説明

壁紙貼着施工方法

【課題】壁面に壁紙を、精度よく、かつ強度に優れた状態で、安定して貼り付けることができる方法を提供する。
【解決手段】壁紙を貼着する壁面1に、貼り付ける壁紙2の縁部に相当する位置に、1cm以上の幅で、エチレン酢酸ビニルエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン及びデンプン糊から選ばれる少なくとも一種の補強剤3を、固形分で5〜200g/mの塗布量で塗布、乾燥した後、壁紙2の裏面全体に接着剤4を塗布し、上記補強剤上に壁紙の両側の縁部が整合性よく位置するようにして、壁面に壁紙を貼り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に壁紙を品質よく貼り付けるための施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
壁面に壁紙を均質に貼ることは困難であるとして、種々の方法が試みられている。その中には、例えば特許文献1に示されるように、合成樹脂フィルムからなるテープの片面にポリビニルアルコール(PVA)のような水溶性接着剤層も設けたカットテープを使用する方法、特許文献2に示されるように、裏面に細く接着剤層を形成したマスキングテープを使用する方法、特許文献3に示されるように、PVAのような水溶性接着剤層を有する粘着用テープを使用する方法、特許文献4に示されるように少なくとも片面に水溶性接着剤層を設けた両面テープを使用する方法が開示されている。
【0003】
しかし、PVAのような水溶性接着剤の使用では、壁面に壁紙を強度よく貼り付けることはできず、かかる方法は実用性あるものではなかった。
【特許文献1】特公平2−57627号公報
【特許文献2】特公平3−17981号公報
【特許文献3】特開平11−36549号公報
【特許文献4】特開平11−210336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、壁面に壁紙を、精度よく、かつ強度に優れた状態で、安定して貼り付けることができる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、壁紙を貼る壁面に、貼り付ける壁紙(クロスであってもよい)の縁部に相当する位置に、1cm以上の幅で、エチレン酢酸ビニルエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン及びデンプン糊から選ばれる少なくとも一種の補強剤を、固形分で5〜200g/mの塗布量で塗布、乾燥した後、壁紙の裏面全体に接着剤を塗布し、上記補強剤上に壁紙の両側の縁部が整合性よく位置するようにして、壁面に壁紙を貼り付けることにより、上記課題を解決した。
【0006】
壁面は、コンクリート、モルタル、木材、石膏ボードなどのいずれであってもよいが、本発明の方法は、木材及び石膏ボードに対して特に効果的に使用できる。
【0007】
補強剤の塗布幅は、1cm〜15cm程度、特に2〜12cm程度であるのが好ましく、壁紙の幅の3分の1以下であるのがよい。
【0008】
なお、壁紙に施される接着剤は、合成樹脂エマルジョンであってもよいが、澱粉糊を主成分とするものであるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【0010】
実施例1
壁面(石膏ボード)1に壁紙(紙クロス)2を貼り付けるものであって、壁面1に、貼り付ける壁紙2の両縁部に相当する位置に幅10cm幅に、補強剤3としてエチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョンをロール塗装し、乾燥した。補強剤3の塗布量は、固形分で約50g/m とした。
壁紙2の裏面にエチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョン8%とデンプン糊92%の混合接着剤4を全面に塗布し(接着剤の塗布量は固形分で約15g/m )、前記補強剤3上に壁紙2の両縁が位置するように重ねるようにして、壁面1上に壁紙2を貼り付け、自然乾燥した。
JIS A 6922による接着試験結果と、一週間後の施工状態(ジョイントの状態)を、表1に示す。
【0011】
実施例2
補強剤3として、酢酸ビニル樹脂エマルジョンを使用した以外は実施例1と同様の方法で、壁面1に壁紙2を貼り付けた。
JIS A 6922による接着試験結果と、一週間後の施工状態を表1に示す。
【0012】
比較例1
補強剤3を使用せずに、実施例1と同様の方法で、壁面1に壁紙2を貼り付けた。
JIS A 6922による接着試験結果と、一週間後の施工状態を表1に示す。
【0013】
比較例2
補強剤3として、ポリビニルアルコール溶液を使用した以外は実施例1と同様の方法で、壁面1に壁紙2を貼り付けた。
JIS A 6922による接着試験結果と、一週間後の施工状態を表1に示す。
【0014】
【表1】

【0015】
表1に示すように、本発明による実施例1及び2では、目スキのない状態で、品質よく強度ある壁紙の貼り付けが可能となるのに対し、補強剤を使用しない比較例1や水溶性であるポリビニルアルコールを補強剤に使用した比較例2では、強度有る貼り付けができず、また、目スキが生じ、実用性に欠けるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の一例を示すもので、Aは壁面に補強剤を塗布した状態を示す平面図、Bは壁紙を貼り付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 壁面
2 壁紙
3 補強剤
4 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に壁紙を貼着するものであって、壁紙を貼る壁面に、貼り付ける壁紙の縁部に相当する位置に、1cm以上の幅で、エチレン酢酸ビニルエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン及びデンプン糊から選ばれる少なくとも一種の補強剤を、固形分で5〜200g/mの塗布量で塗布、乾燥した後、前記壁紙の裏面全体に接着剤を塗布し、前記補強剤上に前記壁紙の両側の縁部が整合性よく位置するようにして、壁面に前記壁紙を貼り付けることを特徴とする壁紙貼着施工方法。
【請求項2】
前記壁面が木材又は石膏ボードであることを特徴とする請求項1の施工方法。
【請求項3】
前記補強剤の塗布幅が、前記壁紙の幅の3分の1以下であることを特徴とする請求項1又は2の施工方法。
【請求項4】
前記壁紙に施される接着剤が澱粉糊を主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項の施工方法。

【図1】
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