説明

塩害土壌改良材

【課題】津波による塩害の被害を受けた農地や園芸用地等の土壌中の塩分濃度を低下させる。
【解決手段】本発明は、ラン藻類と、EM菌と、サンゴ粒とを含有し、前記EM菌が、酵母群、光合成細菌群、及び乳酸菌群から選出される複数の微生物の混合物であることを特徴とする塩害土壌改良材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩害が発生している農地や園芸用地などの土壌を改良するための塩害土壌改良材に関する。
【背景技術】
【0002】
津波による塩害の被害を受けた農地は、塩化ナトリウム(NaCl)が多量に存在することにより浸透圧が高くなってしまい、植物の根の吸水作用を阻害する、土壌中の塩化ナトリウム濃度が高くなることによって該土壌中に存在する植物に栄養素を供給する微生物が死滅してしうまうため、塩化ナトリウム濃度が下がっても作物ができなくなる、ナトリウムイオンとカルシウムイオンが交換されることにより、土壌中のカルシウム量が不足してしまい、カルシウム不足による植物の生育障害が発生する、といった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-30285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、津波による塩害の被害を受けた農地や園芸用地等の土壌中の塩分濃度を低下させることができる塩害土壌改良材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために成された本発明に係る塩害土壌改良材は、ラン藻類と、EM菌と、サンゴ粒とを含有し、前記EM菌が、酵母群、光合成細菌群、及び乳酸菌群から選出される複数の微生物の混合物であることを特徴とする。
前記ラン藻類、前記EM菌、前記サンゴ粒は、塩害の程度によって適宜の比率で配合することができるが、2:1:3〜2:1:3.5の比率で配合されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、サンゴ及び微生物の作用によって塩害を受けた土壌の塩分濃度を低下させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る塩害土壌改良材を塩分被害を受けた農地(圃場1及び圃場2)に施肥し、施肥直前の塩分濃度と2ヶ月後の塩分濃度を調べた。なお、今回使用した塩害土壌改良材のラン藻類(海洋微生物(シアノバクテリア))、EM菌、サンゴ粒の配合比率はそれぞれ33.3%、16.8%、49.9%である。
[圃場1] 塩分濃度が2.6%から0.7%に低下した。
[圃場2] 塩分濃度が2.9%から0.8%に低下した。
一般にトマトが生育できる塩分濃度の限界値は0.7%といわれており、今回の結果によって、本発明の塩害土壌改良材によって、塩害の被害を受けた農地をトマトの生育可能な農地に回復させることができることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラン藻類と、EM菌と、サンゴ粒とを含有し、前記EM菌が、酵母群、光合成細菌群、及び乳酸菌群から選出される複数の微生物の混合物であることを特徴とする塩害土壌改良材。
【請求項2】
前記ラン藻類、前記EM菌、前記サンゴ粒が2:1:3〜2:1:3.5の比率で配合されていることを特徴とする請求項1に記載の塩害土壌改良材。