説明

壁装材

【課題】裏打ち紙と樹脂層とからなる壁紙において、不陸隠蔽性を得るのに十分なボリューム感を有しかつ優れた表面強度を有するとともにエンボスによる表面の凹凸形状もシャープに再現することのできる壁装材を提供すること。
【解決手段】壁紙用裏打紙に樹脂層を設けてなる壁装材において、前記壁紙用裏打紙が坪量100〜170g/mかつ厚み150〜220μmであり、前記樹脂層が坪量50〜200g/mかつ発泡しないかあるいは5倍以下の発泡倍率であること、前記樹脂層の表面にエンボスによる凹凸を設けてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の内装材として使用される壁紙などの壁装材に関するものであり、詳しくは施工性、表面強度、凹凸形状の意匠性に優れた壁装材に関する。
【背景技術】
【0002】
壁紙などの壁装材は建築物の意匠性向上のために設けられるものであるが、それ以外にも、下地の壁面の凹みや隙間、段差などを隠蔽するために設けるということもある。また、汚れた場合には貼りかえることで容易に新しい状態とすることが可能なものである。
【0003】
下地の壁面の凹みや隙間、段差などを隠蔽するという目的を達成するために、壁装材に隠蔽性向上のためボリューム感が求められる。壁紙用裏打紙と樹脂層からなる壁装材においては、樹脂層を厚くするか、あるいは樹脂を発泡形成させかつその発泡倍率を上げることでボリューム感を上げることができる。しかしながら、樹脂層を厚くすると、表面強度を保つことが出来ず、低下するものとなってしまう。さらにエンボスによる表面の凹凸形状もシャープな再現性が得られないものとなってしまうという問題があった。また、不燃性を持たせるために、壁紙用裏打紙として特別に無機物質を含有させたりしてコスト高なものとなっていた。
【特許文献1】特開2004−43983
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、裏打ち紙と樹脂層とからなる壁紙において、不陸隠蔽性を得るのに十分なボリューム感を有しかつ優れた表面強度を有するとともにエンボスによる表面の凹凸形状もシャープに再現することのできる壁装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされ、すなわちその請求項1記載の発明は、壁紙用裏打紙に樹脂層を設けてなる壁装材において、前記壁紙用裏打紙が坪量100〜170g/mかつ厚み150〜220μmであり、前記樹脂層が坪量50〜200g/mかつ発泡しないかあるいは5倍以下の発泡倍率であることを特徴とする壁装材である。
【0006】
またその請求項2記載の発明は、前記樹脂層の表面にエンボスによる凹凸を設けてなることを特徴とする請求項1記載の壁装材である。
【0007】
またその請求項3記載の発明は、前記壁紙用裏打紙には無機質材料を含まないことを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の壁装材である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1記載の発明により、不陸隠蔽性を得るのに十分なボリューム感を有しかつ優れた表面強度を有する壁装材を得ることができる。
【0009】
本発明の請求項2記載の発明により、凹凸形成をエンボスにより設けることで形状をシャープに再現することができる壁装材を得ることができる。
【0010】
本発明の請求項3記載の発明により本発明では樹脂層が従来より少なく紙が多いことから、壁紙用裏打紙に無機質材料を添加しなくても不燃性を得ることが可能なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明の壁装材の一実施例の断面の構造を示す。壁紙用裏打紙1に樹脂層2を設け、表面に適宜絵柄印刷3や凹凸模様4を設けてなる。
【0012】
本発明における壁紙用裏打紙1としては普通紙が適用可能であり、坪量100〜170g/mかつ厚み150〜220μmの範囲のものとすることにより、壁装材として求められる剛性とボリューム感が確保される。本発明においては、不燃性を得るための無機質材料は特に添加しなくても、ある程度の不燃性を得る事が可能である。
【0013】
本発明における樹脂層2としては、坪量50〜200g/mかつ発泡しないかあるいは5倍以下の発泡倍率とすることで、不陸隠蔽性を得るのに十分なボリューム感を有しかつ優れた表面強度を有するとともにエンボスによる表面の凹凸形状もシャープに再現することのできるものとなる。用いる樹脂としては、塩化ビニルが好適に使用可能であるが、近年の非塩ビの傾向から各種添加剤を加えたオレフィン系樹脂であっても良い。
【0014】
塩化ビニル樹脂を用いる場合は、可塑剤、安定剤、発泡剤、減粘剤その他の有機系添加剤および炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪砂、タルク、シリカ類、ケイ酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、二酸化チタン等の無機粉体を用途に応じて適宜混合し、カレンダー成形法、コーティング法、スクリーン印刷法などにより壁紙用裏打紙1の表面にシート状もしくは絵柄模様状に設けることで樹脂層2とすることができる。
【0015】
オレフィン系樹脂としては、エチレン・α−オレフィン系共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メチル・(メタ)アクリレート共重合体等のエチレン系共重合体及びこれらと他のオレフィン系樹脂の混合物が好ましい。これらを用いる場合は、中和剤、分散剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、光安定剤、発泡剤、その他の有機系添加剤および炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪砂、タルク、シリカ類、ケイ酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、二酸化チタン等の無機粉体を用途に応じて適宜混合し、カレンダー成形法、コーティング法、スクリーン印刷法などにより壁紙用裏打紙1の表面にシート状もしくは絵柄模様状に設けることで樹脂層2とすることができる。
【0016】
樹脂層2の上に適宜設ける絵柄印刷3としては、印刷インキ(非発泡性インキ)及び/又は水性エマルジョン樹脂を主成分とした発泡性インキ、塩化ビニルペースト樹脂を主成分とした発泡性インキなどを用いて、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等にて形成することができる。
【0017】
凹凸模様4を設ける方法には、発泡抑制インキにより部分的に発泡させる方法や、熱風や赤外線により部分的に加熱発泡させるケミカルエンボス方法があるが、特にはエンボスロールによる圧接によるメカニカルエンボスが本発明の樹脂層に対してシャープな凹凸を得ることが出来るので好ましい。
【実施例1】
【0018】
壁紙用裏打紙として坪量150g/m厚み200μmの無機物質を含まない普通紙((株)興人製:「WK−6150K」)を用い、樹脂層として塩化ビニル系樹脂(新第一塩ビ(株)製:「P−QLT」)を坪量150g/mとなるようにコーティング法により塗布後、エンボスロールで加圧冷却した後、乾燥して本発明の壁装材とした。
【実施例2】
【0019】
壁紙用裏打紙として坪量130g/m厚み170μmの無機物質を含まない普通紙((株)興人製:「WK−6150K」)を用い、樹脂層として塩化ビニル系樹脂(新第一塩ビ(株)製:「P−QLT」)を坪量150g/mとなるようにコーティング法により塗布し、水性インキを用いてグラビア印刷にて絵柄印刷を行い、加熱発泡(発泡倍率3倍)と同時にエンボスロールにて加圧してエンボス付与を行い、その後冷却、乾燥して本発明の壁装材とした。
【0020】
<比較例1>
発泡倍率を6倍とした以外は実施例2と同様にして壁装材を得た。
【0021】
<比較例2>
壁紙用裏打紙として坪量80g/m厚み100μmの不燃紙((株)興人製:「WK−6651T」)を用いた以外は実施例1と同様にして壁装材を得た。
【0022】
以上の壁装材を測定、評価した。結果を表1に示す。
【表1】

【0023】
以上に示すように、本発明の壁装材はボリューム感を有する不陸隠蔽性に優れた施工性を有するものであり、表面の強度を有するとともに、エンボスの形状もシャープなものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の壁装材の一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1…壁紙用裏打紙
2…樹脂層
3…絵柄印刷
4…凹凸模様

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁紙用裏打紙に樹脂層を設けてなる壁装材において、前記壁紙用裏打紙が坪量100〜170g/mかつ厚み150〜220μmであり、前記樹脂層が坪量50〜200g/mかつ発泡しないかあるいは5倍以下の発泡倍率であることを特徴とする壁装材。
【請求項2】
前記樹脂層の表面にエンボスによる凹凸を設けてなることを特徴とする請求項1記載の壁装材。
【請求項3】
前記壁紙用裏打紙には無機質材料を含まないことを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の壁装材。

【図1】
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【公開番号】特開2008−38265(P2008−38265A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210412(P2006−210412)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】