガンに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
塗装用スプレーガンは、作業者が直接操作する手持式のスプレーガンの他、自動塗装機や塗装ロボットに搭載して作動させる自動スプレーガンがある。この種の自動スプレーガンは、機械的に操作され長時間の作業が連続して行われるのが普通である。しかし塗料を使用することによる汚損や塗料の付着などを完全に防止することは困難で、定期的なメンテナンスが必要とされる。
【０００３】
また塗料の変更や、塗装条件の変更等によりスプレーガンの交換が必要なことも多くあり、スプレーガンの交換は日常的に行われるのが通常である。
このような場合、自動塗装ラインは停止され、その間の作業は非生産時間として大きな損失となり、極力短時間の作業で完了できることが望まれる。これらの要求に応えるため、スプレーガン本体に接続される塗料供給ホースや作動制御用エアや噴霧用エアの供給ホースの接続されたマニホールドを設け、このマニホールドに自動スプレーガン本体を着脱するだけで交換を可能にしたマニホールドスプレーガンが知られている。
【０００４】
これまでに示されたマニホールドスプレーガンの着脱手段は、ねじの締結による着脱に対し、すばやく着脱できるように改善された方法としてフックを利用した固定手段等が示されている。（特開平１０−１８０１６３号公報、特開２００３−６２４９８号公報）
しかしこれらに示されたマニホールドとスプレーガン本体の接続面は、いずれも一面で形成されており、これらの接続面の一方側を双方の面が圧接する関係位置に係合するよう保持させ、他方側を接続面が全面圧接されるように押し当てた状態で固定するものであった。このため接続面をスライドさせる必要があったり、一方側と他方側の密着度合いに差が生ずるなど、シート洩れの原因や装着の安定性に欠ける問題が残されている。
【０００５】
また着脱は簡便であるほど望ましく、その動作もワンタッチで出来ることが望まれるが、装着する際に仮に保持することで位置決めを確実容易にすることや、固定手段を解除した時にそのまま分離されると落下の危険性があり、簡単に外せる構造を有しながら、実用上は固定手段を外しても緩んだ状態で係合が維持されるように構成することも必要となる。
【特許文献１】特開平１０−１８０１６３号公報
【特許文献２】特開２００３−６２４９８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
塗料及びエア等の複数の供給路を統合配管するマニホールドと、塗料を噴霧する機能を備えたスプレーガン本体とを個別に設け、これらを組み合わせて自動スプレーガンを構成するマニホールドスプレーガンにおいて、スプレーガン本体とマニホールドが確実に接続でき、着脱の際にワンタッチ操作により短時間で作業が出来る構造とすることを課題とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
【０００８】
塗料ノズルから噴出する塗料を圧縮エアの噴射により噴霧化するエア霧化装置を備え、それぞれの塗料およびエアの供給路につながる開口を設けたシート面を形成したスプレーガン本体と、前記シート面のそれぞれの開口に一致し前記シート面と接合する取付け面に供給出口を形成し、それぞれの供給出口に接続されたそれぞれの供給接続口を設けたマニホールドによって構成されるマニホールドスプレーガンにおいて、前記のシート面と取付け面は、それぞれ互いに段差を有する２つの面で形成し、前スプレーガン本体側の前記段差部にシート面と平行に嵌挿される係止片を突設し、この係止片をマニホールドに挿入し、マニホールドに設けた固定手段により前記係止片に係合してスプレーガン本体とマニホールドを密着させた位置で固定し、該固定手段の解除により分離可能としたマニホールド自動スプレーガン。
【０００９】
マニホールドに設けた固定手段は、外部からの回転により、前記係止片と係合もしくは解除する。
シート面と取付け面の少なくとも1箇所に位置決め用ピンとこれに嵌合するピン孔を設け、正確な相対位置を確定する。また前記それぞれの開口と供給出口とはシート面と取付け面が密着した時に接続位置を一致させ、その接続部には漏洩を防止する手段が設けられる。この漏洩防止手段は、開口の周囲が緊密に接触し漏洩を防止するように配置される。
【発明の効果】
【００１０】
スプレーガン本体とマニホールドの接合面となるシート面と取付け面が平行な段差を設けた２つの面に分割され、中間の段差部に形成される立面を含めて階段状に組み合わされることにより、シート面が取付面と離れた状態で係止片を挿入して立面を合わせると装着位置が確実に設定され、この立面をガイドとしてスプレーガン本体もしくはマニホールドのいずれか一方を他方に押し付ければ、容易に正しい接合装着が可能となる。また装着した後も一面だけの接合ではなく二次元の面の接合となるため、安定した装着ができ、使用中の緩みやずれの懸念も無くなる。
【００１１】
更に装着の固定手段を解除した場合も分離する方向と係止片を外す方向が異なるために、直ちに外れて思わぬ外れ方や落下によって不測の事態を引き起こすことなく安全に作業を行うことができる。
シート面若しくは取付け面に位置決め用のピンを設けることによって更に確実な装着が可能になり、開口と供給口との接続に対しても確実なシール効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
マニホールドガンは、自動スプレーガンのスプレーガン本体部分と、塗料とエア等の接続口を設けスプレーガン本体部に接続する通路を設けたマニホールドを別々に設け、着脱によってスプレーガン本体の交換を可能にしたスプレーガンである。
【００１３】
マニホールドガンはスプレーガンの機能により供給制御される通路の数はいくつかに分けられるが、接続面となるスプレーガン側のシート面とマニホールド側の取付け面に設けられる供給口の数が異なるのみで、大きな違いにはならない。通常は塗料の供給口と作動用及び噴霧用の二つのエアの供給口が必要となるが、作動エアと噴霧エアを兼用する場合は一つでも可能であり、反対に噴霧のパターン調整を個別に行うなどの機能を増加させることでエアの制御通路が増加する場合や、多液塗料の場合もしくは塗料循環システムを採用した場合に塗料の通路が増加することもある。その他、特殊の場合に静電塗装等で使用される場合には塗料やエアの流体通路に加え、電気的な接続を必要とする場合も中継接続部品としてマニホールドに設けられることもある。
【００１４】
図の実施例は単純に塗料の通路とエアの通路を２つ設けた場合として基本的な例を示している。
スプレーガン本体１は塗装用スプレーガンの構造として良く知られている構成で、先端部には中心部に塗料ノズル２を備え、先端の噴出口３から塗料が噴出される。噴出口３内部にはニードル弁４が当接して噴出口３を遮断し、ニードル弁４後部に接続されたピストン５に作動エアが供給さればね６に抗して後方に引かれると噴出口３が開口して塗料が噴出する。
【００１５】
塗料ノズル２の外側には空気キャップ７が着脱自在に取り付けられ、中心口８内に前期噴出口３の先端部が位置し、形成された環状のスキマから噴出するエアによって塗料は噴霧化される。噴出させるエアは後方に設けた空気弁９が前記ピストン５によって作動した時に送り込まれ噴射される。
【００１６】
空気キャップ７には他にパターン調整エア口１０が中心口８の両側面に配置され、その噴出調整によって噴霧パターンが調整される構成となっている。したがって一般的には、この調整エアは中心からの噴霧化エアとは別の供給路を通し別個に調整されたエアが供給されることになる。図の例ではスプレーガン本体１に設けた手動の調整弁１２によって前記調整エア口１０から噴出するエアの量を調整する場合が示されている。自動でこの調整を行う場合はマニホールド３０からスプレーガン本体１を介して独立した別の供給路を設け、前記調整エア口１０に供給されるようにすれば良い。
【００１７】
前記塗料ノズル２に連通する塗料供給路１３は、その開口１４を第１のシート面１５に設け、作動エア供給路１６、噴霧エア供給路１８は、それぞれの開口１７，１９を第２のシート面２０に設けている。第１のシート面１５と第２のシート面２０は互いに平行に段差を設けて形成している。段差の部分はシート面と垂直な立面２１とし、その立面から垂直にすなわち２つのシート面とは平行に突出する係止片２２が突出している。またシート面には少なくとも１ヶ所以上に位置決め用ピン２３が埋め込まれ、その一部が突出されている。図の例ではバランスを配慮して２本が設けられている。
【００１８】
一方マニホールド３０は、前記スプレーガン本体１のシート面１５，２０と立面２１に合致する第１の取付け面３１と第２の取付け面３２と取付立面３３をそれぞれ有し、これらの取付け面に前記シート面の開口１４、１７、１９、と一致する供給出口３４、３７、３９、を形成し、それぞれの供給通路３５、３８、４０、を介して塗料供給口４１、作動エア供給口４２、噴霧エア供給口４３が設けられている。
【００１９】
また前記スプレーガン本体１の立面２１に突出する係止片２２に対応したマニホールドの位置には、挿入孔２４が設けられ、位置決めと着脱時の固定手段として用いられる。図の例では挿入孔２４の内部に固定部材としてロック本体４５が装着されており、このロック本体４５に挿入孔２４となる凹部４４が穿設され、前記係止片２２が挿入された状態で、前記立面２１が取付立面３３をガイドとして図の下方に移動し、互いのシート面と取付け面が密着させる。図４及び図５はこのロック本体４５と係止片２２のみを抜き出し、その位置関係を示している。
【００２０】
図４の状態で係止片２２はロック本体４５の凹部４４の上部に挿入された状態であり、このときに係止片２２を下方矢指の方向すなわちスプレーガン本体を下方に移動させマニホールド３０と接触させる。更にロック本体４５を回転させて図５に示すように、溝４８に係止片２２を合致させて下方に押しつける構成となっている。前記ロック本体４５の回転は、一体に設けた心棒４６と外部に配置されるつまみ４７により操作される。ロック本体４５はマニホールド内で軸方向の移動が抑えられており、回転により挿入された係止片２２を上下に異なる二つの位置で固定させる働きを持たせている。
【００２１】
本実施例では係止片に対し、確実に固定する手段としてロック本体を回転させて係合する構成としたが、係止片に対し確実に所定の位置で係止させる作動竿等を設け、押し込むだけで弾性に抗して係合させ、解除の際にはその作動竿を逆に操作して分離可能にするなどの着脱手段を利用することもできる。
【００２２】
立面２１と係止片２２により、スプレーガン本体１とマニホールド３０の取り付け位置は所定の位置に決まるが、正確に装着し、確実に保持させるため位置決め用ピン２３に対応する位置にピン孔４９が設けられている。ピン２３は、スプレーガン本体もしくはマニホールド３０のいずれに設けても良い。
【００２３】
前記スプレーガン本体１の開口１４，１７，１９と対応するマニホールド３０のそれぞれの供給出口３４，３７，３９は、装着された時に漏洩を防止する手段としてシール手段もしくはパッキンが介装されている。本実施例では開口１４の周囲にシールリング５１を装着し、第１取付け面３１が密着した時に接続される方法と、第２シート面２０と第２取付け面３２の間に接続通路部分に穴を開けたパッキン５２を介装し締め付けた時に通路の接続と漏洩防止を図った方法が採用されている。
【００２４】
一般にマニホールド３０は自動塗装装置等に取り付けられるための取付け孔５０が設けられ、前記塗料供給口４１、作動エア供給口４２、噴霧エア供給口４３にそれぞれの供給ホースが接続された状態で固定される。スプレーガン本体１は、必要に応じて要求される仕様のものがマニホールド３０に装着され、かつ使用状況に応じて交換が行われる。
【００２５】
装着の際は係止片２２を挿入孔２４に挿入し、その挿入方向とは直交する方向に移動させ、マニホールド３０の取付け面とスプレーガン本体１のシート面とを密着させ、外部よりつまみを回転させることにより前記スプレーガン本体１の係止片２２とマニホールド３０のロック本体４５により固定することが出来る。シート面を分割し中間に段差を設けた構成のため位置合わせの時と締め付けの段階で異なる方向の移動による二次元の組み合わせを行うことで、簡単に且つ確実な装着が可能となる。また取り外す時には締め付けを解除しても、係止片２２による係止が緩む方向と異なるため、不用意に外れたり落下することの危険性も排除できる。
【００２６】
実施例の固定手段は係止片に係合させて固定する方法として、マニホールドに設けた固定装置を示したが、密着させるシート面とは直交する立面をガイドとして移動させ所定の位置で固定させるため、固定手段はこれに限定されること無く、各種のロック装置で使用される、所定の位置で緊締され、容易に解除できる技術を用いて所期の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明の実施例で、マニホールドスプレーガンとして組み合わされた状態を示す断面図である。
【図２】本発明の実施例でスプレーガン本体とマニホールドを分離した状態で示す外観図である。
【図３】本発明の実施例でスプレーガン本体とマニホールドを装着する途中の状態を示す外観図である。
【図４】図３の状態の時、固定手段の実施例として示したロック本体が、係止片に係合する状態を示す、３方向から見た説明図。
【図５】図４の固定手段が図１に示す組み合わされた状態に固定された時の状態を示す、３方向から見た説明図。
【符号の説明】
【００２８】
１、スプレーガン本体
２、塗料ノズル
７、空気キャップ
１２、調整弁
１４、１７、１９、開口
１５、第１のシート面
２０、第２のシート面
２１、立面
２２、係止片
２３、ピン
２４、挿入孔
３０、マニホールド
３１、第１の取付け面
３２、第２の取付け面
３３、取付立面
３４，３７，３９、供給出口
３５，３８，４０、供給通路
４４、凹部
４５、ロック本体
４７、つまみ
５１、シールリング
５２、パッキン
【特許請求の範囲】
【請求項１】
塗料ノズルから噴出する塗料を圧縮エアの噴射により噴霧化するエア霧化装置を備え、それぞれの塗料およびエアの供給路につながる開口を設けたシート面を形成したスプレーガン本体と、前記シート面のそれぞれの開口に一致し前記シート面と接合する取付け面に供給出口を形成し、それぞれの供給出口に接続されたそれぞれの供給接続口を設けたマニホールドによって構成されるマニホールドスプレーガンにおいて、前記のシート面と取付け面は、それぞれ互いに段差を有する２つの面で形成し、スプレーガン本体側の前記段差部にシート面と平行に嵌挿される係止片を突設し、この係止片をマニホールドに挿入し、マニホールドに設けた固定手段により前記係止片に係合してスプレーガン本体とマニホールドを密着させた位置で固定し、該固定手段の解除により分離可能としたマニホールド自動スプレーガン。
【請求項２】
マニホールドに設けた固定手段は、外部からの回転により、前記係止片と係合もしくは解除する請求項１のマニホールド自動スプレーガン。
【請求項３】
シート面と取付け面の少なくとも1箇所に位置決め用ピンとこれに嵌合するピン孔を設けてなる請求項１のマニホールド自動スプレーガン
【請求項４】
前記それぞれの開口と供給出口とは取り付け位置を一致させ、それぞれの開口部はシート面と取付け面が密着した時に漏洩を防止する手段が設けられた請求項１から３のマニホールド自動スプレーガン。
【請求項５】
漏洩防止手段は、開口の周囲に配置されるシールリング若しくはシートパッキンからなる請求項4のマニホールド自動スプレーガン。
【請求項１】
塗料ノズルから噴出する塗料を圧縮エアの噴射により噴霧化するエア霧化装置を備え、それぞれの塗料およびエアの供給路につながる開口を設けたシート面を形成したスプレーガン本体と、前記シート面のそれぞれの開口に一致し前記シート面と接合する取付け面に供給出口を形成し、それぞれの供給出口に接続されたそれぞれの供給接続口を設けたマニホールドによって構成されるマニホールドスプレーガンにおいて、前記のシート面と取付け面は、それぞれ互いに段差を有する２つの面で形成し、スプレーガン本体側の前記段差部にシート面と平行に嵌挿される係止片を突設し、この係止片をマニホールドに挿入し、マニホールドに設けた固定手段により前記係止片に係合してスプレーガン本体とマニホールドを密着させた位置で固定し、該固定手段の解除により分離可能としたマニホールド自動スプレーガン。
【請求項２】
マニホールドに設けた固定手段は、外部からの回転により、前記係止片と係合もしくは解除する請求項１のマニホールド自動スプレーガン。
【請求項３】
シート面と取付け面の少なくとも1箇所に位置決め用ピンとこれに嵌合するピン孔を設けてなる請求項１のマニホールド自動スプレーガン
【請求項４】
前記それぞれの開口と供給出口とは取り付け位置を一致させ、それぞれの開口部はシート面と取付け面が密着した時に漏洩を防止する手段が設けられた請求項１から３のマニホールド自動スプレーガン。
【請求項５】
漏洩防止手段は、開口の周囲に配置されるシールリング若しくはシートパッキンからなる請求項4のマニホールド自動スプレーガン。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００８−２７２６１２（Ｐ２００８−２７２６１２Ａ）
【公開日】平成２０年１１月１３日（２００８．１１．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１１５９８２（Ｐ２００７−１１５９８２）
【出願日】平成１９年４月２５日（２００７．４．２５）
【出願人】（３９００２８４９５）アネスト岩田株式会社 (224)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１１月１３日（２００８．１１．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年４月２５日（２００７．４．２５）
【出願人】（３９００２８４９５）アネスト岩田株式会社 (224)
【Ｆターム（参考）】
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