説明

塵芥回収船

【目的】 港湾の浮遊塵芥回収作業を省力化し、且つ確実な回収が行える。
【構成】 双胴型の塵芥回収船(1)は、港湾の狭隘な場所での塵芥回収を行う場合には、ウイングゲート(3)で呼び込み範囲を広げ、船首呼び込みジェットノズル(2)、流入調整板(4)、仕切板(6)、水流発生機(7)により呼び込み水流を起こし、浮遊塵芥の回収を行う。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、港湾の狭隘な場所に浮遊している塵芥を効率良く回収する浮遊塵芥回収船に係るものであり、詳しくは塵芥回収船の各種装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の浮遊塵芥回収船による塵芥回収は、港湾の狭隘な場所での塵芥回収が満足に出来ず、人が熊手等を使用して塵芥回収船内部に呼び込む等の回収作業が行われ、そのような回収作業は、非常に危険を伴う作業でしかも非能率的な作業であった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
従来の回収方法で停船状態における浮遊塵芥の回収効率が悪い原因として、従来の塵芥回収船には、多列円板回転式の塵芥回収装置も多く、多列円板回転式回収装置だけでは、呼び込みの水量が少なく、また回転板によって発生する飛沫が浮遊塵芥に当たり逆方向へ逃げるなど浮遊塵芥回収に悪影響を及ぼすという問題が起こっている。
【0004】
また、多列円板回転式の塵芥回収船においては、多列円板の回転軸受部に細長いひも状の浮遊塵芥が巻き付くことがあり、巻き付くと操業の能率低下の原因になり、復旧作業に大変手間がかかるという面を有していた。
【0005】
また、従来の多列円板回転式の塵芥回収船は、航行時の塵芥回収においても、長い形状の物や大きい樽状の物は、多列円板が妨げになって回収出来ずに、人力により回収してコンテナカゴに投入しているのが現状である。
【0006】
本考案は、各種装置の組合せで、人が熊手等を使用して塵芥回収船内部に呼び込む作業、又は人力による回収作業を排除するとともに、回収効率の高い浮遊塵芥回収船を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案における浮遊塵芥回収船は、上記の事情を鑑みて問題点を解決し考案したものである。本考案に係わる塵芥回収船は、港湾の狭隘な場所での塵芥回収に各種装置を使用して、回収効率の向上、省力化を図るものである。
【0008】
ウイングゲート(3)は、左右個別で任意に開閉角度を可変することができ、浮遊塵芥や周囲の状況に応じて角度を変えることが好ましい。
【0009】
呼び込みジェット装置(2)は、伸縮、昇降、及び揺動が可能であり、浮遊塵芥の状態に応じてノズル先端は、水上または、水中で使用することが好ましい。
【0010】
水流発生機(7)は、停船状態で浮遊塵芥回収を行う場合には水中まで下降させ水流を発生させるものである。又、航行時には水上まで上昇させ航行の妨げにならないようにするのが好ましい。
【0011】
停船状態で浮遊塵芥回収を行う場合には、流入調整板(4)を起こして使用し水流発生機(7)や仕切板(6)との組合せで水位差を形成し水流を発生させる。航行時は流入調整板を傾斜させて水流抵抗を少なくし、航行の妨げにならないようにする事が好ましい。
【0012】
放水ジェット装置(5)は、左右個別にジェット放水が可能で浮遊塵芥や周囲の状況に応じて放水角度やジェット吐出量を可変することが好ましい。
【0013】
【作用】
本考案の、塵芥回収船(1)は、船首のウイングゲート(3)を開くことにより浮遊塵芥の呼び込み範囲を広くして、呼び込みジェット装置(2)により呼び込み水流を発生させ、船首付近の流入調整板(4)、船体中央部付近の水流発生機(7)、仕切板(6)との組合せにより呼び込み水流を発生させて浮遊塵芥を回収する塵芥回収船である。
【0014】
【実施例】
実施例について図面を参照し説明する。図中15は、表面水位であり図中1は、塵芥回収船である。ウィングゲート3の 開閉角度は任意に開閉が可能で周囲の状態や浮遊塵芥の状況に応じて開閉する装置である。
【0015】
呼び込みジェット装置2は、伸縮、昇降、及び揺動が可能であり任意に伸縮、昇降、揺動させることができ、浮遊塵芥の状態に合わせて適宜な位置での呼び込みジェットで水流を発生させることが出来る装置である。
【0016】
水流発生機7は、塵芥回収船1の船尾付近にあり、回収船内の水を吐き出すことにより、呼び込み水流を発生させる効果がある。又、水流発生機7は、塵芥回収時には呼び込み水流を発生させるため水中に下降させる、また航行時には水流抵抗を少なくするため水上へ上昇させる機能を有する装置である。
【0017】
水流反転板8は、水流発生機7により発生した水流を反転させ下部連結板10を案内とし船首の方へ誘導する事により水中を漂う塵芥を水面上に浮かせ、塵芥回収効率を高める装置である。
【0018】
流入調整板4は、船首付近で任意に傾斜角度が可変出来るもので、停船回収時は水流発生機7や仕切板6との組合せで浮遊塵芥の状況や流入状態に応じて傾斜角度を可変して、周囲海面と塵芥回収船内とに水位差を形成させることによって呼び込み水流を発生させる装置である。
【0019】
仕切板6は、船体の中央部付近で水流発生機7の前方にあり、船体後方よりの水の流入を防止するものであり、昇降が可能で、流入調整板4や水流発生機7との組み合わせによって、水位差を形成させる装置である。
【0020】
塵芥回収カゴ9は、昇降が可能で、カゴの底部が無く塵芥回収カゴ受台14が塵芥回収カゴ9の底部の役割を果たしているものであり塵芥回収後は、昇降シリンダで上昇させ、押し出しシリンダ12で塵芥回収カゴ9を押し出す事により、塵芥回収カゴ受台14と塵芥回収カゴ9を分離させ、底部の無い塵芥回収カゴ9より回収した塵芥が自動的に落下し回収出来る装置である。
【0021】
【考案の効果】
本考案は、上述のとおり構成されているので、塵芥回収船での作業の省力化を図り、港湾の狭隘な場所での確実な浮遊塵芥の回収を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の断面図である。
【図2】本考案の平面図である。
【符号の説明】
1 塵芥回収船
2 呼び込みジェット装置
3 ウィングゲート
4 流入調整板
5 放水ジェット装置
6 仕切板
7 水流発生機
8 水流反転板
9 塵芥回収カゴ
10 下部連結板
11 昇降シリンダ
12 押し出しシリンダ
13 陸上げ用回収カゴ
14 塵芥回収カゴ受け台
15 表面水位

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 双胴型回収船で、船内に呼び込んだ浮遊塵芥を塵芥回収船の下に流出させないようにする為、下部連結板(10)が取り付けてあり、船首両側面に、ウィングゲート(3)、放水ジェット装置(5)を有し、船首付近に呼び込みジェット装置(2)、流入調整板(4)を有しており、塵芥回収船の中央部付近に塵芥回収カゴ(9)を有し、その後部に仕切板(6)、水流発生機(7)、水流反転板(8)を有する塵芥回収船。
【請求項2】 塵芥回収船(1)の船首両側面に開閉角度を任意に可変させる事が可能なウィングゲート(3)を有する塵芥回収船。
【請求項3】 塵芥回収船(1)の船首先端部に伸縮、昇降、及び揺動が任意に可変できる呼び込みジェット装置(2)を有する塵芥回収船。
【請求項4】 塵芥回収船(1)の船首両側面に放水角度を任意に可変可能で水上に複数のジェットノズルを縦列配置する放水ジェット装置(5)を有する塵芥回収船。
【請求項5】 塵芥回収船(1)の船首部に、傾斜角度を任意に可変させる事が可能な流入調整板(4)、仕切板(6)、水流発生機(7)によって水位差を形成させることにより水流を発生させる装置を有する塵芥回収船。
【請求項6】 塵芥回収船(1)の船尾付近に昇降式の水流反転板(8)によって水流を反転させる装置を有する塵芥回収船。
【請求項7】 塵芥回収船(1)の中央部付近には、塵芥回収カゴ(9)、塵芥回収カゴ受台(14)、昇降シリンダ(11)、押し出しシリンダ(12)により構成される塵芥回収装置を有し、回収された塵芥は、昇降シリンダ(11)で上昇させ、押し出しシリンダ(12)で押し出すことにより塵芥回収カゴ(9)と塵芥回収カゴ受台とが分離され塵芥回収カゴ(9)だけが押し出され、塵芥回収カゴ(9)底部より回収した塵芥が陸揚げ用回収カゴ(13)の中に落下する事で自動的に塵芥の回収が出来る塵芥回収船。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3014806号
【登録日】平成7年(1995)6月7日
【発行日】平成7年(1995)8月22日
【考案の名称】塵芥回収船
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−2352
【出願日】平成7年(1995)2月15日
【出願人】(594125576)協和機工株式会社 (3)