壁孔への管材設置方法および管保持具
【課題】壁孔に貫通配管させた管材を壁孔の略中心に位置させてコーキング材の充填空間を確保するとともに、壁厚が小さい場合であっても、施したコーキング材がだれ落ちるのを防止する、壁孔への管材設置方法および管保持具の提供である。
【解決手段】管保持具1は、管保持部とフランジ部2とフランジ部2に設けられた貼着部5と貼着部5に剥離可能に貼着された剥離シート6とを備え、前記剥離シート6は充填される接着性を有するコーキング材Cと非接着性を有する素材により構成され、前記剥離シート6を剥がして露出させた貼着部5を壁孔周縁に貼着し壁孔に対して管材を設置する工程、または、充填する前記コーキング材Cが前記フランジ部2と接触したとしても壁孔内面と管材外面との二面接着となるように、壁孔に臨む箇所の剥離シート6を剥がすことなく固定し壁孔に対して管材を設置する工程、のいずれかを選択して管材を壁孔に設置することを特徴とする。
【解決手段】管保持具1は、管保持部とフランジ部2とフランジ部2に設けられた貼着部5と貼着部5に剥離可能に貼着された剥離シート6とを備え、前記剥離シート6は充填される接着性を有するコーキング材Cと非接着性を有する素材により構成され、前記剥離シート6を剥がして露出させた貼着部5を壁孔周縁に貼着し壁孔に対して管材を設置する工程、または、充填する前記コーキング材Cが前記フランジ部2と接触したとしても壁孔内面と管材外面との二面接着となるように、壁孔に臨む箇所の剥離シート6を剥がすことなく固定し壁孔に対して管材を設置する工程、のいずれかを選択して管材を壁孔に設置することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコン用のドレン管や空調パイプ、配線・配管材保護管等の管材を壁孔に貫通配管する際に壁孔に対して管材を設置する壁孔への管材設置方法および壁孔に対して管を保持する管保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の屋内側にエアコンの室内機を設置し、建物の屋外側にエアコンの室外機を配置して、室内機と室外機との間で冷媒を移動させるための冷媒管や、室内機において空気中の除湿により生成された水を屋外に排出するためにドレン管等の管材が屋内から屋外に配管されている。
【0003】
この配管経路は、特許文献1に開示されているように、上方に設置された室内機の近傍に設けられた壁孔を通じて屋内側から屋外側へと引き出され、外壁に沿って下方へ向けて配管される場合であったり、上方に設置された室内機の近傍に設けられた内壁の壁孔を通じて、一端、内壁と外壁との間に形成された壁内部のスペースを通じて下方に配管された後、外壁の壁孔から屋外へと引き出される場合がある。
【0004】
いずれの配管経路を採用した場合であっても、壁孔を通じて屋外へと引き出される管材の壁孔に貫通配管された箇所からの屋内や外壁の壁裏となる壁内部への雨水の浸入を防止する必要があるため、例えば壁孔内面と管材外面との間にコーキングを施すという作業が必要となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−44815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コーキングを施す際に管材の周方向の全体に満遍なくコーキングを行きわたらせるために、壁孔に対して壁孔の略中心に管材が位置するように手で保持しながらの作業となっていた。また、壁厚が小さいときは、充填するコーキング材が壁の反対側へとだれ落ちてしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、壁に設けられた壁孔に貫通配管させた管材を壁孔の略中心に位置させて、管材外面と壁孔内面との間にコーキング材が充填できる空間を確保するとともに、壁厚が小さい場合であっても、施したコーキング材が壁の反対側へとだれ落ちるのを防止する、壁孔への管材設置方法および管保持具の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、管保持具を用いて壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する壁孔への管材設置方法であって、前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備えている。前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされている。そして、前記剥離シートを剥がして露出させた貼着部を壁孔周縁に貼着するとともに、管保持部に管材を保持させて、壁孔に対して管材を設置する工程、または、壁孔内面と前記管保持部に保持させた管材外面との間に充填する前記コーキング材が前記フランジ部と接触したとしても、充填したコーキング材が壁孔内面と管材外面との二面接着となるように、少なくとも壁孔に臨む箇所の前記剥離シートを剥がすことなく、剥離シートを壁孔に臨ませた状態で、壁に対して固定するとともに、管保持部に管材を保持させて、壁孔に対して管材を設置する工程、のいずれかを選択して管材を壁孔に設置することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、管保持具を用いて壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する壁孔への管材設置方法であって、前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備えている。前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされている。そして、前記剥離シートを剥がして露出させた貼着部を壁孔周縁に貼着するとともに、管保持部に管材を保持させ、さらに、壁孔内面と管材外面との間に充填するコーキング材を、前記フランジ部と接触しない状態となるように充填して、壁孔に対して管材を設置する工程、または、壁孔内面と前記管保持部に保持させた管材外面との間に充填する前記コーキング材が前記フランジ部と接触したとしても、充填したコーキング材が壁孔内面と管材外面との二面接着となるように、少なくとも壁孔に臨む箇所の前記剥離シートを剥がすことなく、剥離シートを壁孔に臨ませた状態で、壁に対して固定するとともに、管保持部に管材を保持させ、さらに、壁孔内面と管材外面との間にコーキング材を充填して、壁孔に対して管材を設置する工程、のいずれかを選択して管材を壁孔に設置することを特徴とする。
【0010】
ここで、請求項1および請求項2において、「貼着部を壁孔周縁に貼着する」とともに「管保持部に管材を保持させ」であったり、「壁に対して固定する」とともに、「管保持部に管材を保持させ」というのは、互いに並列の関係であり順序を示しているものではなく、どちらかが先でありどちらかが後であることを意味している。
【0011】
請求項1および請求項2の発明によれば、壁孔を貫通配管した管材外面と管材内面との間にコーキング材を充填する空間を確保するように、壁孔に対して管材を保持させることができるとともに、フランジ部によりコーキング材がだれ落ちるのを防止することができる。
【0012】
また、剥離シートを剥がして構造物に貼着可能な貼着部を露出させることで、壁孔に対して本固定または仮固定状態に管保持具を固定することができ、特に、仮固定状態であって別途、釘あるいはビスまたは粘着テープ等の固着具を用いて固定する場合には手を離して作業することができる。
【0013】
また、壁厚が小さい場合などのコーキング材がフランジ部まで到達するおそれのある場合には、貼着部を覆っている剥離シートの少なくとも壁孔に臨む箇所を利用して、当該箇所の剥離シートを剥がすことなく貼着部を覆った状態のまま壁孔に対して管保持具を固定することで、剥離シートに具備させたコーキング材との非接着性を利用して、コーキング材の二面接着を担保することができる。
【0014】
請求項3の発明は、壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する管保持具であって、前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備えている。前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされており、少なくとも壁孔に臨む箇所の剥離シートを剥がすことなく壁に対して固定することで、壁孔内面と管材外面との間に充填するコーキング材が前記剥離シートとは接着することなく、壁孔内面と管材外面との二面接着とすることができることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明によれば、壁孔を貫通配管した壁孔内面と管材外面との間にコーキング材を充填する空間を確保するように、壁孔に対して管材を保持させることができるとともに、フランジ部によりコーキング材がだれ落ちるのを防止することができる。
【0016】
また、貼着部を覆っている剥離シートの少なくとも壁孔に臨む箇所を利用して、当該箇所の剥離シートを剥がすことなく貼着部を覆った状態のまま壁孔に対して管保持具を固定することで、剥離シートに具備させたコーキング材との非接着性を利用して、コーキング材の二面接着を担保することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る壁孔への管材設置方法および管保持具によれば、コーキング作業時に、壁孔を貫通配管した管材外面と管材内面との間にコーキング材を充填する空間を確保するように、壁孔に対して管材を保持させることができるとともに、充填するコーキング材のだれ落ちを防止できる。
【0018】
また、フランジ部が有する貼着部を覆っている剥離シートの少なくとも壁孔に臨む箇所を利用して、当該箇所の剥離シートを剥がすことなく貼着部を覆った状態のまま壁孔に対して管保持具を固定することで、剥離シートに具備させたコーキング材との非接着性を利用して、コーキング材の二面接着を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る管保持具を用いて配管したドレン管の配管状態を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態の管保持具を示しており、(a)はその正面図、(b)は平面図、(c)は背面図、(d)(e)はそれぞれ、図2(a)に示したX−X線断面図、Y−Y線断面図である。
【図3】(a)は図2に示した管保持具の正面側から見た斜視図であり、(b)は貼着部及び剥離シートを省略した状態の管保持具の背面側から見た斜視図である。
【図4】壁孔に管材を設置した状態を示す断面図である。
【図5】壁厚が小さい壁に管材を設置しコーキング材を充填した状態を示す断面図である。
【図6】壁厚が大きい壁に管材を設置しコーキング材を充填した状態を示す断面図である。
【図7】別の実施例を示す管保持具の正面側から見た斜視図である。
【図8】別の実施例を示す管保持具の背面図である。
【図9】別の実施例を示す管保持具の背面図である。
【図10】粘着テープを用いて管保持具を壁に固定した状態を示す斜視図である。
【図11】別の実施例を示す管保持具の正面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6は、本発明の一実施の形態を示す。図1は、屋内側の上方にエアコンの室内機が設置され、壁内に形成されたスペースを通じて下方へと配管され屋外へと引き出されたドレン管の配管状態を示す図である。図中符号Wは建物壁であり、符号Waは屋内側の壁である内壁、符号Wbは屋外側の壁である外壁であり、符号Aは内壁の上方に設置されているエアコンの室内機である。前記内壁Wa及び前記外壁Wbの間の壁内には、断熱材等が配置されるスペースSが形成されており、当該スペースSの内部に前記室内機Aから排出されるドレン水を屋外へと排水するためのドレン管が前記壁内のスペースSを通って下方に向けて配管され、さらに外壁に形成された壁孔を通じて屋外にまで伸びて、ドレン水を排水する経路が構成されている。
【0021】
詳細には、このドレン水の排水経路は、エアコンの室内機Aの近傍に形成された内壁Waの貫通孔Daを通じて壁内にまで配管されたドレン管P3と、壁内でエルボ継手E2を介して接続された上下方向に伸びる長尺のドレン管P2と、によって外壁Wbに形成された壁孔Db付近まで配管され、さらに、ドレン管P2の端部に接続されたエルボ継手E1によって外壁Wbへ向けて配水経路が屈曲され、外壁Wbに形成された壁孔Dbを貫通配管される短尺のドレン管P1を介して壁内から外壁側となる屋外へと配管され、屋外へと突出した前記ドレン管P1の端部にはドレン排水をさらに下方に導くための吐出具B(ここでは、エルボ継手E1やE2と同一のエルボ継手を使用している)が接続されている。なお、図示していないが、ドレン管P2やドレン管P3は適宜箇所において、管固定具によって固定されている。
【0022】
そして、前記外壁Wbに形成された壁孔Dbを貫通配管されたドレン管P1は、本発明に係る管保持具1によって保持されており、壁孔内面とドレン管外面との間にはコーキング材Cが充填されて屋外から雨水が壁内へと浸入するのを防止している。
【0023】
次に、図2〜図3に基づいて本発明に係る管保持具について説明する。図2は本発明の一実施の形態の管保持具を示しており、(a)はその正面図、(b)は平面図、(c)は背面図、(d)(e)はそれぞれ、図2(a)に示したX−X線断面図、Y−Y線断面図である。また、図3における(a)は図2に示した管保持具の正面側から見た斜視図であり、(b)は貼着部及び剥離シートを省略した状態の管保持具の背面側から見た斜視図である。
【0024】
図中符号1は管保持具であり、壁孔に貫通配管されるエアコンのドレン管や空調パイプ、配線・配管材保護管等の管材を保持して管材を壁孔に設置するものである。この管保持具1は、前記管材が挿通される挿通孔4を備えた管保持部3と、前記管保持部3から外方に向かって延設された平板状のフランジ部2と、を備えている。さらに、前記フランジ部2の一方の面側に設けられた、建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部5と、前記管保持部3に挿通される管材を取り囲むように環状に形成された前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シート6と、を備えている。
【0025】
前記管保持部3は前記フランジ部から立設した中空円筒状に構成されており、前記フランジ部から筒状の先端まで連なる挿通孔4を備え、その内径は、前記挿通される管材の外径と略同一径に設定されて、挿通された管材の外面と管保持部の内面との間に塗布した接着剤によって接着可能となっている。本実施の形態においては、管材の端部を強制的に押し込むことで初めて挿通可能となる程に緊密な内径となっている。
【0026】
また、前記フランジ部2は、管材を設置する壁孔を覆う大きさに形成された四角形状(本実施の形態においては正方形状)を成し、その四角形を構成する各四辺の中央部には、挿通孔4の中心を指し示す小突起状の指標部2aがそれぞれ設けられ、また、各四隅部には釘やビス等の固着具を強制的に貫通させることで建物の壁や当て木等の構造物に固定することができる固定部が設けられている。前記固定部は、前記フランジ部の一方の面側に円形の凹部8が設けられ、フランジ部の他方の面側には、前記円形の凹部と同一軸心となる円錐状の窪み部7が設けられている。前記凹部8および窪み部7は、前記フランジ部2の一方または他方の面を構造物に当接させた状態で前記固着具の先端を係止させることで打ち込み時に固着具が滑らないように案内することができる。
【0027】
前記貼着部5及び剥離シート6は、前記フランジ部2と略同一外形状からなる両面テープTをフランジ部2に貼着することで構成されている。前記両面テープTは、前記挿通部4の内径と略同一の通孔が設けられた環状に形成され、さらに、前記窪み部8と対応する位置にも別の通孔がそれぞれ設けられている。そして、前記両面テープTの剥離シート6を剥がすことで、前記貼着部5が露出する。
【0028】
前記剥離シート6は、ポリオレフィン系やシリコン系の樹脂材料により構成され、壁孔内面と管材外面との間に充填されるコーキング材が有する接着性に対して非接着性を有する材料により構成されている。接着性を有するコーキング材としては、シリコン系やウレタン系、アクリル系などがあり、具体的には、前記剥離シートは、一般的に使用されている接着性を有するシリコン系のコーキング材である変性シリコンに対して非接着性のあるポリエチレンやポリプロピレンが挙げられる。
【0029】
この管保持具1は、両面テープT(貼着部5および剥離シート6)を除いたフランジ部2と管保持部3が合成樹脂の一体成型により構成されている。そして本実施の形態においてはドレン管として使用される硬質塩化ビニル管と同一材料となる塩化ビニルで構成されており、互いに接着可能となっている。
続いて、以上の構成からなる管保持具1を用いて管材としてのドレン管を壁孔に設置する方法について説明する。
【0030】
まず、前記管保持具1の管保持部3に壁孔を貫通配管させるドレン管を端部から挿通して、前記フランジ部2の他方の面から壁を貫通できる程度に突出した状態とし、前記管材と管保持部とを接着して一体化する。その後、前記フランジ部2の他方の面を壁に向けるとともに、ドレン管の端部を壁孔に挿入する。そして、壁にけがかれた壁孔の中心を示すラインに前記指標部2aを合致させて、図4に示すように、ドレン管P1をその外面と壁孔Dbの内面が当接しない位置に定め、前記固定部に固着具Gを打ち込んで壁裏に固定する。この状態でドレン管P1の周囲にコーキング材の充填空間Hが形成される。次いで、図5に示すように、前記壁孔Dbの内面とドレン管P1の外面との間にドレン管外面の周方向に沿って間断なく形成されたコーキング材の充填空間Hに壁表側からコーキング材Cを充填する。フランジ部は壁孔Dbの全体を覆っており、充填したコーキング材がだれ落ちてしまうのを防止している。
【0031】
この設置方法において、剥離シート6は剥がすことなく、壁に固定されているため、フランジ部2と壁Wbとの間、および、フランジ部2の壁孔Dbに臨む箇所に剥離シート6が介在している。そして、コーキング材Cが有する接着性により、壁孔Dbの内面とドレン管P1の外面とにコーキング材Cが接着した二面接着の状態となる。特に、壁厚が小さい場合や必要な充填量が多い場合には、前記充填空間Hに充填したコーキング材Cが壁孔の奥方へと進み、前記フランジ部2にまで到達するが、フランジ部2の壁孔Dbに露出する箇所に剥がすことなく残された剥離シート6の存在によってコーキング材Cの三面接着を防止している。
【0032】
ここで、コーキング材Cが壁孔Dbの内面とドレン管P1の外面との二面接着となるように剥離シート6にコーキング材Cに対して非接着性とした理由を説明する。
【0033】
すなわち、仮に剥離シート6を剥がすことにより露出した両面テープTの貼着部5やフランジ部2が壁孔に臨む状態で壁に固定し、前記充填空間Hに充填したコーキング材Cが、壁孔の奥方へと進み、前記貼着部5や前記フランジ部2に到達すると、壁孔内面とドレン管外面に加えてフランジ部の三面にわたってコーキング材が接着することとなる。このフランジ部2とのコーキング材Cの接着によって壁孔内面とドレン管外面との方向(ドレン管の径方向)に伸縮しにくくなり、壁やドレン管の温度変化により伸縮した際に、接着面に応力が集中してコーキング材の接着が剥がれたり、ひび割れが生じたりして、雨水の浸入の原因となるからである。そのため、充填側と、それに対向するフランジ部側とは接着させずに、壁孔内面と、それに対向するドレン管外面に接着させる二面接着として、コーキング材Cが壁やドレン管の温度変化による伸縮に追従して伸縮させることが、長期にわたってコーキング材の性能を発揮させるために有効となるからである。
【0034】
さて、前述した設置方法のように、作業者がコーキング材Cを充填する際に壁孔奥方に位置するフランジ部に到達するおそれがあると判断した際に選択できる有効な設置方法であるが、作業者がコーキング材を充填しても壁孔奥方に位置するフランジ部に到達するおそれがないと判断した際、例えば壁厚が十分に大きかったり、コーキング材の充填量が少なかったりした際には、以下の方法を選択して設置することができる。
【0035】
つまり、前述した設置方法は、剥離シート6を剥がすことなく固着具Gを用いて管保持具1を壁に固定したのに対して、この方法においては、剥離シート6を剥がして露出させた貼着部5を壁孔周縁に貼着した後、前記固着具Gで固定するものである。こうすることで、固着具Gで固定する際に、一旦壁孔に対して管保持具1を仮固定でき、手を離して固着具の準備をしたり両手を使用した固定作業が可能となり、本固定のための作業がしやすくなる。この方法では、図6に示すように、壁孔Dbにフランジ部2や貼着部5が臨むこととなるが、コーキング材Cがそこまで到達しないため、壁孔内面とドレン管外面との二面接着となり、当然だれ落ちることもない。なお、貼着部5の貼着強度が十分に大きいときは、固着具Gを必要とせず、仮固定を経由することなく、壁への貼着によって本固定とすることができる。
【0036】
このように、壁厚の大小や充填量の多少によって作業者が判断し、その判断に基づいて、コーキング材Cの二面接着の確保が必要である場合と無い場合とでその設置方法を選択し、必要であれば貼着部5を覆っている剥離シート6を利用して、壁孔Dbに臨む箇所を剥がすことなく設置することで二面接着の確保が容易となり、また、確保が必要なければ剥離シート6を剥がして露出させた貼着部5を利用して仮固定や本固定の状態として作業性を向上させることができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態は以下のように変更することができる。
○前記フランジ部2は四角形状であったが、丸型や小判型などのどのような形状であっても良い。これは剥離シート6や両面テープTも同様である。
【0038】
○前記剥離シート6や両面テープTは、フランジ部2と略同一形状に構成されているが、フランジ部2と異なる形状でも良く、また、フランジ部2より小さくても、大きくても良い。また、剥離シート6を図7のようにフランジ部2からその一部が突出するように形成すれば、剥離シート6を剥がすきっかけとなり、剥がしやすくなる。
【0039】
○前記フランジ部2が有する前記剥離シート6および前記貼着部5は両面テープで構成したが、前記フランジ部2に接着剤を塗布して貼着部5とし、その貼着部5を剥離可能な剥離シート6で覆うことで構成しても良い。このとき、貼着部5と剥離シート6は同一の面積でなくても良い。図8に示すように、網掛けした範囲を接着剤を塗布して貼着部5とし、破線で示した剥離シート6によりその全体を覆うように構成しても良い。なお、二点鎖線は設置対象となる壁孔を示している。
【0040】
○前記剥離シートは、図9に示す図中符号F1のように内側から外側に向けてスリットを設けても良い。この場合、管材が挿通された状態でもスリットにより分断された箇所を利用することで剥離シートを剥がしやすくなる。
【0041】
○前記剥離シート6は、壁孔に臨む範囲を残して、その他の箇所を剥がして貼着部5を露出させて壁孔周縁に貼着しても良い。例えば図9における網掛けの範囲のみの剥離シートを剥がせるように、網掛けの範囲とその内側との間を分断するようにスリットF2を形成しておくことで、壁孔に臨む箇所を残して剥離シートを剥がすことができ、剥離シートを剥がして露出させた貼着部5を利用して仮固定や本固定が可能となるとともに、充填したコーキング材がフランジ部まで到達したとしても、残された剥離シート6によって、コーキング材がフランジ部と非接着状態となる二面接着を確保することができる。
【0042】
○前記管保持具1を固定するにあたり、フランジ部2に設けられた固定部に釘やビス等の固着具Gを打ち込んで固定していたが、フランジ部を壁にあてがった状態で、または、貼着部5で壁に仮固定した状態で、図10に示すように、フランジ部2と壁とをオーバーラップするように粘着テープNを貼り付けて固定しても良い。この場合は、前記粘着テープNが固着具Gとなる。
【0043】
○前記管保持部3はフランジ部2の他方の面のみに突出しているが、図11にあるように、フランジ部2の両方の面に突出しても良い。
【0044】
○前記管保持具1を反転させてフランジ部2から突出する管保持部3を壁孔の内部に挿入するようにして設置しても良い。このように管保持部が壁孔内に挿入された場合は、貼着部5および剥離シート6はフランジ部2における壁孔内に挿入される管保持部3が突出する側の面に設ける必要がある。そして、環状の剥離シートは管保持部3の外側を取り囲むように配置されることとなる。このような管保持具とした場合は、コーキング材は壁孔内面と、管材および/または壁孔内に挿入された管保持部の外面と、に接着される場合がある。
【0045】
○前記管保持部3は、フランジ部2から突出するように形成されているが、フランジ部2の板厚を大きくして、管材が挿通される挿通孔4を設け、その挿通孔4を管保持部3としても良い。
【0046】
○前記管材と前記管保持具1は接着して一体化したが、両者の接着は必須ではない。ただし、接着することで、軸方向の移動規制を行うことができ、また、管材外面と管材保持部内面との間を水密状態とできるため、互いに管保持部の内面と管材外面との間で接着したほうが望ましい。
【0047】
○前記管保持具1は、1本の管材のみを保持する構成であったが、例えばフランジ部2に複数の管保持部3を立設し、1つのフランジ部2に対して複数本の管材を独立して挿通保持可能としても良い。また、管保持部は1本の管材のみを保持していたが、複数本の管材からなる管材の集合体を1つの管材とみなして、それを挿通し保持させても良い。
【0048】
○作業者が、コーキング材が壁の反対側まで到達するか判断しかねる場合には、前記剥離シート6を残した状態で設置することが望ましい。また、例えば壁厚が大きく、コーキング材が壁の反対側まで到達しないと判断した場合であっても、剥離シート6を剥がすことなく、前記固着具Gにより固定しても良い。
【0049】
○前記管保持具1と前記管材を接着して一体化してから壁孔に対して固定していたが、先に管保持具1を壁に固定してから、管材を挿通して管保持部3に保持させても良い。
【0050】
○前記剥離シート6は、コーキング材と非接着性を有する素材により形成されているが、非接着性を有する素材(ポリエチレンやフッ素樹脂等)によりコーティングして形成しても良い。
【0051】
○前記実施の形態においては、内壁Waと外壁Wbとの間に配管されたドレン管の壁内から外壁の外側に引き出さる外壁の貫通箇所において説明したが、壁内で屈曲配管することなく直線的に屋外へ引き出され、外壁に沿って配管されるドレン管の壁孔の貫通箇所に適用することも可能である。
【0052】
○前記実施の形態においては、管材は硬質塩化ビニルからなる外面平滑な断面円形のドレン管で説明したが、それに限らず、外面に凹凸がある管材であったり断面楕円や四角形の管材であっても良い。またその場合、管保持部の挿通孔を管材に対応した内面形状としても良い。
【0053】
○前記実施の形態においては、フランジ部2が壁内に位置するように設置したが、フランジ部2が屋外側に位置するように設置しても良く、また、外壁に設置したが、内壁に設置しても良く、さらには、屋内側から屋外側へと配管されるものに限らず、屋内に設けられた壁を貫通配管される箇所にも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1...管保持具
2...フランジ部
3...管保持部
5...貼着部
6...剥離シート
C...コーキング材
Db...壁孔
G...固着具としてのビス
H...充填空間
T...両面テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコン用のドレン管や空調パイプ、配線・配管材保護管等の管材を壁孔に貫通配管する際に壁孔に対して管材を設置する壁孔への管材設置方法および壁孔に対して管を保持する管保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の屋内側にエアコンの室内機を設置し、建物の屋外側にエアコンの室外機を配置して、室内機と室外機との間で冷媒を移動させるための冷媒管や、室内機において空気中の除湿により生成された水を屋外に排出するためにドレン管等の管材が屋内から屋外に配管されている。
【0003】
この配管経路は、特許文献1に開示されているように、上方に設置された室内機の近傍に設けられた壁孔を通じて屋内側から屋外側へと引き出され、外壁に沿って下方へ向けて配管される場合であったり、上方に設置された室内機の近傍に設けられた内壁の壁孔を通じて、一端、内壁と外壁との間に形成された壁内部のスペースを通じて下方に配管された後、外壁の壁孔から屋外へと引き出される場合がある。
【0004】
いずれの配管経路を採用した場合であっても、壁孔を通じて屋外へと引き出される管材の壁孔に貫通配管された箇所からの屋内や外壁の壁裏となる壁内部への雨水の浸入を防止する必要があるため、例えば壁孔内面と管材外面との間にコーキングを施すという作業が必要となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−44815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コーキングを施す際に管材の周方向の全体に満遍なくコーキングを行きわたらせるために、壁孔に対して壁孔の略中心に管材が位置するように手で保持しながらの作業となっていた。また、壁厚が小さいときは、充填するコーキング材が壁の反対側へとだれ落ちてしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、壁に設けられた壁孔に貫通配管させた管材を壁孔の略中心に位置させて、管材外面と壁孔内面との間にコーキング材が充填できる空間を確保するとともに、壁厚が小さい場合であっても、施したコーキング材が壁の反対側へとだれ落ちるのを防止する、壁孔への管材設置方法および管保持具の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、管保持具を用いて壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する壁孔への管材設置方法であって、前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備えている。前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされている。そして、前記剥離シートを剥がして露出させた貼着部を壁孔周縁に貼着するとともに、管保持部に管材を保持させて、壁孔に対して管材を設置する工程、または、壁孔内面と前記管保持部に保持させた管材外面との間に充填する前記コーキング材が前記フランジ部と接触したとしても、充填したコーキング材が壁孔内面と管材外面との二面接着となるように、少なくとも壁孔に臨む箇所の前記剥離シートを剥がすことなく、剥離シートを壁孔に臨ませた状態で、壁に対して固定するとともに、管保持部に管材を保持させて、壁孔に対して管材を設置する工程、のいずれかを選択して管材を壁孔に設置することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、管保持具を用いて壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する壁孔への管材設置方法であって、前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備えている。前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされている。そして、前記剥離シートを剥がして露出させた貼着部を壁孔周縁に貼着するとともに、管保持部に管材を保持させ、さらに、壁孔内面と管材外面との間に充填するコーキング材を、前記フランジ部と接触しない状態となるように充填して、壁孔に対して管材を設置する工程、または、壁孔内面と前記管保持部に保持させた管材外面との間に充填する前記コーキング材が前記フランジ部と接触したとしても、充填したコーキング材が壁孔内面と管材外面との二面接着となるように、少なくとも壁孔に臨む箇所の前記剥離シートを剥がすことなく、剥離シートを壁孔に臨ませた状態で、壁に対して固定するとともに、管保持部に管材を保持させ、さらに、壁孔内面と管材外面との間にコーキング材を充填して、壁孔に対して管材を設置する工程、のいずれかを選択して管材を壁孔に設置することを特徴とする。
【0010】
ここで、請求項1および請求項2において、「貼着部を壁孔周縁に貼着する」とともに「管保持部に管材を保持させ」であったり、「壁に対して固定する」とともに、「管保持部に管材を保持させ」というのは、互いに並列の関係であり順序を示しているものではなく、どちらかが先でありどちらかが後であることを意味している。
【0011】
請求項1および請求項2の発明によれば、壁孔を貫通配管した管材外面と管材内面との間にコーキング材を充填する空間を確保するように、壁孔に対して管材を保持させることができるとともに、フランジ部によりコーキング材がだれ落ちるのを防止することができる。
【0012】
また、剥離シートを剥がして構造物に貼着可能な貼着部を露出させることで、壁孔に対して本固定または仮固定状態に管保持具を固定することができ、特に、仮固定状態であって別途、釘あるいはビスまたは粘着テープ等の固着具を用いて固定する場合には手を離して作業することができる。
【0013】
また、壁厚が小さい場合などのコーキング材がフランジ部まで到達するおそれのある場合には、貼着部を覆っている剥離シートの少なくとも壁孔に臨む箇所を利用して、当該箇所の剥離シートを剥がすことなく貼着部を覆った状態のまま壁孔に対して管保持具を固定することで、剥離シートに具備させたコーキング材との非接着性を利用して、コーキング材の二面接着を担保することができる。
【0014】
請求項3の発明は、壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する管保持具であって、前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備えている。前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされており、少なくとも壁孔に臨む箇所の剥離シートを剥がすことなく壁に対して固定することで、壁孔内面と管材外面との間に充填するコーキング材が前記剥離シートとは接着することなく、壁孔内面と管材外面との二面接着とすることができることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明によれば、壁孔を貫通配管した壁孔内面と管材外面との間にコーキング材を充填する空間を確保するように、壁孔に対して管材を保持させることができるとともに、フランジ部によりコーキング材がだれ落ちるのを防止することができる。
【0016】
また、貼着部を覆っている剥離シートの少なくとも壁孔に臨む箇所を利用して、当該箇所の剥離シートを剥がすことなく貼着部を覆った状態のまま壁孔に対して管保持具を固定することで、剥離シートに具備させたコーキング材との非接着性を利用して、コーキング材の二面接着を担保することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る壁孔への管材設置方法および管保持具によれば、コーキング作業時に、壁孔を貫通配管した管材外面と管材内面との間にコーキング材を充填する空間を確保するように、壁孔に対して管材を保持させることができるとともに、充填するコーキング材のだれ落ちを防止できる。
【0018】
また、フランジ部が有する貼着部を覆っている剥離シートの少なくとも壁孔に臨む箇所を利用して、当該箇所の剥離シートを剥がすことなく貼着部を覆った状態のまま壁孔に対して管保持具を固定することで、剥離シートに具備させたコーキング材との非接着性を利用して、コーキング材の二面接着を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る管保持具を用いて配管したドレン管の配管状態を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態の管保持具を示しており、(a)はその正面図、(b)は平面図、(c)は背面図、(d)(e)はそれぞれ、図2(a)に示したX−X線断面図、Y−Y線断面図である。
【図3】(a)は図2に示した管保持具の正面側から見た斜視図であり、(b)は貼着部及び剥離シートを省略した状態の管保持具の背面側から見た斜視図である。
【図4】壁孔に管材を設置した状態を示す断面図である。
【図5】壁厚が小さい壁に管材を設置しコーキング材を充填した状態を示す断面図である。
【図6】壁厚が大きい壁に管材を設置しコーキング材を充填した状態を示す断面図である。
【図7】別の実施例を示す管保持具の正面側から見た斜視図である。
【図8】別の実施例を示す管保持具の背面図である。
【図9】別の実施例を示す管保持具の背面図である。
【図10】粘着テープを用いて管保持具を壁に固定した状態を示す斜視図である。
【図11】別の実施例を示す管保持具の正面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6は、本発明の一実施の形態を示す。図1は、屋内側の上方にエアコンの室内機が設置され、壁内に形成されたスペースを通じて下方へと配管され屋外へと引き出されたドレン管の配管状態を示す図である。図中符号Wは建物壁であり、符号Waは屋内側の壁である内壁、符号Wbは屋外側の壁である外壁であり、符号Aは内壁の上方に設置されているエアコンの室内機である。前記内壁Wa及び前記外壁Wbの間の壁内には、断熱材等が配置されるスペースSが形成されており、当該スペースSの内部に前記室内機Aから排出されるドレン水を屋外へと排水するためのドレン管が前記壁内のスペースSを通って下方に向けて配管され、さらに外壁に形成された壁孔を通じて屋外にまで伸びて、ドレン水を排水する経路が構成されている。
【0021】
詳細には、このドレン水の排水経路は、エアコンの室内機Aの近傍に形成された内壁Waの貫通孔Daを通じて壁内にまで配管されたドレン管P3と、壁内でエルボ継手E2を介して接続された上下方向に伸びる長尺のドレン管P2と、によって外壁Wbに形成された壁孔Db付近まで配管され、さらに、ドレン管P2の端部に接続されたエルボ継手E1によって外壁Wbへ向けて配水経路が屈曲され、外壁Wbに形成された壁孔Dbを貫通配管される短尺のドレン管P1を介して壁内から外壁側となる屋外へと配管され、屋外へと突出した前記ドレン管P1の端部にはドレン排水をさらに下方に導くための吐出具B(ここでは、エルボ継手E1やE2と同一のエルボ継手を使用している)が接続されている。なお、図示していないが、ドレン管P2やドレン管P3は適宜箇所において、管固定具によって固定されている。
【0022】
そして、前記外壁Wbに形成された壁孔Dbを貫通配管されたドレン管P1は、本発明に係る管保持具1によって保持されており、壁孔内面とドレン管外面との間にはコーキング材Cが充填されて屋外から雨水が壁内へと浸入するのを防止している。
【0023】
次に、図2〜図3に基づいて本発明に係る管保持具について説明する。図2は本発明の一実施の形態の管保持具を示しており、(a)はその正面図、(b)は平面図、(c)は背面図、(d)(e)はそれぞれ、図2(a)に示したX−X線断面図、Y−Y線断面図である。また、図3における(a)は図2に示した管保持具の正面側から見た斜視図であり、(b)は貼着部及び剥離シートを省略した状態の管保持具の背面側から見た斜視図である。
【0024】
図中符号1は管保持具であり、壁孔に貫通配管されるエアコンのドレン管や空調パイプ、配線・配管材保護管等の管材を保持して管材を壁孔に設置するものである。この管保持具1は、前記管材が挿通される挿通孔4を備えた管保持部3と、前記管保持部3から外方に向かって延設された平板状のフランジ部2と、を備えている。さらに、前記フランジ部2の一方の面側に設けられた、建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部5と、前記管保持部3に挿通される管材を取り囲むように環状に形成された前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シート6と、を備えている。
【0025】
前記管保持部3は前記フランジ部から立設した中空円筒状に構成されており、前記フランジ部から筒状の先端まで連なる挿通孔4を備え、その内径は、前記挿通される管材の外径と略同一径に設定されて、挿通された管材の外面と管保持部の内面との間に塗布した接着剤によって接着可能となっている。本実施の形態においては、管材の端部を強制的に押し込むことで初めて挿通可能となる程に緊密な内径となっている。
【0026】
また、前記フランジ部2は、管材を設置する壁孔を覆う大きさに形成された四角形状(本実施の形態においては正方形状)を成し、その四角形を構成する各四辺の中央部には、挿通孔4の中心を指し示す小突起状の指標部2aがそれぞれ設けられ、また、各四隅部には釘やビス等の固着具を強制的に貫通させることで建物の壁や当て木等の構造物に固定することができる固定部が設けられている。前記固定部は、前記フランジ部の一方の面側に円形の凹部8が設けられ、フランジ部の他方の面側には、前記円形の凹部と同一軸心となる円錐状の窪み部7が設けられている。前記凹部8および窪み部7は、前記フランジ部2の一方または他方の面を構造物に当接させた状態で前記固着具の先端を係止させることで打ち込み時に固着具が滑らないように案内することができる。
【0027】
前記貼着部5及び剥離シート6は、前記フランジ部2と略同一外形状からなる両面テープTをフランジ部2に貼着することで構成されている。前記両面テープTは、前記挿通部4の内径と略同一の通孔が設けられた環状に形成され、さらに、前記窪み部8と対応する位置にも別の通孔がそれぞれ設けられている。そして、前記両面テープTの剥離シート6を剥がすことで、前記貼着部5が露出する。
【0028】
前記剥離シート6は、ポリオレフィン系やシリコン系の樹脂材料により構成され、壁孔内面と管材外面との間に充填されるコーキング材が有する接着性に対して非接着性を有する材料により構成されている。接着性を有するコーキング材としては、シリコン系やウレタン系、アクリル系などがあり、具体的には、前記剥離シートは、一般的に使用されている接着性を有するシリコン系のコーキング材である変性シリコンに対して非接着性のあるポリエチレンやポリプロピレンが挙げられる。
【0029】
この管保持具1は、両面テープT(貼着部5および剥離シート6)を除いたフランジ部2と管保持部3が合成樹脂の一体成型により構成されている。そして本実施の形態においてはドレン管として使用される硬質塩化ビニル管と同一材料となる塩化ビニルで構成されており、互いに接着可能となっている。
続いて、以上の構成からなる管保持具1を用いて管材としてのドレン管を壁孔に設置する方法について説明する。
【0030】
まず、前記管保持具1の管保持部3に壁孔を貫通配管させるドレン管を端部から挿通して、前記フランジ部2の他方の面から壁を貫通できる程度に突出した状態とし、前記管材と管保持部とを接着して一体化する。その後、前記フランジ部2の他方の面を壁に向けるとともに、ドレン管の端部を壁孔に挿入する。そして、壁にけがかれた壁孔の中心を示すラインに前記指標部2aを合致させて、図4に示すように、ドレン管P1をその外面と壁孔Dbの内面が当接しない位置に定め、前記固定部に固着具Gを打ち込んで壁裏に固定する。この状態でドレン管P1の周囲にコーキング材の充填空間Hが形成される。次いで、図5に示すように、前記壁孔Dbの内面とドレン管P1の外面との間にドレン管外面の周方向に沿って間断なく形成されたコーキング材の充填空間Hに壁表側からコーキング材Cを充填する。フランジ部は壁孔Dbの全体を覆っており、充填したコーキング材がだれ落ちてしまうのを防止している。
【0031】
この設置方法において、剥離シート6は剥がすことなく、壁に固定されているため、フランジ部2と壁Wbとの間、および、フランジ部2の壁孔Dbに臨む箇所に剥離シート6が介在している。そして、コーキング材Cが有する接着性により、壁孔Dbの内面とドレン管P1の外面とにコーキング材Cが接着した二面接着の状態となる。特に、壁厚が小さい場合や必要な充填量が多い場合には、前記充填空間Hに充填したコーキング材Cが壁孔の奥方へと進み、前記フランジ部2にまで到達するが、フランジ部2の壁孔Dbに露出する箇所に剥がすことなく残された剥離シート6の存在によってコーキング材Cの三面接着を防止している。
【0032】
ここで、コーキング材Cが壁孔Dbの内面とドレン管P1の外面との二面接着となるように剥離シート6にコーキング材Cに対して非接着性とした理由を説明する。
【0033】
すなわち、仮に剥離シート6を剥がすことにより露出した両面テープTの貼着部5やフランジ部2が壁孔に臨む状態で壁に固定し、前記充填空間Hに充填したコーキング材Cが、壁孔の奥方へと進み、前記貼着部5や前記フランジ部2に到達すると、壁孔内面とドレン管外面に加えてフランジ部の三面にわたってコーキング材が接着することとなる。このフランジ部2とのコーキング材Cの接着によって壁孔内面とドレン管外面との方向(ドレン管の径方向)に伸縮しにくくなり、壁やドレン管の温度変化により伸縮した際に、接着面に応力が集中してコーキング材の接着が剥がれたり、ひび割れが生じたりして、雨水の浸入の原因となるからである。そのため、充填側と、それに対向するフランジ部側とは接着させずに、壁孔内面と、それに対向するドレン管外面に接着させる二面接着として、コーキング材Cが壁やドレン管の温度変化による伸縮に追従して伸縮させることが、長期にわたってコーキング材の性能を発揮させるために有効となるからである。
【0034】
さて、前述した設置方法のように、作業者がコーキング材Cを充填する際に壁孔奥方に位置するフランジ部に到達するおそれがあると判断した際に選択できる有効な設置方法であるが、作業者がコーキング材を充填しても壁孔奥方に位置するフランジ部に到達するおそれがないと判断した際、例えば壁厚が十分に大きかったり、コーキング材の充填量が少なかったりした際には、以下の方法を選択して設置することができる。
【0035】
つまり、前述した設置方法は、剥離シート6を剥がすことなく固着具Gを用いて管保持具1を壁に固定したのに対して、この方法においては、剥離シート6を剥がして露出させた貼着部5を壁孔周縁に貼着した後、前記固着具Gで固定するものである。こうすることで、固着具Gで固定する際に、一旦壁孔に対して管保持具1を仮固定でき、手を離して固着具の準備をしたり両手を使用した固定作業が可能となり、本固定のための作業がしやすくなる。この方法では、図6に示すように、壁孔Dbにフランジ部2や貼着部5が臨むこととなるが、コーキング材Cがそこまで到達しないため、壁孔内面とドレン管外面との二面接着となり、当然だれ落ちることもない。なお、貼着部5の貼着強度が十分に大きいときは、固着具Gを必要とせず、仮固定を経由することなく、壁への貼着によって本固定とすることができる。
【0036】
このように、壁厚の大小や充填量の多少によって作業者が判断し、その判断に基づいて、コーキング材Cの二面接着の確保が必要である場合と無い場合とでその設置方法を選択し、必要であれば貼着部5を覆っている剥離シート6を利用して、壁孔Dbに臨む箇所を剥がすことなく設置することで二面接着の確保が容易となり、また、確保が必要なければ剥離シート6を剥がして露出させた貼着部5を利用して仮固定や本固定の状態として作業性を向上させることができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態は以下のように変更することができる。
○前記フランジ部2は四角形状であったが、丸型や小判型などのどのような形状であっても良い。これは剥離シート6や両面テープTも同様である。
【0038】
○前記剥離シート6や両面テープTは、フランジ部2と略同一形状に構成されているが、フランジ部2と異なる形状でも良く、また、フランジ部2より小さくても、大きくても良い。また、剥離シート6を図7のようにフランジ部2からその一部が突出するように形成すれば、剥離シート6を剥がすきっかけとなり、剥がしやすくなる。
【0039】
○前記フランジ部2が有する前記剥離シート6および前記貼着部5は両面テープで構成したが、前記フランジ部2に接着剤を塗布して貼着部5とし、その貼着部5を剥離可能な剥離シート6で覆うことで構成しても良い。このとき、貼着部5と剥離シート6は同一の面積でなくても良い。図8に示すように、網掛けした範囲を接着剤を塗布して貼着部5とし、破線で示した剥離シート6によりその全体を覆うように構成しても良い。なお、二点鎖線は設置対象となる壁孔を示している。
【0040】
○前記剥離シートは、図9に示す図中符号F1のように内側から外側に向けてスリットを設けても良い。この場合、管材が挿通された状態でもスリットにより分断された箇所を利用することで剥離シートを剥がしやすくなる。
【0041】
○前記剥離シート6は、壁孔に臨む範囲を残して、その他の箇所を剥がして貼着部5を露出させて壁孔周縁に貼着しても良い。例えば図9における網掛けの範囲のみの剥離シートを剥がせるように、網掛けの範囲とその内側との間を分断するようにスリットF2を形成しておくことで、壁孔に臨む箇所を残して剥離シートを剥がすことができ、剥離シートを剥がして露出させた貼着部5を利用して仮固定や本固定が可能となるとともに、充填したコーキング材がフランジ部まで到達したとしても、残された剥離シート6によって、コーキング材がフランジ部と非接着状態となる二面接着を確保することができる。
【0042】
○前記管保持具1を固定するにあたり、フランジ部2に設けられた固定部に釘やビス等の固着具Gを打ち込んで固定していたが、フランジ部を壁にあてがった状態で、または、貼着部5で壁に仮固定した状態で、図10に示すように、フランジ部2と壁とをオーバーラップするように粘着テープNを貼り付けて固定しても良い。この場合は、前記粘着テープNが固着具Gとなる。
【0043】
○前記管保持部3はフランジ部2の他方の面のみに突出しているが、図11にあるように、フランジ部2の両方の面に突出しても良い。
【0044】
○前記管保持具1を反転させてフランジ部2から突出する管保持部3を壁孔の内部に挿入するようにして設置しても良い。このように管保持部が壁孔内に挿入された場合は、貼着部5および剥離シート6はフランジ部2における壁孔内に挿入される管保持部3が突出する側の面に設ける必要がある。そして、環状の剥離シートは管保持部3の外側を取り囲むように配置されることとなる。このような管保持具とした場合は、コーキング材は壁孔内面と、管材および/または壁孔内に挿入された管保持部の外面と、に接着される場合がある。
【0045】
○前記管保持部3は、フランジ部2から突出するように形成されているが、フランジ部2の板厚を大きくして、管材が挿通される挿通孔4を設け、その挿通孔4を管保持部3としても良い。
【0046】
○前記管材と前記管保持具1は接着して一体化したが、両者の接着は必須ではない。ただし、接着することで、軸方向の移動規制を行うことができ、また、管材外面と管材保持部内面との間を水密状態とできるため、互いに管保持部の内面と管材外面との間で接着したほうが望ましい。
【0047】
○前記管保持具1は、1本の管材のみを保持する構成であったが、例えばフランジ部2に複数の管保持部3を立設し、1つのフランジ部2に対して複数本の管材を独立して挿通保持可能としても良い。また、管保持部は1本の管材のみを保持していたが、複数本の管材からなる管材の集合体を1つの管材とみなして、それを挿通し保持させても良い。
【0048】
○作業者が、コーキング材が壁の反対側まで到達するか判断しかねる場合には、前記剥離シート6を残した状態で設置することが望ましい。また、例えば壁厚が大きく、コーキング材が壁の反対側まで到達しないと判断した場合であっても、剥離シート6を剥がすことなく、前記固着具Gにより固定しても良い。
【0049】
○前記管保持具1と前記管材を接着して一体化してから壁孔に対して固定していたが、先に管保持具1を壁に固定してから、管材を挿通して管保持部3に保持させても良い。
【0050】
○前記剥離シート6は、コーキング材と非接着性を有する素材により形成されているが、非接着性を有する素材(ポリエチレンやフッ素樹脂等)によりコーティングして形成しても良い。
【0051】
○前記実施の形態においては、内壁Waと外壁Wbとの間に配管されたドレン管の壁内から外壁の外側に引き出さる外壁の貫通箇所において説明したが、壁内で屈曲配管することなく直線的に屋外へ引き出され、外壁に沿って配管されるドレン管の壁孔の貫通箇所に適用することも可能である。
【0052】
○前記実施の形態においては、管材は硬質塩化ビニルからなる外面平滑な断面円形のドレン管で説明したが、それに限らず、外面に凹凸がある管材であったり断面楕円や四角形の管材であっても良い。またその場合、管保持部の挿通孔を管材に対応した内面形状としても良い。
【0053】
○前記実施の形態においては、フランジ部2が壁内に位置するように設置したが、フランジ部2が屋外側に位置するように設置しても良く、また、外壁に設置したが、内壁に設置しても良く、さらには、屋内側から屋外側へと配管されるものに限らず、屋内に設けられた壁を貫通配管される箇所にも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1...管保持具
2...フランジ部
3...管保持部
5...貼着部
6...剥離シート
C...コーキング材
Db...壁孔
G...固着具としてのビス
H...充填空間
T...両面テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管保持具を用いて壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する壁孔への管材設置方法であって、
前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備え、
前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされ、
前記剥離シートを剥がして露出させた貼着部を壁孔周縁に貼着するとともに、管保持部に管材を保持させて、壁孔に対して管材を設置する工程、または、
壁孔内面と前記管保持部に保持させた管材外面との間に充填する前記コーキング材が前記フランジ部と接触したとしても、充填したコーキング材が壁孔内面と管材外面との二面接着となるように、少なくとも壁孔に臨む箇所の前記剥離シートを剥がすことなく、剥離シートを壁孔に臨ませた状態で、壁に対して固定するとともに、管保持部に管材を保持させて、壁孔に対して管材を設置する工程、
のいずれかを選択して管材を壁孔に設置することを特徴とする壁孔への管材設置方法。
【請求項2】
管保持具を用いて壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する壁孔への管材設置方法であって、
前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備え、
前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされ、
前記剥離シートを剥がして露出させた貼着部を壁孔周縁に貼着するとともに、管保持部に管材を保持させ、さらに、壁孔内面と管材外面との間に充填するコーキング材を、前記フランジ部と接触しない状態となるように充填して、壁孔に対して管材を設置する工程、または、
壁孔内面と前記管保持部に保持させた管材外面との間に充填する前記コーキング材が前記フランジ部と接触したとしても、充填したコーキング材が壁孔内面と管材外面との二面接着となるように、少なくとも壁孔に臨む箇所の前記剥離シートを剥がすことなく、剥離シートを壁孔に臨ませた状態で、壁に対して固定するとともに、管保持部に管材を保持させ、さらに、壁孔内面と管材外面との間にコーキング材を充填して、壁孔に対して管材を設置する工程、
のいずれかを選択して管材を壁孔に設置することを特徴とする壁孔への管材設置方法。
【請求項3】
壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する管保持具であって、
前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備え、
前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされ、
少なくとも壁孔に臨む箇所の剥離シートを剥がすことなく壁に対して固定することで、壁孔内面と管材外面との間に充填するコーキング材が前記剥離シートとは接着することなく、壁孔内面と管材外面との二面接着とすることができることを特徴とする管保持具。
【請求項1】
管保持具を用いて壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する壁孔への管材設置方法であって、
前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備え、
前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされ、
前記剥離シートを剥がして露出させた貼着部を壁孔周縁に貼着するとともに、管保持部に管材を保持させて、壁孔に対して管材を設置する工程、または、
壁孔内面と前記管保持部に保持させた管材外面との間に充填する前記コーキング材が前記フランジ部と接触したとしても、充填したコーキング材が壁孔内面と管材外面との二面接着となるように、少なくとも壁孔に臨む箇所の前記剥離シートを剥がすことなく、剥離シートを壁孔に臨ませた状態で、壁に対して固定するとともに、管保持部に管材を保持させて、壁孔に対して管材を設置する工程、
のいずれかを選択して管材を壁孔に設置することを特徴とする壁孔への管材設置方法。
【請求項2】
管保持具を用いて壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する壁孔への管材設置方法であって、
前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備え、
前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされ、
前記剥離シートを剥がして露出させた貼着部を壁孔周縁に貼着するとともに、管保持部に管材を保持させ、さらに、壁孔内面と管材外面との間に充填するコーキング材を、前記フランジ部と接触しない状態となるように充填して、壁孔に対して管材を設置する工程、または、
壁孔内面と前記管保持部に保持させた管材外面との間に充填する前記コーキング材が前記フランジ部と接触したとしても、充填したコーキング材が壁孔内面と管材外面との二面接着となるように、少なくとも壁孔に臨む箇所の前記剥離シートを剥がすことなく、剥離シートを壁孔に臨ませた状態で、壁に対して固定するとともに、管保持部に管材を保持させ、さらに、壁孔内面と管材外面との間にコーキング材を充填して、壁孔に対して管材を設置する工程、
のいずれかを選択して管材を壁孔に設置することを特徴とする壁孔への管材設置方法。
【請求項3】
壁孔に貫通配管される管材を壁孔に設置する管保持具であって、
前記管保持具は、前記管材が挿通される挿通孔を備えた管保持部と、前記管保持部から外方に向かって延設された前記壁孔を覆う大きさのフランジ部と、前記フランジ部に設けられた建物の壁や当て木等の構造物に貼着可能な貼着部と、前記貼着部に剥離可能に貼着された剥離シートと、を備え、
前記剥離シートは前記壁孔内面と管材外面との間に充填される接着性を有するコーキング材と非接着性を有する素材により構成され、あるいは、非接着性を有する素材によりコーティングされ、
少なくとも壁孔に臨む箇所の剥離シートを剥がすことなく壁に対して固定することで、壁孔内面と管材外面との間に充填するコーキング材が前記剥離シートとは接着することなく、壁孔内面と管材外面との二面接着とすることができることを特徴とする管保持具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−87828(P2013−87828A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227561(P2011−227561)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]