説明

壁型枠ユニットおよび壁型枠構造体

【課題】製作工程が簡単で後工程が不要であり、かつ、連結部位の引張強度を向上し得る構造を有する壁型枠ユニットおよび壁型枠構造体を提供すること。
【解決手段】互いに対向する内側壁鋼板111および外側壁鋼板113で構成される側壁鋼板内に、内側壁鋼板111に対して横方向に配筋される内側横鉄筋131と、外側壁鋼板113に対して横方向に配筋される外側横鉄筋133と、内側横鉄筋131の一端と外側横鉄筋の一端133とを連結する一端連結鉄筋135とで構成される横鉄筋130を配筋することにより、複数個連結して延長する際の連結が容易になるとともに連結部位の引張強度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリートラーメン構造やアパートのような壁式構造に効果的に適用することができるウォールプレート、特にデッキプレート形態を用いた型枠構造体として、特にサポートを使用しなくても、上部の壁体を支持することができるウォールプレートの壁型枠ユニットおよび壁型枠構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のデッキプレート形態を用いた壁型枠としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
図15および図16に示すように、壁体を構築するための従来の壁型枠は、養生前のコンクリートを封じ込めることができるプレート10,20と、養生後のコンクリートの強度を維持するためにプレート10,20間で組み立てられる鉄筋組立体33と、鉄筋組立体33とプレート10,20とを連結してプレート10,20間の間隔が維持されるようにする結束手段とを含んで構成される。
【0004】
プレート10,20にはそれぞれ、複数の開口11,21が形成されている。鉄筋組立体33は、縦鉄筋31と、縦鉄筋31の上に横方向に交差して固定される横鉄筋32と、縦鉄筋31と横鉄筋32との間をジグザグに交差しながら当該横鉄筋32および縦鉄筋31上に固定される格子30とからなっている。
【0005】
格子30の折れ曲がった端部が前記プレート10,20の開口11,21から露出し、露出した格子30の部分にはピン34が挿入されて、前記格子30が前記プレート10,20と一時的に固定されることになる。
【特許文献1】韓国公開特許第2007−36807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような構成を有する従来の壁型枠は、次のような問題点がある。
【0007】
第1に、横鉄筋32はプレート10,20に対して平行に配筋される。したがって、壁型枠を継続して延長しようとする場合は、横鉄筋32の終端と次の横鉄筋の先端を連結する必要がある。しかし、横鉄筋32が配筋されるのはプレート10付近およびプレート20付近のみであり、連結部位はプレート10付近およびプレート20付近の2箇所のみに形成され、これらの間には別の鉄筋が配筋されていないため、コンクリートを打設したとき、他の部位(格子のある部位)に比べて引張強度が弱い。
【0008】
第2に、前述の連結部位の引張強度を向上させるためには、プレート10側の横鉄筋とプレート20側の横鉄筋とを互いに連結する別の補強鉄筋が必要であり、この補強鉄筋を各横鉄筋に固定する工程がさらに必要であり、施工性が著しく落ちる。
【0009】
第3に、横鉄筋32と次の横鉄筋が互いに一直線上に配筋されており、連結する際に、一方の横鉄筋を曲げて互いに重なり合うようにする作業が必要である。
【0010】
第4に、縦鉄筋も横鉄筋と同様に、連結される部位の引張強度が脆弱であり、重なり連結のための曲げ作業が必要である。
【0011】
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたものであって、コンクリートの養生過程において、有害性物質を遮断し、製作工程が簡単で後工程が不要であり、かつ、連結部位の引張強度を向上し得る構造を有する壁型枠ユニットおよび壁型枠構造体を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために本発明による請求項1の壁型枠ユニットは、内側壁鋼板および外側壁鋼板で構成される側壁鋼板と、前記側壁鋼板に対して横方向に配筋される横鉄筋とを含むが、前記横鉄筋は、前記内側壁鋼板に対して横方向に配筋される内側横鉄筋と、前記外側壁鋼板に対して横方向に配筋される外側横鉄筋と、前記内側横鉄筋の一端と前記外側横鉄筋の一端とを連結する一端連結鉄筋とで構成されることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、一端連結鉄筋により連結部位の幅方向に鉄筋がさらに配筋されるので引張強度を向上させることができ、鋼板によりコンクリートの有害性物質を遮断し、一括自動生産が可能で製作工程が簡単であり、一度設置した後に解体などの後工程が不要である。
【0014】
本発明において請求項2に記載の壁型枠ユニットは、前記一端連結鉄筋が、前記側壁鋼板の一側端より突出するように配筋されることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、突出した一端連結鉄筋が他の壁型枠ユニットの他端連結鉄筋と重なって連結されるので、引張強度をさらに向上させることができる。
【0016】
本発明において請求項3に記載の壁型枠ユニットは、前記一端連結鉄筋が、前記内側横鉄筋の一端および外側横鉄筋の一端からそれぞれ傾斜延長される内側傾斜延長鉄筋および外側傾斜延長鉄筋と、前記内側傾斜延長鉄筋および外側傾斜延長鉄筋を連結する幅連結鉄筋とで構成されることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、互いに重なり合うとき、傾斜により妨害が少なくなり、配筋の施工性が良くなる。
【0018】
本発明において請求項4に記載の壁型枠ユニットは、前記横鉄筋が、その一端側が他端側より低い位置にくるように傾斜して配筋されることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、壁型枠ユニットを互いに連結して施工するとき、曲げなくても横鉄筋の間の重なり合いが自然になされる。
【0020】
本発明において請求項5に記載の壁型枠ユニットは、前記横鉄筋が、前記内側横鉄筋の他端と前記外側横鉄筋の他端とを連結する他端連結鉄筋をさらに含み、多角形状をなしていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、多角形状の連結鉄筋が互いに重なり合い、クロス形態の連結部位が形成され、靭鋼強度が極めて大きく、クロス部分の結束が容易になる。
【0022】
本発明において請求項6に記載の壁型枠ユニットは、前記側壁鋼板のそれぞれには互いに対面して折り畳まれたリブが形成され、前記リブに前記横鉄筋が溶接固定されることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、横鉄筋とスポット溶接される突起が互いに対面して折り畳まれて形成され、溶接の跡が発生せず、ピンホールのような溶接欠陥のない安定した構造と美麗な外観を有する。
【0024】
本発明において請求項7に記載の壁型枠ユニットは、前記側壁鋼板に対して縦方向に配筋される縦鉄筋がさらに配筋されるが、前記縦鉄筋は、前記内側横鉄筋に接して配筋される内側縦鉄筋と、前記外側横鉄筋に接して配筋される外側縦鉄筋と、前記内側縦鉄筋の上端と前記外側縦鉄筋の上端とを連結する上端連結鉄筋とで構成され、前記上端連結鉄筋が、前記側壁鋼板の上側端より突出するように配筋されることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、横鉄筋と同様の効果を得ることができる。
【0026】
本発明において請求項8に記載の壁型枠ユニットは、前記上端連結鉄筋が、前記内側縦鉄筋の上端および外側縦鉄筋の上端からそれぞれ傾斜して突出される内側傾斜鉄筋および外側傾斜鉄筋と、前記内側傾斜鉄筋および外側傾斜鉄筋からそれぞれ縦方向に延長される内側延長鉄筋および外側延長鉄筋と、前記内側延長鉄筋および外側延長鉄筋を連結する連結鉄筋とで構成されることが好ましい。
【0027】
本発明において請求項9に記載の壁型枠ユニットは、前記内側縦鉄筋と外側縦鉄筋との間に補強鉄筋がさらに配筋されることが好ましい。
【0028】
本発明において請求項10に記載の壁型枠ユニットは、内側壁鋼板および外側壁鋼板で構成される側壁鋼板と、前記側壁鋼板に横方向に配筋される横鉄筋を含むが、前記横鉄筋が、らせん状に巻かれて配筋されることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、横鉄筋が側壁鋼板の上下方向に連続して一体的に巻かれて配筋されるので引張強度が極めて優れている。
【0030】
本発明において請求項11に記載の壁型枠構造体は、第1の内側壁鋼板および第1の外側壁鋼板で構成される第1の側壁鋼板と、前記第1の側壁鋼板に対して横方向に配筋される第1の横鉄筋とを含む第1の壁型枠ユニットと、第2の内側壁鋼板および第2の外側壁鋼板で構成される第2の側壁鋼板と、前記第2の側壁鋼板に対して横方向に配筋される第2の横鉄筋とを含む第2の壁型枠ユニットと、前記第1の側壁鋼板と第2の側壁鋼板とを連結する連結部材とからなるが、前記第1の横鉄筋が、前記第1の内側壁鋼板に対して横方向に配筋される第1の内側横鉄筋と、前記第1の外側壁鋼板に対して横方向に配筋される第1の外側横鉄筋と、前記第1の内側横鉄筋の一端と前記第1の外側横鉄筋の一端とを連結する第1の一端連結鉄筋とで構成され、前記第2の横鉄筋が、前記第2の内側壁鋼板に対して横方向に配筋される第2の内側横鉄筋と、前記第2の外側壁鋼板に対して横方向に配筋される第2の外側横鉄筋と、前記第2の内側横鉄筋の他端と前記第2の外側横鉄筋の他端とを連結する第2の他端連結鉄筋とで構成されることを特徴とする。
【0031】
本発明において請求項12に記載の壁型枠構造体は、前記第1の一端連結鉄筋が、前記第1の側壁鋼板の一側端より突出するように配筋され、前記第2の他端連結鉄筋が、前記第2の側壁鋼板の他側端より突出するように配筋され、前記第1の一端連結鉄筋および第2の他端連結鉄筋が互いに重なり合って連結部位を構成することを特徴とする。
【0032】
本発明において請求項13に記載の壁型枠構造体は、前記第1の内側壁鋼板と第2の内側壁鋼板との間、または前記第1の外側壁鋼板と第2の外側壁鋼板との間に配置されるウェブと、前記ウェブの内側および外側にそれぞれ設置される内側フランジおよび外側フランジと、前記内側フランジおよび外側フランジを前記第1、第2の内側壁鋼板、または第1、第2の外側壁鋼板に固定するピースとで構成される連結金物であることを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、連結金物を別に使用するので、側壁鋼板の雄雌の区分が不要になる。
【0034】
本発明において請求項14に記載の壁型枠構造体は、前記内側フランジが、中空の閉断面形状をなしていることを特徴とする。
【0035】
本発明において請求項15に記載の壁型枠構造体は、前記第1の一端連結鉄筋および第2の他端連結鉄筋が多角形状であり、前記第1の横鉄筋および第2の横鉄筋がそれぞれ、その一端側が他端側より低い位置にくるように傾斜して配筋されることを特徴とする。
【0036】
本発明において請求項16に記載の壁型枠構造体は、前記第1の側壁鋼板および第2の側壁鋼板に対してそれぞれ縦方向に配筋される第1の縦鉄筋および第2の縦鉄筋がさらに配筋されるが、前記第1の縦鉄筋および第2の縦鉄筋はそれぞれ、前記内側横鉄筋に接して配筋される内側縦鉄筋と、前記外側横鉄筋に接して配筋される外側縦鉄筋と、前記内側縦鉄筋の上端と前記外側縦鉄筋の上端とを連結する上端連結鉄筋とで構成され、前記上端連結鉄筋が前記側壁鋼板の上側端から突出し、突出した前記上端連結鉄筋が、前記内側縦鉄筋の上端および外側縦鉄筋の上端からそれぞれ傾斜して突出される内側傾斜鉄筋および外側傾斜鉄筋と、前記内側傾斜鉄筋および外側傾斜鉄筋からそれぞれ縦方向に延長される内側延長鉄筋および外側延長鉄筋と、前記内側延長鉄筋および外側延長鉄筋を連結する連結鉄筋とで構成され、前記内側縦鉄筋と外側縦鉄筋との間には補強鉄筋がさらに配筋されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る壁型枠ユニットと構造体によれば、内側横鉄筋と外側横鉄筋の一端を鉄筋で連結することにより、連結された鉄筋が自然に幅方向に配筋されて連結部位の引張強度を高めることができる。さらに、側壁鋼板の間にコンクリートを打設し、養生過程でコンクリートの有害性物質を遮断する。さらに、製作工程で一括的に自動生産が可能である。さらに、一度設置した後、解体などの後工程が不要である。
【0038】
ウォールプレートタイプの型枠構造体であることから、自ら支持機能を充分にし、2、3層を立てるとき別のサポートが不要である。
【0039】
さらに、連結鉄筋を側壁鋼板に対し突出させ、横鉄筋の全体を左右に対し傾斜させることにより、重なり連結が極めて容易になる。さらに、連結鉄筋を多角形状にすることにより、クロスに重なり合い複数本の鉄筋が鉄網形状に配筋される効果を有し、引張強度を大きく向上させることができる。
【0040】
さらに、各壁型枠ユニット間を連結金物を用いて連結することにより、鋼板のジョイントの雄雌の区別が不要である。
【0041】
さらに、横鉄筋をらせん状に巻き上げるので、一体型型枠構造体としての機能をさらに高めて丈夫な構造体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、添付した図面に基づいて、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0043】
図1は本発明の第1の実施の形態にかかる壁型枠ユニットを示す分解斜視図である。図2は図1の壁型枠ユニットの結合状態を示す側面図である。図3は図2のII−II線に沿った断面図である。図4は図2のIII−III線に沿った断面図である。
【0044】
図1に示すように、本実施の形態の壁型枠ユニット100は、大きく分けて、側壁鋼板110と、この側壁鋼板110の内に配筋される横鉄筋130とで構成される。
【0045】
側壁鋼板110は、互いに対向する内側壁鋼板111と、外側壁鋼板113とで構成される。内側壁鋼板111および外側壁鋼板113は亜鉛鍍鋼板からなり、それぞれ、側壁板111a,113aと、該側壁板111a,113aに対して縦方向(壁の上下方向)に延びる如く設けられたリブ111b,113bとで構成されている。
【0046】
リブ111b,113bは、図示するような対面して重なり合うように折り畳まれた突起型リブであっても、山型リブであっても良い。特に対面して重なり合う突起型リブ111b,113bは、本出願人が特許出願した登録第451845号の公報に開示されるように、横鉄筋130が溶接固定される鋼板の突起が互いに対面して接することにより、接した突起のリブの上端側に十分な肉厚部が形成され、この肉厚部に横鉄筋の一部が溶込固定されて十分な強度を得ることができ、下から上を見る場合、外観上ビードがほとんど見えずきれいで、上下で溶接するので溶接姿勢が極めて便利であり、かつ、垂直突起が互いに対面して接した場合であるので既存の山型突起と比べて材料の損失がほとんどない。
【0047】
横鉄筋130は、図1および図4に示すように、内側壁鋼板111に対して横方向(壁の左右方向)に配筋される内側横鉄筋131と、外側壁鋼板113に対して横方向に配筋される外側横鉄筋133と、この内側横鉄筋131の一端と外側横鉄筋133の一端とを連結する一端連結鉄筋135とで構成されている。
【0048】
内側横鉄筋131はリブ111bに溶接固定され、外側横鉄筋133はリブ113bに溶接固定される。
【0049】
一端連結鉄筋135は多角形状に折曲形成されることが好ましい。
【0050】
すなわち、一端連結鉄筋135は、内側横鉄筋131の一端および外側横鉄筋133の一端からそれぞれ収斂されて傾斜するように延長される内側傾斜延長鉄筋136および外側傾斜延長鉄筋137と、この内側傾斜延長鉄筋136および外側傾斜延長鉄筋137を幅方向に連結する幅連結鉄筋138とで構成されることが好ましい。
【0051】
この幅連結鉄筋138の構成により、壁型枠ユニットを横方向に複数連結する際に、幅連結鉄筋138と幅連結鉄筋138’が重ならずに対面しても、結束紐(図示せず)による結束が可能となり、極めて便利である(これはリヤカーとリヤカーの取っ手を対面させて縛るのと同じ原理である。)。
【0052】
特に、一端連結鉄筋135が側壁鋼板110の一側端より突出するように配筋されることが好ましい。
【0053】
突出した多角形の一端連結鉄筋135は、後述するように、対応する他の壁型枠ユニットの他端連結鉄筋135’と連結されるとき、互いに交差(図7参照)するので、まるで鉄網が配筋された効果を与えて引張強度を向上させることができる。
【0054】
一端連結鉄筋135と同様に、内側横鉄筋131の他端と外側横鉄筋133の他端とを連結する他端連結鉄筋135’を多角形状に形成しても良い。もちろん、他端連結鉄筋135’が内側横鉄筋131の他端と外側横鉄筋133の他端とを一直線に連結しても良い。このように一直線に連結する場合は、端部封止形態の壁型枠ユニットにおいて特に好ましい。
【0055】
横鉄筋130は全体的にも多角形状となっている。
【0056】
一方、図11に示すように、横鉄筋130''は、内側横鉄筋131と、外側横鉄筋133と、この内側横鉄筋131の一端および外側横鉄筋133の一端からそれぞれ収斂されて傾斜するように延長される内側傾斜延長鉄筋136および外側傾斜延長鉄筋137と、前記内側横鉄筋131の一端と外側横鉄筋133の一端とを連結する連結鉄筋238とで構成される。
【0057】
したがって、内側傾斜延長鉄筋136および外側傾斜延長鉄筋137と連結鉄筋238は、図11に示すように開断面を形成する。同様に、横鉄筋130''は、内側横鉄筋131の他端および外側横鉄筋133の他端からそれぞれ収斂されて傾斜するように延長される内側傾斜延長鉄筋136’および外側傾斜延長鉄筋137’と、前記内側横鉄筋131の他端と外側横鉄筋133の他端とを連結する連結鉄筋238’とを含んで構成されても良い。
【0058】
一方、図10に示すように、横鉄筋130'''は、らせん状に巻かれて一体的に配筋され、側壁鋼板110に溶接固定される形態のものであっても良い。この際、横鉄筋130'''と後述の縦鉄筋150が接する地点には不連続格子筋160'''が配筋されるようになる。
【0059】
一方、側壁鋼板110に対して縦方向に配筋される縦鉄筋150がさらに配筋されることが好ましい。
【0060】
縦鉄筋150は、内側横鉄筋131に接して配筋される内側縦鉄筋151と、外側横鉄筋133に接して配筋される内側縦鉄筋153と、内側横鉄筋131の上端と外側縦鉄筋153の上端とを連結する上端連結鉄筋155とで構成されている。
【0061】
上端連結鉄筋155は、内側縦鉄筋151の上端および外側縦鉄筋153の上端からそれぞれ傾斜して突出される内側傾斜鉄筋152および外側傾斜鉄筋154と、内側傾斜鉄筋152および外側傾斜鉄筋154からそれぞれ縦方向に延長される内側延長鉄筋156および外側延長鉄筋157と、内側延長鉄筋156および外側延長鉄筋157を幅方向に連結する連結鉄筋158とで構成されている。
【0062】
したがって、上端連結鉄筋155は多角形状を有する。
【0063】
この上端連結鉄筋155の構成により、壁型枠ユニットを縦方向に複数連結する際に、一端連結鉄筋135の場合と同様、連結部位の連結が容易で、引張強度をさらに高めることができる。
【0064】
さらに、上端連結鉄筋155が側壁鋼板110の上側端より突出するように配筋され、かつ、多角形状を有することにより、一端連結鉄筋135の場合と同様に鉄網のような配筋効果を得ることができる。
【0065】
縦鉄筋150は全体的にも多角形状となっている。
【0066】
内側縦鉄筋151の下端と外側縦鉄筋153の下端との間には、他の壁型枠ユニットの上端連結鉄筋155との連結や、内側縦鉄筋151と外側縦鉄筋153との間の間隔維持などのため、補強鉄筋159がさらに配筋されることが好ましい。
【0067】
さらに、横鉄筋130と縦鉄筋150が接する各地点において、不連続格子筋160が内側縦鉄筋151と外側縦鉄筋153との間に配筋されることは、補強鉄筋159と同様の効果が得られるので好ましい。
【0068】
一方、図8に示すように、二等辺三角形状の連続格子筋160’が縦鉄筋150に配筋されても良い。
【0069】
さらに、図9に示すように、正三角形状の連続格子筋160''が縦鉄筋150に配筋されても良い。この場合、横鉄筋130’として幅方向に対して傾斜するように配筋されるものが用いられ、この横鉄筋130’と縦鉄筋150が接する地点に格子筋160''が配筋される。
【0070】
このように構成される壁型枠ユニット100は、図5および図6に示すように、壁の長さに応じて複数個が連結される。ここでは、第1の壁型枠ユニット100と第2の壁型枠ユニット100とが連結されている場合を説明する。
【0071】
すなわち、第1の壁型枠ユニット100と第2の壁型枠ユニット100を横方向に沿って配置する。このとき、各壁型枠ユニット100の横鉄筋130はその一端側が他端側より低い位置にくるように配筋されることが好ましい。
【0072】
より詳しくは、第1の横鉄筋130の一端連結鉄筋135が第2の横鉄筋130の他端連結鉄筋135’より低い位置にくるようにする。
【0073】
したがって、壁型枠ユニット100のそれぞれを連結する際に、第1の一端連結鉄筋135が対応する第2の他端連結鉄筋135’と重なり合うようになり、施工が極めて便利である。
【0074】
一方、図12に示すように、横鉄筋が傾斜するように配筋しないで水平に配筋し、横鉄筋の他端235’をL字状に折曲して横鉄筋の一端235と重ねて連結することができる。結果として、横鉄筋を一々傾斜するように配筋する必要がないので施工性を向上させることができる。
【0075】
第1の壁型枠ユニット100と第2の壁型枠ユニット100を従来のデッキプレートのようなフック形態で連結することもできるが、本実施の形態では、図7に示すような連結金物170を用いることにより側壁鋼板110の雄雌の区分が不要になる。
【0076】
連結金物170は、第1の内側壁鋼板111と第2の内側壁鋼板111との間、または第1の外側壁鋼板113と第2の外側壁鋼板113との間に配置されるウェブ171と、ウェブ171の内側および外側にそれぞれ設置される内側フランジ173および外側フランジ175と、内側フランジ173および外側フランジ175を第1、第2の内側壁鋼板111、または第1、第2の外側壁鋼板113に固定するネジ、リベットなどのピース177とで構成されている。
【0077】
このとき、ピース177の締結を堅固にするため、内側フランジ173は中空の閉断面形状にすることが好ましい。中空の内側フランジ173は、ピース177の締結部位を広くし、固定力を大きく向上させることができる。
【0078】
一方、図13に示すように、連結金物として外側フランジ175’とピース177を用いても良い。
【0079】
さらに、図14に示すように、鋼板111の一側端を傾斜板111cで構成し、この傾斜板111cに鋼板111の他側端を重ね合わせた後、タブ溶接を行って固定しても良い。
【0080】
以下、上記の構成を有する本実施の形態にかかる壁型枠ユニット100を用いた壁型枠構造体の施工方法を図6を参照して説明する。
【0081】
まず、基準層の底スラブを形成する。この基準層の底スラブには定着鉄筋が露出しているものとする。
【0082】
この露出した定着鉄筋に、横鉄筋130および縦鉄筋150を固定した壁型枠ユニット100を複数個連結する。このとき、一端連結鉄筋135と他端連結鉄筋135’が互いに重なり合うようにし、結束筋や溶接などにより固定する。
【0083】
その後、側壁の端部封止処理を行う。すなわち、図7に示すように、エンドキャップ180で壁型枠ユニット100の終端を封じ、連結金物170などで連結固定する。
【0084】
側壁が直角に連結される場合は、縦鉄筋195を追加(図示例では4本)して補強し、一端連結鉄筋135と他端連結鉄筋135’を互いに重ね合わせた後、その上に縦鉄筋195に沿って巻いた帯鉄筋190を配筋する。直角連結の外側にも別のエンドキャップ185を用いて端部封止処理を行う。
【0085】
このような直角連結と端部連結を仕上げた後、上端連結鉄筋155が露出するようにコンクリートを打設する。
【0086】
打設したコンクリートを養生して底スラブを施工した後、上端連結鉄筋155とこの上に配筋される壁型枠ユニット100の縦鉄筋150の下端側を結束あるいは固定する。
【0087】
次いで、前記同様に直角連結と端部連結を行った後、コンクリートを打設する。
【0088】
このように、一端連結鉄筋135と他端連結鉄筋135’が重なり合うことにより鉄網のような配筋効果を与え、連結部位の引張強度を大きく向上させることができる。
【0089】
一方、本発明の詳細な説明では、具体的な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、本発明の特許請求の範囲を逸脱しない限り、各種の変形が該当技術分野における通常の知識を有する者により可能なのは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、壁体だけでなくスラブに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる壁型枠ユニットを示す分解斜視図
【図2】図1の壁型枠ユニットの結合状態を示す側面図
【図3】図2のII−II線に沿った断面図
【図4】図2のIII−III線に沿った断面図
【図5】第1の実施の形態の壁型枠ユニットを横方向に複数連結した状態を示す側面図
【図6】第1の実施の形態の壁型枠ユニットを横方向および縦方向に複数連結した状態を示す側面図
【図7】第1の実施の形態の壁型枠ユニットを横方向に複数連結した状態を示す断面図
【図8】本発明の第2の実施の形態にかかる壁型枠ユニットを示す分解斜視図
【図9】本発明の第3の実施の形態にかかる壁型枠ユニットを示す分解斜視図
【図10】本発明の第4の実施の形態にかかる壁型枠ユニットを示す分解斜視図
【図11】本発明の第5の実施の形態にかかる壁型枠ユニットを示す断面図
【図12】本発明の第6の実施の形態にかかる壁型枠ユニットを横方向に複数連結した状態を示す側面図
【図13】連結部材の他の例を示す平面図
【図14】壁型枠ユニット間の他の連結方法を示す平面図
【図15】従来の壁型枠の一例を示す分解斜視図
【図16】図15の壁型枠の組み立て状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0092】
100…壁型枠ユニット
110…側壁鋼板
111…内側壁鋼板
113…外側壁鋼板
111a,113a…側壁板
111b,113b…リブ
130…横鉄筋
131…内側横鉄筋
133…外側横鉄筋
135…一端連結鉄筋
135’…他端連結鉄筋
150…縦鉄筋
151…内側縦鉄筋
153…外側縦鉄筋
155…上端連結鉄筋
170…連結金物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側壁鋼板および外側壁鋼板で構成される側壁鋼板と、前記側壁鋼板に対して横方向に配筋される横鉄筋とを含み、
前記横鉄筋は、前記内側壁鋼板に対して横方向に配筋される内側横鉄筋と、前記外側壁鋼板に対して横方向に配筋される外側横鉄筋と、前記内側横鉄筋の一端と前記外側横鉄筋の一端とを連結する一端連結鉄筋とで構成される
ことを特徴とする壁型枠ユニット。
【請求項2】
前記一端連結鉄筋は、前記側壁鋼板の一側端より突出するように配筋される
ことを特徴とする請求項1に記載の壁型枠ユニット。
【請求項3】
前記一端連結鉄筋は、前記内側横鉄筋の一端および外側横鉄筋の一端からそれぞれ傾斜延長される内側傾斜延長鉄筋および外側傾斜延長鉄筋と、前記内側傾斜延長鉄筋および外側傾斜延長鉄筋を連結する幅連結鉄筋とで構成される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の壁型枠ユニット。
【請求項4】
前記横鉄筋は、その一端側が他端側より低い位置にくるように傾斜して配筋される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の壁型枠ユニット。
【請求項5】
前記横鉄筋は、前記内側横鉄筋の他端と前記外側横鉄筋の他端とを連結する他端連結鉄筋をさらに含み、多角形状をなしている
ことを特徴とする請求項3に記載の壁型枠ユニット。
【請求項6】
前記側壁鋼板のそれぞれには互いに対面して折り畳まれたリブが形成され、
前記リブに前記横鉄筋が溶接固定される
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の壁型枠ユニット。
【請求項7】
前記側壁鋼板に対して縦方向に配筋される縦鉄筋がさらに配筋されており、
前記縦鉄筋は、前記内側横鉄筋に接して配筋される内側縦鉄筋と、前記外側横鉄筋に接して配筋される外側縦鉄筋と、前記内側縦鉄筋の上端と前記外側縦鉄筋の上端とを連結する上端連結鉄筋とで構成され、
前記上端連結鉄筋は、前記側壁鋼板の上側端より突出するように配筋される
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の壁型枠ユニット。
【請求項8】
前記上端連結鉄筋は、前記内側縦鉄筋の上端および外側縦鉄筋の上端からそれぞれ傾斜して突出される内側傾斜鉄筋および外側傾斜鉄筋と、前記内側傾斜鉄筋および外側傾斜鉄筋からそれぞれ縦方向に延長される内側延長鉄筋および外側延長鉄筋と、前記内側延長鉄筋および外側延長鉄筋を連結する連結鉄筋とで構成される
ことを特徴とする請求項7に記載の壁型枠ユニット。
【請求項9】
前記内側縦鉄筋と外側縦鉄筋との間に補強鉄筋がさらに配筋されている
ことを特徴とする請求項7または8に記載の壁型枠ユニット。
【請求項10】
内側壁鋼板および外側壁鋼板で構成される側壁鋼板と、前記側壁鋼板に横方向に配筋される横鉄筋を含み、
前記横鉄筋は、らせん状に巻かれて配筋される
ことを特徴とする壁型枠ユニット。
【請求項11】
第1の内側壁鋼板および第1の外側壁鋼板で構成される第1の側壁鋼板と、前記第1の側壁鋼板に対して横方向に配筋される第1の横鉄筋とを含む第1の壁型枠ユニットと、第2の内側壁鋼板および第2の外側壁鋼板で構成される第2の側壁鋼板と、前記第2の側壁鋼板に対して横方向に配筋される第2の横鉄筋とを含む第2の壁型枠ユニットと、前記第1の側壁鋼板と第2の側壁鋼板とを連結する連結部材とからなり、
前記第1の横鉄筋は、前記第1の内側壁鋼板に対して横方向に配筋される第1の内側横鉄筋と、前記第1の外側壁鋼板に対して横方向に配筋される第1の外側横鉄筋と、前記第1の内側横鉄筋の一端と前記第1の外側横鉄筋の一端とを連結する第1の一端連結鉄筋とで構成され、
前記第2の横鉄筋は、前記第2の内側壁鋼板に対して横方向に配筋される第2の内側横鉄筋と、前記第2の外側壁鋼板に対して横方向に配筋される第2の外側横鉄筋と、前記第2の内側横鉄筋の他端と前記第2の外側横鉄筋の他端とを連結する第2の他端連結鉄筋とで構成される
ことを特徴とする壁型枠構造体。
【請求項12】
前記第1の一端連結鉄筋は、前記第1の側壁鋼板の一側端より突出するように配筋され、前記第2の他端連結鉄筋は、前記第2の側壁鋼板の他側端より突出するように配筋され、前記第1の一端連結鉄筋および第2の他端連結鉄筋が互いに重なり合って連結部位を構成する
ことを特徴とする請求項11に記載の壁型枠構造体。
【請求項13】
前記連結部材は、前記第1の内側壁鋼板と第2の内側壁鋼板との間、または前記第1の外側壁鋼板と第2の外側壁鋼板との間に配置されるウェブと、前記ウェブの内側および外側にそれぞれ設置される内側フランジおよび外側フランジと、前記内側フランジおよび外側フランジを前記第1、第2の内側壁鋼板、または第1、第2の外側壁鋼板に固定するピースとで構成される連結金物である
ことを特徴とする請求項11または12に記載の壁型枠構造体。
【請求項14】
前記内側フランジは、中空の閉断面形状をなしている
ことを特徴とする請求項13に記載の壁型枠構造体。
【請求項15】
前記第1の一端連結鉄筋および第2の他端連結鉄筋が多角形状であり、
前記第1の横鉄筋および第2の横鉄筋がそれぞれ、その一端側が他端側より低い位置にくるように傾斜して配筋される
ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれかに記載の壁型枠構造体。
【請求項16】
前記第1の側壁鋼板および第2の側壁鋼板に対してそれぞれ縦方向に配筋される第1の縦鉄筋および第2の縦鉄筋がさらに配筋されており、
前記第1の縦鉄筋および第2の縦鉄筋はそれぞれ、前記内側横鉄筋に接して配筋される内側縦鉄筋と、前記外側横鉄筋に接して配筋される外側縦鉄筋と、前記内側縦鉄筋の上端と前記外側縦鉄筋の上端とを連結する上端連結鉄筋とで構成され、
前記上端連結鉄筋が前記側壁鋼板の上側端から突出し、
突出した前記上端連結鉄筋は、前記内側縦鉄筋の上端および外側縦鉄筋の上端からそれぞれ傾斜して突出される内側傾斜鉄筋および外側傾斜鉄筋と、前記内側傾斜鉄筋および外側傾斜鉄筋からそれぞれ縦方向に延長される内側延長鉄筋および外側延長鉄筋と、前記内側延長鉄筋および外側延長鉄筋を連結する連結鉄筋とで構成され、
前記内側縦鉄筋と外側縦鉄筋との間には補強鉄筋がさらに配筋される
ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれかに記載の壁型枠構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−127419(P2009−127419A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154248(P2008−154248)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(508177839)ジェイル テクノス カンパニー リミテッド (1)